説明

電子機器、遊技機、主制御基板、周辺基板、認証方法および認証プログラム

【課題】主制御部によって送信された制御コマンドに基づいて所定の処理をおこなう周辺部を備える電子機器に対する不正を防止すること。
【解決手段】主制御基板310は、分割数に基づいて選択されたパケット情報を用いて生成された同期コード、動作コード、パケット情報の種類を特定するための演算値し、これらのデータを周辺基板320に送信する。周辺基板320は、演算値に所定の演算をおこない、演算結果が期待値と一致した際の期待値の数に基づいて同期コードの元となるパケット情報の種類を特定し、同期コードおよび相対時間コードを用いて主制御基板310動作順序を認証する。同期コードおよび相対時間コードの両方の認証が成立した場合、周辺基板320は、主制御基板310によって送信された制御コマンドを認証し、制御コマンドに基づく処理をおこなう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の基板を備え、これらの基板間の通信の認証をおこなう電子機器、遊技機、主制御基板、周辺基板、認証方法および認証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の基板を備えた電子機器において、これら各基板に対する不正を防止するための様々な技術が提案されている。複数の基板を備えた電子機器としては、たとえば、ぱちんこ遊技機などがある。ぱちんこ遊技機には、電子機器全体の動作を司る主制御基板と、電子機器の各部の動作をおこなう被制御基板(周辺部)とを備えている。この主制御基板は、周辺部に制御コマンドを含む制御信号を出力し、その他の周辺部は、主制御基板から送信された制御信号にしたがって動作を実行する機能を備えている。
【0003】
主制御基板に対する不正には、たとえば、正規の主制御基板を不正な制御基板に取り替えたり、主制御基板がおこなう処理を規定したプログラムコードを改ざんしたりするなどの方法がある。このような不正を防止するため、たとえば、主制御基板内に搭載されたROMに記録されているプログラムデータをROMチェッカによってチェックして、ROMの不正交換などを防止する技術が提案されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−333108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の技術によれば、プログラムデータの改ざんは検知できるが、正規な主制御基板と被制御基板との間に不正な制御基板が接続されてしまうのを防止することができない。このため、不正な制御基板から出力される制御信号によって、被制御基板が不正な制御をおこなってしまうという問題がある。
【0006】
ここで、図17および図18を用いて、従来技術による不正防止技術について説明する。図17は、従来技術による不正防止技術の概要を示す説明図である。また、図18は、不正な制御基板の挿入例を示す説明図である。図17に示すように、正規の主制御基板1701は、周辺基板1702に対して正規の制御信号RSを出力して、周辺基板1702の動作を制御する。正規の主制御基板1701には、検査用ポート1703が設けられている。この検査用ポート1703から正規の主制御基板1701の内部に設けられたROMなどに記録されたプログラムデータを検査して、正規の主制御基板1701に不正がおこなわれていないかを検査する。
【0007】
ところが、図18に示すように、正規の主制御基板1701と周辺基板1702との間に、不正な制御基板1801が挿入されてしまう場合がある。不正な制御基板1801は、正規の主制御基板1701から出力された正規の制御信号RSを破棄または無視し、替わりに不正な制御信号FSを周辺基板1702に出力する。ここで、周辺基板1702は、入力された信号が、正規の制御信号RSであるか不正な制御信号FSであるかを判別することができない。このため、周辺基板1702は、不正な制御信号FSにしたがって動作してしまうという問題がある。
【0008】
また、検査用ポート1703は正規の主制御基板1701のみに設けられているため、検査用ポート1703を用いた検査をおこなっても、正規の主制御基板1701内の処理に対する検査結果が返ってしまう。このため、検査用ポート1703を用いた検査をおこなっても、不正な制御基板1801による不正制御を検知することができないという問題がある。
【0009】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、正規な主制御基板と周辺部との間に不正な制御基板が接続されるのを防止して、ぱちんこ遊技機などの電子機器に対する不正を防止することができる電子機器、遊技機、主制御基板、周辺基板、認証方法および認証プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる電子機器は、主制御部と、前記主制御部によって送信された制御コマンドに基づいて所定の処理をおこなう周辺部と、を備える電子機器であって、前記主制御部は、所定のデータを記憶するデータ記憶手段と、前記主制御部の動作検査値とともに送信される演算値の生成に用いる前記データの量(以下、「データ量」という)を決定する決定手段と、前記データ記憶手段内の前記データを前記データ量に分割し、分割した前記データに対してそれぞれ結合法則を満たす2項演算をおこなって、分割した前記データの数(以下、「分割数」という)分の前記演算値を生成する演算値生成手段と、前記主制御部の前記動作検査値として、前記制御コマンドの送信に伴って出力されるパケット情報を含んだ同期コードを生成する同期コード生成手段と、他の手段から独立してフリーランに計時をおこなう計時手段と、指定されたタイミングで前記計時手段から取得した計時時間の情報を含んだ相対時間コードを生成する相対時間コード生成手段と、前記分割数分の前記演算値、前記同期コードおよび前記相対時間コードを前記周辺部に送信する送信手段と、を備え、前記周辺部は、前記分割数分の前記演算値、前記相対時間コードおよび前記同期コードを受信する受信手段と、前記分割数分の前記演算値に対して前記2項演算をおこなった演算結果と、前記データ記憶手段内の全ての前記データに対して前記2項演算をおこなった値(以下、「期待値」という)とが一致するか否かを判断する判断手段と、前記同期コードに含まれる前記パケット情報の差分を用いて前記主制御部の動作順序を認証するとともに、前記相対時間コードを用いて前記主制御部の動作順序を認証する動作認証手段と、前記動作認証手段によって、前記同期コードを用いた認証および前記相対時間コードを用いた認証の双方が成立した場合に、前記主制御部によって送信された制御コマンドを認証するコマンド認証手段と、を備え、前記同期コード生成手段は、前記同期コードの生成に用いる前記パケット情報の種類を前記分割数に基づいて決定し、前記動作認証手段は、前記判断手段によって前記演算値と前記期待値とが一致すると判断された際に前記2項演算の対象となった前記演算値の数に基づいて前記パケット情報の種類を特定して前記同期コードを用いた認証をおこなうことを特徴とする。
【0011】
この請求項1の発明によれば、主制御部は、データ記憶手段内のデータの分割数に基づいて同期コードの生成に用いるパケット情報の種類を決定する。分割数は主制御部のみが知る値なので、不正解析者は、同期コードの生成に用いるパケット情報の種類を特定することができない。これにより、主制御部と周辺部との間に不正な制御部が挿入された場合に、同期コードを照合することによって不正を検知することができる。
【0012】
また、請求項1の発明によれば、分割数そのものを決定するのではなく、演算値の生成に用いるデータ量を決定する。このため、分割数が不正に窃取される可能性を低減することができる。
【0013】
さらに、請求項1の発明によれば、周辺部は、同期コードおよび相対時間コードの2種類のコードを用いて主制御部の動作順序を認証する。2種類のコードを用いて二重に認証処理をおこなうことにより、認証の強度を向上させ、不正な制御コマンドによる不正な処理が実行されるのを防止することができる。また、主制御部の動作順序を認証することによって、主制御部の動作の連続性を認証することができ、たとえば信号切替回路などを搭載した不正な制御部を検知することができる。
【0014】
また、請求項2の発明にかかる電子機器は、請求項1に記載の発明において、前記同期コード生成手段は、前記制御コマンドの送信に伴って連続して出力される前記パケット情報と、前記制御コマンドの送信に伴って所定の間隔ごとに出力される前記パケット情報と、のいずれかを用いて前記同期コードを生成することを特徴とする。
【0015】
この請求項2の発明によれば、それぞれ異なる相関関係を有するパケット情報を用いて同期コードを生成することができる。
【0016】
また、請求項3の発明にかかる電子機器は、請求項1または2に記載の発明において、前記決定手段は、それぞれの前記演算値ごとに前記データ量を決定し、前記演算値生成手段は、前記演算値ごとにそれぞれ決定された前記データ量分の前記データを用いて前記演算値を生成することを特徴とする。
【0017】
この請求項3の発明によれば、それぞれの演算値を生成するごとにデータ量を決定することができる。これにより、あらかじめデータ量を決定しておく場合と比較して、分割数が不正に窃取される可能性をさらに低減することができる。
【0018】
また、請求項4の発明にかかる電子機器は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記送信手段は、前記演算値、前記同期コードおよび前記相対時間コードを前記制御コマンドに付加して前記周辺部に送信することを特徴とする。
【0019】
この請求項4の発明によれば、演算値や同期コード、相対時間コードを単体で送信する場合と比較して、主制御部と周辺部との間の通信負荷の増大を抑えることができる。また、請求項4の発明によれば、同期コードや相対時間コードを単体で送信する場合と比較して、通信データ中からこれらのデータが抽出され、解析されてしまう可能性を低減することができる。
【0020】
また、請求項5の発明にかかる電子機器は、請求項4に記載の発明において、前記演算値、前記同期コードおよび前記相対時間コードのうち少なくともいずれか1つは、前記制御コマンドの少なくとも一部を用いて生成されることを特徴とする。
【0021】
この請求項5の発明によれば、演算値や同期コード、相対時間コードの生成方法が解析されたり、これらのデータが再利用されたりする可能性を低減することができる。
【0022】
また、請求項6の発明にかかる電子機器は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の発明において、前記主制御部は、前記演算値、前記同期コードおよび前記相対時間コードを所定の暗号化方法で暗号化する暗号化手段をさらに備え、前記送信手段は、前記暗号化手段によって暗号化された前記演算値、前記同期コードおよび前記相対時間コードを送信し、前記周辺部は、前記暗号化された前記演算値、前記同期コードおよび前記相対時間コードを前記暗号化方法に対応する復号化方法で復号化する復号化手段をさらに備え、前記判断手段および前記動作認証手段は、前記復号化手段によって復号化された前記演算値、前記同期コードおよび前記相対時間コードを用いて前記判断および前記認証をおこなうことを特徴とする。
【0023】
この請求項6の発明によれば、不正解析者によって演算値や同期コード、相対時間コードが不正に盗取された場合に、これらのデータの生成方法が解析されたり、これらのデータが再利用される可能性を低減させることができる。
【0024】
また、請求項7の発明にかかる電子機器は、請求項6に記載の発明において、前記暗号化手段は、前記分割数に応じて前記暗号化方法を変更し、前記復号化手段は、前記判断手段によって前記演算結果と前記期待値とが一致した際に前記2項演算の対象となった前記演算値の数に基づいて前記復号化方法を変更することを特徴とする。
【0025】
この請求項7の発明によれば、不正解析者は、暗号化方法の切り替えタイミングを知ることができず、演算値や同期コード、相対時間コードの生成方法が解析されたり、これらのデータが再利用される可能性をさらに低減させることができる。
【0026】
また、請求項8の発明にかかる電子機器は、請求項1〜7のいずれか一つに記載の発明において、前記同期コード生成手段は、前記分割数を特定値で割った時の余りの数に基づいて前記パケット情報の種類を決定し、前記動作認証手段は、前記演算値の数を特定値で割った時の余りの数に基づいて前記パケット情報の種類を特定することを特徴とする。
【0027】
また、請求項9の発明にかかる電子機器は、請求項1〜7のいずれか一つに記載の発明において、前記同期コード生成手段は、前回の分割数と今回の分割数との差分に基づいて前記パケット情報の種類を決定し、前記動作認証手段は、前回の認証時における前記演算値の数と今回の認証時における前記演算値の数との差分に基づいて、前記パケット情報の種類を特定することを特徴とする。
【0028】
この請求項8および9の発明によれば、パケット情報の種類を決定する際に、分割数に対して演算処理をおこなうので、分割数と利用するパケット情報との対応関係が複雑になる。したがって、不正解析者による解析がより困難な認証値を送信することができる。
【0029】
また、請求項10の発明にかかる電子機器は請求項1〜9のいずれか一つに記載の発明において、前記データ記憶手段は、前記主制御部で用いられるプログラムデータを記憶することを特徴とする。
【0030】
この請求項10の発明によれば、主制御部に記録されたプログラムコードの不正な書き換えや、主制御部のデータ記憶手段の不正な取り替えなどを検出することができる。
【0031】
また、請求項11の発明にかかる電子機器は、請求項1〜10のいずれか一つに記載の発明において、前記2項演算は、加算または排他的論理和演算であることを特徴とする。
【0032】
この請求項11の発明によれば、演算値の生成に用いる2項演算として、加算または排他的論理和演算を切り替えて用いることができる。
【0033】
また、請求項12の発明にかかる遊技機は、請求項1〜11のいずれか一つに記載の電子機器を備え、前記主制御部は主制御基板であり、前記周辺部は周辺基板であることを特徴とする。
【0034】
この請求項12の発明によれば、主制御基板は、データ記憶手段内のデータの分割数に基づいて同期コードの生成に用いるパケット情報の種類を決定する。分割数は主制御基板のみが知る値なので、不正解析者は、同期コードの生成に用いるパケット情報の種類を特定することができない。これにより、主制御基板と周辺基板との間に不正な制御基板が挿入された場合に、同期コードを照合することによって不正を検知することができる。
【0035】
また、請求項12の発明によれば、分割数そのものを決定するのではなく、演算値の生成に用いるデータ量を決定する。このため、分割数が不正に窃取される可能性を低減することができる。
【0036】
さらに、請求項12の発明によれば、周辺基板は、同期コードおよび相対時間コードの2種類のコードを用いて主制御基板の動作順序を認証する。2種類のコードを用いて二重に認証処理をおこなうことにより、認証の強度を向上させ、不正な制御コマンドによる不正な処理が実行されるのを防止することができる。また、主制御基板の動作順序を認証することによって、主制御基板の動作の連続性を認証することができ、たとえば信号切替回路などを搭載した不正な制御基板を検知することができる。
【0037】
また、請求項13の発明にかかる主制御基板は、電子機器に搭載され、周辺基板に所定の処理をおこなわせる制御コマンドを送信する主制御基板であって、所定のデータを記憶するデータ記憶手段と、前記主制御基板の動作検査値とともに送信される演算値の生成に用いる前記データの量(以下、「データ量」という)を決定する決定手段と、前記データ記憶手段内の前記データを前記データ量に分割し、分割した前記データに対してそれぞれ結合法則を満たす2項演算をおこなって、分割した前記データの数(以下、「分割数」という)分の前記演算値を生成する演算値生成手段と、前記主制御基板の前記動作検査値として、前記制御コマンドの送信に伴って出力されるパケット情報を含んだ同期コードを生成する同期コード生成手段と、他の手段から独立してフリーランに計時をおこなう計時手段と、指定されたタイミングで前記計時手段から取得した計時時間の情報を含んだ相対時間コードを生成する相対時間コード生成手段と、前記分割数分の前記演算値、前記同期コードおよび前記相対時間コードを前記周辺基板に送信する送信手段と、を備え、前記同期コード生成手段は、前記同期コードの生成に用いる前記パケット情報の種類を前記分割数に基づいて決定することを特徴とする。
【0038】
この請求項13の発明によれば、データ記憶手段内のデータの分割数に基づいて同期コードの生成に用いるパケット情報の種類を決定する。分割数は主制御基板のみが知る値なので、不正解析者は、同期コードの生成に用いるパケット情報の種類を特定することができない。これにより、主制御基板と周辺基板との間に不正な制御基板が挿入された場合に、同期コードを照合することによって不正を検知することができる。
【0039】
また、請求項13の発明によれば、分割数そのものを決定するのではなく、演算値の生成に用いるデータ量を決定する。このため、分割数が不正に窃取される可能性を低減することができる。
【0040】
また、請求項14の発明にかかる周辺基板は、電子機器に搭載され、主制御基板によって送信された制御コマンドに基づいて所定の処理をおこなう周辺基板であって、前記主制御基板によって送信された複数の演算値、相対時間コードおよび同期コードを受信する受信手段と、前記複数の前記演算値に対して前記2項演算をおこなった演算結果と、当該演算結果の期待値とが一致するか否かを判断する判断手段と、前記同期コードに含まれる前記パケット情報の差分を用いて前記主制御基板の動作順序を認証するとともに、前記相対時間コードを用いて前記主制御基板の動作順序を認証する動作認証手段と、前記動作認証手段によって、前記同期コードを用いた認証および前記相対時間コードを用いた認証の双方が成立した場合に、前記主制御基板によって送信された制御コマンドを認証するコマンド認証手段と、を備え、前記動作認証手段は、前記判断手段によって前記演算結果と前記期待値とが一致すると判断された際に前記2項演算の対象となった前記演算値の数に基づいて前記パケット情報の種類を特定して前記同期コードを用いた認証をおこなうことを特徴とする。
【0041】
さらに、請求項14の発明によれば、周辺基板は、同期コードおよび相対時間コードの2種類のコードを用いて主制御基板の動作順序を認証する。2種類のコードを用いて二重に認証処理をおこなうことにより、認証の強度を向上させ、不正な制御コマンドによる不正な処理が実行されるのを防止することができる。また、主制御基板の動作順序を認証することによって、主制御基板の動作の連続性を認証することができ、たとえば信号切替回路などを搭載した不正な制御基板を検知することができる。
【0042】
また、請求項15の発明にかかる認証方法は、主制御部と、前記主制御部によって送信された制御コマンドに基づいて所定の処理をおこなう周辺部と、を備える電子機器における認証方法であって、前記主制御部において、前記主制御部の動作検査値とともに送信される演算値の生成に用いる前記データの量(以下、「データ量」という)を決定する決定工程と、前記主制御部に記憶されている所定のデータを前記データ量に分割し、分割した前記データに対してそれぞれ結合法則を満たす2項演算をおこなって、分割した前記データの数(以下、「分割数」という)分の前記演算値を生成する演算値生成工程と、前記主制御部の前記動作検査値として、前記制御コマンドの送信に伴って出力されるパケット情報を含んだ同期コードを生成する同期コード生成工程と、他の手段から独立してフリーランに計時をおこなう計時部から、所定のタイミングで計時時間情報を取得し、当該計時時間情報を含んだ相対時間コードを生成する相対時間コード生成工程と、前記分割数分の前記演算値、前記同期コードおよび前記相対時間コードを前記周辺部に送信する送信工程と、を含み、前記周辺部において、前記分割数分の前記演算値、前記相対時間コードおよび前記同期コードを受信する受信工程と、前記分割数分の前記演算値に対して前記2項演算をおこなった演算結果と、当該演算結果の期待値とが一致するか否かを判断する判断工程と、前記同期コードに含まれる前記パケット情報の差分を用いて前記主制御部の動作順序を認証するとともに、前記相対時間コードを用いて前記主制御部の動作順序を認証する動作認証工程と、前記動作認証工程において、前記同期コードを用いた認証および前記相対時間コードを用いた認証の双方が成立した場合に、前記主制御部によって送信された制御コマンドを認証するコマンド認証工程と、を含み、前記同期コード生成工程では、前記同期コードの生成に用いる前記パケット情報の種類を前記分割数に基づいて決定し、前記動作認証工程では、前記判断工程で前記演算値と前記期待値とが一致すると判断された際に前記2項演算の対象となった前記演算値の数に基づいて前記パケット情報の種類を特定して前記同期コードを用いた認証をおこなうことを特徴とする。
【0043】
この請求項15の発明によれば、主制御部は、データ記憶手段内のデータの分割数に基づいて同期コードの生成に用いるパケット情報の種類を決定する。分割数は主制御部のみが知る値なので、不正解析者は、同期コードの生成に用いるパケット情報の種類を特定することができない。これにより、主制御部と周辺部との間に不正な制御部が挿入された場合に、同期コードを照合することによって不正を検知することができる。
【0044】
また、請求項15の発明によれば、分割数そのものを決定するのではなく、演算値の生成に用いるデータ量を決定する。このため、分割数が不正に窃取される可能性を低減することができる。
【0045】
さらに、請求項15の発明によれば、周辺部は、同期コードおよび相対時間コードの2種類のコードを用いて主制御部の動作順序を認証する。2種類のコードを用いて二重に認証処理をおこなうことにより、認証の強度を向上させ、不正な制御コマンドによる不正な処理が実行されるのを防止することができる。また、主制御部の動作順序を認証することによって、主制御部の動作の連続性を認証することができ、たとえば信号切替回路などを搭載した不正な制御部を検知することができる。
【0046】
また、請求項16の発明にかかる認証プログラムは、請求項15に記載の認証方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0047】
この請求項16の発明によれば、請求項15に記載の認証方法をコンピュータに実行させることができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明にかかる電子機器、遊技機、主制御基板、周辺基板、認証方法および認証プログラムによれば、正規な主制御基板と周辺部との間に不正な制御基板が接続されるのを防止して、ぱちんこ遊技機などの電子機器に対する不正を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明のぱちんこ遊技機の遊技盤の一例を示す正面図である。
【図2】ぱちんこ遊技機の制御部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】主制御基板および周辺基板の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】主制御部による演出制御部の制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】主制御部による演出制御部の制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】大当たり関連コマンドの送信タイミングを示すタイムチャートである。
【図7】演出制御部による図柄変動処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】演出制御部による大当たり時の処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】ランプ制御部による図柄変動時のランプ制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】主制御部が出力する制御信号のデータフォーマットを模式的に示す説明図である。
【図11】主制御部における個体認証データ(個体検査値)の生成方法を模式的に示す説明図である。
【図12】主制御部におけるパケット情報の選択方法を模式的に示す説明図である。
【図13】主制御部による制御信号の送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】周辺部による主制御部の認証処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】周辺部による演算値と期待値の照合処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】制御部間のデータの流れの一例を示すシーケンス図である。
【図17】従来技術による不正防止技術の概要を示す説明図である。
【図18】不正な制御基板の挿入例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
(実施の形態)
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる電子機器の機能を有したぱちんこ遊技機と、このぱちんこ遊技機に搭載されている複数の基板間(主制御基板および周辺基板)の制御信号に含まれる制御コマンドを認証する認証方法および認証プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0051】
(ぱちんこ遊技機の基本構成)
図1は、本発明のぱちんこ遊技機の遊技盤の一例を示す正面図である。遊技盤101の下部位置に配置された発射部(図2参照)の駆動によって発射された遊技球は、レール102a,102b間を上昇して遊技盤101の上部位置に達した後、遊技領域103内を落下する。遊技領域103には、図示を省略する複数の釘が設けられ、遊技球を各種の方向に向けて落下させるとともに、落下途中の位置には、遊技球の落下方向を変化させる風車や、入賞口が配設されている。
【0052】
遊技盤101の遊技領域103の中央部分には、図柄表示部104が配置されている。図柄表示部104としては、たとえば液晶表示器(LCD)が用いられる。なお、図柄表示部104としては、LCDに限らずCRTなどを用いることもできる。図柄表示部104の下方には、始動入賞させるための始動入賞口105が配設されている。図柄表示部104の左右には、それぞれ入賞ゲート106が配設されている。
【0053】
入賞ゲート106は、遊技球の通過を検出し、始動入賞口105を一定時間だけ開放させる抽選をおこなうために設けられる。図柄表示部104の側部や下方などには普通入賞口107が配設されている。普通入賞口107に遊技球が入賞すると、普通入賞時の賞球数(たとえば10個)の払い出しをおこなう。遊技領域103の最下部には、どの入賞口にも入賞しなかった遊技球を回収する回収口108が設けられている。
【0054】
上述した図柄表示部104は、特定の入賞口に遊技球が入賞したとき(始動入賞時)に、複数の図柄の表示の変動を開始させ、所定時間後に図柄が停止する。この停止時に特定図柄(たとえば「777」)に揃ったとき、大当たり状態となる。大当たり状態のとき、下方に位置する大入賞口109が一定の期間開放を所定ラウンド(たとえば15ラウンド)繰り返し、入賞した遊技球に対応した賞球数を払い出す。
【0055】
図2は、ぱちんこ遊技機の制御部の内部構成を示すブロック図である。制御部200は、複数の制御部により構成されている。図示の例では、主制御部201と、周辺部(演出制御部202、賞球制御部203)とを有する。主制御部201は、ぱちんこ遊技機の遊技にかかる基本動作を制御する。演出制御部202は、遊技中の演出動作を制御する。賞球制御部203は、払い出す賞球数を制御する。
【0056】
主制御部201は、ROM212に記憶されたプログラムデータに基づき、遊技内容の進行に伴う基本処理を実行するCPU211と、CPU211の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM213、各検出部221〜224から各種データを受信するとともに、演出制御部202および賞球制御部203への各種データの送信をおこなうインタフェース(I/F)214などを備えて構成される。主制御部201は、たとえばいわゆる主制御基板によってその機能を実現する。
【0057】
この主制御部201の入力側には、始動入賞口105に入賞した入賞球を検出する始動入賞口検出部221と、入賞ゲート106を通過した遊技球を検出するゲート検出部222と、普通入賞口107に入賞した遊技球を検出する普通入賞口検出部223と、大入賞口109に入賞した入賞球を検出する大入賞口検出部224とがI/F214を介して接続されている。これらの検出部としては、近接スイッチなどを用いて構成できる。
【0058】
この主制御部201の出力側には、大入賞口開閉部231が接続され、この大入賞口開閉部231の開閉を制御する。大入賞口開閉部231は、大当たり時に大入賞口109を一定期間開放する機能であり、ソレノイドなどを用いて構成される。この大当たりは、生成した乱数(大当たり判定用乱数)に基づいて所定の確率(たとえば300分の1など)で発生するようあらかじめプログラムされている。
【0059】
演出制御部202は、主制御部201から各種の制御コマンドを含む制御信号を受け取り、このコマンドに基づいてROM242に記憶されたプログラムデータを実行して遊技中における演出制御をおこなう。この演出制御部202は、演出処理を実行するCPU241と、CPU241の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM243、図柄表示部104に表示させる画像データを書き込むVRAM244、主制御部201からの各種データの受信およびランプ制御部251や音声制御部252への各種データの送信をおこなうインタフェース(I/F)245などを備えて構成される。演出制御部202は、たとえばいわゆる演出基板によってその機能を実現する。また、演出制御部202の出力側には、上述した図柄表示部(LCD)104、ランプ制御部251、音声制御部252がI/F245を介して接続されている。ランプ制御部251はランプ261の点灯を制御する。また、音声制御部252はスピーカ262から出力される音声を制御する。
【0060】
賞球制御部203は、主制御部201から各種の制御コマンドを含む制御信号を受け取り、このコマンドに基づいてROM282に記憶されたプログラムデータを実行して賞球制御をおこなう。この賞球制御部203は、賞球制御の処理を実行するCPU281と、CPU281の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM283、主制御部201からの各種データの受信および発射部292との各種データの送受信をおこなうインタフェース(I/F)284などを備えて構成される。賞球制御部203は、たとえばいわゆる賞球基板によってその機能を実現する。
【0061】
賞球制御部203は、接続される払出部291に対して入賞時の賞球数を払い出す制御をおこなう。また、発射部292に対する遊技球の発射の操作を検出し、遊技球の発射を制御する。払出部291は、遊技球の貯留部から所定数を払い出すためのモータなどからなる。賞球制御部203は、この払出部291に対して、各入賞口(始動入賞口105、普通入賞口107、大入賞口109)に入賞した遊技球に対応した賞球数を払い出す制御をおこなう。
【0062】
発射部292は、遊技のための遊技球を発射するものであり、遊技者による遊技操作を検出するセンサと、遊技球を発射させるソレノイドなどを備える。賞球制御部203は、発射部292のセンサにより遊技操作を検出すると、検出された遊技操作に対応してソレノイドなどを駆動させて遊技球を間欠的に発射させ、遊技盤101の遊技領域103に遊技球を送り出す。
【0063】
上記構成の主制御部201と、演出制御部202と、賞球制御部203は、それぞれ異なるプリント基板(主制御基板、演出基板、賞球基板)に設けられる。これに限らず、たとえば、賞球制御部203は、主制御部201と同一のプリント基板上に設けることもできる。
【0064】
(主制御基板および周辺基板の機能的構成)
図3は、主制御基板(主制御部)および周辺基板(演出制御部、賞球制御部)の機能的構成を示すブロック図である。まず、主制御部201としての機能を有する主制御基板310の機能的構成について説明する。図3に示すように、主制御基板310は、周辺基板320を動作させるための制御コマンドを送信する機能部であり、データ記憶部311、決定部312、演算値生成部313、同期コード生成部314、相対時間コード生成部315、計時部316、暗号化部317、送信部318によって構成される。
【0065】
データ記憶部311は、所定のデータを記憶する。所定のデータとは、たとえば主制御基板310で用いられるプログラムデータである。データ記憶部311としては、たとえば、主制御部201のROM212(図2参照)の一部を用いることができる。なお、データ記憶部311に記憶されたデータは、書き換えや消去がおこなわれない固定データとする。
【0066】
決定部312は、後述する同期コードおよび相対時間コード(動作認証値)とともに送信される演算値の生成に用いるデータの量(以下、「データ量」という)を決定する。決定部312は、たとえば、乱数生成回路や乱数生成プログラムによって生成された値をデータ量として決定したり、主制御基板310の他の処理において生成される値を所定のタイミングで参照し、その値をデータ量として決定したりする。
【0067】
演算値生成部313は、データ記憶部311内のデータを、決定部312によって決定されたデータ量に分割し、分割したデータに対してそれぞれ結合法則を満たす2項演算をおこなって、分割したデータの数(以下、「分割数」という)分の演算値を生成する。
【0068】
結合法則を満たす2項演算とは、たとえば加算または排他的論理和演算である。演算値生成部313は、分割されたデータのそれぞれに対して加算または排他的論理和演算をおこなって、分割数分の演算値を生成する。演算値生成部313が演算値の生成に用いた2項演算を、以下「演算値生成用演算」という。演算値生成部313は、演算値を生成する際、データ記憶部311に記憶された全てのデータを、重複なく用いるようにする。具体的には、たとえば、決定部312によって決定された量のデータを、データ記憶部311内のアドレスの先頭から順番に読み出して、演算値を生成する。
【0069】
ここで、演算値は、後述する同期コード生成部314において、いずれの種類のパケット情報を用いて同期コードが生成されたかを伝達するために送信される。より詳細には、後述する同期コード生成部314は、分割数(演算値の個数)に基づいて同期コードの生成に用いるパケット情報の種類を決定する。主制御基板310は、分割数そのものの値ではなく、演算値を周辺基板320に送信する。周辺基板320では、演算値に対して所定の演算(演算値生成用演算)をおこなうことによって分割数を特定し、同期コードの生成に用いられたパケット情報の種類を特定するようにする。これにより、不正な制御基板などでは、同期コードがいずれのパケット情報を用いて生成されているかを特定することができないため、同期コードが不正に生成されるのを防止することができる。
【0070】
なお、この演算値を、主制御部201(すなわち主制御基板310)の個体を認証するために用いる認証値として用いることも可能である。これは、演算値がデータ記憶部311に記憶されたデータが、書き換えや消去がおこなわれない固定データのためである。また、個体を認証するとは、主制御基板310を物理的(ハードウェア的)に認証する、という意味であり、主制御基板310が不正な制御基板に付け替えられていないことを認証することを意味する。演算値は主制御基板310に記憶された固定データを元に生成されているので、不正な制御基板で演算値を偽造するのは非常に困難である。したがって、演算値による個体認証が失敗した場合には、不正な制御基板による制御がおこなわれようとしていることが検知できる。
【0071】
同期コード生成部314は、制御コマンドの送信に伴って出力されるパケット情報を含んだ同期コードを生成する。同期コードは、主制御基板310による制御コマンドの送信が継続して実行されていることを確認するための情報である。また、パケット情報は、主制御基板310の制御コマンドの生成など、主制御基板310の動作に伴って、任意の間隔、たとえば、所定の時間間隔や所定のクロック数間隔、または命令実行数間隔などに設定された出力タイミングで出力される。
【0072】
同期コードは、その生成手順によって同期コードAと同期コードBとの2種類に分けられる。具体的には、主制御基板310の動作検査値として任意の間隔ごとに出力されたパケット情報を含んだ同期コードAおよび同じく動作検査値として連続して出力されたパケット情報を含んだ同期コードBがある。
【0073】
・同期コードA
そこで、同期コードAは、所定の出力タイミングで出力されたパケット情報(以下、「間欠パケット情報」という)を用いて生成される。なお、上述したように、同期コード生成のために利用するパケット情報は、制御コマンドの生成に関する動作に限定されず、主制御基板310が連続して動作していることを認証可能な情報であればよい。そして、パケット情報は、任意の間隔ごとに出力されているため、連続した出力タイミングのパケット情報を比較した場合に、パケット情報同士はお互いの所定間隔の時間差や命令実行数量などの変化量をもつという相関関係を有している。
【0074】
したがって、後述する動作認証部324では、この複数のパケット情報同士の相関関係を求めることによって主制御基板310の動作の継続性を認証する。なお、同期コードAは、パケット情報として取得した値をそのまま利用してもよいし、これらの値に所定の演算を施して暗号化した値を利用してもよい。
【0075】
また、同期コードAは、制御コマンドの出力処理以前のタイミングで、主制御基板310の動作検査値としてあらかじめ設定された所定の間隔ごとに出力されたパケット情報を含んで生成してもよい。このように、同期コードAは、主制御基板310の利用者(遊技者ではなく、たとえば、主制御基板310を遊技機に搭載する管理者や、業者など)の設定するタイミングに応じた同期コードを生成できる。このような構成にすることによって、同期コードを第三者にとってより解析の困難な情報とすることができる。
【0076】
・同期コードB
一方、同期コードBは、主制御基板310の動作に伴って、連続した間隔、たとえば、所定の時間間隔や所定のクロック数間隔、または命令実行数間隔などに設定された出力タイミングで出力されたパケット情報(以下、「連続パケット情報」という)を含んだ情報である。なお、同期コードAと同様に、同期コードBを生成のために利用するパケット情報は、制御コマンドの生成に関する動作に限定されず、主制御基板310が連続して動作していることを認証可能な情報であればよい。そして、パケット情報は、連続したタイミングで出力されているため、所定の間隔の相関関係を有している。
【0077】
したがって、後述する動作認証部324では、この複数のパケット情報同士の相関関係を求めることによって主制御基板310の動作の継続性を認証する。同期コードBも、パケット情報として取得した値をそのまま利用してもよいし、これらの値に所定の演算を施して暗号化した値を利用してもよい。
【0078】
また、同期コードBは、制御コマンドの出力処理以前のタイミングで、主制御基板310の動作検査値としてあらかじめ設定された所定の間隔ごとに出力されたパケット情報を含んで生成してもよい。このように、同期コードBは、主制御基板310の利用者(遊技者ではなく、たとえば、主制御基板310を遊技機に搭載する管理者や、業者など)の設定するタイミングに応じた同期コードを生成できる。このような構成にすることによって、同期コードを第三者にとってより解析の困難な情報とすることができる。
【0079】
このように、所定の制御コマンドが出力された際に同期コードを参照することによって、主制御基板310にて実行されている動作が継続しておこなわれているか否かを簡易的に判定することができる。したがって、図18で説明したような、不正な制御基板18001による不正行為への防御策を講じることができる。具体的には、同期コードによって認証した動作順序が継続した動作であると判定できなければ、主制御基板310から送信された制御コマンド以外の不正な制御基板から送信された制御コマンドであると判断し、不正制御を検知することができる。
【0080】
ここで、同期コード生成部314は、演算値生成部313によって生成された演算値の数(分割数)に基づいて、同期コードの生成に用いるパケット情報の種類を決定する。すなわち、同期コード生成部314は、間欠パケット情報を用いて同期コードAを生成するか、連続パケット情報を用いて同期コードBを生成するかを分割数に基づいて変更する。同期パケット情報の種類を決定する手法としては、たとえば、分割数2の場合は間欠パケット、分割数3の場合は連続パケット・・というように、選択するパケット情報を分割数ごとに決めておく方法がある。また、たとえば、分割数が偶数の場合は同期コードの生成に用いるパケット情報の種類を決定し、分割数が奇数の場合は現在用いている種類の同期コードを継続して用いる、などの方法がある。また、分割数に対して各種演算を施した値に基づいてパケット情報を決定してもよい。
【0081】
他の手法として、分割数を特定値で割った時の余りの数に基づいて、間欠パケット情報または連続パケット情報のどちらかを選択してもよい。さらに、他の手法として、たとえば、前回の分割数と今回の分割数との差分に基づいて、間欠パケット情報または連続パケット情報のどちらかを選択してもよい。
【0082】
相対時間コード生成部315は、指定されたタイミングで後述する計時部316から取得した計時時間の情報を含んだ相対時間コードを生成する。相対時間コードは、主制御基板310による制御コマンドの送信が継続して実行されていることを確認するための情報である。具体的には、たとえば、計時情報からある基準値を設定し、この基準値からの差分値や、累積値などによってあらわされる。なお、相対時間コードは、計時情報に基づいて設定した情報をそのまま含んでもよいし、これらの情報に所定の演算を施して暗号化した値を含んでもよい。
【0083】
このように、所定の制御コマンドが出力された際に相対時間コードを参照することによって、主制御基板310にて実行されている動作が継続しておこなわれているか否かを簡易的に判定することができる。したがって、図18にて説明したような、不正な制御基板1801による不正行為への対策を講じることができる。具体的には、相対時間コードによって認証した動作順序が継続した動作であると判定されなかった場合、主制御基板310以外の不正な制御基板から不正な制御コマンドが送信されている可能性があると判断することができる。
【0084】
計時部316は、他の手段から独立してフリーランに計時をおこなう。計時のタイミングや、桁数、表示方式は任意である。計時部316からの時間情報の取得タイミングは時間軸上では固定されない。たとえば、賞球すべき事象が発生したタイミングをトリガに計時情報を取得すると設定した場合、いつ賞球事象が発生するかはわからないため、時間情報の取得タイミングを時間軸上で規定することはできない。
【0085】
また、計時部316の機能は、電源投入時やリセット時など、遊技動作開始時をトリガとして計時を開始するというシンプルなものである。計時部316の場合、計時を開始する際、たとえば、リセット処理やクリア処理などの初期値の固定もしくは設定を目的とする初期化処理機能を備えておく必要がない。また、計時開始後は、賞球すべき事象が発生した場合など、ランダムにおきる特定の事象をトリガとして計時情報を出力すればよい。したがって、非常に簡素な構成で実現することができ、処理負荷が軽いという特徴を備えている。
【0086】
暗号化部317は、演算値や同期コード、動作コードを所定の暗号化方法で暗号化する。暗号化部317による暗号化方法は任意であるが、暗号化部317において複数の暗号化方法を用いることができる場合、分割数に基づいて暗号化方法を変更してもよい。たとえば、暗号化部317で2つの暗号化方法を用いることができる場合、分割数が偶数の場合は第1の方法、奇数の場合は第2の方法、というように変更する。また、暗号化部317は、後述する制御信号内の制御コマンドを用いて演算値や同期コード、相対時間コードを暗号化するようにしてもよい。
【0087】
なお、演算値生成部313において演算値を生成する際に、同期コードや相対時間コードの一部もしくは全てを用いるようにしてもよい。この場合、たとえば、分割されたデータのうち1つに、同期コードや相対時間コードの一部もしくは全てを付加して2項演算をおこなって演算値を生成する。また、暗号化部317において演算値を暗号化する際に、同期コードや相対時間コードの一部もしくは全てを用いるようにしてもよい。同様に、同期コード生成部314や相対時間コード生成部315において同期コードや相対時間コードを生成する際に、演算値の一部もしくは全てを用いるようにしてもよい。また、暗号化部317において同期コードや相対時間コードを暗号化する際に、演算値の一部もしくは全てを用いるようにしてもよい。
【0088】
送信部318は、演算値、同期コードおよび相対時間コードを周辺基板320に送信する。送信部318は、たとえば、主制御基板310から周辺基板320に送信される制御信号に認証データを付加することにより、周辺基板320に認証データを送信する。
【0089】
つぎに、演出制御部202や賞球制御部203などの周辺部としての機能を有する周辺基板320の機能的構成について説明する。図3に示すように、周辺基板320は、受信部321、復号化部322、判断部323、動作認証部324、コマンド認証部325によって構成される。
【0090】
受信部321は、主制御基板310によって送信された演算値、同期コードおよび相対時間コードを受信する。受信部321は、たとえば、演算値、同期コードおよび相対時間コードが付加された制御信号を受信することによって、これらのデータを受信する。
【0091】
復号化部322は、暗号化部317による暗号化方法に対応する復号化方法で演算値、同期コードおよび相対時間コードを復号化する。復号化部322は、暗号化部317による暗号化方法が分割数に基づいて変更される場合、後述する判断部323による演算において、演算結果と期待値とが一致した際に2項演算の対象となった演算値の数に基づいて復号化方法を変更する。
【0092】
判断部323は、分割数分の演算値に対して演算値生成用演算をおこなった結果と、期待値とが一致するか否かを判断する。演算結果の期待値とは、データ記憶部311内の全てのデータに対して、演算値生成用演算をおこなった値である。演算値生成用演算は結合法則を満たすため、データ記憶部311内の全てのデータから生成された期待値と、分割したデータから生成された演算値に対して同じ演算をおこなった値とは一致するはずである。
【0093】
なお、演算値が、同期コードや相対時間コードの一部もしくは全てを用いて生成されている場合、判断部323は、同期コードや相対時間コードの一部もしくは全てと、データ記憶部311内の全てのデータに対して演算値生成用演算をおこなった値とを用いて生成された期待値を用いて上記の判断をおこなう。
【0094】
動作認証部324は、同期コードに含まれるパケット情報の差分を用いて主制御基板310の動作順序を認証するとともに、相対時間コードを用いて主制御基板310の動作順序を認証する。すなわち、動作認証部324は、同期コードを用いた認証および相対時間コードを用いた認証の2種類の認証をおこなう。ここで、同期コードには、連続パケット情報を用いて生成された同期コードAおよび間欠パケット情報を用いて生成された同期コードBの2種類がある。そこで、動作認証部324は、判断部323によって演算値と期待値とが一致すると判断された際に2項演算の対象となった演算値の数に基づいて同期コードの生成に用いられたパケット情報の種類を特定して、同期コードを用いた認証をおこなう。
【0095】
「判断部323によって演算値と期待値とが一致すると判断された際に2項演算の対象となった演算値の数」とは、すなわち分割数である。動作認証部324は、分割数に基づいて、同期コードがどちらの種類のパケット情報を用いて生成されているかを特定する。なお、分割数からパケット情報の種類を特定する方法は、主制御基板310の同期コード生成部314によるパケット情報の変更方法に対応している。そして、特定したパケット情報に対応した方法で同期コードを用いた認証をおこない、主制御基板310の動作順序を認証する。
【0096】
コマンド認証部325は、動作認証部324による2種類の認証(同期コードに対する認証および相対時間コードに対する認証)が成立した場合に、主制御基板310が正しい制御コマンドを出力していると認証する。周辺基板320は、コマンド認証部325によって認証された制御コマンドに基づく処理をおこなう。コマンド認証部325は、どちらか一方の認証が失敗した場合には、不正な制御基板から不正制御をおこなうための不正な制御コマンド(不正な制御信号)が出力されていると判断して制御コマンドを破棄する。また、制御コマンドの破棄と同時に、ユーザに不正を報知するようにしてもよい。
【0097】
(ぱちんこ遊技機の基本動作)
上記構成によるぱちんこ遊技機の基本動作の一例を説明する。主制御部201は、各入賞口に対する遊技球の入賞状況を制御コマンドとして賞球制御部203に出力する。賞球制御部203は、主制御部201から出力された制御コマンドに応じて、入賞状況に対応した賞球数の払い出しをおこなう。
【0098】
また、主制御部201は、始動入賞口105に遊技球が入賞するごとに、対応する制御コマンドを演出制御部202に出力し、演出制御部202は、図柄表示部104の図柄を変動表示させ、停止させることを繰り返す。大当たりの発生が決定しているときには、対応する制御コマンドを演出制御部202に出力し、演出制御部202は、所定の図柄で揃えて停止させる。このとき同時に、大入賞口109を開放する制御をおこなう。演出制御部202は、大当たり発生期間中、および大当たり発生までの間のリーチ時や、リーチ予告時などには、図柄表示部104に対して、図柄の変動表示に加えて各種の演出表示をおこなう。このほか、各種役物に対して特定の駆動をおこなったり、ランプ261の表示状態を変更するなどの演出をおこなう。
【0099】
そして、大当たり発生時には、大入賞口109が複数回開放される。1回の開放が1ラウンドとして、たとえば15回のラウンドが繰り返し実行される。1ラウンドの期間は、遊技球がたとえば10個入賞したとき、あるいは所定期間(たとえば30秒)とされている。この際、賞球制御部203は、大入賞口109に対する遊技球1個の入賞あたり、たとえば15個の賞球数で払い出しをおこなう。大当たり終了後は、この大当たり状態が解除され、通常の遊技状態に復帰する。
【0100】
(各制御部による処理の詳細)
つぎに、各制御部がおこなう各種処理の詳細について説明する。はじめに、主制御部201による演出制御部202の制御処理について説明する。図4および図5は、主制御部による演出制御部の制御処理の手順を示すフローチャートである。なお、図4〜図9においては、演出制御部202の制御処理の手順を明確にするため、補正データ、認証データおよび付随データについては考慮しないものとする。すなわち、図4〜図9の説明において、「コマンドを送信する」とは、「当該コマンドを示すデータ(制御コマンドデータ)を含む制御信号を送信する」との意味であり、たとえば補正データや認証データや付随データ(図10参照)の有無は考慮しないものとする。
【0101】
図4および図5のフローチャートにおいて、主制御部201は、まず、ぱちんこ遊技機の電源がオンにされるまで待機する(ステップS401:Noのループ)。ぱちんこ遊技機の電源がオンにされると(ステップS401:Yes)、主制御部201は、演出制御部202や賞球制御部203などの周辺部に対して電源オンコマンドを送信する(ステップS402)。電源オンコマンドが送信されると、演出制御部202は、ランプ制御部251や音声制御部252、図柄表示部104のそれぞれに対して電源オン時の演出用の制御コマンド(具体的には、ランプの点灯や音声の出力、デモ画面の表示などを指示する制御コマンド)を送信する。
【0102】
つぎに、主制御部201は、ROM212またはRAM213に記録されている未抽選入賞回数データを参照して、未抽選入賞回数が0回か否かを判断する(ステップS403)。未抽選入賞回数とは、始動入賞口に検出された入賞球の数(入賞回数)から、入賞球に対応する抽選がおこなわれた回数(既抽選回数)を減じた数である。未抽選入賞回数が0回の場合(ステップS403:Yes)、主制御部201は、デモが開始されてから経過した時間を計測する(ステップS404)。
【0103】
デモが開始されてから所定時間が経過すると(ステップS405:Yes)、主制御部201は、演出制御部202に客待ちデモコマンドを送信して(ステップS406)、ステップS407に移行する。デモが開始されてから所定時間が経過しない場合は(ステップS405:No)、そのままステップS407に移行する。ステップS406で客待ちデモコマンドが送信されると、演出制御部202は、ランプ制御部251や音声制御部252、図柄表示部104に対して客待ちデモ用の制御信号を送信する。また、ステップS403で、未抽選入賞回数が0回ではない場合は(ステップS403:No)、ステップS410に移行する。
【0104】
つぎに、主制御部201は、始動入賞口検出部221によって始動入賞口への入賞球が検出されたか否か判断する(ステップS407)。始動入賞口への入賞球が検出されると(ステップS407:Yes)、主制御部201は、デモが開始されてから計測していた時間をクリアして(ステップS408)、未抽選入賞回数に1を加える(ステップS409)。つづいて、主制御部201は、大当たり判定用乱数を取得して(ステップS410)、未抽選入賞回数から1を減算し(ステップS411)、図5のステップS412に移行する。また、ステップS407で、始動入賞口への入賞球が検出されない場合は(ステップS407:No)、ステップS404に戻り、以降の処理を継続する。
【0105】
つぎに、主制御部201は、ステップS410で取得した大当たり判定用乱数が、あらかじめ定められた大当たり乱数であるか否かを判断する(ステップS412)。大当たり判定用乱数が大当たり乱数である場合(ステップS412:Yes)、主制御部201は、演出制御部202に大当たりリーチコマンド(図柄変動コマンド)を送信する(ステップS413)。主制御部201は、図柄変動時間が経過するまで待機して(ステップS414:Noのループ)、図柄変動時間が経過すると(ステップS414:Yes)、演出制御部202に図柄停止コマンドを送信する(ステップS415)。
【0106】
つぎに、主制御部201は、演出制御部202に大当たり開始コマンドを送信し(ステップS416)、つづけて、大当たり中の各ラウンドに対応するコマンド(大当たりコマンド)を順次送信する(ステップS417)。そして、主制御部201は、全てのラウンドの大当たりコマンドの送信が終わると、大当たり終了コマンドを送信して(ステップS418)、ステップS422に移行する。
【0107】
一方、ステップS412で、大当たり判定用乱数が大当たり乱数でなかった場合(ステップS412:No)、主制御部201は、演出制御部202にはずれリーチコマンド(図柄変動コマンド)を送信する(ステップS419)。主制御部201は、図柄変動時間が経過するまで待機して(ステップS420:Noのループ)、図柄変動時間が経過すると(ステップS420:Yes)、演出制御部202に図柄停止コマンドを送信する(ステップS421)。
【0108】
主制御部201は、ぱちんこ遊技機の電源がオフにされるまでは(ステップS422:No)、図4のステップS403に戻り、以降の処理を繰り返す。そして、ぱちんこ遊技機の電源がオフにされると(ステップS422:Yes)、主制御部201は、演出制御部202に終了処理コマンドを送信して(ステップS423)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0109】
図6は、大当たり関連コマンド(大当たりリーチコマンド、大当たり開始コマンド、大当たりコマンド、大当たり終了コマンド)の送信タイミングを示すタイムチャートである。大当たりリーチコマンドは、実際に大当たりが発生するよりも頻繁に、かつランダムに送信される。また、大当たり開始コマンドは、実際に大当たりが発生した場合に、大当たり状態に移行する際に1度だけ送信される。また、大当たりコマンドは、大当たり状態に移行した後、ラウンドごとに継続的に送信される。また、大当たり終了コマンドは、大当たり状態の全てのラウンドが終了し、通常の状態に移行する際に1度だけ送信される。
【0110】
つぎに、演出制御部202による処理について説明する。以下では、図柄変動時(大当たりリーチコマンド(図5のステップS413参照)または、はずれリーチコマンド(図5のステップS419参照)を受信した場合)および、大当たり時の演出制御部202の処理について説明する。
【0111】
図7は、演出制御部による図柄変動処理の手順を示すフローチャートである。図7のフローチャートにおいて、演出制御部202は、まず、図柄変動コマンドである大当たりリーチコマンド(図5のステップS413参照)、または、はずれリーチコマンド(図5のステップS419参照)を受信するまで待機する(ステップS701:Noのループ)。図柄変動コマンドを受信すると(ステップS701:Yes)、演出制御部202は、変動演出選択用の乱数を取得して(ステップS702)、取得した乱数に基づいて変動演出の種類を選択する(ステップS703)。そして、演出制御部202は、ランプ制御部251や音声制御部252に対して変動演出別の演出開始コマンドを送信する(ステップS704)。
【0112】
演出制御部202は、変動演出の演出時間が経過したか否かや(ステップS705)、主制御部201から図柄停止コマンド(図5のステップS415,S421参照)を受信したか否かを判断する(ステップS706)。演出時間が経過した場合(ステップS705:Yes)、または、図柄停止コマンドを受信した場合(ステップS706:Yes)、演出制御部202は、ランプ制御部251や音声制御部252に対して演出停止コマンドを送信する(ステップS707)。また、演出時間が経過せず(ステップS705:No)、かつ図柄停止コマンドを受信しない場合は(ステップS706:No)、ステップS705に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0113】
つぎに、演出制御部202の大当たり時の処理について説明する。図8は、演出制御部による大当たり時の処理の手順を示すフローチャートである。図8のフローチャートにおいて、演出制御部202は、まず、主制御部201から大当たり開始コマンド(図5のステップS416参照)を受信するまで待機する(ステップS801:Noのループ)。大当たり開始コマンドを受信すると(ステップS801:Yes)、演出制御部202は、ランプ制御部251や音声制御部252に対して大当たり開始処理コマンドを送信する(ステップS802)。
【0114】
つぎに、演出制御部202は、主制御部201からラウンド別の大当たりコマンド(図5のステップS417参照)を受信するまで待機する(ステップS803:Noのループ)。大当たりコマンドを受信すると(ステップS803:Yes)、演出制御部202は、ランプ制御部251や音声制御部252に対して受信したラウンド別の大当たりコマンドに対応するラウンド別処理コマンドを送信する(ステップS804)。
【0115】
つづいて、演出制御部202は、主制御部201から大当たり終了コマンド(図5のステップS418参照)を受信するまで待機する(ステップS805:Noのループ)。大当たり終了コマンドを受信すると(ステップS805:Yes)、演出制御部202は、ランプ制御部251や音声制御部252に対して大当たり終了処理コマンドを送信して(ステップS806)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0116】
つづいて、ランプ制御部251によるランプ制御処理について説明する。ここでは、演出制御部202から図柄変動コマンドを受信した場合(図柄変動時)の処理について説明する。図9は、ランプ制御部による図柄変動時のランプ制御処理の手順を示すフローチャートである。図9のフローチャートにおいて、ランプ制御部251は、まず、演出制御部202から演出開始コマンドを受信するまで待機する(ステップS901:Noのループ)。
【0117】
演出制御部202から演出開始コマンドを受信すると(ステップS901:Yes)、ランプ制御部251は、コマンド別に用意されているデータを読み出して(ステップS902)、コマンド別の選択ルーチンを実行し(ステップS903)、ランプデータをセットする(ステップS904)。そして、ランプ制御部251は、ランプ261に対してランプデータを出力する(ステップS905)。ランプ制御部251から出力されたランプデータに基づいて、ランプ261は点灯または消灯する。
【0118】
ランプ制御部251は、演出制御部202から演出停止コマンドを受信するまでは(ステップS906:No)、ステップS905に戻り、ランプデータの出力を継続する。演出停止コマンドを受信すると(ステップS906:Yes)、ランプ制御部251は、ランプデータの出力を停止して(ステップS907)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0119】
なお、図9にはランプ制御部251の処理を記載したが、音声制御部252による音声制御も、図9の処理とほぼ同様である。音声制御部252による音声制御処理は、図9の処理において、ステップS904,S905,S907の「ランプデータ」を「音声データ」と読み替えればよい。
【0120】
このように、演出制御部202や賞球制御部203などの周辺部は、主制御部201によって出力された制御コマンドに基づいて各種の処理をおこなう。一方、たとえば、主制御部201と周辺部との間に不正な制御基板が接続された場合(図15参照)などのように、制御コマンドの出力元が正規の主制御部201ではない場合、周辺部は不正な制御基板から出力された不正な制御コマンドによって不正な動作をおこなってしまう。
【0121】
これを防止するため、本実施の形態にかかるぱちんこ遊技機では、主制御部201と周辺部との間で認証処理をおこなう。より詳細には、周辺部を認証者、主制御部201を被認証者とした認証処理をおこない、主制御部201から送信される制御信号の正当性を認証する。この認証処理に用いる認証値(認証データ)は、主制御部201に記録されているプログラムデータを任意に分割したデータを元に生成されている。この認証処理によって、主制御部201が不正な制御基板に交換されたり、主制御部201と周辺部との間に不正な制御基板が取り付けられるなどの不正を検知して、ぱちんこ遊技機への不正を防止することができる。
【0122】
本実施の形態では、認証データを制御コマンドデータに付加して送信する。認証データを制御コマンドデータに付加することによって、認証データ単体で送信する場合と比較して、主制御部201と周辺部との間の通信負荷の増大を抑えることができる。また、認証データを制御コマンドデータに付加することによって、認証データを単体で送信する場合と比較して、通信データ中から認証データが抽出され、解析されてしまう可能性を低減することができる。以下に認証データと制御コマンドデータを含む制御信号のフォーマットについて説明する。
【0123】
(制御信号のデータフォーマット)
図10は、主制御部が出力する制御信号のデータフォーマットを模式的に示す説明図である。図10には、主制御部201が出力する通常の制御信号1010および認証データ付制御信号1020が示されている。
【0124】
通常の制御信号1010は、制御コマンドデータ1001および付随データ1002を含んでいる。制御コマンドデータ1001は、たとえばリーチコマンドや大当たり開始コマンド、ラウンド別コマンドなどの各コマンド固有のデータである。また、付随データ1002は、制御コマンドデータ1001に付随するデータであり、たとえば、入賞した遊技球の数など制御コマンドデータ1001に基づく処理に必要なデータである。
【0125】
一方、認証データ付制御信号1020は、制御コマンドデータ1001および付随データ1002に加え、認証データ1003および演算値1004を含んでいる。認証データ1003には、同期コード1003aおよび相対時間コード1003bの2種類の認証データが含まれている。また、演算値1004は、同期コードの生成に用いられているパケット情報の種類を特定するための値である。演算値1004は、具体的には以下のように生成される。
【0126】
(演算値の生成方法)
図11は、主制御部における演算値の生成方法を模式的に示す説明図である。演算値は、主制御部201のROM212などに記録されたデータを用いて生成する。より詳細には、ROM212の所定の領域に格納されたデータを、任意のデータ量に分割した上で、分割した領域にそれぞれ格納されたデータに対して結合法則を満たす2項演算(半群演算)をおこない、さらに所定の演算(たとえば、暗号化処理)をおこなって検査値を算出する。半群演算としては、たとえば、加算や排他的論理和演算などが挙げられる。なお、演算値1004を暗号化するか否かは任意であるが、不正防止の観点から暗号化することが望ましい。
【0127】
演算値1004を暗号化する際に、その演算値1004が付加される制御コマンドを用いてもよい。また、演算値1004を暗号化する際に、演算値と共に送信される同期コード1003a(またはパケット情報)や相対時間コード1003bの一部または全てを用いてもよい。一般に、不正な制御部は、正規の主制御部201と異なる制御コマンドを送信することによって、周辺部に不正な動作をおこなわせようとする。演算値1004を生成する際に、その演算値1004が付加される制御コマンドや、共に送信される同期コード1003aや相対時間コード1003bを用いることによって、不正な制御部によって演算値1004が再利用された場合であっても、演算値1004と制御コマンドの整合がとれず、不正を検知することができる。
【0128】
主制御部201は、たとえば、1つの演算値1004を生成するごとに、その生成に用いるデータの量(データ量)を決定する。この場合、主制御部201は、ROM212の所定領域内の全てのデータを用いて演算値1004を生成するまで、データ量の決定と演算値1004の生成とを繰り返す。このため、いくつの演算値1004が生成されるか(すなわち、分割数がいくつになるか)は、ROM212の所定領域内の全てのデータを用いて演算値1004を生成するまでわからない。
【0129】
なお、1つの演算値1004を生成するごとにデータ量を決定するのではなく、あらかじめ演算値1004の生成に用いるデータの量を決定しておいてもよい。また、全ての演算値1004の生成に用いるデータ量を等しくするようにしてもよい。この場合、データ量を決定した時点で分割数が予測可能となる。
【0130】
演算値1004を算出するために用いるデータの種類は任意であるが、たとえば、主制御部201のROM212に記録されたプログラムデータ(命令コードや固定データ)を用いることができる。主制御部201のROM212に記録されたプログラムデータを用いることによって、プログラムコードの不正な書き換えや、主制御部201のROM212の不正な取り替えなどを検出することができる。
【0131】
たとえば、図11に示すプログラムデータ格納部1100には、12個のデータ(0x01〜0x09,0x0A〜0x0C、1つのデータのデータ量は1バイト)が格納されている。演算値1004の生成に用いるデータ量を4バイト、3バイト、5バイトとする場合、プログラムデータ格納部1100は、たとえば4バイト分のデータを含む第1ブロック1100a、3バイト分のデータを含む第2ブロック1100b、5バイト分のデータを含む第3ブロック1100c、の3つに分割できる。すなわち、分割数は3となる。主制御部201は、これらの各ブロックに格納されたデータに対してそれぞれ半群演算をおこなって演算値を算出する。なお、上述したデータ量は例示である。
【0132】
たとえば、半群演算として加算を用いる方法を方式Aとすると、第1ブロック1100aに格納された4バイト分のデータ0x01,0x02,0x03,0x04を加算して第1演算値0x0Aが得られる。同様に、第2ブロック1100bに格納された3バイト分のデータ0x05,0x06,0x07を加算して第2演算値0x12が、第3ブロック1100cに格納された5バイト分のデータ0x08,0x09,0x0A,0x0B,0x0Cを加算して第3演算値0x32がそれぞれ得られる。
【0133】
また、たとえば、半群演算として排他的論理和演算を用いる方法を方式Bとすると、第1ブロック1100aに格納された4バイト分のデータ0x01,0x02,0x03,0x04に排他的論理和演算をおこない第1演算値0x04が得られる。同様に、第2ブロック1100bに格納された3バイト分のデータ0x05,0x06,0x07に排他的論理和演算をおこない第2演算値0x04が、第3ブロック1100cに格納された5バイト分のデータ0x08,0x09,0x0A,0x0B,0x0Cに排他的論理和演算をおこない第3演算値0x0Cがそれぞれ得られる。
【0134】
そして、得られた演算値に対してそれぞれ暗号化処理をおこなって演算値1004とする。この暗号化処理の際、上述のように、制御コマンドデータ1001や付随データ1002、同期コード1003a(またはパケット情報)、相対時間コード1003bなどを含めて暗号化処理をおこなってもよい。このとき、これらのデータをそのまま用いてもよいし、これらのデータに対してハッシュ関数による演算やパリティチェック、巡回冗長検査(Cyclic Redundancy Check:CRC)、チェックサムなどの演算をおこなって得た値を用いてもよい。
【0135】
一方、認証者である周辺部は、プログラムデータ格納部1100に格納されたデータ全体に対して半群演算をおこなった値を期待値として保持している。たとえば、方式Aの場合の期待値は0x01〜0x0Cの和である0x4Eとなる。また、方式Bの場合の期待値は0x01〜0x0Cの排他的論理和である0x0Cとなる。周辺部では、主制御部201による演算値生成方法の数と同じ数の期待値を保持している。
【0136】
周辺部は、受信した認証データ付制御信号1020から演算値1004を取り出して、演算値1004に対して半群演算をおこなった値を期待値と照合する。演算値1004は半群演算を用いて生成されているので、分割したプログラムデータから生成した演算値1004の全てに対して同じ半群演算をおこなえば、プログラムデータ全体に対して半群演算をおこなった期待値と一致するはずである。演算値1004に対して半群演算をおこなった値と期待値とが一致すると、周辺部は、その際に演算の対象となった演算値1004の数に基づいて同期コード1003aの生成に用いられたパケット情報の種類を特定する。
【0137】
なお、周辺部における半群演算処理は、分割したデータから生成した演算値1004を結合する処理に対応するため、「結合処理」と呼ぶ。また、期待値と一致した際の結合処理に用いた演算値1004の数を「結合数」という。周辺部における結合数と主制御部201における分割数とは同じ数となる。
【0138】
図10の説明に戻り、同期コード1003aおよび相対時間コード1003bは、主制御部201の動作順序を認証するためのデータである。このうち、同期コード1003aは、任意の出力タイミングで出力されたパケット情報(間欠パケット情報)、または、連続した間隔で出力されたパケット情報(連続パケット情報)のいずれかを用いて生成されている。同期コード1003aの生成に、いずれのパケット情報を用いるかは、分割数に基づいて決定される。以下にパケット情報の決定方法の具体例について説明する。
【0139】
(パケット情報の決定方法)
図12は、主制御部におけるパケット決定の選択方法を模式的に示す説明図である。分割数に基づいてパケット情報を選択する方法としては、たとえば、図12に示すような方法が挙げられる。
【0140】
<選択例1:分割数/Xの余り値>
選択例1では、分割数として決定された値を特定値Xで除算した際の余り値に基づいて、同期コード1003aの生成に用いるパケット情報を選択する。たとえば、特定値X=4、分割数=7であれば、余り値=3となり、図12の選択例1では、間欠パケット情報を選択する。
【0141】
<選択例2:前回の分割数−今回の分割数の絶対値>
選択例2では、前回決定された分割数と今回決定された分割数の減算した際の絶対値に基づいて、同期コードの生成に用いるパケット情報を選択する。たとえば、前回の分割数=3、今回の分割数=5であれば、絶対値|−2|=2となり図12の選択例2では、連続パケット情報を選択する。
【0142】
この他、たとえば、分割数が偶数の場合は同期コードの生成に用いるパケット情報の種類を変更し、分割数が奇数の場合は現在用いている種類のパケット情報を継続して用いる、などの方法がある。
【0143】
同期コード1003aや相対時間コード1003bは、そのままの値を送信してもよいし、暗号化処理をおこなって送信してもよい。暗号化処理の際、各コードとともに、同時に送信される制御コマンドデータ1001や付随データ1002に関するデータを含めて暗号化処理をおこなってもよい。制御コマンドデータ1001や付随データ1002に関するデータとは、制御コマンドデータ1001や付随データ1002そのものや、制御コマンドデータ1001や付随データ1002に対してハッシュ関数による演算やパリティチェック、巡回冗長検査(Cyclic Redundancy Check:CRC)、チェックサムなどの演算をおこなって得られた値などである。
【0144】
一般に、不正な制御部は、正規の主制御部201と異なる制御コマンドを送信することによって、周辺部に不正な動作をおこなわせようとする。このため、制御コマンドデータ1001や付随データ1002を含めれば、不正な制御部によって同期コード1003aや相対時間コード1003bが再利用された場合であっても、同期コード1003aや相対時間コード1003bと制御コマンドの整合がとれず、不正を検知することができる。
【0145】
また、認証データ付制御信号1020を出力するタイミングは任意である。たとえば、所定時間ごとに認証データ付制御信号1020を出力してもよいし、常に認証データ付制御信号1020を出力してもよい。また、たとえば制御信号内の制御コマンドデータ1001が特定の種類のコマンドである場合に、認証データ1003を付加するようにしてもよい。
【0146】
さらに、制御コマンドデータ1001、付随データ1002、認証データ1003、演算値1004の並び方は、図10に示す順番に限らず、たとえば認証データ1003や演算値1004を制御信号の先頭にしたり、制御コマンドデータ1001と付随データ1002との間に認証データ1003や演算値1004を挿入してもよい。
【0147】
(制御信号の送受信処理)
つづいて、主制御部201と周辺部との間でおこなう制御信号の送受信処理について説明する。図13は、主制御部201による制御信号の送信処理の手順を示すフローチャートである。本フローチャートでは、演算値を生成するごとに、データ量を決定する場合の処理について説明する。主制御部201は、制御コマンドの送信タイミングになるまで待機して(ステップS1301:Noのループ)、制御コマンドの送信タイミングになると(ステップS1301:Yes)、演算値の生成に用いるデータ量を決定する(ステップS1302)。つぎに、主制御部201は、ステップS1302で決定した量のプログラムデータを読み出し、読み出したデータに対して半群演算をおこない、さらに暗号化処理をおこなって演算値を生成する(ステップS1303)。
【0148】
プログラムデータ格納部1100内の全てのデータを用いて演算値を生成するまで(ステップS1304:No)、主制御部201は、ステップS1302に戻り、以降の処理を繰り返す。ここで、「プログラムデータ格納部1100内の全てのデータを用いて」とは、プログラムデータ格納部1100内のデータをもれなく、かつ重複なく用いて、という意味である。主制御部201は、たとえばプログラムデータ格納部1100の先頭から順番にデータを読み出して演算値の生成に用いる。2つ目以降の演算値を生成する場合は、前の演算値の生成に用いたプログラムデータの次の領域に書き込まれたデータを、ステップS1302で決定した量だけ読み出して演算値を生成する。なお、最後の演算値を生成する際は、ステップS1302で決定したデータ量に足りない可能性があるが、主制御部201は、取得できる分のプログラムデータのみを用いて演算値を生成する。なお、演算値の生成は、制御コマンドの送信タイミングとなる前におこなっておいてもよい。
【0149】
プログラムデータ格納部1100内の全てのデータを用いて演算値を生成すると(ステップS1304:Yes)、主制御部201は、ステップS1303で生成した演算値の個数、すなわち分割数に基づいて、同期コードの生成に用いるパケット情報の種類を決定する(ステップS1305)。具体的には、間欠パケット情報または連続パケット情報のいずれかを選択する。そして、決定したパケット情報を取得して、そのパケット情報を元にして同期コードを生成する(ステップS1306)。なお、ステップS1305とステップS1306とを入れ替えて、間欠パケット情報および連続パケット情報の両方をそれぞれ用いて2つの同期コードを生成しておき、どちらの同期コードを利用するかを後から決定するようにしてもよい。また、主制御部201は、計時部316から計時時間情報を取得して(ステップS1307)、相対時間コードを生成する(ステップS1308)。
【0150】
つづいて、主制御部201は、演算値、同期コードおよび相対時間コード(認証データ)を制御コマンドデータに付加して(ステップS1309)、周辺部に認証データ付制御信号を送信する(ステップS1310)。認証データ付制御信号は連続して送信してもよいし、通常の制御信号に混ぜて送信してもよい。また、認証データの送信順序も任意である。主制御部201は、全ての演算値および認証データ(演算値等)を送信するまで(ステップS1311:No)、ステップS1310に戻り、認証データ付制御信号の送信を繰り返す。そして、全ての認証データを送信すると(ステップS1311:Yes)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0151】
つぎに、周辺部による主制御部201の認証処理について説明する。図14は、周辺部による主制御部の認証処理の手順を示すフローチャートである。図14のフローチャートにおいて、周辺部は、まず、主制御部201から認証データ付制御信号を受信するまで待機する(ステップS1401:Noのループ)。主制御部201から認証データ付制御信号を受信すると(ステップS1401:Yes)、周辺部は、受信した認証データ付制御信号に含まれている演算値に対して所定の演算(結合処理)をおこない(ステップS1402)、分割数(結合数)を特定する(ステップS1403)。ステップS1402およびステップS1403の判断処理の詳細は、図15を用いて詳細に説明する。
【0152】
つづいて、周辺部は、分割数に基づいて同期コードの生成に用いられているパケット情報の種類を特定する(ステップS1404)。そして、ステップS1404で特定したパケット情報に対応する方法で、同期コードを用いた認証をおこなう(ステップS1405)。同期コードを用いた認証が成立すると(ステップS1406:Yes)、周辺部は、相対時間コードを用いた認証をおこなう(ステップS1407)。なお、同期コードを用いた認証と相対時間コードを用いた認証とは、順番を入れ替えてもよい。
【0153】
相対時間コードを用いた認証が成立し(ステップS1408:Yes)、同期コードおよび相対時間コードの双方に対する認証が成立すると、周辺部は、受信した制御信号が正しい信号であるとして認証し(ステップS1409)、制御コマンドに基づく処理をおこなって(ステップS1410)、本フローチャートによる処理を終了する。一方、同期コードを用いた認証または相対時間コードを用いた認証のいずれかが成立しなかった場合(ステップS1406:NoまたはステップS1408:No)、周辺部は受信した制御信号を不正な制御信号として報知して(ステップS1411)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0154】
つづいて、周辺部による判断処理(図14のステップS1402およびS1403)について説明する。図15は、周辺部による演算値と期待値の照合処理の手順を示すフローチャートである。図15のフローチャートにおいて、周辺部は、演算値(演算値を含む制御信号)を受信するまで待機して(ステップS1501:Noのループ)、演算値を受信すると(ステップS1501:Yes)、受信した演算値を演算値用メモリに格納する(ステップS1502)。なお、演算値が暗号化されている場合は、適宜復号化をおこなう。つぎに、周辺部は、演算値用メモリ内の全ての演算値に対して半群演算(結合処理)をおこなう(ステップS1503)。演算値用メモリ内の検査値が1つの場合は、結合処理をおこなわずにそのままステップS1504に移行する。
【0155】
そして、周辺部は、演算結果(結合結果)と保持している期待値とを照合して、結合結果と期待値とが一致するか否かを判断する(ステップS1504)。結合結果と期待値とが一致する場合(ステップS1504:Yes)、周辺部は、演算対象となった演算値の数を分割数(結合数)として特定する(ステップS1505)。そして、演算値用メモリ内のデータを消去して(ステップS1506)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0156】
一方、ステップS1504において、結合結果と期待値が一致しない場合(ステップS1504:No)、周辺部は、所定数以上の演算値を受信するまで(ステップS1507:No)、ステップS1501に戻り、演算値の受信および結合処理を繰り返す。所定数以上の演算値を受信すると(ステップS1507:Yes)、周辺部は、何らかのエラーが発生した可能性があるものとして、ユーザに報知して(ステップS1508)、本フローチャートによる処理を終了する。所定数は任意の数であるが、たとえば、プログラムデータ格納部1100に格納可能なデータの数(最大分割数)とすることができる。
【0157】
(パケット情報選択処理の具体例)
つづいて、図13〜図15に示す処理のうち、同期コードの生成に用いるパケット情報選択処理の具体例について説明する。図16は、制御部間のデータの流れの一例を示すシーケンス図である。図16においては、分割数に基づいたコードの選択例として、図12に示した選択例1(ここでは、X=3とする)によって利用するコードを選択するものとする。図16では、説明の便宜上、演算値の生成に用いるデータ量を一括して決定するように示しているが、図13のフローチャートのように、演算値を生成するごとにデータ量を決定してもよい。
【0158】
まず、主制御部201は、任意の方法で演算値の生成に用いるデータ量を決定する。たとえば、全データ量が12バイトあり、演算値の生成に用いるデータ量を、それぞれ4バイト、3バイト、5バイトとすると、3つの演算値を生成することになり、分割数=3となる(ステップS1601)。主制御部201は、プログラムデータ格納部1100の先頭から順に4バイト、3バイト、5バイトのデータを読み出し、それぞれのデータを用いて3つの演算値を生成する(ステップS1602)。
【0159】
つぎに、主制御部201は、分割数に基づいて、同期コードの生成に用いるパケット情報を選択する(ステップS1603)。具体的には、分割数(この場合「3」)をXの値(この場合「3」)で割り、その余りの値によってパケット情報を選択する。この場合、3を3で割った余りは0であるため、主制御部201は間欠パケット情報を選択する。主制御部201は、間欠パケット情報を用いて同期コードを生成するとともに、相対時間コードを生成する(ステップS1604)。そして、主制御部201は、演算値、同期コードおよび相対時間コードを含む認証データ付制御信号を周辺部に送信する(ステップS1605)。
【0160】
つづいて、周辺部における処理について説明する。周辺部は、主制御部201から送信された認証データ付制御信号を受信する(ステップS1606)。そして、認証データ付制御信号から演算値を抽出し、演算値に対して結合処理をおこない(ステップS1607)、結合結果を期待値と照合する。今回の場合は、3つの演算値を用いて結合処理をおこなった際に期待値と一致するはずである(結合数=3)。
【0161】
周辺部は、結合数に基づいて、同期コードの生成に用いられているパケット情報の種類を特定する(ステップS1608)。具体的には、今回の場合は、結合数である3をXである3で割った余りは0であるため、間欠パケット情報であると判別する(図12参照)。つづいて、周辺部は、特定したパケット情報に対応した方法で同期コードを用いた認証をおこなうとともに(ステップS1609)、相対時間コードを用いた認証をおこなう(ステップS1610)。同期コードを用いた認証および相対時間コードを用いた認証の両方が成立すると、周辺部は、制御信号内の制御コマンドに基づく処理をおこなう(ステップS1611)。ここまでが一連の切り替え処理の流れである。
【0162】
2回目の処理の説明に移り、主制御部201は、再び任意の方法で演算値の生成に用いるデータ量を決定する。たとえば、演算値の生成に用いるデータ量を、それぞれ4バイト、3バイト、2バイト、3バイトとすると、4つの演算値を生成することになり、分割数=4となる(ステップS1612)。主制御部201は、プログラムデータ格納部1100の先頭から順に4バイト、3バイト、2バイト、3バイトのデータを読み出し、それぞれのデータを用いて4つの演算値を算出し、さらに演算をおこなって演算値を生成する(ステップS1613)。
【0163】
また、主制御部201は、分割数に基づいて、同期コードの生成に用いるパケット情報を選択する(ステップS1614)。具体的には、分割数(この場合「4」)をXの値(この場合「3」)で割る。この余りの値は1であるため、主制御部201は連続パケット情報を選択する。主制御部201は、連続パケット情報を用いて同期コードを生成するとともに相対時間コードを生成する(ステップS1615)。そして、主制御部201は、演算値、同期コードおよび相対時間コードを含む認証データ付制御信号を周辺部に送信する(ステップS1616)。
【0164】
つづいて、周辺部は、主制御部201から送信された認証データ付制御信号を受信し(ステップS1617)、演算値を抽出して結合処理をおこなう(ステップS1618)。今回の場合は、4つの演算値を用いて結合処理をおこなった際に期待値と一致するはずである(結合数=4)。結合結果が期待値と一致すると、周辺部は、結合数に基づいて、同期コードの生成に用いられているパケット情報の種類を特定する(ステップS1619)。具体的には、今回の場合は、結合数である4をXである3で割った余りは1であるため、連続パケット情報であると判別する。
【0165】
そして、周辺部は、特定したパケット情報に対応した方法で同期コードを用いた認証をおこなうとともに(ステップS1620)、相対時間コードを用いた認証をおこなう(ステップS1621)。同期コードを用いた認証および相対時間コードを用いた認証の両方が成立すると、周辺部は、制御信号内の制御コマンドに基づく処理をおこなう(ステップS1622)。以上が一連の流れとなる。
【0166】
以上説明したように、本実施の形態にかかるぱちんこ遊技機は、主制御基板310において、データ記憶部311内のデータの分割数に基づいて同期コードの生成に用いるパケット情報の種類を決定する。分割数は主制御基板310のみが知る値なので、不正解析者は、同期コードの生成に用いるパケット情報の種類を特定することができない。これにより、主制御基板310と周辺基板320との間に不正な制御基板が挿入された場合に、同期コードを照合することによって不正を検知することができる。
【0167】
また、本実施の形態にかかるぱちんこ遊技機は、分割数そのものを決定するのではなく、演算値の生成に用いるデータ量を決定する。このため、分割数が不正に窃取される可能性を低減することができる。
【0168】
さらに、本実施の形態にかかるぱちんこ遊技機は、周辺基板320において、同期コードおよび相対時間コードの2種類のコードを用いて主制御基板310の動作順序を認証する。2種類のコードを用いて二重に認証処理をおこなうことにより、認証の強度を向上させ、不正な制御コマンドによる不正な処理が実行されるのを防止することができる。また、主制御基板310の動作順序を認証することによって、主制御基板310の動作の連続性を認証することができ、たとえば信号切替回路などを搭載した不正な制御基板を検知することができる。
【0169】
なお、本実施の形態で説明した主制御部および周辺部の制御方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0170】
以上のように、本発明は、制御部への不正が懸念される電子機器やその電子機器に搭載される制御基板に有用であり、特に、ぱちんこ遊技機、スロット遊技機、その他各種の遊技機に適している。
【符号の説明】
【0171】
310 主制御基板
311 データ記憶部
312 決定部
313 演算値生成部
314 同期コード生成部
315 相対時間コード生成部
316 計時部
317 暗号化部
318 送信部
320 周辺基板
321 受信部
322 復号化部
323 判断部
324 動作認証部
325 コマンド認証部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主制御部と、前記主制御部によって送信された制御コマンドに基づいて所定の処理をおこなう周辺部と、を備える電子機器であって、
前記主制御部は、
所定のデータを記憶するデータ記憶手段と、
前記主制御部の動作検査値とともに送信される演算値の生成に用いる前記データの量(以下、「データ量」という)を決定する決定手段と、
前記データ記憶手段内の前記データを前記データ量に分割し、分割した前記データに対してそれぞれ結合法則を満たす2項演算をおこなって、分割した前記データの数(以下、「分割数」という)分の前記演算値を生成する演算値生成手段と、
前記主制御部の前記動作検査値として、前記制御コマンドの送信に伴って出力されるパケット情報を含んだ同期コードを生成する同期コード生成手段と、
他の手段から独立してフリーランに計時をおこなう計時手段と、
指定されたタイミングで前記計時手段から取得した計時時間の情報を含んだ相対時間コードを生成する相対時間コード生成手段と、
前記分割数分の前記演算値、前記同期コードおよび前記相対時間コードを前記周辺部に送信する送信手段と、を備え、
前記周辺部は、
前記分割数分の前記演算値、前記相対時間コードおよび前記同期コードを受信する受信手段と、
前記分割数分の前記演算値に対して前記2項演算をおこなった演算結果と、前記データ記憶手段内の全ての前記データに対して前記2項演算をおこなった値(以下、「期待値」という)とが一致するか否かを判断する判断手段と、
前記同期コードに含まれる前記パケット情報の差分を用いて前記主制御部の動作順序を認証するとともに、前記相対時間コードを用いて前記主制御部の動作順序を認証する動作認証手段と、
前記動作認証手段によって、前記同期コードを用いた認証および前記相対時間コードを用いた認証の双方が成立した場合に、前記主制御部によって送信された制御コマンドを認証するコマンド認証手段と、を備え、
前記同期コード生成手段は、前記同期コードの生成に用いる前記パケット情報の種類を前記分割数に基づいて決定し、
前記動作認証手段は、前記判断手段によって前記演算値と前記期待値とが一致すると判断された際に前記2項演算の対象となった前記演算値の数に基づいて前記パケット情報の種類を特定して前記同期コードを用いた認証をおこなうことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記同期コード生成手段は、前記制御コマンドの送信に伴って連続して出力される前記パケット情報と、前記制御コマンドの送信に伴って所定の間隔ごとに出力される前記パケット情報と、のいずれかを用いて前記同期コードを生成することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記決定手段は、それぞれの前記演算値ごとに前記データ量を決定し、
前記演算値生成手段は、前記演算値ごとにそれぞれ決定された前記データ量分の前記データを用いて前記演算値を生成することを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記送信手段は、前記演算値、前記同期コードおよび前記相対時間コードを前記制御コマンドに付加して前記周辺部に送信することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の電子機器。
【請求項5】
前記演算値、前記同期コードおよび前記相対時間コードのうち少なくともいずれか1つは、前記制御コマンドの少なくとも一部を用いて生成されることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記主制御部は、前記演算値、前記同期コードおよび前記相対時間コードを所定の暗号化方法で暗号化する暗号化手段をさらに備え、前記送信手段は、前記暗号化手段によって暗号化された前記演算値、前記同期コードおよび前記相対時間コードを送信し、
前記周辺部は、前記暗号化された前記演算値、前記同期コードおよび前記相対時間コードを前記暗号化方法に対応する復号化方法で復号化する復号化手段をさらに備え、前記判断手段および前記動作認証手段は、前記復号化手段によって復号化された前記演算値、前記同期コードおよび前記相対時間コードを用いて前記判断および前記認証をおこなうことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の電子機器。
【請求項7】
前記暗号化手段は、前記分割数に応じて前記暗号化方法を変更し、
前記復号化手段は、前記判断手段によって前記演算結果と前記期待値とが一致した際に前記2項演算の対象となった前記演算値の数に基づいて前記復号化方法を変更することを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記同期コード生成手段は、前記分割数を特定値で割った時の余りの数に基づいて前記パケット情報の種類を決定し、
前記動作認証手段は、前記演算値の数を特定値で割った時の余りの数に基づいて前記パケット情報の種類を特定することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の電子機器。
【請求項9】
前記同期コード生成手段は、前回の分割数と今回の分割数との差分に基づいて前記パケット情報の種類を決定し、
前記動作認証手段は、前回の認証時における前記演算値の数と今回の認証時における前記演算値の数との差分に基づいて、前記パケット情報の種類を特定することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の電子機器。
【請求項10】
前記データ記憶手段は、前記主制御部で用いられるプログラムデータを記憶することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の電子機器。
【請求項11】
前記2項演算は、加算または排他的論理和演算であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の電子機器。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一つに記載の電子機器を備え、前記主制御部は主制御基板であり、前記周辺部は周辺基板であることを特徴とする遊技機。
【請求項13】
電子機器に搭載され、周辺基板に所定の処理をおこなわせる制御コマンドを送信する主制御基板であって、
所定のデータを記憶するデータ記憶手段と、
前記主制御基板の動作検査値とともに送信される演算値の生成に用いる前記データの量(以下、「データ量」という)を決定する決定手段と、
前記データ記憶手段内の前記データを前記データ量に分割し、分割した前記データに対してそれぞれ結合法則を満たす2項演算をおこなって、分割した前記データの数(以下、「分割数」という)分の前記演算値を生成する演算値生成手段と、
前記主制御基板の前記動作検査値として、前記制御コマンドの送信に伴って出力されるパケット情報を含んだ同期コードを生成する同期コード生成手段と、
他の手段から独立してフリーランに計時をおこなう計時手段と、
指定されたタイミングで前記計時手段から取得した計時時間の情報を含んだ相対時間コードを生成する相対時間コード生成手段と、
前記分割数分の前記演算値、前記同期コードおよび前記相対時間コードを前記周辺基板に送信する送信手段と、を備え、
前記同期コード生成手段は、前記同期コードの生成に用いる前記パケット情報の種類を前記分割数に基づいて決定することを特徴とする主制御基板。
【請求項14】
電子機器に搭載され、主制御基板によって送信された制御コマンドに基づいて所定の処理をおこなう周辺基板であって、
前記主制御基板によって送信された複数の演算値、相対時間コードおよび同期コードを受信する受信手段と、
前記複数の前記演算値に対して前記2項演算をおこなった演算結果と、当該演算結果の期待値とが一致するか否かを判断する判断手段と、
前記同期コードに含まれる前記パケット情報の差分を用いて前記主制御基板の動作順序を認証するとともに、前記相対時間コードを用いて前記主制御基板の動作順序を認証する動作認証手段と、
前記動作認証手段によって、前記同期コードを用いた認証および前記相対時間コードを用いた認証の双方が成立した場合に、前記主制御基板によって送信された制御コマンドを認証するコマンド認証手段と、を備え、
前記動作認証手段は、前記判断手段によって前記演算結果と前記期待値とが一致すると判断された際に前記2項演算の対象となった前記演算値の数に基づいて前記パケット情報の種類を特定して前記同期コードを用いた認証をおこなうことを特徴とする周辺基板。
【請求項15】
主制御部と、前記主制御部によって送信された制御コマンドに基づいて所定の処理をおこなう周辺部と、を備える電子機器における認証方法であって、
前記主制御部において、
前記主制御部の動作検査値とともに送信される演算値の生成に用いる前記データの量(以下、「データ量」という)を決定する決定工程と、
前記主制御部に記憶されている所定のデータを前記データ量に分割し、分割した前記データに対してそれぞれ結合法則を満たす2項演算をおこなって、分割した前記データの数(以下、「分割数」という)分の前記演算値を生成する演算値生成工程と、
前記主制御部の前記動作検査値として、前記制御コマンドの送信に伴って出力されるパケット情報を含んだ同期コードを生成する同期コード生成工程と、
他の手段から独立してフリーランに計時をおこなう計時部から、所定のタイミングで計時時間情報を取得し、当該計時時間情報を含んだ相対時間コードを生成する相対時間コード生成工程と、
前記分割数分の前記演算値、前記同期コードおよび前記相対時間コードを前記周辺部に送信する送信工程と、を含み、
前記周辺部において、
前記分割数分の前記演算値、前記相対時間コードおよび前記同期コードを受信する受信工程と、
前記分割数分の前記演算値に対して前記2項演算をおこなった演算結果と、当該演算結果の期待値とが一致するか否かを判断する判断工程と、
前記同期コードに含まれる前記パケット情報の差分を用いて前記主制御部の動作順序を認証するとともに、前記相対時間コードを用いて前記主制御部の動作順序を認証する動作認証工程と、
前記動作認証工程において、前記同期コードを用いた認証および前記相対時間コードを用いた認証の双方が成立した場合に、前記主制御部によって送信された制御コマンドを認証するコマンド認証工程と、を含み、
前記同期コード生成工程では、前記同期コードの生成に用いる前記パケット情報の種類を前記分割数に基づいて決定し、
前記動作認証工程では、前記判断工程で前記演算値と前記期待値とが一致すると判断された際に前記2項演算の対象となった前記演算値の数に基づいて前記パケット情報の種類を特定して前記同期コードを用いた認証をおこなうことを特徴とする認証方法。
【請求項16】
請求項15に記載の認証方法をコンピュータに実行させることを特徴とする認証プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−30611(P2011−30611A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177085(P2009−177085)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【出願人】(300023383)株式会社トリニティーセキュリティーシステムズ (376)
【Fターム(参考)】