説明

電子棚札システム

【課題】 電子棚札システムにおいて、電子棚札サーバーを経由することなく、電子棚札に表示される販売情報を現場で速やかに書換えできるようにすることを目的とする。
【解決手段】 商品毎の販売情報を有するサーバーと、店舗内に陳列される商品毎に設けられ、前記サーバーから前記販売情報を受信して、該販売情報を顧客用表示画面及びそれと切換えられる管理用表示画面に表示する電子棚札と、前記電子棚札に対して、前記顧客用表示画面と前記管理用表示画面を切換えるための信号を直接送信する携帯型リモコンと、を備える電子棚札システムにおいて、 前記携帯型リモコンは、前記電子棚札と直接通信することにより、前記顧客用表示画面に表示する販売情報の全部又は一部を書換え可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケット等の店舗において、商品陳列棚に配置される電子棚札に販売情報を送信して、該販売情報を電子棚札で表示する電子棚札システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子棚札システムは、電子棚札サーバーが、ストアコントローラに格納されている販売情報(当日販売価格、通常販売価格、会員販売価格、割引率、売上数量、在庫数量、最終売上時刻、特売終了日付等、商品の販売に関する情報)を受信し、該販売情報を店舗の天井等に設置されているトランシーバーを介して、各商品の陳列棚に付けられる電子棚札に無線送信する。電子棚札は、顧客用表示画面(通常表示画面)に、当日販売価格等を表示し、売場担当者による携帯リモコンの操作によって、顧客用表示画面から切換え表示される管理用表示画面(裏画面)に在庫数量等を表示する。
【0003】
上記電子棚札システムによれば、電子棚札の顧客用表示画面に表示される当日販売価格は、POSシステム(販売時点情報管理システム)で設定されている当日販売価格と自動的に、かつ、リアルタイムで一致させることができるので、販売価格の表示間違いによるトラブルが確実に防止される。また、売場担当者は、現場における商品陳列状態を見ながら、POSシステムで把握されている商品の売上状況や在庫数量等を管理用表示画面への切換え表示によって簡単に確認することができるので、適当な対応を適時に行うことができる。
【0004】
従来は、数字情報のみを表示可能な7セグメント表示タイプの電子棚札が使用されていたが、最近は、小さな点の集合によって文字や記号を含む様々な情報を表示可能なドットマトリクス表示タイプの電子棚札も採用されている。かかる電子棚札では、顧客用表示画面において、商品価格等の数字情報だけでなく、顧客に対する販売促進メッセージや商品の産地等の販売情報も表示可能で、さらに目立つようにカラー表示することも可能であることから、販売促進メッセージ等を表示するために追加掲示していたPOPやサインパネルを省いたり、数を減らしたりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3670508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電子棚札システムにおいて、電子棚札に表示される販売情報を書換えるためには、上述したように電子棚札サーバーを経由して販売情報を送信する必要がある。そのため、売場担当者が商品の売上状況や顧客の反応を見て、顧客用表示画面に表示する販売促進メッセージを書換えたいと考えても、その都度サーバーが設置されている事務所等(バックヤード)まで戻る必要があり、適時に対応することができないために、販売機会の損失を生じていた。
【0007】
また、販売商品が営業中に品切れになる場合には、当該商品を追加補充するが、補充される商品の産地が先に販売されていた元の商品と異なっていることがある。かかる場合には、商品補充タイミングに合わせて速やかに産地名を書換える必要があるが、やはりバックヤードへ戻る必要があって対応に遅れを生じるという問題がある。さらに、対象商品の販売が終了して使用していない電子棚札を、他の商品のPOPとして流用したくても、やはりバックヤードに戻る必要があるために使用機会を失うことがあった。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑み、電子棚札システムにおいて、電子棚札サーバーを経由することなく、電子棚札に表示される販売情報を現場で速やかに書換えできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の電子棚札システムは、
商品毎の販売情報を有するサーバーと、
店舗内に陳列される商品毎に設けられ、前記サーバーから前記販売情報を受信して、該販売情報を顧客用表示画面及びそれと切換えられる管理用表示画面に表示するドットマトリクス表示タイプの電子棚札と、
前記電子棚札に対して、前記顧客用表示画面と前記管理用表示画面を切換えるための信号を直接送信する携帯型リモコンと、を備える電子棚札システムにおいて、
前記携帯型リモコンは、前記電子棚札と直接通信することにより、前記顧客用表示画面に表示される情報の全部又は一部を書換え可能であることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の電子棚札システムは、請求項1記載の電子棚札システムにおいて、
前記携帯型リモコンは、前記顧客用表示画面に表示する情報の書換えに用いる書換え情報を予め記憶するメモリーを備えており、前記電子棚札に対して、前記メモリーに記憶されている書換え情報を直接送信することにより、前記顧客用表示画面に表示される情報を前記書換え情報に書換えることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の電子棚札システムは、請求項1又は2記載の電子棚札システムにおいて、
前記電子棚札は、前記顧客用表示画面に表示する情報の一部を書換えるために用いる書換え情報を予め記憶するメモリーを備えており、
前記携帯型リモコンは、前記電子棚札に対して、書換えを指示する信号を直接送信することにより、前記顧客用表示画面に表示する情報を前記書換え情報に書換えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電子棚札システムによれば、電子棚札に表示される販売情報は、サーバーを経由することなく、携帯型リモコンによって直接書換えることができる。これにより、売場担当者はバックヤードに戻ることなく、販売促進メッセージや産地表示の書換えを現場で済ませたり、使用していない電子棚札を他の商品に流用したりすることができる。なお、携帯型リモコンは、電子棚札の表示画面を切り替えるためのものと兼用することで導入コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一実施形態に係る電子棚札システムを備える店舗情報処理システムを示すブロック図。
【図2】(a)携帯型リモコンによる電子棚札の表示画面の切換えを説明する図、(b)電子棚札の構成を示すブロック図、及び(c)電子棚札に収納される回路基板の電磁対策を説明する図。
【図3】(a)携帯型リモコンの構成を示すブロック図、及び(b)携帯型リモコンによる電子棚札の顧客用表示画面の書換えを説明する図。
【図4】(a)顧客用表示画面の書換えの変形例を説明する図、及び(b)顧客用表示画面の書換えの別の変形例を説明する図。
【図5】本発明の第二実施形態に係る電子棚札システムにおいて、携帯型リモコンによる電子棚札の顧客用表示画面の書換えを説明する図。
【図6】(a)額縁型のフレームと筺体の間にプレートを入れて、電子棚札を加飾する変形例を示す図、及び(b)プレートの作成方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(本発明の第一実施形態)
図1に、本発明の第一実施形態の電子棚札システムを含む店舗情報処理システムの構成を示す。店舗情報処理システム1は、ストアコントローラ2、POSシステム3、POPシステム4とともに電子棚札システム5を備える。ストアコントローラ2、POSシステム3に備えられるPOSサーバー31、POPシステム4に備えられるPOPサーバー41、及び電子棚札システム5に備えられるESLサーバー(電子棚札サーバー)51は、LAN61を介して相互接続され、ストアコントローラ2、POSシステム3、POPシステム4及び電子棚札システム5は相互にデータ通信可能である。
【0015】
ストアコントローラ2は、店舗情報処理システム1全体を管理しており、インターネット等の外部ネットワーク62を介して、各店舗を管理する本部サーバー(不図示)とデータ通信可能である。
【0016】
POSシステム3は、各商品の販売情報(売上数等)を販売時点ごとに収集、分析しており、当該システムを統合的に管理するPOSサーバー31のほか、顧客購入商品の代金を精算する複数台のECR(電子キャッシュレジスタ)32を備える。POSサーバー31は、商品コード、商品名、販売価格等、店舗内で販売される各商品に関する情報を表形式で格納する商品マスタ311を記憶する。各商品の販売価格は商品マスタ311で一元管理され、ECR32による精算も商品マスタ311の情報に基づき行われる。商品マスタ311に格納する情報は、本部サーバーからストアコントローラ2が受信した情報に基づき更新されるほか、POSサーバー31の操作による更新も可能である。
【0017】
POPシステム4は、後述する電子棚札7と合わせてPOP広告(購買時点広告。以下、単にPOPという。)を掲示する商品に対してPOPを発行するシステムで、POP発行を管理するPOPサーバー41、及びPOPを印刷するプリンタ42を備える。POPサーバー41は、商品コード、商品名、販売価格、メーカー名、商品コメント、POP発行要否、用紙サイズ、表示内容、表示レイアウト、必要枚数等を商品毎に表形式で格納するPOPマスタ411を記憶し、これらの情報に基づきPOPを発行する。POPシステム4は、POSシステム3における販売価格の変更情報が電子棚札システム5に送信されると、これに連動して必要なPOPを同時印刷する。また、従来の紙製棚札と電子棚札が混在する店舗で販売価格が変更される際には、POSシステム3で、紙製棚札から電子棚札への変更、又は電子棚札から紙製棚札への変更を行うか否かを選択させ、POPシステム4が選択に従って、必要なPOP(例えば、文字表示できない7セグメント表示タイプの電子棚札に貼付する商品名ラベルや紙製棚札)を自動的に印刷する。
【0018】
電子棚札システム5は、バックヤードに配置されて、売場で陳列される商品ごとの棚札表示を統括的に管理するESLサーバー51、ベースステーション52、複数のトランシーバー53、各商品の販売情報をESLサーバー51から受信して画面表示する多数の電子棚札7、及び電子棚札7を売場で直接操作するための携帯型リモコン8を備える。
【0019】
ESLサーバー51は、商品ファイル511とリンクファイル512を記憶している。商品ファイル511は、商品コード、商品名、販売価格、販売促進メッセージ、売上数、発注数、在庫数、特売期間等、商品毎の販売情報を表形式で格納する。リンクファイル512は、各商品の商品コードと電子棚札7ごとに付されている装置識別コードを関連付けたリンク情報を表形式で格納する。リンク情報は、ESLサーバー51が商品ファイル511の販売情報を送信する際に、当該情報を受信すべき電子棚札7を特定するために使用される。具体的には、ESLサーバー51が販売情報を送信する際に、当該販売情報と同一商品コードの装置識別コードを合わせて送信し、当該装置識別コードに基づき各電子棚札7に自らが受信すべき販売情報か否かを識別させる。したがって、ESLサーバー51で更新された販売情報(例えば販売価格)は、当該情報に対応する電子棚札7が自動的に受信し、表示画面の書換えを速やかに行うので、タイムセール等における販売価格の表示変更等が確実に洩れなく行われる。
【0020】
ベースステーション52は、ESLサーバー51と各トランシーバー53に接続されてこれらの通信を中継する中継器であり、トランシーバー53は、店舗内の天井等に配置され、ESLサーバー51と電子棚札7の通信を可能にする無線通信機である。
【0021】
電子棚札7は、売場に陳列される商品毎に設けられ、ドットマトリクス表示タイプの液晶ディスプレイパネルを備え、ESLサーバー51から受信する販売情報を表示するもので、販売価格等の数字のみならず、文字、記号、図形等で表わされる各種情報を表示できる。電子棚札7は、図2(a)に示すように、樹脂製の筺体71の前面に、上記液晶ディスプレイパネルで構成する表示部7aと、ESLサーバー51や携帯型リモコン8と無線通信する通信部7bを備え、さらに、図2(b)に示すように、マイクロコンピュータ等で構成する制御部7cと、ESLサーバー51からの販売情報や個体識別コードを記憶するメモリー7dを内部に備える。
【0022】
筺体71の前面には、筺体素材をレーザーマーカーで発色加工してなるバーコード711が形成され、これで当該電子棚札7の個体識別コードを表している。バーコード印刷したシールを貼付する場合と異なり、剥がれたシールを再発行する等のメンテナンスが不要で、またシールを使わない分、コストを抑えることができる。また、筺体71の背面(不図示)には、商品棚等に対して電子棚札7を着脱自在とするブラケットが設けられ、さらに金属製リングが固定されて、該リングにチェーン等を通して商品棚等に繋ぎ止めることで、電子棚札7の盗難やイタズラによる位置移動を防止している。なお、筺体71に収納される回路基板72(図2(c))の一面には、通信部7bを構成する通信用IC73を配置して、電磁ノイズ対策のシールドカバー74で覆っているが、基板の他面に配置する入力センサ素子75についても、基板上の隅に寄せるとともにシールドカバー74の縁部を延長した側面カバー74aで側方を覆って電磁ノイズ対策を施している。
【0023】
さて、電子棚札7の表示部7aには、図2(a)に示すように、商品名、販売価格、販売促進メッセージ等、顧客向けの販売情報を表示する顧客用表示画面Aと、売上数、発注数、在庫数、会員価格等の売場担当者向けの販売情報を表示する複数の管理用表示画面(裏画面)B1,B2,B3・・を選択的に切換え表示することができる。上記表示画面A,B1,B2,B3・・の相互間における切換え操作は、携帯型リモコン8から電子棚札7への信号送信により行われる。各表示画面A,B1,B2,B3・・における販売情報は、通信部7bがESLサーバー51から受信してメモリー7dに記憶され、制御部7cで読み出され、表示部7aに予め設定されたレイアウトで表示される。各表示画面における表示内容(例えば販売価格)は、上述したようにESLサーバー51の更新情報を受信することで書換えられるが、後述するように、顧客用表示画面Aは、携帯型リモコン8でも書換えることができる。
【0024】
ところで、電子棚札7では、外部ノイズのレベル変動によって、該ノイズをESLサーバー51の通信信号と誤認識し、あるいは逆に通信信号をノイズと誤認識して、受信の失敗で無駄な時間を生じてバッテリーを消耗したり、受信すべき情報を受信できなかったりすることがある。これに対応するため、受信に失敗(ノイズを検出)したときは、スケルチ電圧を上げて同様のノイズを受信しないようにカットし、無受信状態で所定時間経過したときにスケルチ電圧を下げて信号受信を行い、再びノイズが検出されれば、スケルチ電圧を上げてノイズをカットするという処理を繰り返す。また、商品陳列位置の変更等をする際に、電子棚札7をESLサーバー51と通信可能に設定したままでバックヤードへ引き揚げることがあるが、スチール製引出しに収納するなど、ESLサーバー51からの信号が遮断されると、電子棚札7がその信号を探し続けてバッテリー消耗を早める。そこで、通信部7bを覆わない状態で電子棚札7を置ける棚をバックヤードに設置し、これに電子棚札7を保管して通信エラーを防止している。赤外線通信の場合、赤外線が透過可能な透明な覆いを備える棚を採用することでも対応できる。
【0025】
携帯型リモコン8は、図3(a)に示すように、各種制御を行う制御部8a、各種情報を記憶するメモリー8b、各種表示を行う表示部8c、入力指示を受け付ける操作部8d、バーコード情報を読み取るスキャナー8e、及びESLサーバー51や電子棚札7と無線通信するための通信部8fを備える。携帯型リモコン8は、売場担当者の操作により、電子棚札7へ信号を直接送信し、上述したように、顧客向けに商品価格等を表示する顧客用表示画面Aと、売場担当者が業務管理用に使う裏画面である管理用表示画面B1、B2、B3・・と、を順次呼び出して切換え表示できるほか、顧客用表示画面Aで表示される販売情報の全部又は一部を書換え変更することができる。図3(b)は、顧客用表示画面Aに表示される販売情報の書換えの一例で、ここでは、当該表示画面Aで表示される複数の販売情報(販売促進メッセージ、商品名、単位重量当たり価格、販売価格)のうち、販売促進メッセージの「いらっしゃいませ」を、別の販売促進メッセージである「夕飯にいかがですか」に変更する場合を示している。販売情報の変更に用いる書換え情報は、ESLサーバー51から受信等することにより携帯型リモコン8のメモリー8bに予め記憶されており、操作部8dを操作し、書換え対象とする販売情報を指定すれば、表示部8cの画面上に呼び出される。表示部8cには、メモリー8bに表形式で格納する「いらっしゃいませ」「有難うございます」等の慣用メッセージからなる複数の書換え情報が一つずつ表示され、操作部8dの操作することで、これらを格納する表T(図3(b))の並び順に従ってループ状に順次切替え表示される。そして、書換え情報「夕飯にいかがですか」を呼び出し、通信部8fから電子棚札7(通信部7b)へ直接送信することにより、メモリー7dに記憶される販売情報(販売促進メッセージ)が更新され、顧客用表示画面Aに表示する販売情報の書換えが完了する。なお、書換え情報の送信に際し、電子棚札7の前面に表記されるバーコード711(個体識別コード)をスキャナー8eで読み取り、これを書換え情報とともに送信することで、他の電子棚札7による受信が防止される。
【0026】
上記のとおりであるから、売場担当者が商品の売上状況や顧客の反応を現場で観察した後、バックヤードまで戻ってESLサーバー51を経由することなく、その場で携帯型リモコン8を操作して、顧客用表示画面Aに表示する販売情報の一部、ここでは販売促進メッセージを瞬時に書換えることができ、結果として販売効率の向上が図られる。なお、携帯型リモコン8は、電子棚札システム1の運用に本来必要な機器であり、これにメモリー機能を追加することにより新たな機器を増設せずに済むので、導入コストの増大や業務の複雑化が避けられる。
【0027】
(上記第一実施形態の変形例)
上記第一実施形態では、携帯型リモコン8から電子棚札7へ書換え情報を直接送信して、顧客用表示画面Aに表示する複数の販売情報の一部を書換える例を説明したが、例えば販売終了した商品の電子棚札7を、他の商品の棚札表示の増設に流用したい、あるいはサイズが小さい電子棚札を使用している商品に回したい等の事情がある場合、図4(a)に示すように、複数の販売情報(販売促進メッセージ、産地名、販売単位、商品名、販売価格)をすべて書換えることとしても良い。なお、すべての書換え情報が携帯型リモコン8のメモリー8bに予め記憶されていれば、携帯型リモコン8から直接情報送信することによって書換えできるが、すべての販売情報が予め記憶されていない場合には、スキャナー8eでバーコード711を読取り、これをESLサーバー51に送信することで、サーバー内において、電子棚札7の個体識別コードと紐付けされている商品を変換するようにしても良い。図4(b)は、複数の販売情報(販売促進メッセージ、産地名、販売単位、商品名、販売価格)を、「今月のお買得コーナー」という一つの販売促進メッセージに書換える例を示しており、このように情報の表示レイアウトを含む全ての情報を書換えしても良い。
【0028】
(本発明の第二実施形態)
本発明の第二実施形態は、上記第一実施形態と基本的構成(図1、図2(b)、図3(a))が同じで、電子棚札及び携帯型リモコンの機能が一部相違するのみであるため、電子棚札7及び携帯型リモコン8も含めて同一符号を付すこととし、相違部分以外は詳しい説明を省略する。電子棚札システム5は、ESLサーバー51、ベースステーション52、トランシーバー53、電子棚札7、及び携帯型リモコン8を備える。ESLサーバー51は、商品毎の販売情報を格納する商品ファイル511と、商品と電子棚札7を関連付けるリンク情報を格納するリンクファイル512を記憶しており、各電子棚札7は、リンク情報に基づいて受信すべき販売情報を識別する。
【0029】
電子棚札7は、ドットマトリクス表示タイプの液晶ディスプレイパネルで構成する表示部7a、ESLサーバー51や携帯型リモコン8と無線通信する通信部7b、マイクロコンピュータ等で構成する制御部7c、及び販売情報や個体識別コードを記憶するメモリー7dを備える。表示部7aは、顧客向け情報を表示する顧客用表示画面Aと、売場担当者向け情報を表示する複数の管理用表示画面(裏画面)B1,B2,B3・・を選択的に表示する。電子棚札7は、販売情報を通信部7bで受信してメモリー7dに記憶し、制御部7cで読み出して表示部7aに表示する。各画面の表示内容は、ESLサーバー51の情報更新で書換えられるが、後述するように顧客用表示画面Aは携帯型リモコン8でも書換え可能である。
【0030】
携帯型リモコン8は、各種制御を行う制御部8a、各種情報を記憶するメモリー8b、各種表示を行う表示部8c、入力指示を受け付ける操作部8d、バーコード情報を読み取るスキャナー8e、及び電子棚札7との間で無線通信する通信部8fを備える。携帯型リモコン8は、売場担当者が操作して電子棚札7へ信号を直接送信することで、顧客用表示画面Aと管理用表示画面B1,B2,B3・・を切換え表示できるほか、顧客用表示画面Aにおいて表示される販売情報の一部を書換えすることができる。図5は、顧客用表示画面Aに表示される販売情報の書換えの一例で、ここでは、当該表示画面Aにおいて複数表示されている販売情報(産地表示、商品名、販売単位、販売価格)のうち、産地表示の「京都府」を、別の産地表示「兵庫県」に変更する場合を示す。販売情報の変更に用いられる書換え情報は、第一実施形態と異なり、電子棚札7のメモリー7dに記憶されている。メモリー7dに記憶される書換え情報は、表T(図5)で示されるように、「北海道」「青森県」「岩手県」等の産地からなる複数の書換え情報が表形式で格納されている。売場担当者は携帯型リモコン8の操作部8dを操作し、電子棚札7に信号を直接送信して、顧客用表示画面Aに表示されている産地表示を表Tの並び順に従ってループ状に順次切換えることができる。そして、顧客用表示画面Aの産地表示を書換え情報「兵庫県」に切り替えて、リモコン操作を終了することにより書換えが完了する。
【0031】
上記のとおりであるから、第一実施形態と同様に、売場担当者はバックヤードまで戻ることなく、その場で携帯型リモコン8を操作して、顧客用表示画面Aに表示する販売情報の一部、ここでは産地表示を瞬時に書換えることができ、販売商品が営業中に品切れになって、追加補充される商品の産地が先に販売されていた元の商品と異なる場合にもタイムラグを生じることなく対応することができる。
【0032】
(上記第二実施形態の変形例)
上記第二実施形態では、産地表示の書換えを説明したが、他の販売情報に適用しても良く、例えば「特売」の表示を「おすすめ品」「広告の品」「タイムサービス」等に書換えても良い。また、携帯型リモコン8で販売情報を書換えさせたが、電子棚札7自体にタッチパネルやボタン等の操作部を設け、これを操作して書換えるようにしても良い。
【0033】
(上記第一及び第二実施形態の変形例)
上記第一及び第二実施形態では、電子棚札7の筺体71に販売促進用の加飾(着色等)はしていないが、以下に述べるように、表示部7aの周囲の縁部にPOPの取付け部を設けても良い。まず、表示部7aに対応する形状の窓72aを備える額縁型のフレーム72を透明又は半透明の素材で形成し、これを筺体71に対して着脱可能としておく。そして、図6(a)に示されるように、筺体71とフレーム72の間に販売促進メッセージ等を印刷したプレートPを入れて加飾する。プレートPは、図6(b)に示されるように、フレーム72の形状に合わせたミシン目入りのプリンタ用紙を準備すれば、ユーザーサイドで簡単に作成できる。なお、スーパーマーケット等、精肉/赤、鮮魚/青、青果/緑など部門別に色分けを施したいという要望に対しては、着色された用紙を使用することで対応できる。
【0034】
上記第一及び第二実施形態では、表示画面A,B1,B2,B3・・の相互間における切換え操作を携帯型リモコン8で行うが、裏画面をチェックする作業者が増加した場合にはリモコンを増設する必要があり、コストアップの原因となる。また、裏画面チェックの度にリモコンを取出して操作する必要があって作業者の負担が大きい。さらに、リモコン操作で周囲の電子棚札まで裏画面表示されて、バッテリーを消耗させる等の不都合を生じる。そこで、電子棚札7自体にボタン等の操作部を設け、これを直接操作して裏画面への切替えを行うことで、リモコン保有数及び作業負担の低減、及びバッテリー消耗を抑制するようにしても良い。
【0035】
上記第一及び第二実施形態では、電子棚札7の表示部7aに販売情報が表示されるだけであるが、これに加えて音声出力装置及び人感センサを備え、顧客が電子棚札の前を通過するときに音声メッセージを出力させるようにしても良い。あるいは、人感センサに代えて操作スイッチを備えて、顧客がスイッチ操作したときに音声メッセージを出力させるようにしても良い。
【0036】
本発明は、上記実施形態及び変形例で示される範囲に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変更がなし得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0037】
1 店舗情報処理システム
2 ストアコントローラ
3 POSシステム
4 POPシステム
5 電子棚札システム
7 電子棚札
8 携帯型リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品毎の販売情報を有するサーバーと、
店舗内に陳列される商品毎に設けられ、前記サーバーから前記販売情報を受信して、該販売情報を顧客用表示画面及びそれと切換えられる管理用表示画面に表示するドットマトリクス表示タイプの電子棚札と、
前記電子棚札に対して、前記顧客用表示画面と前記管理用表示画面を切換えるための信号を直接送信する携帯型リモコンと、を備える電子棚札システムにおいて、
前記携帯型リモコンは、前記電子棚札と直接通信することにより、前記顧客用表示画面に表示される情報の全部又は一部を書換え可能であることを特徴とする電子棚札システム。
【請求項2】
請求項1記載の電子棚札システムにおいて、
前記携帯型リモコンは、前記顧客用表示画面に表示する情報の書換えに用いる書換え情報を予め記憶するメモリーを備えており、前記電子棚札に対して、前記メモリーに記憶されている書換え情報を直接送信することにより、前記顧客用表示画面に表示される情報を前記書換え情報に書換えることを特徴とする電子棚札システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電子棚札システムにおいて、
前記電子棚札は、前記顧客用表示画面に表示する情報の一部を書換えるための書換え情報を予め記憶するメモリーを備えており、
前記携帯型リモコンは、前記電子棚札に対して、書換えを指示する信号を直接送信することにより、前記顧客用表示画面に表示する情報を前記書換え情報に書換えることを特徴とする電子棚札システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−70482(P2011−70482A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222141(P2009−222141)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】