説明

電子制御装置

【課題】ねじ部材を囲繞するシール材の内外における圧力差を少なくとも緩和することにより、シール材の剥離を抑制し、もってシール性低下の抑制を図った電子制御装置を提供する。
【解決手段】一方に向けて開口するケース12とそのケース12の開口を閉蓋するカバー15とからなる筐体7に回路基板が収容されているとともに、ケース12の開口縁に沿って形成されたシール溝35にシール材として塗布した接着剤44により、ケース12とカバー15との間がシールされている電子制御装置において、ねじ部材であるカバー取付ねじ45が螺合するボス部39が接着剤44をもって囲繞されているとともに、そのボス部39と接着剤44との間の空隙S2が、空気通路48を介して筐体7の外部空間に連通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されているように、ケース内に回路基板を収容した上でそのケースの開口を蓋によって閉蓋してなる電子制御装置においては、ケースの開口端縁にシール溝を形成し、そのシール溝に設けられたシール材によってケースと蓋との間をシールするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−132103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の技術における蓋には、当該蓋をねじ部材によってケースに固定するための貫通孔が形成されているが、このような場合には、上記貫通孔を通じたケース内への水や塵埃等の進入を防止すべく、ケースのうち上記ねじ部材が螺合するボス部の外周側を、上記シール溝の一部をもって囲繞し、その囲繞部に設けたシール材によって上記貫通孔とケースの内部空間との間をシールすることが望ましい。
【0005】
しかしながら、上記ボス部を囲繞するようにシール材を設けた場合には、上記ボス部と上記シール材との間の空隙に存在する空気が温度変化によって膨張または収縮することにより、上記空隙とケースの内部空間との間で圧力差が発生し、その圧力差によって上記シール材が蓋から剥離してシール性が低下してしまう虞があった。
【0006】
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであって、上記空隙とケースの内部空間との間における圧力差を少なくとも緩和することにより、蓋からのシール材の剥離を抑制し、もってシール性低下の抑制を図った電子制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特に、ボス部とシール材との間の空隙と筐体の外部空間とを連通する空気通路を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ボス部とシール材との間の空隙に存在する空気が膨張または収縮したときに、上記空気通路を通じて上記空隙に空気が給排されることになるから、上記空隙とケースの内部空間との間における圧力差が少なくとも緩和されて上記シール材の蓋体からの剥離が抑制され、もってシール性低下を抑制できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態として、本発明にかかる電子制御装置が適用されたアクチュエータユニットを示す分解斜視図。
【図2】図1におけるアクチュエータユニットを別の角度から見た分解斜視図。
【図3】図2におけるモータ制御装置を分解して示す斜視図。
【図4】図2におけるモータ制御装置のA−A線に沿った断面図。
【図5】図2におけるモータ制御装置からカバーを取り除いた状態を示す平面図。
【図6】図5におけるボス部の詳細を示す拡大斜視図。
【図7】図6のB−B断面図であって、ケースをカバーによって閉蓋した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1〜7は本発明の好適な実施の形態を示す図であって、そのうち図1は本発明にかかる電子制御装置が適用されたアクチュエータユニットを示す分解斜視図、図2は図1に示すアクチュエータユニットを別の角度から見た分解斜視図である。また、図3は電子制御装置の分解斜視図、図4は図2に示す電子制御装置のA−A線に沿った断面図、図5はカバーを取り除いた状態の電子制御装置を示す平面図である。
【0011】
図1,2に示すアクチュエータユニット1は、自動車に搭載される電動式のブレーキ倍力装置に用いられるものであって、三相交流電力によって駆動され、ブレーキ液の液圧を制御する電動アクチュエータである電動モータ2と、運転者によるブレーキ操作や自動車の運転状態に基づいて電動モータ2を駆動制御する電子制御装置としてのモータ制御装置3と、を備えている。なお、図示は省略しているが、電動モータ2は、いわゆるボールねじ機構により、ブレーキ液の液圧を制御する図示しないピストンを進退移動させることになる。
【0012】
電動モータ2のうちアクチュエータハウジングであるモータハウジング4の外面には、当該電動モータ2の軸方向に延びる一対の台座部5が電動モータ2の軸直角方向で互いに所定の間隔を隔てて形成されている。両台座部5のうち長手方向の両端部にはねじ孔6aが穿設された円形の着座面6がそれぞれ突出形成されている一方、モータ制御装置3の筐体7のうち後述するケース12にはモータハウジング4側の各着座面6にそれぞれ着座する4つの脚部8が形成されている。そして、筐体7側の各脚部8を挿通しつつモータハウジング4側の各ねじ孔6aに螺合する4つの制御装置取付ねじ9により、モータ制御装置3が電動モータ2に固定されることになる。
【0013】
他方、モータハウジング4のうち両台座部5同士の間の位置には略偏平角筒状の筒状壁10が突出形成され、モータ制御装置3の筐体7をモータハウジング4に固定したときに、モータ制御装置3側の後記のステータ接続部20およびセンサ接続部21が、筒状壁10の内周側に開口する開口部11を通じてモータハウジング4内に臨むようになっている。そして、ステータ接続部20がモータハウジング4内のステータ(図示せず)に、センサ接続部21がモータハウジング4内の回転位置センサ(図示せず)にそれぞれ接続されることになる。なお、上記回転位置センサとは、周知のように、モータハウジング4内に設けられたロータ(図示せず)の回転位置を検出するものであって、当該回転位置センサの出力信号はモータ制御装置3による電動モータ2の駆動制御に供されることになる。また、筒状壁10の先端には閉ループ状の溝部10aが形成されており、この溝部10aに配置されるシール部材(図示せず)がケース12の底壁13に圧接することにより、モータハウジング4の内外をシールするようになっている。
【0014】
図1,2のほか図3に示すように、モータ制御装置3の筐体7は、底壁13と周壁14を有し、上方に向けて開口する平面視略矩形状の金属製のケース12と、そのケース12の開口を閉蓋する蓋である平面視略矩形状の金属製のカバー15と、を備えていて、当該筐体7の内部に形成された基板収容空間S1には、カバー15側から制御モジュール17,パワーモジュール16の順で両者16,17が所定の間隔を隔てて回路基板として積層配置されている。そして、筐体7は、ケース12の底壁13をモータハウジング4側に向けた姿勢でモータハウジング4に固定されるようになっている。
【0015】
図3,4に示すように、パワーモジュール16は、樹脂材料をもって略平板状に形成され、金属製のバスバー(図示せず)が多数埋設された板状基部18と、その板状基部18のうちケース12の底壁13側を向く部品実装面18aに実装された種々の電子部品と、板状基部18の一端縁に一体に形成されているとともに、ケース12側の後記の開口部31を通じて外部に臨んでいて(図2参照)、外部の電子機器と信号および電力を授受する外部接続コネクタ19と、板状基部18の部品実装面18aから突設され、電動モータ2のステータ(図示せず)と電気的に接続されるステータ接続部20と、同じく板状基部18の部品実装面18aから突設され、上述した回転位置センサ(図示せず)と電気的に接続されるセンサ接続部21(図1参照)と、を備えている。
【0016】
そして、パワーモジュール16は、図1に示すように、ケース12の底壁13に形成された電力供給端子挿通孔33にステータ接続部20を、ケース12の底壁13に形成されたコネクタ挿通孔34にセンサ接続部21をそれぞれ挿通させた状態で、図3に示すように、板状基部18に貫通形成された複数の取付孔22をそれぞれ挿通する複数のパワーモジュール取付ねじ23により、ケース12に対して締結固定されている。なお、図3の符号24は、パワーモジュール取付ねじ23が螺合するケース12側のねじ孔を示している。
【0017】
また、図3,4に示すように、板状基部18のうち部品実装面18aとは反対側の制御モジュール対向面18bには、当該制御モジュール対向面18bの外周縁部から面直角方向に突出して制御モジュール17をいわゆるスナップフィット方式で係合保持するスナップフィット部25と、パワーモジュール16と制御モジュール17とを電気的に接続するための接続端子26とがそれぞれ複数突設されている。
【0018】
一方、制御モジュール17は、ガラスエポキシ樹脂に代表されるような非導電性樹脂材料からなる基板の表裏両面にそれぞれ導体パターン(図示せず)を形成し、その上に多数の電子部品(図示せず)を実装することで構成されたものであって、パワーモジュール16側の各スナップフィット部25により、パワーモジュール16側の板状基部18に対して面直角方向で所定の間隔を隔てた位置、具体的にはケース12の開口端よりもカバー15側の位置で位置決め保持されている。
【0019】
また、図3,5に示すように、制御モジュール17のうちパワーモジュール16側の各接続端子26に対応する位置には、それらの各接続端子26が挿通するスルーホール27がそれぞれ貫通形成されている。そして、パワーモジュール16側の各接続端子26は、各スルーホール27を挿通して制御モジュール17からカバー15側へ突出し、図示外の半田をもって各スルーホール27にそれぞれ電気的に接続されている。
【0020】
すなわち、制御モジュール17は、運転者によるブレーキ操作や自動車の運転状態にかかる情報を外部接続コネクタ19および各接続端子26を介して入力するとともに、その情報に基づいて生成した駆動指令信号を各接続端子26を介してパワーモジュール16へ出力することになる。そして、パワーモジュール16は、制御モジュール17から入力した駆動指令信号に基づいて電動モータ2へ電力を供給し、その電動モータ2を駆動させることになる。
【0021】
図3,4に示すように、筐体7のカバー15は、金属板を略皿状にプレス成形してなるものであって、制御モジュール17を収容すべくケース12とは反対側に向けて膨出した膨出部28と、その膨出部28の外周縁から外周側に向けて延出するフランジ部29と、そのフランジ部29の外周縁を下向き(ケース12側)に曲折してなる突縁部30と、を備えている。
【0022】
他方、図3,5に示すように、ケース12はいわゆるアルミダイカスト法をもって型成形されたものであって、当該ケース12のうち平面視略矩形状の周壁14の一辺には、パワーモジュール16側の外部接続コネクタ19を受容する開口部31が上方側から切欠形成されている。開口部31は外部接続コネクタ19の根元部に形成されたフランジ部19aに合致する形状を呈しており、当該開口部31の開口縁には、シール性を有する接着材(図示せず)によってフランジ部19aが接着固定されている。なお、図3の符号12aは、ケース12の外面に形成された冷却用のフィンを示しており、図5の符号32は、周壁14に取り付けられ、空気は通すが水は通さない呼吸フィルタを示している。
【0023】
また、ケース12のうちフランジ部19aの上端を含む周壁14の開口端には、閉ループ状に連続したシール溝35が平面視略矩形状に形成されている。シール溝35は、当該シール溝35の外周側を囲繞する外周側の側壁36と、シール溝35の内周側を囲繞する内周側の側壁37との間に形成されている。
【0024】
また、当該シール溝35のうち長手方向の所定位置、具体的にはシール溝25の四隅近傍の位置には、両側壁36,37のうちの一方が他方から離間する方向へ向けて凸となるように湾曲した膨出部36a,37aがそれぞれ形成されており、ケース12の開口端のうち各膨出部36a,37aの内周側となる位置に、カバー15を固定するためのボス部39がそれぞれ突出形成されている。その結果、シール溝35のうち各ボス部39に対応する位置に、シール溝35の外周側の側壁36に沿った外周側溝部38aと、シール溝35の内周側の側壁37に沿った内周側溝部38bとをもって閉ループ状をなす囲繞部38がそれぞれ形成され、それらの各囲繞部38により、各ボス部39の外周側がそれぞれ囲繞されている。
【0025】
図6は、図5におけるボス部39の詳細を示す拡大斜視図であり、図7は図6のB−B断面図であってケース12をカバー15によって閉蓋した状態を示す図である。なお、図6,7では、各ボス部39のうちの一つのみを図示しているが、他のボス部39も略同様に構成されている。
【0026】
図6に示すように、ボス部39は、後記のカバー取付ねじ45(図7参照)が螺合することになるねじ孔41を有する略円筒状のボス部本体40と、そのボス部本体40の根元部から外周側に向けて突出する一対のランド部43と、を備えていて、両ランド部43を含むボス部39全体としての平面視における外縁形状が、囲繞部38の平面視における外縁形状と相似形となるように設定されている。
【0027】
すなわち、側壁36のうち膨出部36aの長手方向両端部36c,36dと一般部36eとのなすコーナー部36bが略直角に形成され、囲繞部38の平面視における外縁形状が略半円状または略D字状を呈しているのに対し、ボス部本体40の平面視における外縁形状が略円形状を呈しているため、囲繞部38の幅寸法となるべきボス部本体40と両側壁36,37との間の間隙Cが、外周側溝部38aと内周側溝部38bとの接続部に相当する位置で他の部位と比較して幅広となってしまうことから、ボス部本体40と両側壁36,37との間の間隙Cが比較的幅広となる位置に平面視略三角形状のランド部43をそれぞれ形成することにより、それらの両ランド部43を含むボス部39全体としての平面視における外縁形状を略D字状としている。その結果、囲繞部38の幅寸法Wは、当該囲繞部38の長手方向で略均一となり、且つシール溝35のうち囲繞部38を除く一般部35aと略同一となっている。
【0028】
また、ボス部本体40は、当該ボス部本体40の突出方向でシール溝35の両側壁36,37よりも高く形成されているとともに、ボス部本体40の先端に形成された環状の着座面42には、当該着座面42の内周縁から両ランド部43側に向かって延びる一対の連通溝42aがそれぞれ形成されている。
【0029】
そして、図7に示すように、シール性を有する熱硬化性の接着剤44をシール溝35内にシール材として塗布した上で、カバー15側の突縁部30をシール溝35内に挿入しつつカバー15のフランジ部29を各ボス部39の着座面42に着座させることにより、ケース12がカバー15によって閉蓋されている。さらにその上で、カバー15のフランジ部29のうちボス部39に対応する位置に貫通形成された貫通孔29aにねじ部材であるカバー取付ねじ45の軸部45aを挿入し、そのカバー取付ねじ45をボス部39に螺合させることでカバー15がケース12に対して締結固定されている。なお、カバー取付ねじ45の頭部45bとカバー15のフランジ部29との間には、ばね座金46および平座金47がそれぞれ介装されている。
【0030】
つまり、液状またはペースト状の接着剤44を外周側溝部38a及び内周側溝部38bを含む一連のシール溝35内に塗布した後、その接着剤35を硬化させる前に、カバー15側の突縁部30を接着剤44に没入させるとともにカバー取付ねじ45をもってカバー15をケース12に対して締結固定し、その状態で接着剤54に熱を加えて硬化させることにより、カバー15とケース12とを接着固定しつつ両者12,15の間を液密にシールしている。
【0031】
より詳細には、接着剤44のうちシール溝35の一般部35aと各囲繞部38の外周側溝部38aとに相当する部分は、カバー15側の突縁部30の先端側をその全周に亘って被覆している一方、接着剤44のうち各囲繞部38の内周側溝部38bに相当する部分は、カバー15のうちフランジ部29の内面に隙間なく密着している。その結果、ボス部本体40とランド部43とのなす段状面43aとカバー15側のフランジ部29との間であって、且つボス部本体40と接着剤44との間の位置には、筐体7の基板収容空間S1から隔離された空隙S2が形成されている。なお、この空隙S2は、囲繞部38の幅寸法Wが当該囲繞部38の長手方向で略均一に、且つ当該囲繞部38を除いた一般部35aと略同一となるように構成されていることで、後述するシール材44の塗布量のばらつきが低減され、上記段状面43a上に良好に確保される。
【0032】
そして、その空隙S2と筐体7の外部空間とは、連通溝42aと、カバー取付ねじ45の軸部45aと貫通孔29aとの間に形成された径方向隙間G1と、カバー取付ねじ45の軸部45aと平座金47との間に形成された径方向隙間G2と、ばね座金46の周方向両端部間に形成された周方向隙間G3とをもって構成された空気通路48を通じて互いに連通している。
【0033】
したがって、本実施の形態によれば、接着剤44を硬化させるべく当該接着剤44に熱を加えたときに、空隙S2に存在する空気も熱せられてその空気が膨張することになるが、膨張した空気は空気通路48を通じて筐体7の外部に排出されることになるから、空隙S2内の空気の圧力によってカバー15のフランジ部29から接着剤44が剥離するようなことがなく、シール性の低下を防止できる。
【0034】
また、当然のことながら、接着剤44を硬化させた後においても、基板収容空間S1および空隙S2内の空気が温度変化によって膨張または収縮することが有り得るが、空隙S2は空気通路48を通じて筐体7の外部空間との間で空気を給排する一方、基板収容空間S1は呼吸フィルタ32を通じて筐体7の外部空間との間で空気を給排することから、基板収容空間S1と空隙S2との間における圧力差が少なくとも緩和されることになる。これにより、接着剤44の硬化後においても上記シール材の蓋体からの剥離が抑制され、シール性の低下を抑制できる。
【0035】
しかも、シール溝35の囲繞部38とボス部39の連通溝42aとの間にランド部43を形成することにより、連通溝42aとシール溝35とをボス部39の径方向で離間させているため、接着剤44の付着によって連通溝42aが閉塞されてしまうことを防止し、空隙S2内への空気の給排をより確実に行えるようになる。
【0036】
また、シール溝35について、囲繞部38の幅寸法Wを、当該囲繞部38の長手方向で略均一とすると共に、当該囲繞部38を除いた一般部35aと略同一となるように構成したことで、外周側溝部38aと内周側溝部38bとの間にて、また、これら囲繞部38と一般部35aとの間にてシール材44の塗布量を積極的に変更する必要がなくなる。これにより、上記両部35a,38へのシール材44の塗布作業について、当該シール材44の塗布量を一定とすることが可能となり、この結果、当該シール材44の塗布作業性の向上が図れると共に、塗布量(塗布厚)のばらつきが低減されることによる当該シール材44のシール性の向上にも供される。換言すれば、上記両部35a,38へのシール材44の塗布量を一定化することで、当該塗布作業を例えば図示外の塗布機などを用いて自動化することができ、作業工数の低減化による生産性の向上や製造コストの低廉化に寄与することができる。
【0037】
さらには、上述のように、シール材44の塗布作業に塗布機を用いることで、シール溝35に沿ってほぼ確実にシール材44を塗布することができ、この結果、シール材44がシール溝35を若干外れて例えば段状面43aに付着してしまうおそれもなく、上記空隙S2の形成の妨げとなる不都合の抑制にも供される。
【0038】
以上、上記実施形態では、本発明に係る電子制御装置をブレーキ倍力装置に適用したものを例示しているが、本発明は当該実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば内燃機関やパワーステアリング装置、自動変速機など、種々のものに適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
3…モータ制御装置(電子制御装置)
7…筐体
12…ケース
15…カバー(蓋)
16…パワーモジュール(回路基板)
17…制御モジュール(回路基板)
29a…貫通孔
35…シール溝
38…囲繞部
39…ボス部
41…ねじ孔
42…着座面
42a…連通溝
43a…段状面
44…接着剤(シール材)
45…カバー取付ねじ(ねじ部材)
48…空気通路
S2…ボス部と接着剤との間の空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方に向けて開口するケースとそのケースの開口を閉蓋する蓋とからなる筐体に回路基板を収容してなる電子制御装置において、
上記ケースの開口縁から上記蓋側へ向けて突設されたボス部と、
上記蓋のうち上記ボス部に対応する位置に貫通形成された貫通孔と、
上記貫通孔を挿通しつつ上記ボス部に螺合し、上記ケースと上記蓋とを締結固定するねじ部材と、
上記ケースの開口縁に沿って形成されているとともに、上記ボス部の外周側を閉ループ状に囲う囲繞部を有するシール溝と、
上記シール溝に設けられ、上記ケースの開口縁と上記蓋との間をシールするシール材と、
上記ボス部と上記シール材との間の空隙と上記筐体の外部空間とを連通する空気通路と、
を備えていることを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
上記ボス部は、上記ねじ部材が螺合するねじ孔が穿設され、上記蓋が着座する着座面と、上記蓋との間に所定の間隔を隔てて形成された段状面と、を備えていて、上記段状面と上記蓋との間に上記空隙が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
上記貫通孔の外周縁と上記ねじ部材との間に径方向隙間が形成されている一方、その径方向隙間と上記空隙とを連通する連通溝が上記ボス部の着座面に形成されていて、上記径方向隙間および上記連通溝がそれぞれ上記空気通路の一部として機能するようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−62334(P2013−62334A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199036(P2011−199036)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】