説明

電子楽器

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は、電子楽器に関し、より詳しくは奏法を判別してその奏法に応じた楽音制御を行なう電子楽器に関するものである。
(従来の技術)
従来、例えばギタータイプの電子弦楽器が各種開発され、これら電子弦楽器においてはギター演奏による演奏情報を基礎として電子楽音を発生させている。
ところで、このような電子弦楽器において、発音すべき音高を決定する方法として、演奏された弦の音高、言い換えれば振動数を検出し、この検出された振動数にもとづいて楽音を発生させるものが提案されている。
一般に、ギターにおいては、次のような撥弦後に音高,振動数を変化させる種々の奏法が用いられている。
i)ビブラートii)チョーキング 撥弦後に弦を押えている指を、弦の張設方向と垂直に弦を引張るように動かし、音高を上げる奏法。
iii)ハンマリング 撥弦後に左手の指により弦を叩くように押え、フレットに対応して半音単位で音高を上げる方向に変化させる奏法。
iv)スライド 撥弦後に弦を押えている指を、フレットを越えて滑らせ、フレットに対応して半音単位で音高を上がる/下がる両方向に変化させる奏法。
v)プリング 撥弦後に弦を押えている指を、その弦を引っ掻くように離し、フレットに対応して半音単位で音高を下がる方向に変化させる奏法。
このような奏法に対応させるために、前述された振動数を検出して楽音を発生させる電子弦楽器においては、撥弦後にも弦の振動数を検出し、この検出された振動数にもとづいて発生させている楽音の周波数を刻々と変化させている。
(発明が解決しようとする課題)
ところで、ビブラート、チョーキング等の奏法による場合の音色変化は少ないために、前述のような振動数を検出して楽音を発生させる電子弦楽器においては、これらの奏法による良好な演奏効果を得ることができる。
しかしながら、ハンマリング、スライド、プリング等の奏法による場合、音高変化のみならず瞬間的に独特な音色変化が発生するために、前述のような振動数を検出して楽音を発生させる電子弦楽器においては、音色の変化を得られることができない。したがって、これらの奏法による演奏効果としては不十分なものしか得られないという問題点がある。
本発明は、このような問題点を解決することを目的とし、奏法に応じた音色の楽音を発生させることができ、より表現力に富んだ演奏を行なうことができる電子楽器を提供するものである。
(課題を解決するための手段)
前述したハンマリング、スライド、プリング等の奏法を行なった場合には、ビブラート、チョーキングの奏法を含む通常演奏を行なった場合と比較して音高変化が急激である。本発明は、このような奏法による音高変化に着目して前述の課題を解決しようとするものである。
即ち、本発明による電子楽器は、演奏により得られた楽音の経時的に変化する音高およびエンベロープを検出する検出手段と、上記検出手段により検出された音高およびエンベロープに基づいて、新たな楽音の生成を指示する指示手段とを有する電子楽器において、上記検出手段により検出されたエンベロープの変化量が所定値を越えたか否かを判断する第1判断手段と、上記検出手段により検出された音高が所定単位で変化したか否かを判断する第2判断手段と、上記検出手段により検出された音高の変化部分の変化速度が所定値を越えたか否かを判断する第3判断手段と、上記第1判断手段が上記検出手段により検出されたエンベロープの変化量が所定値を越えていないと判断し、かつ、上記第2判断手段が上記検出手段により検出された音高が所定単位で変化したと判断し、かつ、上記第3判断手段が上記検出手段により検出された音高の変化部分の変化速度が所定値を越えたと判断した場合に、上記指示手段が通常の楽音とは異なる音色の楽音の生成を指示するように制御する制御手段とを有するようにしたものである。
(作 用)
音高およびエンベロープの経時的変化にもとづいて、生成する楽音の制御を行う。
(発明の効果)
音高およびエンベロープの経時的変化にもとづいて、生成する楽音の制御を行うので、奏法に応じた音色の楽音を発生させることができるようになり、より表現力に富んだ演奏を行うことができる。
(実施例)
次に、本発明による電子楽器の具体的一実施例につき、図面を参照しつつ説明する。
まず、第3弦の第5フレットからハンマリング、スライド、プリングの各奏法を行なった場合における音高変化例が示されている第1図(1)乃至(4)を参照しつつ、奏法判別動作の原理を説明する。なお、各第1図(1)乃至(4)の横軸は時間を、縦軸は音高を示している。
a.第1図(1)参照: 音高を半音分上昇させるハンマリングあるいは音高を上昇させる方向にスライドの奏法を行なった場合の音高変化を示し、音高変化部分においては1ms当たり8セントから15セント程度の経時的変化率で音高が変化している(100セント=半音)。なお、音高を全音分以上に亘って変化させるハンマリングの奏法を行なった場合には、この経時的変化率はもっと大きくなる。
b.第1図(2)参照;
音高を下降させる方向にスライドの奏法を行なった場合の音高変化を示し、音高の経時的変化率は1ms当たり5セントから10セント程度である。比較的緩やかな音高変化となっている。
c.第1図(3)参照;
音高を半音分下降させるプリングの奏法を行なった場合の変化を示し、音高の経時的変化率は1ms当たり15セントから20セント程度である。
比較的急激な音高変化となっている。音高を全音分以上に亘って変化させるプリングの奏法を行なった場合には、この経時的変化率はもっと大きくなる。なお、音高が半音分変化した後に音高の非安定状態が100ms程度の間に亘って続いているが、通常演奏においても撥弦後に100ms程度の間に亘って非安定状態は続く。
d.第1図(4)参照;
音高を上昇させる方向に2フレット分のスライドの奏法を行なった場合、言い換えればスライドの奏法を2度連続して行なった場合の音高変化を示し、音高が半音分変化したところで音高変化に段ができている。しかし、音高が半音分変化する部分の音高の経時的変化率はa.の場合と同様である。第1の音高変化部分から第2の音高変化部分まで25ms程度の間隔が空いている。
なお、図示はしないがビブラート、チョーキングの奏法を行なった場合を含む通常演奏時の音高の経時的変化率は、1ms当たり1セント以下であって前述の各奏法による音高変化よりずっと緩やかである。また、発音中に新たに撥弦した場合には、エンベロープが急激に変化するが、前述の各奏法を行なった場合には、エンベロープはわずかな変化しかしない。
以上の音高の経時的変化(率)にもとづいて、次のような原理により奏法を判別する。
i)音高が各フレットに対応して半音毎に設定されている標準の音高より10セント以上変化した場合に奏法判別を有効とするとともに、この条件によって音高変化が安定した部分において判別を行なう。
ii)1ms当たりの音高変化が3セントより大きい場合には、ハンマリング、プリング、スライドのいずれかの奏法が行なわれたと判断する。
iii)前項の場合であって音高が1ms当たり12セントより大きく下降変化した場合には、プリングの奏法であると判断する。
iv)ii)項の場合であって前項でない場合には、ハンマリングあるいはスライドの奏法であると判断する。
v)撥弦あるいはプリングの奏法であると判断された場合には100ms、またハンマリングあるいはスライドの奏法であると判断された場合には20msの間に亘って奏法判別を無効とし、音高変化の非安定部分において奏法判別を行なわないようにする。
次に、前述した奏法判別動作の原理にもとづく具体的実施例を説明する。
本発明が適用された電子楽器の一種である電子弦楽器が概略的に示されている第2図において、本体に張設されている合計6本の弦S1〜S6の振動を電気的信号に変換するために、各弦S1〜S6に対応してピックアップP1〜P6が設けられている。これらピックアップP1〜P6から得られる電気的信号は、各ピックアップP1〜P6に対応する同一構成の楽音発生装置1〜6に供給される。これら楽音発生装置1〜6に供給される電気的信号は音高検出回路10およびエンベロープ検出回路11に供給され、これら音高検出回路10およびエンベロープ検出回路11においてはその電気的信号にもとづいて弦S1〜S6の振動数、言い換えれば音高、およびエンベロープを検出する。これら検出された音高およびエンベロープの、音高情報Pおよびエンベロープ情報Eは、マイコン12の制御のもとにバス13を介してマイコン12に供給される。なお、音高検出回路10およびエンベロープ検出回路11については詳述しないが、例えば特開昭63−298396号公開特許公報に開示されているものが利用できる。
前記マイコン12は、所定プログラムを実行する中央処理装置(CPU)12Aと、実行されるプログラムを記憶する読出し専用メモリ(ROM)12Bと、このプログラムを実行するに必要な各種レジスタ、フラグ等を含むワーキングメモリとしての書込み可能メモリ(RAM)12Cと、このプログラム中の時間を計測するタイマ回路12Dとより構成されている。このタイマ回路12Dは1ms毎にマイコン12にタイマインタラプトをかけるとともに、このタイマインタプラトによってマイコン12により実行される楽音制御ルーチンが起動される。
マイコン12は、音高検出回路10およびエンベロープ検出回路11から供給される音高情報Pおよびエンベロープ情報Eにもとづき、前記プログラムを実行することによって音高制御情報、音色制御情報および音量制御情報等の楽音制御情報を楽音発生回路14に供給する。そして、この楽音制御情報により楽音発生回路14を制御して電子音による所望の楽音信号を発生させる。
各楽音発生装置1〜6における楽音発生回路14により発生された楽音信号は、混合器15に供給され、加算混合された後に増巾器16を介してスピーカ17より楽音として放音される。
前記楽音発生回路14は同時に楽音信号を発生させることができる2個の楽音発生器A、Bより構成されているとともに、各楽音発生器A、Bはマイコン12から供給される楽音制御情報、詳しくは音色制御情報にもとづき予め記憶されている波形を選択読出しすることにより所望の楽音信号を発生させる。なお、記憶されている波形、言い換えれば音色は、次の3つである。
■ノーマルギター音色 通常演奏した場合のギターの音色。
■ハンマリング/スライドノイズ音色 ハンマリングあるいはスライドの演奏を行なった場合の音高(音色)の変化部分のノイズ成分(非定常成分)を抽出した音色。
■プリングノイズ音色 プリングの奏法を行なった場合の音高(音色)の変化部分のノイズ成分(非定常成分)を抽出した音色。
なお、■ノーマルギター音色は楽音発生器Aにより発生され、■ハンマリング/スライドノイズ音色および■プリングノイズ音色は楽音発生器Bにより発生される。
次に、前述のように構成された電子弦楽器の基本的動作について、第3図に示されているマイコン12により実行される楽音制御ルーチンにもとづき詳述する。なお、電源投入時に起動される別途ルーチンによりRAM12Cおよび楽音発生回路14等は、電源投入時に初期設定されているとする。
A レジスタENVnに記憶されている前回検出したエンベロープ情報EnをレジスタENVoに書込み、エンベロープ検出回路11より供給された新たなエンベロープ情報EをレジスタENVnに書込む。
B レジスタPITCHnに記憶されている前回検出した音高情報PnをレジスタPITCHoに書込み、音高検出回路10より供給された新たな音高情報PをレジスタPITCHnに書込む。
C レジスタENVnに記憶された新たなエンベロープ情報Enが予め設定されているしきい値th1を超えているか否かを判断し、超えていない場合にはステップIに進むとともに、超えている場合には次ステップDに進む。なお、エンベロープ情報Enがしきい値th1を超えていることは所定以上の振幅の弦振動が存在することを示す。
D レジスタENVnに記憶されている新たなエンベロープ情報EnとレジスタENVoに記憶されている前回のエンベロープ情報Eoとの差En−Eoが予め設定されているしきい値th2を超えているか否かを判断し、しきい値th2を超えていない場合にはステップGに進むとともに、しきい値th2を超えて新たに撥弦された場合には次ステップに進む。
E レジスタPITCHnに書込まれた音高情報PnおよびレジスタENVnに記憶されたエンベロープ情報Enにもとづき音高制御情報、音高制御情報および音量制御情報等の楽音制御情報および発音開始指示を楽音発生器Aに与え、■ノーマルギター音色による楽音を発生させる。
F 発音中を示すフラグflgを“1"とし、レジスタcountに値100を記憶させる。なお、レジスタcountは、後述する奏法処理を所定時間の間禁止するためのものであり、レジスタcountの記憶内容が“0"でない場合には奏法処理が禁止される。
G ステップDにおける判断においてしきい値th2を超えていない場合には、レジスタPITCHnに書込まれた音高情報Pnにもとづいた音高制御情報およびレジスタENVnに記憶されたエンベロープ情報Enにもとづいた音量制御情報を楽音発生器Aに与え、■ノーマルギター音色による楽音の音高制御、音量制御を行なう。
H 奏法処理ルーチン。詳細は、第4図に示されているフローチャート図により後述する。
I ステップCにおける判断においてしきい値th1を超えていない場合には、フラグflgが“1"か否かを判断し、発音中でなく“0"である場合には楽音制御ルーチンを終了するとともに、発音中であることを示す“1"である場合には次ステップに進む。なお、次ステップに進むことは弦の振動が止められたこと、言い換えれば充分減衰したことを検出したことを意味する。
J 楽音発生器Aおよび楽音発生器Bに消音指示を与え、発生されていた楽音を消音させる。
K フラグflgを発音中でないことを示す“0"とする。
次に、奏法処理ルーチン(ステップH)について、第4図4図を参照しつつ詳述する。
H−1 レジスタcountの記憶内容が“0"か否かを判断し、“0"である場合にはステップH−3に進み、“0"でない場合には次ステップに進む。
H−2 レジスタcountの記憶内容を“1"減らして時間経過を反映させる。
H−3 レジスタPITCHnに記憶された新たな音高情報Pnのフレットに対応して半音毎に設定されている標準の音高からのずれが10セントを超えているか否かを判断し、10セントを超えていない場合には奏法処理ルーチンを終了するとともに、10セントを超えている場合には次ステップに進む。
H−4 レジスタPITCHnに記憶された今回検出された音高情報PnとレジスタPITCHoに記憶された前回検出された音高情報Poとの差の絶対値|Pn−Po|が3セントを超えているか否かを判断し、3セントを超えていない場合には奏法処理ルーチンを終了するとともに、3セントを超えている場合には次ステップに進む。
H−5 レジスタPITCHnに記憶された今回検出された音高情報PnとレジスタPITCHoに記憶された前回検出された音高情報Poとを比較判断し、今回検出された音高情報Pnの方が大きくて音高が高い方向に変化した場合にはステップH−7に進み、前回検出された音高情報Po方が大きくて音高が低い方向に変化した場合には次ステップに進む。このステップH−5においては音高の変化方向を検出し、この検出によって後の処理を異ならせている。
H−6 レジスタPITCHoに記憶された前回検出された音高情報PoとレジスタPITCHnに記憶された今回検出された音高情報Pnとの差Po−Pnが12セントを超えているか否かを判断し、12セントを超えている場合にはステップH−9に進み、12セントを超えていない場合には次ステップに進む。
H−7 ステップH−5における判断において今回検出された音高情報Pnの方が大きい場合、またはステップH−6における判断において12セントを超えていない場合には、■ハンマリング/スライドノイズ音色を示す音色制御情報、レジスタENVnに記憶されたエンベロープ情報Enにもとづいた音量制御情報および発音開始指示を楽音発生器Bに与え、■ハンマリング/スライドノイズ音色による楽音を発生させる。
H−8 レジスタcountに値20を記憶させる。
H−9 ステップH−6における判断において12セントを超えている場合には、■プリングノイズ音色を示す音色制御情報、レジスタENVnに記憶されたエンベロープ情報Enにもとづいた音量制御情報および発音開始指示を楽音発生器Bに与え、■プリングノイズ音色による楽音を発生させる。
H−10 レジスタcountに値100を記憶させる。
以上に示した電子弦楽器の動作について説明する。
撥弦すると検知された弦の音高とエンベロープとに応じて、■ノーマルギター音色による楽音が発生され、その後に弦のエンベロープの変化に応じて発音されている楽音の音量が制御される。発音中に弦を押えている指を動かしてビブラートあるいはチョーキング等を行なった場合には、振動中の弦の音高の変化に応じて発音されている楽音の音高が変更制御される。また、ハンマリングあるいはスライドの奏法を行なった場合には、弦の音高の変化に応じて発音されている楽音(■ノーマルギター音色)の音高が変更制御され、同時に■ハンマリング/スライドノイズ音色による楽音がエンベロープに応じた音量で発生される。プリングの奏法を行なった場合には、弦の音高の変化に応じて発音されている楽音(■ノーマルギター音色)の音高が変更制御され、同時に■プリングノイズ音色による楽音がエンベロープに応じた音量で発生される。
ところで、一般に音高検出回路10は弦振動にもとづく電気的信号のゼロクロスに応じて弦の振動周期を検出するようになっているために、音高情報Pは弦の振動周期毎にしか更新されない。本実施例においては1ms毎に弦の音高情報Pの変化を検知するようにしたが、音高の低い弦では振動周期が1msより長くなるために粗くしか音高変化が検知できない。この場合には、スライドの奏法とプリングの奏法との判別が困難となるために、通常演奏とハンマリング、スライド、プリングの奏法との判別のみを行なうようにしても良い。また、特開平1−179196号公開特許公報に開示されているように弦の振動数を発生させる楽音の周波数よりも高くなるように設定しても良い。
本実施例においては、奏法判別時の音高情報の経時的変化の比較対象の数値を固定としたが、各奏法を行なった場合の音高情報の経時的変化は使用するギター、弦あるいは演奏者の癖などによって変るために必要に応じて変更設定できるようにしても良い。この場合に、演奏者が設定できるようにしたり、さらに設定を複数種類記憶させるようにしても良く、各弦毎に設定できるようにしても良い。また、各奏法を行なった場合の音高情報の経時的変化が発音中の楽音の音高(フレット位置)、音量等によって異なる場合には、発音中の楽音の音高、音量等の情報を奏法判別に適用するようにしても良い。
本実施例においては、音高情報の経時的変化を所定時間当たりの変化幅によって求めているが、所定幅を変化するに要する所要時間によって求めるようにしても良い。
本実施例においては、スライドの奏法を判別した場合に音高が上昇する場合も下降する場合も同じ音色(■ハンマリング/スライドノイズ音色)の楽音を付加させているが、音高が上昇する場合と下降する場合とで付加する楽音の音色を異ならせるようにしても良い。
本実施例においては、ハンマリング、スライド、プリング等の奏法をするフレット位置あるいは弦に拘らず前述の奏法に対応して付加する楽音の音色を同じにしているが、フレット位置あるいは弦に応じて異なる音色による楽音を付加するようにしても良い。
本実施例においては、ハンマリング、スライド、プリング等の奏法が判別された場合には通常の楽音(■ノーマルギター音色)に特殊な楽音(■ハンマリング/スライドノイズ音色、■プリングノイズ音色)を付加し音色変化を得ているが、奏法に応じた楽音を発生させれるものであればどのような楽音発生方法/制御方法を用いても良い。
本実施例においては、各弦S1〜S6に対応して各楽音発生装置1〜6を設けたが1個の楽音発生装置を時分割するようにしても良い。
本実施例においては、演奏情報検出部(10,11,12)と楽音発生部(12,14)とを両方内蔵した電子弦楽器について説明したが、演奏情報検出部と楽音発生部とが別々の装置として分離され、演奏情報検出部によって検出された演奏情報がMIDIなどの通信手段を介して楽音発生部に供給される形の電子弦楽器においても使用できる。この場合に、演奏情報検出部において奏法判別を行ない、その結果を楽音発生部に与えるようにしても良い。また、演奏情報検出部では検出された音高情報を刻々と楽音発生部に供給して奏法判別を楽音発生部で行なうようにしても良いし、奏法判別を行なってその結果を出力する独立した装置を演奏情報検出部と楽音発生部との間に挿入するようにしても良い。さらに、演奏情報検出部で検出された演奏情報を自動演奏装置に記録させる場合には、自動演奏装置内で奏法判別を行ない、楽音制御情報を発生させるようにしても良い。
本実施例においては、本発明を電子弦楽器に適用した場合について説明したが、奏法によって急激に音高が変化するような他の楽器にも使用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
第1図(1)乃至(4)は本発明の原理を説明するための図面であり、第2図乃至第4図は本発明による電子楽器の具体的実施例を説明するための図面であって、第2図R>図は全体概略図であり、第3図および第4図それぞれはメインルーチンおよび奏法処理ルーチンの各フローチャート図である。
S1〜S6……弦
P1〜P6……ピックアップ
10……音高検出回路
11……エンベロープ検出回路
12……マイコン
13……バス
14……楽音発生回路
15……混合器
16……増巾器
17……スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】演奏により得られた楽音の経時的に変化する音高およびエンベロープを検出する検出手段と、前記検出手段により検出された音高およびエンベロープに基づいて、新たな楽音の生成を指示する指示手段とを有する電子楽器において、前記検出手段により検出されたエンベロープの変化量が所定値を越えたか否かを判断する第1判断手段と、前記検出手段により検出された音高が所定単位で変化したか否かを判断する第2判断手段と、前記検出手段により検出された音高の変化部分の変化速度が所定値を越えたか否かを判断する第3判断手段と、前記第1判断手段が前記検出手段により検出されたエンベロープの変化量が所定値を越えていないと判断し、かつ、前記第2判断手段が前記検出手段により検出された音高が所定単位で変化したと判断し、かつ、前記第3判断手段が前記検出手段により検出された音高の変化部分の変化速度が所定値を越えたと判断した場合に、前記指示手段が通常の楽音とは異なる音色の楽音の生成を指示するように制御する制御手段とを有することを特徴とする電子楽器。
【請求項2】請求項1に記載の電子楽器において、前記通常の楽音とは異なる音色の楽音とは、ノイズ音色の楽音であることを特徴とする電子楽器。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第4図】
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【特許番号】特許第3095757号(P3095757)
【登録日】平成12年8月4日(2000.8.4)
【発行日】平成12年10月10日(2000.10.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平1−282434
【出願日】平成1年10月30日(1989.10.30)
【公開番号】特開平3−144497
【公開日】平成3年6月19日(1991.6.19)
【審査請求日】平成8年10月25日(1996.10.25)
【出願人】(999999999)ローランド株式会社
【参考文献】
【文献】特開 平2−98(JP,A)
【文献】特開 昭63−173095(JP,A)
【文献】特開 昭54−50311(JP,A)
【文献】特開 平1−312598(JP,A)