説明

電子機器の取り付け構造

【課題】壁面に取り付けて使用される電子機器においてメンテナンスを容易なものとする。
【解決手段】本発明に係る電子機器の取り付け構造は、壁面に固定されるべき台座3と、該台座3に対して連結される本体ユニット4と、本体ユニット4の一方の端部を台座3に枢支する枢支機構5と、本体ユニット4の他方の端部を台座3に締結する締結具6と、枢支機構5により本体ユニット4を回転させて台座3に対して閉じた閉じ位置と台座3に対して開いた開き位置でそれぞれ本体ユニット4を軟係止する軟係止機構とを具え、本体ユニット4は開き位置にて内部の一部若しくは全部が露出し、閉じ位置にて締結具6による締結が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラ装置の如く壁面に取り付けて使用する電子機器の取り付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図7に示す如く、天井壁(1)に取り付けて使用する監視カメラ装置(90)においては、天井壁(1)に台座(91)が固定され、該台座(91)に対して、カメラ(94)を内蔵した本体ユニット(9)が締結される。
具体的には、本体ユニット(9)の鍔部(92)(92)を複数本の締結具(93)(93)によって台座(91)に締結する(特許文献1参照)。
【0003】
この様な監視カメラ装置(90)のメンテナンスにおいては、図8に示す如く締結具(93)(93)による締結を解除して台座(91)から本体ユニット(9)を取り外すことにより、本体ユニット(9)の内部を露出させて、内部作業を可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−35504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図7及び図8に示す監視カメラ装置(90)において、本体ユニット(9)にメンテナンスを施す場合、複数本の締結具(93)(93)による締結を解除する作業では、本体ユニット(9)を一方の手で支えながら、他方の手で締結具(93)(93)をねじ戻すことが必要である。
又、台座(91)に本体ユニット(9)を締結する際も、本体ユニット(9)を一方の手で支えながら、他方の手で締結具(93)(93)をねじ込むことが必要である。
【0006】
上記の如くメンテナンスのための締結具(93)(93)のねじ戻し、ねじ込みは片手での作業となり、然も高所での作業となるため、メンテナンスが極めて困難である問題があった。
【0007】
そこで本発明の目的は、壁面に取り付けて使用される電子機器においてメンテナンスが従来よりも容易となる取り付け構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子機器は、壁面に固定されるべき台座(3)と、該台座(3)に対して連結される本体ユニット(4)と、本体ユニット(4)の一方の端部を台座(3)に枢支する枢支機構(5)と、本体ユニット(4)の他方の端部を台座(3)に締結する締結機構と、枢支機構(5)により本体ユニット(4)を回動させて台座(3)に対して閉じた閉じ位置と台座(3)に対して開いた開き位置でそれぞれ本体ユニット(4)を軟係止する軟係止機構とを具え、本体ユニット(4)は開き位置にて内部の一部若しくは全部が露出し、閉じ位置にて前記締結機構による締結が可能となる。
【0009】
本発明に係る電子機器においては、メンテナンスの実施に際し、締結機構による締結を解除した後、枢支機構(5)の動作によって本体ユニット(4)を閉じ位置から開き位置まで回動させる。この過程で、先ず本体ユニット(4)の閉じ位置での軟係止機構による軟係止が解除され、その後、本体ユニット(4)の開き位置で軟係止機構が動作して、本体ユニット(4)が開き位置に軟係止される。
ここで、本体ユニット(4)は枢支機構を介して台座(3)に連結されているので、締結機構の解除や本体ユニット(4)の開き位置への移行操作は両手で行なうことが出来る。
【0010】
この状態で、本体ユニット(4)の内部が露出することになるので、本体ユニット(4)に対してメンテナンスを施すことが出来る。ここで、本体ユニット(4)は、開き位置で軟係止されて、開き姿勢に保持されているので、メンテナンス作業に支障はない。
【0011】
メンテナンス作業の終了後、枢支機構(5)の動作によって本体ユニット(4)を開き位置から閉じ位置まで回動させる。この過程で、先ず本体ユニット(4)の開き位置での軟係止機構による軟係止が解除され、その後、本体ユニット(4)の閉じ位置で軟係止機構が動作して、本体ユニット(4)が閉じ位置に軟係止される。
この状態で、本体ユニット(4)を締結機構によって台座(3)に締結する。ここで本体ユニット(4)は閉じ位置に軟係止されて、閉じ姿勢に保持されているので、締結作業は両手で行なうことが出来る。
【0012】
具体的態様において、前記枢支機構(5)は、台座(3)に突設された支持アーム(51)と、本体ユニット(4)に突設された揺動アーム(52)とを具え、何れか一方のアームに設けた軸受け面(53)に対して他方のアーム(52)に設けた軸部(57)が回転可能に係合し、軸受け面(53)には2つの係合受け凹部(54)(55)が異なる角度位置に形成される一方、軸部(57)の外周面には前記係合受け凹部(54)(55)に係脱可能な係合凸部(58)が形成され、本体ユニット(4)の閉じ姿勢で係合凸部(58)が一方の係合受け凹部(54)に係合し、本体ユニット(4)の開き姿勢で係合凸部(58)が他方の係合受け凹部(55)に係合し、2つの係合受け凹部(54)(55)及び係合凸部(58)によって前記軟係止機構が構成されている。
【0013】
該具体的態様によれば、係合凸部(58)が一方の係合受け凹部(54)に係合することによって本体ユニット(4)が閉じ位置で軟係止され、係合凸部(58)が他方の係合受け凹部(55)に係合することによって本体ユニット(4)が開き位置に軟係止される。
【0014】
更に具体的な態様において、前記一方のアームには、前記2つの係合受け凹部(54)(55)の間に、前記軸受け面(53)に沿って、切り欠き孔(56)が開設され、切り欠き孔(56)と軸受け面(53)の間に弾性部(59)が形成されている。
【0015】
該具体的態様によれば、係合凸部(58)が一方の係合受け凹部(54)に係合した状態と、係合凸部(58)が他方の係合受け凹部(55)に係合した状態との間で、状態の移行が行なわれる際、弾性部(59)が弾性変形及び弾性復帰することによって、係合凸部(58)の係合受け凹部(54)(55)に対する係脱が容易に行なわれる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る電子機器の取り付け構造によれば、メンテナンスのための作業を全て両手で行なうことが出来るので、従来よりもメンテナンスが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施態様である監視カメラ装置の取り付け状態を示す正面図である。
【図2】図2は、該監視カメラ装置においてメンテナンスを実施する際の開き姿勢を示す正面図である。
【図3】図3は、枢支機構の支持アーム側の構成を示す拡大斜視図である。
【図4】図4は、枢支機構の揺動アーム側の構成を示す拡大斜視図である。
【図5】図5は、本体ユニットの閉じ姿勢における枢支機構の要部を示す拡大正面図である。
【図6】図6は、本体ユニットの開き姿勢における枢支機構の要部を示す拡大正面図である。
【図7】図7は、従来の監視カメラ装置の取り付け状態を示す正面図である。
【図8】図8は、該監視カメラ装置においてメンテナンスを実施する際の分解状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を監視カメラ装置に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
図1及び図2に示す如く、本発明の一実施形態である監視カメラ装置(2)は、天井壁(1)に取り付けて使用するものであって、天井壁(1)に台座(3)が固定され、該台座(3)に対して、カメラ(21)を内蔵した本体ユニット(4)が連結されている。
【0019】
本体ユニット(4)の一方の端部は枢支機構(5)を介して台座(3)に連結され、本体ユニット(4)の他方の端部は締結具(6)によって台座(3)上に締結されている。
具体的には、締結具(6)は、本体ユニット(4)に突設された第1鍔部(41)を貫通して、台座(3)上に突設されたボス(31)にねじ込まれている。
【0020】
監視カメラ装置(2)の使用時には、図1に示す如く、台座(3)に対して本体ユニット(4)が閉じた姿勢で、枢支機構(5)と締結具(6)によって本体ユニット(4)が台座(3)に確実に固定されている。
【0021】
監視カメラ装置(2)のメンテナンス時には、図2に示す如く、締結具(6)による締結を解除した後、枢支機構(5)の動作によって本体ユニット(4)を開き姿勢まで回動させ、これによって本体ユニット(4)の内部を露出させる。
【0022】
枢支機構(5)は、台座(3)に突設された支持アーム(51)と、本体ユニット(4)に突設された揺動アーム(52)とを具え、図3に示す如く支持アーム(51)に設けた軸受け面(53)に対して、図4に示す如く揺動アーム(52)に設けた軸部(57)が、前記本体ユニット(4)の回転軸を中心として回転可能に係合している。
【0023】
図3に示す如く、支持アーム(51)の軸受け面(53)には、約90°だけ角度がずれた位置に、第1係合受け凹部(54)と第2係合受け凹部(55)とが形成されている。
又、支持アーム(51)には、第1係合受け凹部(54)と第2係合受け凹部(55)との間に、軸受け面(53)に沿って、切り欠き孔(56)が開設され、軸受け面(53)と切り欠き孔(56)との間に円弧状の弾性部(59)が形成されている。
【0024】
一方、図4に示す如く、揺動アーム(52)の軸部(57)には、その外周面から半径方向に突出して前記係合受け凹部(54)(55)に係脱可能な係合凸部(58)が形成されている。
【0025】
図1に示す本体ユニット(4)の閉じ姿勢では、図5の如く揺動アーム(52)の係合凸部(58)が支持アーム(51)の第1係合受け凹部(54)に係合し、これによって本体ユニット(4)が閉じ位置に軟係止される。
一方、図2に示す本体ユニット(4)の開き姿勢では、図6の如く揺動アーム(52)の係合凸部(58)が支持アーム(51)の第2係合受け凹部(55)に係合し、これによって本体ユニット(4)が開き位置に軟係止される。
【0026】
図5に示す如く係合凸部(58)が第1係合受け凹部(54)に係合した状態と、図6の如く係合凸部(58)が第2係合受け凹部(55)に係合した状態の間で、状態が移行する過程では、支持アーム(51)の弾性部(59)が揺動アーム(52)の係合凸部(58)により押圧されて、外側へ弾性変形する。これによって、係合凸部(58)の第1係合受け凹部(54)及び第2係合受け凹部(55)に対する係脱が容易なものとなる。
【0027】
更に、図1及び図2に示す如く、台座(3)にはフック片(32)が突設され、該フック片(32)は、本体ユニット(4)に突設された第2鍔部(42)に対して係脱可能であり、図1に示す本体ユニット(4)の閉じ姿勢では、フック片(32)が第2鍔部(42)に係合して、本体ユニット(4)を閉じ位置に係止している。
この状態からフック片(32)を弾性変形させて、第2鍔部(42)に対するフック片(32)の係止を解除することが出来る。
【0028】
上記監視カメラ装置(2)の取り付け構造によれば、監視カメラ装置(2)のメンテナンスの実施に際し、締結具(6)による締結を解除した後、枢支機構(5)の動作によって本体ユニット(4)を閉じ位置から開き位置まで回動させる。この過程で、先ず図5に示す軟係止状態が解除され、その後、本体ユニット(4)の開き位置で図6に示す軟係止状態に移行して、本体ユニット(4)が軟係止される。
【0029】
ここで、本体ユニット(4)は枢支機構(5)を介して台座(3)に連結されているので、締結具(6)による締結の解除や本体ユニット(4)の開き位置への回動操作は両手で行なうことが出来る。
【0030】
この状態で、本体ユニット(4)の内部が露出することになるので、本体ユニット(4)に対してメンテナンスを施すことが出来る。尚、本体ユニット(4)の内部は、少なくともメンテナンスの対象となる一部が露出すればよい。
ここで、本体ユニット(4)は、開き位置で軟係止されて、開き姿勢に保持されているので、メンテナンス作業に支障はない。台座(3)から本体ユニット(4)へLANケーブル等の各種ケーブルが延びている場合は、これらのケーブルの連結を容易に切り離すことが出来る。
【0031】
メンテナンス作業の終了後、枢支機構(5)の動作によって本体ユニット(4)を開き位置から閉じ位置まで回動させる。この過程で、先ず図6に示す軟係止状態が解除され、その後、本体ユニット(4)の閉じ位置で図5に示す軟係止状態に移行して、本体ユニット(4)が軟係止される。
この状態で、本体ユニット(4)を締結具(6)によって台座(3)に締結する。ここで本体ユニット(4)は閉じ位置に軟係止されて、閉じ姿勢に保持されているので、締結作業は両手で行なうことが出来る。
【0032】
上述の如く、本発明に係る監視カメラ装置(2)の取り付け構造によれば、メンテナンスのための作業を全て両手で行なうことが出来るので、従来よりもメンテナンスが容易となる。
【0033】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、図1に示すフック片(32)による第2鍔部(42)の係止は省略することが可能である。
又、枢支機構(5)に内蔵された軟係止機構において、図5に示す第1係合受け凹部(54)による係合凸部(58)の軟係止は省略し、図1及び図2に示すフック片(32)による係止のみとすることも可能である。
更に又、本発明は、監視カメラ装置(2)に限らず、壁面に取り付けて使用する種々の電子機器の取り付け構造に実施することが出来る。
【符号の説明】
【0034】
(1) 天井壁
(2) 監視カメラ装置
(21) カメラ
(3) 台座
(31) ボス
(32) フック片
(4) 本体ユニット
(41) 第1鍔部
(42) 第2鍔部
(5) 枢支機構
(51) 支持アーム
(52) 揺動アーム
(53) 軸受け面
(54) 第1係合受け凹部
(55) 第2係合受け凹部
(56) 切り欠き孔
(57) 軸部
(58) 係合凸部
(59) 弾性部
(6) 締結具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に取り付けて使用される電子機器において、壁面に固定されるべき台座と、該台座に対して連結される本体ユニットと、本体ユニットの一方の端部を台座に枢支する枢支機構と、本体ユニットの他方の端部を台座に締結する締結機構と、枢支機構により本体ユニットを回転させて台座に対して閉じた閉じ位置と台座に対して開いた開き位置でそれぞれ本体ユニットを軟係止する軟係止機構とを具え、本体ユニットは開き位置にて内部の一部若しくは全部が露出し、閉じ位置にて前記締結機構による締結が可能となることを特徴とする電子機器の取り付け構造。
【請求項2】
前記枢支機構は、台座に突設された支持アームと、本体ユニットに突設された揺動アームとを具え、何れか一方のアームに設けた軸受け面に対して他方のアームに設けた軸部が回転可能に係合し、軸受け面には2つの係合受け凹部が異なる角度位置に形成される一方、軸部の外周面には前記係合受け凹部に係脱可能な係合凸部が形成され、本体ユニットの閉じ姿勢で係合凸部が一方の係合受け凹部に係合し、本体ユニットの開き姿勢で係合凸部が他方の係合受け凹部に係合し、2つの係合受け凹部及び係合凸部によって前記軟係止機構が構成されている請求項1に記載の電子機器の取り付け構造。
【請求項3】
前記一方のアームには、前記2つの係合受け凹部の間に、前記軸受け面に沿って、切り欠き孔が開設され、切り欠き孔と軸受け面との間に弾性部が形成されている請求項2に記載の電子機器の取り付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−189658(P2012−189658A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51076(P2011−51076)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】