説明

電子時計

【課題】メモリ性の表示手段を有する電子時計において、表示を停止している理由がわかり、利用者が故障でないことを確認できる電子時計を提供すること。
【解決手段】電子時計1は、EPD表示装置3と、太陽電池20と、太陽電池20の発電状態を検出する発電検出回路21と、発電検出回路21で発電状態を検出できない非発電継続時間を測定するタイマー22と、EPD表示装置3を制御する表示制御回路14とを備える。表示制御回路14は、タイマー22で測定された非発電継続時間が予め設定された設定時間を超えた場合に、EPD表示装置3にパワーセーブ中であることを表示し、表示のリフレッシュ動作間隔を長くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、EPD(Electrophoretic Display=電気泳動ディスプレイ)等のメモリ性(不
揮発性)を有する表示パネルが開発され、このメモリ性表示パネルに時刻を表示する時刻表示装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
前記特許文献1の時刻表示装置では、メモリ性表示パネルに時刻を表示する場合、電池電圧が低下しても時刻表示が保持されるが、その表示を更新できないために、時計を視認した際に誤った時刻を把握してしまうという問題を解決するため、電池電圧が低下した際に時刻表示を非表示にしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−40888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電池電圧が低下した場合に時刻表示を非表示にすると、利用者はなぜ時刻が表示していないかを容易に把握することができず、時計が故障していると誤解する場合があるという問題があった。
また、デジタルクオーツ時計(DQ)、コンビネーション時計(CQ)といったデジタル表示手段が設けられている場合、電池電圧の低下以外の理由で表示パネルの更新を停止する場合があり、このような複数の理由で時刻表示を非表示にした場合、利用者はどの理由で時刻を非表示にしているのかがわからず、利用者が適切な対応ができないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、メモリ性の表示手段を有する電子時計において、表示を停止している理由がわかり、利用者が故障でないことを確認できる電子時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子時計は、メモリ性の表示手段と、前記表示手段を制御する制御手段とを備える電子時計であって、前記制御手段は、電子時計の状態が予め設定された条件に該当する場合には、前記表示手段の表示モードを、通常表示モードから更新停止モードに切り替えて制御するとともに、前記更新停止モード時には前記表示手段に更新停止モードに移行した理由を表示し、前記表示手段の表示モードが更新停止モードである場合には、前記表示手段の表示のリフレッシュ動作間隔を、通常表示モード時に比べて長くすることを特徴とする。
【0008】
本発明の電子時計において、時計の状態、例えば、発電状態、電源電圧状態、温度状態が所定の条件に該当する場合には、前記制御手段は、メモリ性の表示手段の表示モードを通常表示モードから更新停止モードに切り替える。
そして、制御手段は、更新停止モードに移行した場合に、前記表示手段にその移行した理由を表示する。表示手段はメモリ性を有しているので、電力供給を行わなくても表示停止の理由を表示し続けることができる。このため、表示停止の理由を表示し続けていても電力を消費することなく、利用者に対して電子時計の状態を知らせることができる。従って、利用者は、時計が故障して停止しているのではないことを容易に理解でき、かつ、表示停止の理由を解消するための適切な対応を行うことができる。
この適切な対応の結果、前記更新停止モードに移行する条件が解消した場合には、制御手段は通常表示モードに戻し、表示手段には通常の表示、例えば時刻表示等を行う。
【0009】
また、本発明において、前記制御手段は、前記表示手段の表示モードが更新停止モードである場合には、前記表示手段の表示のリフレッシュ動作間隔を、通常表示モード時に比べて長くしている。
更新停止モード時に、表示手段の表示のリフレッシュ動作間隔を通常表示モードに比べて長くすれば、通常表示モードに比べて電力消費を低減できる。すなわち、通常表示モード時に例えば1時間間隔でリフレッシュ動作を行っていた場合に、更新停止モード時には24時間間隔でリフレッシュ動作を行えば、表示手段の駆動回数を大幅に低減でき、電力消費も低減できる。
【0010】
本発明において、前記電子時計は、発電手段と、前記発電手段の発電状態を検出する発電検出手段と、前記発電検出手段で発電状態を検出できない非発電継続時間を測定する非発電継続時間測定手段とを備え、前記制御手段は、前記非発電継続時間測定手段で測定された非発電継続時間が予め設定された設定時間以上となってパワーセーブモードに移行した場合に、前記表示手段の表示モードを、通常表示モードから更新停止モードに切り替えて制御し、かつ、前記表示手段にはパワーセーブ中であることを表示することが好ましい。
【0011】
本発明では、更新停止モードに切り替える条件として、発電検出手段で発電状態を検出できない期間、つまり非発電継続時間が設定時間(例えば24時間)以上であるか否かを判断する条件が設定されている。そして、電子時計がその条件に該当する場合に、前記制御手段は、電子時計をパワーセーブモードに移行し、表示手段の表示モードも更新停止モードに切り替える。
この際、制御手段は、メモリ性の表示手段にパワーセーブ中であることを表示する。表示手段はメモリ性を有しているので、電力供給を行わなくてもパワーセーブ中であることを表示し続けることができる。このため、長時間発電がされずに電源電圧が低下している場合でも表示手段において電力を消費することがなく、利用者に対して電子時計の状態を知らせることができる。従って、利用者は、現在、パワーセーブ中であることを容易に把握でき、その状態を解除するために発電操作を行うなどの適切な対応を行うことができる。
そして、発電装置において発電が行われると、制御手段は、前記更新停止モードに移行する条件が解消したと判断し、表示モードを通常表示モードに戻し、表示手段には通常の表示、例えば時刻表示等を行う。
【0012】
本発明において、前記電子時計は、電源と、前記電源の電圧を検出する電源電圧検出手段とを備え、前記制御手段は、前記電源電圧検出手段で電源電圧が予め設定された設定電圧未満になったことが検出された場合に、前記表示手段の表示モードを、通常表示モードから更新停止モードに切り替えて制御し、かつ、前記表示手段に電源電圧低下状態であることを表示することが好ましい。
【0013】
本発明では、更新停止モードに切り替える条件として、電源電圧が設定電圧未満に低下したかを判断する条件が設定されている。そして、電子時計がその条件に該当する場合、前記制御手段は、表示手段の表示モードを更新停止モードに切り替え、かつ、表示手段に電源電圧低下状態であることを表示する。表示手段はメモリ性を有しているので、電力供給を行わなくても電源電圧低下状態であることを表示し続けることができる。このため、一次電池や二次電池からなる電源の電圧が低下した場合でも表示手段において電力を消費することがなく、利用者に対して電子時計の状態を知らせることができる。従って、利用者は、現在、電源電圧低下中であることを容易に把握でき、その状態を解除するために充電を行うなどの適切な対応を行うことができる。
そして、充電を行うことなどで電源電圧が設定電圧以上になると、制御手段は、前記更新停止モードに移行する条件が解消したと判断し、表示モードを通常表示モードに戻し、表示手段には通常の表示、例えば時刻表示等を行う。
【0014】
本発明において、前記電子時計は、電源と、時計の温度を検出する温度検出手段とを備え、前記制御手段は、前記温度検出手段で予め設定された設定温度未満の低温状態になったことが検出された場合に、前記表示手段における表示モードを、通常表示モードから更新停止モードに切り替えて制御し、かつ、前記表示手段に低温状態であることを表示することが好ましい。
【0015】
本発明では、更新停止モードに切り替える条件として、時計の温度が設定温度未満に低下したか否かを判断する条件が設定されている。そして、電子時計がその条件に該当する場合、前記制御手段は、表示手段の表示モードを更新停止モードに切り替え、かつ、表示手段に低温状態であることを表示する。表示手段はメモリ性を有しているので、電力供給を行わなくても低温状態であることを表示し続けることができる。このため、例えば氷点下の外気中に置かれている等、時計が低温となった場合に、表示手段において電力を消費することなく、利用者に対して電子時計の状態を知らせることができる。従って、利用者は、現在、時計が低温になっていることを容易に把握でき、その状態を解除するために適切な対応を行うことができる。
そして、時計の温度が設定温度以上になると、制御手段は、前記更新停止モードに移行する条件が解消したと判断し、表示モードを通常表示モードに戻し、表示手段には通常の表示、例えば時刻表示等を行う。
【0016】
ここで、前記制御手段は、前記表示手段の表示モードが通常表示モードである場合には、前記表示手段に時刻を表示することが好ましい。
例えば、電子泳動ディスプレイ等のメモリ性表示装置に、現在の時および分をデジタル表示すればよい。
【0017】
本発明では、通常表示モードでは、メモリ性の表示手段に時刻を表示できるので、時刻表示のための消費電力を低減できる。すなわち、メモリ性の表示手段では、例えば「時」の情報は1時間ごとに更新し、「分」の情報は1分ごとに更新すればよい。このため、各時刻情報(時や分)の更新時のみ表示手段を作動し、次に更新されるまでは電力を供給せずにその表示を維持できる。従って、一般的な液晶ディスプレイのように、表示を維持する場合にも電力供給が必要な表示手段を用いる場合に比べて、メモリ性の表示手段を用いることで消費電力を大幅に低減できる。
【0018】
本発明において、前記電子時計は、時刻を指示する指針を備え、前記制御手段は、前記表示手段の表示モードが更新停止モードである場合には、指針の運針を停止することが好ましい。
すなわち、電子時計が指針を備えるコンビネーション時計であり、表示手段の表示モードが更新停止モードの場合に指針の運針を停止すれば、消費電力をより低減できる。このため、更新停止モードに移行した理由の表示もより長時間継続でき、利用者に確実に知らせることができる。
【0019】
本発明において、前記電子時計は、時刻を指示する指針を備え、前記制御手段は、電源電圧が設定電圧未満になったり、時計の温度が設定温度未満になることで、前記表示手段の表示モードが更新停止モードである場合も、指針の運針を続行してもよい。
【0020】
一般に、メモリ性の表示手段の更新動作やリフレッシュ動作を停止しなければならない電圧値は、指針を運針するステッピングモータを停止しなければならない電圧値よりも高い。従って、電源電圧が低下して表示手段を更新停止モードに設定した場合でも、指針の運針を続行することができる。この場合、指針による時刻指示を継続でき、時計の利便性を向上できる。
また、時計の温度が低下した場合、電子泳動ディスプレイのようなメモリ性の表示手段の動作に影響する温度は、ステッピングモータによる指針の運針に影響する温度よりも高い。従って、温度が低下して表示手段を更新停止モードに設定した場合でも、指針の運針を続行することができる。この場合、指針による時刻指示を継続でき、時計の利便性を向上できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、メモリ性の表示手段を有する電子時計において、表示を停止している理由がわかり、利用者が故障でないことを確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態における時計を示す模式図。
【図2】前記実施形態の時計の回路構成を示すブロック図。
【図3】前記実施形態の動作制御方法を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2実施形態における時計を示す模式図。
【図5】前記実施形態の時計の回路構成を示すブロック図。
【図6】前記実施形態の動作制御方法を示すフローチャート。
【図7】本発明の第3実施形態における時計を示す模式図。
【図8】前記実施形態の時計の回路構成を示すブロック図。
【図9】前記実施形態の動作制御方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
なお、第2実施形態以降の説明に関し、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略もしくは簡略化する。
【0024】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態を図1〜図3を参照して説明する。
[1.全体構成]
図1は、本実施形態の電子時計1の正面図である。この電子時計1は、矩形環状のケース2と、EPD表示装置(電子泳動表示装置)3と、時針4A、分針4B、秒針4Cからなる指針4とを備えるコンビネーション時計(CQ)である。
ケース2には、リューズ5、ボタン6,7が設けられている。また、指針4の文字板部分には太陽電池20が設けられている。
【0025】
[2.電子時計のシステム構成]
電子時計1は、図2に示すように、発振回路11、分周回路12、時計カウンタ13、表示制御回路14、EPD表示装置3、ボタン6,7で入力されるスイッチ15,16、時刻修正回路17、モータ駆動制御回路18、指針4を駆動するステップモータ19、太陽電池(発電装置)20、発電検出回路21、タイマー22、停止時間カウンタ23、充電制御回路24、二次電池25を備えている。
【0026】
発振回路11は、水晶振動子やセラミック振動子等の基準発振源を高周波発振させ、基準発振信号を生成する。
分周回路12は、発振回路11で生成された基準発振信号を分周して所定の基準信号(例えば、1Hzの信号)を生成する。
【0027】
時計カウンタ13は、分周回路12で生成された基準信号をカウントして現時刻を計時する。また、時計カウンタ13は、時刻修正回路17から入力される時刻修正信号に基づいて、カウンタ値つまり現時刻情報を修正する。
表示制御回路14は、時計カウンタ13で計時された現時刻の情報に基づいてEPD表示装置3の表示を制御する。EPD表示装置3の構成は後述する。
【0028】
スイッチ15,16は、ボタン6,7を押した際にそれぞれ入力される。すなわち、スイッチ15,16は、ボタン6,7の入力を検出する入力検出手段である。
時刻修正回路17は、各スイッチ15,16からの入力信号つまり各ボタン6,7の入力操作に基づき、時刻修正信号を時計カウンタ13、モータ駆動制御回路18に出力する。
【0029】
モータ駆動制御回路18は、分周回路12で生成された基準信号に基づいてステップモータ19にモータ駆動パルスを出力し、指針4をステップ運針するように構成されている。また、モータ駆動制御回路18は、時刻修正回路17からの時刻修正信号が入力されると、ステップモータ19にモータ駆動パルスを出力し、指針4の指示を修正する。
【0030】
発電検出回路21は、太陽電池20における発電状態を検出し、太陽電池20が発電状態である際に発電検出信号をタイマー22に出力する。従って、発電検出回路21により本発明の発電検出手段が構成される。
タイマー22は、時計カウンタ13から出力される時刻信号に基づいて経過時間を計測する。具体的には、タイマー22は、時計カウンタ13から1分毎、つまり分桁上げがあった場合に出力される信号を受けてカウントアップし、24時間までの経過時間を計測できるように構成されている。
そして、タイマー22は、発電検出回路21から発電検出信号が出力されるとリセットされる。このため、タイマー22は、発電が行われていない期間をカウントすることになる。従って、タイマー22により、本発明の非発電計測時間測定手段が構成される。
また、タイマー22は、計測した時間が予め設定された時間、本実施形態では24時間になると、電子時計1をパワーセーブモード(更新停止モード)に移行するためのパワーセーブ移行信号を出力し、発電検出回路21から発電検出信号が入力されてリセットされると通常表示モードに復帰するための通常モード復帰信号を出力する。
【0031】
停止時間カウンタ23は、タイマー22からパワーセーブ移行信号が出力されると、分周回路12からの基準信号をカウントして停止時間をカウントする。
また、表示制御回路14は、パワーセーブ移行信号が入力されるとEPD表示装置3にパワーセーブ中であることを表示する。表示制御回路14は、具体的には、図1の右側の電子時計1で示すように、EPD表示装置3に「POWER SAVE」と表示する。
さらに、モータ駆動制御回路18は、パワーセーブ移行信号が入力されるとモータ駆動信号の出力を停止し、ステップモータ19の駆動、つまり指針4の運針を停止する。
【0032】
また、停止時間カウンタ23は、タイマー22から通常モード復帰信号が入力されると、停止時間のカウントを中止し、カウントした停止時間情報をモータ駆動制御回路18に出力する。
モータ駆動制御回路18は、通常モード復帰信号が入力されると、停止時間カウンタ23から入力された停止時間情報に基づいてステップモータ19を早送りし、運針を停止していた指針4を現時刻に修正する。
さらに、表示制御回路14は、通常モード復帰信号が入力されると、EPD表示装置3の表示を、図1の左側の電子時計1で示すように、パワーセーブ表示から現時刻表示、具具体的には、現時刻の時および分の表示に変更する。
従って、本発明の制御手段は、表示制御回路14、モータ駆動制御回路18、停止時間カウンタ23を備えて構成される。
【0033】
充電制御回路24は、太陽電池20で発電された電力を二次電池25に充電する制御を行う。
なお、EPD表示装置3は、従来から知られている電気泳動表示装置であるため説明を省略する。例えば、黒色の電気泳動粒子と白色の電気泳動粒子が分散した電気泳動粒子分散液がマイクロカプセルに封入された二色の粉体流体方式の電気泳動層を用いたEPD表示装置3等を採用すればよい。
なお、EPD表示装置3の表示方式は、TFT回路などを用いたドットマトリクス方式でもよいし、セグメント方式でもよい。
【0034】
[3.電子時計の動作制御方法]
次に、電子時計1の動作制御方法を図3のフローチャートに基づいて説明する。
電子時計1は、駆動開始直後にまずタイマー22をリセットして初期化する(S10)。次に、発電検出回路21によって太陽電池20で発電が行われているかを検出する(S11)。太陽電池20で発電が行われていると充電制御回路24を介して二次電池25が充電される。
【0035】
S11で発電が検出されると、発電検出回路21はタイマー22に発電検出信号を出力する。
そして、タイマー22は、タイマー22で計測している時間が24時間になっているか否かを判定する(S12)。
タイマー22が24時間になっていない場合は、通常表示モードが継続して実行される。具体的には、表示制御回路14は、時計カウンタ13からの情報に基づき、EPD表示装置3で現在時刻を表示する(S13)。また、停止時間カウンタ23において停止時間がカウントされている場合、つまりパワーセーブモードから通常表示モードに復帰した直後の場合には、モータ駆動制御回路18は停止時間カウンタ23からの情報に基づき、停止していた時間分だけステップモータ19を駆動し、運針を停止していた指針4を、現在時刻を指示する位置まで移動する(S14)。なお、停止時間カウンタ23は、S14の処理が行われるとリセットされる。
【0036】
また、タイマー22は、S11で発電検出があった場合は、S12で「Yes」、「No」のいずれの場合もタイマーをリセットする(S15)。
次に、時計カウンタ13は、分周回路12から基準信号(1Hz)の入力があったか、つまり秒カウントがあるかを判定する(S16)。
なお、S11で発電検出が無かった場合は、S12〜S15は処理されず、秒カウントの判定処理S16が行われる。
S16で秒カウントがなかった場合は、S11に戻り、処理が続行される。
【0037】
一方、S16で秒カウントがあった場合、つまり基準信号が入力された場合、時計カウンタ13はカウントアップする(S17)。
次に、タイマー22は、現在のカウント時間が24時間になっているかを確認する(S18)。
ここで、タイマー22が24時間になっている場合には、パワーセーブモード信号が出力されるため、停止時間カウンタ23は分周回路12からの基準信号に基づいてカウントアップする(S19)。従って、停止時間カウンタ23では、パワーセーブモードになってからの継続時間がカウントされる。
【0038】
S18でタイマー22が24時間になっていない場合には、通常モードであるため、モータ駆動制御回路18はステップモータ19を1ステップ駆動し、指針4を運針する(S20)。従って、指針4の秒針4Cは1秒毎のステップ運針により駆動される。
【0039】
次に、時計カウンタ13は分桁上げが行われたか否かを判定する(S21)。すなわち、時計カウンタ13の秒カウンタが60秒に達し、分カウンタをカウントアップした時点で、分桁上げが行われたと判定される。
ここで、分桁上げが行われなかった場合、S11に戻り、上記の処理を繰り返す。
一方、S21で分桁上げが行われた場合、時計カウンタ13は分カウント信号をタイマー22に出力する。タイマー22は、分カウント信号に基づきカウントアップする(S22)。すなわち、タイマー22は、1分毎にカウントアップし、発電が行われていない経過時間をカウントする。
【0040】
次に、タイマー22は、24時間に達したかを確認する(S23)。タイマー22は、24時間に達していると、表示制御回路14にパワーセーブ移行信号を出力する。このため、表示制御回路14は、EPD表示装置3に「パワーセーブ中」であることを表示する(S24)。
【0041】
一方、S23で24時間に達していない場合、タイマー22は通常モード復帰信号を表示制御回路14に出力し、表示制御回路14はEPD表示装置3に現在時刻の表示を更新する(S25)。すなわち、表示制御回路14はEPD表示装置3に現在の時分を表示し、その表示を更新する。
以降、電子時計1はS11から処理を繰り返す。
【0042】
従って、電子時計1は、太陽電池20での発電が停止してからの経過時間をタイマー22で計測し、経過時間が24時間になるまでは、通常モードを続行する。通常モードでは、指針4による現時刻の表示更新と、EPD表示装置3における現在の時分表示更新を続行する。
そして、経過時間が24時間になると、パワーセーブモード(更新停止モード)に移行し、指針4による運針を停止し、同時にEPD表示装置3にパワーセーブ中であることを示すため「POWER SAVE」と表示する。ここで、EPD表示装置3はメモリ性を有するため、電圧印加を停止しても表示が維持されるため、電力消費を抑えつつ、表示を維持でき、利用者に対して運針が停止されている理由を示すことができる。
【0043】
以上の本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)発電検出回路21およびタイマー22を備えることで、24時間発電が行われていないことを検出できる。この場合、パワーセーブモードに移行し、指針4の運針を停止しているので、電力消費を低減できる。
そして、本実施形態では、パワーセーブモード時に、EPD表示装置3にパワーセーブモードに移行していることを表示できるので、利用者は運針が停止している理由を確実に把握できる。
従って、パワーセーブモードで運針が停止している際に、利用者が故障していると誤解することもなく、かつ、パワーセーブモードを解除する操作、例えば、太陽電池20による発電を利用者に対して促すことができ、パワーセーブモードの解除も容易に行うことができる。
【0044】
(2)また、メモリ性を有するEPD表示装置3を用い、このEPD表示装置3に運針停止の理由を表示しているので、EPD表示装置3への電源供給が停止しても、その理由の表示を継続できる。従って、パワーセーブモード時にEPD表示装置3の駆動のために電力が消費されることを防止でき、発電が行われない場合でもパワーセーブモードを長期間維持できる。このため、電子時計1がシステムダウンしてしまうまで電源電圧が低下することを抑制でき、パワーセーブモード時においても時計カウンタ13や停止時間カウンタ23の駆動を継続できる。従って、太陽電池20における発電が行われた際に自動的に現時刻に復帰でき、利便性の高い電子時計1を提供することができる。
【0045】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る時計について説明する。
第2実施形態の電子時計1Bは、図4に示すように、指針4およびEPD表示装置3を備えたコンビネーション時計である点で前記第1実施形態と同じである。
但し、前記第1実施形態では、発電検出回路21およびタイマー22を設けて発電が行われなかった期間によってパワーセーブモードに移行するように制御されている。
これに対し、第2実施形態では、図5に示すように、発電検出回路21、タイマー22を設けずに、代わりに、電池電圧検出回路31、表示停止モード制御回路32を設けた点が第1実施形態と相違する。
従って、以下の説明においては、前記第1実施形態と同一あるいは同様の構成については説明を省略または簡略し、相違する部分を主に説明する。
【0046】
第2実施形態の電子時計1Bは、前記電子時計1と同様に、発振回路11、分周回路12、時計カウンタ13、表示制御回路14、EPD表示装置3、ボタン6,7で入力されるスイッチ15,16、時刻修正回路17、モータ駆動制御回路18、指針4を駆動するステップモータ19、太陽電池(発電装置)20、停止時間カウンタ23、充電制御回路24、二次電池25を備えている。
【0047】
さらに、電子時計1Bは、電子時計1と異なり、電池電圧検出回路31および表示停止モード制御回路32を備えている。
電池電圧検出回路31は、二次電池25の電圧を検出するものであり、二次電池25の電圧が予め設定された閾値を超えているか否かを判定し、その判定信号を出力する。従って、電池電圧検出回路31により本発明の電源電圧検出手段が構成される。
【0048】
表示停止モード制御回路32は、電池電圧検出回路31から出力された判定信号に基づいて、各表示制御回路14、モータ駆動制御回路18、停止時間カウンタ23に対して表示停止モード(更新停止モード)への移行を指示する表示停止モード移行信号と、通常表示モードへの復帰を指示する通常表示モード復帰信号を出力する。
従って、第2実施形態では、制御手段は、表示制御回路14、モータ駆動制御回路18、停止時間カウンタ23、表示停止モード制御回路32を備えて構成される。
なお、電池電圧検出回路31、表示停止モード制御回路32はそれぞれ分周回路12からの基準信号(1Hz)が入力されるごとに駆動される。従って、電池電圧の検出処理および表示モードの判定および設定処理は1秒間隔でサンプリング処理される。
【0049】
このような構成の電子時計1Bの制御方法に関し、図6のフローチャートも参照して説明する。
電子時計1Bは、まず分周回路12から基準信号(1Hz)の入力があったか、つまり秒カウントがあるかを判定する(S31)。S31で秒カウントがなかった場合は、S31に戻り、処理が続行される。
一方、S31で秒カウントがあった場合、つまり基準信号が入力された場合、時計カウンタ13はカウントアップする(S32)。
【0050】
次に、電子時計1Bは、表示停止モードであるか否かを判定する(S33)。
S33で表示停止モードではないと判定された場合(Noの場合)には、モータ駆動制御回路18はステップモータ19を1ステップ駆動して指針4を1秒分動かす(S34)。
【0051】
次に、時計カウンタ13は時計カウンタ13の秒カウンタが60秒に達し、分カウンタをカウントアップする分桁上げが行われたか否かを判定する(S35)。ここで、分桁上げが行われなかった場合、S31に戻り、上記の処理を繰り返す。
一方、S35で分桁上げが行われた場合、時計カウンタ13は表示制御回路14に信号を送り、表示制御回路14はEPD表示装置3で時刻表示を更新する(S36)。すなわち、EPD表示装置3は、図4に示すように、時および分のみが表示されているため、1分毎に表示を更新すればよい。このため、EPD表示装置3は、分桁上げが行われた際に表示を更新するように制御される。
【0052】
次に、電池電圧検出回路31は、二次電池25の電源電圧VDDが閾値V1未満であるかを判定する(S37)。ここで、電源電圧VDDが閾値V1以上であれば、S31に戻って処理を続行する。
一方、電源電圧VDDが閾値V1未満であれば、電池電圧検出回路31は判定信号を表示停止モード制御回路32に出力する。表示停止モード制御回路32は、電源電圧VDDが閾値V1未満である判定信号を受信すると表示停止モード移行信号を出力し、電子時計1Bを表示停止モードに設定する。
表示停止モード移行信号を受信した表示制御回路14は、図4の右側の電子時計1Bに示すように、EPD表示装置3に電池電圧低下を意味する「BATT LOW」を表示する(S39)。そして、S31の処理に戻る。
【0053】
表示停止モードに設定された後に、S31、S32が処理されると、S33では「Yes」と判定される。
そのため、モータ駆動制御回路18によるステップモータ19の駆動(S34)は実行されず、停止時間カウンタ23のカウントアップが行われる(S40)。すなわち、表示停止モードに設定されている間は、指針4の運針は行われず、その運針が停止している時間が停止時間カウンタ23で計測される。
【0054】
次に、電池電圧検出回路31は、二次電池25の電源電圧VDDが閾値V1以上であるかを判定する(S41)。ここで、電源電圧VDDが閾値V1未満であれば、S31に戻って処理を続行する。
一方、電源電圧VDDが閾値V1以上であれば、電池電圧検出回路31は判定信号を表示停止モード制御回路32に出力する。表示停止モード制御回路32は、電源電圧VDDが閾値V1以上である判定信号を受信すると通常モード復帰信号を出力し、表示停止モードの設定を解除して通常表示モードに復帰する(S42)。
【0055】
通常モード復帰信号を受信した表示制御回路14は、図4の左側の電子時計1Bに示すように、EPD表示装置3に、時計カウンタ13でカウントしている現在時刻を表示する(S43)。
また、通常モード復帰信号を受信したモータ駆動制御回路18は、停止時間カウンタ23でカウントされた停止時間分だけステップモータ19を送り駆動し、運針を停止していた指針4を、現在時刻を指示する位置まで移動する(S44)。
なお、停止時間カウンタ23は、S44の処理が行われるとリセットされる。
以降、電子時計1Bは、S31に戻って処理を続行する。
【0056】
従って、電子時計1Bは、二次電池25での電圧が閾値未満に低下すると、表示停止モードに移行し、指針4による運針を停止する。同時にEPD表示装置3に「電池電圧低下」を示す「BATT LOW」を表示する。ここで、EPD表示装置3はメモリ性を有するため、電圧印加を停止しても表示が維持されるため、電力消費を抑えつつ、表示を維持でき、利用者に対して運針が停止されている理由を示すことができる。
一方、表示停止モード時に太陽電池20で発電が行われて二次電池25の電圧が閾値以上に戻ると、表示停止モードが解除され、EPD表示装置3には現在時刻が表示され、指針4は現在時刻まで送り駆動された後、通常運針に移行する。
【0057】
以上の本実施形態によれば、次のような効果がある。
(3)電池電圧検出回路31および表示停止モード制御回路32を備えることで、電源電圧VDDが閾値V1未満に低下したことを検出して、表示停止モードに移行することができる。この表示停止モードでは、指針4の運針を停止しているので、電力消費を低減できる。
そして、本実施形態では、表示停止モード時に、EPD表示装置3に電池電圧が低下したことを示す表示、本実施形態では「BATT LOW」と表示しているので、利用者は運針が停止した理由、つまり電池電圧が低下して運針が停止したことを確実に把握できる。
従って、表示停止モードで運針が停止している際に、利用者が故障していると誤解することもなく、かつ、表示停止モードを解除する操作、例えば、例えば、太陽電池20による発電を行って電源電圧を高める操作を利用者に対して促すことができ、表示停止モードの解除も容易に行うことができる。
【0058】
(4)また、メモリ性を有するEPD表示装置3を用い、このEPD表示装置3に運針停止の理由を表示しているので、EPD表示装置3への電源供給が停止しても、その理由の表示を継続できる。従って、電池電圧が低下して表示停止モードとなった時にEPD表示装置3の駆動のために電力が消費されることを防止でき、発電が行われない場合でも表示停止モードを長期間維持できる。このため、電子時計1がシステムダウンしてしまうまで電源電圧が低下することを防止でき、表示停止モード時においても時計カウンタ13や停止時間カウンタ23の駆動を継続できる。従って、太陽電池20における発電が行われた際に自動的に現時刻に復帰でき、利便性の高い電子時計1を提供することができる。
【0059】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係る電子時計について説明する。
第3実施形態の電子時計1Cは、図7に示すように、指針4およびEPD表示装置3を備えたコンビネーション時計である点で前記第1,2実施形態と同じである。
但し、電子時計1Cは、太陽電池20、充電制御回路24、二次電池25等は備えておらず、電源としては図示しない一次電池を用いている点と、電子時計1Cの温度を検出してEPD表示装置3の表示制御を行う点が前記各実施形態と相違する。
従って、以下の説明においては、前記第1,2実施形態と同一あるいは同様の構成については説明を省略または簡略し、相違する部分を主に説明する。
【0060】
第3実施形態の電子時計1Cは、前記電子時計1,1Bと同様に、発振回路11、分周回路12、時計カウンタ13、表示制御回路14、EPD表示装置3、ボタン6,7で入力されるスイッチ15,16、時刻修正回路17、モータ駆動制御回路18、指針4を駆動するステップモータ19を備えている。
【0061】
さらに、電子時計1Cは、電子時計1,1Bと異なり、温度センサ41および温度検出回路42を備えている。
温度センサ41は、電子時計1C、特にEPD表示装置3の温度を検出するセンサである。従って、温度センサ41により本発明の温度検出手段が構成される。
【0062】
温度検出回路42は温度センサ41で検出された温度が、所定の閾値を超えているか否かを判定し、表示制御回路14に対して表示停止モード移行信号および通常モード復帰信号を出力する。
従って、第3実施形態では、制御手段は、表示制御回路14、モータ駆動制御回路18、温度検出回路42を備えて構成される。
なお、温度検出回路42は分周回路12からの基準信号(1Hz)が入力されるごとに駆動される。従って、温度検出処理は1秒間隔でサンプリング処理される。
【0063】
このような構成の電子時計1Cの制御方法に関し、図9のフローチャートも参照して説明する。
電子時計1Cは、まず分周回路12から基準信号(1Hz)の入力があったか、つまり秒カウントがあるかを判定する(S51)。S51で秒カウントがなかった場合は、S51に戻り、処理が続行される。
一方、S51で秒カウントがあった場合、つまり基準信号が入力された場合、時計カウンタ13はカウントアップする(S52)。
また、基準信号はモータ駆動制御回路18にも入力され、モータ駆動制御回路18はステップモータ19を1ステップ駆動して指針4を1秒分動かす(S53)。
【0064】
次に、電子時計1Cは、EPD表示装置3が更新停止モード(EPD表示停止モード)であるか否かを判定する(S54)。
S54でEPD表示停止モードではないと判定された場合(Noの場合)には、時計カウンタ13は分桁上げが行われたか否かを判定する(S55)。ここで、分桁上げが行われなかった場合、S51に戻り、上記の処理を繰り返す。
【0065】
一方、S55で分桁上げが行われた場合、時計カウンタ13は表示制御回路14に信号を送り、表示制御回路14はEPD表示装置3で時刻表示を更新する(S56)。すなわち、EPD表示装置3は、図7に示すように、時および分のみが表示されているため、1分毎に表示を更新すればよい。このため、EPD表示装置3は、分桁上げが行われた際に表示を更新するように制御される。
【0066】
次に、温度検出回路42は、温度センサ41で測定された温度tが閾値t1未満であるかを判定する(S57)。ここで、温度tが閾値t1未満であれば、S51に戻って処理を続行する。
一方、温度tが閾値t1以上であれば、温度検出回路42は表示制御回路14に対して表示停止モード移行信号を出力し、電子時計1CをEPD表示停止モードに設定する(S58)。
表示停止モード移行信号を受信した表示制御回路14は、図7の右側の電子時計1Cに示すように、EPD表示装置3に「低温」を意味する「COLD」を表示する(S59)。そして、S51の処理に戻る。
【0067】
EPD表示停止モードに設定された後に、S51〜S53が処理されると、S54では「Yes」と判定される。
そのため、モータ駆動制御回路18によるステップモータ19の駆動(S53)はEPD表示停止モードにおいても実行され、指針4の運針は継続される。
【0068】
次に、温度検出回路42は、温度センサ41で測定された温度tが閾値t1以上であるかを判定する(S60)。ここで、温度tが閾値t1未満であれば、S51に戻って処理を続行する。
一方、温度tが閾値t1以上であれば、温度検出回路42は通常モード復帰信号を表示制御回路14に出力し、EPD表示停止モードの設定を解除して通常表示モードに復帰する(S61)。
【0069】
通常モード復帰信号を受信した表示制御回路14は、図7の左側の電子時計1Cに示すように、EPD表示装置3に、時計カウンタ13でカウントしている現在時刻を表示する(S62)。
以降、電子時計1Cは、S51に戻って処理を続行する。
【0070】
従って、電子時計1Cは、温度センサ41で測定した温度が閾値未満に低下すると、EPD表示停止モードに移行し、指針4による運針は続行し、EPD表示装置3に「低温」 を示す「COLD」を表示する。ここで、EPD表示装置3はメモリ性を有するため、電圧印加を停止しても表示が維持されるため、電力消費を抑えつつ、表示を維持でき、利用者に対して運針が停止されている理由を示すことができる。
一方、電子時計1Cの温度が上昇して閾値以上に戻ると、EPD表示停止モードが解除され、EPD表示装置3には現在時刻が表示される。
【0071】
以上の本実施形態によれば、次のような効果がある。
(5)温度センサ41および温度検出回路42を備えることで、温度tが閾値t1未満に低下したことを検出して、EPD表示停止モードに移行することができる。このEPD表示停止モードでは、EPD表示装置3の表示更新を停止しているので、電力消費を低減できる。
そして、本実施形態では、EPD表示停止モード時に、EPD表示装置3に温度が低下したことを示す表示、本実施形態では「COLD」を表示しているので、利用者はEPD表示装置3の更新が停止した理由、つまり温度が低下して表示更新が停止したことを確実に把握できる。
従って、EPD表示装置3の表示の更新が停止している際に、利用者が故障していると誤解することもなく、かつ、EPD表示停止モードを解除する操作、例えば、例えば、電子時計1Cの温度をあげることを利用者に対して促すことができ、EPD表示停止モードの解除も容易に行うことができる。
【0072】
(6)また、メモリ性を有するEPD表示装置3を用い、このEPD表示装置3に表示更新停止の理由を表示しているので、EPD表示装置3への電源供給が停止しても、その理由の表示を継続できる。従って、電子時計1Cの温度が低下してEPD表示停止モードとなった時にEPD表示装置3の駆動のために電力が消費されることを防止でき、EPD表示停止モードを長期間維持できる。
【0073】
(7)さらに、本実施形態では、電子時計1Cの温度が低下すると、電気泳動表示素子の特性が低下し、表示品質も劣化するため、EPD表示装置3の表示更新を停止している。一方、ステップモータ19による指針4の運針は低温になっても可能であるため、指針4の運指は継続している。このため、利用者はEPD表示停止モードに移行した場合でも現在時刻を把握でき、利便性が低下することを防止できる。
【0074】
〔本発明の変形例〕
以上、本発明の実施態様について具体的に示したが、前記各実施形態に限らず、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の改良、変形が可能である。
【0075】
前記各実施形態では、EPD表示装置3に表示を停止した理由を文字で表示していたが、文字の代わりに、アイコンやフラグで表示してもよい。すなわち、利用者が表示の停止や運針の停止が行われた理由を把握できる内容を表示すればよい。
【0076】
前記第1実施形態では、パワーセーブモード中にEPD表示装置3の表示の更新動作やリフレッシュ動作を停止していたが、EPD表示装置3のリフレッシュ動作間隔を長くする制御を行ってもよい。この場合、EPD表示装置3の表示品質を維持できる利点がある。
【0077】
前記第2実施形態では、表示停止モード中に指針4の運針も停止していたが、運針を続行してもよい。すなわち、通常、EPD表示装置3の停止電圧のほうが、指針4の停止電圧よりも高くされているため、電池電圧が低下した場合、最初にEPD表示装置3の表示更新を停止し、さらに電池電圧が低下した際に指針4の運針を停止するように設定してもよい。表示停止モード中も指針4の運針を継続すれば、指針4によって時刻を把握できる利点がある。
【0078】
前記各実施形態は、指針4とEPD表示装置3を備えるコンビネーション時計であったが、指針4が設けられておらず、EPD表示装置3のみを備えるデジタル時計であってもよい。デジタル時計では、更新停止モードに移行した場合、更新停止の理由とともに時刻を更新せずに表示したままにしてもよい。但し、利用者が時刻を誤認識する可能性があるため、時刻は表示せず、更新停止の理由のみを表示することが好ましい。
【0079】
前記各実施形態では、更新停止モードに移行する条件として、発電が設定時間以上無かった場合、電源電圧が設定値未満の場合、温度が設定値未満の場合で説明したが、他の条件を設定してもよい。例えば、腕時計や懐中時計のように利用者に装着されて利用される電子時計の場合は、時計内部に加速度センサを設け、その加速度センサによって時計の移動つまり利用者に装着されていることが検出された場合に通常表示モードに設定し、時計の移動が検出されない場合つまり利用者から外されていることが検出された場合にパワーセーブモードなどの更新停止モードに設定してもよい。
さらに、前記複数の条件を判断して更新停止モードに移行するように設定してもよい。例えば、非発電状態の継続時間と電源電圧との両方の情報を判断して更新停止モードに移行するように設定してもよい。この場合、EPD表示装置3には複数の理由を表示するようにしてもよいし、いずれか一方の理由を表示してもよい。
【0080】
前記各実施形態では、TFT回路を用いたドットマトリックス方式のEPD表示装置3に本発明を適用していたが、セグメント方式のEPD表示装置3に本発明を適用してもよい。
EPD表示装置3は、黒粒子および白粒子による白黒二粒子系の電気泳動が行われるものでもよいし、青白等の一粒子系の電気泳動を行っても良く、また、白黒以外の組み合わせでも構わない。
さらに、メモリ性の表示手段は、EPD表示装置3に限定されず、他のメモリ性を有するディスプレイでもよい。例えば、ECD(Electrochromic Display=エレクトロクロミックディスプレイ)、強誘電性液晶ディスプレイ、コレステリック液晶ディスプレイ等が利用できる。
さらに、本発明の電子時計は、腕時計に限らず、置き時計、掛け時計、懐中時計などの時計機能を有する機器に広く適用できる。
【0081】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0082】
1,1B,1C…電子時計、2…ケース、3…EPD表示装置(電気泳動表示装置)、4…指針、13…時計カウンタ、14…表示制御回路、17…時刻修正回路、18…モータ駆動制御回路、19…ステップモータ、20…太陽電池、21…発電検出回路、22…タイマー、23…停止時間カウンタ、24…充電制御回路、25…二次電池、31…電池電圧検出回路、32…表示停止モード制御回路、41…温度センサ、42…温度検出回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリ性の表示手段と、前記表示手段を制御する制御手段とを備える電子時計であって、
前記制御手段は、電子時計の状態が予め設定された条件に該当する場合には、前記表示手段の表示モードを、通常表示モードから更新停止モードに切り替えて制御するとともに、前記更新停止モード時には前記表示手段に更新停止モードに移行した理由を表示し、
前記表示手段の表示モードが更新停止モードである場合には、前記表示手段の表示のリフレッシュ動作間隔を、通常表示モード時に比べて長くすることを特徴とする電子時計。
【請求項2】
請求項1に記載の電子時計において、
発電手段と、前記発電手段の発電状態を検出する発電検出手段と、前記発電検出手段で発電状態を検出できない非発電継続時間を測定する非発電継続時間測定手段とを備え、
前記制御手段は、前記非発電継続時間測定手段で測定された非発電継続時間が予め設定された設定時間以上となってパワーセーブモードに移行した場合に、前記表示手段の表示モードを、通常表示モードから更新停止モードに切り替えて制御し、かつ、前記表示手段にはパワーセーブ中であることを表示することを特徴とする電子時計。
【請求項3】
請求項1に記載の電子時計において、
電源と、前記電源の電圧を検出する電源電圧検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記電源電圧検出手段で電源電圧が予め設定された設定電圧未満になったことが検出された場合に、前記表示手段の表示モードを、通常表示モードから更新停止モードに切り替えて制御し、かつ、前記表示手段に電源電圧低下状態であることを表示することを特徴とする電子時計。
【請求項4】
請求項1に記載の電子時計において、
電源と、時計の温度を検出する温度検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記温度検出手段で予め設定された設定温度未満の低温状態になったことが検出された場合に、前記表示手段における表示モードを、通常表示モードから更新停止モードに切り替えて制御し、かつ、前記表示手段に低温状態であることを表示することを特徴とする電子時計。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の電子時計において、
前記制御手段は、前記表示手段の表示モードが通常表示モードである場合には、前記表示手段に時刻を表示することを特徴とする電子時計。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の電子時計において、
時刻を指示する指針を備え、
前記制御手段は、前記表示手段の表示モードが更新停止モードである場合には、指針の運針を停止することを特徴とする電子時計。
【請求項7】
請求項3または請求項4に記載の電子時計において、
時刻を指示する指針を備え、
前記制御手段は、前記表示手段の表示モードが更新停止モードである場合も、指針の運針を続行することを特徴とする電子時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−211922(P2012−211922A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−149765(P2012−149765)
【出願日】平成24年7月3日(2012.7.3)
【分割の表示】特願2007−300439(P2007−300439)の分割
【原出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】