説明

電子時計

【課題】周囲光の有無の他に使用状況をも考慮して節電を行うことで、使い勝手を低下させることなく有効に節電を行うことができる電子時計を提供する。
【解決手段】操作手段(26)と傾斜センサ(25)とソーラーセル(31)とを備えた電子時計において、特定の時間帯において、操作手段(26)からの入力が無く、且つ、変動傾斜センサ(25)からの入力の変化が無く、且つ、ソーラーセル(31)からの出力が無い状態が所定時間継続すると節電状態へ移行し、操作手段(26)からの入力が有った場合、または、傾斜センサ(25)からの入力の変化が有り、且つ、ソーラーセル(31)からの出力が有った場合に節電状態を解除するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、周囲の状況に応じて自動的に節電モードに入ったり解除したりする電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
電池で動作する電子時計は、ユーザーが使用していない状況下では内部の計時回路さえ動作していれば良く、表示などの動作を省略することで消費電力を低減し電池寿命を延ばすことができる。そこで、従来、周囲の光を検出するセンサや姿勢の変化を検出するセンサ等を設けて、ユーザーが時計を使用していないと予想される状況が発生すると、自動的に節電モードに入ったり解除したりする節電機能付き電子時計に関する発明が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載されている発明は、電波時計において、光センサを備え、所定期間スイッチが操作されずかつ光センサが周囲光を検出していない場合に在庫状態と判断して、LCD表示を消すとともに電波受信を行なわないパワーセーブモードを設けるようにしたものである。
【特許文献1】特開平7−159555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光センサを備え周囲光の有無によって節電モードの要否を判断するように構成した電子時計においては、カーテンの閉まっている薄暗い無人の部屋に放置され未使用の状態にあったとしても、カーテン越しに入り込む僅かな光を検出して節電モードを解除してしまい充分な節電効果が得られないことがある。特に、太陽電池(ソーラーセル)を電源とするいわゆるソーラー時計にあっては、薄暗い部屋に放置された状態では充分な発電電力が得られため、二次電池が充電されず電力不足になって計時動作が停止してしまうのを回避するため、早めに節電モードに入るように設定するのが望ましい。
【0005】
しかしながら、そのように設定すると、ユーザーが時計の表示を視認できる範囲の薄暗さでも節電モードに入ってしまい、時刻を確認したくてもできないという不便な事態が頻繁に発生し、使い勝手が低下するおそれがある。また、節電モードを解除する際にも、単に周囲が明るくなったことで解除すると時計を携帯せず放置しているような場合にも時計表示を行う通常の動作モードに復帰して消費電力が増加して充分な節電効果が得られなくなることがある。
【0006】
この発明の目的は、周囲光の有無の他に使用状況をも考慮して節電を行うことで、使い勝手を低下させることなく有効に節電を行うことができ、電池の消耗を極力抑えることができる電子時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明に係る電子時計は、
発振手段と、電波受信手段と、操作手段と、本体の変動を検出する変動検出手段と、発電手段と、を備え、
特定の時間帯において、前記操作手段からの入力が無く、且つ、前記変動検出手段からの入力が無く、且つ、前記発電手段による出力が無い状態が所定時間継続すると消費電力の少ない第1節電状態へ移行させる節電開始手段と、
前記操作手段からの入力が有った場合、または、前記変動検出手段からの入力が有り、且つ、前記発電手段による出力が有った場合に、前記第1節電状態を解除する節電解除手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電子時計において、
前記節電開始手段は、前記第1節電状態に移行した後、前記操作手段からの入力が無く、且つ、前記変動検出手段からの入力が無い状態、または、前記操作手段からの入力が無く、且つ、前記発電手段による出力が無い状態が所定時間継続すると前記第1節電状態よりも消費電力の少ない第2節電状態へ移行させ、
前記節電解除手段は、前記操作手段からの入力が有った場合、または、前記変動検出手段からの入力が有り、且つ、前記発電手段による出力が有った場合に、前記第2節電状態を解除することを特徴としている。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の電子時計において、
前記第1節電状態においては、時計表示を行う指針のうち少なくとも秒針の運針を停止し、前記第2節電状態においては時計表示を行うすべての指針の運針を停止することを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項2に記載の電子時計において、
表示装置を備え、前記第1節電状態および第2節電状態においては、前記表示装置に節電状態にあることを示す表示を行い、該表示以外の表示および電波受信手段の受信動作を停止することを特徴としている。
【0011】
請求項5記載の発明に係る電子時計は、
光検出手段と、本体の変動を検出する変動検出手段と、外部から操作可能な操作手段と、前記光検出手段、前記変動検出手段、前記操作手段からの入力の有無に応じて電力消費状態を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
特定の時間帯に前記光検出手段からの入力、前記変動検出手段からの入力および前記操作手段からの入力が無い状態が所定時間以上継続した場合に、通常動作状態よりも消費電力の少ない第1節電状態へ移行し、
前記第1節電状態において、さらに所定時間以上にわたって前記変動検出手段からの入力および前記操作手段からの入力が無い状態、または前記光検出手段からの入力および前記操作手段からの入力が無い状態が継続した場合に、前記第1節電状態よりも消費電力の少ない第2節電状態へ移行することを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項5に記載の電子時計において、
前記制御手段は、
前記第1節電状態において、前記操作手段からの入力があった場合または前記光検出手段からの入力および前記変動検出手段からの入力があった場合に、前記第1節電状態を解除することを特徴としている。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項5または6に記載の電子時計において、
前記制御手段は、
前記第2節電状態において、前記操作手段からの入力があった場合または前記光検出手段からの入力および前記変動検出手段からの入力があった場合に、前記第2節電状態を解除することを特徴としている。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項5〜7のいずれかに記載の電子時計において、
光エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーセルを備え、前記光検出手段は、前記ソーラーセルが発電しているか否かを検出する判別回路により構成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項9記載の発明は、請求項5〜8のいずれかに記載の電子時計において、
自動巻き発電装置を備え、前記変動検出手段は、前記自動巻き発電装置が発電しているか否かを検出する判別回路により構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、周囲光の有無の他に使用状況をも判断して節電を行うことで、使い勝手を低下させることなく有効に節電を行うことができ、電池の消耗を極力抑えられる電子時計を実現することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明を一例として、太陽電池(ソーラーセル)を備えた指針式のソーラー電波時計に適用した場合の制御システムの第1の実施形態を示すブロック図である。
【0019】
本実施形態の制御システムは、秒針や時分針の回転駆動を行うステッピングモータなどのモータ11と、該モータ11の駆動制御を行うモータ制御回路12、液晶パネルなどの表示装置13、該表示装置13の表示制御を行う表示制御回路14、アンテナ15を介して時刻情報を含む無線信号(時刻標準電波)を受信して処理する電波受信制御回路16、スピーカなどの報音装置17を駆動してアラーム音を発生させるアラーム制御回路18、CPU(中央演算処理装置)を内蔵し装置の全体的な制御を行うマイクロコンピュータ(マイクロプロセッサを含む)20が設けられている。マイクロコンピュータ20は、CPUの他に該CPUが実行する制御プログラムや制御データを格納したROM(Read Only Memory)、CPUに作業用のメモリ空間を提供するRAM(Random Access Memory)を内蔵する。ROMとRAMは外付けのIC(半導体集積回路)であっても良い。
【0020】
さらに、本実施形態の制御システムには、時刻を計時するためのクロック信号を形成する発振回路21と分周回路22、分周回路22からのクロック信号に基づいて計時を行う計時回路23、ソーラーセル31の発電電力により二次電池33を充電するソーラー充電回路32などからなる電源部30、ソーラーセル31の出力に基づいて周囲の明るさを判別する光判別回路24、本体の変動(傾動や移動など)を検出する傾斜センサ25、本体ケーシングの外壁に設けられた操作キーなどの操作手段26、上記傾斜センサ25や操作手段26からの入力状態を検出して対応する信号を上記マイクロコンピュータ20へ入力する入力検出回路27等が設けられている。ソーラーセルのような発電手段を備えた時計においては、光判別回路24がソーラーセル31の出力に基づいて周囲の明るさを判別するように構成することで、光センサを別途設ける必要をなくし、コストアップを抑えることができる。
【0021】
計時回路23には、日付や時刻を計時する時刻カウンタが設けられ、この時刻カウンタが分周回路22からのクロックによりカウントアップされて現在日時の計時が行われていく。電波受信制御回路16により受信した標準電波に含まれる時刻情報の値と計時回路23内の時刻カウンタの値とが一致していない場合にはカウンタの値を修正するようになっている。また、計時回路23には、時刻カウンタとは別に針位置カウンタが設けられ、モータ11を作動させる度に、マイクロコンピュータ20によってこの針位置カウンタの値がカウントアップされて、3つの針位置とその値とを同期させて、正確な現在時刻がアナログ時計の指針により示されるようになっている。
【0022】
次に、図1の制御システムにおいて、マイクロコンピュータ20によって実行されるモード制御について説明する。本実施形態の電子時計は、該時計に備わる大部分の機能が有効になる通常動作モードと、該通常動作モードよりも消費電力の少ない第1節電モードと、該第1節電モードよりもさらに消費電力の少ない第2節電モードとを備え、これらのモード間のシフトが前記操作手段26からの入力、傾斜センサ25からの入力、光判別回路24からの入力と、マイクロコンピュータ20が有する特定時間帯情報およびタイマ機能に基づく時間判定などによって制御されるようになっている。
【0023】
なお、特に限定されるものではないが、上記第1節電モードでは、例えばモータ制御回路12によるモータ11の駆動および表示制御回路14による液晶表示装置13の駆動が一部停止される。第2節電モードでは、例えば上記モータ11および液晶表示装置13の駆動停止に加え電波受信制御回路16による時刻標準電波の受信、アラーム制御回路18による報音装置17の駆動が停止される。また、時間判定とは、例えばPM10:00〜AM6:00のような特定時間帯で例えば30分〜1時間のような所定時間の間ずっと同一の事象が継続しているか判定することである。
【0024】
次に、上記マイクロコンピュータ20によるモードシフト制御を、図2を用いて説明する。なお、図2において、各入力を示す左側のブロックから右方向へ延びる水平線と、状態を示すブロックから下方へ延びる垂直線との交点に示されている×印は条件の不成立を、また○印は条件の成立を意味している。
【0025】
図2に示すように、“キー入力無し”、“傾斜センサの入力無し”、“周囲光無し”、さらに“時間判定の成立”という4つの条件が所定時間(CT1)継続すると通常動作モードから第1節電モードへ移行する。そして、“キー入力有り”、または、“傾斜センサの入力有り”かつ“周囲光有り”、の条件が成立すると第1節電モードが解除され、通常動作モードへ復帰する。また、“キー入力無し”かつ“傾斜センサの入力無し”という条件、または“キー入力無し”かつ“周囲光無し”という条件が所定時間(CT2)継続すると第2節電モードへ移行する。そして、“キー入力有り”、または、“傾斜センサの入力有り”かつ“周囲光有り”、の条件が成立すると第2節電モードが解除され、通常動作モードへ復帰する。
【0026】
なお、第2節電モードへ移行する際の所定時間CT2は、第1節電モードへ移行する際の所定時間CT1よりも長い時間(例えば数日)に設定される。上記のように、“キー入力有り”のみ条件で節電モードを解除するように制御することによって、薄暗い部屋の中に長時間放置されて節電モードに入っている場合にも、ユーザーがいずれかのキーを操作することで時計表示を再開させることができるようになる。
【0027】
また、“傾斜センサの入力有り”かつ“周囲光有り”の論理積(AND)条件成立で節電モードを解除するように制御することにより、“傾斜センサの入力有り”のみで節電モードを解除すると、例えば机の引き出しなどに時計がしまわれている場合に、引き出しの移動に反応して節電モードが解除されてしまうのを回避することができる。また、例えば就寝前に机等の家具の上に放置されることで夜間に節電モードになった場合に、翌日時計を携帯せずに外出するような状況を想定すると、本来、節電モードのままで良いにもかかわらず朝方光が当たっただけで節電モードが解除されてしまうのを回避することができる。なお、本実施形態においては、傾斜センサの代わりに加速度センサを使用する変形例も考えられる。
【0028】
次に、図2に示されているような節電モードへの移行と解除を可能にするためのマイクロコンピュータ10による制御を、図3のフローチャートを用いてより具体的に説明する。
【0029】
処理が開始されると、マイクロコンピュータ20は、先ず計時回路23からの信号に基づいて計時処理を行う(ステップS1)。続いて、タイマカウンタの加算、さらに電波受信、アラーム、表示などの各種処理を実行する(ステップS2,S3)。上記タイマカウンタには、第1節電モード用のタイマカウンタ1と第2節電モード用のタイマカウンタ2がある。その後、操作手段26からの入力の判定、傾斜センサ25からの入力の判定、光判別回路24からの判定を行う(ステップS4,S5,S6)。次に、内部のモードフラグを参照して現在のモードが、通常動作モード、第1節電モード、第2節電モードのいずれのモードであるか判定し、判定結果に応じてその後の処理が分岐する(ステップS7)。
【0030】
ステップS7での判定の結果、現在モードが“通常動作モード”であった場合は、ステップS8へ移行して、“キー入力無し”、“傾斜センサの入力無し”、“周囲光無し”の条件が成立しているか判定する。ここで、YES(肯定)と判定された場合には、ステップS9へ進んで現在時刻が予め定められた所定時刻T1よりも後で所定時刻T2よりも前であるか否かを判定する。
【0031】
現在時刻がT1〜T2(例えばPM10:00〜AM6:00)の間であったときは、タイマカウンタ1の値を参照して上記条件が成立してからの継続時間が所定時間CT1(例えば30分〜1時間)よりも長いか否か判定する(ステップS10)。そして、判定の結果、継続時間が所定時間CT1よりも長いときは次のステップS11でモードフラグを“第1節電モード”に設定して、第1節電モードへシフトする。また、タイマカウンタ1をクリアしてスタートへ戻る(ステップS12)。
【0032】
一方、ステップS9での判定がNO(否定)の場合には、直ちにステップS1へ戻って上記処理を繰り返す。また、ステップS10での判定がNO(否定)の場合には、ステップS13へ移行してタイマカウンタ1をクリアし、モードフラグを“通常動作モード”に設定し、さらに時計表示を現在時刻に直してからスタートへ戻る(ステップS14,S15)。
【0033】
ステップS7での判定の結果、現在のモードが“第1節電モード”であった場合は、ステップS16へ移行して、“キー入力有り”、または“傾斜センサの入力有り”、“周囲光有り”の条件が成立しているか判定する。ここで、YES(肯定)と判定された場合には、ステップS13へジャンプしてタイマカウンタをクリアし、第1節電モードを解除する。この場合のタイマカウンタはタイマカウンタ1である。
【0034】
一方、ステップS16で“NO”のときはタイマカウンタ2の値を参照して上記条件が成立してからの継続時間が所定時間CT2(例えば数日)よりも長いか否か判定する(ステップS17)。そして、判定の結果、継続時間が所定時間CT2よりも長いときは次のステップS18でモードフラグを“第2節電モード”に設定して、第2節電モードへシフトする。また、次のステップS19でタイマカウンタ2をクリアしてからステップS12へジャンプしてタイマカウンタ1をクリアしスタートへ戻る。
【0035】
ステップS7での判定の結果、現在のモードが“第2節電モード”であった場合は、ステップS20へ移行して、“キー入力有り”、または“傾斜センサの入力有り”、“周囲光有り”の条件が成立しているか判定する。ここで、YES(肯定)と判定された場合には、ステップS13へジャンプしてタイマカウンタをクリアし、第2節電モードを解除する。この場合のタイマカウンタはタイマカウンタ2である。一方、ステップS20でNO(否定)の場合には何もせずにステップS1へ戻る。
【0036】
次に、図3のステップS3で行なわれる各種処理の具体的内容を図4のフローチャートを用いて説明する。ここで行なわれる各種処理は、そのとき設定されているモードに応じて内容が異なる。
【0037】
そこで、最初のステップS21で、内部のモードフラグを参照して現在のモードが、通常動作モード、第1節電モード、第2節電モードのいずれのモードであるか判定し、判定結果に応じてその後の処理が分岐する。
【0038】
ステップS21での判定の結果、現在モードが“通常動作モード”であった場合は、ステップS22へ移行して、電波受信処理、アラーム処理、指針駆動(運針)による運針処理、液晶表示装置による表示処理を行う(ステップS22〜S25)。
【0039】
ステップS21での判定の結果、現在のモードが“第1節電モード”であった場合は、ステップS26へ移行して、電波受信処理とアラーム処理を行い、運針処理では秒針のみ運針を停止し分針と時針は駆動して時刻表示を行い、液晶表示装置による表示処理では、節電モードであることを知らせるため“SLEEP”の表示のみを行う(ステップS26〜S29)。指針式の電子時計では、秒針の運針による消費電力の割合が比較的高いので、秒針の運針を停止することでかなりの消費電力の低減が可能となる。また、液晶表示装置では、“SLEEP”の表示のみを行うことにより消費電力を減らすとともに、ユーザーには機器が故障しているのではないことを容易に知らしめることができる。
【0040】
ステップS21での判定の結果、現在のモードが“第2節電モード”であった場合は、ステップS30へ移行して、電波受信処理、アラーム処理、および運針処理を実行せず、液晶表示装置により節電モードであることを知らせるため“SLEEP”の表示のみを行う(ステップS30〜S33)。これにより、“第2節電モード”では“第1節電モード”よりもさらに消費電力が低減されるようになる。
【0041】
以上のように本発明の第1の実施形態によれば、ソーラーセル31の出力に基づいて周囲の明るさを判別する(周囲光の有無)だけでなく、他にも傾斜センサ25の入力検出により本体の変動(傾動や移動など)を検出するといったように、複数の条件の成立を判定することで、使用状況をも判断して節電モードに移行することができ、使い勝手を低下させることなく、確実にしかも有効な節電を行うことができる。また、同様に節電モードを解除する際も複数の条件の成立を判定することで、使用状況をも判断して、より確実に有効な節電を行うことができる。確実に有効な節電を行えるので、二次電池の23の消耗を極力抑えることができる。
【0042】
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態は、太陽電池(ソーラーセル)と自動巻き発電装置を備えた指針式のソーラー電波時計に適用したもので、図5にその制御システムのブロック図を示す。図1の実施形態のシステムとの違いは、自動巻き発電装置28および該自動巻き発電装置28による発電が行なわれているか否か判別する発電判別回路29とソーラーセル31の発電電力と自動巻き発電装置28の発電電力により二次電池33を充電する充電回路34を備えている点にある。第1の実施形態では傾斜センサが本体の変動検出手段として機能するのに対し、本実施形態では発電判別回路29が本体の変動検出手段として機能する。また、第2の実施形態における発電装置はソーラーセル31と自動巻き発電装置28である。
【0043】
本実施形態における自動巻き発電装置28は、時計本体が傾斜されたり振られたりしたときに内部にある重錘が回転し、その運動エネルギーを電気エネルギーに変換して二次電池を充電する機能を有するものである。ソーラーセル31の発電電力と合わせて二次電池33を充電することが可能である。自動巻き発電装置28が発電しているということは、ユーザーが本体を持っている可能性が高いので、傾斜センサを設けることなく使用中であることを検出することができる。そこで、この実施形態では、傾斜センサを省略している。本実施形態を適用する場合、図2の説明図で、傾斜センサ入力の代わりに発電判別回路の入力を使用すれば良く、それ以外は第1の実施形態と同様の構成で実現することができる。なお、本実施形態のように自動巻き発電装置28を設ける場合には、図5においてソーラーセル31を省略した形態も可能である。そして、その場合には、光検出手段として光センサを設ければよい。
【0044】
以上のように本発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態の傾斜センサ25に代えて、発電が行なわれているか否か判別する発電判別回路29とすることで、同様にソーラーセル31の出力に基づいて周囲の明るさを判別する(周囲光の有無)だけでなく、他にも発電判別回路29の判別により本体の変動(傾動や移動など)を検出するといったように、複数の条件の成立を判定することで、使用状況をも判断して節電モードに移行することができ、使い勝手を低下させることなく、確実にしかも有効な節電を行うことができる。また、同様に節電モードを解除する際も複数の条件の成立を判定することで、使用状況をも判断して、より確実に有効な節電を行うことができる。確実に有効な節電を行えるので、二次電池の23の消耗を極力抑えることができる。さらに、ソーラーセル31と自動巻き発電装置28により発電が行われるので、より有効な発電ができ、二次電池の23への充電性能も向上する。
【0045】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば前記実施形態では、太陽電池(ソーラーセル)を使用した指針式のソーラー電波時計に適用した場合を説明したが、一次電池を電源とする電子時計はもちろんのこと、時刻表示を指針で行なう代わりに時計表示は液晶表示装置などの表示装置で数字によるデジタル表示を行う電子時計、電波受信装置を持たない電子時計などにも適用することができる。
【0046】
さらに、本発明は、腕時計型の電子時計に適用すると効果的であるが、腕時計型に限らず、据え置き型の電子時計にも適用することができる。また、自動巻き機能を備える場合、重錘の回転で発電するのではなく、回転する重錘でバネ(ぜんまい)巻き上げてエネルギーを蓄積し運針はバネの復元力で行い、回路の制御は電池のエネルギーで行う方式の時計にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を、一例として、太陽電池を備えた指針式のソーラー電波時計に適用した場合の制御システムの第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】マイクロコンピュータによるモードシフト制御の条件とモードシフトの様子を表わした説明図である。
【図3】実施形態の指針式電子時計の制御システムにおける処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】図3のフローチャートの中の各種処理の具体的な内容を示すフローチャートである。
【図5】本発明を、太陽電池と自動巻き発電装置を備えた指針式のソーラー電波時計に適用した場合の制御システムの第2の実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
11 モータ
12 モータ制御回路
13 表示装置
14 表示制御回路
15 アンテナ
16 電波受信制御回路
17 報音装置
18 アラーム制御回路
20 マイクロコンピュータ
21 発振回路
22 分周回路
23 計時回路
24 光判別回路
25 傾斜センサ
26 操作手段
27 入力検出回路
28 自動巻き発電装置
29 発電判別回路
30 電源部
31 ソーラーセル
32 ソーラー充電回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振手段と、電波受信手段と、操作手段と、本体の変動を検出する変動検出手段と、発電手段と、を備え、
特定の時間帯において、前記操作手段からの入力が無く、且つ、前記変動検出手段からの入力が無く、且つ、前記発電手段による出力が無い状態が所定時間継続すると消費電力の少ない第1節電状態へ移行させる節電開始手段と、
前記操作手段からの入力が有った場合、または、前記変動検出手段からの入力が有り、且つ、前記発電手段による出力が有った場合に、前記第1節電状態を解除する節電解除手段と、を備えることを特徴とする電子時計。
【請求項2】
前記節電開始手段は、前記第1節電状態に移行した後、前記操作手段からの入力が無く、且つ、前記変動検出手段からの入力が無い状態、または、前記操作手段からの入力が無く、且つ、前記発電手段による出力が無い状態が所定時間継続すると前記第1節電状態よりも消費電力の少ない第2節電状態へ移行させ、
前記節電解除手段は、前記操作手段からの入力が有った場合、または、前記変動検出手段からの入力が有り、且つ、前記発電手段による出力が有った場合に、前記第2節電状態を解除することを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
前記第1節電状態においては、時計表示を行う指針のうち少なくとも秒針の運針を停止し、前記第2節電状態においては時計表示を行うすべての指針の運針を停止することを特徴とする請求項2に記載の電子時計。
【請求項4】
表示装置を備え、前記第1節電状態および第2節電状態においては、前記表示装置に節電状態にあることを示す表示を行い、該表示以外の表示および電波受信手段の受信動作を停止することを特徴とする請求項2に記載の電子時計。
【請求項5】
光検出手段と、本体の変動を検出する変動検出手段と、外部から操作可能な操作手段と、前記光検出手段、前記変動検出手段、前記操作手段からの入力の有無に応じて電力消費状態を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
特定の時間帯に前記光検出手段からの入力、前記変動検出手段からの入力および前記操作手段からの入力が無い状態が所定時間以上継続した場合に、通常動作状態よりも消費電力の少ない第1節電状態へ移行し、
前記第1節電状態において、さらに所定時間以上にわたって前記変動検出手段からの入力および前記操作手段からの入力が無い状態、または前記光検出手段からの入力および前記操作手段からの入力が無い状態が継続した場合に、前記第1節電状態よりも消費電力の少ない第2節電状態へ移行することを特徴とする電子時計。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記第1節電状態において、前記操作手段からの入力があった場合または前記光検出手段からの入力および前記変動検出手段からの入力があった場合に、前記第1節電状態を解除することを特徴とする請求項5に記載の電子時計。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記第2節電状態において、前記操作手段からの入力があった場合または前記光検出手段からの入力および前記変動検出手段からの入力があった場合に、前記第2節電状態を解除することを特徴とする請求項5または6に記載の電子時計。
【請求項8】
光エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーセルを備え、前記光検出手段は、前記ソーラーセルが発電しているか否かを検出する判別回路により構成されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の電子時計。
【請求項9】
自動巻き発電装置を備え、前記変動検出手段は、前記自動巻き発電装置が発電しているか否かを検出する判別回路により構成されていることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の電子時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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