電子書籍用綴じ方向決定装置、表示装置、電子書籍用綴じ方向決定方法、電子書籍用綴じ方向決定プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体
【課題】縦組みと横組みの文章が混在する電子書籍に対して最適な綴じ方向を決定できる電子書籍用綴じ方向決定装置を提供する。
【解決手段】予め決められた規則に従って電子書籍のデータを複数のフロー(分割範囲)に分けて、複数のフローの夫々について縦書きであるかまたは横書きであるかを表す組み方向の情報を電子書籍のデータから取得する組み方向情報取得部22と、組み方向情報取得部22により取得された複数のフローの夫々の組み方向の情報に基づいて、複数のフローのうちの組み方向が縦であるフローについて縦書きの文章量の総計を取得すると共に、複数のフローのうちの組み方向が横であるフローについて横書きの文章量の総計を取得する文章量取得部24と、文章量取得部24により取得された縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計に基づいて、電子書籍の綴じ方向を決定する綴じ方向決定部26とを備える。
【解決手段】予め決められた規則に従って電子書籍のデータを複数のフロー(分割範囲)に分けて、複数のフローの夫々について縦書きであるかまたは横書きであるかを表す組み方向の情報を電子書籍のデータから取得する組み方向情報取得部22と、組み方向情報取得部22により取得された複数のフローの夫々の組み方向の情報に基づいて、複数のフローのうちの組み方向が縦であるフローについて縦書きの文章量の総計を取得すると共に、複数のフローのうちの組み方向が横であるフローについて横書きの文章量の総計を取得する文章量取得部24と、文章量取得部24により取得された縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計に基づいて、電子書籍の綴じ方向を決定する綴じ方向決定部26とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子書籍用綴じ方向決定装置、表示装置、電子書籍用綴じ方向決定方法、電子書籍用綴じ方向決定プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子書籍を再生・閲覧するための装置およびソフトウェアは、電子書籍の表示をスクロールさせて読む形式が主流であった。そのため、フォーマットとして書籍の綴じ方向を持たない電子書籍のファイルが存在し、そのような電子書籍が有料コンテンツとして一般に販売されている。
【0003】
ところで、近年では、スマートフォンやタブレット型端末と呼称される携帯型の装置が発達し普及している。これらの携帯型デバイスは、紙の本のように画面をなぞってページめくりの操作を行い、自然にページをめくっているかのようなアニメーションを見せる事もできる。
【0004】
現在、これらのデバイスの高性能化により、現実の読書に似た体験をユーザーに提供できる携帯型デバイスが開発されている。例えば、本文の組み方向に応じて現実の書籍を模した綴じ方向とページめくりの方向が決められる電子書籍表示装置が、次に挙げる特許文献1(特開2005−274691号公報)に開示されている。
【0005】
この特許文献1に記載された電子書籍表示装置は、見開き型の装置であり、内側に画面を右ページ用と左ページ用に1つずつ備えている。この電子書籍表示装置の本文の表示も、縦組み(文が縦書き)なら右側が若いページとなり、横組み(文が横書き)なら左側が若いページとなっている。すなわち、この電子書籍表示装置は、ページを送る方向も現実の書籍と同様になっている。なお、この電子表示装置は、外側に表表紙用として液晶画面を1つ備えている。
【0006】
そして、この電子表示装置の特徴として、電子書籍に保存されている本文の組み方向が縦組みから横組みに切り換わったとき、または、横組みから縦組みに切り替わったとき、本文表示部に映し出す内容を上下さかさまにし、ユーザに装置の上下を持ち変えることを要求する。
【0007】
そうして、上記電子表示装置を上下逆さまにすると、表表紙用の液晶画面も、本文が縦組みなら右ページの裏になる一方、本文が横組みなら左ページの裏になるため、現実の書籍と同じ場所に表表紙が位置するようになっている。
【0008】
以上によって、ユーザは、現実の書籍と同様に、縦組みであれば綴じ方向が右であるように電子書籍を閲覧でき、横組みであれば綴じ方向が左であるように電子書籍を閲覧できる。
【0009】
現在、一般に販売されている電子書籍の中には、1つの書籍内に縦組みと横組みの本文が混在しているものがある。例をあげると、ほとんどの箇所は日本語の縦組みであるが、一部に中扉として英語の原題を横書きで表記したり、奥付を横書きで表記したり、図やグラフなどを表示する箇所はキャプション(見出し)として横書きで表記したりしているものがある。
【0010】
このため、上記特許文献1に記載された電子表示装置は、1つの電子書籍内に縦組みと横組みの文章が混在していることを考慮した設計になっていないため、縦組みと横組みが頻繁に入れ替わる電子書籍を読む場合に、頻繁に装置の上下を持ちかえなければならず、ユーザは閲覧に不快感を覚える。
【0011】
すなわち、上記電子表示装置では、縦組みと横組みの文章が混在している電子書籍は、綴じ方向が定まっていないために、ページめくりの順方向も定まっていないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−274691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述のように、綴じ方向が記録されていないような電子書籍を、電子書籍表示装置で表示する場合に、綴じ方向が一意に定まらないことが原因で、綴じ方向情報を利用した操作を行うとき、表示している文章の位置によって、次のページめくりの順方向が左になったり右になったりするという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、この発明の電子書籍用綴じ方向決定装置は、
予め決められた規則に従って電子書籍のデータを複数の分割範囲に分けて、上記複数の分割範囲の夫々について文字の配列方向が縦であるかまたは横であるかを表す組み方向の情報を上記電子書籍のデータから取得する組み方向情報取得部と、
上記組み方向情報取得部により取得された上記複数の分割範囲の夫々の上記組み方向の情報に基づいて、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲について縦書きの文章量の総計を取得すると共に、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲について横書きの文章量の総計を取得する文章量取得部と、
上記文章量取得部により取得された上記縦書きの文章量の総計と上記横書きの文章量の総計に基づいて、上記電子書籍の綴じ方向を決定する綴じ方向決定部と
を備えることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、組み方向情報取得部によって、予め決められた規則に従って電子書籍のデータを複数の分割範囲に分けて、複数の分割範囲の夫々について文字の配列方向が縦であるかまたは横であるかを表す組み方向の情報を電子書籍のデータから取得する。ここで、「予め決められた規則」としては、例えば、表紙、目次、表題、本文などの種別で分けたり、さらにその本文を章または段落等で分けたりする方法を定めたものである。そうして、上記組み方向情報取得部により取得された複数の分割範囲の夫々の組み方向の情報に基づいて、文章量取得部は、複数の分割範囲のうちの組み方向が縦である分割範囲について縦書きの文章量の総計を取得すると共に、複数の分割範囲のうちの組み方向が横である分割範囲について横書きの文章量の総計を取得する。この文章量取得部により取得された縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計に基づいて、綴じ方向決定部により電子書籍の綴じ方向を決定する。例えば、上記横書きの文章量(文字数)の総計よりも縦書きの文章量(文字数)の総計が大きい場合、電子書籍を実際の書籍とみなしたときの表紙の正面視において、右側が綴じられた状態(綴じ方向が「右」)であり、左から右へのページめくりを順方向とする。また、上記縦書きの文章量(文字数)の総計よりも横書きの文章量(文字数)の総計が大きい場合、電子書籍を実際の書籍とみなしたときの表紙の正面視において、左側が綴じられた状態(綴じ方向が「左」)であり、右から左へのページめくりを順方向とする。
【0016】
このように、電子書籍用綴じ方向決定装置は、縦組み(文が縦書き)と横組み(文が横書き)の文章が混在する電子書籍に対して最適な綴じ方向を決定できる。それ故、この発明の電子書籍用綴じ方向決定装置では、綴じ方向の指定のないフォーマットの電子書籍の綴じ方向を自動で決定することができる。
【0017】
また、一実施形態の電子書籍用綴じ方向決定装置では、
上記綴じ方向決定部は、
上記縦書きの文章量の総計が上記横書きの文章量の総計以上か否か判定する文章量判定部と、
上記文章量判定部が上記縦書きの文章量の総計が上記横書きの文章量の総計以上と判定すると、上記電子書籍の綴じ方向を右に決定し、左から右へのページめくり方向を順方向に決定する一方、上記文章量判定部が上記縦書きの文章量の総計が上記横書きの文章量の総計未満であると判定すると、上記電子書籍の綴じ方向を左に決定し、右から左へのページめくり方向を順方向に決定するページめくり方向決定部と
を有する。
【0018】
上記実施形態によれば、綴じ方向決定部の文章量判定部が縦書きの文章量の総計が横書きの文章量の総計以上と判定すると、綴じ方向決定部のページめくり方向決定部は、電子書籍の綴じ方向を「右」に決定し、左から右へのページめくり方向を順方向に決定する。一方、綴じ方向決定部の文章量判定部が縦書きの文章量の総計が横書きの文章量の総計未満であると判定すると、綴じ方向決定部のページめくり方向決定部は、電子書籍の綴じ方向を「左」に決定し、右から左へのページめくり方向を順方向に決定する。これにより、綴じ方向決定部は、電子書籍の綴じ方向とページめくり方向を決定して、電子書籍の綴じ方向およびページめくり方向に基づいて、例えば電子書籍表示装置において最適なページめくりの表示をすることが可能となり、縦書きと横書きが混在した電子書籍であっても、ユーザに快適な読書サービスを提供できる。
【0019】
また、一実施形態の電子書籍用綴じ方向決定装置では、
上記文章量取得部で取得する上記縦書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲の総数であり、
上記文章量取得部で取得する上記横書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲の総数である。
【0020】
上記実施形態によれば、文章量取得部で取得する縦書きの文章量の総計として、複数の分割範囲のうちの組み方向が縦である分割範囲の総数を用いると共に、文章量取得部で取得する横書きの文章量の総計として、複数の分割範囲のうちの組み方向が横である分割範囲の総数を用いることによって、文章量を高速で求めることができ、電子書籍のデータサイズが大きい場合に特に有用である。
【0021】
また、一実施形態の電子書籍用綴じ方向決定装置では、
上記文章量取得部で取得する上記縦書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲のデータの総バイト数であり、
上記文章量取得部で取得する上記横書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲のデータの総バイト数である。
【0022】
上記実施形態によれば、文章量取得部で取得する縦書きの文章量の総計として、複数の分割範囲のうちの組み方向が縦である分割範囲のデータの総バイト数を用いると共に、文章量取得部で取得する横書きの文章量の総計として、複数の分割範囲のうちの組み方向が横である分割範囲のデータの総バイト数を用いることによって、分割範囲の総数を文章量とするよりも、正確な文章量を得ることができる。ここで、電子書籍の分割範囲毎のデータの総バイト数としては、タグ情報、文字サイズ、画像の位置情報、ルビなどの表示に関係する補足的な情報のバイト数を含んだまま扱うことにより、電子書籍の本文のみを切り出す操作を行うことなく、データサイズから簡単に文章量が得られる。
【0023】
また、一実施形態の電子書籍用綴じ方向決定装置では、
上記文章量取得部で取得する上記縦書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲の総文字数であり、
上記文章量取得部で取得する上記横書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲の総文字数である。
【0024】
上記実施形態によれば、文章量取得部で取得する縦書きの文章量の総計として、複数の分割範囲のうちの組み方向が縦である分割範囲の総文字数を用いると共に、文章量取得部で取得する横書きの文章量の総計として、複数の分割範囲のうちの組み方向が横である分割範囲の総文字数を用いることによって、分割範囲のデータの総バイト数を文章量とするよりも、より正確な文章量を得ることができる。
【0025】
また、一実施形態の電子書籍用綴じ方向決定装置では、
上記文章量取得部で取得する上記縦書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲を表示装置に表示するときの総ページ数であり、
上記文章量取得部で取得する上記横書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲を上記表示装置に表示するときの総ページ数である。
【0026】
上記実施形態によれば、文章量取得部で取得する縦書きの文章量の総計として、複数の分割範囲のうちの組み方向が縦である分割範囲を表示装置に表示するときの総ページ数を用いると共に、文章量取得部で取得する横書きの文章量の総計として、複数の分割範囲のうちの組み方向が横である分割範囲を表示装置に表示するときの総ページ数を用いることによって、画像や異なる文字サイズの文章が混在しても、正確な文章量を得ることができる。
【0027】
また、一実施形態の電子書籍用綴じ方向決定装置では、
上記複数の分割範囲の夫々の種別毎に予め設定された重み付け情報を取得する重み付け情報取得部を備え、
上記文章量取得部は、
上記電子書籍のデータの上記複数の分割範囲の夫々について上記縦書きの文章量と上記横書きの文章量を取得する分割範囲文章量取得部と、
上記分割範囲文章量取得部により取得された上記複数の分割範囲の夫々の上記縦書きの文章量と上記横書きの文章量に対して、上記重み付け情報取得部により取得された上記重み付け情報に基づいて重み付けを行う文章量重み付け部と、
上記文章量重み付け部により重み付けされた上記複数の分割範囲の夫々の上記縦書きの文章量と上記横書きの文章量に基づいて、上記縦書きの文章量の総計と上記横書きの文章量の総計を求める文章量総計算出部と
を有する。
【0028】
上記実施形態によれば、文章量取得部の分割範囲文章量取得部は、電子書籍のデータの複数の分割範囲の夫々について縦書きの文章量と横書きの文章量を取得する。そして、分割範囲文章量取得部により取得された複数の分割範囲の縦書きの文章量と横書きの文章量に対して、文章量取得部の文章量重み付け部は、重み付け情報取得部により取得された重み付け情報に基づいて重み付けを行う。そうして、重み付けされた複数の分割範囲の夫々の縦書きの文章量と横書きの文章量に基づいて、文章量取得部の文章量総計算出部は、縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計を求める。例えば、奥付や表示の重みを0.1とし、本文の重みを1.0とすることにより、本文の文章量を反映させた最適な綴じ方向を決定することができる。
【0029】
また、一実施形態の電子書籍用綴じ方向決定装置では、
上記電子書籍の言語情報を取得する言語情報取得部を備え、
上記綴じ方向決定部は、上記文章量取得部により取得された上記縦書きの文章量の総計と上記横書きの文章量の総計および上記言語情報取得部により取得された上記電子書籍の上記言語情報に基づいて、上記電子書籍の綴じ方向を決定する。
【0030】
上記実施形態によれば、文章量取得部により取得された縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計および言語情報取得部により取得された電子書籍の言語情報に基づいて、綴じ方向決定部により電子書籍の綴じ方向を決定することによって、例えば、文章量取得部により取得された縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計により基本の綴じ方向を判定した後、この基本の綴じ方向と電子書籍の言語毎に設定されている綴じ方向とを組み合わせて、最適な綴じ方向を決定することが可能になる。
【0031】
また、この発明の表示装置では、
上記電子書籍用綴じ方向決定装置と、
電子書籍の縦書きおよび横書きの表示が可能で、かつ、上記電子書籍に対して左から右へのページめくりおよび右から左へのページめくりの表示が可能な表示部と、
上記電子書籍用綴じ方向決定装置により決定された上記電子書籍の綴じ方向に基づいて、上記左から右へのページめくりおよび上記右から左へのページめくりの表示を上記表示部に指示するための操作部と
を備えることを特徴とする。
【0032】
上記構成によれば、電子書籍用綴じ方向決定装置によって、縦組みと横組みの文章が混在する電子書籍に対して決定された電子書籍の最適な綴じ方向に基づいて、操作部により左から右へのページめくりおよび右から左へのページめくりの表示を表示部に指示することによって、縦書きと横書きが混在した電子書籍であっても、ユーザに快適な読書サービスを提供できる。例えば、上記表示装置の表示部としては、ページをめくるアニメーションやカードがスライドするアニメーションなどを用いて、左から右へのページめくりおよび右から左へのページめくりの表示を行う。また、上記表示装置の操作部としては、十字キーやタッチスクリーンなどを用いてページめくりの操作を行う。
【0033】
また、一実施形態の表示装置では、
パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話機および電子書籍リーダーのうちのいずれか1つであることを特徴とする。
【0034】
また、この発明の電子書籍用綴じ方向決定方法では、
予め決められた規則に従って電子書籍のデータを複数の分割範囲に分けて、上記複数の分割範囲の夫々に対して縦書きであるかまたは横書きであるかを表す組み方向の情報を組み方向情報取得部により取得する情報取得ステップと、
上記情報取得ステップにおいて取得された上記複数の分割範囲の夫々の上記組み方向の情報に基づいて、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲について縦書きの文章量の総計を文章量取得部により取得すると共に、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲について横書きの文章量の総計を上記文章量取得部により取得する文章量取得ステップと、
上記文章量取得ステップにおいて取得された上記縦書きの文章量の総計と上記横書きの文章量の総計に基づいて、上記電子書籍の綴じ方向を綴じ方向決定部により決定する綴じ方向決定ステップと
を含むことを特徴とする。
【0035】
上記構成によれば、組み方向情報取得部によって、予め決められた規則に従って電子書籍のデータを複数の分割範囲に分けて、複数の分割範囲の夫々について縦書きであるかまたは横書きであるかを表す組み方向の情報を取得する。そうして、上記組み方向情報取得部により取得された複数の分割範囲の夫々の組み方向の情報に基づいて、文章量取得部は、複数の分割範囲のうちの組み方向が縦である分割範囲について縦書きの文章量の総計を取得すると共に、複数の分割範囲のうちの組み方向が横である分割範囲について横書きの文章量の総計を取得する。次に、この文章量取得部により取得された縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計に基づいて、綴じ方向決定部により電子書籍の綴じ方向を決定する。このようにして、縦組みと横組みの文章が混在する電子書籍に対して最適な綴じ方向を決定できる。
【0036】
また、この発明の電子書籍用綴じ方向決定プログラムでは、
上記電子書籍用綴じ方向決定方法の上記各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0037】
上記構成によれば、上記電子書籍用綴じ方向決定方法の上記各ステップをコンピュータに実行させることによって、縦組みと横組みの文章が混在する電子書籍に対して最適な綴じ方向を決定できる。
【0038】
また、この発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体では、
上記電子書籍用綴じ方向決定プログラムを記録したことを特徴とする。
【0039】
上記構成によれば、上記コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された上記電子書籍用綴じ方向決定プログラムをコンピュータに読み込んで上記電子書籍用綴じ方向決定方法を実行することによって、縦組みと横組みの文章が混在する電子書籍に対して最適な綴じ方向を決定できる。
【発明の効果】
【0040】
以上より明らかなように、この発明の電子書籍用綴じ方向決定装置、表示装置、電子書籍用綴じ方向決定方法、電子書籍用綴じ方向決定プログラムコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、縦組みと横組みの文章が混在する電子書籍に対して最適な綴じ方向を決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態の綴じ方向決定装置を備えた電子書籍リーダーの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は上記綴じ方向決定装置の動作を説明するための図である。
【図3】図3は上記綴じ方向決定装置の組み方向情報取得部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】図4は上記綴じ方向決定装置の文章量取得部と綴じ方向決定部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図5は上記綴じ方向決定装置の文章量取得部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】図6はフロー数を文章量として用いる文章量取得部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】図7はバイト数を文章量として用いる文章量取得部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】図8は文字数を文章量として用いる文章量取得部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】図9はページ数を文章量として用いる文章量取得部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図10は電子書籍再生部の現在表示しているフローの組み方向を決定する方法を説明するためのフローチャートである。
【図11】図11は綴じ方向決定部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】図12はコンテンツ表示部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】図13は画像を含むページの表示例を示す図である。
【図14】図14はこの発明の第2実施形態の綴じ方向決定装置を備えた電子書籍リーダーの概略構成を示すブロック図である。
【図15】図15は電子書籍の本文が3つに分割された第1フロー、第2フロー、第3フローの表示例を示す図である。
【図16】図16は綴じ方向が右の実際の書籍の模式図である。
【図17】図17は綴じ方向が左の実際の書籍の模式図である。
【図18】図18は図16に示す右綴じ書籍のページめくりの順方向を示す図である。
【図19】図19は図17に示す左綴じ書籍のページめくりの順方向を示す図である。
【図20】図20は上記第1実施形態の電子書籍リーダーの左から右へのページめくりの表示動作を説明する正面図である。
【図21】図21は上記電子書籍リーダーの右から左へのページめくりの表示動作を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、この発明の電子書籍用綴じ方向決定装置、表示装置、電子書籍用綴じ方向決定方法、電子書籍用綴じ方向決定プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0043】
〔第1実施形態〕
図1はこの発明の第1実施形態の綴じ方向決定装置20を備えた電子書籍リーダー1の概略構成を示すブロック図を示している。
【0044】
この電子書籍リーダー1は、図1に示すように、コンテンツデータ取得部10と、電子書籍用綴じ方向決定装置の一例としての綴じ方向決定装置20と、操作部30と、電子書籍再生部40と、コンテンツ表示部50とを備えている。電子書籍リーダー1は、電子書籍を再生,表示等することが可能な端末機器である。また、綴じ方向決定装置20は、組み方向情報取得部22と、文章量取得部24と、綴じ方向決定部26とを備えている。
【0045】
また、上記綴じ方向決定部26は、縦書きの文章量の総計が横書きの文章量の総計以上か否か判定する文章量判定部26aと、文章量判定部26aが縦書きの文章量の総計が横書きの文章量の総計以上と判定すると、電子書籍の綴じ方向を右に決定し、左から右へのページめくり方向を順方向に決定する一方、文章量判定部26aが縦書きの文章量の総計が横書きの文章量の総計未満であると判定すると、電子書籍の綴じ方向を左に決定し、右から左へのページめくり方向を順方向に決定するページめくり方向決定部26bとを有する。
【0046】
まず、綴じ方向決定装置20の概略を説明する。なお、理解の容易のため、最初に綴じ方向決定装置20の概略動作を説明し、その次に、綴じ方向決定装置20を内蔵する電子書籍リーダー1の詳細動作およびその効果等について説明する。
【0047】
ここで、この第1実施形態では、綴じ方向決定装置20は、電子書籍リーダー1に内蔵されているものとして説明する。しかしながら、綴じ方向決定装置20は、電子書籍リーダー1に外付けされてもよいし、また、電子書籍リーダー1ではなく、パーソナルコンピュータや携帯情報端末(PDA(Personal Digital Assistant:パーソナル・デジタル・アシスタント))、携帯電話等の表示装置に内蔵または外付けされる構成で実現されてもよい。
【0048】
上記第1実施形態における電子書籍のデータのフォーマットについて説明する。この電子書籍のデータは、表紙、タイトル、著者および本文の情報を持つ。電子書籍のデータは、必ず任意の1つ以上の分割範囲に分けられ、この分割範囲の呼称を「フロー」という。フローは、電子書籍の表紙から順番通りに並び、番号が設定され、その番号は自然数である。また、各フローには組み方向が、「横」、「縦」、「規定なし」の三つの値の内のいずれかが設定されている。電子書籍のデータが上記以外に持つ情報は、デフォルト(予め用意された標準値)の組み方向と、各フローの組み方向と、各フローの文章量である。
【0049】
例えば、図15では、電子書籍の本文が3つに分割された第1フロー、第2フロー、第3フローの例を上側に示し、その第1〜第3フローをコンテンツ表示部50により表示したときのページ構成を下側に示している。ここで、文字数の多い第1フローは第1ページと第2ページに縦書きで表示され、文字数の少ない第2フローは第3ページに横書きで表示され、文字数の多い第3フローは第4ページと第5ページに縦書きで表示される。
【0050】
ただし、このような電子書籍のデータのフォーマットは一例であって、本発明の他の実施形態としては、単にHTML(HyperText Markup Language)のようなタグ付けによる縦書き、横書きの指定を行っただけの電子書籍のデータでも構わない。この場合でも、電子書籍のデータを組み方向別に任意の分割範囲(フロー)に分けることができ、かつ、文章量も算出できるため、本発明の組み方向情報取得部と文章量取得部の条件を満たす。さらに、電子書籍は、表紙、目次、表題、本文などの種類や、本文内の章、段楽等の各種の条件に応じて各々別の種類のフローとして作成される。
【0051】
図2は綴じ方向決定装置20の概略動作を説明するための図であり、図2(a)は、電子書籍リーダー1に綴じ方向決定装置20が組み込まれていない場合に、次のような電子書籍のデータを再生したときの動作を示している。
【0052】
すなわち、デフォルトの組み方向が「縦」であり、フローが3つ存在して、第2フローに組み方向が「横」と設定されている電子書籍のデータである。
【0053】
このとき、電子書籍再生部40は、現在再生しているフローの組み方向によって現在のページめくりの順方向を決定する。現実の書籍にならって、組み方向が「縦」ならばページめくりの順方向を左から右とし、組み方向が「横」ならばページめくりの順方向を右から左とする。そうすると、図2(a)では、第2フローのみがページめくりの順方向が右から左となってしまう。このため、例えば、ユーザはまず第1フローを左から右にページをめくった後、第2フローに進み、ここで前ページと同じ方向にめくればよいと期待して左から右にページをめくった場合は、第2フローでは左は逆方向に相当するため、その前の第1フローに戻ってしまう。こうした操作結果は、現実の書籍のページめくりに反しているため、ユーザはこの操作結果に不快感を覚える。
【0054】
一方、図2(b)は、電子書籍リーダー1に綴じ方向決定装置20を組み込んだ場合に、同じ電子書籍のデータを再生したときの動作を示している。ページめくりの順方向がどのページでも同じ方向に変更されている。
【0055】
綴じ方向決定装置20は、電子書籍のデータに予め指定されたデフォルトの組み方向と、各フローの組み方向および各フローの文章量を取得する。そして、組み方向が「縦」の文章の文章量の総計と、組み方向が「横」の文章の文章量の総計とを算出して、文章量の総計が多い方の組み方向を電子書籍全体の組み方向とみなす。そして、電子書籍全体の組み方向が「縦」ならば綴じ方向を右とし、電子書籍全体の組み方向が「横」ならば綴じ方向を左として、電子書籍全体でページめくりの順方向を一定のものにする。
【0056】
ここで、実際の書籍の場合の綴じ方向について説明する。図16は綴じ方向が右の実際の書籍(組み方向が「縦」)の模式図を示しており、図17は綴じ方向が左の書籍(組み方向が「横」)の模式図を示している。図16に示す右綴じの書籍のページめくりの順方向は、図18に示すように、左から右にページをめくる方向である。一方、図17に示す左綴じの書籍のページめくりの順方向は、図19に示すように、右から左にページをめくる方向である。
【0057】
これに対して、図20,図21は第1実施形態の電子書籍リーダー1のページめくりの表示動作を説明するための図である。図20に示すように、電子書籍リーダー1のコンテンツ表示部50の表示画面(液晶ディスプレイのタッチパネル部)を指先で左から右になぞることによって、左から右にページめくりが行われ、実際のページめくりを模したアニメーションを表示する。また、図21に示すように、電子書籍リーダー1のコンテンツ表示部50の表示画面(液晶ディスプレイのタッチパネル部)を指先で右から左になぞることによって、右から左にページめくりが行われ、実際のページめくりを模したアニメーションを表示する。
【0058】
次に、電子書籍リーダー1の各部の詳細を説明する。なお、綴じ方向の決定は、その性質上、ページめくりの操作を行う前に処理しておく必要がある。したがって、電子書籍リーダー1で電子書籍のファイルを新たに開いた後、電子書籍の表示を開始する前に綴じ方向の決定が行われる。
【0059】
コンテンツデータ取得部10は、パーソナルコンピュータや携帯情報端末(PDA)、携帯電話などで再生、表示可能な電子書籍のデータを含むコンテンツデータを取得する。電子書籍のデータには、概略動作で説明した情報が含まれている。
【0060】
ここで、理解を容易にするためにページという概念について説明する。第1実施形態における電子書籍のデータのフォーマットにおいては、電子書籍はページという単位で文章を保持していない。ページめくりによる操作およびページめくりの表示は、あたかも現実の書籍と同じように新しいページをめくっているとユーザの目には映る。しかし、実際は、電子書籍リーダー1が表示する文章の開始位置を変えて、新しくそこから文章を表示しているだけである。ページという単位や概念は、第1実施形態における電子書籍にはない。以下、ページめくりで「ページ」という単語は、コンテンツ表示部50に一度に表示できる、すなわちページめくりを行わないままで表示できる文章か、またはコンテンツ表示部50に表示されている画像そのものを指す。なお、電子書籍の「フローのページ数」と言った場合は、そのフローを最初から最後まですべて表示するのに要するページの数を意味する。ただし、上記は第1実施形態における例であって、電子書籍がページという単位で文章、画像その他の情報を保持していても、電子書籍が綴じ方向を記録していない限りは、本発明の綴じ方向決定装置は有効である。
【0061】
電子書籍再生部40は、表示する文章の組み方向を決定する。また、表示する文章の開始位置を保持しており、ページめくりの操作が行われるたびに更新を行う。また、ページめくりされるたびに現在のページと、ひとつ前のページと、ひとつ次のページの文章内容を描画して画像を生成して、これをコンテンツ表示部50に渡す。
【0062】
電子書籍再生部40がどのようにして現在表示しているフローの組み方向を決定するかについて説明する。電子書籍のデータが持つフローの組み方向およびデフォルトの組み方向は、「規定なし」、「縦」、「横」の3つのうちのどれかを表す値をとる。これらの値をコンテンツデータ取得部10から取得する。そして、電子書籍再生部40自身が持つ通常の組み方向は、電子書籍のデータに関わらず縦に固定されている。
【0063】
まず、表示するフローに設定されている組み方向が「規定なし」でないなら、その組み方向がそのまま表示する文章の組み方向となる。フローの組み方向が「規定なし」ならば、次に電子書籍のデータの持つデフォルトの組み方向を読みに行く。これが「規定なし」でないなら、その電子書籍のデータの持つデフォルトの組み方向がそのまま表示する文章の組み方向となる。「規定なし」ならば、電子書籍再生部40自身が持つ通常の組み方向が、表示する文章の組み方向となる。
【0064】
図10に示すフローチャートに従って表示する文章の組み方向を決定する電子書籍再生部40の動作を説明する。
【0065】
まず、電子書籍再生部40は、ステップS71において、現在表示している第iフローを取得する。
【0066】
次に、ステップS72に進み、組み方向のデフォルト値dを取得する。次に、ステップS73に進み、ユーザー設定組み方向の値uを取得する。ここで、「ユーザー設定組み方向」の値uとは、ユーザーにより任意に設定された「縦」か「横」の2値のどちらかである。
【0067】
次に、ステップS74に進み、第iフローの組み方向が「規定なし」であると判定すると、ステップS75に進む一方、第iフローの組み方向が「規定なし」でないと判定すると、この処理を終了して、第iフローの組み方向が用いられる。
【0068】
そして、ステップS75では、組み方向のデフォルト値dが「規定なし」であると判定すると、ステップS78に進み、第iフローの組み方向を、ユーザー設定組み方向の値uに設定して、この処理を終了する。すなわち、デフォルトの組み方向がない書籍で、かつ、フローの組み方向が設定されていないフローがあるという条件の時のみ、「ユーザー設定組み方向」の値uが参照され、この条件のときのフローの組み方向を、「ユーザー設定組み方向」の「縦」か「横」の2値のどちらかとする。
【0069】
一方、ステップS75で組み方向のデフォルト値dが「規定なし」でないと判定すると、ステップS76に進み、組み方向のデフォルト値dが「縦」か否かを判定する。
【0070】
そして、ステップS76で組み方向のデフォルト値dが「縦」であると判定すると、ステップS79に進み、第iフローの組み方向を「縦」に設定して、この処理を終了する。一方、ステップS76で組み方向のデフォルト値dが「縦」でないと判定すると、ステップS77に進み、第iフローの組み方向を「横」に設定して、この処理を終了する。
【0071】
また、操作部30は、実際に人の手によってページめくりの操作を受け付ける装置であり、ページめくりの操作を、左から右にめくるか右から左にめくるかで指示できる。
【0072】
また、コンテンツ表示部50は、電子書籍再生部40から現在のページの画像と、1つ前のページの画像と、1つ次のページの画像を取得する。また、コンテンツ表示部50は、綴じ方向決定装置20から綴じ方向を取得する。そして、操作部30でページめくりの操作が行われた時は、左から右にページをめくったか右から左にページをめくったかを、操作部30からコンテンツ表示部50に通知される仕組みになっている。操作部30がページめくりの操作を受けていない時は、コンテンツ表示部50は、現在のページの画像をそのまま表示する。操作部30からページめくりの操作を通知されたら、コンテンツ表示部50は、まず順方向にページがめくられたなら、現在のページと1つ次のページの画像を合成させて表示し、ページめくりを視覚的に表現する。逆方向にページがめくられたなら、現在のページと1つ前のページの画像を合成させて表示し、現実のページめくりを模したアニメーションを表示する。このアニメーションは、実際に書籍の紙面が1枚めくられるように表示される動画である。なお、このアニメーションは、現ページの表示から次ページの表示にスライドしながら変わるものでもよく、ページめくりが行われていることがユーザーに認識されるような他の表示形態であってもよい。
【0073】
図12にコンテンツ表示部50の動作を説明するためのフローチャートを示している。
【0074】
まず、コンテンツ表示部50は、ステップS91において、電子書籍再生部40から電子書籍の綴じ方向を取得する。
【0075】
次に、ステップS92に進み、操作部30からページめくりの操作が通知されたか否かを判定する。そして、ステップS92で操作部30からページめくりの操作が通知されたと判定すると、ステップS93に進む一方、操作部30からページめくりの操作が通知されていないと判定すると、ステップS92を繰り返す。
【0076】
そして、ステップS93では、操作部30から通知されたページめくりの操作が左から右へのページめくりであると判定すると、ステップS95に進む一方、操作部30から通知されたページめくりの操作が左から右へのページめくりでないと判定すると、ステップS94に進む。
【0077】
ステップS95で電子書籍の綴じ方向が右であると判定すると、ステップS97に進み、順方向のページめくり表示をして、この処理を終了する。
【0078】
一方、電子書籍の綴じ方向が右でないと判定すると、ステップS96に進み、逆方向のページめくり表示をして、この処理を終了する。
【0079】
また、ステップS94では、電子書籍の綴じ方向が左であると判定すると、ステップS97に進む一方、電子書籍の綴じ方向が左でないと判定すると、ステップS96に進む。
【0080】
綴じ方向決定装置20は、コンテンツデータ取得部10から、デフォルトの組み方向と、各フローの組み方向と、各フローの文章量を取得して、このデフォルトの組み方向と各フローの組み方向と各フローの文章量に基づいて電子書籍の綴じ方向を決定する。そして、綴じ方向決定装置20は、決定した綴じ方向をコンテンツ表示部50に渡す。
【0081】
この第1実施形態では、コンテンツ表示部50に現実のページめくりを模したアニメーションを表現できるものを採用すると共に、操作部30左から右にページをめくるか右から左にページをめくるかを指示するものを採用したが、本発明を実施する際は、次の(1),(2)のどちらか一方の条件を満たしていればよい。
【0082】
(1) コンテンツ表示部50は、右から左にページをめくったか、左から右にページをめくったかを視覚的に表現する。
【0083】
(2) 操作部30は、ページめくりの方向を、順方向か逆方向かではなくて、左から右へのページめくりか右から左へのページめくりかを指示する。
【0084】
例えば、上記(1)の条件を満たしていれば、操作部30は順方向か逆方向かのみを指示する単純なスイッチの機構でも構わない。また、上記(2)の条件を満たしていれば、上記(1)の条件は単に瞬間的に現在のページの画像から次のページの画像に表示が切り替わるものでも構わない。なぜなら、上記(1)と(2)の条件を両方とも満たしていないなら、その電子書籍リーダーはページめくりを表現しようという機能を持ち合わせておらず、図2(a)で説明したような不快な操作をユーザに体験させる事はないからである。
【0085】
次に、綴じ方向決定装置20の実際の動作を説明する。
【0086】
<組み方向の情報の取得>
図1に示す組み方向情報取得部22は、コンテンツデータ取得部10から、デフォルトの組み方向と、各フローの組み方向を取得する。このデフォルトの組み方向および各フローの組み方向から、最終的に「縦」か「横」のどちらの組み方向で各フローの文章を表示するかを決定する。フローの組み方向が「縦」か「横」なら、それをそのままフローの組み方向とみなし、「規定なし」ならば、デフォルトの組み方向をフローの組み方向とみなす。さらに、デフォルトの組み方向も「規定なし」ならば、フローの組み方向は、「ユーザー設定組み方向」とする。
【0087】
図3に綴じ方向決定装置20の組み方向情報取得部22の動作を説明するためのフローチャートを示している。
【0088】
まず、組み方向情報取得部22は、ステップS1において、組み方向のデフォルト値dを取得する。次に、ステップS2に進み、ユーザー設定組み方向の値uを取得する。
【0089】
次に、ステップS3に進み、全フロー数nを取得する。
【0090】
次に、ステップS4に進み、第iフローの組み方向が「規定なし」であると判定すると、ステップS5に進む一方、第iフローの組み方向が「規定なし」でないと判定すると、第iフローをインクリメントした後、第iフローがn未満であればステップS4に戻り、第iフローがnであればこの処理を終了する。
【0091】
そして、ステップS5では、組み方向のデフォルト値dが「規定なし」であると判定すると、ステップS8に進み、第iフローの組み方向を、ユーザー設定組み方向の値uに設定して、第iフローをインクリメントした後、第iフローがn未満であればステップS4に戻り、第iフローがnであればこの処理を終了する。
【0092】
一方、ステップS5で組み方向のデフォルト値dが「規定なし」でないと判定すると、ステップS6に進み、組み方向のデフォルト値dが「縦」か否かを判定する。
【0093】
そして、ステップS6で組み方向のデフォルト値dが「縦」であると判定すると、ステップS9に進み、第iフローの組み方向を「縦」に設定して、第iフローをインクリメントした後、第iフローがn未満であればステップS4に戻り、第iフローがnであればこの処理を終了する。
【0094】
一方、組み方向のデフォルト値dが「縦」でないと判定すると、ステップS7に進み、第iフローの組み方向を「横」に設定して、第iフローをインクリメントした後、第iフローがn未満であればステップS4に戻り、第iフローがnであればこの処理を終了する。
【0095】
<文章量の取得>
図4は上記文章量取得部24と綴じ方向決定部26の動作を説明するためのフローチャートを示しており、図4に示すように、ステップS11で縦書きの文章量nr_downと横書きの文章量nr_rightを夫々0に設定する。次に、ステップS12に進み、文章量取得部24は、文章量を算出する。より詳しくは、文章量取得部24は、組み方向情報取得部22から各フローの組み方向を取得して、縦書きの文章量の総計と、横書きの文章量の総計を算出する。このとき、組み方向情報取得部22から縦書きのフローがどれだけの数あるか、横書きのフローがどれだけの数あるかを算出し、これをそのまま縦書きの文章量の総計と、横書きの文章量の総計とみなす。
【0096】
次に、ステップS13に進み、綴じ方向決定部26により綴じ方向を決定する。
【0097】
図5は上記綴じ方向決定装置20の文章量取得部24の動作を説明するためのフローチャートを示している。また、図6はフロー数を文章量として用いる文章量取得部24の動作を説明するためのフローチャートを示している。図5と図6のどちらも、縦書きの文章量はnr_downという変数で、横書きの文章量はnr_rightという変数で表される(初期値0)。また、図5では、第iフローが0,1,2,…,nについてステップS21〜S24を繰り返す(nは組み方向情報取得部22で取得された全フロー数)。
【0098】
まず、図5に示すように、文章量取得部24は、ステップS21で第iフローの文章量nr_textを取得する。この実施形態では、図6に示すように、第iフローの文章量nr_textは1である。
【0099】
次に、ステップS22に進み、第iフローの組み方向を「縦」であると判定すると、ステップS24に進み、縦書きの文章量nr_downに文章量nr_textを加算する。そして、第iフローをインクリメントした後、第iフローがn未満であればステップS21に戻り、第iフローがnであればこの処理を終了する。
【0100】
一方、ステップS22に進み、第iフローの組み方向を「縦」でないと判定すると、ステップS23に進み、横書きの文章量nr_rightに文章量nr_textを加算する。そして、第iフローをインクリメントした後、第iフローがn未満であればステップS21に戻り、第iフローがnであればこの処理を終了する。
【0101】
これにより、文章量取得部24は、フロー数で表された縦書きの文章量の総計(nr_down)と横書きの文章量の総計(nr_right)を取得する。
【0102】
なお、文章量としてフロー数を用いたが、図7に示すように、バイト数を文章量として用いてもよい。図7にバイト数を文章量として用いる文章量取得部24の動作を説明するためのフローチャートを示している。
【0103】
図5に示すステップS21において、文章量取得部24が第iフローの文章量nr_textを取得するとき、文章量取得部24は、図7に示すステップS41で第iフローのファイル上でのサイズsを取得する。
【0104】
次に、ステップS42に進み、第iフローの文章量nr_textをsとする。
【0105】
ここで、サイズsの単位は、文字数でも、データのバイト数でも良く、一元的に文章の量を比較できるものならば何でもよい。図7では、文章を一定以下のメモリ上でのサイズを取るような単位(ブロック)に切り分け、これを文章量の単位とした。
【0106】
また、上記第1実施形態では、各フローのブロック数が電子書籍のファイルに直接記録されているが、本発明を用いた他の実施形態としては、文章量が電子書籍のファイルに直接記録されていなくてもかまわない。電子書籍のファイルに分割範囲の切り分けが記録されている限り、各分割範囲の文章量は算出可能だからである。
【0107】
なお、フロー数が例えば100以上のときはフロー数を文章量として用いて、文章量の正確な文字数やバイト数の取得と計算を省くことで高速化を図ってもよい。このときの閾値は、フロー数100に限らず、実施の形態によって適切な値を自由に決めてよい。また、綴じ方向決定装置20の処理能力が十分に高速であれば、フロー数をそのまま文章量とする(図6)のやり方を行う必要はなく、すべて図7の手法で各組み方向の文章量の総計を算出してよい。この場合、フロー数の閾値は不要となる。
【0108】
<綴じ方向の決定>
最後に、綴じ方向決定部26は、縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計を比較して、より多い方の組み方向から綴じ方向を決定する。すなわち、組み方向が縦のフローの数が多い場合は綴じ方向は「右」であり、組み方向が横のフローの数が多いなら綴じ方向は「左」である。
【0109】
図11は綴じ方向決定部26の動作を説明するフローチャートを示しており、綴じ方向決定部26は、ステップS81で縦書きの文章量の総計(nr_down)が横書きの文章量の総計(nr_right)未満であると判定すると、ステップS83に進み、綴じ方向を「左」として、この処理を終了する。
【0110】
一方、ステップS81で縦書きの文章量の総計(nr_down)が横書きの文章量の総計(nr_right)以上であると判定すると、ステップS82に進み、綴じ方向を「右」として、この処理を終了する。
【0111】
なお、理解の容易のため、次に具体的な電子書籍のデータを挙げて、綴じ方向決定装置20によって、文章量にブロック数を用いて最適な綴じ方向が決定される過程を確認する。
【0112】
すなわち、電子書籍の持つデフォルトの組み方向が縦、フロー数が4とする。そして、第1フローは文章量が1ブロックであり、表紙を表していて、フロー別の組み方向は規定なしである。また、第2フローは文章量が1ブロックであり、英語の原題を表すためにフロー別の組み方向は横である。また、第3フローは文章量が50ブロックであり、本文を表していて、フロー別の組み方向は規定なしである。また、第4フローは文章量が1ブロックであり、奥付を表すためにフロー別の組み方向は横である。
【0113】
まず、綴じ方向決定装置20において、組み方向情報取得部22は上記電子書籍のデータから各フローの組み方向の情報を取得する。このとき、第iフローの組み方向は、長さがフロー数i(=1,2,3,4)と等しい4の配列の変数baseline[i-1]に収められている。ここで、配列の各要素の型は、「規定なし」、「横」、「縦」の3通りを表す値を表現できるならば何でもよい。
【0114】
さて、図3のフローチャートに従って、各フローの組み方向を決めていく。第1フローに設定された組み方向baseline[0]が「規定なし」であるため、baseline[0]にはデフォルトの組み方向を代入する。すなわち、第1フローの組み方向baseline[0]は「縦」となる。
【0115】
次に、第2フローは、すでに「規定なし」以外の値が組み方向として設定されているため、処理はせず、第2フローの組み方向baseline[1]は「横」となる。第3フローは第1フローと同様で、第3フローの組み方向baseline[2]は「縦」となる。第4フローは第2フローと同様で、第4フローの組み方向baseline[3]は「横」となる。
【0116】
次に、文章量取得部24は、図5に示す制御を行う。最初、縦書きの文章量の総計を表す変数はnr_down=0であり、横書きの文章量の総計を表す変数はnr_right=0である。
【0117】
次に、第1フローから第4フローのそれぞれの文章量を取得し、すでに取得した組み方向baselineをもとにして、nr_down, nr_rightを算出する。第1フローはbaseline[0]=縦で、文章量は1ブロックなのでnr_down=1となり、第2フローはbaseline[1]=横で、文章量は1ブロックなのでnr_right=1となり、第3フローはbaseline[2]=縦で、文章量は50ブロックなのでnr_down=51となり、第4フローはbaseline[3]=横で、文章量は1ブロックなのでnr_right=2となる。
【0118】
したがって、最終的に、nr_right=2とnr_down=51という結果になる。
【0119】
最後に、綴じ方向決定部26は、変数nr_right=2とnr_down=51の値を比較して、nr_downの値が大きいため、この電子書籍の主な組み方向は「縦」とみなし、綴じ方向を「右」と決定する。この値はコンテンツ表示部50に渡され、ページめくりの順方向は左から右に固定される。
【0120】
このようなブロック数を文章量に用いたもの以外の具体的な事例について以下の表1〜表4に示している。
【0121】
【表1】
【0122】
上記表1では、フロー数を文章量としており、組み方向が横のフロー数が2であり、組み方向が縦のフロー数が1であるので、綴じ方向は「左」となる。この場合、表2〜表4に比べて、高速処理が可能で、文章量が多い電子書籍に対して好適である。
【0123】
【表2】
【0124】
上記表2では、バイト数を文章量としており、組み方向が横のバイト数の総計が626バイトであり、組み方向が縦のバイト数の総計が160バイトであるので、綴じ方向は「左」となる。表1のように、フロー数を文章量とする場合に、フローによって実際の文章量に偏りが大きいと、正確な文章量の判断が難しくなるが、表2では、フローによって文章量に偏りが大きくても正確に文章量を判断できる。この場合、フロー毎のデータの総バイト数としては、タグ情報、文字サイズ、画像の位置情報、ルビなどの表示に関係する補足的な情報のバイト数を含んだまま扱うことにより、電子書籍の本文のみを切り出す操作を行うことなく、データサイズから簡単に文章量が得られる。
【0125】
【表3】
【0126】
上記表3では、文字数を文章量としており、組み方向が横の文字数の総計が266文字であり、組み方向が縦の文字数の総計が72文字であるので、綴じ方向は「左」となる。表2のように、バイト数を文章量とする場合に、タグ情報などを多く含んでいると、正確な文章量の判断が難しくなるが、表3では、タグ情報などを多く含んでいても正確に文章量を判断できる。
【0127】
図8のフローチャートは、文字数を文章量として用いた場合の文章量取得部24の図5のステップS21の動作を示している。図8に示すように、まず、ステップS51で第iフローの本文をコンテンツデータ取得部10から取得する。
【0128】
次に、ステップS52に進み、第iフローの本文を構文解析してタグ情報を取り除いた本文の文字数char_countを算出する。
【0129】
次に、ステップS53に進み、文章量nr_textに文字数char_countを代入して、この処理を終了する。
【0130】
【表4】
【0131】
上記表4では、ページ数を文章量としており、組み方向が横の文字数の総計が146文字であり、組み方向が縦の文字数の総計が160文字であるが、組み方向が横のページ数が4であり、組み方向が縦のページ数が3である。すなわち横の文章量の方が多いため、綴じ方向は「左」となる。表1〜表3の場合に比べて、表示されるページ数で文章量を判断するため、画像を多く含んでいたり、文字サイズがフローによって大きく異なったりした場合でも、正確に文章量の判断ができる。例えば、文字数が同じであっても、図13に示すような猫の画像を含む場合はページ数が2となるように、文字数だけでは文章量が正確でない場合があるが、ページ数で文章量を判断することで実際のページめくりに対応した適切な判断ができる。
【0132】
このように、実際にコンテンツ表示部50に表示されるページ数は、本としての厚み(枚数)に相当する文章量となる。この場合、文章量取得部24は、電子書籍のデータを実際にコンテンツ表示部50に表示したときのページめくりの処理を表示なしで行って、組み方向が横のページ数の総計と組み方向が縦のページ数の総計を取得する。したがって、画像や異なる文字サイズの文章が混在しても、正確な文章量を得ることができる。
【0133】
図9のフローチャートは、ページ数を文章量として用いた場合の文章量取得部26の図5のステップS21の動作を示している。図9に示すように、まず、ステップS61で第iフローの本文をコンテンツデータ取得部10から取得する。
【0134】
次に、ステップS62に進み、文章量nr_textに0を代入する。
【0135】
次に、ステップS63に進み、第iフローの本文を構文解析してタグ情報以外の文字数char_countを算出する。
【0136】
次に、jが1からchar_countになるまでステップS64〜S67を繰り返す。
【0137】
そして、ステップS64で電子書籍再生部40に第iフローの開始位置jを指定して第iフローを再生させる。
【0138】
次に、ステップS65に進み、電子書籍再生部40から終了位置end_indexを取得する。ここで、終了位置end_indexとは、第iフローのコンテンツ表示部50に表示させたときのページの最後に表示される文字またはデータの第iフローにおける先頭文字からの文字数(またはバイト数)を表す。
【0139】
次に、ステップS66に進み、終了位置end_indexに1を加えてjに代入する。このjは、次にコンテンツ表示部50に表示させるページの最初の文字の位置を示している。
【0140】
次に、ステップS67に進み、文章量nr_textをインクリメントした後、jがchar_count未満のときは、ステップS64〜S67を繰り返す。また、jがchar_countのときは、この処理を終了する。
【0141】
上記第1実施形態の綴じ方向決定装置20の構成によれば、縦組み(文字の配列方向が縦)と横組み(文字の配列方向が横)の文章が混在する電子書籍に対して最適な綴じ方向を決定できる。それ故、この発明の電子書籍用綴じ方向決定装置では、綴じ方向の指定のないフォーマットの電子書籍の綴じ方向を自動で決定することができる。
【0142】
したがって、電子書籍のファイルのフォーマットが、本文の任意の部分に組み方向を指定できるような形式になっている限り、綴じ方向決定装置は有効に働くことができ、電子書籍の綴じ方向を自動で決定できる。それ故、綴じ方向決定装置20を電子書籍リーダー1に組み込めば、電子書籍のページめくり方向を一定にすることができ、ユーザに、現実に近いページめくりの操作体験を提供することができる。
【0143】
また、上記綴じ方向決定部26において、文章量判定部26aが縦書きの文章量の総計が横書きの文章量の総計以上と判定すると、綴じ方向決定部26のページめくり方向決定部26bは、電子書籍の綴じ方向を「右」に決定し、左から右へのページめくり方向を順方向に決定する。一方、文章量判定部26aが縦書きの文章量の総計が横書きの文章量の総計未満であると判定すると、ページめくり方向決定部26bは、電子書籍の綴じ方向を「左」に決定し、右から左へのページめくり方向を順方向に決定する。これにより、綴じ方向決定部は、電子書籍の綴じ方向とページめくり方向を決定して、電子書籍の綴じ方向およびページめくり方向に基づいて、最適なページめくりの表示をすることが可能となり、縦書きと横書きが混在した電子書籍であっても、ユーザに快適な読書サービスを提供できる。
【0144】
さらに、綴じ方向決定装置20では、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話機、および電子書籍リーダーの何れに用いてもよい。この綴じ方向決定装置20は、自身が接続される表示装置がパーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話機、および電子書籍リーダーであるときに、好適に適用することができる。なお、綴じ方向決定装置20は、コンテンツとして提供する電子書籍のデータに綴じ方向を設定するための装置に適用することもできる。
【0145】
〔第2実施形態〕
図14はこの発明の第2実施形態の綴じ方向決定装置120を備えた電子書籍リーダー101の概略構成を示すブロック図を示している。この第2実施形態の電子書籍リーダー101は、綴じ方向決定装置120を除いて第1実施形態の電子書籍リーダー1と同一の構成をしており、同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略する。
【0146】
この第2実施形態の電子書籍リーダー101は、図14に示すように、コンテンツデータ取得部10と、電子書籍用綴じ方向決定装置の一例としての綴じ方向決定装置120と、操作部30と、電子書籍再生部40と、コンテンツ表示部50とを備えている。電子書籍リーダー101は、電子書籍を再生,表示等することが可能な端末機器である。また、綴じ方向決定装置120は、組み方向情報取得部122と、文章量取得部124と、綴じ方向決定部126と、重み付け情報取得部127と、言語情報取得部128とを備えている。
【0147】
上記重み付け情報取得部127は、複数のフロー(分割範囲)の夫々の種別毎に予め設定された重み付け情報を取得する。なお、この重み付け情報は、綴じ方向決定装置120の記憶部(図示せず)に記憶されていてもよいし、コンテンツデータ取得部10により取得された電子書籍のデータに重み付け情報が設定され、重み付け情報取得部127によりコンテンツデータ取得部10から取得されるようにしてもよい。
【0148】
また、上記文章量取得部124は、電子書籍のデータの複数のフローの夫々について縦書きの文章量と横書きの文章量を取得する分割範囲文章量取得部の一例としてのフロー文章量取得部124aと、フロー文章量取得部124aにより取得された複数のフローの夫々の縦書きの文章量と横書きの文章量に対して、重み付け情報取得部127により取得された重み付け情報に基づいて重み付けを行う文章量重み付け部124bと、文章量重み付け部124bにより重み付けされた複数のフローの夫々の縦書きの文章量と横書きの文章量に基づいて、縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計を求める文章量総計算出部124cとを有する。
【0149】
また、上記言語情報取得部128は、コンテンツデータ取得部10から電子書籍の言語情報を取得する。
【0150】
また、上記綴じ方向決定部126は、文章量取得部124により取得された縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計および言語情報取得部128により取得された電子書籍の言語情報に基づいて、電子書籍の綴じ方向を決定する。
【0151】
上記綴じ方向決定装置120によれば、文章量取得部124のフロー文章量取得部124aは、電子書籍のデータの複数のフロー(分割範囲)の夫々について縦書きの文章量と横書きの文章量を取得する。そして、フロー文章量取得部124aにより取得された複数のフローの縦書きの文章量と横書きの文章量に対して、文章量取得部124の文章量重み付け部124bは、重み付け情報取得部124により取得された重み付け情報に基づいて重み付けを行う。そうして、重み付けされた複数のフローの夫々の縦書きの文章量と横書きの文章量に基づいて、文章量取得部124の文章量総計算出部124cは、縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計を求める。例えば、奥付や表紙の重みを0.1とし、本文の重みを1.0とすることにより、本文の文章量を反映させた最適な綴じ方向を決定することができる。なお、本文は、組み方向設定がなされた本文(例えば重み2.0)、組み方向が設定されていない本文(重み0.5)とに分けられていてもよい。
【0152】
また、上記文章量取得部124により取得された縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計および言語情報取得部128により取得された電子書籍の言語情報に基づいて、綴じ方向決定部126により電子書籍の綴じ方向を決定することによって、例えば、文章量取得部124により取得された縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計により基本の綴じ方向を判定した後、この基本の綴じ方向と電子書籍の言語毎に設定されている綴じ方向とを組み合わせて、最適な綴じ方向を決定することが可能になる。例えば、電子書籍の言語情報が日本語である場合、縦書きの文章量の総計が、横書きの文章量の総計と比較して少なくても、その差が小さいならば、綴じ方向を「右」としたり、言語情報が英語である場合、縦書きの文章量の総計が、横書きの文章量の総計と比較してやや多くても、その差が小さいならば、綴じ方向を「左」としたりするといった処理を行う。
【0153】
最後に、綴じ方向決定装置20,120の各ブロック、特に組み方向情報取得部22,122、文章量取得部24,124、および綴じ方向決定部26,126は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0154】
すなわち、綴じ方向決定装置20は、各機能を実現する制御プログラム(電子書籍用綴じ方向決定プログラム)の命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備える。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである綴じ方向決定装置20の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラムなどを含む)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、綴じ方向決定装置20に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0155】
それによって、電子書籍を閲覧するソフトウェアに本発明の電子書籍用綴じ方向決定プログラムを組み込んだ場合は、電子書籍ファイルのオープン時に、本発明を用いて綴じ方向を決定することで、ページめくりの順方向が一定となり、ユーザは快適な読書体験を味わうことができる。
【0156】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやコンパクトディスク−ROM/MO(光磁気)/MD(ミニディスク)/デジタルビデオディスク/コンパクトディスク−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0157】
また、コンピュータを通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN(Local Area Network:ローカル・エリア・ネットワーク)、ISDN(Integrated Service Digital Network:統合サービス・デジタル・ネットワーク)、VAN(Value Added Network:付加価値通信網)、CATV(Cable Television:ケーブル・テレビジョン)通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line:非対称デジタル加入者線)回線等の有線でも、IrDA(Infrared Data Association)やリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(High Data Rate:ハイ・データ・レート)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0158】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々の変更が可能である。すなわち、この発明の範囲内で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明は、電子書籍の最適な綴じ方向を自動で左か右に決定することができ、特に、現実のページめくりを模した操作や表示を行う表示装置(電子書籍リーダー等)に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0160】
1,101…電子書籍リーダー
10…コンテンツデータ取得部
20,120…綴じ方向決定装置
22,122…組み方向情報取得部
24,124…文章量取得部
26,126…綴じ方向決定部
26a…文章量判定部
26b…ページめくり方向決定部
127…重み付け情報取得部
128…言語情報取得部
30…操作部
40…電子書籍再生部
50…コンテンツ表示部
124a…フロー文章量取得部
124b…文章量重み付け部
124c…文章量総計算出部
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子書籍用綴じ方向決定装置、表示装置、電子書籍用綴じ方向決定方法、電子書籍用綴じ方向決定プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子書籍を再生・閲覧するための装置およびソフトウェアは、電子書籍の表示をスクロールさせて読む形式が主流であった。そのため、フォーマットとして書籍の綴じ方向を持たない電子書籍のファイルが存在し、そのような電子書籍が有料コンテンツとして一般に販売されている。
【0003】
ところで、近年では、スマートフォンやタブレット型端末と呼称される携帯型の装置が発達し普及している。これらの携帯型デバイスは、紙の本のように画面をなぞってページめくりの操作を行い、自然にページをめくっているかのようなアニメーションを見せる事もできる。
【0004】
現在、これらのデバイスの高性能化により、現実の読書に似た体験をユーザーに提供できる携帯型デバイスが開発されている。例えば、本文の組み方向に応じて現実の書籍を模した綴じ方向とページめくりの方向が決められる電子書籍表示装置が、次に挙げる特許文献1(特開2005−274691号公報)に開示されている。
【0005】
この特許文献1に記載された電子書籍表示装置は、見開き型の装置であり、内側に画面を右ページ用と左ページ用に1つずつ備えている。この電子書籍表示装置の本文の表示も、縦組み(文が縦書き)なら右側が若いページとなり、横組み(文が横書き)なら左側が若いページとなっている。すなわち、この電子書籍表示装置は、ページを送る方向も現実の書籍と同様になっている。なお、この電子表示装置は、外側に表表紙用として液晶画面を1つ備えている。
【0006】
そして、この電子表示装置の特徴として、電子書籍に保存されている本文の組み方向が縦組みから横組みに切り換わったとき、または、横組みから縦組みに切り替わったとき、本文表示部に映し出す内容を上下さかさまにし、ユーザに装置の上下を持ち変えることを要求する。
【0007】
そうして、上記電子表示装置を上下逆さまにすると、表表紙用の液晶画面も、本文が縦組みなら右ページの裏になる一方、本文が横組みなら左ページの裏になるため、現実の書籍と同じ場所に表表紙が位置するようになっている。
【0008】
以上によって、ユーザは、現実の書籍と同様に、縦組みであれば綴じ方向が右であるように電子書籍を閲覧でき、横組みであれば綴じ方向が左であるように電子書籍を閲覧できる。
【0009】
現在、一般に販売されている電子書籍の中には、1つの書籍内に縦組みと横組みの本文が混在しているものがある。例をあげると、ほとんどの箇所は日本語の縦組みであるが、一部に中扉として英語の原題を横書きで表記したり、奥付を横書きで表記したり、図やグラフなどを表示する箇所はキャプション(見出し)として横書きで表記したりしているものがある。
【0010】
このため、上記特許文献1に記載された電子表示装置は、1つの電子書籍内に縦組みと横組みの文章が混在していることを考慮した設計になっていないため、縦組みと横組みが頻繁に入れ替わる電子書籍を読む場合に、頻繁に装置の上下を持ちかえなければならず、ユーザは閲覧に不快感を覚える。
【0011】
すなわち、上記電子表示装置では、縦組みと横組みの文章が混在している電子書籍は、綴じ方向が定まっていないために、ページめくりの順方向も定まっていないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−274691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述のように、綴じ方向が記録されていないような電子書籍を、電子書籍表示装置で表示する場合に、綴じ方向が一意に定まらないことが原因で、綴じ方向情報を利用した操作を行うとき、表示している文章の位置によって、次のページめくりの順方向が左になったり右になったりするという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、この発明の電子書籍用綴じ方向決定装置は、
予め決められた規則に従って電子書籍のデータを複数の分割範囲に分けて、上記複数の分割範囲の夫々について文字の配列方向が縦であるかまたは横であるかを表す組み方向の情報を上記電子書籍のデータから取得する組み方向情報取得部と、
上記組み方向情報取得部により取得された上記複数の分割範囲の夫々の上記組み方向の情報に基づいて、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲について縦書きの文章量の総計を取得すると共に、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲について横書きの文章量の総計を取得する文章量取得部と、
上記文章量取得部により取得された上記縦書きの文章量の総計と上記横書きの文章量の総計に基づいて、上記電子書籍の綴じ方向を決定する綴じ方向決定部と
を備えることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、組み方向情報取得部によって、予め決められた規則に従って電子書籍のデータを複数の分割範囲に分けて、複数の分割範囲の夫々について文字の配列方向が縦であるかまたは横であるかを表す組み方向の情報を電子書籍のデータから取得する。ここで、「予め決められた規則」としては、例えば、表紙、目次、表題、本文などの種別で分けたり、さらにその本文を章または段落等で分けたりする方法を定めたものである。そうして、上記組み方向情報取得部により取得された複数の分割範囲の夫々の組み方向の情報に基づいて、文章量取得部は、複数の分割範囲のうちの組み方向が縦である分割範囲について縦書きの文章量の総計を取得すると共に、複数の分割範囲のうちの組み方向が横である分割範囲について横書きの文章量の総計を取得する。この文章量取得部により取得された縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計に基づいて、綴じ方向決定部により電子書籍の綴じ方向を決定する。例えば、上記横書きの文章量(文字数)の総計よりも縦書きの文章量(文字数)の総計が大きい場合、電子書籍を実際の書籍とみなしたときの表紙の正面視において、右側が綴じられた状態(綴じ方向が「右」)であり、左から右へのページめくりを順方向とする。また、上記縦書きの文章量(文字数)の総計よりも横書きの文章量(文字数)の総計が大きい場合、電子書籍を実際の書籍とみなしたときの表紙の正面視において、左側が綴じられた状態(綴じ方向が「左」)であり、右から左へのページめくりを順方向とする。
【0016】
このように、電子書籍用綴じ方向決定装置は、縦組み(文が縦書き)と横組み(文が横書き)の文章が混在する電子書籍に対して最適な綴じ方向を決定できる。それ故、この発明の電子書籍用綴じ方向決定装置では、綴じ方向の指定のないフォーマットの電子書籍の綴じ方向を自動で決定することができる。
【0017】
また、一実施形態の電子書籍用綴じ方向決定装置では、
上記綴じ方向決定部は、
上記縦書きの文章量の総計が上記横書きの文章量の総計以上か否か判定する文章量判定部と、
上記文章量判定部が上記縦書きの文章量の総計が上記横書きの文章量の総計以上と判定すると、上記電子書籍の綴じ方向を右に決定し、左から右へのページめくり方向を順方向に決定する一方、上記文章量判定部が上記縦書きの文章量の総計が上記横書きの文章量の総計未満であると判定すると、上記電子書籍の綴じ方向を左に決定し、右から左へのページめくり方向を順方向に決定するページめくり方向決定部と
を有する。
【0018】
上記実施形態によれば、綴じ方向決定部の文章量判定部が縦書きの文章量の総計が横書きの文章量の総計以上と判定すると、綴じ方向決定部のページめくり方向決定部は、電子書籍の綴じ方向を「右」に決定し、左から右へのページめくり方向を順方向に決定する。一方、綴じ方向決定部の文章量判定部が縦書きの文章量の総計が横書きの文章量の総計未満であると判定すると、綴じ方向決定部のページめくり方向決定部は、電子書籍の綴じ方向を「左」に決定し、右から左へのページめくり方向を順方向に決定する。これにより、綴じ方向決定部は、電子書籍の綴じ方向とページめくり方向を決定して、電子書籍の綴じ方向およびページめくり方向に基づいて、例えば電子書籍表示装置において最適なページめくりの表示をすることが可能となり、縦書きと横書きが混在した電子書籍であっても、ユーザに快適な読書サービスを提供できる。
【0019】
また、一実施形態の電子書籍用綴じ方向決定装置では、
上記文章量取得部で取得する上記縦書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲の総数であり、
上記文章量取得部で取得する上記横書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲の総数である。
【0020】
上記実施形態によれば、文章量取得部で取得する縦書きの文章量の総計として、複数の分割範囲のうちの組み方向が縦である分割範囲の総数を用いると共に、文章量取得部で取得する横書きの文章量の総計として、複数の分割範囲のうちの組み方向が横である分割範囲の総数を用いることによって、文章量を高速で求めることができ、電子書籍のデータサイズが大きい場合に特に有用である。
【0021】
また、一実施形態の電子書籍用綴じ方向決定装置では、
上記文章量取得部で取得する上記縦書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲のデータの総バイト数であり、
上記文章量取得部で取得する上記横書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲のデータの総バイト数である。
【0022】
上記実施形態によれば、文章量取得部で取得する縦書きの文章量の総計として、複数の分割範囲のうちの組み方向が縦である分割範囲のデータの総バイト数を用いると共に、文章量取得部で取得する横書きの文章量の総計として、複数の分割範囲のうちの組み方向が横である分割範囲のデータの総バイト数を用いることによって、分割範囲の総数を文章量とするよりも、正確な文章量を得ることができる。ここで、電子書籍の分割範囲毎のデータの総バイト数としては、タグ情報、文字サイズ、画像の位置情報、ルビなどの表示に関係する補足的な情報のバイト数を含んだまま扱うことにより、電子書籍の本文のみを切り出す操作を行うことなく、データサイズから簡単に文章量が得られる。
【0023】
また、一実施形態の電子書籍用綴じ方向決定装置では、
上記文章量取得部で取得する上記縦書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲の総文字数であり、
上記文章量取得部で取得する上記横書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲の総文字数である。
【0024】
上記実施形態によれば、文章量取得部で取得する縦書きの文章量の総計として、複数の分割範囲のうちの組み方向が縦である分割範囲の総文字数を用いると共に、文章量取得部で取得する横書きの文章量の総計として、複数の分割範囲のうちの組み方向が横である分割範囲の総文字数を用いることによって、分割範囲のデータの総バイト数を文章量とするよりも、より正確な文章量を得ることができる。
【0025】
また、一実施形態の電子書籍用綴じ方向決定装置では、
上記文章量取得部で取得する上記縦書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲を表示装置に表示するときの総ページ数であり、
上記文章量取得部で取得する上記横書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲を上記表示装置に表示するときの総ページ数である。
【0026】
上記実施形態によれば、文章量取得部で取得する縦書きの文章量の総計として、複数の分割範囲のうちの組み方向が縦である分割範囲を表示装置に表示するときの総ページ数を用いると共に、文章量取得部で取得する横書きの文章量の総計として、複数の分割範囲のうちの組み方向が横である分割範囲を表示装置に表示するときの総ページ数を用いることによって、画像や異なる文字サイズの文章が混在しても、正確な文章量を得ることができる。
【0027】
また、一実施形態の電子書籍用綴じ方向決定装置では、
上記複数の分割範囲の夫々の種別毎に予め設定された重み付け情報を取得する重み付け情報取得部を備え、
上記文章量取得部は、
上記電子書籍のデータの上記複数の分割範囲の夫々について上記縦書きの文章量と上記横書きの文章量を取得する分割範囲文章量取得部と、
上記分割範囲文章量取得部により取得された上記複数の分割範囲の夫々の上記縦書きの文章量と上記横書きの文章量に対して、上記重み付け情報取得部により取得された上記重み付け情報に基づいて重み付けを行う文章量重み付け部と、
上記文章量重み付け部により重み付けされた上記複数の分割範囲の夫々の上記縦書きの文章量と上記横書きの文章量に基づいて、上記縦書きの文章量の総計と上記横書きの文章量の総計を求める文章量総計算出部と
を有する。
【0028】
上記実施形態によれば、文章量取得部の分割範囲文章量取得部は、電子書籍のデータの複数の分割範囲の夫々について縦書きの文章量と横書きの文章量を取得する。そして、分割範囲文章量取得部により取得された複数の分割範囲の縦書きの文章量と横書きの文章量に対して、文章量取得部の文章量重み付け部は、重み付け情報取得部により取得された重み付け情報に基づいて重み付けを行う。そうして、重み付けされた複数の分割範囲の夫々の縦書きの文章量と横書きの文章量に基づいて、文章量取得部の文章量総計算出部は、縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計を求める。例えば、奥付や表示の重みを0.1とし、本文の重みを1.0とすることにより、本文の文章量を反映させた最適な綴じ方向を決定することができる。
【0029】
また、一実施形態の電子書籍用綴じ方向決定装置では、
上記電子書籍の言語情報を取得する言語情報取得部を備え、
上記綴じ方向決定部は、上記文章量取得部により取得された上記縦書きの文章量の総計と上記横書きの文章量の総計および上記言語情報取得部により取得された上記電子書籍の上記言語情報に基づいて、上記電子書籍の綴じ方向を決定する。
【0030】
上記実施形態によれば、文章量取得部により取得された縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計および言語情報取得部により取得された電子書籍の言語情報に基づいて、綴じ方向決定部により電子書籍の綴じ方向を決定することによって、例えば、文章量取得部により取得された縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計により基本の綴じ方向を判定した後、この基本の綴じ方向と電子書籍の言語毎に設定されている綴じ方向とを組み合わせて、最適な綴じ方向を決定することが可能になる。
【0031】
また、この発明の表示装置では、
上記電子書籍用綴じ方向決定装置と、
電子書籍の縦書きおよび横書きの表示が可能で、かつ、上記電子書籍に対して左から右へのページめくりおよび右から左へのページめくりの表示が可能な表示部と、
上記電子書籍用綴じ方向決定装置により決定された上記電子書籍の綴じ方向に基づいて、上記左から右へのページめくりおよび上記右から左へのページめくりの表示を上記表示部に指示するための操作部と
を備えることを特徴とする。
【0032】
上記構成によれば、電子書籍用綴じ方向決定装置によって、縦組みと横組みの文章が混在する電子書籍に対して決定された電子書籍の最適な綴じ方向に基づいて、操作部により左から右へのページめくりおよび右から左へのページめくりの表示を表示部に指示することによって、縦書きと横書きが混在した電子書籍であっても、ユーザに快適な読書サービスを提供できる。例えば、上記表示装置の表示部としては、ページをめくるアニメーションやカードがスライドするアニメーションなどを用いて、左から右へのページめくりおよび右から左へのページめくりの表示を行う。また、上記表示装置の操作部としては、十字キーやタッチスクリーンなどを用いてページめくりの操作を行う。
【0033】
また、一実施形態の表示装置では、
パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話機および電子書籍リーダーのうちのいずれか1つであることを特徴とする。
【0034】
また、この発明の電子書籍用綴じ方向決定方法では、
予め決められた規則に従って電子書籍のデータを複数の分割範囲に分けて、上記複数の分割範囲の夫々に対して縦書きであるかまたは横書きであるかを表す組み方向の情報を組み方向情報取得部により取得する情報取得ステップと、
上記情報取得ステップにおいて取得された上記複数の分割範囲の夫々の上記組み方向の情報に基づいて、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲について縦書きの文章量の総計を文章量取得部により取得すると共に、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲について横書きの文章量の総計を上記文章量取得部により取得する文章量取得ステップと、
上記文章量取得ステップにおいて取得された上記縦書きの文章量の総計と上記横書きの文章量の総計に基づいて、上記電子書籍の綴じ方向を綴じ方向決定部により決定する綴じ方向決定ステップと
を含むことを特徴とする。
【0035】
上記構成によれば、組み方向情報取得部によって、予め決められた規則に従って電子書籍のデータを複数の分割範囲に分けて、複数の分割範囲の夫々について縦書きであるかまたは横書きであるかを表す組み方向の情報を取得する。そうして、上記組み方向情報取得部により取得された複数の分割範囲の夫々の組み方向の情報に基づいて、文章量取得部は、複数の分割範囲のうちの組み方向が縦である分割範囲について縦書きの文章量の総計を取得すると共に、複数の分割範囲のうちの組み方向が横である分割範囲について横書きの文章量の総計を取得する。次に、この文章量取得部により取得された縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計に基づいて、綴じ方向決定部により電子書籍の綴じ方向を決定する。このようにして、縦組みと横組みの文章が混在する電子書籍に対して最適な綴じ方向を決定できる。
【0036】
また、この発明の電子書籍用綴じ方向決定プログラムでは、
上記電子書籍用綴じ方向決定方法の上記各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0037】
上記構成によれば、上記電子書籍用綴じ方向決定方法の上記各ステップをコンピュータに実行させることによって、縦組みと横組みの文章が混在する電子書籍に対して最適な綴じ方向を決定できる。
【0038】
また、この発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体では、
上記電子書籍用綴じ方向決定プログラムを記録したことを特徴とする。
【0039】
上記構成によれば、上記コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された上記電子書籍用綴じ方向決定プログラムをコンピュータに読み込んで上記電子書籍用綴じ方向決定方法を実行することによって、縦組みと横組みの文章が混在する電子書籍に対して最適な綴じ方向を決定できる。
【発明の効果】
【0040】
以上より明らかなように、この発明の電子書籍用綴じ方向決定装置、表示装置、電子書籍用綴じ方向決定方法、電子書籍用綴じ方向決定プログラムコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、縦組みと横組みの文章が混在する電子書籍に対して最適な綴じ方向を決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態の綴じ方向決定装置を備えた電子書籍リーダーの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は上記綴じ方向決定装置の動作を説明するための図である。
【図3】図3は上記綴じ方向決定装置の組み方向情報取得部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】図4は上記綴じ方向決定装置の文章量取得部と綴じ方向決定部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図5は上記綴じ方向決定装置の文章量取得部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】図6はフロー数を文章量として用いる文章量取得部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】図7はバイト数を文章量として用いる文章量取得部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】図8は文字数を文章量として用いる文章量取得部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】図9はページ数を文章量として用いる文章量取得部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図10は電子書籍再生部の現在表示しているフローの組み方向を決定する方法を説明するためのフローチャートである。
【図11】図11は綴じ方向決定部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】図12はコンテンツ表示部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】図13は画像を含むページの表示例を示す図である。
【図14】図14はこの発明の第2実施形態の綴じ方向決定装置を備えた電子書籍リーダーの概略構成を示すブロック図である。
【図15】図15は電子書籍の本文が3つに分割された第1フロー、第2フロー、第3フローの表示例を示す図である。
【図16】図16は綴じ方向が右の実際の書籍の模式図である。
【図17】図17は綴じ方向が左の実際の書籍の模式図である。
【図18】図18は図16に示す右綴じ書籍のページめくりの順方向を示す図である。
【図19】図19は図17に示す左綴じ書籍のページめくりの順方向を示す図である。
【図20】図20は上記第1実施形態の電子書籍リーダーの左から右へのページめくりの表示動作を説明する正面図である。
【図21】図21は上記電子書籍リーダーの右から左へのページめくりの表示動作を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、この発明の電子書籍用綴じ方向決定装置、表示装置、電子書籍用綴じ方向決定方法、電子書籍用綴じ方向決定プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0043】
〔第1実施形態〕
図1はこの発明の第1実施形態の綴じ方向決定装置20を備えた電子書籍リーダー1の概略構成を示すブロック図を示している。
【0044】
この電子書籍リーダー1は、図1に示すように、コンテンツデータ取得部10と、電子書籍用綴じ方向決定装置の一例としての綴じ方向決定装置20と、操作部30と、電子書籍再生部40と、コンテンツ表示部50とを備えている。電子書籍リーダー1は、電子書籍を再生,表示等することが可能な端末機器である。また、綴じ方向決定装置20は、組み方向情報取得部22と、文章量取得部24と、綴じ方向決定部26とを備えている。
【0045】
また、上記綴じ方向決定部26は、縦書きの文章量の総計が横書きの文章量の総計以上か否か判定する文章量判定部26aと、文章量判定部26aが縦書きの文章量の総計が横書きの文章量の総計以上と判定すると、電子書籍の綴じ方向を右に決定し、左から右へのページめくり方向を順方向に決定する一方、文章量判定部26aが縦書きの文章量の総計が横書きの文章量の総計未満であると判定すると、電子書籍の綴じ方向を左に決定し、右から左へのページめくり方向を順方向に決定するページめくり方向決定部26bとを有する。
【0046】
まず、綴じ方向決定装置20の概略を説明する。なお、理解の容易のため、最初に綴じ方向決定装置20の概略動作を説明し、その次に、綴じ方向決定装置20を内蔵する電子書籍リーダー1の詳細動作およびその効果等について説明する。
【0047】
ここで、この第1実施形態では、綴じ方向決定装置20は、電子書籍リーダー1に内蔵されているものとして説明する。しかしながら、綴じ方向決定装置20は、電子書籍リーダー1に外付けされてもよいし、また、電子書籍リーダー1ではなく、パーソナルコンピュータや携帯情報端末(PDA(Personal Digital Assistant:パーソナル・デジタル・アシスタント))、携帯電話等の表示装置に内蔵または外付けされる構成で実現されてもよい。
【0048】
上記第1実施形態における電子書籍のデータのフォーマットについて説明する。この電子書籍のデータは、表紙、タイトル、著者および本文の情報を持つ。電子書籍のデータは、必ず任意の1つ以上の分割範囲に分けられ、この分割範囲の呼称を「フロー」という。フローは、電子書籍の表紙から順番通りに並び、番号が設定され、その番号は自然数である。また、各フローには組み方向が、「横」、「縦」、「規定なし」の三つの値の内のいずれかが設定されている。電子書籍のデータが上記以外に持つ情報は、デフォルト(予め用意された標準値)の組み方向と、各フローの組み方向と、各フローの文章量である。
【0049】
例えば、図15では、電子書籍の本文が3つに分割された第1フロー、第2フロー、第3フローの例を上側に示し、その第1〜第3フローをコンテンツ表示部50により表示したときのページ構成を下側に示している。ここで、文字数の多い第1フローは第1ページと第2ページに縦書きで表示され、文字数の少ない第2フローは第3ページに横書きで表示され、文字数の多い第3フローは第4ページと第5ページに縦書きで表示される。
【0050】
ただし、このような電子書籍のデータのフォーマットは一例であって、本発明の他の実施形態としては、単にHTML(HyperText Markup Language)のようなタグ付けによる縦書き、横書きの指定を行っただけの電子書籍のデータでも構わない。この場合でも、電子書籍のデータを組み方向別に任意の分割範囲(フロー)に分けることができ、かつ、文章量も算出できるため、本発明の組み方向情報取得部と文章量取得部の条件を満たす。さらに、電子書籍は、表紙、目次、表題、本文などの種類や、本文内の章、段楽等の各種の条件に応じて各々別の種類のフローとして作成される。
【0051】
図2は綴じ方向決定装置20の概略動作を説明するための図であり、図2(a)は、電子書籍リーダー1に綴じ方向決定装置20が組み込まれていない場合に、次のような電子書籍のデータを再生したときの動作を示している。
【0052】
すなわち、デフォルトの組み方向が「縦」であり、フローが3つ存在して、第2フローに組み方向が「横」と設定されている電子書籍のデータである。
【0053】
このとき、電子書籍再生部40は、現在再生しているフローの組み方向によって現在のページめくりの順方向を決定する。現実の書籍にならって、組み方向が「縦」ならばページめくりの順方向を左から右とし、組み方向が「横」ならばページめくりの順方向を右から左とする。そうすると、図2(a)では、第2フローのみがページめくりの順方向が右から左となってしまう。このため、例えば、ユーザはまず第1フローを左から右にページをめくった後、第2フローに進み、ここで前ページと同じ方向にめくればよいと期待して左から右にページをめくった場合は、第2フローでは左は逆方向に相当するため、その前の第1フローに戻ってしまう。こうした操作結果は、現実の書籍のページめくりに反しているため、ユーザはこの操作結果に不快感を覚える。
【0054】
一方、図2(b)は、電子書籍リーダー1に綴じ方向決定装置20を組み込んだ場合に、同じ電子書籍のデータを再生したときの動作を示している。ページめくりの順方向がどのページでも同じ方向に変更されている。
【0055】
綴じ方向決定装置20は、電子書籍のデータに予め指定されたデフォルトの組み方向と、各フローの組み方向および各フローの文章量を取得する。そして、組み方向が「縦」の文章の文章量の総計と、組み方向が「横」の文章の文章量の総計とを算出して、文章量の総計が多い方の組み方向を電子書籍全体の組み方向とみなす。そして、電子書籍全体の組み方向が「縦」ならば綴じ方向を右とし、電子書籍全体の組み方向が「横」ならば綴じ方向を左として、電子書籍全体でページめくりの順方向を一定のものにする。
【0056】
ここで、実際の書籍の場合の綴じ方向について説明する。図16は綴じ方向が右の実際の書籍(組み方向が「縦」)の模式図を示しており、図17は綴じ方向が左の書籍(組み方向が「横」)の模式図を示している。図16に示す右綴じの書籍のページめくりの順方向は、図18に示すように、左から右にページをめくる方向である。一方、図17に示す左綴じの書籍のページめくりの順方向は、図19に示すように、右から左にページをめくる方向である。
【0057】
これに対して、図20,図21は第1実施形態の電子書籍リーダー1のページめくりの表示動作を説明するための図である。図20に示すように、電子書籍リーダー1のコンテンツ表示部50の表示画面(液晶ディスプレイのタッチパネル部)を指先で左から右になぞることによって、左から右にページめくりが行われ、実際のページめくりを模したアニメーションを表示する。また、図21に示すように、電子書籍リーダー1のコンテンツ表示部50の表示画面(液晶ディスプレイのタッチパネル部)を指先で右から左になぞることによって、右から左にページめくりが行われ、実際のページめくりを模したアニメーションを表示する。
【0058】
次に、電子書籍リーダー1の各部の詳細を説明する。なお、綴じ方向の決定は、その性質上、ページめくりの操作を行う前に処理しておく必要がある。したがって、電子書籍リーダー1で電子書籍のファイルを新たに開いた後、電子書籍の表示を開始する前に綴じ方向の決定が行われる。
【0059】
コンテンツデータ取得部10は、パーソナルコンピュータや携帯情報端末(PDA)、携帯電話などで再生、表示可能な電子書籍のデータを含むコンテンツデータを取得する。電子書籍のデータには、概略動作で説明した情報が含まれている。
【0060】
ここで、理解を容易にするためにページという概念について説明する。第1実施形態における電子書籍のデータのフォーマットにおいては、電子書籍はページという単位で文章を保持していない。ページめくりによる操作およびページめくりの表示は、あたかも現実の書籍と同じように新しいページをめくっているとユーザの目には映る。しかし、実際は、電子書籍リーダー1が表示する文章の開始位置を変えて、新しくそこから文章を表示しているだけである。ページという単位や概念は、第1実施形態における電子書籍にはない。以下、ページめくりで「ページ」という単語は、コンテンツ表示部50に一度に表示できる、すなわちページめくりを行わないままで表示できる文章か、またはコンテンツ表示部50に表示されている画像そのものを指す。なお、電子書籍の「フローのページ数」と言った場合は、そのフローを最初から最後まですべて表示するのに要するページの数を意味する。ただし、上記は第1実施形態における例であって、電子書籍がページという単位で文章、画像その他の情報を保持していても、電子書籍が綴じ方向を記録していない限りは、本発明の綴じ方向決定装置は有効である。
【0061】
電子書籍再生部40は、表示する文章の組み方向を決定する。また、表示する文章の開始位置を保持しており、ページめくりの操作が行われるたびに更新を行う。また、ページめくりされるたびに現在のページと、ひとつ前のページと、ひとつ次のページの文章内容を描画して画像を生成して、これをコンテンツ表示部50に渡す。
【0062】
電子書籍再生部40がどのようにして現在表示しているフローの組み方向を決定するかについて説明する。電子書籍のデータが持つフローの組み方向およびデフォルトの組み方向は、「規定なし」、「縦」、「横」の3つのうちのどれかを表す値をとる。これらの値をコンテンツデータ取得部10から取得する。そして、電子書籍再生部40自身が持つ通常の組み方向は、電子書籍のデータに関わらず縦に固定されている。
【0063】
まず、表示するフローに設定されている組み方向が「規定なし」でないなら、その組み方向がそのまま表示する文章の組み方向となる。フローの組み方向が「規定なし」ならば、次に電子書籍のデータの持つデフォルトの組み方向を読みに行く。これが「規定なし」でないなら、その電子書籍のデータの持つデフォルトの組み方向がそのまま表示する文章の組み方向となる。「規定なし」ならば、電子書籍再生部40自身が持つ通常の組み方向が、表示する文章の組み方向となる。
【0064】
図10に示すフローチャートに従って表示する文章の組み方向を決定する電子書籍再生部40の動作を説明する。
【0065】
まず、電子書籍再生部40は、ステップS71において、現在表示している第iフローを取得する。
【0066】
次に、ステップS72に進み、組み方向のデフォルト値dを取得する。次に、ステップS73に進み、ユーザー設定組み方向の値uを取得する。ここで、「ユーザー設定組み方向」の値uとは、ユーザーにより任意に設定された「縦」か「横」の2値のどちらかである。
【0067】
次に、ステップS74に進み、第iフローの組み方向が「規定なし」であると判定すると、ステップS75に進む一方、第iフローの組み方向が「規定なし」でないと判定すると、この処理を終了して、第iフローの組み方向が用いられる。
【0068】
そして、ステップS75では、組み方向のデフォルト値dが「規定なし」であると判定すると、ステップS78に進み、第iフローの組み方向を、ユーザー設定組み方向の値uに設定して、この処理を終了する。すなわち、デフォルトの組み方向がない書籍で、かつ、フローの組み方向が設定されていないフローがあるという条件の時のみ、「ユーザー設定組み方向」の値uが参照され、この条件のときのフローの組み方向を、「ユーザー設定組み方向」の「縦」か「横」の2値のどちらかとする。
【0069】
一方、ステップS75で組み方向のデフォルト値dが「規定なし」でないと判定すると、ステップS76に進み、組み方向のデフォルト値dが「縦」か否かを判定する。
【0070】
そして、ステップS76で組み方向のデフォルト値dが「縦」であると判定すると、ステップS79に進み、第iフローの組み方向を「縦」に設定して、この処理を終了する。一方、ステップS76で組み方向のデフォルト値dが「縦」でないと判定すると、ステップS77に進み、第iフローの組み方向を「横」に設定して、この処理を終了する。
【0071】
また、操作部30は、実際に人の手によってページめくりの操作を受け付ける装置であり、ページめくりの操作を、左から右にめくるか右から左にめくるかで指示できる。
【0072】
また、コンテンツ表示部50は、電子書籍再生部40から現在のページの画像と、1つ前のページの画像と、1つ次のページの画像を取得する。また、コンテンツ表示部50は、綴じ方向決定装置20から綴じ方向を取得する。そして、操作部30でページめくりの操作が行われた時は、左から右にページをめくったか右から左にページをめくったかを、操作部30からコンテンツ表示部50に通知される仕組みになっている。操作部30がページめくりの操作を受けていない時は、コンテンツ表示部50は、現在のページの画像をそのまま表示する。操作部30からページめくりの操作を通知されたら、コンテンツ表示部50は、まず順方向にページがめくられたなら、現在のページと1つ次のページの画像を合成させて表示し、ページめくりを視覚的に表現する。逆方向にページがめくられたなら、現在のページと1つ前のページの画像を合成させて表示し、現実のページめくりを模したアニメーションを表示する。このアニメーションは、実際に書籍の紙面が1枚めくられるように表示される動画である。なお、このアニメーションは、現ページの表示から次ページの表示にスライドしながら変わるものでもよく、ページめくりが行われていることがユーザーに認識されるような他の表示形態であってもよい。
【0073】
図12にコンテンツ表示部50の動作を説明するためのフローチャートを示している。
【0074】
まず、コンテンツ表示部50は、ステップS91において、電子書籍再生部40から電子書籍の綴じ方向を取得する。
【0075】
次に、ステップS92に進み、操作部30からページめくりの操作が通知されたか否かを判定する。そして、ステップS92で操作部30からページめくりの操作が通知されたと判定すると、ステップS93に進む一方、操作部30からページめくりの操作が通知されていないと判定すると、ステップS92を繰り返す。
【0076】
そして、ステップS93では、操作部30から通知されたページめくりの操作が左から右へのページめくりであると判定すると、ステップS95に進む一方、操作部30から通知されたページめくりの操作が左から右へのページめくりでないと判定すると、ステップS94に進む。
【0077】
ステップS95で電子書籍の綴じ方向が右であると判定すると、ステップS97に進み、順方向のページめくり表示をして、この処理を終了する。
【0078】
一方、電子書籍の綴じ方向が右でないと判定すると、ステップS96に進み、逆方向のページめくり表示をして、この処理を終了する。
【0079】
また、ステップS94では、電子書籍の綴じ方向が左であると判定すると、ステップS97に進む一方、電子書籍の綴じ方向が左でないと判定すると、ステップS96に進む。
【0080】
綴じ方向決定装置20は、コンテンツデータ取得部10から、デフォルトの組み方向と、各フローの組み方向と、各フローの文章量を取得して、このデフォルトの組み方向と各フローの組み方向と各フローの文章量に基づいて電子書籍の綴じ方向を決定する。そして、綴じ方向決定装置20は、決定した綴じ方向をコンテンツ表示部50に渡す。
【0081】
この第1実施形態では、コンテンツ表示部50に現実のページめくりを模したアニメーションを表現できるものを採用すると共に、操作部30左から右にページをめくるか右から左にページをめくるかを指示するものを採用したが、本発明を実施する際は、次の(1),(2)のどちらか一方の条件を満たしていればよい。
【0082】
(1) コンテンツ表示部50は、右から左にページをめくったか、左から右にページをめくったかを視覚的に表現する。
【0083】
(2) 操作部30は、ページめくりの方向を、順方向か逆方向かではなくて、左から右へのページめくりか右から左へのページめくりかを指示する。
【0084】
例えば、上記(1)の条件を満たしていれば、操作部30は順方向か逆方向かのみを指示する単純なスイッチの機構でも構わない。また、上記(2)の条件を満たしていれば、上記(1)の条件は単に瞬間的に現在のページの画像から次のページの画像に表示が切り替わるものでも構わない。なぜなら、上記(1)と(2)の条件を両方とも満たしていないなら、その電子書籍リーダーはページめくりを表現しようという機能を持ち合わせておらず、図2(a)で説明したような不快な操作をユーザに体験させる事はないからである。
【0085】
次に、綴じ方向決定装置20の実際の動作を説明する。
【0086】
<組み方向の情報の取得>
図1に示す組み方向情報取得部22は、コンテンツデータ取得部10から、デフォルトの組み方向と、各フローの組み方向を取得する。このデフォルトの組み方向および各フローの組み方向から、最終的に「縦」か「横」のどちらの組み方向で各フローの文章を表示するかを決定する。フローの組み方向が「縦」か「横」なら、それをそのままフローの組み方向とみなし、「規定なし」ならば、デフォルトの組み方向をフローの組み方向とみなす。さらに、デフォルトの組み方向も「規定なし」ならば、フローの組み方向は、「ユーザー設定組み方向」とする。
【0087】
図3に綴じ方向決定装置20の組み方向情報取得部22の動作を説明するためのフローチャートを示している。
【0088】
まず、組み方向情報取得部22は、ステップS1において、組み方向のデフォルト値dを取得する。次に、ステップS2に進み、ユーザー設定組み方向の値uを取得する。
【0089】
次に、ステップS3に進み、全フロー数nを取得する。
【0090】
次に、ステップS4に進み、第iフローの組み方向が「規定なし」であると判定すると、ステップS5に進む一方、第iフローの組み方向が「規定なし」でないと判定すると、第iフローをインクリメントした後、第iフローがn未満であればステップS4に戻り、第iフローがnであればこの処理を終了する。
【0091】
そして、ステップS5では、組み方向のデフォルト値dが「規定なし」であると判定すると、ステップS8に進み、第iフローの組み方向を、ユーザー設定組み方向の値uに設定して、第iフローをインクリメントした後、第iフローがn未満であればステップS4に戻り、第iフローがnであればこの処理を終了する。
【0092】
一方、ステップS5で組み方向のデフォルト値dが「規定なし」でないと判定すると、ステップS6に進み、組み方向のデフォルト値dが「縦」か否かを判定する。
【0093】
そして、ステップS6で組み方向のデフォルト値dが「縦」であると判定すると、ステップS9に進み、第iフローの組み方向を「縦」に設定して、第iフローをインクリメントした後、第iフローがn未満であればステップS4に戻り、第iフローがnであればこの処理を終了する。
【0094】
一方、組み方向のデフォルト値dが「縦」でないと判定すると、ステップS7に進み、第iフローの組み方向を「横」に設定して、第iフローをインクリメントした後、第iフローがn未満であればステップS4に戻り、第iフローがnであればこの処理を終了する。
【0095】
<文章量の取得>
図4は上記文章量取得部24と綴じ方向決定部26の動作を説明するためのフローチャートを示しており、図4に示すように、ステップS11で縦書きの文章量nr_downと横書きの文章量nr_rightを夫々0に設定する。次に、ステップS12に進み、文章量取得部24は、文章量を算出する。より詳しくは、文章量取得部24は、組み方向情報取得部22から各フローの組み方向を取得して、縦書きの文章量の総計と、横書きの文章量の総計を算出する。このとき、組み方向情報取得部22から縦書きのフローがどれだけの数あるか、横書きのフローがどれだけの数あるかを算出し、これをそのまま縦書きの文章量の総計と、横書きの文章量の総計とみなす。
【0096】
次に、ステップS13に進み、綴じ方向決定部26により綴じ方向を決定する。
【0097】
図5は上記綴じ方向決定装置20の文章量取得部24の動作を説明するためのフローチャートを示している。また、図6はフロー数を文章量として用いる文章量取得部24の動作を説明するためのフローチャートを示している。図5と図6のどちらも、縦書きの文章量はnr_downという変数で、横書きの文章量はnr_rightという変数で表される(初期値0)。また、図5では、第iフローが0,1,2,…,nについてステップS21〜S24を繰り返す(nは組み方向情報取得部22で取得された全フロー数)。
【0098】
まず、図5に示すように、文章量取得部24は、ステップS21で第iフローの文章量nr_textを取得する。この実施形態では、図6に示すように、第iフローの文章量nr_textは1である。
【0099】
次に、ステップS22に進み、第iフローの組み方向を「縦」であると判定すると、ステップS24に進み、縦書きの文章量nr_downに文章量nr_textを加算する。そして、第iフローをインクリメントした後、第iフローがn未満であればステップS21に戻り、第iフローがnであればこの処理を終了する。
【0100】
一方、ステップS22に進み、第iフローの組み方向を「縦」でないと判定すると、ステップS23に進み、横書きの文章量nr_rightに文章量nr_textを加算する。そして、第iフローをインクリメントした後、第iフローがn未満であればステップS21に戻り、第iフローがnであればこの処理を終了する。
【0101】
これにより、文章量取得部24は、フロー数で表された縦書きの文章量の総計(nr_down)と横書きの文章量の総計(nr_right)を取得する。
【0102】
なお、文章量としてフロー数を用いたが、図7に示すように、バイト数を文章量として用いてもよい。図7にバイト数を文章量として用いる文章量取得部24の動作を説明するためのフローチャートを示している。
【0103】
図5に示すステップS21において、文章量取得部24が第iフローの文章量nr_textを取得するとき、文章量取得部24は、図7に示すステップS41で第iフローのファイル上でのサイズsを取得する。
【0104】
次に、ステップS42に進み、第iフローの文章量nr_textをsとする。
【0105】
ここで、サイズsの単位は、文字数でも、データのバイト数でも良く、一元的に文章の量を比較できるものならば何でもよい。図7では、文章を一定以下のメモリ上でのサイズを取るような単位(ブロック)に切り分け、これを文章量の単位とした。
【0106】
また、上記第1実施形態では、各フローのブロック数が電子書籍のファイルに直接記録されているが、本発明を用いた他の実施形態としては、文章量が電子書籍のファイルに直接記録されていなくてもかまわない。電子書籍のファイルに分割範囲の切り分けが記録されている限り、各分割範囲の文章量は算出可能だからである。
【0107】
なお、フロー数が例えば100以上のときはフロー数を文章量として用いて、文章量の正確な文字数やバイト数の取得と計算を省くことで高速化を図ってもよい。このときの閾値は、フロー数100に限らず、実施の形態によって適切な値を自由に決めてよい。また、綴じ方向決定装置20の処理能力が十分に高速であれば、フロー数をそのまま文章量とする(図6)のやり方を行う必要はなく、すべて図7の手法で各組み方向の文章量の総計を算出してよい。この場合、フロー数の閾値は不要となる。
【0108】
<綴じ方向の決定>
最後に、綴じ方向決定部26は、縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計を比較して、より多い方の組み方向から綴じ方向を決定する。すなわち、組み方向が縦のフローの数が多い場合は綴じ方向は「右」であり、組み方向が横のフローの数が多いなら綴じ方向は「左」である。
【0109】
図11は綴じ方向決定部26の動作を説明するフローチャートを示しており、綴じ方向決定部26は、ステップS81で縦書きの文章量の総計(nr_down)が横書きの文章量の総計(nr_right)未満であると判定すると、ステップS83に進み、綴じ方向を「左」として、この処理を終了する。
【0110】
一方、ステップS81で縦書きの文章量の総計(nr_down)が横書きの文章量の総計(nr_right)以上であると判定すると、ステップS82に進み、綴じ方向を「右」として、この処理を終了する。
【0111】
なお、理解の容易のため、次に具体的な電子書籍のデータを挙げて、綴じ方向決定装置20によって、文章量にブロック数を用いて最適な綴じ方向が決定される過程を確認する。
【0112】
すなわち、電子書籍の持つデフォルトの組み方向が縦、フロー数が4とする。そして、第1フローは文章量が1ブロックであり、表紙を表していて、フロー別の組み方向は規定なしである。また、第2フローは文章量が1ブロックであり、英語の原題を表すためにフロー別の組み方向は横である。また、第3フローは文章量が50ブロックであり、本文を表していて、フロー別の組み方向は規定なしである。また、第4フローは文章量が1ブロックであり、奥付を表すためにフロー別の組み方向は横である。
【0113】
まず、綴じ方向決定装置20において、組み方向情報取得部22は上記電子書籍のデータから各フローの組み方向の情報を取得する。このとき、第iフローの組み方向は、長さがフロー数i(=1,2,3,4)と等しい4の配列の変数baseline[i-1]に収められている。ここで、配列の各要素の型は、「規定なし」、「横」、「縦」の3通りを表す値を表現できるならば何でもよい。
【0114】
さて、図3のフローチャートに従って、各フローの組み方向を決めていく。第1フローに設定された組み方向baseline[0]が「規定なし」であるため、baseline[0]にはデフォルトの組み方向を代入する。すなわち、第1フローの組み方向baseline[0]は「縦」となる。
【0115】
次に、第2フローは、すでに「規定なし」以外の値が組み方向として設定されているため、処理はせず、第2フローの組み方向baseline[1]は「横」となる。第3フローは第1フローと同様で、第3フローの組み方向baseline[2]は「縦」となる。第4フローは第2フローと同様で、第4フローの組み方向baseline[3]は「横」となる。
【0116】
次に、文章量取得部24は、図5に示す制御を行う。最初、縦書きの文章量の総計を表す変数はnr_down=0であり、横書きの文章量の総計を表す変数はnr_right=0である。
【0117】
次に、第1フローから第4フローのそれぞれの文章量を取得し、すでに取得した組み方向baselineをもとにして、nr_down, nr_rightを算出する。第1フローはbaseline[0]=縦で、文章量は1ブロックなのでnr_down=1となり、第2フローはbaseline[1]=横で、文章量は1ブロックなのでnr_right=1となり、第3フローはbaseline[2]=縦で、文章量は50ブロックなのでnr_down=51となり、第4フローはbaseline[3]=横で、文章量は1ブロックなのでnr_right=2となる。
【0118】
したがって、最終的に、nr_right=2とnr_down=51という結果になる。
【0119】
最後に、綴じ方向決定部26は、変数nr_right=2とnr_down=51の値を比較して、nr_downの値が大きいため、この電子書籍の主な組み方向は「縦」とみなし、綴じ方向を「右」と決定する。この値はコンテンツ表示部50に渡され、ページめくりの順方向は左から右に固定される。
【0120】
このようなブロック数を文章量に用いたもの以外の具体的な事例について以下の表1〜表4に示している。
【0121】
【表1】
【0122】
上記表1では、フロー数を文章量としており、組み方向が横のフロー数が2であり、組み方向が縦のフロー数が1であるので、綴じ方向は「左」となる。この場合、表2〜表4に比べて、高速処理が可能で、文章量が多い電子書籍に対して好適である。
【0123】
【表2】
【0124】
上記表2では、バイト数を文章量としており、組み方向が横のバイト数の総計が626バイトであり、組み方向が縦のバイト数の総計が160バイトであるので、綴じ方向は「左」となる。表1のように、フロー数を文章量とする場合に、フローによって実際の文章量に偏りが大きいと、正確な文章量の判断が難しくなるが、表2では、フローによって文章量に偏りが大きくても正確に文章量を判断できる。この場合、フロー毎のデータの総バイト数としては、タグ情報、文字サイズ、画像の位置情報、ルビなどの表示に関係する補足的な情報のバイト数を含んだまま扱うことにより、電子書籍の本文のみを切り出す操作を行うことなく、データサイズから簡単に文章量が得られる。
【0125】
【表3】
【0126】
上記表3では、文字数を文章量としており、組み方向が横の文字数の総計が266文字であり、組み方向が縦の文字数の総計が72文字であるので、綴じ方向は「左」となる。表2のように、バイト数を文章量とする場合に、タグ情報などを多く含んでいると、正確な文章量の判断が難しくなるが、表3では、タグ情報などを多く含んでいても正確に文章量を判断できる。
【0127】
図8のフローチャートは、文字数を文章量として用いた場合の文章量取得部24の図5のステップS21の動作を示している。図8に示すように、まず、ステップS51で第iフローの本文をコンテンツデータ取得部10から取得する。
【0128】
次に、ステップS52に進み、第iフローの本文を構文解析してタグ情報を取り除いた本文の文字数char_countを算出する。
【0129】
次に、ステップS53に進み、文章量nr_textに文字数char_countを代入して、この処理を終了する。
【0130】
【表4】
【0131】
上記表4では、ページ数を文章量としており、組み方向が横の文字数の総計が146文字であり、組み方向が縦の文字数の総計が160文字であるが、組み方向が横のページ数が4であり、組み方向が縦のページ数が3である。すなわち横の文章量の方が多いため、綴じ方向は「左」となる。表1〜表3の場合に比べて、表示されるページ数で文章量を判断するため、画像を多く含んでいたり、文字サイズがフローによって大きく異なったりした場合でも、正確に文章量の判断ができる。例えば、文字数が同じであっても、図13に示すような猫の画像を含む場合はページ数が2となるように、文字数だけでは文章量が正確でない場合があるが、ページ数で文章量を判断することで実際のページめくりに対応した適切な判断ができる。
【0132】
このように、実際にコンテンツ表示部50に表示されるページ数は、本としての厚み(枚数)に相当する文章量となる。この場合、文章量取得部24は、電子書籍のデータを実際にコンテンツ表示部50に表示したときのページめくりの処理を表示なしで行って、組み方向が横のページ数の総計と組み方向が縦のページ数の総計を取得する。したがって、画像や異なる文字サイズの文章が混在しても、正確な文章量を得ることができる。
【0133】
図9のフローチャートは、ページ数を文章量として用いた場合の文章量取得部26の図5のステップS21の動作を示している。図9に示すように、まず、ステップS61で第iフローの本文をコンテンツデータ取得部10から取得する。
【0134】
次に、ステップS62に進み、文章量nr_textに0を代入する。
【0135】
次に、ステップS63に進み、第iフローの本文を構文解析してタグ情報以外の文字数char_countを算出する。
【0136】
次に、jが1からchar_countになるまでステップS64〜S67を繰り返す。
【0137】
そして、ステップS64で電子書籍再生部40に第iフローの開始位置jを指定して第iフローを再生させる。
【0138】
次に、ステップS65に進み、電子書籍再生部40から終了位置end_indexを取得する。ここで、終了位置end_indexとは、第iフローのコンテンツ表示部50に表示させたときのページの最後に表示される文字またはデータの第iフローにおける先頭文字からの文字数(またはバイト数)を表す。
【0139】
次に、ステップS66に進み、終了位置end_indexに1を加えてjに代入する。このjは、次にコンテンツ表示部50に表示させるページの最初の文字の位置を示している。
【0140】
次に、ステップS67に進み、文章量nr_textをインクリメントした後、jがchar_count未満のときは、ステップS64〜S67を繰り返す。また、jがchar_countのときは、この処理を終了する。
【0141】
上記第1実施形態の綴じ方向決定装置20の構成によれば、縦組み(文字の配列方向が縦)と横組み(文字の配列方向が横)の文章が混在する電子書籍に対して最適な綴じ方向を決定できる。それ故、この発明の電子書籍用綴じ方向決定装置では、綴じ方向の指定のないフォーマットの電子書籍の綴じ方向を自動で決定することができる。
【0142】
したがって、電子書籍のファイルのフォーマットが、本文の任意の部分に組み方向を指定できるような形式になっている限り、綴じ方向決定装置は有効に働くことができ、電子書籍の綴じ方向を自動で決定できる。それ故、綴じ方向決定装置20を電子書籍リーダー1に組み込めば、電子書籍のページめくり方向を一定にすることができ、ユーザに、現実に近いページめくりの操作体験を提供することができる。
【0143】
また、上記綴じ方向決定部26において、文章量判定部26aが縦書きの文章量の総計が横書きの文章量の総計以上と判定すると、綴じ方向決定部26のページめくり方向決定部26bは、電子書籍の綴じ方向を「右」に決定し、左から右へのページめくり方向を順方向に決定する。一方、文章量判定部26aが縦書きの文章量の総計が横書きの文章量の総計未満であると判定すると、ページめくり方向決定部26bは、電子書籍の綴じ方向を「左」に決定し、右から左へのページめくり方向を順方向に決定する。これにより、綴じ方向決定部は、電子書籍の綴じ方向とページめくり方向を決定して、電子書籍の綴じ方向およびページめくり方向に基づいて、最適なページめくりの表示をすることが可能となり、縦書きと横書きが混在した電子書籍であっても、ユーザに快適な読書サービスを提供できる。
【0144】
さらに、綴じ方向決定装置20では、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話機、および電子書籍リーダーの何れに用いてもよい。この綴じ方向決定装置20は、自身が接続される表示装置がパーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話機、および電子書籍リーダーであるときに、好適に適用することができる。なお、綴じ方向決定装置20は、コンテンツとして提供する電子書籍のデータに綴じ方向を設定するための装置に適用することもできる。
【0145】
〔第2実施形態〕
図14はこの発明の第2実施形態の綴じ方向決定装置120を備えた電子書籍リーダー101の概略構成を示すブロック図を示している。この第2実施形態の電子書籍リーダー101は、綴じ方向決定装置120を除いて第1実施形態の電子書籍リーダー1と同一の構成をしており、同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略する。
【0146】
この第2実施形態の電子書籍リーダー101は、図14に示すように、コンテンツデータ取得部10と、電子書籍用綴じ方向決定装置の一例としての綴じ方向決定装置120と、操作部30と、電子書籍再生部40と、コンテンツ表示部50とを備えている。電子書籍リーダー101は、電子書籍を再生,表示等することが可能な端末機器である。また、綴じ方向決定装置120は、組み方向情報取得部122と、文章量取得部124と、綴じ方向決定部126と、重み付け情報取得部127と、言語情報取得部128とを備えている。
【0147】
上記重み付け情報取得部127は、複数のフロー(分割範囲)の夫々の種別毎に予め設定された重み付け情報を取得する。なお、この重み付け情報は、綴じ方向決定装置120の記憶部(図示せず)に記憶されていてもよいし、コンテンツデータ取得部10により取得された電子書籍のデータに重み付け情報が設定され、重み付け情報取得部127によりコンテンツデータ取得部10から取得されるようにしてもよい。
【0148】
また、上記文章量取得部124は、電子書籍のデータの複数のフローの夫々について縦書きの文章量と横書きの文章量を取得する分割範囲文章量取得部の一例としてのフロー文章量取得部124aと、フロー文章量取得部124aにより取得された複数のフローの夫々の縦書きの文章量と横書きの文章量に対して、重み付け情報取得部127により取得された重み付け情報に基づいて重み付けを行う文章量重み付け部124bと、文章量重み付け部124bにより重み付けされた複数のフローの夫々の縦書きの文章量と横書きの文章量に基づいて、縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計を求める文章量総計算出部124cとを有する。
【0149】
また、上記言語情報取得部128は、コンテンツデータ取得部10から電子書籍の言語情報を取得する。
【0150】
また、上記綴じ方向決定部126は、文章量取得部124により取得された縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計および言語情報取得部128により取得された電子書籍の言語情報に基づいて、電子書籍の綴じ方向を決定する。
【0151】
上記綴じ方向決定装置120によれば、文章量取得部124のフロー文章量取得部124aは、電子書籍のデータの複数のフロー(分割範囲)の夫々について縦書きの文章量と横書きの文章量を取得する。そして、フロー文章量取得部124aにより取得された複数のフローの縦書きの文章量と横書きの文章量に対して、文章量取得部124の文章量重み付け部124bは、重み付け情報取得部124により取得された重み付け情報に基づいて重み付けを行う。そうして、重み付けされた複数のフローの夫々の縦書きの文章量と横書きの文章量に基づいて、文章量取得部124の文章量総計算出部124cは、縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計を求める。例えば、奥付や表紙の重みを0.1とし、本文の重みを1.0とすることにより、本文の文章量を反映させた最適な綴じ方向を決定することができる。なお、本文は、組み方向設定がなされた本文(例えば重み2.0)、組み方向が設定されていない本文(重み0.5)とに分けられていてもよい。
【0152】
また、上記文章量取得部124により取得された縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計および言語情報取得部128により取得された電子書籍の言語情報に基づいて、綴じ方向決定部126により電子書籍の綴じ方向を決定することによって、例えば、文章量取得部124により取得された縦書きの文章量の総計と横書きの文章量の総計により基本の綴じ方向を判定した後、この基本の綴じ方向と電子書籍の言語毎に設定されている綴じ方向とを組み合わせて、最適な綴じ方向を決定することが可能になる。例えば、電子書籍の言語情報が日本語である場合、縦書きの文章量の総計が、横書きの文章量の総計と比較して少なくても、その差が小さいならば、綴じ方向を「右」としたり、言語情報が英語である場合、縦書きの文章量の総計が、横書きの文章量の総計と比較してやや多くても、その差が小さいならば、綴じ方向を「左」としたりするといった処理を行う。
【0153】
最後に、綴じ方向決定装置20,120の各ブロック、特に組み方向情報取得部22,122、文章量取得部24,124、および綴じ方向決定部26,126は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0154】
すなわち、綴じ方向決定装置20は、各機能を実現する制御プログラム(電子書籍用綴じ方向決定プログラム)の命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備える。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである綴じ方向決定装置20の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラムなどを含む)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、綴じ方向決定装置20に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0155】
それによって、電子書籍を閲覧するソフトウェアに本発明の電子書籍用綴じ方向決定プログラムを組み込んだ場合は、電子書籍ファイルのオープン時に、本発明を用いて綴じ方向を決定することで、ページめくりの順方向が一定となり、ユーザは快適な読書体験を味わうことができる。
【0156】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやコンパクトディスク−ROM/MO(光磁気)/MD(ミニディスク)/デジタルビデオディスク/コンパクトディスク−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0157】
また、コンピュータを通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN(Local Area Network:ローカル・エリア・ネットワーク)、ISDN(Integrated Service Digital Network:統合サービス・デジタル・ネットワーク)、VAN(Value Added Network:付加価値通信網)、CATV(Cable Television:ケーブル・テレビジョン)通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line:非対称デジタル加入者線)回線等の有線でも、IrDA(Infrared Data Association)やリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(High Data Rate:ハイ・データ・レート)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0158】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々の変更が可能である。すなわち、この発明の範囲内で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明は、電子書籍の最適な綴じ方向を自動で左か右に決定することができ、特に、現実のページめくりを模した操作や表示を行う表示装置(電子書籍リーダー等)に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0160】
1,101…電子書籍リーダー
10…コンテンツデータ取得部
20,120…綴じ方向決定装置
22,122…組み方向情報取得部
24,124…文章量取得部
26,126…綴じ方向決定部
26a…文章量判定部
26b…ページめくり方向決定部
127…重み付け情報取得部
128…言語情報取得部
30…操作部
40…電子書籍再生部
50…コンテンツ表示部
124a…フロー文章量取得部
124b…文章量重み付け部
124c…文章量総計算出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め決められた規則に従って電子書籍のデータを複数の分割範囲に分けて、上記複数の分割範囲の夫々について文字の配列方向が縦であるかまたは横であるかを表す組み方向の情報を上記電子書籍のデータから取得する組み方向情報取得部と、
上記組み方向情報取得部により取得された上記複数の分割範囲の夫々の上記組み方向の情報に基づいて、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲について縦書きの文章量の総計を取得すると共に、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲について横書きの文章量の総計を取得する文章量取得部と、
上記文章量取得部により取得された上記縦書きの文章量の総計と上記横書きの文章量の総計に基づいて、上記電子書籍の綴じ方向を決定する綴じ方向決定部と
を備えることを特徴とする電子書籍用綴じ方向決定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子書籍用綴じ方向決定装置において、
上記綴じ方向決定部は、
上記縦書きの文章量の総計が上記横書きの文章量の総計以上か否か判定する文章量判定部と、
上記文章量判定部が上記縦書きの文章量の総計が上記横書きの文章量の総計以上と判定すると、上記電子書籍の綴じ方向を右に決定し、左から右へのページめくり方向を順方向に決定する一方、上記文章量判定部が上記縦書きの文章量の総計が上記横書きの文章量の総計未満であると判定すると、上記電子書籍の綴じ方向を左に決定し、右から左へのページめくり方向を順方向に決定するページめくり方向決定部と
を有することを特徴とする電子書籍用綴じ方向決定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子書籍用綴じ方向決定装置において、
上記文章量取得部で取得する上記縦書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲の総数であり、
上記文章量取得部で取得する上記横書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲の総数であることを特徴とする電子書籍用綴じ方向決定装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電子書籍用綴じ方向決定装置において、
上記文章量取得部で取得する上記縦書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲のデータの総バイト数であり、
上記文章量取得部で取得する上記横書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲のデータの総バイト数であることを特徴とする電子書籍用綴じ方向決定装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の電子書籍用綴じ方向決定装置において、
上記文章量取得部で取得する上記縦書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲の総文字数であり、
上記文章量取得部で取得する上記横書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲の総文字数であることを特徴とする電子書籍用綴じ方向決定装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の電子書籍用綴じ方向決定装置において、
上記文章量取得部で取得する上記縦書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲を表示装置に表示するときの総ページ数であり、
上記文章量取得部で取得する上記横書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲を上記表示装置に表示するときの総ページ数であることを特徴とする電子書籍用綴じ方向決定装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1つに記載の電子書籍用綴じ方向決定装置において、
上記複数の分割範囲の夫々の種別毎に予め設定された重み付け情報を取得する重み付け情報取得部を備え、
上記文章量取得部は、
上記電子書籍のデータの上記複数の分割範囲の夫々について上記縦書きの文章量と上記横書きの文章量を取得する分割範囲文章量取得部と、
上記分割範囲文章量取得部により取得された上記複数の分割範囲の夫々の上記縦書きの文章量と上記横書きの文章量に対して、上記重み付け情報取得部により取得された上記重み付け情報に基づいて重み付けを行う文章量重み付け部と、
上記文章量重み付け部により重み付けされた上記複数の分割範囲の夫々の上記縦書きの文章量と上記横書きの文章量に基づいて、上記縦書きの文章量の総計と上記横書きの文章量の総計を求める文章量総計算出部と
を有することを特徴とする電子書籍用綴じ方向決定装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1つに記載の電子書籍用綴じ方向決定装置において、
上記電子書籍の言語情報を取得する言語情報取得部を備え、
上記綴じ方向決定部は、上記文章量取得部により取得された上記縦書きの文章量の総計と上記横書きの文章量の総計および上記言語情報取得部により取得された上記電子書籍の上記言語情報に基づいて、上記電子書籍の綴じ方向を決定することを特徴とする電子書籍用綴じ方向決定装置。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1つに記載の電子書籍用綴じ方向決定装置と、
電子書籍の縦書きおよび横書きの表示が可能で、かつ、上記電子書籍に対して左から右へのページめくりおよび右から左へのページめくりの表示が可能な表示部と、
上記電子書籍用綴じ方向決定装置により決定された上記電子書籍の綴じ方向に基づいて、上記左から右へのページめくりおよび上記右から左へのページめくりの表示を上記表示部に指示するための操作部と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項9に記載の表示装置であって、
パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話機および電子書籍リーダーのうちのいずれか1つであることを特徴とする表示装置。
【請求項11】
予め決められた規則に従って電子書籍のデータを複数の分割範囲に分けて、上記複数の分割範囲の夫々に対して縦書きであるかまたは横書きであるかを表す組み方向の情報を組み方向情報取得部により取得する情報取得ステップと、
上記情報取得ステップにおいて取得された上記複数の分割範囲の夫々の上記組み方向の情報に基づいて、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲について縦書きの文章量の総計を文章量取得部により取得すると共に、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲について横書きの文章量の総計を上記文章量取得部により取得する文章量取得ステップと、
上記文章量取得ステップにおいて取得された上記縦書きの文章量の総計と上記横書きの文章量の総計に基づいて、上記電子書籍の綴じ方向を綴じ方向決定部により決定する綴じ方向決定ステップと
を含むことを特徴とする電子書籍用綴じ方向決定方法。
【請求項12】
請求項11に記載の電子書籍用綴じ方向決定方法の上記各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする電子書籍用綴じ方向決定プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の電子書籍用綴じ方向決定プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
予め決められた規則に従って電子書籍のデータを複数の分割範囲に分けて、上記複数の分割範囲の夫々について文字の配列方向が縦であるかまたは横であるかを表す組み方向の情報を上記電子書籍のデータから取得する組み方向情報取得部と、
上記組み方向情報取得部により取得された上記複数の分割範囲の夫々の上記組み方向の情報に基づいて、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲について縦書きの文章量の総計を取得すると共に、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲について横書きの文章量の総計を取得する文章量取得部と、
上記文章量取得部により取得された上記縦書きの文章量の総計と上記横書きの文章量の総計に基づいて、上記電子書籍の綴じ方向を決定する綴じ方向決定部と
を備えることを特徴とする電子書籍用綴じ方向決定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子書籍用綴じ方向決定装置において、
上記綴じ方向決定部は、
上記縦書きの文章量の総計が上記横書きの文章量の総計以上か否か判定する文章量判定部と、
上記文章量判定部が上記縦書きの文章量の総計が上記横書きの文章量の総計以上と判定すると、上記電子書籍の綴じ方向を右に決定し、左から右へのページめくり方向を順方向に決定する一方、上記文章量判定部が上記縦書きの文章量の総計が上記横書きの文章量の総計未満であると判定すると、上記電子書籍の綴じ方向を左に決定し、右から左へのページめくり方向を順方向に決定するページめくり方向決定部と
を有することを特徴とする電子書籍用綴じ方向決定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子書籍用綴じ方向決定装置において、
上記文章量取得部で取得する上記縦書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲の総数であり、
上記文章量取得部で取得する上記横書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲の総数であることを特徴とする電子書籍用綴じ方向決定装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電子書籍用綴じ方向決定装置において、
上記文章量取得部で取得する上記縦書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲のデータの総バイト数であり、
上記文章量取得部で取得する上記横書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲のデータの総バイト数であることを特徴とする電子書籍用綴じ方向決定装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の電子書籍用綴じ方向決定装置において、
上記文章量取得部で取得する上記縦書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲の総文字数であり、
上記文章量取得部で取得する上記横書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲の総文字数であることを特徴とする電子書籍用綴じ方向決定装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の電子書籍用綴じ方向決定装置において、
上記文章量取得部で取得する上記縦書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲を表示装置に表示するときの総ページ数であり、
上記文章量取得部で取得する上記横書きの文章量の総計は、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲を上記表示装置に表示するときの総ページ数であることを特徴とする電子書籍用綴じ方向決定装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1つに記載の電子書籍用綴じ方向決定装置において、
上記複数の分割範囲の夫々の種別毎に予め設定された重み付け情報を取得する重み付け情報取得部を備え、
上記文章量取得部は、
上記電子書籍のデータの上記複数の分割範囲の夫々について上記縦書きの文章量と上記横書きの文章量を取得する分割範囲文章量取得部と、
上記分割範囲文章量取得部により取得された上記複数の分割範囲の夫々の上記縦書きの文章量と上記横書きの文章量に対して、上記重み付け情報取得部により取得された上記重み付け情報に基づいて重み付けを行う文章量重み付け部と、
上記文章量重み付け部により重み付けされた上記複数の分割範囲の夫々の上記縦書きの文章量と上記横書きの文章量に基づいて、上記縦書きの文章量の総計と上記横書きの文章量の総計を求める文章量総計算出部と
を有することを特徴とする電子書籍用綴じ方向決定装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1つに記載の電子書籍用綴じ方向決定装置において、
上記電子書籍の言語情報を取得する言語情報取得部を備え、
上記綴じ方向決定部は、上記文章量取得部により取得された上記縦書きの文章量の総計と上記横書きの文章量の総計および上記言語情報取得部により取得された上記電子書籍の上記言語情報に基づいて、上記電子書籍の綴じ方向を決定することを特徴とする電子書籍用綴じ方向決定装置。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1つに記載の電子書籍用綴じ方向決定装置と、
電子書籍の縦書きおよび横書きの表示が可能で、かつ、上記電子書籍に対して左から右へのページめくりおよび右から左へのページめくりの表示が可能な表示部と、
上記電子書籍用綴じ方向決定装置により決定された上記電子書籍の綴じ方向に基づいて、上記左から右へのページめくりおよび上記右から左へのページめくりの表示を上記表示部に指示するための操作部と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項9に記載の表示装置であって、
パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話機および電子書籍リーダーのうちのいずれか1つであることを特徴とする表示装置。
【請求項11】
予め決められた規則に従って電子書籍のデータを複数の分割範囲に分けて、上記複数の分割範囲の夫々に対して縦書きであるかまたは横書きであるかを表す組み方向の情報を組み方向情報取得部により取得する情報取得ステップと、
上記情報取得ステップにおいて取得された上記複数の分割範囲の夫々の上記組み方向の情報に基づいて、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が縦である分割範囲について縦書きの文章量の総計を文章量取得部により取得すると共に、上記複数の分割範囲のうちの上記組み方向が横である分割範囲について横書きの文章量の総計を上記文章量取得部により取得する文章量取得ステップと、
上記文章量取得ステップにおいて取得された上記縦書きの文章量の総計と上記横書きの文章量の総計に基づいて、上記電子書籍の綴じ方向を綴じ方向決定部により決定する綴じ方向決定ステップと
を含むことを特徴とする電子書籍用綴じ方向決定方法。
【請求項12】
請求項11に記載の電子書籍用綴じ方向決定方法の上記各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする電子書籍用綴じ方向決定プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の電子書籍用綴じ方向決定プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図11】
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【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−33358(P2013−33358A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168586(P2011−168586)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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