説明

電子時計、電子時計の制御方法、電子時計の制御プログラム、記録媒体

【課題】 節電モードへの移行頻度が低減して利便性が高い電子時計を提供する。
【解決手段】 光発電手段と、蓄電手段と、現時刻を計時する計時制御手段と、時刻表示手段を備える。さらに、蓄電手段の蓄電電圧を検出する蓄電電圧検出手段と、蓄電電圧検出手段による検出電圧値に基づいて時刻表示手段の動作状態を制御する動作制御部300と、を備える。動作制御部300は、計時制御手段で計時される現時刻を前記時刻表示手段に表示させる通常モードと時刻表示手段の少なくとも一部を停止させる節電モードとを蓄電電圧検出手段による検出結果に基づいて切り替える。動作制御部300は、通常モードから節電モードへの移行は所定の電圧基準値である第1電圧基準値に基づいて判断し、その一方、節電モードから通常モードへの移行は第1電圧基準値よりも高い電圧値に設定された第2電圧基準値に基づいて判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計、電子時計の制御方法、電子時計の制御プログラム、この制御プログラムが記録された記録媒体に関する。特に、通常モードと節電モードとを切り替える節電機能付き電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光発電手段などの発電手段からの起電力を二次電池等の蓄電手段に蓄え、これを電源とした電子時計が商品化されている。
このような発電手段および蓄電手段を有する電子時計において、長時間発電が行われず、蓄電手段を充電できない場合には、蓄電手段の電圧が低下し、運針用のステップモータの停止、水晶発振回路の停止を招き、時計機能が停止してしまう。特に水晶発振回路が停止すると、時間を計時することができないので、発電手段によって充電されて運針を再開する際に時刻合わせを行わなければならない。
さらに、近年の電子時計は、カレンダ情報も備えており、製造時や利用開始時に現在の年、月、日情報を入力することで、その後は、月が切り替わった際の日付の自動更新を行えるようになっている。このようなカレンダ情報を記憶している時計では、蓄電手段の電圧が低下して現在の年、月、日情報が無くなってしまうと、使用者が、年、月、日情報を再設定しなければならない。指針式(アナログ式)の電子時計において、年、月、日の再設定は時刻の再設定に比べて難しく、さらに手間がかかる作業になる。
【0003】
このため、長期間充電がされないなどで蓄電手段の蓄電量があらかじめ設定された基準値を下回ったときには、指針の運針を停止する節電モードに移行して消費電力を小さくして蓄電手段の電圧低下を抑え、水晶発振回路の停止等を防止するようにした節電機能付き電子時計が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
このような節電機能付き電子時計では、蓄電手段の蓄電量が所定電圧以下のときは節電モードで指針の運針を停止して消費電力を節電し、発電開始や時刻合わせ等の復帰動作条件を検知すると、通常モードに移行して通常の現時刻表示が行われる。ここで、節電モードから通常モードへ復帰する際には、節電モードで停止されていた指針が現時刻の表示まで早送り運針される。
【0004】
【特許文献1】特許第3062253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献1に開示される節電機能付き電子時計にあっては、節電モードから通常モードへの復帰時に停止されていた指針を通常の現時刻表示まで早送り運針する必要がある。そのため、節電モードへ移行する電圧基準値としては、通常モードに復帰した際に指針を早送りして時刻表示復帰できる程度の電力を十分に確保できる電圧値に設定されていた。
しかしながら、このように節電モードに移行する電圧基準値として十分に電力を残した値を設定すると、蓄電手段の蓄電量が頻繁に電圧基準値を下回ってしまうこととなる。
その結果、節電モードによる運針停止状態に移行することが多くなり、ユーザーが時刻を知りたいときに即座に現時刻を知ることができないという不便をきたすという問題が生じていた。
【0006】
本発明の目的は、節電モードへの移行頻度が低減して利便性が高い電子時計、電子時計の制御方法、電子時計の制御プログラム、この制御プログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子時計は、外部エネルギーにより発電する発電手段と、前記発電手段からの電力を蓄電する蓄電手段と、基準クロックに基づいて現時刻を計時する計時手段と、前記計時手段で計時される現時刻を表示する時刻表示手段と、前記蓄電手段の蓄電電圧を検出する蓄電電圧検出手段と、前記蓄電電圧検出手段による検出電圧値に基づいて前記時刻表示手段の動作状態を制御する動作制御部と、を備え、前記計時手段で計時される現時刻を前記時刻表示手段に表示させる通常モードと前記時刻表示手段の少なくとも一部を停止させる節電モードとを前記蓄電電圧検出手段による検出結果に基づいて切り替える電子時計において、前記動作制御部は、前記通常モードから前記節電モードへの移行は所定の電圧基準値である第1電圧基準値に基づいて判断し、前記節電モードから前記通常モードへの移行は前記第1電圧基準値よりも高い電圧値に設定された第2電圧基準値に基づいて判断することを特徴とする。
【0008】
本発明では、前記動作制御部は、前記計時手段で計時される現時刻を前記時刻表示手段に表示させる通常モードを行う通常モード制御部、および、前記時刻表示手段の少なくとも一部を停止させる節電モードを行う節電モード制御部を有する動作モード制御部と、前記通常モードから前記節電モードへの移行を判断する第1モード移行判断部、および、前記節電モードから前記通常モードへの移行を判断する第2モード移行判断部を有する動作モード判断部と、を備え、前記第1モード移行判断部は、前記蓄電電圧検出手段による検出電圧が前記第1電圧基準値を超える場合は通常モード処理を維持し、前記蓄電電圧検出手段による検出電圧が前記第1電圧基準値以下である場合は前記節電モード処理への移行を判断し、前記第2モード移行判断部は、前記蓄電電圧検出手段による検出電圧が前記第2電圧基準値以下である場合は前記節電モードを維持し、前記蓄電電圧検出手段による検出電圧が前記第2電圧基準値を超える場合は前記通常モード処理への移行を判断することが好ましい。
【0009】
このような構成において、通常モード制御部による通常モードでは計時手段でカウントされる現時刻が時刻表示手段に表示される一方、節電モード制御部による節電モードでは、時刻表示手段の少なくとも一部を停止させることによって消費電力の低減が図られる。そして、通常モードと節電モードとの間のモード移行は、蓄電手段の蓄電電圧に基づいて第1モード移行判断部および第2モード移行判断部の判断によって行われるところ、第1モード移行判断部で通常モードから節電モードへの移行を判断する際の第1電圧基準値とは別に、第2モード移行判断部で節電モードから通常モードへの復帰を判断する際の第2電圧基準値が設定され、この第2電圧基準値は第1電圧基準値よりも高い電圧値に設定されている。
すなわち、通常モードから節電モードへ移行する際には低めの電圧基準値(第1電圧基準値)で判断される一方、節電モードから通常モードへ復帰する場合には発電手段によって発電がなされて蓄電手段に時刻表示の復帰に十分な電力量が蓄積されたと判断できる電圧基準値(第2基準電圧値)に至ったときに通常モードへの復帰が判断される。
【0010】
このように、節電モードへの移行は比較的低い電圧基準値(第1電圧基準値)に基づいて行うので、節電モードに移行する頻度を減少させて通常の時刻表示を行う通常モードの継続時間を長くすることができる。よって、ユーザーが時刻を知りたいときに節電モードで時刻表示が停止されているといった事態が少なくなり、ユーザーが時刻を知りたいときに即時に時刻を確認できるという利便性を向上させることができる。
その一方、節電モードから通常モードへの復帰を行う際には第1電圧基準値よりも高い電圧基準値(第2電圧基準値)で判断し、十分に時刻表示の復帰に必要な電力を蓄電してから通常モードへの復帰を行うこととするので、通常モードへの復帰時には確実に時刻表示手段に現時刻の表示を行うことができる。すると、例えば、時刻表示の復帰の途中で電力不足による停止等の不都合が生じることがなく、改めてユーザーが時刻合わせ等の手間をかける必要がないので利便性を向上させることができる。
【0011】
なお、第1電圧基準値としては、節電モードにおいて計時手段での内部時刻カウントを所定時間(例えば24時間)維持できる限りにおいてできるだけ低い電圧値に設定することが好ましい。この構成によれば、第1電圧基準値として低い電圧値を設定することによって節電モードへの移行頻度を減少させることができ、さらに、節電モード中に計時手段での時刻カウントを維持できるので、通常モードへの復帰時に計時手段の内部時刻を自動的に時刻表示手段に表示することができる。その結果、通常モードへの復帰時にユーザーによる時刻合わせ等の手間を必要としないので、利便性を向上させることができる。
【0012】
本発明では、前記発電手段の発電状態を検出する発電検出手段を備え、前記節電モード制御部は、前記時刻表示手段の一部を駆動させる一部駆動処理を行う一部駆動処理部と、前記時刻表示手段の動作を停止させる停止処理を行う停止処理部と、を備え、前記節電モード制御部は、前記発電検出手段で発電状態が検出される場合は前記一部駆動処理を選択し、前記発電検出手段で発電状態が検出されない場合は前記停止処理を選択することが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、第1モード移行判断部により蓄電手段の蓄電電圧が第1電圧基準値以下となって通常モードから節電モードに移行した場合に、発電手段で発電が行われている場合には、一部駆動処理により時刻表示手段の一部(秒針のみ等)を駆動させることでユーザーに蓄電手段の残余電力が少ないことを告知するとともに、現在の発電量では少ないことを知らせ発電手段による更なる発電量アップ(例えばソーラー発電では更に光量のある場所へ移動)を促すことができる。
例えば、第1モード移行判断部によって通常モードから節電モードへの判断を行う際に蓄電手段の蓄電電圧が第1電圧基準値以下になったとして即時に節電モードで時刻表示を停止してしまうのではなく、発電の有無を確認して発電が行われている場合には一部駆動によってユーザーに更なる発電を促すことができる。
これにより発電が促進されて蓄電手段に電力が蓄電されると、通常モードへの復帰がすみやかになされる可能性を高めることができる。その結果、ユーザーが時刻を知りたいときに即座に時刻を確認できるという利便性を向上させることができる。
また、節電モード直後では発電が行われておらず運針が停止状態にある場合に発電が行われた場合には、一部駆動によってユーザーに対して発電が行われて蓄電手段に蓄電されつつあることを告知できるとともにさらなる発電を促すことができる。
節電モードで時刻表示が完全に停止されている状態でユーザーが何らかの操作を行っても反応が無い場合には、節電モードが継続されているのかあるいは故障しているのかユーザーには不明であるところ、節電モードであっても発電があった場合には一部駆動によって発電が正常に行われていることを告知するので、ユーザーが安心して適切な対応を行うことができるという利便性を向上させることができる。
【0014】
なお、前記一部駆動処理としては、指針式の時刻表示手段であれば秒針のみを通常運針すること挙げられる。また、前記一部駆動処理としては、秒針を5秒運針にするなどが例として挙げられる。たとえば、このように時針や分針の駆動は停止して、かつ、秒針のステップ数を減らすことで消費電力を低減して節電を図るとともにユーザーに発電の促進を告知することができる。
そして、秒針は、一般的に、時分針とは独立した駆動モータによって駆動されるので、一部駆動としては秒針だけを駆動させることが最も簡便である。
【0015】
本発明では、前記時刻表示手段は、文字板上で回動して現時刻を示す指針を有し、前記第1電圧基準値として、前記指針が通常運針されている場合の電圧閾値である通常基準値と、前記指針が早送り運針されている場合の電圧閾値である早送り時基準値と、が設定され、前記早送り時基準値は前記通常基準値よりも高い電圧値に設定されていることが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、指針を早送りしている場合には、通常の指針運針をしている場合に比べて高めの電圧基準値(早送り時電圧基準値)によって節電モードへの移行が判断される。節電モードに入る際には計時手段の計時機能を維持するだけの電力を蓄電手段に確保した状態でなければならないが、指針を早送りしている場合には消費電力が大きいために蓄電手段の蓄電量が急速に減ってしまって計時手段の計時機能を維持するエネルギーが無くってしまうおそれがある。この点、本発明では、早送り運針時には通常運針時よりも高めの電圧基準値を設定しているので、指針が早送りされて電力が急激に消費されている場合でも、蓄電手段に必要な電力を残した状態で節電モードに入ることができる。すると、節電モード中に蓄電量が尽きてしまって計時手段が停止する事態を避けて計時機能を維持することができるので、通常モードへの復帰時に計時手段の内部時刻を自動的に時刻表示手段に表示することができる。その結果、通常モードへの復帰時にユーザーによる時刻合わせ等の手間を必要としないので、利便性を向上させることができる。
【0017】
本発明の電子時計の制御方法は、外部エネルギーにより発電する発電手段と、前記発電手段からの電力を蓄電する蓄電手段と、基準クロックに基づいて現時刻を計時する計時手段と、前記計時手段で計時される現時刻を表示する時刻表示手段と、を備えた電子時計の制御方法であって、前記蓄電手段の蓄電電圧を検出する蓄電電圧検出工程と、前記蓄電電圧検出工程による検出電圧値に基づいて前記時刻表示手段の動作状態を制御する動作制御工程と、を備え、前記動作制御工程は、前記計時手段で計時される現時刻を前記時刻表示手段に表示させる通常モードを行う通常モード制御工程、および、前記時刻表示手段の少なくとも一部を停止させる節電モードを行う節電モード制御工程を有する動作モード制御工程と、前記通常モードから前記節電モードへの移行を判断する第1モード移行判断工程、および、前記節電モードから前記通常モードへの移行を判断する第2モード移行判断工程を有する動作モード判断工程と、を備え、予め所定の電圧閾値として第1電圧基準値が設定されており、前記第1モード移行判断工程では、前記蓄電電圧検出工程による検出電圧が前記第1電圧基準値を超える場合は通常モード処理を維持し、前記蓄電電圧検出工程による検出電圧が前記第1電圧基準値以下である場合は前記節電モード処理への移行を判断し、前記第1電圧基準値よりも高い電圧値である第2電圧基準値が設定され、第2モード移行判断工程では、前記蓄電電圧検出工程による検出電圧が前記第2電圧基準値以下である場合は前記節電モードを維持し、前記蓄電電圧検出工程による検出電圧が前記第2電圧基準値を超える場合は前記通常モード処理への移行を判断することを特徴とする。
【0018】
本発明の電子時計の制御プログラムは、外部エネルギーにより発電する発電手段と、前記発電手段からの電力を蓄電する蓄電手段と、基準クロックに基づいて現時刻を計時する計時手段と、前記計時手段で計時される現時刻を表示する時刻表示手段と、前記蓄電手段の蓄電電圧を検出する蓄電電圧検出手段と、を備える電子時計にコンピュータを組み込んで、このコンピュータを、
前記蓄電電圧検出手段による検出電圧値に基づいて前記時刻表示手段の動作状態を制御する動作制御部として機能させる制御プログラムであって、前記動作制御部は、前記計時手段で計時される現時刻を前記時刻表示手段に表示させる通常モードを行う通常モード制御部、および、前記時刻表示手段の少なくとも一部を停止させる節電モードを行う節電モード制御部を有する動作モード制御部と、前記通常モードから前記節電モードへの移行を判断する第1モード移行判断部、および、前記節電モードから前記通常モードへの移行を判断する第2モード移行判断部を有する動作モード判断部と、を備え、前記第1モード移行判断部には、予め所定の電圧閾値として第1電圧基準値が設定されており、前記第1モード移行判断部は、前記蓄電電圧検出手段による検出電圧が第1電圧基準値を超える場合は通常モード処理を維持し、前記蓄電電圧検出手段による検出電圧が前記第1電圧基準値以下である場合は前記節電モード処理への移行を判断し、前記第2モード移行判断部には前記第1電圧基準値よりも高い電圧値である第2電圧基準値が設定され、前記第2モード移行判断部は、前記蓄電電圧検出手段による検出電圧が前記第2電圧基準値以下である場合は前記節電モードを維持し、前記蓄電電圧検出手段による検出電圧が前記第2電圧基準値を超える場合は前記通常モード処理への移行を判断することを特徴とする。
【0019】
本発明の記録媒体は、前記電子時計の制御プログラムを記録したことを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、上記発明と同様の作用効果を奏することができる。
また、CPU(中央処理装置)、メモリ(記憶装置)等を備えたコンピュータをこの電子時計に組み込んで、このコンピュータを制御プログラムによって前記動作制御部として機能させれば各種の設定変更等を容易に行うことができる。例えば、第1モード移行判断部および第2モード移行判断部に設定される第1電圧基準値や第2電圧基準値の値を変更したり、動作モード制御部における節電モードでの動作設定(例えば、一部駆動処理や停止処理)を変更することも容易である。
なお、この制御プラグラムは、インターネット等の通信手段や、CD−ROM、メモリーカード等の記録媒体を介してインストールされてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、節電モードへの移行は比較的低い電圧基準値(第1電圧基準値)に基づいて行うので、通常の時刻表示を行う通常モードの継続時間を長くしてユーザーが時刻を知りたいときに即時に時刻を確認できるという利便性を向上させることができる。また、節電モードから通常モードへの復帰を行う際にはまず停止していた運針の一部を駆動運針させ、第1電圧基準値よりも高い電圧基準値(第2電圧基準値)で判断し、十分に時刻表示の復帰に必要な電力を蓄電してから通常モードへの復帰を行うこととするので、通常モードへの復帰時には確実に時刻表示手段に現時刻の表示を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の電子時計に係る第1実施形態について説明する。
図1は、この電子時計の全体ブロック図であり、図2は、動作制御部の構成を示すブロック図である。
【0023】
この電子時計は、標準電波を受信して時刻修正を行う電波修正時計である。
この電波修正時計100は、アナログ表示式であり、発電手段としての光発電手段110と、蓄電手段120と、時刻情報を含んだ標準電波を受信する受信手段としての受信部130と、時刻等を表示する時刻表示手段140と、基準クロックを生成する基準信号生成部150と、装置全体を制御する制御回路160と、を備えて構成されている。
【0024】
光発電手段110は従来知られた太陽電池で構成され、蓄電手段120は、光発電手段110で発電された電力を蓄電する二次電池121およびコンデンサ122により構成されている。
【0025】
受信部130は、時刻情報を含んだ標準電波を受けるアンテナ131と、アンテナ131で受けた標準電波を処理(増幅、復調等)する受信回路132と、受信回路132で処理された信号から時刻情報をデコードするデコード回路133と、受信回路132に電力を供給する受信電源回路135と、を備えて構成されている。
受信部130は、受信制御手段136による受信電源回路135の電源制御によって制御される。
【0026】
受信回路132は、受信制御手段136からの信号によって受信電源回路135が起動されて電力供給されることにより時刻情報の受信動作を開始し、受信した時刻情報をデコード回路133に出力する。デコード回路133でデコードされた時刻情報は、受信時刻記憶手段134に出力される。
なお、受信制御手段136は、予め設定された自動受信時刻になった場合や、利用者の強制受信操作が行われた場合等に受信電源回路135を起動して受信処理を行う。
【0027】
時刻表示手段140は、アナログ式の時刻指示手段であり、目盛りを有する文字板141と、時針143と、分針144と、秒針145と、日車とを備えて構成されている。日車は、文字板141に形成された日付表示用の窓142から視認できる。
なお、時刻表示手段140は、さらに、時針143、分針144を駆動する時分針モータ(不図示)、秒針145を駆動する秒モータ(不図示)、日車を駆動する日車モータ(不図示)等の駆動手段を備えている。
【0028】
基準信号生成部150は、水晶振動子などで構成される発振回路151と、この発振回路151からのパルスを分周して基準クロック(1Hz等)を生成する分周回路152から構成されている。
生成された基準クロックは計時制御手段153に出力される。
【0029】
制御回路160は、マイコン(コンピュータ)によって構成され、運針制御回路170と、電源制御回路200と、時刻表示手段140の動作状態を制御する動作制御部300と、を備えている。
【0030】
運針制御回路170は、前記デコード回路133、受信電源回路135、受信制御手段136、発振回路151、分周回路152の他、計時制御手段153、針位置記憶手段171、受信時刻記憶手段134、運針・カレンダ駆動制御手段172を備えている。
【0031】
計時制御手段153は、分周回路152から入力される基準信号(基準クロック)に基づいて時刻を計時している。
また、計時制御手段153は、計時時刻に応じて所定のパルス信号を針位置記憶手段171に出力し、針位置記憶手段171はその入力に応じて駆動信号を運針・カレンダ駆動制御手段172に出力して時刻表示手段140における運針を制御している。従って、計時制御手段153により、計時手段および運針制御手段が構成されている。このため、計時制御手段153は、分周回路152から入力される基準信号によって、カウントアップされる時、分、秒、カレンダの各内部カウンタを備える。また、針位置記憶手段171は、時刻表示手段140の各指針や日車の位置に対応する時、分、秒、カレンダの各位置カウンタを備えている。
【0032】
受信時刻記憶手段134は、受信した時刻情報が記憶される時、分、秒、カレンダの時刻カウンタを備えている。そして、この受信時刻記憶手段134に記憶された時刻情報は、前記計時制御手段153の内部カウンタに設定されるようになっている。従って、受信時刻記憶手段134により、受信した時刻情報で計時手段を修正する修正制御手段が構成されている。
運針・カレンダ駆動制御手段172は、本実施形態では、秒針145を駆動する秒モータ、時針143、分針144を駆動する時分針モータ、日車を駆動する日車用モータをそれぞれ駆動制御する駆動回路を備えて構成される。
【0033】
計時制御手段153は、通常の運針時には、1秒毎に秒モータを駆動する駆動信号を針位置記憶手段171に出力して秒針の位置に対応する秒カウンタを更新する。
同様に、1分毎に時分針モータを駆動する駆動信号を針位置記憶手段171に出力して時分針カウンタを更新する。また、24時間毎に日車駆動手段を駆動する駆動信号を針位置記憶手段171に出力してカレンダ用カウンタを更新する。
針位置記憶手段171は、各駆動信号の入力によって各カウンタを更新すると同時に、入力された駆動信号に対応して運針カレンダ駆動制御手段172に駆動信号を出力して各モータ等を駆動する。従って、予め各指針や日車と針位置記憶手段171の各カウンタの同期を取っておけば、その後は、計時制御手段153から出力される駆動信号によって指針、日車と各カウンタは同期して駆動される。このため、針位置記憶手段171は指針等の位置を記憶していることになる。
【0034】
計時制御手段153は、標準電波を受信して受信時刻記憶手段134に受信した時刻情報が記憶された場合には、その時刻情報を針位置記憶手段171の情報と比較し、その差分量に応じた駆動信号を、針位置記憶手段171に出力する。従って、指針および針位置記憶手段171の記憶情報は受信した時刻情報(現時刻)に修正され、その後は通常の運針に戻る。
【0035】
電源制御回路200は、蓄電手段である二次電池121およびコンデンサ122を制御するものであり、逆流防止回路210、211、リミッタ回路220、即スタート回路230、充電制御回路240、電圧検出手段である電圧検出回路250、充電検出回路260、発電検出手段である発電検出回路270を備えている。
逆流防止回路210、211は、ダイオードなどで構成された一般的な逆流防止回路である。
リミッタ回路220は、二次電池121の過充電を防止するためのスイッチであり、蓄電手段120の電圧が所定電圧、例えば、2.2V以上になるとオンされて光発電手段110の両端を短絡するものである。
【0036】
即スタート回路230は、二次電池121に直列に接続された2つのダイオード(不図示)と、ダイオードに並列に接続されたスイッチとして機能する第1のトランジスタ(不図示)と、前記2つのダイオードと並列に接続されたスイッチとして機能する第2のトランジスタ(不図示)とを備えて構成され、長期間発電が無く、蓄電手段の電圧が低下して発振回路151が停止した際に前記第1および第2のトランジスタがオフされ、即スタート状態に設定される。
この状態において光発電手段110で発電されて発電電力が供給されると、二次電池121の見かけ上の電圧が上昇し、駆動に際し所定の電圧が必要な発振回路151等を迅速に起動でき、電波修正時計100の起動が早められる。
なお、即スタート回路230の解除は、まず、電波修正時計100が起動されると、第1のトランジスタをオンし、さらに、この状態で、二次電池121の電圧が所定電圧(例えば1.0V)になったら、第2のトランジスタをオンすればよい。
【0037】
電圧検出回路250は、充電制御回路240からのサンプリング信号により二次電池121の蓄電電圧を検出して動作制御部300に検出電圧値を出力する。また、電圧検出回路250は、充電制御回路240からのサンプリング信号により、二次電池121の電圧が即スタート解除電圧(前記1.0V)になったか否かを検出するとともに、リミッタ回路220をオンする電圧(前記2.2V)になったか否かを検出し、検出結果を充電制御回路240にフィードバックする。
充電検出回路260は、二次電池121の電圧をモニターし、充電中であるか否かを検出する。
発電検出回路270は、発電手段である光発電手段110をモニターし、発電中であるか否かを検出する。
これらの各検出回路250〜270は、従来から利用されている公知のものが利用できるので、説明を省略する。
充電制御回路240は、各検出回路250、260、270の出力に基づいてリミッタ回路220、即スタート回路230を制御して光発電手段110による蓄電手段120への充電をコントロールする。
【0038】
図2に、動作制御部300の構成を示す。
動作制御部300は、電圧検出回路250によって検出された蓄電電圧値および発電検出回路270による発電検出の有無に応じて時刻表示手段140の動作状態を制御する。
動作制御部300は、動作モード制御部400と、動作モード判断部500と、モード移行処理部600と、を備える。
【0039】
動作モード制御部400は、計時制御手段153で計時される現時刻を時刻表示手段140に表示させる通常モードを行う通常モード制御部410と、時刻表示手段140の一部もしくは全部の駆動を停止させる節電モードを行う節電モード制御部420と、を備える。
通常モード制御部410は、計時制御手段153の内部カウンタで計時される現時刻を針位置記憶手段171および運針カレンダ駆動制御手段172を介して時刻表示手段140に表示させる。
【0040】
節電モード制御部420は、時刻表示手段140の一部を特殊な動作で駆動させる特殊駆動処理を行う特殊駆動処理部(一部駆動処理部)430と、時刻表示手段140の動作を総て停止させる停止処理を行う停止処理部440と、を備える。
特殊駆動処理部430は、時刻表示手段140の時針143、分針144、日車の駆動を停止させる一方、秒針145を5秒間隔で運針させる。
すなわち、特殊駆動処理部430が起動されている場合、計時制御手段153では分周回路152からの基準クロックパルスに基づいた現時刻カウントが継続されるが、計時制御手段153から針位置記憶手段171へは5秒運針のパルスのみが出力されて運針カレンダ駆動制御手段172により時刻表示手段140の秒針が5秒運針される。
また、特殊駆動処理部430が起動されている場合には、受信部130での標準電波の受信は停止され、仮に自動受信時刻に至った場合であっても標準電波の受信は行われない。
【0041】
停止処理部440は、時刻表示手段140の駆動を総て停止させる。
すなわち、停止処理部440が起動されている場合、計時制御手段153では分周回路152からの基準クロックパルスに基づいた現時刻カウントが継続されるが、計時制御手段153から針位置記憶手段171に駆動信号が出力されず、時刻表示手段140の時針143、分針144、秒針145、および日車の駆動が停止される。
停止処理部440は、秒針145が45秒位置に至ったところで時針143、分針144、秒針145、日車の位置を停止させる。
【0042】
ここで、通常モード制御部410が起動されている状態を通常モードと称し、節電モード制御部420(特殊駆動処理部430、停止処理部440)が起動されている状態を節電モードと称する。
【0043】
また、節電モード制御部420には特殊駆動処理部430と停止処理部440とが設けられているところ、節電モード制御部420は、光発電手段110における発電の有無に基づいて節電モードの特殊駆動処理と停止処理とのいずれかを選択する。すなわち、節電モード制御部420は、発電検出回路270による発電検出の結果から光発電手段110での発電の有無を確認し、光発電手段110で発電が行われている場合には特殊駆動処理を選択し、光発電手段110で発電が行われていない場合には停止処理を選択する。
【0044】
動作モード判断部500は、蓄電手段120の蓄電電圧に基づいて通常モードと節電モードとの切替を判断する。
動作モード判断部500は、通常モードから節電モードへの移行を判断する第1モード移行判断部510と、節電モードから通常モードへの移行を判断する第2モード移行判断部520と、を備える。
【0045】
第1モード移行判断部510について説明する。
第1モード移行判断部510には、通常モードから節電モードへの移行を判断する電圧閾値である第1電圧基準値が設定されている。
第1モード移行判断部510は、通常モード制御部410による通常モードが実行されている状態において二次電池121の蓄電電圧をこの第1基準電圧値に比較し、通常モードから節電モードへの移行を判断する。
ここで、第1電圧基準値としては、二つの値が設定されており、指針が通常運針されている状態で通常モードから節電モードへの移行を判断するための通常基準値と、指針が早送り運針されている状態で通常モードから節電モードへの移行を判断するための早送り時基準値と、が設けられている。
【0046】
通常基準値としては1.15Vに設定されることが例として挙げられ、早送り時基準値としては1.20Vとして設定されることが例として挙げられ、少なくとも通常基準値よりも早送り時基準値の方が高い電圧値に設定される。
そして、通常基準値および早送り基準値は、ともに、計時制御手段153による現時刻カウントが所定時間(例えば24時間)維持されるだけの電力が蓄電手段120に確保されることを保証できる限りにおいて、可能な限り低い電圧値に設定される。このとき、蓄電手段120には計時制御手段153での現時刻カウントが継続できるだけの電力が残っていればよいのであって、節電モードから通常モードに移行して時刻表示を復帰させる際に指針143、144、145、日車を早送りするための電力を残している必要はない。
【0047】
第2モード移行判断部520について説明する。
第2モード移行判断部520には、節電モードから通常モードへの移行を判断する電圧閾値である第2電圧基準値が設定されている。
第2モード移行判断部520は、節電モード制御部420による節電モードが実行されている状態において二次電池121の蓄電電圧をこの第2基準電圧値に比較して節電モードから通常モードへの移行を判断する。
ここで、第2電圧基準値は、第1電圧基準値(通常基準値、早送り時基準値)よりも高い電圧値であって、節電モードから通常モードに移行する際に指針143、144、145、日車(更には曜日車、以下同)を早送りさせて時刻表示手段140に時刻表示復帰させることができるだけの十分な電力が蓄電されたことを保証できる程度の電圧値に設定され、例えば、1.25Vに設定されることが例として挙げられる。
【0048】
モード移行処理部600は、通常モードから節電モードへの移行処理および節電モードから通常モードへの移行処理を行う。例えば、節電モードから通常モードへの復帰に際しては、節電モードによる指針143、144、145、日車の停止または特殊駆動により指針(時針143、分針144、秒針145)の位置が現時刻と異なっているところ、計時制御手段153の内部時刻に指針143、144、145、日車の位置を合わせるように指針143、144、145、日車を早送りさせる。
【0049】
このような構成を備える電波修正時計100の動作について説明する。
ここで、本実施形態は電波修正時計であるところ、計時制御手段153で現時刻をカウントしつつカウントした現時刻を時刻表示手段140で表示し、自動受信時刻に到達するかあるいは外部操作による強制受信によって標準電波を受信して、受信した時刻情報に基づいて計時制御手段153でカウントする現時刻を修正する点については従来知られた電波修正時計に同様であるので、現時刻を時刻表示手段140に表示する工程や受信した時刻情報に基づいて計時制御手段153でカウントする現時刻を修正する工程などについては詳細な説明を省略する。
【0050】
図3のフローチャートを参照して通常モードから節電モードへ移行する場合の動作について説明する。
まず、通常モード制御部410により通常の時刻表示が行われ、第1モード移行判断部510により通常モードから節電モードへの移行が判断されている。
第1モード移行判断部510は、通常モードから節電モードへの移行を判断するにあたって、運針動作の確認を行う(ST100)。
この運針動作の確認(ST100)において、指針143、144、145、日車が早送りされていない場合(ST110:NO)、すなわち通常運針されている場合、次のステップである蓄電手段120の電圧確認では、第1電圧基準値として通常基準値が用いられる。
第1モード移行判断部510は、電圧検出回路250による電圧検出結果をサンプリングして(ST120)、蓄電手段120の蓄電電圧が通常基準値である1.15V以下である場合(ST130:YES)には、節電モードへの移行を判断する(ST140)。すると、通常モード制御部410の動作が停止されて、節電モード制御部420が起動され、節電モードが実行される。
【0051】
ST100における運針動作の確認において、指針143、144、145、日車が早送りされていた場合(ST110:YES)、ST200における蓄電電圧の確認においては早送り時基準値が用いられる。
そして、第1モード移行判断部510は、電圧検出回路250による電圧検出結果をサンプリングして(ST200)、蓄電手段120の蓄電電圧が早送り時基準値である1.20V以下である場合(ST210:YES)には、節電モードへの移行を判断する(ST140)。すると、通常モード制御部410の動作が停止されて、節電モード制御部420が起動され、節電モードが実行される。
【0052】
なお、蓄電電圧の確認(ST120、ST200)において、通常運針の場合(ST110;NO)に蓄電電圧が1.15V(通常基準値)以上であったり(ST130:NO)、早送り運針の場合(ST110:YES)に蓄電電圧が1.20V(早送り時基準値)以上である(ST210:NO)場合には、通常運針が継続される(ST150)。
【0053】
次に、図4を参照して節電モードに移行した後における節電モード中の動作、および、節電モードから通常モードへの移行について説明する。
節電モードへの移行によって節電モード制御部420が起動されると、節電モード制御部420が、発電検出回路270による発電検出の結果に応じて、停止モードと特殊駆動モードとを切り替えつつ節電モードを実行する。そして、第2モード移行判断部520が、電圧検出回路250による電圧検出結果をサンプリングして通常モードへの移行を判断する。
【0054】
まず、節電モードに移行されると、節電モード制御部420は、発電検出回路270による発電検出の結果をサンプリングして(ST300)、光発電手段110で発電されていない場合(ST310:NO)には、停止処理部440による停止処理を行う。具体的には、秒針145が45秒位置になったところで、時針143、分針144、秒針145および日車の駆動を停止させる。
また、節電モード制御部420が発電検出回路270による発電検出をサンプリングして(ST300)、光発電手段110で発電が行われていた場合(ST310:YES)、節電モード制御部420は、特殊駆動処理部430による特殊駆動処理を行う。具体的には、時針143、分針144および日車の駆動は停止させて、秒針145のみを5秒運針させる。
【0055】
節電モード中に光発電手段110で発電されており、特殊駆動モードが実行されている場合、続いて、第2モード移行判断部520が電圧検出回路250による電圧検出結果をサンプリングする(ST410)。
電圧検出回路250による電圧検出の結果、蓄電手段120の蓄電電圧が第2電圧基準値である1.25V以下である場合には(ST420:YES)、節電モードが維持され、発電の確認(ST300)を定期的に継続して、発電の有無(ST310)に応じて停止処理(ST320)と特殊駆動処理(ST400)とが切り替えて実行される。
【0056】
ST410における電圧検出の結果、蓄電手段120の蓄電電圧が1.25Vを超えた場合(ST420:NO)、第2モード移行判断部520は、節電モードを解除して通常モードへの復帰を判断する(ST430)。すると、通常モード制御部410が起動されて、通常の時刻表示が行われる。
なお、節電モードから通常モードへの復帰時(ST430)にはモード移行処理部600により特殊駆動されていた指針が現時刻表示になるまで早送り運針され、更に日車が現在日まで送られ現時刻表示への復帰がなされる。
【0057】
このような構成を備える第1実施形態によれば、次の効果を奏することができる。
【0058】
(1)通常モードから節電モードへのモード移行を判断するための電圧基準値として第1電圧基準値が設けられ、この第1電圧基準値(通常基準値、早送り基準値)としては計時制御手段153での現時刻カウントが所定時間維持される限りにおいてできる限り低い電圧値に設定されているので、節電モードに移行する頻度を減少させて通常の時刻表示を行う通常モードの継続時間を長くすることができる。その結果、ユーザーが時刻を知りたいときに節電モードで時刻表示が停止されているといった事態が少なくなり、ユーザーが時刻を知りたいときに即時に時刻を確認できるという利便性を向上させることができる。
【0059】
(2)節電モードから通常モードへの復帰を行う際には第1電圧基準値よりも高い電圧基準値(第2電圧基準値)で判断し、この第2電圧基準値は、節電モードから通常モードに移行する際に指針143、144、145及び日車を早送りさせて時刻表示手段140に時刻表示復帰させることができるだけの十分な電力が蓄電されたことを保証できる程度の電圧値に設定されているので、十分に時刻表示の復帰に必要な電力を蓄電してから通常モードへの復帰を行うことができる。その結果、節電モードから通常モードへの復帰時には確実に時刻表示手段140に現時刻の表示を行うことができる。すると、例えば、時刻表示の復帰の途中で電力不足による停止等の不都合が生じることがなく、改めてユーザーが時刻合わせ等の手間をかける必要がないので利便性を向上させることができる。
【0060】
(3)節電モード中であっても光発電手段110で発電が行われている場合には、特殊駆動処理により秒針145を5秒運針させるので、ユーザーに蓄電手段120の残余電力が少ないことを告知するとともに光発電手段110による発電を促すことができる。また、特殊駆動処理の運針により節電できると同時に通常モードと区別が簡単なので、このモードでは指針により現在時刻が表示されていないことが明白であってユーザーに現在時刻を誤認させることがない。節電モードで時刻表示が完全に停止されている状態でユーザーが何らかの操作を行っても反応が無い場合には、節電モードが継続されているのかあるいは故障しているのかユーザーには不明であるところ、節電モードであっても発電があった場合には特殊駆動処理によって発電が正常に行われていることを告知するので、ユーザーが安心して適切な対応を行うことができるという利便性を向上させることができる。
【0061】
(4)特殊駆動処理として秒針を5秒運針にするので、時針143、分針144の駆動は停止させ、かつ、秒針145のステップ数を減らすことで消費電力を低減して節電を図るとともにユーザーに発電の促進を告知することができる。
【0062】
(5)第1モード移行判断部510によって通常モードから節電モードへの移行を判断するにあたって、第1電圧基準値として通常基準値の他に早送り時基準値が設定され、指針143、144、145及び日車を早送りしている場合には、通常の指針運針をしている場合に比べて高めの電圧基準値(早送り時電圧基準値)によって節電モードへの移行を判断することができる。早送り運針時には通常運針時よりも高めの電圧基準値(早送り時基準値)を設定しているので、指針143、144、145及び日車が早送りされて電力が急激に消費されている場合でも、蓄電手段120に必要な電力を残した状態で節電モードに入ることができる。すると、節電モード中の計時機能を維持することができるので、通常モードへの復帰時に計時制御手段153の内部時刻を自動的に時刻表示手段140に表示することができる。その結果、通常モードへの復帰時にユーザーによる時刻合わせ等の手間を必要としないので、利便性を向上させることができる。
【0063】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
上記実施形態において、時刻表示手段としては指針143、144、145及び日車によって時刻を表示するアナログ式の時刻表示手段を例に説明したが、時刻表示手段をしてはディジタル式であってもよいことはもちろんである。
第1基準電圧値および第2基準電圧値の値は特に限定されないのはもちろんであり、計時制御手段153の現時刻カウントに必要な電力、蓄電手段120の容量、時刻表示の復帰時における指針の早送りに要する電力など、種々の条件に応じて適切に設定されればよい。また、第1電圧基準値として通常電圧値と早送り時基準値とが別に設けられている場合を例にして説明したが、第1電圧基準値としては一つの値だけが設定されていてもよい。
発電手段としては、光発電手段を例にして説明したが、回転錘を備えるものや熱差発電を行うものなど発電手段としては外部エネルギーによって発電するものであれば限定されない。
また、発電手段は、外部の商用電源のエネルギーによって誘起電流を生じる電磁コイルで構成されていてもよい。例えば、充電スタンドにセットした状態で充電する充電式時計であった場合、充電スタンド内に電磁コイルが配設され、充電式時計の発電手段として前記充電スタンドの電磁コイルとカップリングする電磁コイルが設けられていてもよい。
【0064】
特殊駆動処理としては、秒針145を5秒運針する場合を例にして説明したが、通常の現時刻表示の運針と異なっていれば特に限定されないのはもちろんである。例えば、節電モード中に発電が行われた場合には、特殊駆動として、指針を所定位置(例えば15秒位置)まで進めて停止させるようにしてもよい。あるいは、特殊駆動処理を行わず、節電モード中は停止処理を継続させてもよい。
【0065】
上記実施形態では、蓄電手段の蓄電電圧が第1電圧基準値以下となった際に通常モードから節電モードに移行する場合を例に説明したが、さらに、例えば第1電圧基準値以上では非発電時間を計測して、非発電時間が予め設定された所定値になったら節電モードに入るようにしてもよい。この時の節電モードでは非発電状態(光発電手段を用いた場合では暗い所にいる状態、使用者の運動により回転錘が回転して電磁発電を行う発電機や熱発電機を用いる場合では使用者が身に付けていないことから使用状態に無い状態、等)であり、使用者が時計を使用できる環境にない、あるいは使用していない状態のため総ての運針を停止させる。
また、上記実施形態のような電波修正時計において、上記非発電時間が所定値に達することによる節電モードに入った場合には自動受信時刻の到達によって電波の受信は行うこととし、その一方、蓄電電圧が第1電圧基準値以下になって節電モードに移行する際は、総ての受信動作を禁止するとしてもよい。そして、上記非発電時間が所定値に達することによる節電モードに入った場合、受信した時刻情報に基づいて内部カウンタの修正は行うが表示時刻の修正は行わないとしてもよい。なお、節電モードから通常モードに移行する点については、いずれの節電モードであっても、蓄電手段の蓄電手段が第2基準電圧値以上である場合に総ての運針を再開させて通常運針に戻せばよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、電子時計に利用でき、特に、発電手段を備えるとともに通常モードと節電モードとを切り替える節電機能付き電子時計に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる電波修正時計において、全体構成を示すブロック図。
【図2】前記第1実施形態において、動作制御部の構成を示すブロック図。
【図3】通常モードから節電モードへ移行する処理手順を示すフローチャート。
【図4】節電モードから通常モードへ移行する処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0068】
100…電波修正時計、110…光発電手段、120…蓄電手段、121…二次電池、122…コンデンサ、130…受信部、131…アンテナ、132…受信回路、133…デコード回路、134…受信時刻記憶手段、135…受信電源回路、136…受信制御手段、140…時刻表示手段、141…文字板、142…窓、143…時針、144…分針、145…秒針、150…基準信号生成部、151…発振回路、152…分周回路、153…計時制御手段、160…制御回路、170…運針制御回路、171…針位置記憶手段、172…運針カレンダ駆動制御手段、200…電源制御回路、210…逆流防止回路、220…リミッタ回路、230…即スタート回路、240…充電制御回路、250…電圧検出回路、260…逆流防止回路、260…充電検出回路、270…発電検出回路、300…動作制御部、400…動作モード制御部、410…通常モード制御部、420…節電モード制御部、430…特殊駆動処理部、440…停止処理部、500…動作モード判断部、510…第1モード移行判断部、520…第2モード移行判断部、600…モード移行処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部エネルギーにより発電する発電手段と、前記発電手段からの電力を蓄電する蓄電手段と、基準クロックに基づいて現時刻を計時する計時手段と、前記計時手段で計時される現時刻を表示する時刻表示手段と、前記蓄電手段の蓄電電圧を検出する蓄電電圧検出手段と、前記蓄電電圧検出手段による検出電圧値に基づいて前記時刻表示手段の動作状態を制御する動作制御部と、を備え、前記計時手段で計時される現時刻を前記時刻表示手段に表示させる通常モードと前記時刻表示手段の少なくとも一部を停止させる節電モードとを前記蓄電電圧検出手段による検出結果に基づいて切り替える電子時計において、
前記動作制御部は、前記通常モードから前記節電モードへの移行は所定の電圧基準値である第1電圧基準値に基づいて判断し、前記節電モードから前記通常モードへの移行は前記第1電圧基準値よりも高い電圧値に設定された第2電圧基準値に基づいて判断する
ことを特徴とする電子時計。
【請求項2】
請求項1に記載の電子時計において、
前記動作制御部は、
前記計時手段で計時される現時刻を前記時刻表示手段に表示させる通常モードを行う通常モード制御部、および、前記時刻表示手段の少なくとも一部を停止させる節電モードを行う節電モード制御部を有する動作モード制御部と、
前記通常モードから前記節電モードへの移行を判断する第1モード移行判断部、および、前記節電モードから前記通常モードへの移行を判断する第2モード移行判断部を有する動作モード判断部と、を備え、
前記第1モード移行判断部は、前記蓄電電圧検出手段による検出電圧が前記第1電圧基準値を超える場合は通常モード処理を維持し、前記蓄電電圧検出手段による検出電圧が前記第1電圧基準値以下である場合は前記節電モード処理への移行を判断し、
前記第2モード移行判断部は、前記蓄電電圧検出手段による検出電圧が前記第2電圧基準値以下である場合は前記節電モードを維持し、前記蓄電電圧検出手段による検出電圧が前記第2電圧基準値を超える場合は前記通常モード処理への移行を判断する
ことを特徴とする電子時計。
【請求項3】
請求項2に記載の電子時計において、
前記発電手段の発電状態を検出する発電検出手段を備え、
前記節電モード制御部は、前記時刻表示手段の一部を駆動させる一部駆動処理部と、前記時刻表示手段の動作を停止させる停止処理を行う停止処理部と、を備え、
前記節電モード制御部は、前記発電検出手段で発電状態が検出される場合は前記一部駆動処理を選択し、前記発電検出手段で発電状態が検出されない場合は前記停止処理を選択する
ことを特徴とする電子時計。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の電子時計において、
前記時刻表示手段は、文字板上で回動して現時刻を示す指針を有し、
前記第1電圧基準値として、前記指針が通常運針されている場合の電圧閾値である通常基準値と、前記指針が早送り運針されている場合の電圧閾値である早送り時基準値と、が設定され、
前記早送り時基準値は前記通常基準値よりも高い電圧値に設定されている
ことを特徴とする電子時計。
【請求項5】
外部エネルギーにより発電する発電手段と、前記発電手段からの電力を蓄電する蓄電手段と、基準クロックに基づいて現時刻を計時する計時手段と、前記計時手段で計時される現時刻を表示する時刻表示手段と、を備えた電子時計の制御方法であって、
前記蓄電手段の蓄電電圧を検出する蓄電電圧検出工程と、前記蓄電電圧検出工程による検出電圧値に基づいて前記時刻表示手段の動作状態を制御する動作制御工程と、を備え、
前記動作制御工程は、
前記計時手段で計時される現時刻を前記時刻表示手段に表示させる通常モードを行う通常モード制御工程、および、前記時刻表示手段の少なくとも一部を停止させる節電モードを行う節電モード制御工程を有する動作モード制御工程と、
前記通常モードから前記節電モードへの移行を判断する第1モード移行判断工程、および、前記節電モードから前記通常モードへの移行を判断する第2モード移行判断工程を有する動作モード判断工程と、を備え、
予め所定の電圧閾値として第1電圧基準値が設定されており、前記第1モード移行判断工程では、前記蓄電電圧検出工程による検出電圧が前記第1電圧基準値を超える場合は通常モード処理を維持し、前記蓄電電圧検出工程による検出電圧が前記第1電圧基準値以下である場合は前記節電モード処理への移行を判断し、
前記第1電圧基準値よりも高い電圧値である第2電圧基準値が設定され、第2モード移行判断工程では、前記蓄電電圧検出工程による検出電圧が前記第2電圧基準値以下である場合は前記節電モードを維持し、前記蓄電電圧検出工程による検出電圧が前記第2電圧基準値を超える場合は前記通常モード処理への移行を判断する
ことを特徴とする電子時計の制御方法。
【請求項6】
外部エネルギーにより発電する発電手段と、前記発電手段からの電力を蓄電する蓄電手段と、基準クロックに基づいて現時刻を計時する計時手段と、前記計時手段で計時される現時刻を表示する時刻表示手段と、前記蓄電手段の蓄電電圧を検出する蓄電電圧検出手段と、を備える電子時計にコンピュータを組み込んで、このコンピュータを、
前記蓄電電圧検出手段による検出電圧値に基づいて前記時刻表示手段の動作状態を制御する動作制御部として機能させる制御プログラムであって、
前記動作制御部は、
前記計時手段で計時される現時刻を前記時刻表示手段に表示させる通常モードを行う通常モード制御部、および、前記時刻表示手段の少なくとも一部を停止させる節電モードを行う節電モード制御部を有する動作モード制御部と、
前記通常モードから前記節電モードへの移行を判断する第1モード移行判断部、および、前記節電モードから前記通常モードへの移行を判断する第2モード移行判断部を有する動作モード判断部と、を備え、
前記第1モード移行判断部には、予め所定の電圧閾値として第1電圧基準値が設定されており、前記第1モード移行判断部は、前記蓄電電圧検出手段による検出電圧が第1電圧基準値を超える場合は通常モード処理を維持し、前記蓄電電圧検出手段による検出電圧が前記第1電圧基準値以下である場合は前記節電モード処理への移行を判断し、
前記第2モード移行判断部には前記第1電圧基準値よりも高い電圧値である第2電圧基準値が設定され、前記第2モード移行判断部は、前記蓄電電圧検出手段による検出電圧が前記第2電圧基準値以下である場合は前記節電モードを維持し、前記蓄電電圧検出手段による検出電圧が前記第2電圧基準値を超える場合は前記通常モード処理への移行を判断する
ことを特徴とする電子時計の制御プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の電子時計の制御プログラムを記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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