説明

電子機器のユーザインターフェイス生成装置

【課題】 ユーザに相応しいGUIを生成し表示させる。
【解決手段】 ステップS1においてアンケート処理が開始される契機として電子機器の電源がオンされると、ステップS2においてGUI設定アンケートを行うか否かを判定する。GUI設定アンケートを行う場合(Yes)には、ステップS3に進みアンケートの分析を行う。次いで、ステップS4に進み分析結果に基づいてユーザカテゴリを決定する。決定されたユーザカテゴリ別のGUIデータが図1に示すGUI形成用データベース11内に格納されているか否かをステップS5において判定する。ステップS5における判定結果が格納されている(有)場合には、GUI形成用データベース11からGUIデータを読み出し、ステップS8において、読み出されたGUIデータに基づいてユーザ別のGUI表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器のユーザインターフェイス生成技術に関し、特に、グラフィックユーザインターフェイス(以下、「GUI」と称する。)生成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器では、様々な機能を実行できるようになってきているため、電子機器に設けられた操作装置もその分だけ複雑化してきている。例えば、電子機器の利用者が高齢者の場合は一般的なユーザの場合と比べて操作が簡単である方が好まれる。そこで、操作装置において、一般的な操作キーを備えた一般のユーザ向けの第1面と、第1面と重なるように形成され高齢者向けに大きな文字表示を有する操作キーを備えた第2面とを有する電子機器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−293940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記電子機器の操作装置においては、予め製造段階において、2又は3程度の利用者層を想定し、これらの利用者層の特性を一般化してその特性に合わせた操作キーなどを有する操作装置をハードウェア的に形成している。しかしながら、利用者の特性は、一般化することが難しく、また、操作装置の種別に関しても得手不得手などが利用者によって、あるいは利用期間によっても異なる場合が良く見られる。
【0004】
本発明は、多様な利用者に合わせることができる電子機器のユーザインターフェイス生成技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、電子機器のユーザインターフェイスを生成するためのユーザインターフェイス生成用データに基づいてユーザインターフェイスを生成するユーザインターフェイス生成部と、ユーザ特性を取得するユーザ特性取得部と、前記ユーザ特性取得部により取得したユーザ特性と関連するユーザインターフェイス生成用データに基づいて前記ユーザインターフェイス生成部にユーザインターフェイスを生成させる制御を行う制御部とを有することを特徴とする電気機器のユーザインターフェイス生成装置が提供される。ユーザインターフェイス生成用データをユーザの特性に基づいて生成し、ユーザインターフェイスを生成するため、ユーザ毎にカスタマイズされたユーザインターフェイスを提供することができる。
【0006】
前記電子機器の操作履歴を取得する操作履歴取得部と、取得した操作履歴を記憶する操作履歴記憶部と、該操作履歴記憶部に記憶された操作履歴に基づいて前記ユーザ特性を判定するユーザ特性判定部と、を有することを特徴とする。これにより、ユーザの操作履歴に基づいてユーザインターフェイスを変更するため、ユーザの状態に応じてカスタマイズされたユーザインターフェイスを提供することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のユーザインターフェイス表示技術によれば、利用者の特性に合わせてカスタマイズされたユーザインターフェイスを提供することができる。GUIを表示させる場合には、不要なGUI操作領域を表示させないことにより、GUI領域を無駄にすることなく使用することができる。また、ユーザの好みや熟練度などに応じて、適宜、GUI表示を変更又は更新することができるため、より利用者の技量や好みに適したGUI表示を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
最近の電子機器では、操作装置がGUIにより構成されているものが多くなってきている。GUIは、ハードウェア的な制限が少ないため、ユーザインターフェイスの生成に関して、ハードウェア的なユーザインターフェイスと比べて設計の自由度が大きい。本発明に係る電子機器のユーザインターフェイスは、利用者(操作者)に合わせたGUIを選択することができる電子機器である。ユーザの特性とは、電子機器の操作に関係する特性であり、例えば、年齢や使用経験年数等を含む。年齢や熟練度に応じてGUI表示を変更することが好ましい場合があり、換言すれば、GUIの変更が好ましいようなユーザの個人差により区別できる特性である。
【0009】
以下、本発明の実施の形態による電子機器のGUI生成装置について、図面を参照しつつ説明を行う。尚、本発明の実施の形態による実施の形態では、GUIを例にして説明するが、機器の操作に関連するハードウェアに関しても同様に適用することができる。図1は、本実施の形態による電子機器のGUI生成装置の一構成例を示す機能ブロック図である。図2は、ユーザ別のGUIを生成する際の一手法であるアンケートに基づくGUI選択処理の流れを示すフローチャート図である。図3は、アンケートに基づくGUI選択のイメージを示す概念図である。図4は、生成されるGUIの種類を簡単化して示した図である。
【0010】
図1に示すように、本実施の形態による電子機器のGUI生成装置は、種々のGUIを形成するためのGUI生成用データを格納するGUI形成用データベース11と、表示モニタ13と、GUI形成用データベース11から取得されGUI形成用データに基づいて電子機器の表示モニタ13にGUI画面を生成するGUI画面生成部12と、を有している。符号15〜17までで示される機能は、電子機器の操作に関するユーザの特性(ユーザ特性)を取得する機能を有するユーザ特性を取得するユーザ特性取得部Tである。ユーザ特性取得部Tの詳細な機能に関しては後述する。尚、図1では省略しているが、GUI画面表示と実際の処理内容とは、例えば1対1で対応付けられており、処理内容に関しては例えばGUI画面からの入力に応じたプログラムに基づいて図示しない制御部(CPU)が、実際の処理を行うように構成されている。
【0011】
図2は、ユーザ特性を取得し、取得したユーザ特性に応じたGUI形成用データを生成するための本実施の形態による一手法であるアンケートを含む処理の流れを示すフローチャート図である。図2に示すように、ステップS1においてアンケート処理が開始される契機として電子機器の電源がオンされると、ステップS2においてGUI設定アンケートを行うか否かを判定する。GUI設定アンケートを行わない場合(No)には、一般的に用いられる汎用GUI表示又は前回と同じ表示が表示モニタに行われる(ステップS9)。或いはデフォルトの表示がされるようにしておき、このデフォルトの表示を手動で変えることができるようにしても良い。
【0012】
GUI設定アンケートを行う場合(Yes)には、ステップS3に進みアンケートの分析を行う。次いで、ステップS4に進み分析結果に基づいてユーザカテゴリが決定される。決定されたユーザカテゴリ別のGUIデータが図1に示すGUI形成用データベース11内に格納されているか否かをステップS5において判定する。格納されていない場合(無)にはステップS6に進みGUIデータを要求し(ステップS6)、CD−ROMなどの記録媒体からステップS4において決定されたGUIデータを取得する(ステップS7)。ステップS5における判定結果が格納されている場合(有)には、GUI形成用データベース11からGUIデータを読み出し、ステップS8において、読み出されたGUIデータに基づいてユーザ別にカスタマイズされたGUI表示を行う。
【0013】
以上の処理により、ユーザ特性を取得し、このユーザ特性に相応しいGUIデータを生成しこれに基づいてカスタマイズされたGUIを表示させることができる。尚、GUIデータを取得するためのCD−ROMなどの記憶媒体は、GUIデータを電子機器に同梱されている状態でユーザに提供されるようにして良い。或いは、インターネットなどを経由してメーカのホームページなどから取得できるようにしても良い。
【0014】
図3は、図2のステップS2におけるGUI設定アンケートの一例を示す図である。図3に示すように、0〜n(nは1以上の整数)までのアンケートにユーザが回答する形式で行われる。アンケートの内容例としては、例えば、性格判断、使用経歴、早送りや早い巻き戻し、タイマー予約などの各種特殊操作に関する使用頻度、コマ送りや2倍速再生などいわゆるトリックプレーの使用の有無又は使用頻度などが挙げられる。これらに関する回答がユーザの熟練度や電子機器の使用状況などに関する判断基準となる。これらの判断基準に基づいてユーザを複数のカテゴリに分類し、カテゴリに適したGUI表示を行う。
【0015】
アンケートの回答結果に基づいて、ユーザカテゴリがA23−1〜N23−n(nは2以上の整数)に分類することができる。分類されたカテゴリ中から自動的に、又はユーザの選択25を加味して、選択されたカテゴリのGUIデータに基づくGUI表示27がなされる。尚、アンケートの数nが大きいほど決め細かいグループ分けを行うことができるが、手続きが複雑になるため、nに関する適度な絞り込みが必要である。
【0016】
図4は、アンケートの結果に基づいて選択されたGUIデータに基づいてGUI表示部に表示されるGUIの表示例を模式的に示す図である。図4(A)に示すGUI表示31は、1から10までの機能に関するGUI表示のうちの1と4と7に関する実線33aで示す表示が行われ、破線33bで示す2、3、5、6、8〜10までのそれぞれは、GUI表示されていない。従って、ユーザは、3つの操作ボタンにより操作を行うことになる。同様に図4(B)では6つの操作ボタンにより、図4(C)では9つの操作ボタンによりそうさを行うGUI表示がなされる。一般的には、操作ボタンが多い方がより熟練された専門的なユーザ用のGUIということができる。熟練度をGUIに表示させても良い。
【0017】
尚、図4においては、簡単のため、操作ボタンの数という定量性のある特性により機能を絞り込むことによりユーザを区別したが、文字の大きさやマニュアル機能の有無、アニメーション表示の有無などの定性的な特性によりユーザを区別することも、定量・定性の両者を適切に組み合わせることも可能である。
【0018】
尚、図4に示す表示は電子機器本体のGUI表示を例にして説明しているが、例えば電子機器本体を操作するためのリモコンにおける操作をGUIで形成する場合にも応用できることは言うまでもない。
【0019】
以上に説明したように、本実施の形態によるGUI生成装置では、GUI表示に関するアンケートに基づいて利用者に適したGUI表示データを取得し、これに基づいて自動的にGUIを提供することができるため、ユーザにとって適切なGUI表示を行わせることができる。従って、不要なGUI表示を省略できるため、電子機器のGUI表示エリアを有効に使用することができる上に、不要な表示をしないことによる省電力化にも有効である。尚、電子機器を異なるユーザが使用する場合を想定して、それぞれにユーザにとって適切なGUIデータをユーザ名と関連付けして記憶させておくことも可能である。
【0020】
次に、本発明の第2の実施の形態によるGUI生成技術について図面を参照しつつ説明を行う。本実施の形態によるGUI生成技術が、第1の実施の形態による技術と異なる点について詳細に説明する。従って、図1から図4までの各図に加えて図5を参照して説明を行う。本実施の形態によるGUI生成技術は、GUI表示に関するユーザの特性によるグループ分けを、アンケートではなくユーザの操作に基づいて行うことを特徴とする。図5は、本実施の形態によるGUI形成用データを生成するための手法である、操作データ取得処理を含む処理の流れを示すフローチャート図である。図5に示すように、ステップS11において処理が開始される契機として電子機器の電源が購入後初めて又はリセット処理を行った後初めてオンされると、ステップS12において、ユーザの例えばリモコンによる操作データを取得する(図1の入力装置14及び操作履歴取得部15)。ステップS13において、取得した操作データを格納し履歴を生成する(図1の操作履歴記憶部16)。ステップS14において、操作データの履歴に基づいて、リモコンの操作ボタンのうちのいずれのボタンをどの程度の頻度で使用するか判定する(図1のユーザ判定部17a)。
【0021】
すなわち、ユーザの熟練度又は嗜好などのレベルを判定する。これらのレベル判定に基づいて予めカテゴリ分けされたグループのうちのいずれに属するかをステップS14において決定する(図1のGUI変更処理部17b)。次いで、ステップS15において、GUI表示データを選択し保存する。このGUIデータは、例えば高速読み出しが可能な比較的小容量のメモリに記憶するのが好ましい。ステップS16において選択され保存されたGUI表示データに基づいて、ユーザに対してカスタマイズされたGUI表示を行い、処理を終了する。本実施の形態によるGUI生成技術によれば、ユーザの操作に基づいて適したGUI表示を行うため、GUI表示のカスタマイズが容易にできるという利点がある。尚、ある時点で、ユーザの技量が向上するケースも考えて、ある期間毎又はユーザの意志に基づいてステップS11の開始の契機とすることも可能である。
【0022】
以上、本発明の各実施の形態によるGUI表示技術によれば、利用者の特性に合わせてカスタマイズされたGUIを提供することができるとともに、不要なGUI操作領域を表示させないことにより、GUI領域を無駄にすることなく使用することができる。また、ユーザの好みや熟練度などに応じて、適宜、GUI表示を変更又は更新することができるため、より利用者の技量や好みに適したGUI表示を行うことができる。
【0023】
尚、本実施の形態によるGUI生成技術においては、電子機器本体又はリモコンのGUI表示に関して説明したが、その他、操作ボタンに対する実際の命令の定義付けを変更したり、オーダーメイドの場合の電子機器の操作部の仕様変更に応用したりすることも可能である。また、例えば、携帯電話機のLCD表示画面に表示されるGUIにも応用可能である。携帯電話機の場合には、インターネット経由でユーザに適したGUIデータを取得することができる。また、携帯電話機を他の電子機器のリモコンとして利用する場合にも、ユーザに適したGUIを取得できるようになり好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
電子機器としては、各種AV機器や情報処理機器(PC)、これらを操作するためのリモコン装置、携帯電話やPDAを含む携帯端末などにも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態による電子機器のGUI生成装置の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】ユーザ別のGUIを生成する際の一手法であるアンケートに基づくGUI選択処理の流れを示すフローチャート図である。
【図3】アンケートに基づくGUI選択のイメージを示す概念図である。
【図4】図2に示す処理に基づいて生成されるGUIの種類を簡単化して示した図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態によるGUI形成用データを生成するための手法である、操作データ取得処理を含む処理の流れを示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0026】
11…GUI形成用データベース、12…GUI画面生成部、13…電子機器の表示モニタ、14…入力装置、15…操作履歴取得部、16…操作履歴記憶部、17a…ユーザ判定部、17b…GUI変更処理部、T…ユーザ特性取得部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器のユーザインターフェイスを生成するためのユーザインターフェイス生成用データに基づいてユーザインターフェイスを生成するユーザインターフェイス生成部と、
ユーザ特性を取得するユーザ特性取得部と、
前記ユーザ特性取得部により取得したユーザ特性と関連するユーザインターフェイス生成用データに基づいて前記ユーザインターフェイス生成部にユーザインターフェイスを生成させる制御を行う制御部と
を有することを特徴とする電気機器のユーザインターフェイス生成装置。
【請求項2】
複数のカテゴリに分類され前記ユーザ特性について関連性の高いグループのうちのいずれかに、前記取得したユーザ特性を割り当てる処理を行うユーザ特性割当て部を有し、前記ユーザインターフェイス生成部は、前記ユーザ特性割当て部により割り当てられた前記取得したユーザ特性に関するカテゴリに基づいて、該カテゴリ毎に異なるユーザインターフェイスを生成することを特徴とする請求項1に記載の電気機器のユーザインターフェイス生成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のユーザインターフェイス生成装置と、
ユーザインターフェイスを表示する表示部と
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項4】
前記電子機器を操作するとともに、請求項1又は2に記載のユーザインターフェイス生成装置に基づいて生成されるユーザインターフェイスを表示する表示部を備えた電子機器の操作装置。
【請求項5】
前記電子機器の操作履歴を取得する操作履歴取得部と、取得した操作履歴を記憶する操作履歴記憶部と、該操作履歴記憶部に記憶された操作履歴に基づいて前記ユーザ特性を判定するユーザ特性判定部と、を有することを特徴とする請求項1から4までに記載の電気機器のユーザインターフェイス生成装置。
【請求項6】
前記ユーザインターフェイス生成用データを、前記電子機器に同梱される記憶媒体に格納されているデータから取得することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記ユーザインターフェイス生成用データを、前記電子機器に関連するホームページからネットワーク経由で取得することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
電子機器のユーザインターフェイスを生成するためのユーザインターフェイス生成用データを取得する方法であって、
ユーザに関するアンケートを行うステップと、
アンケート結果を分析するステップと、
分析結果に基づいて操作に関するユーザカテゴリを決定するステップと、
決定されたユーザカテゴリに関連するユーザインターフェイス生成用データに基づいてカスタマイズされたユーザインターフェイス表示を行うステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項9】
電子機器のユーザインターフェイスを生成するためのユーザインターフェイス生成用データを取得する方法であって、
ユーザの操作に関する操作履歴を取得するステップと、
該操作履歴を分析するステップと、
分析結果に基づいてユーザカテゴリを決定するステップと、
決定されたユーザカテゴリ別のユーザインターフェイス生成用データに基づいてカスタマイズされたユーザインターフェイス表示を行うステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載のユーザインターフェイス生成用データをユーザ特性と関連付けして記録した媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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