説明

電子式方位計および方位補正制御方法

【課題】電子式方位計において2点補正などの較正処理を比較的容易に且つ精度良く行えるようにすることである。
【解決手段】第1のスイッチ入力があった際に、地磁気検出手段から出力されている前記第1と第2のデータを記憶させる第1の記憶制御手段(ステップS24)と、第1のスイッチ入力時に前記方位表示手段が指し示していた方位を算出して記憶させる方位記憶制御手段(ステップS25)と、第1のスイッチ入力の後で、第2のスイッチ入力の待機中に、機器本体が回転されても前記記憶されている方位が指し示されるように方位表示手段を制御する特定方位指示制御手段(S27,S28)とを備える。そして、第1のスイッチ入力時と第2のスイッチ入力時に取得したデータから補正データを求める(S31)構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、補正機能を備えた電子式方位計およびその方位補正制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以前より、電気的に地磁気を検出する磁気センサにより方位を検出し、指針を電気的に駆動したり表示出力を行ったりして方位を指し示す電子式方位計が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
また、このような電子式方位計では、使用場所の磁気環境や電子方位計自体の着磁などによって測定誤差が生じるため、このような測定誤差を2点補正と呼ばれる較正方法によって補正する技術が提案されている(例えば特許文献2)。
【0004】
2点補正は、先ず、電子式方位計の機器本体を水平面上で一定の方向に向けた状態で、1回目の磁気センサの出力を取り込み、次いで、機器本体を水平面上で上記方向から180°回転させた状態にして、磁気センサの2回目の出力取込みを行い、これら2回の出力から測定誤差を発生させる磁気センサの出力オフセットを求めるものである。そして、この出力オフセットの値を用いて磁気センサの測定誤差を補正することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3316689号公報
【特許文献2】特許第3467797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような2点補正を行うには、機器本体を一定方向に向けて1回目の磁気センサの出力を取り込んだ後、2回目の出力を取り込む前に、ユーザが機器本体を180°回転させなければならない。
【0007】
この機器本体を180°回転させる操作は、例えば、機器本体を水平なところに置き、回転角度の基準となる目印線などを設けて行ったりしないと、精度良く行うことが困難なものであった。そのため、例えばユーザが機器本体を手に持った状態や、腕に装着したままの状態では、正確な2点補正の操作を容易に行うことができないという課題があった。
【0008】
この発明の目的は、電子式方位計において2点補正などの較正処理を比較的容易に精度良く行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
地磁気の第1方向の成分及びこの第1方向と交差する第2方向の成分の強さに応じた第1と第2のデータを出力する地磁気検出手段と、
方位を指し示して表示する方位表示手段と、
第1のスイッチ入力があった際に、前記地磁気検出手段から出力されている前記第1と第2のデータを記憶させる第1の記憶制御手段と、
前記第1のスイッチ入力時に前記方位表示手段が指し示していた方位を、前記地磁気検出手段から出力された第1と第2のデータに基づき算出して記憶させる方位記憶制御手段と、
第2のスイッチ入力があった際に、前記地磁気検出手段から出力されている第1と第2のデータを記憶させる第2の記憶制御手段と、
前記第1のスイッチ入力の後で、前記第2のスイッチ入力の待機中に、機器本体が回転されても、前記方位記憶制御手段によって記憶されている前記方位から決定される特定方位を前記方位表示手段が指し示すように、当該方位表示手段を制御する特定方位指示制御手段と、
前記第1と第2の記憶制御手段により記憶されたデータに基づき補正データを求める補正値算出手段と、
この補正値算出手段で前記補正データが求められた後、前記地磁気検出手段から出力された第1と第2のデータを前記補正データに基づいて補正して、補正された前記第1と第2のデータに基づき方位を求める方位算出手段と、
を備えていることを特徴とする電子式方位計である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の電子式方位計において、
前記第2のスイッチ入力の待機中に前記方位表示手段により指し示される前記特定方位は、前記第1のスイッチ入力時に前記方位表示手段が指し示していた方位と、同一の方位であることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の電子式方位計において、
前記第2のスイッチ入力の待機中に前記方位表示手段により指し示される前記特定方位は、前記第1のスイッチ入力時に前記方位表示手段が指し示していた方位から180°回転させた方位であることを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1記載の電子式方位計において、
前記第1のスイッチ入力の待機中から前記第1のスイッチ入力の際まで、前記方位表示手段によって機器本体上の所定の基準位置が指し示されるように当該方位表示手段を制御する基準位置指示制御手段を、
さらに備えていることを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1記載の電子式方位計において、
所定の操作入力により補正モードに移行する補正開始制御手段と、
前記補正モードに移行したら機器本体を一定の方向に向けた状態で前記第1のスイッチ入力を行うよう指示するための通知を行って前記第1のスイッチ入力が行われるのを待機する第1スイッチ入力待機手段と、
前記第1のスイッチ入力がなされたら機器本体を180°回転させて前記第2のスイッチ入力を行うよう指示するための通知を行って前記第2のスイッチ入力が行われるのを待機する第2スイッチ入力待機手段と、
前記第2のスイッチ入力があって前記補正値算出手段により前記補正データが求められたら前記補正モードを解除する補正終了制御手段と、
を備えていることを特徴としている。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1記載の電子式方位計において、
前記方位表示手段は、方位を回転可能な指針により指し示して表示する構成であることを特徴としている。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1記載の電子式方位計において、
前記方位表示手段は、方位をセグメント表示又はドット表示により指し示して表示する構成であることを特徴としている。
【0016】
請求項8に記載の発明は、
地磁気の第1方向の成分及びこの第1方向と交差する第2方向の成分の強さに応じた第1と第2のデータを出力する地磁気検出手段と、この地磁気検出手段から出力される第1と第2のデータおよび補正データに基づいて方位を算出する方位算出手段と、方位を指し示して表示する方位表示手段と、を有する電子式方位計の制御部により実行されて前記補正データを求める電子式方位計の方位補正制御方法であって、
所定の操作入力があった場合に補正モードに移行する補正開始制御ステップと、
前記補正モードに移行したら機器本体を一定の方向に向けた状態で前記第1のスイッチ入力を行うよう指示するための通知を行って前記第1のスイッチ入力が行われるのを待機する第1スイッチ入力待機ステップと、
前記第1スイッチ入力の待機中に前記方位表示手段により機器本体上の所定の基準位置が指し示されるように当該方位表示手段を制御する基準位置指示制御ステップと、
前記第1のスイッチ入力がなされた際に、前記地磁気検出手段から出力されている前記第1と第2のデータを記憶部に記憶させる第1の記憶制御ステップと、
前記第1のスイッチ入力時に前記方位表示手段が指し示していた方位を、前記地磁気検出手段から出力された前記第1と第2のデータに基づき算出して記憶部に記憶させる方位記憶制御ステップと、
前記第1のスイッチ入力がなされたら機器本体を180°回転させて前記第2のスイッチ入力を行うよう指示するための通知を行って前記第2のスイッチ入力が行われるのを待機する第2スイッチ入力待機ステップと、
前記第2のスイッチ入力の待機中に、機器本体が回転されても、前記方位表示手段により前記方位記憶制御ステップによって記憶されている特定方位が指し示されるように、当該方位表示手段を制御する特定方位指示制御ステップと、
前記第2スイッチ入力があった際に、前記地磁気検出手段から出力されている第1と第2のデータを記憶部に記憶させる第2の記憶制御ステップと、
前記第1と第2の記憶制御ステップにより記憶されたデータに基づき前記補正データを求める補正値算出ステップと、
前記第2スイッチの入力後に前記補正モードを解除する補正終了制御ステップと、
を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に従うと、第2のスイッチ入力の待機中、機器本体が回転される際に、方位表示手段により特定方位が指し示されるように制御されるので、ユーザはこの方位表示手段の指示方向を頼りに機器本体を回転させることで、第1のスイッチ入力時から第2のスイッチ入力時にかけて機器本体を精度良く所定の回転角度で回転させることができる。それにより、正確な補正処理を容易に実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態の電子式方位計の外観を示す平面図である。
【図2】実施形態の電子式方位計の全体構成を示すブロック図である。
【図3】磁気センサの詳細を示した構成図である。
【図4】磁気センサの出力から求められる検出データと方位との関係を表わすグラフで、(a)は出力オフセットがない場合、(b)は出力オフセットを有する場合のグラフである。
【図5】CPUにより実行される方位計測処理の制御手順を示したフローチャートである。
【図6】2点補正の処理の流れの概要を示した説明図である。
【図7】2点補正の処理の流れに沿った電子式方位計の状態変化を説明する図の前半部分である。
【図8】2点補正の処理の流れに沿った電子式方位計の状態変化を説明する図の後半部分である。
【図9】CPUにより実行される2点補正モード処理の制御手順を示したフローチャートである。
【図10】電子式方位計のその他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態の電子式方位計の外観を示す平面図、図2は、この電子式方位計の全体構成を示すブロック図である。
【0021】
この実施形態の電子式方位計100は、時計機能と方位計機能の2つの機能を備えたもので、例えば腕に装着して使用するタイプの機器である。電子式方位計100には、図1に示すように、その文字板101の上に、時と分を指し示す時針102および分針103と、秒や方位を指し示して表示する秒針104とが回転可能な状態に設けられている。また、文字板101の一部には液晶表示器などのデジタル表示部106が設けられている。さらに、電子式方位計100の周囲にはユーザから操作指令を入力するための複数の操作ボタンb1〜b6が設けられている。
【0022】
電子式方位計100は、図2に示すように、地磁気を検出する磁気センサ1と、磁気センサ1の2つの出力電圧PS1,PS2の差分を一定比率で増幅する増幅回路5と、増幅回路5の出力電圧Vsをデジタル値に変換するA/D変換回路6と、A/D変換回路6の出力を一次的に記憶するレジスタ7と、機器の全体的な制御を行うCPU(中央演算処理装置)11と、制御プログラムや制御データを格納したROM(Read Only Memory)12と、CPU11に作業用のメモリ空間を提供するRAM(Random Access Memory)13と、上記操作ボタンb1〜b6を有するスイッチ入力部15と、時刻や日付を計数する計数回路14cと、計数回路14cに一定周期の信号を供給する発振回路14aおよび分周回路14bと、磁気センサ1にバイアス磁界を発生させるバイアスコイルCL1,CL2と、これらバイアスコイルCL1,CL2を駆動するためのコイル駆動回路9および波形合成回路10とを備えている。
【0023】
さらに、この電子式方位計100には、複数の歯車が組み合わされてなり上記の分針103および時針102を連動させて回転させる輪列機構23と、輪列機構23を回転駆動するステップモータ22およびモータ駆動回路21と、秒針104を独立的に回転駆動するための輪列機構26、ステップモータ25およびモータ駆動回路24と、上述のデジタル表示部106を駆動する表示駆動回路28等が設けられている。
【0024】
上記の構成のうち、文字板101上で秒針104を回転駆動する構成により方位表示手段が構成され、磁気センサ1、増幅回路5、バイアスコイルCL1,CL2によって地磁気検出手段が構成されている。
【0025】
図3には、磁気センサを詳細に表わした構成図を示す。
【0026】
磁気センサ1は、基板1a上に4個の磁気抵抗素子MR1、MR2、MR3、MR4及び4個のパッドPd1、Pd2、Pd3、Pd4等が形成されてなる。磁気抵抗素子MR1、MR2、MR3、MR4は、各磁気検出方向がそれぞれ相隣接する他の磁気抵抗素子MR1、MR2、MR3、MR4の各磁気検出方向と相直交する角度に配設されており、また、この図3における磁気センサ1の上下方向に対して、各検出方向が45度の傾きを持つように形成されている。これら各磁気抵抗素子MR1、MR2、MR3、MR4は、パッドPd1、Pd2、Pd3、Pd4を介してブリッジ回路を形成しており、対向する一組のパッドPd1、Pd3間には、所定の直流電圧Vが印加されている。各磁気抵抗素子MR1、MR2、MR3、MR4は、磁界が作用することによりその抵抗値が変化するので、パッドPd1、Pd3間に所定直流電圧Vが印加されている状態で、各磁気抵抗素子に磁界が作用するとその抵抗値が変化しパッドPd2とパッドPd4には、上記の磁界に応じた電圧PS1,PS2が発生するようになっている。そして、増幅回路5から出力される上記電圧PS1,PS2の差分量を表わす差動増幅出力Vsに基づいて方位が検出されるようになっている。
【0027】
また、磁気センサ1には、図3および図2に示すように、相互に直交する2つのバイアスコイルCL1、CL2が巻回されている。バイアスコイルCL1は、流される電流の向きによりこの磁気センサ1の前後方向(各磁気抵抗素子の磁気検出方向と45°をなす方向)に相反転するバイアス磁界B1,B2を発生する。他方のバイアスコイルCL2は、流される電流の向きによりこの磁気センサ1の左右方向(各磁気抵抗素子の磁気検出方向と45°をなす方向)に相反転するバイアス磁界B3,B4を発生する。
【0028】
図4には、磁気センサの出力から求められる検出データX,Yと方位との関係を表わしたグラフを示す。同図(a)は出力オフセットがない場合、(b)は出力オフセットを有する場合のグラフである。
【0029】
図4のグラフにおいて、縦軸の“検出データ”は磁気センサ1の差動増幅出力Vsから求められる検出データ、横軸の“角度”は磁気センサ1を水平面上で360°回転させた場合の回転角度を示している。また、一方のグラフ線(X)は、バイアスコイルCL2の通電により測定方向と直交するバイアス磁界B3,B4を発生させて求めた検出データX、他方のグラフ線(Y)は、バイアスコイルCL1の通電により測定方向に平行なバイアス磁界B1,B2を発生させて求めた検出データYをそれぞれ示している。
【0030】
ここで、検出データXは、第1のデータに相当するもので、バイアス磁界B3を発生させたときの差動増幅出力Vsからバイアス磁界B4を発生させたときの差動増幅出力Vsを差し引いた電圧値であり、地磁気の測定方向成分の強さに応じた値を示す。また、検出データYは、第2のデータに相当するもので、バイアス磁界B1を発生させたときの差動増幅出力Vsからバイアス磁界B2を発生させたときの差動増幅出力Vsを差し引いた電圧値であり、地磁気の測定方向に直交した方向成分の強さに応じた値を示す。
【0031】
磁気センサ1にオフセットが全くない場合、磁気センサ1の出力から求められる検出データX,Yは、図4(a)に示すように、計測方位(角度)に応じて正弦波的に変化する。検出データXは方位角0°で極大値になる一方、検出データYは方位角90°で極大値となる。また、検出データXの振幅と検出データYの振幅はほぼ等しくすることができる。
【0032】
従って、任意の計測方位θ1において、磁気センサ1の出力に基づき2つの検出データX1,Y1を求めることで、この計測方位θ1を次式(1)のように求めることができる。
θ1 = tan−1(Y1/X1) ・・・ (1)
【0033】
しかしながら、現実には、磁気センサ1にはオフセットが生じるため、磁気センサ1の出力から求められる検出データX,Yは、図4(b)に示すようになる。すなわち、検出データX,Yは、正弦波的に変化する値にオフセット値HX,HYが加算された値となる。
【0034】
このオフセット値HX,HYは次のようにして求めることができる。すなわち、任意の角度θ2と、そこから180°回転させた角度θ3とで2つの検出データHY1,HY2を求める。そして、これらの相加平均を演算することでオフセット値HYが得られる。検出データXについてのオフセット値HXも同様に求めることができる。このように任意の角度θ2と、そこから180°回転させた角度θ3との2点で磁気センサ1の出力を取得し、これらの出力から上記のオフセット値HX,HYを求めるのが2点補正処理である。
【0035】
オフセット値HX,HYが既知となることで、磁気センサ1の出力から求められた検出データX,Yからこのオフセット値HX,HYを差し引くことで、図4(a)に示したようなオフセットが除去された補正後の検出データを得ることができる。従って、磁気センサ1にオフセットが生じている場合でも、計測方位θ1を次式(2)のように求めることが可能となる。
θ1 = tan−1[(Y1a−HY)/(X1a−HX)] ・・・ (2)
【0036】
次に、上記構成の電子式方位計100の動作について説明する。
【0037】
電子式方位計100には、複数の動作モードとして、時刻を表示する時刻表示モード、方位を計測して表示する方位計測モードが備わっている。また、これらの動作モードに加えて、各種の設定モードが備わっている。設定モードの中には、方位計測の較正処理を行う2点補正モードがある。これらの各動作モードや各設定モードは、CPU11によるスイッチ入力処理によって、ユーザからスイッチ入力部15(操作ボタンb1〜b6)を介して所定の操作指令が入力された場合に切り換えられたりする。時刻表示モードに移行すればCPU11により時刻表示処理が実行され、方位計測モードに移行すれば方位計測処理と方位表示処理とが実行される。また、2点補正モードに移行すれば2点補正モード処理が実行される。上記のスイッチ入力処理、時刻表示処理、方位計測処理、方位表示処理、2点補正モード処理は、ROM12に格納された制御プログラムの中に含まれている。
【0038】
[時刻表示モード]
時刻表示モードでは、時刻表示処理により、CPU11が計数回路14cの計数データや計数動作に基づいてモータ駆動回路21,24に所定のパルス出力を行う。それにより、時間の経過に従って時分針102,103および秒針104が回転駆動されて文字板101上で時刻が表示される。
【0039】
[方位計測モード]
方位計測モードでは、CPU11は、短い時間間隔で方位計測処理と方位表示処理とを繰り返し実行する。方位計測処理は、磁気センサ1の出力から方位を求める処理であり、方位表示処理は方位の計測結果に基づいて秒針104を常に所定方向を指し示した状態に回転駆動する処理である。先ず、方位計測処理について説明する。
【0040】
図5には、CPU11により実行される方位計測処理のフローチャートを示す。
【0041】
方位計測処理が開始されると、CPU11は、バイアスコイルCL1,CL2に順次順方向と逆方向の電流を流してバイアス磁界B1〜B4を発生させていき(ステップS1,S3,S5,S7)、これらバイアス磁界B1〜B4を各々発生させたときに磁気センサ1の差動増幅出力Vsの値をレジスタ7の検出データメモリV1〜V4に格納していく(ステップS2,S4,S6,S8)。
【0042】
上記のように磁気センサ1から4つの差動増幅出力Vsを取り込んだら、これらから図4に示した検出データX,Yを算出する。すなわち、検出データYとして、検出データメモリV1とV2の値の差を算出する(ステップS9)。また、検出データXとして、検出データメモリV3とV4の値の差を算出する(ステップS10)。ここで、算出された検出データX,Yが、図4(b)のグラフに示される検出データとなる。
【0043】
検出データX,Yが算出されたら、上述した方位角を求める方程式のうちオフセット値HX,HYによる補正項を含んだ方程式(数式(2))に検出データX,Yを代入して方位角Dを算出する(ステップS11:方位算出手段)。ここで、オフセット値HX,HYは、後述する2点補正処理によって、以前に求められてレジスタ7又はRAM13に格納されているものである。
【0044】
次いで、tan−1の定数(π)分の不確定さを補うために、「X−HX」の正負符号、「Y−HY」の正負符号に応じて(ステップS12,S13)、ステップS11で算出したD値を確定的に求める。すなわち、両者が共に正の値であれば、ステップS11で算出したD値をそのまま計測結果とし、X−HXが負の値であればD値に180°を加算して(ステップS14)、これを計測結果とする。また、X−HXが正の値でY−HYが負の値であればD値に360°を加算して(ステップS15)、これを計測結果とする。このような処理により、方位角Dとして0°〜360°の計測結果が得られる。
【0045】
このようにして算出された方位角Dの値は、北を基準として磁気センサ1の測定方向が向いている方位角を示すこととなる。そして、このようにD値が算出されたら、この方位計測処理を終了する。方位角Dの値は、レジスタ7又はRAM13の所定の領域に格納して、この方位計測処理を終了する。
【0046】
方位計測モードにおいて、方位計測処理が終了するとCPU11は方位表示処理を実行する。先ず、方位計測処理によって求められた方位角Dに基づいて、秒針104が所定方向(例えば北の方向やユーザ指定の方向)を指し示すように、現在の秒針104の位置から所定方向までのステップ数を算出する。次いで、CPU11は、モータ駆動回路24にこのステップ数分のパルス出力を行う。これにより、秒針104がステップ駆動されて所定方向を指し示す位置まで移動する。これらに加えて、デジタル表示部106に方位角Dの値を表示させたりもする。そして、この方位表示処理を終了する。
【0047】
方位計測モードにおいては、上記の方位計測処理と方位表示処理とが短い時間間隔で繰り返し行われることで、秒針104により常に所定方向が指し示されることとなる。
【0048】
[2点補正モード]
2点補正モードは、操作ボタンb1〜b6を介したユーザの操作入力によって移行される。先ず、2点補正モード処理の概要を説明する。
【0049】
図6には、2点補正モード処理の概要を示す説明図を、図7と図8には、2点補正モード処理の流れに沿った電子式方位計の状態変化を示した説明図を示す。
【0050】
2点補正モードは方位計測モードの中から移行可能である。なので、ユーザは所定の操作入力を行って方位計測モードに入る(ステップJ1)。方位計測モードに入ると方位計測が開始されて、例えば、電子式方位計100が方位角315°の向きにあれば、それが計測されて、この計測結果に従った表示出力が行われる。例えば、図7(a)に示すように、デジタル表示部106に方位角315°の表示が行われ、秒針104により北の方向が指し示される。時針102と分針103は現在時刻(8時)を指し示したままの状態となる。
【0051】
この状態で、ユーザが所定の操作入力を行うと2点補正モードに移行する(ステップJ3:補正開始制御手段)。2点補正モードの処理が開始されると、図7(b)にも示すように、デジタル表示部106に、電子式方位計100を任意の方向に向けた状態で1回目のボタンを押せという指示内容を表わす「−1−」の通知表示が行われる(ステップJ4)。それと同時に、秒針104が電子式方位計100の基準位置(例えば00秒の位置)に移動する。
【0052】
ユーザは、この通知表示に従って、電子式方位計100を一定方向に向けたまま操作ボタンb1を押す。これにより、電子式方位計100が任意の方位角を向いた状態でCPU11により磁気センサ1の1回目の出力が取得される。
【0053】
1回目の出力が取得されたら、続いて、図7(c)にも示すように、デジタル表示部106に、電子式方位計100を180度回転させて2回目のボタンを押せという指示内容を表わす「−2−」の通知表示が行われる(ステップJ5)。
【0054】
また、この通知表示の際、電子式方位計100の内部では方位計測と秒針104の駆動制御が行われて、1回目のボタン入力が行われたときに秒針104が指し示していた基準位置の方向(特定方向)を、電子式方位計100の向きが変っても秒針104が指し示し続けるように制御される。なので、この「−2−」の通知表示の際に、ユーザが電子式方位計100を例えば水平面上で90°回転させると(ステップJ6)、図8(d)に示すように、秒針104は、1回目の操作ボタンb1の入力があったときの特定方向を指し続けたままの状態となる。
【0055】
従って、ユーザは、図8(e)に示すように、秒針104の指示方向を頼りに、秒針104が文字板101の6時位置に重なる状態まで電子式方位計100を回転させることで、この電子式方位計100を正確に180°回転することができる。そして、このように回転させたらユーザは2回目の操作ボタンb1の入力を行う(ステップJ7)。
【0056】
2回目の操作ボタンb1が押されることで、CPU11により磁気センサ1の2回目の出力が取得される。そして、内部で所定の演算処理が行われて、磁気センサ1のオフセット値HX,HYが求められる。オフセット値HX,HYが求められたら、2点補正モード処理は終了して、通常の方位計測モードに戻る(ステップJ8)。そして、図8(f)に示すように、方位計測モードの秒針104の駆動制御と表示出力に戻される。
【0057】
図9には、CPU11により実行される2点補正モード処理のフローチャートを示す。
【0058】
上記の2点補正モード処理の際、電子式方位計100の内部では次のような制御処理が実行される。すなわち、所定の操作入力がなされて2点補正モード処理に移行すると、先ず、CPU11は、秒針104を文字板101上の基準位置(例えば12時位置)に移動させる制御を行う(ステップS21:基準位置指示制御手段)。具体的には、現在の秒針104の位置から電子式方位計100の標準位置(例えば12時位置)までのステップ数を算出し、このステップ数分のパルスをモータ駆動回路24に出力して秒針104を基準位置に移動させる。
【0059】
次いで、CPU11は、表示駆動回路28に出力を行って、デジタル表示部106に、上述した「−1−」の通知表示を行う(ステップS22)。そして、この通知表示を行ったら、CPU11は、1回目の操作ボタンb1の入力があるまで待機する(ステップS23:第1スイッチ入力待機手段)。
【0060】
ここで、ユーザにより操作ボタンb1が押されると、CPU11は、次のステップS24に移行して磁気センサ1の出力を取得する。すなわち、バイアスコイルCL1,CL2に順方向と逆方向の電流を流してバイアス磁界B1〜B4を順次発生させ、各バイアス磁界B1〜B4の発生時に磁気センサ1の差動増幅出力Vsを取得し、これらから検出データX,Yを算出する。図5のステップS1〜S10と同一の処理である。そして、この検出データX,Yを、補正データ算出用の変数HX1,HY1に代入してレジスタ7又はRAM13中に記憶させる(ステップS24:第1の記憶制御手段)。
【0061】
続いて、CPU11は、ステップS24で算出した検出データX,Yに基づき12時方向の方位角Dの値を算出し、レジスタ7又はRAM13中のメモリ部Zに記憶させる(ステップS25:方位記憶制御手段)。方位角Dの算出処理は、図5のステップS11〜15と同一の処理により行う。
【0062】
次に、CPU11は、表示駆動回路28に出力を行って、デジタル表示部106に、上述した「−2−」の通知表示を行う(ステップS26)。そして、この通知表示を行ったら、ステップS27〜S29のループ処理に移行して、方位計測と秒針104の駆動制御とを行いながら2回目の操作ボタンb1の入力を待機する処理を行う(第2スイッチ入力待機手段)。
【0063】
すなわち、ステップS27〜S29のループ処理に移行すると、先ず、方位計測処理を行って文字板101の12時位置が指し示している方位角を求める(ステップS27)。この方位計測処理は図5で説明したものと同一の処理である。次いで、求めた方位角と、ステップS25でメモリ部Zに記憶してある方位角Dとから秒針104を移動させるステップ数を算出し、秒針104をメモリZに記憶されている方位角Dの位置まで移動させる(ステップS28:特定方位指示制御手段)。続いて、2回目の操作ボタンb1の入力の有無を判別して(ステップS29)、入力が無ければステップS27に戻る。
【0064】
このステップS27〜S29のループ処理によって、2回目の操作ボタンb1の入力待機中、秒針104が常に1回目の操作ボタンb1の入力時に基準位置だった方向を指し示すこととなり、ユーザは秒針104の指示方向を頼りに、電子式方位計100を180°正確に且つ容易に回転させることが可能となる。
【0065】
そして、このループ処理中、2回目の操作ボタンb1の入力がなされたら、当該ループ処理を抜けて次のステップS30に移行する。ステップS30に移行したら、CPU11は、先ず、180°回転した状態で磁気センサ1の出力を取得する。すなわち、図5のステップS1〜S10と同一の処理を行う。そして、算出した検出データX,Yを、補正データ算出用の変数HX2,HY2に代入してレジスタ7又はRAM13中に記憶させる(ステップS30:第2の記憶制御手段)。
【0066】
この段階で、図4(b)のグラフ中に示した任意の方位角θ2とそこから180°回転された方位角θ3における各検出データX,Yの値が取得され変数HX1,HX2,HY1,HY2に記憶された状態となる。
【0067】
なので、これらの変数HX1,HX2,HY1,HY2の値から、方位角の算出方程式(数式(2))に表われるオフセット値(補正データ)HX,HYを次式のように算出する。
HX = (HX1 + HX2) / 2 ・・・ (3)
HY = (HY1 + HY2) / 2 ・・・ (4)
そして、求めたオフセット値HX,HYをレジスタ7又はRAM13に記憶させる(ステップS31:補正値算出手段)。そして、この2点補正モード処理を終了する(補正終了制御手段)。
【0068】
2点補正モード処理が完了したら、次回の方位計測処理から、この2点補正モード処理のステップS31で記憶されたオフセット値HX,HYが使用されて方位角の算出が行われることとなる。
【0069】
以上のように、この実施形態の電子式方位計100および2点補正モードの制御方法によれば、2点補正モード処理の際、1回目の操作ボタンb1の入力時に秒針104が指し示していた方位角が記憶され、2回目の操作ボタンb1の入力待機中に、常に、秒針104が前記記憶された方位角を指し示すように制御されるので、ユーザはこの秒針104の指示方向を頼りに電子式方位計100を正確に180°回転させることができる。例えば、電子式方位計100を手に持ったままや腕に装着したままでも、秒針104が6時の位置に重なるように合わせることで、精度良く電子式方位計100を180°回転させることができる。
【0070】
そして、このような制御によって電子式方位計100が正確に180°回転された状態で2回目の操作ボタンb1の入力が行われることで、2点補正モード処理により精度良く補正データ(オフセット値HX,HY)を求めることができる。そして、このような補正データによって高精度な方位計測が可能となる。
【0071】
また、この実施形態の電子式方位計100によれば、2回目の操作ボタンb1の入力待機中に秒針104により指し示される特定方向が、1回目の操作ボタンb1の入力時に秒針104が指し示していた方向に設定されているので、ユーザは1回目の操作ボタンb1の入力時の位置を基準にして直感的に電子式方位計100を180°回転させた状態を認識することができる。
【0072】
なお、2回目の操作ボタンb1の入力待機中に秒針104により指し示される特定方向は、上記の方向に制限されるものではない。例えば、この特定方向として、1回目の操作ボタンb1の入力時に秒針104が差し示していた方向から180°回転させた方向を採用することもできる。この場合、ユーザは文字板101の12時位置に秒針104を合わせるように電子式方位計100を回転させることで、1回目の操作ボタンb1の入力時から正確に180°回転させることができる。その他、上記の特定方向として、1回目の操作ボタンb1の入力時に秒針104が差し示していた方向から90°や270°回転させた方向を採用して、ユーザに、文字板101の3時位置や9時位置と秒針104とを合わさせるように制御することも可能である。
【0073】
また、この実施形態の電子式方位計100によれば、2点補正モードに移行して1回目の操作ボタンb1が押されるまでの間、秒針104は文字板101上の基準位置(12時位置)を指し示した状態にされるので、2点補正モード処理の際に、常に、秒針104の位置が一定の状態となって、ユーザに分かりやすい2点補正の処理を実現できる。
【0074】
また、2点補正モード処理の際には、1回目の操作ボタンb1の入力待機中や、2回目の操作ボタンb1の入力待機中に、デジタル表示部106にそれぞれ操作ボタンb1を押すことや電子式方位計100を回転させることを表わす通知表示が行われるので、ユーザはこの通知表示に従って電子式方位計100の操作を行えば良く、分かりやすい2点補正の処理を実現できる。
【0075】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、方位を指し示して表示する形態として、指針(秒針104)を用いて方位を指し示す形態を示したが、例えば、図10のその他の電子式方位計100Aの平面図に示すように、ドット表示又はセグメント表示等によって方位を指し示す形態を採用することもできる。
【0076】
図10の例では、表示部111の外周部分に円周帯状の方位表示器112が設けられ、この方位表示器112のうち指定された角度部分を反転表示させることで、指定された方位を指し示すことが可能にされている。図10の例では、方位表示器112中の3点表示されている箇所N1によって北が指し示されている。また、表示部111には計測方向の方位角の表示N2と東西南北の記号表示N3とが行われている。その他、表示部にドット表示等により矢印表示を行って方位を指し示す形態を採用しても良い。
【0077】
また、上記実施の形態では、2点補正モード処理において、1回目の操作ボタンb1の入力待機中に秒針104を基準位置に移動させるように制御しているが、この処理を省くようにしても良い。その他、実施の形態で具体的に示した細部構造および方法は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 磁気センサ
5 増幅回路
6 AD変換回路
7 レジスタ
CL1,CL2 コイル
9 コイル駆動回路
11 CPU
12 ROM
13 RAM
15 スイッチ入力部
b1〜b6 操作ボタン
24 モータ駆動回路
25 ステップモータ
26 輪列機構
104 秒針
106 デジタル表示部
X,Y 検出データ(第1と第2のデータ)
HX,HY オフセット値(補正データ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地磁気の第1方向の成分及びこの第1方向と交差する第2方向の成分の強さに応じた第1と第2のデータを出力する地磁気検出手段と、
方位を指し示して表示する方位表示手段と、
第1のスイッチ入力があった際に、前記地磁気検出手段から出力されている前記第1と第2のデータを記憶させる第1の記憶制御手段と、
前記第1のスイッチ入力時に前記方位表示手段が指し示していた方位を、前記地磁気検出手段から出力された第1と第2のデータに基づき算出して記憶させる方位記憶制御手段と、
第2のスイッチ入力があった際に、前記地磁気検出手段から出力されている第1と第2のデータを記憶させる第2の記憶制御手段と、
前記第1のスイッチ入力の後で、前記第2のスイッチ入力の待機中に、機器本体が回転されても、前記方位記憶制御手段によって記憶されている前記方位から決定される特定方位を前記方位表示手段が指し示すように、当該方位表示手段を制御する特定方位指示制御手段と、
前記第1と第2の記憶制御手段により記憶されたデータに基づき補正データを求める補正値算出手段と、
この補正値算出手段で前記補正データが求められた後、前記地磁気検出手段から出力された第1と第2のデータを前記補正データに基づいて補正して、補正された前記第1と第2のデータに基づき方位を求める方位算出手段と、
を備えていることを特徴とする電子式方位計。
【請求項2】
前記第2のスイッチ入力の待機中に前記方位表示手段により指し示される前記特定方位は、前記第1のスイッチ入力時に前記方位表示手段が指し示していた方位と、同一の方位であることを特徴とする請求項1記載の電子式方位計。
【請求項3】
前記第2のスイッチ入力の待機中に前記方位表示手段により指し示される前記特定方位は、前記第1のスイッチ入力時に前記方位表示手段が指し示していた方位から180°回転させた方位であることを特徴とする請求項1記載の電子式方位計。
【請求項4】
前記第1のスイッチ入力の待機中から前記第1のスイッチ入力の際まで、前記方位表示手段によって機器本体上の所定の基準位置が指し示されるように当該方位表示手段を制御する基準位置指示制御手段を、
さらに備えていることを特徴とする請求項1記載の電子式方位計。
【請求項5】
所定の操作入力により補正モードに移行する補正開始制御手段と、
前記補正モードに移行したら機器本体を一定の方向に向けた状態で前記第1のスイッチ入力を行うよう指示するための通知を行って前記第1のスイッチ入力が行われるのを待機する第1スイッチ入力待機手段と、
前記第1のスイッチ入力がなされたら機器本体を180°回転させて前記第2のスイッチ入力を行うよう指示するための通知を行って前記第2のスイッチ入力が行われるのを待機する第2スイッチ入力待機手段と、
前記第2のスイッチ入力があって前記補正値算出手段により前記補正データが求められたら前記補正モードを解除する補正終了制御手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1記載の電子式方位計。
【請求項6】
前記方位表示手段は、方位を回転可能な指針により指し示して表示する構成であることを特徴とする請求項1記載の電子式方位計。
【請求項7】
前記方位表示手段は、方位をセグメント表示又はドット表示により指し示して表示する構成であることを特徴とする請求項1記載の電子式方位計。
【請求項8】
地磁気の第1方向の成分及びこの第1方向と交差する第2方向の成分の強さに応じた第1と第2のデータを出力する地磁気検出手段と、この地磁気検出手段から出力される第1と第2のデータおよび補正データに基づいて方位を算出する方位算出手段と、方位を指し示して表示する方位表示手段と、を有する電子式方位計の制御部により実行されて前記補正データを求める電子式方位計の方位補正制御方法であって、
所定の操作入力があった場合に補正モードに移行する補正開始制御ステップと、
前記補正モードに移行したら機器本体を一定の方向に向けた状態で前記第1のスイッチ入力を行うよう指示するための通知を行って前記第1のスイッチ入力が行われるのを待機する第1スイッチ入力待機ステップと、
前記第1スイッチ入力の待機中に前記方位表示手段により機器本体上の所定の基準位置が指し示されるように当該方位表示手段を制御する基準位置指示制御ステップと、
前記第1のスイッチ入力がなされた際に、前記地磁気検出手段から出力されている前記第1と第2のデータを記憶部に記憶させる第1の記憶制御ステップと、
前記第1のスイッチ入力時に前記方位表示手段が指し示していた方位を、前記地磁気検出手段から出力された前記第1と第2のデータに基づき算出して記憶部に記憶させる方位記憶制御ステップと、
前記第1のスイッチ入力がなされたら機器本体を180°回転させて前記第2のスイッチ入力を行うよう指示するための通知を行って前記第2のスイッチ入力が行われるのを待機する第2スイッチ入力待機ステップと、
前記第2のスイッチ入力の待機中に、機器本体が回転されても、前記方位表示手段により前記方位記憶制御ステップによって記憶されている特定方位が指し示されるように、当該方位表示手段を制御する特定方位指示制御ステップと、
前記第2スイッチ入力があった際に、前記地磁気検出手段から出力されている第1と第2のデータを記憶部に記憶させる第2の記憶制御ステップと、
前記第1と第2の記憶制御ステップにより記憶されたデータに基づき前記補正データを求める補正値算出ステップと、
前記第2スイッチの入力後に前記補正モードを解除する補正終了制御ステップと、
を有することを特徴とする電子式方位計の方位補正制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−197123(P2010−197123A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40301(P2009−40301)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)