説明

電子時計

【課題】電池電圧が低下してきた場合にも、できるだけ最後まで指針によるアナログ情報を完全に失うことのないような電子時計を提供する。
【解決手段】電子時計は、物理量を計測する物理量計測手段と、モータにより回転駆動されて物理量の計測値を指し示す情報指針(5)と、計測値を情報指針により指し示すための目盛が表示された目盛部(8)と、目盛部における物理量計測値の上下範囲を指定する表示部(16、18)と、モータに電力を供給する電池と、電池の電圧を検出する電圧検出手段と、電圧検出手段による電圧検出値が低下した場合に、情報指針の回転駆動範囲を小さく抑えるように、表示部の数値表示の範囲を大きくさせる表示変更制御手段と、前記情報指針の指針位置を制御する指針位置制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アナログ表示部およびデジタル表示部を備える電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログ表示としての指針とデジタル表示としての液晶等の表示部を有している電子時計において、指針を動かすためのモータの消費電力は、デジタル表示部の表示における消費電力に比べて非常に大きい。そこで、時計のバッテリ(電池)残量が少なくなってくると、指針の動きになんらかの制限をかけることにより消費電力を抑制する技術が考えられている。特許文献1には、バッテリレベル(電池電圧)に応じて、先ず、秒針の運針を停止、次に、秒針および時分針の運針を停止してデジタル表示部の表示のみとする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−83979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような指針を順次停止する方法では、指針の機能は停止し、アナログ表示としての情報が完全に失われてしまうという課題が存在していた。
【0005】
本発明の目的は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、バッテリレベル(電池電圧)が低下してきた場合にも、できるだけ最後まで指針によるアナログ情報を完全に失うことのないような電子時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、
物理量を計測する物理量計測手段と、
モータにより回転駆動されて物理量の計測値を指し示す情報指針と、
前記物理量計測手段により計測された計測値を、前記情報指針により指し示すための目盛が表示された目盛部と、
前記情報指針により、前記目盛部の目盛を指し示して表せる物理量計測値の上下範囲を数値表示により指定する表示部と、
前記モータに電力を供給する電池と、
前記電池の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段による電圧検出値が低下した場合に、前記物理量計測手段による計測値の変化に応じて回転駆動される情報指針の回転駆動範囲を小さく抑えるように、前記情報指針で指し示す前記表示部の数値表示の範囲を大きくさせる表示変更制御手段と、
前記物理量の計測値を、前記情報指針により、前記表示部に表示された前記数値表示の範囲に応じた目盛で指し示す指針位置制御手段と、
を備えることを特徴とする電子時計である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に従うと、バッテリレベルが低下しても指針の動きが、できるだけ最後まで失われない電子時計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る電子時計1の正面図である。
【図2】電子時計1の全体構成を示すブロック図である。
【図3】電子時計1の文字板7部分を、分針3、時針4を省略した状態で示した図である。
【図4】電子時計1の文字板7部分を、分針3、時針4を省略した状態で示した他の例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る、小針5による温度表示を説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態に係る、バッテリレベルが最も低下した状態での小針5による温度表示を説明するための図である
【図7】本発明の実施形態の「レンジ切替処理」の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る電子時計1の正面図である。図2は、電子時計1の全体構成を示すブロック図である。
【0011】
電子時計1は、図1に示すように、時計ケース6で保持されている文字板7上で3本の指針(分針3、時針4、小針5)が回転して、時刻やその他の情報の表示を行うものである。分針3および時針4は、文字板7の中心を軸に文字板7の全体で回転し、温度を指針する小針(情報指針)5は文字板7の9時位置に設けられた目盛部8の領域で回転する。文字板の上下2ケ所には時刻表示のための第1のLCD(液晶表示部)16、第2のLCD18が設けられる。また、操作ボタンB1〜B4が時計ケース6の側面に設けられている。
【0012】
また、電子時計1は、図2に示すように、分針3および時針4を運針するための第1モータ12および第1輪列機構10と、小針5を運針するための第2モータ13および第2輪列機構11と、第1モータ12をステップ駆動する駆動回路14と、第2モータ13をステップ駆動する駆動回路15と、電子時計1の文字板7の2ケ所に設けられ時刻表示や種々の機能表示を行う第1のLCD(液晶表示部)16、第2のLCD18およびそれらをそれぞれ駆動するドライバ17、19と、外光により発電を行うソーラーセル21と、ソーラーセル21の発電電流を入力して蓄電する二次電池21aを有し各部に電力を供給する電源22と、二次電池22aの出力レベルを検出する電圧検出部(電圧検出手段)23と、外気温を検出する温度センサ(物理量計測手段)24と、温度センサ24の通電および計測周期を制御して温度計測を行う温度センサ制御部(物理量計測手段)25と、計時のために一定周期の信号を生成する発振回路33および分周回路34と、計時を行う計時回路35と、複数の操作ボタン(B1〜B4)を有し外部指令を入力する操作部40と、時計全体の制御を行うCPU(中央演算処理装置)30と、CPU30に作業用のメモリ空間を提供するRAM31(Random Access Memory)と、CPU30が実行する制御プログラムや制御データが格納されたROM(Read Only Memory)32と、アラーム音を出力するためのブザー回路41およびスピーカ42等を備えている。
【0013】
ROM32には、時間の経過に伴って計時と運針とを行って指針3、4およびLCD16、18により時刻を表示したり、操作部40を介して入力される操作指令に基づいてアラーム設定を行ったりするメイン制御処理のプログラムや、温度表示における「レンジ切替処理」のプログラム等のプログラムおよび、「温度表示最大値・最小値の組み合わせテーブル」が格納されている。
【0014】
第1、第2モータ12、13は、正転と逆転にそれぞれ駆動可能なステッピングモータである。駆動回路により第1、第2モータ12、13に駆動パルスが出力されることで、ステッピングモータのロータが所定角度(例えば180°)ずつ回転する。駆動パルスの波形を変更することで、ロータは正転側に駆動したり、逆転側に駆動したりする。第1、第2輪列機構10、11は、伝達機構を構成するものであり、対応する第1、第2モータ12、13のロータの回転運動を、対応する指針まで伝達する複数の歯車が連結されて構成される。
【0015】
二次電池22aは、ソーラーセル21により発電された電力を、電気化学反応を利用して蓄えたり放電を行ったりするものである。
【0016】
温度センサ制御部25は、温度センサ24にて温度測定する直前に温度センサ24に電力を供給し、温度センサ24により温度計測し、計測終了後、電力供給を停止する。所定のモードの場合には、温度センサ24を連続通電しつつ一定間隔で温度計測する。
【0017】
電圧検出部23は、CPU30の指令によって、二次電池22aの出力電圧(バッテリレベル)を測定して、その測定値をデジタル変換してCPU30に送る。
【0018】
次に、上記のように構成された電子時計1の動作について説明する。
【0019】
先ず、時刻表示は、時針4、分針3で時刻を表示する他、図1に示すように第1のLCD16で秒表示を、第2のLCD18で時分および午前/午後の別を表示する。第1のLCD16、第2のLCDの動作は以下で詳述する。
【0020】
次に、電子時計1における、小針5による温度表示の動作について図3〜図6を参照して説明する。図3は、電子時計1の文字板7部分を、分針3、時針4を省略した状態で示した図である。図4は、電子時計1の文字板7部分を、分針3、時針4を省略した状態で示した他の例を示す図である。図5は、本発明の実施形態に係る、小針5による温度表示を説明するための図である。図6は、本発明の実施形態に係る、バッテリレベルが最も低下した状態での小針5による温度表示を説明するための図である。
【0021】
第1のLCD16は、図3および図1に示すように文字板7の上側に配置され、曜日・時刻(秒)を表示する領域(図3の上右側)と、目盛部8における温度表示の最大値を表示する領域(図3の上左側)に分かれて構成されている。第2のLCD18は、図3および図1に示すように、文字板7の下側に配置され、時刻(時、分)および午前/午後を示すP(Pが表示されていれば午後)を表示する領域(図3の下右側)と、目盛部8における温度表示の最小値を表示する領域(図3の下左側)に分かれて構成されている。温度表示の最大・最小値を表示する領域は、それぞれ、7セグメント駆動方式である2個の領域と、その左側に位置するマイナスおよび1が表示できる領域から構成されている。したがって、温度表示最大値はプラス199度まで、温度表示最小値はマイナス199度まで表示可能となっている。そして、目盛部8には、50等分された目盛線が円弧状に刻まれている。
【0022】
なお、図3、図1においては、第1のLCD16、第2のLCD18は、目盛部8における目盛を小針5によって指し示せる温度の最大値、最小値を表示しているが、それと異なる構成も可能である。図4は、電子時計1の文字板7部分を、分針3、時針4を省略した状態で示した他の例を示している。図4では、第1のLCD160、第2のLCD180は、目盛部80における目盛を小針5によって指し示せる温度の最大値、最小値ではない第1の値、第2の値を表示している。
【0023】
ここで、第1のLCD16、第2のLCD18が目盛部8における目盛を小針5によって指し示せる温度の最大値、最小値を表示している場合における、最大値と最小値で規定される範囲を「温度計測値の上下範囲」と表現する。また、図4において、第1のLCD160、第2のLCD180が目盛部80における目盛を小針5によって指し示せる温度の最大値、最小値ではない第1の値、第2の値を表示している場合における、第1の値、第2の値で規定される範囲もまた、「温度計測値の上下範囲」と表現する。すなわち、目盛部8の最大目盛、最小目盛に対応する温度を第1のLCD16、第2のLCD18が指定すること、または、最大値、最小値ではない途中の2つの目盛に対応する温度を第1のLCD160、第2のLCD180が指定すること、の双方を含める意味で、「温度計測値の上下範囲を数値表示により指定する」と表現する。
【0024】
図5は、電子時計1の小針5で温度22.5度を表示する場合を示している。図5(a)では、温度表示最大値が50度、温度表示最小値が10度に設定されている。この場合、1目盛は0.8度(分解能0.8度)である。小針5は表示範囲の中央やや下を指針することで、22.5度を表示している。図5(b)では、温度表示最大値が30度、温度表示最小値が20度に設定されている。この場合、1目盛が0.2度(分解能0.2度)である。小針5は表示範囲の下限近くを指針することで、22.5度を表示している。図5(c)では、LCD温度表示最大値が25度、温度表示最小値が20に設定されている。この場合、1目盛が0.1度(分解能0.1度)である。小針5は表示範囲の中央を指針することにより、22.5度を表示している。
【0025】
このように、図5(a)、(b)、(c)では、小針5が共に22.5度を表示しているにもかかわらず、小針5の指針位置はそれぞれ異なっている。すなわち、温度表示最大値、温度表示最小値の組み合わせを予め複数設定しておき、その組み合わせを変更することにより、温度表示範囲を変更することができる。また、同じ表示温度であっても、小針5の指針位置を異ならせることができる。
【0026】
図5において、同一温度範囲における小針5が駆動される角度範囲(回転駆動範囲)を比較すると、回転駆動範囲が広い順に(c)>(b)>(a)となる。バッテリレベルが十分に高いときには図5(c)の条件を選択すれば、温度分解能が高く、温度変化を良好に判別することができる。その一方で、小針5の回転駆動は大きくなり、消費電力は増大する。したがって、バッテリレベルが低くなってきたときには図5(c)のように分解能が高い仕様は、二次電池に負荷がかかる。モータの消費電力は温度計測や液晶表示時の消費電力よりも概ね1桁大きいからである。
【0027】
そこで、バッテリレベルの低下に応じて、温度表示最大値・最小値の組み合わせを、たとえば図5(c)、(b)、(a)の順序(分解能が徐々に低くなる方向)に変更する。つまり、バッテリレベルが低下した場合に、小針5の回転駆動を抑制するために、表示部(第1のLCD16および第2のLCD18)の数値表示による目盛部の数値範囲を大きくさせる。逆に、ソーラーセルの発電により二次電池22aが充電され、二次電池22aのバッテリレベルが上がった場合は、温度表示最大値・最小値の組み合わせを、数値範囲を小さくさせる(分解能を高くさせる)方向に変更していく。
【0028】
次に、バッテリレベルが最も低下し、予め定められた設定電圧以下になった状態では、図6(a)〜(c)に示すような温度表示を行う。すなわち図6(a)〜(c)では、小針5の指針は、「目盛部の所定の目盛を指し示す角度位置」の一例として、文字板7の9時方向の位置で停止される。また、第1のLCD16、第2のLCD18で構成される表示部の数値表示の範囲の差分すなわち、「温度表示最大値と温度表示最小値の差」を10度に固定する。1目盛は0.2度(分解能0.2度)である。
【0029】
図6(a)では、温度表示最大値を30度、温度表示最小値を20度とすることで、小針5に表示温度25度を示させる。図6(b)では、温度表示最大値を28度、温度表示最小値を18度とすることで、小針5に表示温度23度を示させる。さらに図6(c)では、温度表示最大値を29度、温度表示最小値を19度とすることで、小針5に表示温度24度を示させる。すなわち、小針5は回転駆動されず、温度表示最大値と温度表示最小値を、表示すべき温度の変化に連動して変化させることで、実質的に小針5で温度表示する。
【0030】
このように、小針5の指針は動かさずに、表示部における数値表示の範囲の差分すなわち、「温度表示最大値と温度表示最小値の差」を固定して、温度表示最大値・温度表示最小値を表示更新することで、バッテリレベルが極めて低くなっても、ギリギリの状態まで小針5の機能を実質的に継続させることができる。
【0031】
次に、上記の切替制御処理についてフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0032】
図7は、本発明の実施形態の「レンジ切替処理」の制御手順を示すフローチャートである。バッテリの基準電圧値として、ハイ(HIGH)、ミドル(MID)末期、ミドル(MID)、ロウ(LOW)の4つの電圧値が予め定められているものとする。また、「レンジ切替処理」の始めの時点において、表示分解能は0.1度に設定されており、バッテリレベルはハイよりも高いと仮定する。
【0033】
「レンジ切替処理」が開始されると、CPU30は、先ず、電圧検出部23による二次電池22aのバッテリレベルを検出し、バッテリレベルがハイよりも高いか否かを判別する(ステップS1)。バッテリレベルがハイよりも高いと判断されると「YES」へ分岐して、温度表示の分解能を0.1度に設定(温度表示最大値と温度表示最小値の差を5度に設定)する(ステップS2)。なお、当初の分解能が0.1度であるので実際には設定値は維持される。
【0034】
次に、CPU30は、小針5の現在の指針位置が更新すべき指針位置であるか、温度センサの計測値を基に確認し(ステップS9)、更新すべきと判断されると「NO」へ分岐して、小針5を所望の位置に運針する(ステップS10)。ステップS9にて、更新する必要がないと判断されると、「YES」に分岐して、CPU30は、小針5を運針させない。言い換えると、小針5を回転駆動させない。
【0035】
次に、CPU30は、LCD表示更新を行う(ステップS12)。LCD表示更新とは、温度表示最大値、温度表示最小値の値を更新することをいう。当初が分解能0.1度で、設定分解能0.1度であるので、同じ値に表示更新される。すなわち、同じ値に書替えられる。そして終了する。
【0036】
ステップS1において、バッテリレベルがハイよりも低いと判断されると、「NO」へ分岐して、CPU41は、電圧検出部23による二次電池22aのバッテリレベルがミドルよりも高いか否かを判別する(ステップS3)。ステップS3にて、バッテリレベルがミドルよりも高いと判断されると、「YES」へ分岐し、さらに、バッテリレベルがミドル末期よりも高いか否かを判別する(ステップS4)。バッテリレベルがミドル末期より高い場合は「NO」へ分岐して、温度表示の分解能を0.2度に設定する(ステップS5)。ステップS4において、バッテリレベルがミドル末期より低い場合は「YES」へ分岐して、温度表示の分解能を0.4度に設定する(ステップS6)。
【0037】
次に、CPU30は、小針5の現在の指針位置が更新すべき指針位置であるか、温度センサの計測値を基に確認し(ステップS9)、更新すべきと判断されると「NO」へ分岐して、小針5を所望の位置に運針する(ステップS10)。ステップS9にて、更新する必要がないと判断されると、「YES」に分岐して、CPU30は、小針5を運針させない。
【0038】
次に、CPU30は、LCD表示更新を行う(ステップS12)。当初が分解能0.1度で、設定分解能は0.2度、または、0.4度となっているので、0.2度、または、0.4度に対応する表示に更新される。具体的には、ROM32には分解能とそれに対応する「温度表示最大値・最小値の組み合わせを掲載した「温度表示最大値・最小値の組み合わせテーブル」が格納されており、そのテーブルに基づき0.2度、または、0.4度に対応する表示に変更する。そして終了する。
【0039】
ステップS3において、バッテリレベルがミドルよりも低いと判断されると、「NO」へ分岐して、CPU30は、電圧検出部23による二次電池22aのバッテリレベルを検知して、バッテリレベルがロウよりも高いか否か判断する(ステップS7)。
【0040】
ステップS7にて、バッテリレベルがロウよりも高いと判断されると、「YES」へ分岐して、分解能を1度に設定する(ステップS8)。
【0041】
次に、CPU30は、小針5の現在の指針位置が更新すべき指針位置であるか、温度センサの計測値を基に確認し(ステップS9)、更新すべきと判断されると「NO」へ分岐して、小針5を所望の位置に運針する(ステップS10)。ステップS9にて、更新する必要がないと判断されると、「YES」に分岐して、CPU30は、小針5を運針させない。
【0042】
次に、CPU30は、LCD表示更新を行う(ステップS12)。当初が分解能0.1度で、設定分解能は1度となっているので、分解能1度に対応する表示に更新される。具体的には、ROM32に格納されている「温度表示最大値・最小値の組み合わせテーブル」に基づき1度に対応する表示に変更する。そして終了する。ここでCPU30、ステップS1〜ステップS8、および、ステップS12が表示変更制御手段である。また、CPU30、ステップS9、ステップS10が指針位置制御手段である。
【0043】
さらに、ステップS7において、バッテリレベルがロウより低い場合には、CPU30は、小針を文字板7の9時の方向に固定させる(ステップS11)。ここで、ロウ(LOW)が「予め定められた設定電圧」である。そして、温度表示レンジは、たとえば10度に設定し、温度表示最大値、温度表示最小値の値を温度測定値に基づきCPU30が演算し、LCD表示更新する(ステップS12)。そして終了する。ここでCPU30とステップS11が指針停止手段である。また、バッテリレベルがロウより低い場合における、CPU30とステップS12も表示変更制御手段である。
【0044】
以上のようにバッテリレベルによって小針5による表示方法を変えていくことにより、電力が低下してきた場合にも駆動電圧限界までアナログ情報を完全に失うことのないような小針5によるアナログ表示が可能となる。
【0045】
さて、電子時計1は、複数の温度測定モードを備えている。今までの説明は通常測定モードに関してであった。通常温度測定モードの温度計測間隔は例えば2分毎である。通常測定モードの他に、温度測定専用モードも備えている。温度測定専用モードで、例えば2秒に1回計測する。既述の通り、温度測定に際して、センサは測定の直前に電源を入れてから、計測するのであるが、温度測定専用モードではセンサ電源は常時入電させて計測する。
【0046】
また、専用モードでは、「レンジ切替処理」は実施しない。なぜならば、温度測定専用モードでは、頻繁な測定によりバッテリレベルが短期低下を起こし電圧測定誤差が大きくなる可能性があること、レンジが頻繁に変更されると却って使用者の利便性を損なうおそれがあることを考慮している。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る電子時計1では、電圧検出部(電圧検出手段)23による二次電池22a等の電池の電圧検出値が低下した場合に、温度などの物理量計測手段による計測値の変化に応じて回転駆動される小針(情報指針)5の回転駆動範囲を小さく抑えるように、情報指針の表示部16、18の数値表示の範囲を大きくさせる表示変更制御手段と、温度等の物理量の計測値を、小針(情報指針)5により、表示部16、18に表示された数値範囲に応じた目盛で指し示す指針位置制御手段とを備えているので、バッテリレベルが低下しても指針の動きが、できるだけ最後まで失われない電子時計を提供することができる。
【0048】
また、電圧検出部(電圧検出手段)23によって検出された電圧が予め定められた設定電圧(例えば、ロウ(LOW))以下になった場合に、小針(情報指針)5を目盛部8の所定の目盛を指し示す角度位置に停止させる指針停止手段をさらに備え、表示変更手段は、表示部の数値表示の範囲の差分を所定の値に固定させて、情報指針5を目盛部8の所定の目盛を指し示す角度位置に停止させた状態で、物理量計測手段により計測された計測値を指し示せるようにしたことにより、バッテリレベルが極めて低くなっても、ギリギリの状態まで小針(情報指針)5の機能を実質的に継続させることができる。
【0049】
また、表示部に表示して指定する数値表示は、目盛部の目盛の最大値および最小値であるように構成されているので、目盛部の目盛の識別が容易になる。
【0050】
また、表示部は、それぞれ別個に表示する2つの表示部で構成され、それぞれの表示部は目盛部の目盛を情報指針によって指し示せる計測表示の最大値および最小値を表示するように構成されているので、表示部の構成配置の自由度が高くなる。
【0051】
なお、本発明は、上記形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、本実施形態では、表示対象は温度で説明したが、それに限定されない、例えば、気圧、高度といった物理量でも良い。また、計測間隔は、2分、2秒でなくても良い。例えば、高度計測機能において、高度測定をセットした最初の10分は、5秒に1回計測し、その後は2分に1回の計測としてもよく、その際2分に1回の計測において、バッテリレベルに応じた表示レンジ切替えを適用しても良い。さらに、二次電池22aの代わりに電池(一次電池)を用いてもよい。その際は、ソーラーセル21は不要となる。
【0052】
この場合、物理量は、温度、高度、気圧の何れか一つであることを特徴とするので、種々の物理量を電子時計に表示することができる。
【0053】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記]
<請求項1>
物理量を計測する物理量計測手段と、
モータにより回転駆動されて物理量の計測値を指し示す情報指針と、
前記物理量計測手段により計測された計測値を、前記情報指針により指し示すための目盛が表示された目盛部と、
前記情報指針により、前記目盛部の目盛を指し示して表せる物理量計測値の上下範囲を数値表示により指定する表示部と、
前記モータに電力を供給する電池と、
前記電池の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段による電圧検出値が低下した場合に、前記物理量計測手段による計測値の変化に応じて回転駆動される情報指針の回転駆動範囲を小さく抑えるように、前記情報指針で指し示す前記表示部の数値表示の範囲を大きくさせる表示変更制御手段と、
前記物理量の計測値を、前記情報指針により、前記表示部に表示された前記数値表示の範囲に応じた目盛で指し示す指針位置制御手段と、
を備えることを特徴とする電子時計。
<請求項2>
前記電圧検出手段によって検出された電圧が予め定められた設定電圧以下になった場合に、前記情報指針を前記目盛部の所定の目盛を指し示す位置に停止させる指針停止手段をさらに備え、前記表示変更制御手段は、前記表示部における数値表示の範囲の差分を所定の値に固定させて、前記情報指針を前記目盛部の所定の目盛を指し示す位置に停止させた状態で、前記物理量計測手段により計測された計測値を指し示せるようにしたことを特徴とする請求項1記載の電子時計。
<請求項3>
前記表示部に表示して指定する数値表示は、前記目盛部の目盛を前記情報指針によって指し示せる物理量計測値の最大値および最小値であることを特徴とする請求項1記載の電子時計。
<請求項4>
前記表示部は、前記目盛部の目盛を前記情報指針によって指し示せる物理量計測値の最大値および最小値をそれぞれ別個に表示する2つの表示部で構成されることを特徴とする請求項3記載の電子時計。
<請求項5>
前記物理量は、温度、高度、気圧の何れか一つであることを特徴とする請求項1記載の電子時計。
【符号の説明】
【0054】
1 電子時計
3 分針
4 時針
5 小針(情報指針)
6 時計ケース
7 文字板
8、80 目盛部
10 第1輪列機構
11 第2輪列機構
12 第1モータ
13 第2モータ
14 駆動回路
15 駆動回路
16、160 第1のLCD(表示部)
17 ドライバ
18、180 第2のLCD(表示部)
19 ドライバ
21 ソーラーセル
22 電源
22a 二次電池
23 電圧検出部(電圧検出手段)
24 温度センサ(物理量計測手段)
25 温度センサ制御部(物理量計測手段)
30 CPU(表示変更制御手段、指針位置制御手段、指針停止手段)
31 RAM
32 ROM
33 発信回路
34 分周回路
35 計時回路
40 操作部
41 ブザー回路
42 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量を計測する物理量計測手段と、
モータにより回転駆動されて物理量の計測値を指し示す情報指針と、
前記物理量計測手段により計測された計測値を、前記情報指針により指し示すための目盛が表示された目盛部と、
前記情報指針により、前記目盛部の目盛を指し示して表せる物理量計測値の上下範囲を数値表示により指定する表示部と、
前記モータに電力を供給する電池と、
前記電池の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段による電圧検出値が低下した場合に、前記物理量計測手段による計測値の変化に応じて回転駆動される情報指針の回転駆動範囲を小さく抑えるように、前記情報指針で指し示す前記表示部の数値表示の範囲を大きくさせる表示変更制御手段と、
前記物理量の計測値を、前記情報指針により、前記表示部に表示された前記数値表示の範囲に応じた目盛で指し示す指針位置制御手段と、
を備えることを特徴とする電子時計。
【請求項2】
前記電圧検出手段によって検出された電圧が予め定められた設定電圧以下になった場合に、前記情報指針を前記目盛部の所定の目盛を指し示す位置に停止させる指針停止手段をさらに備え、前記表示変更制御手段は、前記表示部における数値表示の範囲の差分を所定の値に固定させて、前記情報指針を前記目盛部の所定の目盛を指し示す位置に停止させた状態で、前記物理量計測手段により計測された計測値を指し示せるようにしたことを特徴とする請求項1記載の電子時計。
【請求項3】
前記表示部に表示して指定する数値表示は、前記目盛部の目盛を前記情報指針によって指し示せる物理量計測値の最大値および最小値であることを特徴とする請求項1記載の電子時計。
【請求項4】
前記表示部は、前記目盛部の目盛を前記情報指針によって指し示せる物理量計測値の最大値および最小値をそれぞれ別個に表示する2つの表示部で構成されることを特徴とする請求項3記載の電子時計。
【請求項5】
前記物理量は、温度、高度、気圧の何れか一つであることを特徴とする請求項1記載の電子時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−57517(P2013−57517A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194538(P2011−194538)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】