説明

電子材料用油中分散剤組成物

【課題】 環境に影響の少ない非芳香族系有機溶剤を用いても充分な分散性能を有する電子材料用油中分散剤組成物並びに油中分散体の提供。
【解決手段】 オレフィンと不飽和二塩基酸との共重合体のアミド化物又はエステル化物で、不飽和二塩基酸に対するアミド化率又はエステル化率が10〜60モル%であるものから選ばれる少なくとも1種の分散剤と、溶解度パラメーターが8.5〜22(cal/cm31/2の非芳香族系有機溶剤とを含有する電子材料用油中分散剤組成物、並びにこの電子材料用油中分散剤組成物と、電子材料用粉体とを含有する油中分散体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子材料用油中分散剤組成物、並びに電子材料用油中分散剤組成物及び電子材料用粉体を含有する油中分散体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子材料用粉体を含有する油中分散体を得るためには、溶剤として芳香族系溶剤、特にトルエン、キシレン、ベンゼン、あるいはこれら芳香族系溶剤との混合溶剤を使用している(例えば、特許文献1)。しかし環境への影響を鑑み、近年、芳香族系溶剤を配合せず、極性の高い非芳香族系有機溶剤を使用するようになりつつある。しかし非芳香族系有機溶剤を使用すると、従来の分散剤では分散性能が劣り、満足できる分散性を有する油中分散体が得られていないのが現状である。
【特許文献1】特開2004−2164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、環境に影響の少ない非芳香族系有機溶剤を用いても充分な分散性能を有する電子材料用油中分散剤組成物並びに油中分散体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、オレフィンと不飽和二塩基酸との共重合体のアミド化物又はエステル化物で、不飽和二塩基酸に対するアミド化率又はエステル化率が10〜60モル%であるものから選ばれる少なくとも1種の分散剤と、溶解度パラメーターが8.5〜22(cal/cm31/2の非芳香族系有機溶剤とを含有する電子材料用油中分散剤組成物、並びにこの電子材料用油中分散剤組成物と、電子材料用粉体とを含有する油中分散体を提供する。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、環境に影響の少ない非芳香族系有機溶剤を含有していても、良好な分散性能を有する電子材料用油中分散剤組成物並びに油中分散体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
[電子材料用油中分散剤組成物]
本発明の電子材料用油中分散剤組成物は、オレフィンと不飽和二塩基酸との共重合体のアミド化物又はエステル化物で、上記特定のアミド化率又はエステル化率を有する分散剤と、上記特定の溶解度パラメーターを有する非芳香族系有機溶剤とを含有する。
【0007】
本発明の分散剤を構成するオレフィンとしては、良好な分散性能を得る観点から、炭素数3〜12のオレフィンが好ましく、ジイソブチレン及びイソブチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、ジイソブチレンが更に好ましい。
【0008】
本発明の分散剤を構成する不飽和二塩基酸としては、良好な分散性能を得る観点から、炭素数4〜6の脂肪族不飽和二塩基酸が好ましく、無水マレイン酸、マレイン酸及びイタコン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、無水マレイン酸、マレイン酸が更に好ましい。
【0009】
本発明の分散剤の構成モノマーとしてのオレフィンと不飽和二塩基酸の割合は、良好な分散性能を得る観点から、オレフィン/不飽和二塩基酸(モル比)=80/20〜20/80が好ましく、70/30〜30/70がより好ましく、65/35〜35/65が更に好ましい。
【0010】
本発明に用いられるオレフィンと不飽和二塩基酸との共重合体のアミド化物は、オレフィンと不飽和二塩基酸との共重合体と、アミンとを、不飽和二塩基酸に対するアミド化率が10〜60モル%となるように反応させることにより得ることができる。ここで用いられるアミンとしては、炭素数4〜22の1級アミンが好ましく、具体的にはブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン等が挙げられる。これらのアミンは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0011】
得られるアミド化物のアミド化率(対不飽和二塩基酸)は、良好な分散性能、及び非芳香族系有機溶剤への良好な溶解性を得る観点から、10〜60モル%であり、20〜55モル%が好ましく、40〜55モル%がより好ましい。
【0012】
本発明に用いられるオレフィンと不飽和二塩基酸との共重合体のエステル化物は、オレフィンと不飽和二塩基酸との共重合体と、アルコールとを、不飽和二塩基酸に対するエステル化率が10〜60モル%となるように反応させることにより得ることができる。ここで用いられるアルコールとしては、炭素数4〜22のアルコールが好ましく、具体的にはブチルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。これらのアルコールは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0013】
得られるエステル化物のエステル化率(対不飽和二塩基酸)は、良好な分散性能、及び非芳香族系有機溶剤への良好な溶解性を得る観点から、10〜60モル%であり、20〜55モル%が好ましく、30〜50モル%がより好ましい。
【0014】
オレフィンと不飽和二塩基酸との共重合体のアミド化物又はエステル化物は必要に応じてアミン、ベタイン等で中和しても構わない。
【0015】
本発明に用いられる分散剤の重量平均分子量は、良好な分散性能、及び非芳香族系有機溶剤への良好な溶解性を得る観点から、700〜50万が好ましく、1000〜30万がより好ましく、3000〜10万が更に好ましい。
【0016】
なお、本明細書における分散剤の重量平均分子量は、下記条件のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、ポリスチレン換算)で測定した値である。
【0017】
カラム:α−M+α−M(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
検出器:RI
溶離液:60mmol/Lリン酸、50mmol/L臭化リチウム、DMF溶剤
流速:1.0mL/min
注入量:0.1mL
標準:ポリスチレン。
【0018】
本発明に用いられる有機溶剤は、環境への配慮から非芳香族系有機溶剤であり、また、本発明の分散剤の溶解性を向上させる観点から、非芳香族系有機溶剤の溶解度パラメーターは8.5〜22(cal/cm31/2であり、8.5〜18cal/cm31/2が好ましく、8.5〜15cal/cm31/2がより好ましい。
【0019】
非芳香族系有機溶剤の溶解度パラメーターは、正則溶液の理論展開で定義されているもので、溶剤の溶解性を表す指標として使用されている。本発明でいう溶解度パラメーター(SP値)はHansenの式に従っており、詳細は「SP値 基礎・応用と計算方法」(山本秀樹著、情報機構社刊)に基づいて求められる。
【0020】
本発明に用いられる非芳香族系有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール(SP値 14.49)、エチルアルコール(SP値12.98)、ブチルアルコール(SP値 11.32)、テルピネオール(SP値 11.09)、ブチルカルビトール(SP値 9.61)、アセトン(SP値9.75)、酢酸エチル(SP値 8.74)、エチレングリコール(SP値 16.07)、ジエチレングリコール(SP値14.56)、プロピレングリコール(SP値 13.18)、プロピレングリコールメチルエーテル(SP値 9.07)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(SP値8.78)等が挙げられ、このうちエチルアルコール、アセトン、ジエチレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートが好ましい。これらの非芳香族系有機溶剤は1種又は2種以上を任意に混合して用いることができる。
【0021】
本発明の電子材料用油中分散剤組成物中の、本発明の分散剤の含有量は、良好な分散性能を得る観点から、0.2〜30重量%が好ましく、0.5〜15重量%がより好ましい。また、溶解度パラメーター8.5〜22(cal/cm31/2の非芳香族系有機溶剤の含有量は、良好な分散性能を得る観点から、60〜100重量%が好ましく、80〜100重量%がより好ましい。
【0022】
本発明の電子材料用油中分散剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、未反応のオレフィンや不飽和二塩基酸等を含有していてもよい。
【0023】
[油中分散体]
本発明の油中分散体は、本発明の電子材料用油中分散剤組成物と、電子材料用粉体とを含有する。
【0024】
本発明において対象となる電子材料用粉体としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、クレー、ベントナイト、サチンホワイト、亜鉛華、ベンガラ、フェライト、酸化チタン、アルミナ、酸化マグネシウム、タルク、ホワイトカーボン、セメント、石膏、カーボンブラック、チタン酸塩、珪酸塩等が挙げられる。これらの粉体の中では、電磁気・光学用部材ファインセラミクスに用いられる粉体が好ましく、チタン酸バリウム等のチタン酸塩や、アルミナが更に好ましい。
【0025】
尚、ファインセラミクスとは基本的に無機化合物からなり、鉱物を原料として1000℃以上の高温反応にて製造するものである。この中で電磁気・光学用部材ファインセラミクスとは例えばICパッケージ、配線基板、絶縁体、センサー、電極、磁性体、半導体、コンデンサー、光ファイバー等が挙げられる。
【0026】
本発明の油中分散体中の、電子材料用粉体の含有量は、特に限定されないが、乾燥効率を向上させ、生産性を高める観点から、50重量%以上が好ましく、50〜85重量%がより好ましく、65〜85重量%が更に好ましい。また本発明の油中分散体中の、本発明の分散剤の含有量は、良好な分散性を得る観点から、電子材料用粉体100重量部に対し、0.2重量部以上が好ましく、0.2〜30重量部がより好ましく、0.5〜15重量部が更に好ましい。
【0027】
また、本発明の油中分散体は、粉体含量が50重量%以上であるスラリーのB粘度(25℃)の値が、200mPa・s以下が好ましく、80〜170mPa・sがより好ましい。
尚、B粘度は、実施例に記載した方法で測定する。
【0028】
本発明の油中分散体を得る方法としては、通常のスラリー化方法が用いられる。例えば本発明の油中分散剤組成物に電子材料用粉体を添加して撹拌、混合する方法、電子材料用粉体に本発明の油中分散剤組成物を加えて撹拌、混合する方法等が挙げられる。撹拌、混合する方法としては、例えば高速ディスパー、ホモミキサー、ボールミル等一般に用いられる撹拌装置を使用することができる。
【0029】
また、電子材料用粉体の鉱石又は粗粒子を粉砕と同時にスラリー化する場合には、電子材料用粉体の鉱石又は粗粒子に本発明の油中分散剤組成物を添加して、粉砕と同時にスラリー化する方法等が挙げられる。粉砕と同時にスラリー化する方法としてはビーズミル等一般に用いられる湿式粉砕機を使用することが出来る。
【0030】
本発明の油中分散体は、バインダ、可塑剤等を含有することができる。バインダとしては例えば、エチルセルロース、アクリル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。
可塑剤としては例えば、フタル酸ジオクチル、アジピン酸、リン酸エステル、グリコール等が挙げられる。
【0031】
本発明の油中分散体の、分散安定化のメカニズムは明らかではないが、本発明の分散剤を構成する不飽和二塩基酸から誘導される基が電子材料用粉体に吸着し、本発明の分散剤を構成するオレフィンから誘導される基が非芳香族系有機溶剤中に溶解拡散することにより、分散安定化が向上するものと推察される。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を、分散剤の製造例、並びに油中分散体の実施例及び比較例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0033】
製造例1
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器に無水マレイン酸66.0g及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(以下PGMEAと略記)60.7gを仕込み、窒素気流下で100℃に加熱後、この温度を維持しながら、85重量%ジイソブチレンPGMEA溶液87.9g及び4重量%過酸化ラウロイルPGMEA溶液130.5gをそれぞれ別の滴下ロートから4時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、100℃で10時間熟成し、重合反応を完結させた。反応終了後、冷却し、55℃に保持しながらオレイルアミン90gを滴下ロートから1時間かけて滴下しアミド化反応を行った。滴下終了後、55℃で1時間熟成し、反応を完結させ、無水マレイン酸/ジイソブチレン共重合体アミド化物を得た。本共重合体アミド化物のアミド化率及び重量平均分子量(前記方法により測定した値、以下同じ)を表1に示す。
【0034】
製造例2
重合時、4重量%過酸化ラウロイルPGMEA溶液18.9gを使用し、オレイルアミンの代わりにステアリルアルコール27.3gを使用してエステル化反応及び熟成を行ったこと以外は製造例1と同様にして、無水マレイン酸/ジイソブチレン共重合体エステル化物を得た。本共重合体エステル化物のエステル化率及び重量平均分子量を表1に示す。
【0035】
製造例3
重合時、4重量%過酸化ラウロイルPGMEA溶液92.3gを使用し、無水マレイン酸の代わりにイタコン酸を87.5g、ジイソブチレンの代わりにイソブチレンを37.4g用いる以外は製造例1と同様にして重合反応及び熟成を行い、重合反応を完結させた。反応終了後、オレイルアミンの代わりにラウリルアミン48.4gを使用してそれ以外は製造例1と同様にしてアミド化反応及び熟成を行い、イタコン酸/イソブチレン共重合体アミド化物を得た。本共重合体アミド化物のアミド化率及び重量平均分子量を表1に示す。
【0036】
製造例4
重合時、4重量%過酸化ラウロイルPGMEA溶液21.2gを使用し、無水マレイン酸の代わりにマレイン酸78.1gを使用してそれ以外は製造例1と同様にして重合反応及び熟成を行い、重合反応を完結させた。反応終了後、オレイルアミンの代わりにオクチルアルコール17.6gを使用してエステル化反応及び熟成を行ったこと以外は製造例1と同様にして、マレイン酸/ジイソブチレン共重合体エステル化物を得た。本共重合体エステル化物のエステル化率及び重量平均分子量を表1に示す。
【0037】
製造例5
重合時、4重量%過酸化ラウロイルPGMEA溶液68.2gを使用し、オレイルアミン72gを使用してアミド化反応及び熟成を行ったこと以外は製造例1と同様にして、無水マレイン酸/ジイソブチレン共重合体アミド化物を得た。本共重合体アミド化物のアミド化率及び重量平均分子量を表1に示す。
【0038】
製造例6
重合時、4重量%過酸化ラウロイルPGMEA溶液23.3gを使用し、オレイルアミン54gを使用してアミド化反応及び熟成を行ったこと以外は製造例1と同様にして、無水マレイン酸/ジイソブチレン共重合体アミド化物を得た。本共重合体アミド化物のアミド化率及び重量平均分子量を表1に示す。
【0039】
製造例7
重合時、4重量%過酸化ラウロイルPGMEA溶液46.3gを使用し、オレイルアミン81gを使用してアミド化反応及び熟成を行ったこと以外は製造例1と同様にして、無水マレイン酸/ジイソブチレン共重合体アミド化物を得た。本共重合体アミド化物のアミド化率及び重量平均分子量を表1に示す。
【0040】
製造例8
重合時、4重量%過酸化ラウロイルPGMEA溶液27.6gを使用し、オレイルアミンの代わりに2−エチルヘキシルアミン47.8gを使用してアミド化反応及び熟成を行ったこと以外は製造例1と同様にして、無水マレイン酸/ジイソブチレン共重合体アミド化物を得た。本共重合体アミド化物のアミド化率及び重量平均分子量を表1に示す。
【0041】
製造例9
重合時、4重量%過酸化ラウロイルPGMEA溶液28.4gを使用し、オレイルアミン147.6gを使用してアミド化反応及び熟成を行ったこと以外は製造例1と同様にして、無水マレイン酸/ジイソブチレン共重合体アミド化物を得た。本共重合体アミド化物のアミド化率及び重量平均分子量を表1に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
実施例1
500mLのディスポビーカーに平均粒径が0.38μmのアルミナ100g、PGMEA(溶解度パラメーター8.78(cal/cm31/2)40g、及び製造例1で得られた分散剤(PGMEAで希釈して固形分30重量%に調整したもの)2gを仕込んだ後、特殊機化工業株式会社製のホモディスパーで攪拌(2500r/min×2分間)し、スラリーを調製した。得られたスラリーを株式会社東京計器製のB型粘度装置を用いて25℃におけるB粘度をローターの回転速度60r/minで1分後に測定した。結果を表2に示す。
尚、スラリーは、B粘度が200mPa・s以下であるものが良好である。
【0044】
実施例2〜4
製造例1で得られた分散剤の代わりに製造例2〜4で得られた分散剤(PGMEAで希釈して固形分30重量%に調整したもの)2gを用いる以外は実施例1と同様にしてスラリーを調製し、同様にB粘度を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0045】
実施例5
PGMEAの代わりにエタノール(溶解度パラメーター12.98(cal/cm31/2)40gを用い、製造例1で得られた分散剤の代わりに製造例5で得られた分散剤(エタノールで希釈して固形分30重量%に調整したもの)2gを用いる以外は実施例1と同様にしてスラリーを調製し、同様にB粘度を測定した。その結果を表2に示す。
【0046】
実施例6
PGMEAの代わりにアセトン(溶解度パラメーター9.75(cal/cm31/2)40gを用い、製造例1で得られた分散剤の代わりに製造例6で得られた分散剤(アセトンで希釈して固形分30重量%に調整したもの)2gを用いる以外は実施例1と同様にしてスラリーを調製し、同様にB粘度を測定した。その結果を表2に示す。
【0047】
実施例7
PGMEAの代わりにジエチレングリコール(溶解度パラメーター14.56(cal/cm31/2)40gを用い、製造例1で得られた分散剤の代わりに製造例7で得られた分散剤(ジエチレングリコールで希釈して固形分30重量%に調整したもの)2gを用いる以外は実施例1と同様にしてスラリーを調製し、同様にB粘度を測定した。その結果を表2に示す。
【0048】
実施例8
製造例1で得られた分散剤の代わりに製造例8で得られた分散剤(PGMEAで希釈して固形分30重量%に調整したもの)2gを用いる以外は実施例1と同様にしてスラリーを調製し、同様にB粘度を測定した。その結果を表2に示す。
【0049】
比較例1
製造例1で得られた分散剤の代わりに、市販のα−オレフィン/無水マレイン酸共重合物部分エステル(商品名フローレンG−700、共栄社化学(株)製、エステル化率95モル%、PGMEAで希釈して固形分30重量%に調整したもの)2gを用いる以外は実施例1と同様にしてスラリーを調製し、同様にB粘度を測定した。その結果を表2に示す。
【0050】
比較例2〜4
PGMEAの代わりにヘキサン(溶解度パラメーター7.24(cal/cm31/2)、水(溶解度パラメーター23.43(cal/cm31/2)又はメチルイソブチルケトン(溶解度パラメーター8.31(cal/cm31/2)を40g用いる以外は実施例1と同様にしてスラリーを調製し、同様にB粘度を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0051】
比較例5
製造例1で得られた分散剤の代わりに製造例9で得られた分散剤(PGMEAで希釈して固形分30重量%に調整したもの)2gを用いる以外は実施例1と同様にしてスラリーを調製し、同様にB粘度を測定した。その結果を表2に示す。
【0052】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィンと不飽和二塩基酸との共重合体のアミド化物又はエステル化物で、不飽和二塩基酸に対するアミド化率又はエステル化率が10〜60モル%であるものから選ばれる少なくとも1種の分散剤と、溶解度パラメーターが8.5〜22(cal/cm31/2の非芳香族系有機溶剤とを含有する電子材料用油中分散剤組成物。
【請求項2】
オレフィンが、ジイソブチレン及びイソブチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の電子材料用油中分散剤組成物。
【請求項3】
不飽和二塩基酸が、無水マレイン酸、マレイン酸及びイタコン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載の電子材料用油中分散剤組成物。
【請求項4】
請求項1〜3いずれかに記載の電子材料用油中分散剤組成物と、電子材料用粉体とを含有する油中分散体。

【公開番号】特開2009−138115(P2009−138115A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316663(P2007−316663)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】