説明

電子機器のパネル構造

【課題】パネル電装部品の位置及び向きの規定が簡単且つ正確に行えると共に、パネル電装部品の配列の自由度を高めて、機種による基板及びパネル電装部品の共用化を容易にする。
【解決手段】パネル板10の下方にベース体20、基板30が順に配設される。ベース体20の上面20aに設けられる多数の凸状嵌着部21は、横方向、縦方向に等間隔で並び、全体として規則的なマトリクス状に配列される。各電装部品40の本体部41の底面41aには、凸状嵌着部21に嵌合的な凹形状の嵌着対応部45が形成される。各電装部品40の嵌着対応部45のすべてをベース体20の凸状嵌着部21にそれぞれ嵌合することで、電装部品40が、水平方向において、凸状嵌着部21の配列間隔に応じた任意の位置でベース体20に対して嵌着固定され、それにより、電装部品40の水平方向における位置及び向きが規定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作子や表示部等のパネル電装部品がパネルに配設される電子機器のパネル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作される機能を有する操作子や情報を表示する機能を備える表示部等のパネル電装部品がパネルに配設された電子機器が知られている。この種の電子機器で採用されるパネル構造では、通常、パネルの下の基板にパネル電装部品が配設固定される。
【0003】
例えば、下記特許文献1のパネル構造においては、電装部品のシャーシに、基板に対する取付部を有する折曲可能な保持脚を形成し、上記取付部を基板の取付穴に取り付けるように構成されている。
【特許文献1】実開昭54−102641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のパネル構造では、基板には、電装部品を取り付けるための取付穴が形成され、電装部品は、予め定められた箇所にしか取り付けることができない。従って、基板に対する電装部品の配列の自由度はない。そのため、異機種を製造する場合は、基板を機種ごとに設ける必要がある。
【0005】
また、電装部品を基板に固定する際には、取付部と取付穴との対応関係を各電装部品それぞれについて意識して合わせなければならず、多くの種類の電装部品が配設される場合は、配設位置や向きを各々合わせるのが煩雑である。また、個々の電装部品の配線についても考慮して設計するのが望ましい。
【0006】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、パネル電装部品の位置及び向きの規定が簡単且つ正確に行えると共に、パネル電装部品の配列の自由度を高めて、機種による基板及びパネル電装部品の共用化を容易にすることができる電子機器のパネル構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の請求項1の電子機器のパネル構造は、パネル板に、操作される機能または情報を表示する機能を備えるパネル電装部品が複数配設される電子機器のパネル構造であって、前記パネル板(10)の下方に配設される基板(30)と、前記基板と前記前記パネル板との間において前記基板の上に固定され、上面(20a)に、多数の嵌着部(21)が、交差する2方向において等間隔なマトリクス状に設けられたベース体(20)とを有し、前記パネル電装部品(40)の各々の底面(41a)には、前記ベース体の前記嵌着部に対して嵌合可能な嵌着対応部(45)が、前記嵌着部と同じ配列間隔で複数形成され、前記各パネル電装部品の前記複数の嵌着対応部のすべてを前記ベース体の嵌着部にそれぞれ嵌合することで、前記各パネル電装部品が、前記ベース体に平行な水平方向において、前記嵌着部の配列間隔に応じた任意の位置で前記ベース体に対して嵌着固定され、それにより、前記各パネル電装部品の、前記ベース体に対する水平方向における位置及び向きが規定されるように構成されたことを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記パネル電装部品の前記嵌着対応部及び前記ベース体の前記嵌着部にはそれぞれ電極部(46、24)が設けられ、前記嵌着対応部と前記嵌着部とが嵌合されることで電気的に導通するように構成される(請求項2)。
【0009】
好ましくは、請求項1において、前記パネル電装部品の各々の少なくとも一側面(41b1、41b3)には嵌合部(47、49)が設けられると共に、前記一側面の反対側の側面である他側面(41b2、41b4)には、前記嵌合部に対して嵌合的な形状の嵌合対応部(48、50)が設けられ、前記パネル電装部品同士の前記一側面の前記嵌合部と前記他側面の前記嵌合対応部とを嵌合することで、前記パネル電装部品同士が連結状態になるように構成される。これによれば、複数のパネル電装部品を一まとめにして扱えるようにして、ベース体に配設する作業を容易にすることができる。
【0010】
さらに好ましくは、前記パネル電装部品の前記嵌合部及び前記嵌合対応部にはそれぞれ電極部(51、52)が設けられ、前記嵌合部と前記嵌合対応部とが嵌合されることで電気的に導通するように構成される。これによれば、各パネル電装部品の配線上の煩雑さを抑制し、パネル電装部品の配列の自由度を高めることができる。
【0011】
なお、上記括弧内の符号は例示である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1によれば、パネル電装部品の位置及び向きの規定が簡単且つ正確に行えると共に、パネル電装部品の配列の自由度を高めて、機種による基板及びパネル電装部品の共用化を容易にすることができる。
【0013】
請求項2によれば、各パネル電装部品の配線上の煩雑さを抑制し、パネル電装部品の配列の自由度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るパネル構造が適用される電子機器のパネル面の一部を正面からみた平面図である。
【0016】
この電子機器は、パネル板10を有し、パネル板10の裏側に、複数の電装部品40(40A、40B、40C)が配設される。電装部品40は、操作される機能または情報を表示する機能の少なくとも一方を備えるものである。情報は、発光と非発光のみによるものでもよい。図示して例示した電装部品40は、操作部42と、LEDでなる表示部43とを有する。
【0017】
各電装部品40における操作部42及び表示部43の種類や数は問わない。例えば、電装部品40Aの操作部42は押下式であり、電装部品40Bの操作部42はスライド式であり、電装部品40Cの操作部42は回転式である。また、電装部品40A、40Bの表示部43は単一であるが、電装部品40Cの表示部43は複数のLEDが直列配列されたインジケータ型となっている。また、電装部品40が備えるものは、操作部42のみ、または表示部43のみであってもよい。
【0018】
電子機器として、本実施の形態では電子楽器、ミキサ装置を想定するが、その種類は問わず、音響機器にも限定されない。パネル板10の表側に操作部が露出し、あるいは表示部が視認可能に位置するような電装部品40が設けられる機器であればよい。
【0019】
また、本実施の形態では、パネル板10の上面であるパネル面10aが上方を向いているとし、パネル面10aが表側となる。しかし、これに限られず、パネル面10aが向く方向は問わない。ただし、説明の都合上、以降は、上下関係について、パネル面10aが上方を向いているとして説明する。
【0020】
図1(b)は、パネル板10の部分平面図である。図2(a)は、本パネル構造の分解図であり、本電子機器のパネル面10aに垂直な縦断面に沿う模式図である。図2(b)は、本パネル構造の組み付け状態における模式的な縦断面図である。図3は、本パネル構造の模式的な拡大分解断面図である。
【0021】
図2(a)、(b)、図3に示すように、本パネル構造において、パネル板10の下方に板状のベース体20が配設され、ベース体20の下方に基板30が配設される。図1(b)、図2(a)、図3に示すように、パネル板10には、電装部品40における操作部42及び表示部43に対応して、穴である窓部10bが複数形成されている。各電装部品40は、それぞれの操作部42及び表示部43が、対応するパネル板10の窓部10bから突出乃至露出するように、パネル板10とベース体20との間に配設される。窓部10bは、表示部43に対応するものについては、貫通穴に透明部材を設けて構成してもよい。パネル板10は、アルミニウム等の金属製で、ベース体20、基板30は例えば樹脂製である。
【0022】
図2(a)に示すように、基板30の上面には、接続部32が適所に複数設けられている。図3に示すように、接続部32の上端には、電極部33が2つ設けられ、これら電極部33に接続された配線25が基板30内を通って基板30の下面側に導出されている。
【0023】
ベース体20の下面20bには、基板30の接続部32に対応して接続対応部22が設けられている。接続対応部22には、接続部32の電極部33に対応する電極部26が設けられる(図3参照)。接続対応部22と接続部32とは、ベース体20と基板30との水平方向(ベース体20の上面20aに平行な方向)における位置決め機能を果たす。それと共に、接続対応部22と接続部32とが嵌合されて接続されると、電極部26と電極部33とが当接して、電気的に導通状態となる。
【0024】
ベース体20の下面20bにはまた、ベース体20が基板30に取り付けされるための取付ボス23が形成されている(図2(a)参照)。基板30の、取付ボス23に対応する位置には、貫通した不図示の取り付け穴が形成されている。接続対応部22と接続部32とを嵌合すると共に、上記取り付け穴を介してネジ31を下方から取付ボス23に螺合することで、ベース体20と基板30とが固定される。
【0025】
図4(a)、(b)は、それぞれ、ベース体20の部分平面図、部分斜視図である。図3、図4(a)、(b)に示すように、ベース体20の上面20aには、上方に突起した多数の凸状嵌着部21が設けられている。凸状嵌着部21は、図4(a)の横方向及び縦方向のそれぞれにおいて直列に等間隔で並び、全体として規則的なマトリクス状に配列されている。各凸状嵌着部21は同一構成であり、断面円形であるが、この断面形状に限るものではない。接続対応部22、取付ボス23、凸状嵌着部21は、ベース体20と一体に形成されていてもよい。
【0026】
図3に示すように、各凸状嵌着部21の上端には、電極部24が設けられ、電極部24に接続された配線25がベース体20内を通って2つの電極部26のいずれかに繋がっている。なお、電極部24は、すべての凸状嵌着部21において設ける必要はなく、本楽器の製造工程において、電装部品40の後述する嵌着対応部45(図5(b)参照)が嵌合される可能性があるものにだけ設ければよい。
【0027】
図5(a)は、色々な種類の電装部品40の平面図、図5(b)は、これら電装部品40の裏面図である。各電装部品40は、上記した操作部42及び表示部43が本体部41の上側に設けられてなる。電装部品40Bについては、操作部42のサイズがパネル板10の窓部10bよりも大きいため、後付けで設けられる。すなわち、電装部品40Bの本体部41には操作部装着部44が設けられる(図3参照)。そして、ベース体20に電装部品40Bの本体部41が配設され、相対的に上方からパネル板10が被せられた後に、操作部42がパネル面10aの側から操作部装着部44に装着される。
【0028】
図3、図5(b)に示すように、各電装部品40の本体部41の底面41aには、凸状嵌着部21に嵌合的な凹形状の嵌着対応部45が複数形成されている。嵌着対応部45内には、電極部45が形成されている(図3参照)。嵌着対応部45とベース体20の凸状嵌着部21とが嵌合されると、嵌着対応部45の電極部46と凸状嵌着部21の電極部24とが当接して、電気的に導通状態となる。
【0029】
ところで、各電装部品40において、設けられる嵌着対応部45は、最低2個であり、それらの配列パターンは、凸状嵌着部21と同じである。すなわち、隣接する嵌着対応部45の間隔は、隣接する凸状嵌着部21の間隔と同じであり、嵌着対応部45の配列方向は、凸状嵌着部21と同様に、互いに直交する2方向である。例えば、電装部品40A、40B、40Cでは、嵌着対応部45の数が、図5(b)の横×縦方向において、それぞれ、2×3、2×4、2×6である。なお、嵌着対応部45の数は、飛び飛び(歯抜け)にならないようにすればよく、奇数でもよい。
【0030】
また、各電装部品40の本体部41の図5(b)でいう横、縦の各寸法は、それぞれ横、縦方向における嵌着対応部45の数に比例している。電装部品40の本体部41の平面視における外郭形状については、本実施の形態では、矩形の3種類を例示するが、これらのみに限られない。第1の電装部品40の嵌着対応部45が嵌合されている凸状嵌着部21に隣接する凸状嵌着部21に、第2の電装部品40の嵌着対応部45を嵌合して両電装部品40を隣接配置する場合に本体部41同士が干渉しないように、両電装部品40の本体部41の外郭形状を構成すればよい。例えば、本実施の形態では、図4(a)に示すように、電装部品40Bと電装部品40Cとを横方向に隣接配置したとき、側面同士が近接乃至当接するが、干渉することはない。縦方向についても同様である。
【0031】
電装部品40をベース体20に装着するには、その嵌着対応部45のすべてを、凸状嵌着部21の位置に合わせ、上から押し込んで嵌着する(図4(a)も参照)。嵌着対応部45と凸状嵌着部21の配列間隔が同じであるので、図4(a)の横方向、縦方向のいずれの方向に対しても、嵌着対応部45を嵌合する凸状嵌着部21を1個単位でずらすことができる。従って、凸状嵌着部21の配列間隔に応じた任意の位置を選択して、各電装部品40をベース体20に対して嵌着固定することができる。
【0032】
電装部品40の水平方向における位置は、嵌着対応部45と凸状嵌着部21との嵌合関係によって決まり、凸状嵌着部21の配列間隔に応じた位置以外とはならないので、正確に定まる。しかも、凸状嵌着部21と嵌着対応部45とは、複数同士が嵌合されるので、ベース体20に対する水平方向における電装部品40の向きも、4方向のいずれかに正確に規定される。
【0033】
図2(a)、図3に示すように、パネル板10の裏面10cには、ボス11が複数の適所に設けられる。ボス11の下面には、ベース体20の凸状嵌着部21に対して嵌合的な形状の嵌合穴12が形成されている。ボス11の嵌合穴12に、凸状嵌着部21のうち定められたものを嵌合することで、パネル板10に対するベース体20の水平方向の位置が規定されると共に、パネル板10とベース体20とが仮固定される。さらに、パネル板10とベース体20とは、不図示のネジで螺着固定される。
【0034】
本楽器のパネル構造部分の組み付け工程について説明する。まず、図2(a)、(b)に示すように、ベース体20に対する電装部品40の配設予定位置に従って、ベース体20の凸状嵌着部21のうち該当するものに、各電装部品40の嵌着対応部45をそれぞれ嵌合し、ベース体20に電装部品40を配設固定する。次に、このベース体20の接続対応部22を基板30の接続部32に嵌合すると共に、下方からネジ31でベース体20の取付ボス23に基板30を螺着固定する。
【0035】
次に、パネル板10の裏面10cの側から、基板30、ベース体20及び電装部品40が組み付けられたものを近づけ、電装部品40の操作部42、表示部43、操作部装着部44の各位置を、予定の窓部10bに対して合わせ、それらのうち貫通させるべきものは貫通させる。それと並行して、ボス11の嵌合穴12に、定められた凸状嵌着部21を嵌合する。電装部品40Bについては、パネル面10aから突出した操作部装着部44に対して、パネル面10aの側から操作部42を装着する。
【0036】
本実施の形態によれば、ベース体20の凸状嵌着部21と電装部品40の嵌着対応部45との嵌合により、ベース体20に対する電装部品40の水平方向における位置及び向きが正確に規定される。従って、電装部品40の位置及び向きの規定が簡単且つ正確に行える。また、凸状嵌着部21と嵌着対応部45との嵌合関係は、凸状嵌着部21の配列間隔を単位として縦または横方向に変位させて選択できるので、電装部品40の配列の自由度が高い。そのため、例えば、同じ基板30を用いて異なる機種の楽器を製造するのが容易となる。また、電装部品40についても、同じ構成のものを、異なる機種に用いて異なる位置に配設可能である。従って、基板30及び電装部品40の共用化が容易になり、異機種の製造における部品点数の削減やコスト低減が実現される。
【0037】
さらに、嵌着対応部45と凸状嵌着部21との嵌合により、電極部46と電極部24とが当接して電気的に導通状態となるので(図3参照)、各電装部品40の配線上の煩雑さを抑制し、電装部品40の配列の自由度を高めることに寄与する。
【0038】
なお、嵌着対応部45と凸状嵌着部21とは、凹凸関係を逆にしてもよい。また、例示したような嵌合形状に限られず、嵌合関係にあれば、形状は問わない。
【0039】
なお、凸状嵌着部21の配列は、マトリクス状であるが、等間隔で配列される方向は、縦と横のように直行に限られず、交差していればよい。
【0040】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係るパネル構造は、電装部品40の構成が第1の実施の形態のものと異なり、その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0041】
図6(a)は、第2の実施の形態における複数の電装部品40の模式的な平面図である。本実施の形態では、電装部品40について3種類を例示し、第1の実施の形態のものと区別して、電装部品40D、40E、40Fと記す。図6(b)、(c)は、それぞれ電装部品40F、40Dの斜視図である。電装部品40Eについては、電装部品40Dに対して操作部42の形状が異なるのみであるので、斜視図の図示及び構成説明を省略する。
【0042】
電装部品40D、40E、40Fは、本体部41の形状が第1の実施の形態の電装部品40と異なり、その他の部分は同様である。電装部品40D、40E、40Fにおいては、第1の実施の形態と同様に表示部43が設けられてもよい。また、本体部41の縦横のサイズについても、各種のものが採用可能である点は第1の実施の形態と同様である。
【0043】
本体部41の底面41aには、嵌着対応部45(図3、図5(b)参照)が同様に形成されている(図示せず)。横方向において、電装部品40D、40E、40Fの側面41b1には、凹状嵌合部47が設けられ、側面41b1の反対側の側面41b2には、凹状嵌合部47に対して嵌合的な形状の凸状嵌合対応部48が設けられている。縦方向においても同様に、電装部品40D、40E、40Fの側面41b3には、凹状嵌合部49が設けられ、側面41b3の反対側の側面41b4には、凹状嵌合部49に対して嵌合的な形状の凸状嵌合対応部50が設けられている。
【0044】
凹状嵌合部47、49、凸状嵌合対応部48、50は、各側面において、底面41aに設けられる嵌着対応部45(図3、図5(b)参照)の、横方向(図6(a)の左右方向)、縦方向(図6(a)の上下方向)の数にそれぞれ比例した数だけ設けられる。例えば、嵌着対応部45の数は、横×縦において、電装部品40D、40Eでは、2×3であり、電装部品40Fでは、2×6であるとする。
【0045】
従って、横方向においては、嵌着対応部45が2個につき、凸状嵌合対応部48、50が1つ設けられる。また、縦方向においては、嵌着対応部45が3個につき、凹状嵌合部47、49が1つ設けられる。電装部品40Fのように縦に長いものでは、側面41b1に凹状嵌合部47が2個以上形成されることになる。ただし、これらは例示であり、嵌着対応部45の整数個につき凹状嵌合部47、49、凸状嵌合対応部48、50が1つ設けられるように構成すればよい。
【0046】
図6(b)、(c)に示すように、凹状嵌合部47には、電極部51が2つずつ設けられる。凹状嵌合部49においても図示はしないが同様である。凸状嵌合対応部50には、電極部52が2つずつ設けられる。凸状嵌合対応部48においても図示はしないが同様である。
【0047】
かかる構成において、電装部品40をベース体20に装着する際には、電装部品40を個々に装着してもよいが、本実施の形態では、隣接配置される予定の複数の電装部品40を、予め連結してから一斉に装着する。すなわち、図6(a)に示すように、横方向においては、左側の電装部品40の凸状嵌合対応部48と右側の電装部品40の凹状嵌合部47とを嵌合して両者を連結する。縦方向においては、図6(a)でいう下側の電装部品40の凹状嵌合部49と上側の電装部品40の凸状嵌合対応部50とを嵌合する。これを、縦横に隣接する電装部品40について行うと、それらが連結状態となって、一まとめに扱えるようになる。
【0048】
ここで、凹状嵌合部47、49、凸状嵌合対応部48、50を嵌合し、連結した状態では、嵌着対応部45の配列パターンは、隣接する複数の電装部品40に亘って、ベース体20の凸状嵌着部21の配列パターンと同じようになるものとする。
【0049】
その後、一まとめとなった電装部品40の嵌着対応部45をベース体20の凸状嵌着部21にそれぞれ嵌合することで、すべての電装部品40をベース体20に装着する。凹状嵌合部47と凸状嵌合対応部48の嵌合により、横方向に隣接する電装部品40の電極部51、52が当接し、電気的に導通する。同様に、凹状嵌合部49と凸状嵌合対応部50との嵌合により、縦方向に隣接する電装部品40の電極部51、52が当接し、電気的に導通する。
【0050】
連結されている電装部品40同士は、電気的に導通するので、それらのうち1つの電装部品40における嵌着対応部45の電極部46(図3参照)だけを、基板30との導通に用いればよい。従って、複数の電装部品40の配列が決まっていれば、基板30との導通に用いられる電装部品40だけに電極部46を設け、その他の電装部品40については電極部46を廃止してもよい。
【0051】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏するだけでなく、複数の電装部品40を一まとめにして扱えるようにして、ベース体20に配設する作業を容易にすることができる。
【0052】
また、凹状嵌合部47、49、凸状嵌合対応部48、50の嵌合によって、隣接する電装部品40同士が電気的にも接続されるので、電装部品40の配線上の煩雑さを抑制し、電装部品40の配列の自由度を高めることができる。
【0053】
なお、第1、第2の実施の形態において、構成を簡単にする観点からは、電極部24、46(図3参照)及び/又は電極部51、52を廃止し、配線については、各電装部品40をベース体20に配設した後に、別途の作業として行うようにしてもよい。
【0054】
特に、第2の実施の形態においては、電極部51、52を廃止し、凹状嵌合部47、49、凸状嵌合対応部48、50の嵌合による連結機能だけを確保するようにしてもよい。
【0055】
なお、第1、第2の実施の形態において、ベース体20において、互いに交差する2方向(縦方向、横方向)における凸状嵌着部21の配列間隔は同一としたが、異なっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るパネル構造が適用される電子機器のパネル面の一部を正面からみた平面図(図(a))、パネル板の部分平面図(図(b))である。
【図2】本パネル構造の分解図であり、本電子機器のパネル面に垂直な縦断面に沿う模式図(図(a))、本パネル構造の組み付け状態における模式的な縦断面図(図(b))である。
【図3】本パネル構造の模式的な拡大分解断面図である。
【図4】ベース体の部分平面図(図(a))、部分斜視図(図(b))である。
【図5】色々な種類の電装部品の平面図(図(a))、これら電装部品の裏面図(図(b))である。
【図6】第2の実施の形態における複数の電装部品の模式的な平面図(図(a))、電装部品の斜視図(図(b)、(c))である。
【符号の説明】
【0057】
10 パネル板、 20 ベース体、 20a 上面、 21 凸状嵌着部、 24、46、51、52 電極部、 30 基板、 40 電装部品(パネル電装部品)、 41 本体部、 41a 底面、 41b1、41b3 側面(一側面)、 41b2、41b4 側面(他側面)、 45 嵌着対応部、 47、49 凹状嵌合部、 48、50 凸状嵌合対応部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル板に、操作される機能または情報を表示する機能を備えるパネル電装部品が複数配設される電子機器のパネル構造であって、
前記パネル板の下方に配設される基板と、
前記基板と前記前記パネル板との間において前記基板の上に固定され、上面に、多数の嵌着部が、交差する2方向において等間隔なマトリクス状に設けられたベース体とを有し、
前記パネル電装部品の各々の底面には、前記ベース体の前記嵌着部に対して嵌合可能な嵌着対応部が、前記嵌着部と同じ配列間隔で複数形成され、
前記各パネル電装部品の前記複数の嵌着対応部のすべてを前記ベース体の嵌着部にそれぞれ嵌合することで、前記各パネル電装部品が、前記ベース体に平行な水平方向において、前記嵌着部の配列間隔に応じた任意の位置で前記ベース体に対して嵌着固定され、それにより、前記各パネル電装部品の、前記ベース体に対する水平方向における位置及び向きが規定されるように構成されたことを特徴とする電子機器のパネル構造。
【請求項2】
前記パネル電装部品の前記嵌着対応部及び前記ベース体の前記嵌着部にはそれぞれ電極部が設けられ、前記嵌着対応部と前記嵌着部とが嵌合されることで電気的に導通するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の電子機器のパネル構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−62423(P2010−62423A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228101(P2008−228101)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】