説明

電子機器の筐体および電源分離型増幅器

【課題】風雨による水の侵入を十分に防止可能な電子機器の筐体を提供する。
【解決手段】電子機器の筐体110は、ユニット収容部と、コード収容部160とを備える。コード収容部160は、収容空間と、当該収容空間を囲繞する周囲壁部と、周囲壁部から立設された第1ないし第3保持壁部および第1立壁部とを含む。第1ないし第3保持壁部は、電源コードが挿通配置されることでこれを蛇行状に湾曲させて保持するための開口部がコード収容部160の延在方向に沿って当該延在方向と交差する方向に互い違いの位置に設けられてなる部位であり、外部から第1保持壁部、第2保持壁部、第3保持壁部の順で配設される。第1立壁部は、電源コードを蛇行状に湾曲させることのない部位である。第1立壁部は、第2保持壁部と第3保持壁部との間であって、かつ第2保持壁部に設けられた開口部が位置する側に配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部接続のために接続コードが挿通配置される開口部を備えてなる電子機器の筐体に関し、より特定的には、当該開口部に接続コードが挿通配置された状態と挿通配置されていない状態とのいずれかを選択して使用することが可能に構成された電子機器の筐体に関する。また、本発明は、上記筐体と、当該筐体に収容された増幅回路ユニットと、当該筐体に着脱自在に収容される電源回路ユニットとを備え、電源回路ユニットに付設された電源コードが上記筐体の上記開口部に挿通配置可能に構成された電源分離型増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビジョン信号に代表される高周波伝送信号のレベルが低い場合に、入力された伝送信号を増幅して出力する増幅器を伝送経路上に設置することが行なわれている。この種の増幅器は、伝送信号を増幅する増幅回路ユニットと、当該増幅回路ユニットに直流電力を供給する給電部としての電源回路ユニットとを備えており、電源回路ユニットには、商用交流電源等の外部電源に接続するための電源コードが付設されている。電源回路ユニットは、付設された電源コードが外部電源に接続されることにより、当該外部電源から入力された交流電力を直流電力に変換してこれを被給電部としての増幅回路ユニットに供給する。
【0003】
通常、増幅器は、戸建住宅あるいは集合住宅等に代表される建物の外壁に設置される場合が多く、そのため上記増幅回路ユニットおよび電源回路ユニットは、風雨に曝されることを防いだり、塵埃や虫等の侵入を防いだりする目的から、比較的密閉性の高い筐体の内部に収容配置される。
【0004】
ここで、増幅器の設置位置の近傍に商用交流電源等のコンセントがない場合に備え、筐体から電源回路ユニットを取り外して使用することができるように考案された電源分離型増幅器と呼ばれるものがある。当該電源分離型増幅器は、筐体から電源回路ユニットのみを取り外して当該電源回路ユニットに付設された電源コードを住宅内等に設けられたコンセントに接続できるように構成されるとともに、コンセントに接続された上記電源回路ユニットをテレビジョン受像機と増幅器とを接続する同軸ケーブルに介在させて接続できるように構成されており、これにより、設置位置の近傍にコンセントがない場合にも、当該同軸ケーブルを介して電源回路ユニットから増幅回路ユニットに給電が行なえるように構成されている。
【0005】
上述した電源分離型増幅器にあっては、電源回路ユニットが筐体内に収容された状態において、電源コードが外部に引き出し可能となるように、筐体に電源コードを挿通配置するための開口部が設けられている。当該開口部に電源コードが挿通配置された状態においては、電源コードによって開口部が閉塞された状態にあるため、筐体内部の空間は実質的に密閉された状態にあり、風雨による水の侵入の防止が可能となる。
【0006】
しかしながら、電源回路ユニットが筐体外に取り出された状態においては、電源コードが開口部に挿通配置されないことになり、当該開口部を介して筐体内部の空間と筐体外部の空間とが連通した状態となってしまう。そのため、風雨による水の侵入の防止を図る観点から、電源分離型増幅器にあっては、筐体の開口部が設けられた部分において何らかの止水対策を採ることが必要になる。
【0007】
このような止水対策としては、主として2通りの方法が考えられる。その一つは、筐体に設けられた開口部を開閉可能または着脱可能なカバー部材によって閉塞可能に構成することにより、電源コードが開口部に挿通配置されていない場合にも、当該カバー部材によって開口部を閉塞することで筐体内部の空間の密閉性を確保する方法である。また、もう一つは、電源コードが挿通配置される開口部近傍の筐体の形状を迷路化すること等によってトラップを形成し、当該トラップによって雨水を捕捉することでその侵入を実質的に防止する方法である。
【0008】
前者の方法を採用した場合には、確実に水の侵入を防止できる点において優れているものの、カバー部材による開口部の閉塞作業が施工者の手に委ねられることになるため、閉塞作業のし忘れ等が発生した場合に、止水対策が結果として何も施されていない状況に陥ってしまう問題がある。これに対し、後者の方法を採用した場合には、特段の閉塞作業を要しないため、上述した如くの問題は生じない。
【0009】
上記後者の方法が具体的に採用された電源分離型増幅器として、たとえば特開2006−115332号公報(特許文献1)に開示のものがある。図11(A)は、当該特許文献1に開示された従来例に係る電源分離型増幅器の電源コードの引き出し部近傍の構造を示す模式図である。以下においては、この図11(A)を参照して、従来例に係る電源分離型増幅器の止水対策の詳細について説明する。
【0010】
図11(A)に示すように、従来例に係る電源分離型増幅器にあっては、筐体内部の所定位置に電源コード1151の一部が収容される収容空間を含むコード収容部1160が設けられており、当該コード収容部1160の内部において電源コード1151の当該一部が保持可能に構成されている。
【0011】
より詳細には、コード収容部1160は、筐体の前板部(不図示)と、背板部1123と、底板部1124と、側板部1125と、背板部1123および底板部1124から立設された隔壁部1126とによって主として規定され、第1保持壁部1127aと、第2保持壁部1127bと、第3保持壁部1127cとを有している。第1保持壁部1127aは、筐体の底板部1124の一部によって構成されており、残る第2保持壁部1127bおよび第3保持壁部1127cは、背板部1123と、側板部1125および/または隔壁部1126とからそれぞれコード収容部1160の内部に向けて立設されることで構成されている。これにより、上述したコード収容部1160は、第2保持壁部1127bと第3保持壁部1127cとによって、その延在方向に沿って第1室1161と、第2室1162と、第3室1163とに区画されている。
【0012】
また、これら第1保持壁部1127a、第2保持壁部1127bおよび第3保持壁部1127cは、それぞれ電源コード1151を保持するための切り欠き状の第1受部1127a1、第2受部1127b1および第3受部1127c1を有している。これら第1受部1127a1、第2受部1127b1および第3受部1127c1は、コード収容部1160の延在方向に沿って左右に互い違いの位置に設けられており、これにより電源コード1151がコード収容部1160内において平面視蛇行状に配置された状態で筐体によって保持されることになる。なお、これら第1受部1127a1、第2受部1127b1および第3受部1127c1が、電源コード1151を筐体外部に引き出すための開口部に相当することになる。
【0013】
このように、コード収容部1160の内部の形状を迷路化することにより、第1保持壁部1127a、第2保持壁部1127bおよび第3保持壁部1127cがそれぞれトラップとして機能することになり、風雨による水の侵入の防止が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2006−115332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記特許文献1に開示の構造を採用した場合にも、依然として風雨による水の侵入を完全には防止することができない問題がある。図11(B)は、上述した従来例に係る電源分離型増幅器において、風雨による水の侵入が完全には防止することができない理由を説明するための図であり、電源コードがコード収容部に配置されていない状態を示す模式図である。以下においては、この図11(B)を参照して、従来例に係る電源分離型増幅器において風雨による水の侵入が完全には防止することができない理由について説明する。
【0016】
図11(B)に示すように、第1受部1127a1に対して図中に示す矢印B1方向から侵入した水は、第1室1161を通過して第2保持壁部1127bに吹き付けられる。その際、第2保持壁部1127bに吹き付けられた水が当該第2保持壁部1127bに衝突して破砕することで水の飛沫が発生するが、当該飛沫は、主として第2受部1127b1が位置しない側に向けて図中矢印B2方向に飛散する。したがって、図中矢印B1方向から浸入した水は、主として第1室1161にて捕捉されることになり、第2室1162には殆ど至らないことになる。
【0017】
一方、第1受部1127a1に対して図中に示す矢印A1方向から侵入した水は、第1室1161を通過するとともに第2保持壁部1127bに設けられた第2受部1127b1を通過し、第2室1162において側板部1125に吹き付けられて向きを変え、図中矢印A2方向から第3保持壁部1127cに吹き付けられる。その際、第3保持壁部1127cに吹き付けられた水が当該第3保持壁部1127cに衝突して破砕することで水の飛沫が発生するが、当該飛沫は、勢いを保ったまま主として第3受部1127c1が位置する側に向けて図中矢印A3方向に飛散する。そのため、飛沫の一部は、第3受部1127c1を通過して第3室1163の入口部分である領域A4にまで達する。したがって、図中矢印A1方向から侵入した水は、主として第2室1162にて捕捉されるものの、その一部は第3室163に至ってしまうことになる。
【0018】
なお、図中に示す矢印A1方向およびB1方向以外の方向から侵入した水については、これとは異なる経路を辿ることになるが、それら方向から侵入した水は、概ね第1室1161および第2室1162によって捕捉されるため、その説明は省略する。
【0019】
このように、従来例に係る電源分離型増幅器は、筐体の内部空間である上記第3室1163にまで水が一部侵入してしまうおそれがあるものであり、さらなる改良が必要なものとなっていた。
【0020】
ここで、上記第3室1163の奥側の部分にさらに第4の保持壁部を設けることとすれば、確実に筐体の内部空間にまで水が侵入しないように構成することが可能である。しかしながら、そのように構成した場合には、コード収容部1160の延在方向の長さが長大化することになり、筐体が大幅に大型化してしまうことが避けられないという別の問題を招来してしまう。また、この筐体の大型化の問題を解消するためには、各保持壁部の配置間隔を狭めることも考えられるが、そのように構成した場合には、保持壁部によって平面視蛇行状に保持される電源コード1151に極端に大きな曲げ応力が作用してしまうことになり、断線等の不具合が生じ易くなってしまう問題が発生する。
【0021】
このように、電源分離型増幅器において止水効果を十分に得ることは、機器の小型化や信頼性の確保をも念頭に置いた場合に容易ならざるものと言える。なお、上述した電源分離型増幅器以外にも各種の電子機器において、上述したような問題と同様の問題が生じており、その改善が求められている状況にある。
【0022】
したがって、本発明は、上述した問題点を解決すべくなされたものであり、風雨による水の侵入を十分に防止可能な電子機器の筐体および当該筐体を備えた電源分離型増幅器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明に基づく電子機器の筐体は、電子部品を含む機器ユニットが収容可能なユニット収容部と、外部および上記ユニット収容部のいずれにも連通し、上記機器ユニットに付設された接続コードの一部が収容されることで上記接続コードを外部に引き出し可能とするコード収容部とを備えたものである。上記コード収容部は、収容空間と、周囲壁部と、第1ないし第3保持壁部と、第1立壁部とを含んでいる。上記収容空間は、上記接続コードの上記一部が配置可能な部位である。上記周囲壁部は、上記コード収容部の延在方向と並行する方向に沿って延びる壁面を有することで上記収容空間を囲繞する部位である。上記第1ないし第3保持壁部は、上記周囲壁部から上記収容空間に向けて立設されることで上記コード収容部の延在方向と交差する方向に沿って延びる壁面をそれぞれが有しており、上記接続コードの上記一部が挿通配置されることで上記接続コードの上記一部を蛇行状に湾曲させて保持するための開口部がそれぞれ設けられてなる部位である。上記第1立壁部は、上記周囲壁部から上記収容空間に向けて立設されることで上記コード収容部の延在方向と交差する方向に沿って延びる壁面を有しており、上記接続コードの上記一部を蛇行状に湾曲させることのない部位である。上記第1ないし第3保持壁部は、上記コード収容部の延在方向に沿ってそれぞれ間隔をあけて設けられており、外部から上記ユニット収容部に向けて上記第1保持壁部、上記第2保持壁部、上記第3保持壁部の順に配設されている。上記第1ないし第3保持壁部に設けられた上記開口部は、上記コード収容部の延在方向に沿って当該延在方向と交差する方向に互い違いの位置に設けられている。上記第1立壁部は、上記第2保持壁部と上記第3保持壁部との間であって、かつ上記第2保持壁部に設けられた上記開口部が位置する側に配設されている。
【0024】
上記本発明に基づく電子機器の筐体にあっては、上記開口部のそれぞれが、上記第1ないし第3保持壁部に形成された切り欠き状の受部にて構成されていることが好ましい。
【0025】
上記本発明に基づく電子機器の筐体にあっては、上記筐体が、本体部およびこの本体部に対して開閉可能とされた蓋部とによって構成されていることが好ましい。その場合には、上記第1ないし第3保持壁部および上記第1立壁部のそれぞれが、いずれも上記本体部に設けられた突片体と上記蓋部に設けられた突片体とが閉状態において組み合わされることで構成されていることが好ましい。
【0026】
上記本発明に基づく電子機器の筐体にあっては、上記本体部に設けられた上記突片体と上記蓋部に設けられた上記突片体とが、上記コード収容部の延在方向に沿ってずれた位置に互いに隣接するように配設されていることが好ましく、さらにその場合、閉状態において上記コード収容部の延在方向に沿って見た場合に、これら突片体同士の少なくとも一部が重なっていることが好ましい。
【0027】
上記本発明に基づく電子機器の筐体にあっては、上記コード収容部が、第2立壁部をさらに含んでいることが好ましく、上記第2立壁部が、上記第2保持壁部と上記第3保持壁部との間であって、かつ上記第2保持壁部に設けられた上記開口部が位置する側とは反対側に配設されていることが好ましい。ここで、上記第2立壁部は、上記周囲壁部から上記収容空間に向けて立設されることで上記コード収容部の延在方向と交差する方向に沿って延びる壁面を有しており、上記接続コードの上記一部を蛇行状に湾曲させることのない部位である。
【0028】
本発明に基づく電源分離型増幅器は、上述した本発明に基づく電子機器の筐体と、高周波信号を増幅する増幅回路ユニットと、入力された交流電力を直流電力に変換して上記増幅回路ユニットに供給する上記機器ユニットとしての電源回路ユニットとを備えたものである。ここで、上記接続コードは、上記電源回路ユニットに対して外部から交流電力を供給するための電源コードである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、風雨による水の侵入を十分に防止可能な電子機器の筐体および当該筐体を備えた電源分離型増幅器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態における電源分離型増幅器の閉状態における斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における電源分離型増幅器の開状態における斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態における電源分離型増幅器の電源回路ユニットを取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態における電源分離型増幅器のコード収容部の構造を示す本体部の要部拡大斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態における電源分離型増幅器のコード収容部の構造を示す本体部の要部拡大正面図である。
【図6】本発明の実施の形態における電源分離型増幅器のコード収容部の構造を示す蓋部内側の要部拡大斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態における電源分離型増幅器のコード収容部の構造を示す蓋部内側の要部拡大正面図である。
【図8】本発明の実施の形態における電源分離型増幅器のコード収容部の構造を示す閉状態における要部拡大正面図である。
【図9】本発明の実施の形態における電源分離型増幅器のコード収容部による電源コードの保持状態を示す要部拡大正面図である。
【図10】本発明の実施の形態における電源分離型増幅器のコード収容部における止水効果を説明するための模式正面図である。
【図11】従来例に係る電源分離型増幅器のコード収容部の構造を示す要部拡大正面図および当該構造による止水効果を説明するための模式正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態においては、電子機器として電源分離型増幅器を例示し、電子機器の筐体として当該電源分離型増幅器に具備された筐体を例示して説明を行なう。ここで、電源分離型増幅器とは、電源回路ユニットを筐体の内部に収容した状態および筐体の外部に取り出した状態の双方で使用が可能な、電源回路ユニットが増幅器とは分離された構成の増幅器のことである。なお、電子機器の筐体としては、当該電源分離型増幅器の筐体に限られるものではなく、たとえば家庭用のブースターや分配器、混合器、光ケーブルを用いたシステムに使用される光・電気変換装置等の筐体など、各種の電子機器の筐体が含まれることは言うまでもない。
【0032】
図1および図2は、本発明の実施の形態における電源分離型増幅器の閉状態および開状態における斜視図であり、図3は、電源回路ユニットを取り外した状態を示す斜視図である。また、図4および図5は、本実施の形態における電源分離型増幅器のコード収容部の構造を示す本体部の要部拡大斜視図および要部拡大正面図であり、図6および図7は、コード収容部の構造を示す蓋部内側の要部拡大斜視図および要部拡大正面図である。まず、これら図1ないし図7を参照して、本実施の形態における電源分離型増幅器の概略的な構成について説明する。なお、図3においては、蓋部の図示を省略している。
【0033】
図1および図2に示すように、本実施の形態における電源分離型増幅器100は、本体部120および蓋部130を含む筐体110と、電子部品を含む機器ユニットとしての増幅回路ユニット140および電源回路ユニット150とを主として備えている。筐体110は、図1に示す閉状態において偏平な略直方体形状の外形を有している。本体部120は、内部空間122を規定する箱状の形状を有しており、蓋部130は、図1に示す閉状態において当該箱状の形状を有する本体部120の開口面を閉塞する。
【0034】
ここで、電源分離型増幅器100は、建物の外壁に設置して使用される場合が多く、設置後において、筐体110の後述する接続端子141〜144が設けられた面は、鉛直下方を向いた状態となる。そのため、ここでは、当該設置後の状態に合わせて、筐体110の上記接続端子141〜144が設けられた面を底面(下面)と定義し、本体部120の開口面が位置する側の筐体110の面を正面(前面)と定義し、これに準じて天面(上面)、右側面、左側面および背面(後面)をそれぞれ定義する。
【0035】
図1ないし図7を参照して、本体部120は、正面視略矩形状の背板部123と、この背板部123の外縁から立設した天板部、底板部124、右側板部125および左側板部とを有している。一方、蓋部130は、正面視略矩形状の前板部133と、この前板部133の外縁から立設した天板部、底板部134、右側板部135および左側板部を有している。
【0036】
図1および図2を参照して、蓋部130の互いに対向する右側板部135および左側板部のそれぞれには、その上端寄りの位置に孔部131が設けられている。本体部120の右側板部125および左側板部のそれぞれには、当該蓋部130の孔部131に対応する位置に軸部121が設けられている。本体部120に設けられた一対の軸部121は、それぞれ蓋部130に設けられた孔部131に挿入されており、これにより蓋部130は、本体部120に対して回動可能に取付けられている。したがって、図1および図2に示すように、蓋部130が本体部120に対して相対的に回転移動されることにより、筐体110の開閉が行なわれる。
【0037】
なお、本体部120の底板部124には、係止機構の一部を構成する被係止部129が設けられており、蓋部130の前板部133の底板部134には、上記被係止部129に対応して、係止機構の一部を構成する係止部139が設けられている。これら係止機構としての被係止部129および係止部139は、閉状態において蓋部130を本体部120に係止させるための部位である。
【0038】
上述した本体部120および蓋部130としては、耐候性および機械的強度の観点から、たとえばAES(Acrylonitrile-Ethylene-Styrene)樹脂等からなる部材にて構成されていることが好ましく、より好ましくは、当該AES樹脂等を用いた射出成形によって一体的に形成されていることが好ましい。
【0039】
図2ないし図5に示すように、本体部120には、背板部123から左右方向および上下方向に沿って延びるように隔壁部126が立設されている。このうち、左右方向に沿って延びる部分の隔壁部126によって内部空間122が上下2つの空間に区画されており、残る上下方向に沿って延びる部分の隔壁部126によって下側の空間が左右2つの空間にさらに区画されている。これら3つの空間のうち、上側に位置する空間に電源回路ユニット150が収容され、下側でかつ左側に位置する空間に増幅回路ユニット140が収容され、下側でかつ右側に位置する空間に後述する電源コード151が収容される。
【0040】
すなわち、本実施の形態における電源分離型増幅器100にあっては、筐体110の上側の位置に電源回路ユニット150が収容される電源回路ユニット収容部122Aが設けられ、筐体110の下側でかつ左側の位置に増幅回路ユニット140が収容される増幅回路ユニット収容部122Bが設けられ、筐体110の下側でかつ右側の位置に電源コード151の一部が収容されるコード収容部160が設けられている。
【0041】
ここで、増幅回路ユニット140は、容易には取り外しできないように本体部120に固定的に組付けられ、電源回路ユニット150は、容易に取付けおよび取り外しができるように本体部120に着脱自在に組付けられる。その詳細な構造の説明は省略するが、電源回路ユニット150の上面および下面には、係合突起を含む弾性変形が可能な係合片が設けられており、本体部120の上記天板部および隔壁部126には、上記係合片に設けられた係合突起に係合が可能な係合孔が設けられており、これら係合突起と係合孔が係合または非係合となることにより、電源回路ユニット150の着脱が行なわれる。
【0042】
増幅回路ユニット140は、主として4つの同軸接栓座からなる接続端子141〜144をその下面に備えた偏平な略直方体形状の外形を有している。増幅回路ユニット140は、被給電部に相当するものであり、テレビジョン信号に代表される高周波伝送信号の入力を受け、これを増幅して出力するための機器ユニットである。
【0043】
上述した増幅回路ユニット140に設けられた4つの接続端子141〜144は、具体的には、CATV用下り信号に対しての入力端子または上り信号に対しての出力端子となる接続端子141と、BS−IF/CS−IF信号に対しての入力端子となる接続端子142と、CATV用上り信号に対しての入力端子または下り信号に対しての出力端子、あるいは下り信号とBS−IF/CS−IF信号との混合信号に対しての出力端子となる接続端子143と、CATV用下り信号およびBS−IF/CS−IF信号の出力レベルをレベルチェッカ等の測定器を用いて測定するためのモニター端子としての接続端子144とを含んでいる。また、接続端子143は、電源回路ユニット150が筐体110から取り外されて使用される場合には、直流電力受電端子をも兼ねることになり、接続端子144は、上り伝送信号の出力レベルをレベルチェッカ等の測定器を用いて測定するためのモニター端子として機能する場合もある。
【0044】
一方、電源回路ユニット150は、主として2つの同軸接栓座からなる接続端子を備えた偏平な略直方体形状の外形を有している。電源回路ユニット150は、給電部に相当するものであり、商用交流電源等の外部電源から入力された交流電力を直流電力に変換してこれを増幅回路ユニット140に供給するための機器ユニットである。また、電源回路ユニット150には、商用交流電源のコンセントに差し込みが可能なプラグを先端に備えた接続コードとしての電源コード151が付設されている。
【0045】
上述した電源回路ユニット150に設けられた2つの接続端子は、具体的には、テレビジョン受像機と上述した接続端子143とを接続する同軸ケーブルを中継するかたちで接続される接続端子であり、このうちの接続端子143と同軸ケーブルを介して接続される方の端子は、電源回路ユニット150が筐体110から取り外されて使用される場合には、直流電力給電端子をも兼ねることになる。
【0046】
なお、本体部120の背板部123の所定位置には、電源回路ユニット150が筐体110に取付けられて使用される場合に、電源回路ユニット150から増幅回路ユニット140に向けて直流電力を供給するための給電クリップおよび給電配線を含む給電ラインが設けられている。
【0047】
図1ないし図3に示すように、本体部120の底板部124には、左右方向に沿って4つの開口部が並べて設けられている。これら4つの開口部には、上述した増幅回路ユニット140に設けられた4つの接続端子141〜144が挿通配置されており、これにより上記4つの接続端子141〜144が筐体110の外部に突出して位置することになる。
【0048】
また、図1および図2に示すように、電源コード151は、電源回路ユニット150が筐体110に取付けられて使用される場合に、その一部が上述したコード収容部160に挿通配置されることで当該コード収容部160を介して筐体110の外部に引き出されることになる。
【0049】
以上において説明した電源分離型増幅器100は、設置位置の近傍に商用交流電源等のコンセントがない場合には、筐体110から電源回路ユニット150のみを取り外してこれが住宅内等に設けられたコンセントに接続されるとともに、テレビジョン受像機と接続端子143とを接続する同軸ケーブルにコンセントに接続された上記電源回路ユニット150が介在するように接続されることで使用される。これにより、当該同軸ケーブルを介して増幅回路ユニット140と電源回路ユニット150とが電気的に接続されることになり、電源分離型増幅器100が動作可能な状態となる。
【0050】
一方、設置位置の近傍に商用交流電源等のコンセントがある場合には、電源回路ユニット150が筐体110の収容空間に収容されることにより、上述した給電ラインを介して増幅回路ユニット140と電源回路ユニット150とが電気的に接続されることになる。これにより、電源回路ユニット150に付設された電源コード151をコンセントに接続することにより、電源分離型増幅器100が動作可能な状態となる。
【0051】
図8は、本実施の形態における電源分離型増幅器のコード収容部の構造を示す閉状態における要部拡大正面図であり、図9は、コード収容部による電源コードの保持状態を示す要部拡大正面図である。次に、これら図8および図9と、上述した図4ないし図7とを参照して、上述したコード収容部の構造および当該コード収容部による電源コードの保持状態について詳細に説明する。
【0052】
図4ないし図9に示すように、コード収容部160は、本体部120の一部と蓋部130の一部とによって構成されるものであり、閉状態において本体部120および蓋部130が組み合わされることにより、電源コード151の一部が収容可能な収容空間が内部に構成されてなるものである。ここで、コード収容部160は、筐体110の上下方向に沿って延在して位置しており、当該延在方向に沿って筐体110の外部と電源回路ユニット収容部122Aとにそれぞれその上端および下端において連通している。
【0053】
図8に示すように、コード収容部160は、上記延在方向と並行する方向に沿って延びる壁面を有する周囲壁部と、当該周囲壁部から上記収容空間に向けて立設されることで上記延在方向と交差する方向に沿って延びる壁面を有する第1ないし第3保持壁部W1,W2,W3とを有している。
【0054】
図4ないし図8に示すように、周囲壁部は、本体部120の背板部123の一部、底板部124の一部、右側板部125の一部および隔壁部126の一部と、蓋部130の前板部133の一部、底板部134の一部、右側板部135の一部および隔壁部136とによって構成されており、上記収容空間は、これら複数の壁部によって構成される周囲壁部によって囲繞されている。
【0055】
第1ないし第3保持壁部第3保持壁部W1,W2,W3は、本体部120に設けられた本体部側第1突片体127a、本体部側第2突片体127bおよび本体部側第3突片体127cと、蓋部130に設けられた蓋部側第1突片体137a、蓋部側第2突片体137bおよび蓋部側第3突片体137cとによって構成されている。なお、本体部120に設けられた本体部側第1突片体127aは、本体部120の底板部124の一部によって構成され、蓋部130に設けられた蓋部側第1突片体137aは、蓋部130の底板部134の一部によって構成されている。
【0056】
第1ないし第3保持壁部第3保持壁部W1,W2,W3は、上記延在方向に沿ってそれぞれ間隔をあけて設けられており、筐体110の外部から電源回路ユニット収容部122Aに向けて第1保持壁部W1、第2保持壁部W2、第3保持壁部W3の順に配設されている。
【0057】
図4に示すように、第1ないし第3保持壁部W1,W2,W3を構成する本体部側第1突片体127a、本体部側第2突片体127bおよび本体部側第3突片体127cは、いずれも本体部120の背板部123、右側板部125および隔壁部126から収容空間側に向けて立設されている。一方、図6に示すように、第1ないし第3保持壁部W1,W2,W3を構成する蓋部側第1突片体137a、蓋部側第2突片体137bおよび蓋部側第3突片体137cは、いずれも蓋部130の前板部133、右側板部135および隔壁部136から収容空間側に向けて立設されている。
【0058】
ここで、図8に示すように、本体部120に設けられた本体部側第1突片体127a、本体部側第2突片体127bおよび本体部側第3突片体127cのそれぞれと、蓋部130に設けられた蓋部側第1突片体137a、蓋部側第2突片体137bおよび蓋部側第3突片体137cのそれぞれとは、上記延在方向に沿ってずれた位置に互いに隣接するように配設されている。これにより、閉状態において第1ないし第3保持壁部W1,W2,W3を上記延在方向に沿って見た場合に、これら突片体127a,137a同士、突片体127b,137b同士、突片体127c,137c同士の少なくとも一部が、それぞれ重なるように構成されている。
【0059】
これにより、図8に示すように、コード収容部160の収容空間は、上記延在方向に沿って、第1保持壁部W1と第2保持壁部W2との間に位置する第1室161と、第2保持壁部W2と第3保持壁部W3との間に位置する第2室162と、第3保持壁部W3と電源回路ユニット収容部122Aとの間に位置する第3室163とに区画されている。
【0060】
また、図4ないし図9に示すように、第1ないし第3保持壁部W1,W2,W3を構成する本体側第1突片体127a、本体部側第2突片体127bおよび本体部側第3突片体127cには、それぞれ切り欠き状の第1ないし第3受部127a1,127b1,127c1が設けられている。これら切り欠き状の第1ないし第3受部127a1,127b1,127c1は、コード収容部160に電源コード151が収容された状態において当該電源コード151が挿通配置されることでこれを蛇行状に湾曲させて保持するための開口部に相当する。当該第1ないし第3受部127a1,127b1,127c1は、上記延在方向に沿って当該延在方向と交差する方向である左右方向に互い違いの位置に設けられており、図9に示すように、電源コード151は、平面視蛇行状に湾曲させられた状態でコード収容部160に収容配置される。
【0061】
図8に示すように、コード収容部160は、上記周囲壁部から上記収容空間に向けて立設されることで上記延在方向と交差する方向に沿って延びる壁面を有する第1および2立壁部X1,X2を有している。ここで、第1および第2立壁部X1,X2は、いずれも第2保持壁部W2と第3保持壁部W3との間に位置する第2室162に設けられている。
【0062】
図4ないし8に示すように、第1立壁部X1は、本体部120に設けられた本体部側第4突片体128aと、蓋部130に設けられた蓋部側第4突片体138aとによって構成されている。第2立壁部X2は、本体部120に設けられた本体部側第5突片体128bと、蓋部130に設けられた蓋部側第5突片体138bとによって構成されている。
【0063】
なお、図4に示すように、第1立壁部X1を構成する本体部側第4突片体128aは、本体部120の背板部123および隔壁部126から収容空間側に向けて立設されており、これにより第2保持壁部W2に設けられた第2受部127b1が位置する側(すなわちコード収容部160の左側)に配設されている。一方、第2立壁部X2を構成する本体部側第5突片体128bは、本体部120の背板部123および右側板部125から収容空間側に向けて立設されており、これにより第2保持壁部W2に設けられた第2受部127b1が位置しない側(すなわちコード収容部160の右側)に配設されている。なお、図6に示すように、第1および第2立壁部X1,X2を構成する蓋部側第4突片体138aおよび蓋部側第5突片体138bは、いずれも蓋部130の前板部133、右側板部135および隔壁部136から収容空間側に向けて立設されている。
【0064】
ここで、図8に示すように、本体部120に設けられた本体部側第4突片体128aおよび本体部側第5突片体128bのそれぞれと、蓋部130に設けられた蓋部側第4突片体138aおよび蓋部側第5突片体138bのそれぞれとは、上記延在方向に沿ってずれた位置に互いに隣接するように配設されている。これにより、閉状態において第1および第2立壁部を上記延在方向に沿って見た場合に、これら突片体128a,138a同士、突片体128b,138b同士の少なくとも一部が、それぞれ重なるように構成されている。
【0065】
図4ないし図8に示すように、第1および第2立壁部X1,X2には、いずれも第1ないし第3立壁部W1,W2,W3に設けられた如くの電源コード151を湾曲させて保持する切り欠き状の受部は設けられていない。したがって、第1および第2立壁部X1,X2は、電源コードに接触していないか、あるいは接触したとしてもこれを蛇行状に湾曲させることのない部位である。
【0066】
以上により、図9に示すように、電源コード151がコード収容部160に挿通配置された状態においては、開口部としての第1ないし第3保持壁部W1,W2,W3に設けられた切り欠き状の第1ないし第3受部127a1,127b1,127c1が電源コード151によって閉塞された状態となり、筐体110の内部空間である電源回路ユニット収容部122Aの密閉性が確保されることになる。一方、図8に示すように、電源コード151がコード収容部160に挿通配置されていない状態においても、上述した第1ないし第3保持壁部W1,W2,W3、第1および第2立壁部X1,X2がそれぞれトラップとして機能することになり、風雨による水の侵入の防止が図られることになる。
【0067】
図10は、本実施の形態における電源分離型増幅器のコード収容部における止水効果を説明するための模式正面図である。次に、当該図10を参照して、本実施の形態における電源分離型増幅器とすることにより、電源コードがコード収容部に挿通配置されていない状態においても、コード収容部において効果的に止水効果が得られる仕組みについて説明する。
【0068】
図10(A)に示すように、第1受部127a1に対して図中に示す矢印A1方向から侵入した水は、第1室161において右側板部125に吹き付けられて向きを変え、図中矢印A2方向から第2保持壁部W2を構成する本体側第2突片体127bおよび蓋部側第2突片体137bに吹き付けられる。その際、第2保持壁部W2に吹き付けられた水が当該第2保持壁部W2に衝突して破砕することで水の飛沫が発生するが、当該飛沫は、勢いを保ったまま主として第2受部127b1が位置する側(すなわち左側)に向けて図中矢印A3方向に飛散する。そのため、飛沫の一部は、第2受部127b1を通過して第2室162の入口部分である領域A4にまで達することになるが、当該飛沫は、その勢いが既に減衰されているため、当該第2室162によって捕捉されることになる。したがって、図中矢印A1方向から浸入した水は、主として第1室161および第2室162にて捕捉されることになり、第3室163には至らないことになる。
【0069】
一方、図10(B)に示すように、第1受部127a1に対して図中に示す矢印B1方向から侵入した水は、第1室161を通過するとともに第2保持壁部W2に設けられた第2受部127b1を通過し、第2室162において隔壁部126に吹き付けられて向きを変え、図中矢印B2方向から第1立壁部X1を構成する本体側第4突片体128aおよび蓋部側第4突片体138aに吹き付けられる。その際、第1立壁部X1に吹き付けられた水が当該第1立壁部X1に衝突して破砕することで水の飛沫が発生するが、当該飛沫は、勢いを保ったままコード収容部160の主として第1立壁部X1が設けられていない側(すなわち右側)に向けて図中矢印B3方向に飛散する。そのため、飛沫の一部は、第2室162の出口部分である領域B4にまで達することになるが、当該領域B4に達した飛沫は、その勢いが既に減衰されているため、当該第2室162によって捕捉されることになる。したがって、図中矢印B1方向から浸入した水は、主として第2室162にて捕捉されることになり、第3室163には至らないことになる。
【0070】
なお、図中に示す矢印A1方向およびB1方向以外の方向から侵入した水については、これとは異なる経路を辿ることになるが、それら方向から侵入した水は、概ね第1室1161および第2室1162によって捕捉されるため、その説明は省略する。
【0071】
このように、本実施の形態における電源分離型増幅器100およびこれに具備される筐体110とすることにより、電源コード151がコード収容部160に挿通配置された状態においては元より、電源コード151がコード収容部160に挿通配置されていない状態においても、筐体110の内部空間122である第3室163にまで水が侵入することが効果的に防止されることになる。
【0072】
加えて、本実施の形態における電源分離型増幅器100およびこれに具備される筐体110とすることにより、コード収容部160の延在方向の長さを長大化することもないため、筐体110が大型化するといった問題もなく、また第1ないし第3保持壁部W1,W2,W3の配置間隔を狭める必要もないため、電源コード151に極端に大きな曲げ応力が作用してしまうことを防止することが可能になる。
【0073】
したがって、上述した本実施の形態の如くの構成を採用することにより、筐体の大型化を防止しつつ簡素な構成で風雨による水の侵入を十分に防止可能な電子機器の筐体およびこれを備えた電源分離型増幅器とすることができる。
【0074】
なお、以上において説明した本発明の一実施の形態においては、コード収容部160に第1立壁部X1に加えて第2立壁部X2をも設けた場合を例示して説明を行なったが、当該第2立壁部X2は、止水対策をさらに向上させるために付加的に設けられたものであり、第1立壁部X1を設けただけでも十分な止水効果が得られることを本発明者らは実験により確認している。
【0075】
また、以上において説明した本発明の一実施の形態においては、本体部120に設けられた突片体と蓋部130に設けられた突片体とによって第1ないし第3保持壁部W1,W2,W3、第1および第2立壁部X1,X2のそれぞれが形成されるように構成した場合を例示して説明を行なったが、これら第1ないし第3保持壁部W1,W2,W3、第1および第2立壁部X1,X2の一部または全部が、本体部120に設けられた突片体または蓋部130に設けられた突片体のみによって形成されるように構成することも当然に可能である。
【0076】
このように、今回開示した上記一実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0077】
100 電源分離型増幅器、110 筐体、120 本体部、121 軸部、122 内部空間、122A 電源回路ユニット収容部、122B 増幅回路ユニット収容部、123 背板部、124 底板部、125 右側板部、126 隔壁部、127a 本体部側第1突片体、127a1 第1受部、127b 本体部側第2突片体、127b1 第2受部、127c 本体部側第3突片体、127c1 第3受部、128a 本体部側第4突片体、128b 本体部側第5突片体、129 被係止部、130 蓋部、131 孔部、133 前板部、134 底板部、135 右側板部、136 隔壁部、137a 蓋部側第1突片体、137b 蓋部側第2突片体、137c 蓋部側第3突片体、138a 蓋部側第4突片体、138b 蓋部側第5突片体、139 係止部、140 増幅回路ユニット、141〜144 接続端子、150 電源回路ユニット、151 電源コード、160 コード収容部、161 第1室、162 第2室、163 第3室、W1 第1保持壁部、W2 第2保持壁部、W3 第3保持壁部、X1 第1立壁部、X2 第2立壁部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を含む機器ユニットが収容可能なユニット収容部と、外部および前記ユニット収容部のいずれにも連通し、前記機器ユニットに付設された接続コードの一部が収容されることで前記接続コードを外部に引き出し可能とするコード収容部とを備えた電子機器の筐体であって、
前記コード収容部は、前記接続コードの前記一部が配置可能な収容空間と、当該コード収容部の延在方向と並行する方向に沿って延びる壁面を有することで前記収容空間を囲繞する周囲壁部と、前記周囲壁部から前記収容空間に向けて立設されることで当該コード収容部の延在方向と交差する方向に沿って延びる壁面をそれぞれ有し、前記接続コードの前記一部が挿通配置されることで前記接続コードの前記一部を蛇行状に湾曲させて保持するための開口部がそれぞれ設けられた第1ないし第3保持壁部と、前記周囲壁部から前記収容空間に向けて立設されることで当該コード収容部の延在方向と交差する方向に沿って延びる壁面を有し、前記接続コードの前記一部を蛇行状に湾曲させることのない第1立壁部とを含み、
前記第1ないし第3保持壁部は、前記コード収容部の延在方向に沿ってそれぞれ間隔をあけて設けられ、外部から前記ユニット収容部に向けて前記第1保持壁部、前記第2保持壁部、前記第3保持壁部の順に配設され、
前記第1ないし第3保持壁部に設けられた前記開口部は、前記コード収容部の延在方向に沿って当該延在方向と交差する方向に互い違いの位置に設けられ、
前記第1立壁部が、前記第2保持壁部と前記第3保持壁部との間であって、かつ前記第2保持壁部に設けられた前記開口部が位置する側に配設されている、電子機器の筐体。
【請求項2】
前記開口部のそれぞれが、前記第1ないし第3保持壁部に形成された切り欠き状の受部にて構成されている、請求項1に記載の電子機器の筐体。
【請求項3】
前記筐体が、本体部および当該本体部に対して開閉可能とされた蓋部とによって構成され、
前記第1ないし第3保持壁部および前記第1立壁部のそれぞれが、いずれも前記本体部に設けられた突片体と前記蓋部に設けられた突片体とが閉状態において組み合わされることで構成されている、請求項1または2に記載の電子機器の筐体。
【請求項4】
前記本体部に設けられた前記突片体と前記蓋部に設けられた前記突片体とが、前記コード収容部の延在方向に沿ってずれた位置に互いに隣接するように配設され、閉状態において前記コード収容部の延在方向に沿って見た場合に、これら突片体同士の少なくとも一部が重なっている、請求項3に記載の電子機器の筐体。
【請求項5】
前記コード収容部が、前記周囲壁部から前記収容空間に向けて立設されることで当該コード収容部の延在方向と交差する方向に沿って延びる壁面を有し、前記接続コードの前記一部を蛇行状に湾曲させることのない第2立壁部をさらに含み、
前記第2立壁部が、前記第2保持壁部と前記第3保持壁部との間であって、かつ前記第2保持壁部に設けられた前記開口部が位置する側とは反対側に配設されている、請求項1から4のいずれかに記載の電子機器の筐体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の電子機器の筐体と、
高周波信号を増幅する増幅回路ユニットと、
入力された交流電力を直流電力に変換して前記増幅回路ユニットに供給する前記機器ユニットとしての電源回路ユニットとを備え、
前記接続コードが、前記電源回路ユニットに対して外部から交流電力を供給するための電源コードである、電源分離型増幅器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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