説明

電子機器の筐体

【課題】電子部品を効率よく冷却することができる電子機器の筐体の提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置の筐体100は、筐体本体10と、筐体カバー20と、を備えている。また、筐体本体10と筐体カバー20との間には、複数の電子部品が搭載された基板30が配置される。筐体本体10には、筐体内部に筐体外部の外気を取り込むための軸流ファン13が取り付けられており、天面12には、軸流ファン13の設置付近から所定の方向に向かって延びる絞り14が形成されている。絞り14は、軸流ファン13の軸方向に対して所定の角度(例えば、5度〜175度)で交わるように筐体本体10の天面12に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、軸流ファンを備えたナビゲーション装置が開示されている。このようなナビゲーション装置では、軸流ファンの作り出す気流により、基板上の発熱した電子部品が冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−103616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献の技術では、軸流ファンの軸方向に位置している電子部品は冷却できるものの、軸方向からずれた電子部品を効率的に冷却することは難しい。
【0005】
そこで、本発明は、電子部品を効率よく冷却することができる電子機器の筐体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る電子機器の筐体は、外気の進入口から対角方向に向かって延びる出っ張りが表面に形成されている、という構成を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電子機器の筐体によれば、電子部品を効率よく冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子機器の筐体の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電子機器の筐体本体の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電子機器の筐体本体の平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る電子機器の筐体本体の側面図である。
【図5】従来の電子機器に係る筐体本体の天面と基板との間の気流を示した図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る電子機器の筐体本体の天面と基板との間の気流を示した図である。
【図7】本発明の第一変形例に係る電子機器の正面図である。
【図8】本発明の第二変形例に係る電子機器の正面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る絞りの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る電子機器について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る電子機器の一例であるナビゲーション装置の筐体100を示した図である。同図に示すように、ナビゲーション装置の筐体100は、筐体本体10と、筐体カバー20と、を備えている。また、筐体本体10と筐体カバー20との間には、複数の電子部品が搭載された基板30が配置される。なお、ナビゲーション装置とは、地図情報や交通情報の表示、推奨経路の探索、経路誘導、といった一般的なナビゲーション機能を実現することができるナビゲーション装置のことである。
【0011】
筐体本体10は、ナビゲーション機能を実現するための装置などを収容する部材であって、ナビゲーション装置の骨格となるものである。筐体本体10は、少なくとも1つ以上の装置を収容するための内部空間を有している。具体的には、筐体本体10は、底面(図示せず)と、底面から垂直方向に立ち上がり、底面の周囲を取り囲む側面11と、底面に対向する天面12と、を有する箱形の形状に形成されている。なお、底面、側面11、天面12のうち、少なくとも一つの面は開口しており、内部空間に装置が収容された後に、かかる開口を塞ぐ板材が筐体本体10にネジ止め等される。
【0012】
また、筐体本体10は、収容する装置を保護するため、所望の強度が得られるように、例えば、アルミ、ステンレス、スチール、その他の金属合金などの板金から形成される。なお、板金は、例えば、1mm〜4mm程度の厚みに形成されているものが用いられればよい。
【0013】
また、筐体本体10の天面には、軸流ファン13の軸方向に所定の角度で交わる絞り14が形成されている。なお、絞り14の詳細については後述する。
【0014】
筐体本体10には、種々のナビゲーション機能を実現するための装置が収容され、固定されている。具体的には、筐体本体には、地図情報や交通情報といった所定の情報が記憶されているCD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリーカードなどの記憶媒体、ユーザから受け付けた指示に基づいて経路探索や地図情報の表示などの演算処理を実行する演算処理装置など、所定のナビゲーション装置を実現するための装置が収容されている。
【0015】
筐体本体10には、筐体内部に筐体外部の外気を取り込むための軸流ファン13が取り付けられている。ここで、軸流ファン13とは、複数の羽根が固定されるファンの中心軸の軸方向に空気を送り出し、または、軸方向に空気を吸引する機能を備えたファンのことである。また、本実施形態では、外気を筐体100内に取り込む吸引式の軸流ファンを想定する。
【0016】
筐体カバー20は、筐体本体10に被せられる金属性の部材であって、例えば、電子部品31などが搭載された基板30を筐体本体10との間に挟み込んでいる。また、筐体カバー20は、例えば、カバー天面21と、カバー天面から垂直方向に延び、カバー天面の周囲を取り囲むカバー側面22と、を有している。また、カバー側面22には、筐体本体10に取り付けられる軸流ファン13が外気を取り込むための換気窓23が形成されている。なお、カバー天面21に対向するカバー底面(図示せず)は開口しており、筐体カバー20は、かかる開口から筐体本体10に被せられる。また、筐体カバー20は、筐体本体10や基板30を保護するため、所望の強度が得られるように、例えば、アルミ、ステンレス、スチール、その他の金属合金などの板金から形成される。なお、板金は、筐体本体10と同様に、例えば、1mm〜4mm程度の厚みに形成されているものが用いられればよい。
【0017】
基板30は、種々の電子部品31が搭載されたプリント配線基板などの電子回路基板である。そのため、基板30上には、ナビゲーション装置の種々の機能を実現するため、複数の電子部品31が搭載されている。また、基板30は、筐体本体10と筐体カバー20との間に挟み込まれ、筐体本体10または筐体カバー20のいずれかにネジ止め等などによって固定される。なお、基板30は、例えば、一枚の樹脂材などから形成されている。
【0018】
基板30上には、例えば、CPU(Central Processing Unit)、IC(Integrated Circuit)といった集積回路(LSI:Large Scale Integrationを含む)、トランジスタなどの複数の電子部品31が搭載されている。なお、これらの電子部品31は、基板30の表面側または裏面側のどちらに搭載されていてもよいが、本実施形態では、基板30が筐体100に収容された際に、筐体本体10の天面12に向き合わせられる側、すなわち、基板30の裏面側に搭載されているものとする。図4は、筐体100に収容された基板30および電子部品31と、筐体本体10の天面12との位置関係を示した図である。
【0019】
図2は、筐体本体10の斜視図である。また、図3は、筐体本体10の平面図である。また、図4は、筐体本体10の側面図である。これらの図に示すように、筐体本体10の天面12には、軸流ファン13の設置付近から所定の方向に向かって延びる絞り14が形成されている。ここで、絞り14とは、筐体本体10を形成する板金から一体的に打ち出された所定の長さ(例えば、5cm〜15cm)および高さ(例えば、0.1mm〜1.0mm)を有する出っ張りを意味する。なお、絞り14は、例えば、筐体本体10の板金をプレス加工することにより、筐体本体10の板金から一体的に形成されればよい。
【0020】
絞り14は、軸流ファン13の軸方向に対して所定の角度(例えば、5度〜175度)で交わるように筐体本体10の天面12に形成されている。図3は、軸流ファン13の軸方向に対して約45度の角度で交わり、軸流ファン13の対角方向に向かって延びる所定長さの絞り14を示した図である。なお、絞り14と軸流ファン13の軸方向とのなす角、絞り14の長さ、絞り14の高さは、筐体100内に取り込んだ外気の気流に応じて適宜に設定される。言い換えれば、絞り14と軸流ファン13の軸方向とのなす角、絞り14の長さ、絞り14の高さは、かかる気流によって冷却を促す電子部品31と軸流ファン13との位置関係に応じて適宜に設定されればよい。
【0021】
図5は、絞り14が形成されていない筐体本体10の天面12と基板30との間に取り込まれた外気の気流を示した図である。同図に示すように、絞り14が形成されていない筐体本体10では、天面12の外側すなわち筐体カバー20の側面22に沿って気流が発生する。また、この気流は、筐体カバー20の側面にぶつかった後、その向きを変え、天面12の中央付近に滞留する。その結果、発熱した電子部品31の効率的な冷却を促すことができない。
【0022】
一方で、図6は、絞り14が形成されている筐体本体10の天面12と基板30との間に取り込まれた外気の流れを示した図である。同図に示すように、絞り14が形成されている筐体本体10では、筐体100内に取り込まれた外気が絞りに沿って軸流ファン13の対角方向に進む。そのため、絞り14が形成されていない筐体本体10に比べて、天面12の中央付近に外気が滞留することがない。その結果、軸流ファン13の対角方向に位置する発熱した電子部品31の効率的な冷却を促すことができる。
【0023】
なお、本発明者は、絞り14が形成されている筐体本体10と、絞り14が形成されていない筐体本体10とにおいて、基板30との間の空気温度の違いを検証した。その結果、絞り14が形成されている筐体本体10と基板30との間の空気温度は124.7℃であり、絞り14が形成されていない筐体本体10と基板30との間の空気温度は143.6℃であることが分かった。すなわち、絞り14が形成されていない筐体本体10に比べて、絞り14が形成されている筐体本体10と基板30との間の空気温度がより低くなることが証明された。
【0024】
このような発明によれば、電子部品31を効率よく冷却することができる。また、絞り14が形成されることにより、筐体本体10の強度を強くすることができる。また、従来は、例えば、軸流ファン近くに電子部品付近まで外気を導く筒状のダクトを用いる場合もあったが、本発明によれば、このようなダクトの設置を省略することができるため、部品点数の削減をも実現することができる。
【0025】
なお、上記実施形態では、軸流ファン13からの距離に関わらず、絞り14の始点が一列に、すなわち、軸方向に一直線上に並ぶように形成されていた。しかしながら、本発明は本実施形態に限られるものではない。図7は、上記実施形態の第一変形例を示した図である。同図に示すように、第一変形例に係る絞り40の始点は、軸流ファン13からの距離に応じて異なるように形成されている。具体的には、軸流ファン13から軸方向の縁端まで引いた直線L上に始点が揃う絞り40が形成される。なお、その他の絞り40の形状などは前述の実施形態と同様である。
【0026】
このような絞り40によれば、軸流ファン13から取り込まれた外気は、絞り40同士の間に進入し易くなる。その結果、変形例に係る絞り40では、外気が軸流ファン13の対角に向かって流れ易くなる。したがって、筐体本体10の天面12と基板30との間の効率的な冷却をより促進させることができる。また、絞り40が形成されることにより、筐体本体10の強度を強くすることができる。
【0027】
また、上記実施形態の第二変形例では、筐体本体10の天面12に対向する基板30上の電子部品31に向かって延びる湾曲した絞り50が形成される。図8は、かかる湾曲した絞り50を示す図である。同図に示すように、第二変形例に係る絞り50は、軸流ファン13付近の始点から、電子部品31が位置する方向に向かって緩やかに湾曲している。また、かかる絞り50は、絞り50同士の間に電子部品31が位置するような間隔に形成されている。
【0028】
このような絞り50によれば、軸流ファン13から取り込まれた外気は、絞り50に沿って軸流ファン13の対角方向まで導かれる。その結果、筐体本体10の天面12と基板30との間の効率的な冷却をより促進させることができる。また、絞り50が形成されることにより、筐体本体10の強度を強くすることができる。
【0029】
また、絞りを長手方向に直交する方向に切断した場合、その断面形状が軸流ファン側とその反対側とで非対称となるようにしてもよい。図9は、かかる断面形状を示した図である。同図に示すように、絞り60の軸流ファン側の断面形状は、軸流ファンの軸方向に直交する平面61となるように形成されている。一方で、軸流ファンの反対側の断面形状は、筐体本体の天面に向かって緩やかにカーブする面62となるように形成されている。
【0030】
このような絞り60によれば、軸流ファン13から取り込まれた外気は、絞り50に沿って軸流ファン13の対角方向まで導かれる。その結果、筐体本体10の天面12と基板30との間の効率的な冷却をより促進させることができる。また、軸流ファン側の断面形状が、軸方向に直交する平面となるように形成されることで、例えば、緩やかなカーブ状に形成される場合に比べて、取り込まれた外気を絞り60に沿って、軸流ファンの対角方向まで導き易くなる。また、絞り60が形成されることにより、筐体本体10の強度を強くすることができる。
【符号の説明】
【0031】
100・・・電子機器の筐体、
10・・・筐体本体、20・・・筐体カバー、30・・・基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気の進入口から対角方向に向かって延びる出っ張りが表面に形成されている
ことを特徴とする電子機器の筐体。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器の筐体において、
前記筐体の表面には、相互に平行な前記出っ張りが複数本形成されている
ことを特徴とする電子機器の筐体。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器の筐体において、
前記出っ張りの始点の位置は、前記外気の進入方向に沿って一列に並んでいる
ことを特徴とする電子機器の筐体。
【請求項4】
請求項2に記載の電子機器の筐体において、
前記出っ張りの始点の位置は、前記進入口から、前記対角方向とは逆の方向に向かって狭まる
ことを特徴とする電子機器の筐体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子機器の筐体において、
前記進入口の対角方向には、前記筐体の表面に向き合わせられる電子部品が取り付けられている
ことを特徴とする電子機器の筐体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−4634(P2013−4634A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132696(P2011−132696)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】