説明

電子機器および照明器具

【課題】
回路基板における発熱部品の実装面積を小さくすることができて、電子部品の実装密度を向上させることのできる電子機器およびこの電子機器を具備する照明器具を提供する。
【解決手段】
電子機器1は、本体部7およびリード線9を有する半導体素子2と、平板部14の取付け面17および半導体素子2の本体部7の他方の面11bを接触させて、平板部14に半導体素子2を固定している放熱板3と、半導体素子2の本体部7の一方の面11aを実装面4aに設置し、半導体素子2のリード線9をはんだ付けしている回路基板4と、回路基板4を底板部22に対向して配設し、側板部23に放熱板3の側壁部15を固定しているケース6とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子に発生した熱が放熱板を介して放熱される電子機器およびこの電子機器を配設している照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器例えば放電ランプ用点灯装置において、電界効果トランジスタなどの発熱電子部品は、その発熱による過度の温度上昇による特性変化や熱破壊などを防止するために、アルミニウム(Al)などの熱伝導率の大きい金属材料からなる放熱板に接触、固定されている。そして、放熱板を固定しているケースから外部に放熱させている。
【0003】
この放熱板を用いた発熱電子部品の放熱構造として、例えば、ケース体の外部に露出する放熱面を有した第1の放熱板と、発熱電子部品に接触固定され、フレキシブル性を有して第1の放熱板に板面の一部を圧接して熱伝達する第2の放熱板を具備しているものが提案されている(特許文献1参照。)。この従来技術の放熱構造は、第2の放熱板のフレキシブル性によるたわみ状態での第1の放熱板との圧接構造により熱伝達を安定させ、かつ各放熱板同士の結合をねじ等の専用の固定部品を用いることなくケース体やプリント基板の組み付け作業とともに接触させることができ、部品点数の削減とともに組み付け作業を簡易にすることができるというものである。
【0004】
また、金属製のケース内に取付けられた回路基板に実装された発熱部品に放熱板が取付けられ、回路基板の縁部に放熱板の一部が挿入配置される凹部を設け、この凹部と対向したケースの側板内面に凸部を設け、放熱板を回路基板の凹部とケースの凸部とで挟持する発熱部品の放熱構造が提案されている(特許文献2参照。)。この従来技術の放熱構造は、放熱板にかかる圧力が回路基板の凹部にかかることになり、発熱部品のリードのはんだ部には、ストレスが加わらなくなるので、はんだ付けの信頼性の低下を招くことがないというものである。また、回路基板のケースへの取付けは、放熱板を回路基板の凹部とケースの凸部との間に挟持する構造であるので、放熱板の作業が容易にできるというものである。
【特許文献1】特開平9−213852号公報(第3頁、第2図)
【特許文献2】特開平10−189842号公報(第3−4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発熱電子部品の放熱構造は、第2の放熱板をたわみ状態にさせるので、発熱電子部品がプリント基板の縁部から離間したプリント基板上に実装され、プリント基板上での発熱電子部品および放熱板による占有面積が大きくなる。これにより、プリント基板での発熱電子部品の取付方向例えばプリント基板の短幅方向における他の電子部品の実装スペースが少なくなり、他の電子部品を実装するためにプリント基板が大形化して、電子部品の高密度実装が阻害されるという欠点を有する。
【0006】
また、特許文献2の電子部品の放熱構造は、ケースの一方の側板に放熱板の挟持片部を回路基板の凹部との間で挟持する凸部が形成され、ケースの他方の側板に回路基板を凸部との間で嵌め込むための一対の突部または先端に平坦面を有する凸部が形成されるので、それら凸部および突部の突出分、ケースの側板間に設置される回路基板が小形化される。これにより、電子部品の実装スペースを確保するために、ケースおよび回路基板が大形化されて、電子部品の高密度実装が阻害されるという欠点を有する。
【0007】
本発明は、回路基板における発熱部品の実装面積を小さくすることができて、電子部品の実装密度を向上させることのできる電子機器およびこの電子機器を具備する照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の電子機器の発明は、本体部、この本体部の一方の面の一端側に形成された段部、この段部に設けられた取付け孔および前記本体部の他端側の端面から導出されたリード線を有する半導体素子と;平坦状の取付け面を有する平板部、この平板部に連設して形成された側壁部、前記平板部に前記半導体素子の取付け孔に対応して設けられた孔を有し、前記平板部の取付け面および前記半導体素子の本体部の一方の面と反対側の他方の面を接触させて、前記半導体素子の取付け孔および前記孔を介して取付け部材により前記平板部に前記半導体素子を固定している放熱板と;この放熱板の側壁部が実装面の縁部よりも外方に突出するように前記半導体素子の本体部の一方の面を実装面に設置し、前記半導体素子のリード線をはんだ付けしている回路基板と;平坦状の底板部および側板部を有し、前記回路基板を前記底板部に対向して配設し、前記側板部に前記放熱板の側壁部を固定しているケースと;を具備していることを特徴とする。
【0009】
本発明および以下の発明において、特に言及しない限り、各構成は以下による。
【0010】
半導体素子は、例えばサイリスタや電界効果トランジスタなどのスイッチング素子であり、通電によって自己発熱し、その発熱量が比較的大きい素子である。
【0011】
放熱板に設けられた孔は、ねじが螺着されるねじ孔または挿通孔(貫通孔)を意味する。当該孔がねじ孔の場合、半導体素子の取付け孔を介して取付け部材としてのねじが放熱板のねじ孔に螺着されることにより、半導体素子は、放熱板に固定される。また、当該孔が挿通孔の場合、半導体素子の取付け孔および放熱板の挿通孔に挿通されたねじおよびこのねじ用のナットにより、半導体素子および放熱板が共締めされて固定される。ねじおよびナットは、取付け部材を構成している。
【0012】
放熱板の側壁部とケースの側板部とは、互いに固定されるものである。ここで、放熱板の側壁部にねじ孔を形成し、ケースの側板部に挿通孔を形成し、その挿通孔を介して側壁部のねじ孔にねじを螺着して固定してもよい。また、放熱板の側壁部およびケースの側板部にそれぞれ挿通孔を形成し、当該側壁部および側板部を、それらの挿通孔に挿通したねじおよびナットにより共締めすることにより固定してもよい。また、放熱板の側壁部およびケースの側板部を接着材により固定してもよい。
【0013】
回路基板は、ケースの底板部や側板部に設けられた支持部や支持部材などに支持されて、ケースの底面部から離間して配設される。
【0014】
「放熱板の側壁部が回路基板の実装面の縁部よりも外方に突出する」とは、その側壁部の一部が突出していればよいものである。
【0015】
本発明によれば、半導体素子は、その本体部の一方の面側が回路基板の実装面に設置され、その本体部の他方の面側に放熱板が取付けられるので、半導体素子を回路基板の縁部側に接近して実装することができる。そして、放熱板は、半導体素子の本体部の他方の面に接触し当該他方の面において半導体素子を取り付ける平板部およびケースの側板部に固定される側壁部のそれぞれの大きさを放熱に必要な最低限の大きさにすればよく、これにより、回路基板に対する占有空間を最小限にすることができる。したがって、回路基板における半導体素子および放熱板の実装面積が小さくなる。その分、回路基板に電子部品の実装スペースが空くので、回路基板を大形化しなくても、当該実装スペースに他の電子部品を実装することができ、これにより、回路基板における電子部品の実装密度が向上される。
【0016】
そして、半導体素子の発熱は、放熱板の平板部から側壁部に伝熱され、当該側壁部からケースの側板部に伝熱されて、ケースの外部に放熱される。これにより、半導体素子の過度の温度上昇が防止される。
【0017】
請求項2に記載の照明器具の発明は、放電ランプと;この放電ランプを点灯させるように構成された請求項1記載の電子機器と;前記放電ランプおよび前記電子機器を配設している器具本体と;を具備していることを特徴とする。
【0018】
ケースは、例えばベースケースであり、カバーケースが被嵌される。そして、ケースは、例えば長方形状の底板部が形成され、この底板部の長手方向の両側に一対の側板部が形成される。そして、回路基板は、一対の側板間で底板部に対向して配設され、放熱板の側壁部は、一対の側板部の一方に固定される。
【0019】
本発明によれば、請求項1記載の電子機器により放電ランプが点灯される放電ランプ用点灯装置が構成された照明器具が提供される。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、半導体素子の本体部の一方の面側が回路基板の実装面に設置され、半導体素子の本体部の他方の面側に放熱板が取り付けられることにより、半導体素子を回路基板の縁部側に接近して実装し、放熱板を放熱に必要な最低限の大きさにすることができて、回路基板における半導体素子および放熱板の実装面積を小さくすることができるので、回路基板に電子部品を高密度で実装させることができ、この結果、回路基板および電子機器の小形化や低コスト化を図ることができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、小形化や低コスト化が図れる請求項1記載の電子機器を具備するので、電子機器の配設が容易であり、安価に形成可能な照明器具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0023】
図1および図2は、本発明の第1の実施形態を示し、図1は電子機器であり、(a)は一部概略断面図、(b)は一部概略上面図、図2は半導体素子の概略斜視図である。
【0024】
図1において、電子機器1は、放電ランプ用点灯装置であり、半導体素子としての電界効果トランジスタ2、放熱板3、回路基板4および金属製のケース6を有して構成されている。電界効果トランジスタ2は、オンオフ動作することにより発熱し、その発熱量が比較的大きい発熱部品である。電界効果トランジスタ2に発生した熱は、放熱板3に伝熱され、さらにケース6に伝熱され、放熱板3およびケース6から放熱される。
【0025】
電界効果トランジスタ2は、図2に示すように、本体部7、段部8およびリード線9を有して形成されている。本体部7は、その外側が例えばエポキシ樹脂からなり、一端側7aが段部8に、他端側7bが収納部10に形成されている。段部8および収納部10は、それぞれの高さが異なり、段差を有している。すなわち、段差8は、本体部7の一方の面11aの一端側7aに、一方の面11aの他端側7bよりも凹むように形成されている。一方の面11aは、平面状に形成されている。
【0026】
そして、段部8には、取付けねじ12が挿通される取付け孔13が設けられている。段部8は、取付けねじ12が取付け孔13に挿通されたときに、取付けねじ12の頭部12aが本体部7の一方の面11aよりも突出しないように、その凹み(収納部10との段差)を有している。
【0027】
収納部10は、回路素子を収納し、本体部7の他端側7bの端面7bbから3本のリード線9を導出している。リード線9は、例えば錫メッキされた銅(Cu)からなり、回路基板4にはんだ付けされる。
【0028】
放熱板3は、例えば1枚の金属製の平板を折曲するなどして形成したものであり、図1に示すように、平板部14、側壁部15および孔としてのねじ孔16を有して構成されている。その肉厚は、適宜の肉厚に設定され、例えば2mmであり、その金属材料は、例えばアルミニウム(Al)である。
【0029】
平板部14は、図1中、上下両面が平坦状の略長方体に形成され、その下面側が電界効果トランジスタ2を取り付ける取付け面17となっている。そして、取付け面17は、図1(b)に示すように、電界効果トランジスタ2の本体部7の他方の面11bをほぼ覆う長方形に形成されている。その短寸法W1は、本体部7の他方の面11bの幅W2よりも幾分大きくしている。
【0030】
また、平板部14は、その長手方向に沿って電界効果トランジスタ2を取り付けるようにしている。すなわち、平板部14は、その他端側14bに電界効果トランジスタ2の本体部7の段部8が対向し、その一端側14aに本体部7の収納部10が対向するようにしている。なお、電界効果トランジスタ2の本体部7の他方の面11bは、図2において説明した本体部7の一方の面11aの反対側の面であり、平面状に形成されている。
【0031】
側壁部15は、平板部14の一端側14aに中間板部18を介して連設されたものであり、平板部14に対して取付け面17の反対側にほぼ直角となるように折り曲げ形成されている。中間板部18は、放熱板3と電界効果トランジスタ2のリード線9との絶縁距離を確保するために設けられたものであり、平板部14の一端側14aから取付け面17の反対側にほぼ直角に折り曲げて形成されている。側壁部15は、中間板部18の一端側18aから上記のように折り曲げ形成されている。そして、側壁部15および中間板部18の短幅寸法は、平板部14に短幅寸法W1と同等とし、放熱経路(伝熱面積)を確保するとともに、放熱板3が大形化しないようにしている。
【0032】
そして、側壁部15は、その略中央部に1個のねじ孔19が形成されている。このねじ孔19は、放熱板3をケース6に固定するとともに、側壁部15をケース6に密接させるためのものである。
【0033】
ねじ孔16は、電界効果トランジスタ2に設けられた取付け孔13に挿通される取付けねじ12を螺着するものであり、平板部14の他端側14bに前記取付け孔13に対応して設けられたものである。取付けねじ12は、平板部14の取付け面17と、電界効果トランジスタ2の本体部7の他方の面11bとを接触させた後、電界効果トランジスタ2の段部8側から取付け孔13に挿入される。そして、取付けねじ12がねじ孔16に完全に螺着されることにより、平板部14の取付け面17に電界効果トランジスタ2の本体部7の他方の面11bが密接して、電界効果トランジスタ2が固定される。取付けねじ12は、平板部14に電界効果トランジスタ2を固定する取付け部材を形成している。こうして、放熱板3は、半導体素子としての電界効果トランジスタ2を固定している。そして、電界効果トランジスタ2は、放熱板3に固定された後、回路基板4に実装される。
【0034】
回路基板4は、例えばガラスエポキシ材や紙フェノール材などからなり、長方形状に形成されている。そして、回路基板4は、その短幅方向(長手方向と直交する方向)に電界効果トランジスタ2を実装している。すなわち、放熱板3の側壁部15の長手方向と回路基板4の長手方向が平行となるようにして、かつ側壁部15が回路基板4の上面(実装面)4aの縁部20よりも幾分外方に突出するようにして、電界効果トランジスタ2の本体部7の一方の面11aを上面(実装面)4aに設置している。
【0035】
電界効果トランジスタ2の放熱板3への取付けにより、電界効果トランジスタ2は、その本体部7が回路基板4の内方側に、そのリード線9が回路基板4の外方側に配置されている。そして、回路基板4には、3本のリード線9がそれぞれ挿入されて挿通される3個の貫通孔21が各リード線9に対応して形成されている。各リード線9は、貫通孔21に挿入可能なように前もって加工されており、それぞれ対応している貫通孔21に挿通されて、回路基板4の下面4bではんだ付けされる。また、回路基板4は、放電ランプ用点灯装置を構成するその他の電子部品や部材を実装している。また、回路基板4の上面(実装面)4aと電界効果トランジスタ2の本体部7の側面との間には、例えばシリコーン樹脂からなる接着材5が塗布されている。接着材5は、電界効果トランジスタ2を回路基板4に固定している。そして、回路基板4は、ケース6に収納されている。
【0036】
ケース6は、ベースケースであり、図示しないカバーケースが被嵌されるものである。ケース6は、例えば1枚の金属製の平板を折り曲げて、底板部22および一対の側板部23,23に形成されている。金属としては、例えば鋼板である。すなわち、底板部22は、細長い長方形状に形成されている。一対の側板部23,23は、底板部22の長手方向に沿う両側から上方に折り曲げられ、底板部2とほぼ直交し互いに対向している。なお、図1においては、底板部22の一端側22aから上方に折り曲げて形成された一方の側板部23のみを示している。
【0037】
回路基板4は、その下面4bが底板部22に対向するようにして、一対の側板部23,23間に収納され、一対の側板部23,23にそれぞれ形成された基板支持段部(図示しない。)に支持されている。すなわち、ケース6は、回路基板4およびケース6の底面部22が所定の絶縁距離を有するように、回路基板4を底板部22と離間させて配設している。
【0038】
そして、ケース6の側板部23には、図1(b)に示すように、放熱板3の側壁部15に形成されたねじ孔19に正対する取付け孔24が形成されている。そして、取付け孔24を介して取付けねじ25がねじ孔19に完全に螺着されている。
【0039】
こうして、ケース6は、その側板部23に放熱板3の側壁部15を固定するとともに、その側板部23と放熱板3の側壁部15とを密接させている。電界効果トランジスタ2に発生した熱は、主として、放熱板3の平板部14に伝熱され、放熱板3の側壁部15からケース6の側板部23に伝熱されて、ケース6から外気に放出される。
【0040】
次に、本発明の第1の実施形態の作用について述べる。
【0041】
半導体素子としての電界効果トランジスタ2は、その本体部7の他方の面11bに放熱板3が取付けられ、その本体部7の一方の面11aが回路基板4の上面(実装面)4aに設置されて、リード線9が回路基板4にはんだ付けされる。これにより、電界効果トランジスタ2のリード線9を回路基板4の端部20側に接近してはんだ付けすることができる。
【0042】
そして、電界効果トランジスタ2は、その本体部7が接着材5により回路基板4の上面4aに固定されるので、放熱板3は、電界効果トランジスタ2を回路基板4に固定する部位が形成されていない。また、電界効果トランジスタ2が回路基板4の端部20側に接近して実装されるので、放熱板3は、ケース6の側板部23までの伝熱経路(放熱経路)が短く、その短幅寸法W1が電界効果トランジスタ2の本体部7の短幅寸法W2より幾分大きい程度であっても、電界効果トランジスタ2の発熱を放熱させることができる。すなわち、放熱板3は、電界効果トランジスタ2の発熱を放熱させることのできる最低限の大きさに形成されている。これにより、電界効果トランジスタ2および放熱板3の回路基板4に対する占有面積および占有空間が最小限にすることができ、実装面積を小さくすることができる。
【0043】
電界効果トランジスタ2および放熱板3の実装面積が小さくなることにより、回路基板4には、その分、他の電子部品を実装する実装スペースが空く。その実装スペースに他の電子部品を実装することにより、当該電子部品を実装するために回路基板4を大形化することが抑制される。すなわち、回路基板4に電子部品を高密度で実装することができ、この結果、回路基板4や電子機器1の小形化や低コスト化を図ることができる。
【0044】
なお、接着材5は、回路基板4をケース6に収納し、放熱板3をケース6に固定するときに、電界効果トランジスタ2の本体部7が動かないように、その本体部7を回路基板4に固定しているものである。しかし、回路基板4のケース6への収納方法や別の固定手段などにより、電界効果トランジスタ2のリード線9のはんだ部にストレスを加えにくくすることができるので、接着材5は、敢えて設けなくてもよい。
【0045】
そして、上記実装スペースに他の電子部品を実装する必要がないときには、図3に示すように、当該実装スペースで放熱板26を固定するようにすることもできる。
【0046】
図3に示す電子機器27は、図1に示す電子機器1において、放熱板3に代えて放熱板26が用いられたものであり、電界効果トランジスタ2の本体部7が接着材5により回路基板4に固定されないものである。
【0047】
放熱板26は、平板部14の他端側14bから取付け面17側に折り曲げて形成された取付け板部28を有し、この取付け板部28にねじ孔29が形成されている。そして、回路基板4には、ねじ孔29に対応する挿通孔30が形成されている。放熱板26は、回路基板4の下面4b側から挿通孔30を介してねじ孔29に螺着された固定ねじ31により、回路基板4に固定されている。すなわち、電界効果トランジスタ2は、回路基板4および放熱板26の平板部14に挟持されて固定されている。
【0048】
電界効果トランジスタ2に発生した熱は、回路基板4および放熱板26に伝熱され、主として放熱板26から内部空間に放熱される。放熱板26をケース6に接続(固定)しなくても、電界効果トランジスタ2の発熱を放熱させることができる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施形態について述べる。
【0050】
図4は、本発明の第2の実施形態を示す電子機器であり、(a)は一部概略断面図、(b)は一部概略上面図である。なお、図1と同一部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0051】
図4に示す電子機器32は、図1に示す電子機器1において、電界効果トランジスタ2の本体部7が回路基板4の縁部20側、そのリード線9が回路基板4の内方側となるように、回路基板4に電界効果トランジスタ2が実装されたものである。そして、放熱板33は、側壁部15が平板部14の他端側14bからほぼ直角に折り曲げられて形成されている。
【0052】
放熱板33は、電界効果トランジスタ2のリード線9との絶縁距離が確保するための中間板部18や変形がなく、電界効果トランジスタ2の本体部7からケース6の側板部23までの伝熱経路(放熱経路)が短いので、簡易かつ小形に形成される。これにより、放熱板33および電子機器32を安価に形成することができる。
【0053】
次に、本発明の第3の実施形態について述べる。
【0054】
図5は、本発明の第3の実施形態を示す照明器具の概略斜視図である。なお、図1と同一部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0055】
図5に示す照明器具34は、天井面等に直付けされる直付け照明器具であり、略枠状の器具本体35の両端に一対のランプソケット36,36が設けられている。そして、ランプソケット36,36に放電ランプとしての直管形蛍光ランプ37を装着している。また、器具本体35は、蛍光ランプ37と対向して断面略皿状の反射板38を取り付けている。反射板38の表面は、反射面38aに形成されている。
【0056】
また、器具本体35は、反射板38の内側で、図1に示す電子機器としての放電ランプ用点灯装置1を図示しないねじにより固定している。そして、放電ランプ用点灯装置1が給電されることにより、蛍光ランプ37が点灯する。
【0057】
照明器具34は、放電ランプ用点灯装置1の大形化やコスト上昇が抑制されているので、放電ランプ用点灯装置1の配設スペースを容易に確保することができるとともに、安価に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す電子機器であり、(a)は一部概略断面図、(b)は一部概略上面図。
【図2】同じく、半導体素子の概略斜視図。
【図3】他の電子機器であり、(a)は一部概略断面図、(b)は一部概略上面図。
【図4】本発明の第2の実施形態を示す電子機器であり、(a)は一部概略断面図、(b)は一部概略上面図。
【図5】本発明の第3の実施形態を示す照明器具の概略斜視図。
【符号の説明】
【0059】
1,32…電子機器としての放電ランプ用点灯装置
2…半導体素子としての電界効果トランジスタ
3,33…放熱板
4…回路基板
6…ケース
7…本体部
8…段部
9…リード線
14…平板部
15…側壁部
16…孔としてのねじ孔
22…底板部
23…側板部
34…照明器具
35…器具本体
37…放電ランプとしての直管形蛍光ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部、この本体部の一方の面の一端側に形成された段部、この段部に設けられた取付け孔および前記本体部の他端側の端面から導出されたリード線を有する半導体素子と;
平坦状の取付け面を有する平板部、この平板部に連設して形成された側壁部、前記平板部に前記半導体素子の取付け孔に対応して設けられた孔を有し、前記平板部の取付け面および前記半導体素子の本体部の一方の面と反対側の他方の面を接触させて、前記半導体素子の取付け孔および前記孔を介して取付け部材により前記平板部に前記半導体素子を固定している放熱板と;
この放熱板の側壁部が実装面の縁部よりも外方に突出するように前記半導体素子の本体部の一方の面を実装面に設置し、前記半導体素子のリード線をはんだ付けしている回路基板と;
平坦状の底板部および側板部を有し、前記回路基板を前記底板部に対向して配設し、前記側板部に前記放熱板の側壁部を固定しているケースと;
を具備していることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
放電ランプと;
この放電ランプを点灯させるように構成された請求項1記載の電子機器と;
前記放電ランプおよび前記電子機器を配設している器具本体と;
を具備していることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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