説明

電子機器用の入力装置及び入力制御方法

【課題】入力操作の有効性判定結果に伴う領域とこれに隣接する領域間で生じるチャタリング現象を排除する電子機器用の入力装置及び方法を提供する。
【解決手段】複数の異なる入力内容を択一的又は同時に入力可能な入力操作部20と、入力操作部への入力操作を検知して複数の異なる入力内容に対応した検知情報を出力する検知部19を有し、入力操作を伴う場合に検知情報に応じた入力情報を出力する入力処理部15と、入力情報が入力され、入力操作に対応する出力情報を電子機器に出力する制御回路部14とを備え、制御回路部は、入力操作が行われているとの判定が未確定の時点で、少なくとも1個以上の入力情報が出力された場合に、入力操作が行われているか否かの判定結果の推移に応じて設定される異なる優先度のうち何れかの優先度に基づいて、入力情報を選択し、この入力情報の基となる入力操作が行われていると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器用の入力装置、及び、入力装置に対する入力操作の有効性の判定に適した入力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば電子機器用の入力装置は、操作者が入力装置に対して入力操作を行うことで電子機器が入力信号を検知するようになっている。このような入力操作を行うにあたって、例えば人の指先が入力操作部の入力操作を行う領域(キースイッチ)とこれに隣接する領域とを同時に接触する(指先を当接させる)場合がある。この場合、電子機器が複数の入力信号を検知することで適正な制御を行えないことを防止する必要がある。そのため、従来からこの場合の入力の制御方法は、複数のタッチセンサが検知した入力操作の領域のいずれを優先するかを定め、この定めに基づいていずれかの入力操作を有効な入力操作として選択するようになっている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【0003】
これを実現する構成の一例として、入力操作を行う入力操作部と入力操作の入力を検知する静電容量式タッチセンサを有する検知部と、検知した入力を出力する入力処理部と、複数の出力を制御する制御回路部とを有するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−317201号公報
【特許文献2】特開2007−267388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1及び特許文献2に記載された入力装置は、いわゆるキースイッチとして特定される所望の領域(キースイッチ)以外の例えば隣接する領域(キースイッチ)を誤って選択してしまったり、入力操作の有効性判定の際に所望の領域と隣接する領域との間でチャタリング現象を発生させてしまったりする。これによって、入力検知の有効性を判定する上での障害が生じ、安定した入力操作を行うことができなくなる。
【0006】
上述した問題点の第1の例として、操作者が特定のキースイッチを指先で押す場合に生じるチャタリング現象を図面に従って説明する。図9は、従来の電子機器用の入力装置の入力制御方法及び制御方法を説明する説明図である。なお、図9において、検知部19は、入力操作部20に並列して配置された静電容量式タッチセンサのキースイッチA,B,C,D,Eからなる。
【0007】
図9に示すように、例えば操作者が入力操作をタッチセンサCに対応する入力操作部20に対して行う際に、操作者が操作者自身の指先を動かすときの癖や入力装置が受ける振動の影響などの、入力装置の使用環境等によって操作者の指がタッチセンサCに隣接するタッチセンサBやタッチセンサDに近づく場合がある。図9(a)は、操作者の指がタッチセンサBに近づく場合を示す図である。このような場合に操作者がタッチセンサCに対応する入力操作部20に入力操作を行ったことを特定するために、複数のタッチセンサが検知した入力操作の領域(キースイッチ)のいずれを優先するかの定めを「第1基本優先度PB1」と定義する。なお、この従来技術においては、第1基本優先度PB1は、タッチセンサAに第1選択順位、タッチセンサBに第2選択順位、タッチセンサCに第3選択順位、タッチセンサDに第4選択順位、タッチセンサEに第5選択順位を付与する優先度としている。
【0008】
図9(b)に示すように、指先がいずれのタッチセンサに対応する入力操作部20の領域にも触れていない状態(図9(b)の状態番号1参照)から、第1基本優先度PB1を設定した状態でタッチセンサCに触れた場合、タッチセンサCに対応する入力操作部20の領域への入力操作を有効と判定する(図9(b)の状態番号2参照)。しかし、その直後に操作者の指先がタッチセンサBにも近接することによって、タッチセンサBの検知情報(入力情報)も同時に出力されると、第1基本優先度PB1に基づいて選択順位の高いタッチセンサBの入力操作を有効と判定する(図8(b)の状態番号3参照)。そのため、操作者が本来意図していないタッチセンサBに対応した出力情報を電子機器(ここでは図示せず)に出力してしまう。
【0009】
次いで、操作者の指が本来入力すべきタッチセンサCに対応する入力操作部20の領域に戻ると、タッチセンサCに対する入力操作を有効と判定する(図9(b)の状態番号4参照)。そして、タッチセンサCに対応した出力情報を電子機器に出力する。次いで、操作者の指が再びタッチセンサBにも近接すると、タッチセンサBに対する入力操作も有効と判定してしまい(図9(b)の状態番号5参照)、第1基本優先度PB1に基づいて選択順位の高いタッチセンサBに対応した出力情報を電子機器に出力してしまう。このような状態を繰り返すと、入力操作の有効性判定結果に伴いチャタリング現象が現れ、電子機器を操作する上での妨げとなる。これは、図9(b)において状態番号2〜5の判定結果がC→B→C→Bと遷移することから明らかである。
【0010】
また、上述した問題点の第2の例として隣接する複数のキースイッチに沿って操作者が指先を移動させて操作する場合に生じる一種のチャタリング現象を図面に従って説明する。図10は、従来の電子機器用の入力装置の入力制御方法を説明する説明図である。図10において、検知部19は、入力操作部20に並列して配置された静電容量式タッチセンサのキースイッチA,B,C,D,Eからなる。
【0011】
例えば、操作者が指先をタッチセンサから離した状態(図10(b)の状態番号1参照)からタッチセンサCに指をあて(図10(b)の状態番号2参照)、タッチセンサCを基点としてタッチセンサB、タッチセンサAの順に対応する入力操作部20の領域に指先を当接した状態でこれらの領域を移動する(スライドさせる)入力操作に対して、上述の「第1基本優先度PB1」を設定した際について説明する。なお、この従来技術においても、第1基本優先度PB1は、タッチセンサAに第1選択順位、タッチセンサBに第2選択順位、タッチセンサCに第3選択順位、タッチセンサDに第4選択順位、タッチセンサEに第5選択順位を付与する優先度としている。
【0012】
図10(a)に示すように、第1基本優先度PB1を設定した状態でタッチセンサCに対応する入力操作部20の領域に触れた場合、タッチセンサCへの入力操作を有効と判定する(図10(b)の状態番号2参照)。その後、指先をタッチセンサCに対応する入力操作部20の領域とタッチセンサBに対応する入力操作部20の領域の間にスライドさせると、指先の移動中タッチセンサCとBに対応した出力を検知するが、第1基本優先度PB1に基づいて選択順位の高いタッチセンサBの検知情報を有効と判定する(図10(b)の状態番号3参照)。そのため、操作者が本来意図していない指先移動通過点のタッチセンサBに対応した検知情報に基づく判定結果Bを電子機器(ここでは図示せず)に出力してしまう。
【0013】
次いで、操作者の指先をタッチセンサBとタッチセンサAの間にスライドさせると、指先の移動中タッチセンサBとAに対応した出力を検知するが、第1基本優先度PB1に基づいて選択順位の高いタッチセンサAの入力操作を有効と判定する(図10(b)の状態番号4参照)。次いで、操作者の指先をタッチセンサAに到達させると、第1基本優先度PB1に基づいて選択順位の高いタッチセンサAの入力操作を有効と判定し(図10(b)の状態番号5参照)、判定結果Aを電子機器に出力する。このような判定結果の遷移中、本来なら判定結果CからAに変化すべきところを、判定結果Cから本来判定すべきでない判定結果Bを経て判定結果Aに変化する。このような一種のチャタリング現象が生ずることで、本来出力すべきでないタッチセンサBに対応する出力情報を電子機器に出力してしまう問題がある。また、上述した従来技術では、本来入力操作の有効性判定を必要としないタッチセンサに対して判定を行っており、入力装置の処理効率の面からも改善の余地があるといえる。
【0014】
なお、シュミットトリガ等の回路や演算処理によるヒステリシス特性を用いて、上述の課題を解決する方法も考えられるが、装置や制御が複雑となりコスト高を招くと共に入力操作の快適性を損なうおそれがある。
【0015】
本発明の目的は、複数の入力信号を検知した場合に有効となる入力操作を特定する技術を用いた入力装置において、入力操作の有効性判定結果に伴う領域とこれに隣接する領域との間で発生するチャタリング現象を排除する電子機器用の入力装置及び入力制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決するために、本発明の請求項1に係る電子機器用の入力装置は、
複数の異なる入力内容を択一的又は同時に入力可能な入力操作部と、該入力操作部に対する入力操作を検知して前記複数の異なる入力内容に対応した検知情報を出力する検知部と、を有し、少なくとも前記入力操作を伴う場合に前記検知情報に応じた入力情報を出力する入力処理部と、
前記入力情報が入力され、前記入力情報の基となる前記入力操作が行われているとの判定の下で、前記入力操作に対応する出力情報を前記電子機器に出力する制御回路部と、を備えた電子機器用の入力装置であって、
該制御回路部は、前記入力操作が行われているとの判定が未確定の時点で、少なくとも1個以上の前記入力情報が出力された場合に、
前記入力操作が行われているか否かの判定結果の推移に応じて設定される異なる優先度のうちいずれかの優先度に基づいて、前記入力情報から1個のみを選択し、該選択された入力情報の基となる入力操作が行われていると判定することを特徴としている。
【0017】
請求項1に係る発明がこのような構成を有することで、複数の入力信号を検知した場合に有効となる入力操作を特定する技術を用いた入力装置において、本発明の解決すべき課題で述べた入力操作の有効性判定結果に伴う領域とこれに隣接する領域との間で発生するチャタリング現象を排除することができる。
【0018】
また、従来技術として説明した特許文献1及び特許文献2に記載の発明は、例えば車載機器や振動を伴うアミューズメント機器等の無指向性の入力操作が行われてしまう機器に対する入力操作や、外乱(振動)が入力操作に影響を与える環境下での入力操作の判定に適さないが、本発明の場合は、このような機器使用上の特別な環境下においても係る機器に対する入力操作を確実に行うことができる。
【0019】
また、本発明の請求項2に係る電子機器用の入力装置は、請求項1に記載の電子機器用の入力装置電子機器用の入力装置であって、
前記異なる優先度は、少なくとも前記座標に基づく前記入力情報の選択順位群である基本優先度と、少なくとも入力操作が行われていると判定された入力操作を検知した検知部の座標に基づく前記入力情報の選択順位群である検知時優先度と、からなり、
前記制御回路部は、
前記複数の異なる入力内容に対応した前記検知部の座標と、
前記座標に対応する前記出力情報と、
前記基本優先度と、前記検知時優先度と、を有する記憶部と、
前記入力操作が行われているとの判定が未確定の時点で、少なくとも1個以上の前記入力情報が入力された場合に、前記入力操作が行われているか否かの判定結果の推移に応じて設定される前記基本優先度または前記検知時優先度のいずれかの優先度に基づいて、前記入力情報から1個のみを選択したとき、選択された前記入力情報の基となる入力操作が行われていると判定するとともに、前記入力操作に対応する出力情報を前記電子機器に出力するデータ処理部と、を備えることを特徴としている。
【0020】
請求項2に係る発明がこのような構成を有することで、請求項1に記載の作用をより効果的に発揮させることができる。
【0021】
また、本発明の請求項3に係る電子機器用の入力装置は、請求項2に記載の電子機器用の入力装置において、
前記データ処理部は、
少なくとも1個以上の前記入力情報が入力され、前記入力情報は前回入力操作が行われていると判定された入力操作を検知した検知部と異なる別の検知部が検知した入力操作に由来するとき、前記基本優先度を用いて入力情報から1個のみを選択し、選択された前記入力情報の基となる入力操作が行われていると判定し、前記入力情報は少なくとも2回以上連続して同じ検知部が検知した入力操作に由来するとき、前記検知時優先度を用いて入力情報から1個のみを選択し、選択された入力情報の基となる入力操作が行われていると判定することを特徴としている。
【0022】
請求項3に係る発明がこのような構成を有することで、請求項2に記載の作用をより効果的に発揮させることができる。
【0023】
また、本発明の請求項4に係る電子機器用の入力装置は、請求項2または3に記載の電子機器用の入力装置において、
前記基本優先度は、
全ての前記検知部の座標に対応し、且つ全ての前記検知部に対する入力操作に由来する全ての入力情報に任意の選択順位を付与した選択順位群であり、
前記検知時優先度は、前回入力操作が行われていると判定された入力操作を検知した検知部の座標に対応し、
且つ少なくとも2回以上連続して同じ検知部に入力操作が行われていると判定されたときに前記入力操作に由来する入力情報のみに最上位の選択順位を付与した選択順位群であることを特徴としている。
【0024】
請求項4に係る発明がこのような構成を有することで、請求項2または3に記載の作用をより効果的に発揮させることができる。
【0025】
また、本発明の請求項5に係る電子機器用の入力装置は、請求項2に記載の電子機器用の入力装置において、
前記データ処理部は、
前記入力操作部に当接したまま該当接する座標を遷移させるスライド操作によって入力操作が行われ、少なくとも1個以上の前記入力情報がはじめて入力され、
前記スライド操作の基点座標の検知部に対する入力操作に由来する基点入力情報を含むとき、前記基本優先度を用いて前記入力情報から基点入力情報のみを選択し、選択された前記入力情報の基となる入力操作が行われていると判定するとともに、
前記基本優先度を前記検知時優先度に切り替え、引き続き少なくとも1個以上の前記入力情報が入力されるとき、前記検知時優先度を用いて前記入力情報の基となる入力操作が有効であるか無効であるかのいずれかの判定を行うとともに、
少なくとも、前記判定の結果が無効である場合と前記有効と判定した入力操作が前記スライド操作の終点座標の検知部に対する入力操作に由来する終点入力情報を含むとき、前記検知時優先度を前記基本優先度に切り替えることを特徴としている。
【0026】
請求項5に係る発明がこのような構成を有することで、入力操作部に当接したまま接する座標を遷移させるスライド操作によって入力操作が行われる場合において、入力操作の有効性判定結果に伴う領域とこれに隣接する領域との間で発生するチャタリング現象を排除することができる。
【0027】
また、本発明の請求項6に係る電子機器用の入力装置は、請求項5に記載の電子機器用の入力装置において、
前記基本優先度は、
全ての前記検知部の座標に対応した選択順位群であり、
前記検知時優先度から前記基本優先度に切り替えるときは、少なくともスライド操作が終了した座標に対する入力操作に由来する入力情報に最上位の選択順位を付与し、
前記検知時優先度は、
前記基点座標の検知部に対する入力操作に由来する基点入力情報に最上位の選択順位を付与し、前記終点入力情報に2番目以下で且つ前記基点座標と前記終点座標以外の座標の検知部に対する入力操作に由来する入力情報より上位の選択順位を付与する選択順位群であることを特徴としている。
【0028】
請求項6に係る発明がこのような構成を有することで、請求項5に記載の作用をより効果的に発揮させることができる。
【0029】
また、本発明の請求項7に係る入力制御方法は、
複数の異なる入力内容を択一的又は同時に入力操作が可能であり、該入力操作が行われたことを検知して前記複数の異なる入力内容に対応した検知情報を出力し、少なくとも前記入力操作を伴う場合に前記検知情報に応じた入力情報を出力するようになっており、前記入力情報が入力され、前記入力情報の基となる前記入力操作が行われているとの判定の下で、前記入力操作に対応する出力情報を出力する入力制御方法であって、
前記入力操作が行われているとの判定が未確定の時点で、少なくとも1個以上の前記入力情報が出力された場合に、
前記入力操作が行われているか否かの判定結果の推移に応じて設定される異なる優先度のうちいずれかの優先度に基づいて、前記入力情報から1個のみを選択し、該選択された入力情報の基となる入力操作が行われていることを制御回路部によって判定することを特徴としている。
【0030】
請求項7に係る発明によると、複数の入力信号を検知した場合に有効となる入力操作を特定する技術を用いた入力装置において、本発明の解決すべき課題で述べた入力操作の有効性判定結果に伴う領域とこれに隣接する領域との間で発生するチャタリング現象を排除することができる。
【0031】
また、従来技術として説明した特許文献1及び特許文献2に記載の発明は、例えば車載機器や振動を伴うアミューズメント機器等の無指向性の入力操作が行われてしまう機器に対する入力操作や、外乱(振動)が入力操作に影響を与える環境下での入力操作の判定に適さないが、本発明の場合は、このような機器に対しても係る機器使用上の特別な環境下においても入力操作を確実に行うことができる。
【0032】
また、本発明の請求項8に係る入力制御方法は、請求項7に記載の入力制御方法において、
前記異なる優先度は、少なくとも前記座標に基づく前記入力情報の選択順位群である基本優先度と、少なくとも入力操作が行われていると判定された入力操作を検知した検知部の座標に基づく前記入力情報の選択順位群である検知時優先度と、からなり、
前記制御回路部は、前記入力制御を行うにあたって、
少なくとも、前記複数の異なる入力内容に対応した前記検知部の座標と、
前記座標に対応する前記出力情報と、
前記基本優先度と、前記検知時優先度と、を記憶するようになっており、
前記入力操作が行われているとの判定が未確定の時点で、少なくとも1個以上の前記入力情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで前記入力情報が取得された場合に、前記入力操作が行われているか否かの判定結果の推移に応じて前記基本優先度または前記検知時優先度のいずれかの優先度を設定する設定ステップと、
前記設定ステップで設定される前記基本優先度または前記検知時優先度のいずれかの優先度に基づいて、前記入力情報から1個のみを選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択された前記入力情報の基となる入力操作が行われていると判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおける判定に基づいて前記入力操作に対応する出力情報を出力する出力ステップと、を有することを特徴としている。
【0033】
請求項8に係る発明がこのようなステップを有することで、請求項7に記載の作用をより効果的に発揮させることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、複数の入力信号を検知した場合に有効となる入力操作を特定する技術を用いた入力装置において、入力操作の有効性判定結果に伴う領域とこれに隣接する領域との間で発生するチャタリング現象を排除する電子機器用の入力装置及び入力制御方法を提供できる。
【0035】
また、少なくとも操作者と入力装置のいずれか一方が振動環境下にある場合などに、安定した入力操作を行うことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子機器用の入力装置の要部を概略的に示すブロック図である。
【図2】操作者の指による入力を検知していない状態において初回の入力検知での優先度を説明する概略説明図(図2(a))及びいずれかの検知部(図2では検知部C)が操作者の指による入力を検知している状態における優先度を説明する概略説明図(図2(b))である。
【図3】図1に示した電子機器用の入力装置による入力制御方法を示すフローチャートである。
【図4】図1に示した電子機器用の入力装置による入力制御方法を具体的に説明する説明図である。
【図5】本実施形態の第1変形例を示す説明図であり、図4に対応する図である。
【図6】本実施形態の第1変形例に係る電子機器用の入力装置による入力制御方法を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態の第2変形例を示す説明図であり、図4に対応する図である。
【図8】本実施形態の第3変形例を示す説明図であり、図4に対応する図である。
【図9】従来の電子機器用の入力装置の入力制御方法を説明する説明図である。
【図10】図9とは異なる従来の電子機器用の入力装置の入力制御方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係る電子機器用の入力装置の一実施形態として静電容量式のタッチセンサを用いた電子機器用の入力装置について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器用の入力装置を概略的に示すブロック図である。
【0038】
本発明の一実施形態に係る電子機器用の入力装置は、検知部19(タッチセンサ)及び入力情報検出回路18を有する入力処理部15と、入力処理部15からの検知情報が入力されると共に、入力処理部15に制御信号を送る制御回路部14を備えている。そして、制御回路部14は、検出した出力信号を演算してこの演算結果を電子機器12に送るようになっている。
【0039】
入力処理部15は、入力操作を行う入力操作部20(図2参照)と、入力操作部20に対する入力操作を検知する検知部19と、入力情報検出回路18とを備える。即ち、入力処理部15は、入力操作部20に入力操作を行った場合にのみこの入力操作に応じた検知情報を制御回路部14に出力するようになっている。
【0040】
検知部19は、入力操作部20のいずれに指が接触した(入力操作が行われている)入力状態であるか、入力操作部20から指が離間した(入力操作が行われずにいる)非入力状態であるかの検知結果を出力するようになっている。検知部19は、入力操作を検出して入力情報検出回路18に検知結果を出力するためのものであり、本実施形態では座標の各点(複数の入力要素(入力素子))を構成するように配置された静電容量式の複数のタッチセンサからなる。なお、タッチセンサの配列は、各検知部19が座標の各点に対応するように配置されていれば良く、例えばマトリックス状や円弧状等、様々な形態で配置されていても良い。なお、座標は任意の面積を有する各領域に対応するように定義されても良い。
【0041】
入力情報検出回路18は、検知部19から入力操作の検知結果(入力操作を伴う「入力」の場合は指が入力操作部20に接触、入力操作を伴わない「非入力」の場合は指が入力操作部20から離間)が入力され、入力された検知結果が入力(=接触)である場合にのみ、入力操作を伴う検知情報を制御回路部14に出力する。
【0042】
制御回路部14には、入力処理部15から入力操作を伴う検知情報が入力される。制御回路部14は、入力操作の有効性を判定し、入力操作を有効と判定した場合にのみ、入力操作を有効と判定した座標の入力要素(入力素子)(以下、単に「座標」とする)に対応する出力情報IFを電子機器12に出力し、電子機器12の動作を制御する。
【0043】
制御回路部14は、データ処理部16と記憶部17を有している。データ処理部16は、いずれかの検知部19に対して入力操作が行われ、入力操作を伴う検知情報が入力された場合に入力操作を有効と判定し、入力操作を有効と判定した座標に対応する出力情報IFを電子機器12に出力し、電子機器12の動作を制御する。より詳細には、制御回路部14が有効である判定が初回(つまり入力装置起動後初回の入力操作による判定)または、前回有効と判定した検知部19と異なる検知部19に対するものである(別の検知部19に対して入力操作を行った初回の判定である)場合には、基本優先度PBを設定するための基本優先度情報IPBを入力情報検出回路18に出力する。
【0044】
一方、制御回路部14は、連続して同一の検知部19に対する入力操作が有効であると判定した場合には、入力操作が有効である検知部19のみに、入力操作が有効である期間にのみ、検知時優先度PSを設定するための検知時優先度情報IPSを入力情報検出回路18に出力する。このとき、入力操作を検知していないか、または、検知した入力操作が無効であると判定した場合は、他の各検知部19には優先度を設定しないため、検知時優先情報IPSは出力しない。また、全ての検知部19が入力操作を検知していない場合は、基本優先度PBを設定する。なお、本実施形態における基本優先度PB及び検知時優先度PSを構成する第1基本優先度PB1と第1検知時優先度PS1については、変形例で利用する第2基本優先度PB2及び第2検知時優先度PS2とともに後に詳細に説明する。
【0045】
制御回路部14の記憶部17は、入力要素である検知部19の座標と、検知部19の座標に応じた出力情報IFと、(入力装置起動時などの)入力を検知していない状態で用いる基本優先度PBとを予め記憶するようになっている。
【0046】
図1に示す制御回路部14から出力される出力情報IFは、入力操作の有効性を判定し、入力操作を有効と判定した場合にのみ制御回路部14から電子機器12に出力される情報である。即ち、出力情報IFは入力操作を有効と判定した座標に対応した、実際に電子機器12の動作を制御する情報であって、その数や種類は座標(つまり検知部19)の数や電子機器12の動作仕様などの設計仕様に応じて決められている。
【0047】
電子機器12は、制御回路部14から出力される出力情報IFが入力され、動作が制御される。なお、上述の実施形態では、電子機器用の入力装置は、所謂家電製品やOA機器などの操作部に対応している。係る操作部は、複数の操作キーを備え、操作キーそれぞれに必要となる制御項目(機能)を割り当てるが、例えばパーソナルコンピュータ用のキーボードのような入力装置などと比較すると操作キー(領域)や割り当てる制御項目(機能)は少なく、また入力操作も押下や接触など比較的単純な操作で行うようにしている。しかしながら、操作キー(領域)が比較的多数の入力装置に対して、割り当てる制御項目(機能)を増やすことは可能であり、本発明の適用範囲であることは言うまでもない。
【0048】
入力装置13は、上述の通り入力操作を行って入力操作が有効であると判定された場合にのみ、入力操作を有効と判定した座標に対応する出力情報IFを電子機器12に出力し、電子機器12の動作を制御するようになっている。
【0049】
なお、入力装置13は電子機器12と別体の構成となっているが、電子機器12と一体の構成としても良い。即ち、電子機器12と入力装置13とが一体となった電子機器システム11の形態をとっても良い。
【0050】
また、入力装置13において、制御回路部14は、中央演算処理装置(CPU)、メモリ、入出力回路等を備えた周知のマイクロコンピュータシステムとして構成されるものであっても良い。その際、制御回路部14がその構成要素として備えるデータ処理部16及び記憶部17は、本説明における機能を果たす限り、任意のハードウェア又はソフトウェア、さらにはその組み合わせによって実装することができる。
【0051】
以下、本実施形態に係る電子機器用の入力装置による入力制御方法についてより詳細に説明する。図2(a)は、操作者の指による入力を検知していない状態において初回の入力検知での優先度を説明する概略説明図である。また、図2(b)は、いずれかの検知部(図2では検知部C)が操作者の指による入力を連続して検知している状態における優先度を説明する概略説明図である。
【0052】
本発明の一実施形態に係る電子機器用の入力装置における入力検知の優先度は、基本優先度と検知時優先度によって決定する。以下、本発明において使用する基本優先度と検知時優先度をまとめて説明する。
【0053】
基本優先度には第1基本優先度PB1と第2基本優先度PB2がある。ここで、第1基本優先度PB1は、検知部19に対応した座標(領域)に従う入力判別の順位(選択順位)群で、記憶部17が記憶している。そして、有効である判定が入力装置起動後初回または別の検知部19に対して入力操作を行った初回の場合に設定する。
【0054】
また、第2基本優先度PB2は、検知部19に対応した座標(領域)に従い、第1基本優先度PB1とは異なる入力判別の順位(選択順位)群で、記憶部17が記憶している。なお、第2基本優先度PB2は、本実施形態では利用せず、後述する第3変形例においてのみ利用する。
【0055】
検知時優先度には第1検知時優先度PS1と第2検知時優先度PS2がある。ここで、第1検知時優先度PS1は、入力操作の有効性の判定結果と検知部19の座標(領域)に応じて定義される入力判別の順位(選択順位)で、記憶部17が記憶している。そして、連続して同一の検知部19に対する入力操作が有効であると判定された場合に、入力操作が有効である検知部19のみに、入力操作が有効である期間にのみ、優先度有効として選択順位が付与される。
【0056】
また、第2検知時優先度PS2は、入力操作の有効性の判定結果と検知部19の座標(領域)に応じて定義される入力判別の順位(選択順位)で、記憶部17が記憶している。第2検知時優先度PS2は、連続して同一の検知部19に対する入力操作が有効であると判定された場合に、入力操作が有効である検知部19に第1選択順位(1)を、入力操作が有効である検知部19に隣接する検知部19より離れる方向に隣接する検知部19に第2,3選択順位(2,3)を、入力操作が有効である期間にのみ、優先度有効として付与される。入力操作が有効である検知部19に隣接する検知部19には優先度無効として選択順位は付与されない。なお、第2検知時優先度PS2は、本実施形態では利用せず、後述する第2変形例及び第3変形例においてのみ利用する。
【0057】
本実施形態では、図2に示すように、第1基本優先度PB1は、各検知部19が受け持つそれぞれの制御内容や各検知部19の配置(座標)など、入力装置の設計仕様に応じて設定される。本実施形態においては、第1基本優先度PB1は、タッチセンサAに第1選択順位(1)、タッチセンサBに第2選択順位(2)、タッチセンサCに第3選択順位(3)、タッチセンサDに第4選択順位(4)、タッチセンサEに第5選択順位(5)を付与する優先度としている。
【0058】
そして、いずれかの検知部19(図2(b)においてはタッチセンサC)が連続して入力操作を検知して、同一の検知部19(図2(b)においてはタッチセンサC)に対する連続した入力操作が有効と判定された場合は、入力操作が有効である検知部19(実施例ではタッチセンサC)のみに、入力操作が有効である期間、第1選択順位(1)を付与する第1検知時優先度PS1を設定し(=優先度有効)、入力操作を検知していないか、または検知した入力操作が無効である他の各検知部19には優先度を設定しない(即ち、優先度無効とする)ようになっている。
【0059】
上述した内容の理解を深めるために、以下に本実施形態に係る電子機器用の入力装置の入力制御方法についてフローチャートに基づいて説明する。図3は、図1に示した電子機器用の入力装置による入力制御方法を示すフローチャートである。図3のフローチャートは、複数の座標でそれぞれ特定される複数のキーのうち、一つのキーについてのルーチンに基づき説明するが、他のキーについても同様のルーチンで行われている。
【0060】
本実施形態に係る電子機器用の入力装置の入力制御方法を開始すると、図3に示すように、上述した第1基本優先度(PB1)を設定する(ステップS11)。そして、入力操作を検知したか否か(つまり指が入力操作部20に接触したか否か)を判定する(ステップS12)。ここで、入力操作を検知していない(No)場合は、再びステップS12に戻る。一方、ステップS12で入力操作を検知した(Yes)場合は、検知情報(SN)を取得する(ステップS13)。続いて、入力状態である入力情報(IN)を取得する(ステップS14)。
【0061】
続いて、ステップS14で取得した入力情報(IN)が有効であるか否かを判定する(ステップS15)。ここで、入力情報(IN)が有効でない(No)と判定した場合は、再びステップS12に戻る。一方、ステップS14で取得した入力情報(IN)が有効である(Yes)と判定した場合は、有効座標(PN)の特定を行う(ステップS16)。
【0062】
次いで、今回特定した有効座標PNが前回特定した有効座標PN−1と同一の座標であるか否か(即ち、PN=PN−1?)を判定する(ステップS17)。ここで、PN=PN−1である(Yes)と判定した場合は、第1検知時優先度(PS1)を設定し(ステップS18)、再びステップS12に戻る。一方、PN=PN−1ではない(No)と判定した場合は、第1基本優先度(PB1)を設定する(ステップS19)。次いで、今回特定した有効座標(PN)に基づき有効座標情報(IPN)を更新する(ステップS20)。そして、有効座標情報(IPN)に対応した出力情報(IF)を電子機器12に出力する(ステップS21)。
【0063】
続いて、このフローチャートによる電子機器用の入力装置の入力制御方法を実際のキー操作に基づいて例示的に説明する。図4は、図1に示した電子機器用の入力装置による入力制御方法を具体的に説明する説明図である。
【0064】
なお、以下の説明で紹介する状態番号1〜5または1〜6とは、入力操作部20に指が触れたことを、いずれのタッチセンサも検知しないか、いずれか1つのタッチセンサが検知したか、隣接する2つのタッチセンサが検知したかを所定の連続するサンプリング時間ごとに判定する状態判定のタイミングを表すもので、状態番号1から5(または6)の順に時系列的に連続して構成されている。
【0065】
最初は、操作者の指はいずれのタッチセンサからも離間しており、基本優先度PB1が用いられている(図4(b)の状態番号1参照)。これは、図2(a)の状態及び図3におけるステップS11やステップS12のNoに相当する。
【0066】
このように、第1基本優先度PB1を設定している状態で、タッチセンサCに対する入力操作が最初に有効と判定されると(図4(b)の状態番号2参照)、次回の判定以降(図4(b)の状態番号3以降)に用いる優先度を第1検知時優先度PS1に変更する(切り替える)。この一連の流れは、図3におけるステップS12〜S18に相当する。図4(b)の状態番号3は図2(b)の状態に相当する。
【0067】
第1検知時優先度PS1は、前回の判定でタッチセンサCに対する入力操作を有効と判定した結果に基づいて、タッチセンサCに対する入力操作のみに第1選択順位(1)を付与して今回の入力判定に用いる。この一連の流れは、図3におけるステップS18、S12〜S16に相当する。
【0068】
このような第1検知時優先度PS1を設定している状態で、タッチセンサCとタッチセンサBとの両方から検知情報が出力されると、第1基本優先度PB1により第1選択順位(1)が付与されているタッチセンサCからの検知情報の基となるタッチセンサCに対する入力操作のみを有効と判定する(図4(b)の状態番号3参照)とともに、次回の判定に用いる優先度を、タッチセンサCに第1選択順位(1)を付与する第1検知時優先度PS1として設定する。この一連の流れは、図3におけるステップS17〜S18に相当する。このようにして、第1検知時優先度PS1を用いていずれのタッチセンサに入力操作がなされたかを判定する。
【0069】
図4(b)の状態番号4に移行すると、タッチセンサCからの検出情報のみ得られるので、第1検知時優先度PS1から判定結果がCとなる。
【0070】
また、図4(b)の状態番号5では、タッチセンサCを押している指がタッチセンサBよりに接近するので、タッチセンサCとBの双方から検知情報が得られるが、第1検知時優先度PS1からタッチセンサBの検出情報が無視され、判定結果がCとなる。これは、図4(a)の状態に相当する。
【0071】
このように、図4(a)の状態であっても、第1検知時優先度PS1を用いることで、操作者が意図しないタッチセンサBの入力操作を有効と判定したり、判定結果が隣接するタッチセンサ間を往復するチャタリング現象が発生したりする課題を解決し、入力操作の安定性を確保することができる。このことは、図4(b)の判定結果と同様の指の操作でタッチセンサCを押している従来例の判定結果を示した図9(b)とを比較すると明らかである。
【0072】
続いて、本実施形態の第1変形例に係る電子機器用の入力装置に関する入力制御方法の具体例について説明する。なお、上述の実施形態と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
【0073】
第1変形例に係る電子機器用の入力装置においては、データ処理部16は、入力操作部20に当接したまま当接する座標を遷移させるスライド操作によって入力操作が行われ、少なくとも1個以上の入力情報がはじめて入力され、スライド操作の基点座標の検知部19に対する入力操作に由来する基点入力情報を含むとき、基本優先度PB1を用いて入力情報から基点入力情報のみを選択し、選択された入力情報の基となる入力操作が行われていると判定する。また、データ処理部16は、基本優先度を第1検知時優先度PS1に切り替え、引き続き少なくとも1個以上の入力情報が入力されるとき、第1検知時優先度PS1を用いて入力情報の基となる入力操作が有効であるか無効であるかのいずれかの判定を行う。そして、データ処理部16は、少なくとも、判定の結果が無効である場合と有効と判定した入力操作がスライド操作の終点座標の検知部19に対する入力操作に由来する終点入力情報を含むとき、第1検知時優先度PS1を基本優先度PB1に切り替えるようになっている。
【0074】
以下に、上述した変形例の電子機器用の入力装置による入力制御方法の具体例について詳細に説明する。図5は、本実施形態の第1変形例を示す説明図であり、図4に対応する図である。この図は、調整項目の程度(強←中→弱)を連続的に細かく調整するために、基点座標をタッチセンサC、終点座標をタッチセンサAとEとした場合の、スライド操作を説明する図を例示的に示したものである。なお、この図の適用対象として、例えば照明機器の調光、送風機器の風量調整、空調機器の温度設定、AV機器の音量や音質の調整、映像機器の画質調整、調理機器の出力調整などの電子機器が有する調整機能が考えられるが、これに限定されるものではない。
【0075】
本実施形態の第1変形例は、タッチセンサCを基点に、タッチセンサB、タッチセンサAの順に操作者の指を連続的に当接したまま座標(領域)を移動するような入力操作(スライド操作)を行う場合に有用である(図5(a)の矢印参照)。
【0076】
最初に操作者の指が離間している状態では、第1基本優先度PB1を設定している(図5(b)の状態番号1参照)。操作者の指が離間している状態は、図2(a)に示す状態で、操作者の指による入力操作を検知していない状態である。この状態で、操作者の指がスライド操作の基点となる検知部19(タッチセンサC)に対する入力操作が最初に有効と判定されると(図5(b)の状態番号2参照)、次回の判定以降(図5(b)の状態番号3,4参照)に用いる優先度を第1検知時優先度PS1に変更する(切り替える)。
【0077】
第1検知時優先度PS1は、状態番号3において前回の判定でタッチセンサCに対する入力操作を有効と判定した結果に基づいて、タッチセンサCに対する入力操作に第1選択順位(1)を付与し、そのほかのタッチセンサ(図5(b)では、タッチセンサA,B,D,E)には優先度を無効とする。
【0078】
このような第1検知時優先度PS1を設定している状態で、操作者が指先でスライド操作を行うと、タッチセンサから検知情報を得るサンプリング時間との関係で、同一の状態番号において隣接する2つのタッチセンサから出力がそれぞれ得られる。そのため、タッチセンサCからタッチセンサBを経てタッチセンサAまで指をスライドさせた場合、スライド操作の前半、即ち図5(b)に示す状態番号3においてスライド操作に伴いタッチセンサCとタッチセンサBとの両方から検知情報が出力されると、第1選択順位(1)が付与されているタッチセンサCからの検知情報の基となる(タッチセンサCに対する)入力操作のみを有効と判定する(図5(b)の状態番号3参照)とともに、次回の判定に用いる優先度は、(スライド操作が完了していないため)引き続き第1検知時優先度PS1を設定する。
【0079】
この状態で、更にスライド操作を行い、指をタッチセンサBからタッチセンサAまで移動させると、タッチセンサBとタッチセンサAとの両方から検知情報が出力される。この際、第1選択順位(1)の付与されたタッチセンサCからの検知情報が得られなくなる(図5(b)の状態番号4参照)。その結果、判定結果にはいずれのタッチセンサも特定されず、第1検知時優先度PS1から第1基本優先度PB1に再び戻す。
【0080】
続いて、タッチセンサAのみからの検知情報が得られると、判定結果をAにすると共に、続く状態番号5における判定優先度を第1検知時優先度PS1に変更する(図5(b)の状態番号5参照)。そして、図5(b)の状態番号6においてタッチセンサAを再び検知したとき、処理を終了する。
【0081】
上述した本実施形態の第1変形例の説明によれば、本実施形態がタッチセンサCを基点に、タッチセンサB、タッチセンサAの順に操作者の指を連続的に当接したまま座標(領域)を移動するような入力操作(スライド操作)を行われる場合にも有効に作用することが明らかである。なぜなら、第1変形例がこのような構成を有することで、入力操作部に当接したまま接する座標を遷移させるスライド操作によって入力操作が行われる場合において、入力操作の有効性判定結果に伴う領域とこれに隣接する領域との間で発生するチャタリング現象を排除することができるためである。
【0082】
続いて、上述した実施形態の第2変形例について説明する。この第2変形例に係る電子機器用の入力装置においては、第1基本優先度PB1は、全ての検知部19の座標に対応した選択順位群であり、第2検知時優先度PS2から第2基本優先度に切り替えるときは、少なくともスライド操作が終了した座標に対する入力操作に由来する入力情報に最上位の選択順位を付与するようになっている。
【0083】
また、第2検知時優先度PS2は、基点座標の検知部に対する入力操作に由来する基点入力情報に最上位の選択順位を付与し、終点入力情報に2番目以下で且つ基点座標と終点座標以外の座標の検知部に対する入力操作に由来する入力情報より上位の選択順位を付与する選択順位群となっている。
【0084】
上述した内容の理解を深めるために、以下に本実施形態の第2変形例に係る電子機器用の入力装置の入力制御方法についてフローチャートに基づいて説明する。図6は、本実施形態の第2変形例に係る電子機器用の入力装置による入力制御方法を示すフローチャートである。図6のフローチャートは、複数の座標でそれぞれ特定される複数のキーのうち、一つのキーについてのルーチンに基づき説明するが、他のキーについても同様のルーチンで行われている。
【0085】
本実施形態の第2変形例に係る電子機器用の入力装置の入力制御方法を開始すると、図6に示すように、第1基本優先度PB1を設定する(ステップS111)。続いて、入力操作を検知したか否か(つまり指が入力操作部20に接触したか否か)を判定する(ステップS112)。ここで、入力操作を検知していない(No)場合は、再びステップS112に戻る。一方、ステップS112で入力操作を検知した(Yes)場合は、検知情報(SN)を取得する(ステップS113)。続いて、入力状態である入力情報(IN)を取得する(ステップS114)。
【0086】
続いて、ステップS114で取得した入力情報(IN)が有効であるか否かを判定する(ステップS115)。ここで、入力情報(IN)が有効でない(No)と判定した場合は、再びステップS112に戻る。一方、ステップS114で取得した入力情報(IN)が有効である(Yes)と判定した場合は、有効座標(PN)の特定を行う(ステップS116)。次いで、今回特定した有効座標(PN)が前回特定した有効座標(PN−1)と同一の座標であるか否か(即ち、PN=PN−1?)を判定する(ステップS117)。
【0087】
ここで、PN=PN−1ではない(No)と判定した場合は、今回特定した有効座標(PN)が基点座標(PS)と同一の座標であるか否か(即ち、PN=PS?)を判定する(ステップS118)。ここで、PN=PSでない(No)と判定した場合は、再びステップS112に戻る。一方、PN=PSである(Yes)と判定した場合は、第1基本優先度PB1を設定する(ステップS119)。次いで、今回特定した有効座標(PN)に基づき有効座標情報(IPN)を更新する(ステップS120)。ここまで説明した各ステップによって、スライド操作の基点となる座標(タッチセンサC)を特定することができる。
【0088】
ステップS117においてPN=PN−1である(Yes)と判定した場合は、今回特定した有効座標(PN)が終点座標(PE)と同一の座標であるか否か(即ち、PN=PE?)を判定する(ステップS121)。ここで、PN=PEでない(No)と判定した場合は、第2検知時優先度PS2を設定する(ステップS122)。ここで説明した各ステップによって、有効座標(PN)を移動させることができる。
【0089】
一方、ステップS121においてPN=PEである(Yes)と判定した場合は、第1基本優先度PB1を設定する(ステップS123)。そして、機能実行情報(IF)を電子機器に出力する(ステップS124)。
【0090】
続いて、このフローチャートによる電子機器用の入力装置の入力制御方法を実際のキー操作に基づいて例示的に説明する。図7は、図1に示した電子機器用の入力装置による入力制御方法を具体的に説明する説明図である。
【0091】
最初に操作者の指がいずれのタッチセンサからも離間している状態では、第1基本優先度PB1を設定している(図7(b)の状態番号1参照)。操作者の指が離間している状態は、図2(a)に示す状態で、操作者の指による入力操作を検知していない状態である。この状態で、操作者の指によりスライド操作の基点となる検知部19(タッチセンサC)に対する入力操作が行われたことが最初に有効と判定されると(図7(b)の状態番号2参照)、次回の判定以降(図7(b)の状態番号3,4参照)に用いる優先度を第2検知時優先度PS2に変更する(切り替える)。
【0092】
第2検知時優先度PS2は、状態番号3において前回の判定でタッチセンサCに対する入力操作を有効と判定した結果に基づいて、タッチセンサCに対する入力操作に第1選択順位(1)を付与し、タッチセンサCに隣接するタッチセンサ(図7(b)ではタッチセンサBとタッチセンサD)に対する入力操作には優先度を付与せず(即ち、優先度無効とし)、タッチセンサCから更に離れて隣接するタッチセンサ(図7(b)ではタッチセンサAとタッチセンサE)に第2選択順位(2)と第3選択順位(3)をそれぞれ付与したもので、この第2検知時優先度PS2を本変形例の入力判定に用いる。
【0093】
このような第2検知時優先度PS2を設定している状態で、操作者が指先でスライド操作を行うと、タッチセンサから検知情報を得るサンプリング時間との関係で、同一の状態番号において隣接する2つのタッチセンサから出力がそれぞれ得られる。そのため、タッチセンサCからタッチセンサBを経てタッチセンサAまで指をスライドさせた場合、スライド操作の前半、即ち図7(b)に示す状態番号3においてスライド操作に伴いタッチセンサCとタッチセンサBとの両方から検知情報が出力されると、第1選択順位(1)が付与されているタッチセンサCからの検知情報の基となる(タッチセンサCに対する)入力操作のみを有効と判定する(図7(b)の状態番号3の判定結果参照)とともに、次の状態番号4の判定に用いる優先度は、(スライド操作が完了していないため)引き続き第2検知時優先度PS2を設定する。
【0094】
この状態で、更にスライド操作を行い、指をタッチセンサBからタッチセンサAまで移動させると、タッチセンサBとタッチセンサAとの両方から検知情報が出力される。この際、第2選択順位(2)が付与されているタッチセンサAからの検知情報の基となる(タッチセンサAに対する)入力操作のみを有効と判定する(図7(b)の状態番号4参照)。しかしながら、状態番号4においては、第2検知時優先度PS2に基づき、タッチセンサAは第2選択順位(2)に指定されているので、判定結果には反映されない。この際、優先順位(1)であるタッチセンサCの検知情報が得られていないので、次の状態番号5における優先度の設定を第1基本優先度PB1に戻す。続いて、指がタッチセンサAのみに到達してスライド操作を完了すると、優先順位(1)であるタッチセンサAのみの検知情報が得られるので、判定結果Aを出力する(図7(b)の状態番号5参照)。
【0095】
本変形例によると、タッチセンサAに対する入力操作が有効となるのは状態番号4の状態で、一連の判定処理が完了となるのは2回目に設定される第1基本優先度PB1に基づきタッチセンサAに対する入力操作を有効と判定する状態(状態番号5)となり、スライド操作について上述した第1変形例を適用した場合よりも処理プロセスが簡素となり処理完了までに遷移する状態の数を1つ減らすことができる。
【0096】
続いて、上述した実施形態の第3変形例について説明する。なお、第2変形例との相違点は、スライド操作の向きと、図8(b)に示す状態番号5において新たに第2基本優先度PB2を用いる点にある。従って、その他の点については同等であるので、詳細な説明を省略する。
【0097】
図8は、本実施形態の第3変形例を示す説明図であり、図4に対応する図である。この第3変形例は、タッチセンサCを基点に、タッチセンサD、タッチセンサEの順に連続的に当接するような入力操作(スライド操作)を行う場合に適した変形例である。第2基本優先度PB2は、タッチセンサEに対する入力操作に第1選択順位(1)を付与し、タッチセンサDに対する入力操作に第2選択順位(2)を付与し、タッチセンサCに対する入力操作に第3選択順位(3)を付与し、タッチセンサBに対する入力操作に第4選択順位(4)を付与し、タッチセンサAに対する入力操作に第5選択順位(5)を付与するようになっている。
【0098】
上述した第2変形例においては、図8(b)の状態番号5で、第1基本優先度PB1を用いた場合に、タッチセンサEに対する入力操作よりもタッチセンサDに対する入力操作に上位の選択順位(4)が付与されることによって、判定結果が隣接するタッチセンサ(EとDとの)間を往復するチャタリング現象を発生させてしまうが、この第3変形例によると、状態番号5で第2基本優先度PB2を用いているので、操作者の指が誤ってタッチセンサDよりに僅かにずれでも判定結果はEのままとなり、そのようなチャタリング現象を回避できる。
【0099】
なお、第2基本優先度PB2は、図示したパターンには限定されず、タッチセンサEに第1の選択順位(1)が付与されていれば良い。
【0100】
以上説明した本発明は、所謂生活家電製品、OA機器、住宅用機器などの操作部への適用に特に適している。その理由は、複数の操作キー(キースイッチ)を備え、操作キー(キースイッチ)を構成する静電容量式の複数のタッチセンサが配置されるそれぞれの座標(領域)に応じて制御項目(機能)を割り当てるが、比較的多数の操作キー(キースイッチ)を備え、操作者が複数の指を用いて高速に入力操作を行うことを想定した入力装置(例えば、パーソナルコンピュータ用のキーボード)などと比較すると、操作キー(キースイッチ)が配置される座標(領域)や割り当てる制御項目(機能)の数は少なく、また入力操作は押下(当接)や当接しながらのスライドなど比較的単純な操作となることから、複雑で冗長な制御は不要で極力簡素に制御を行う必要性に合致しているからである。
【0101】
なお、検知部19として使用するセンサは、静電容量式のタッチセンサに限定されない。つまり、静電容量式のタッチセンサ以外のセンサを検知部19に使用した場合であっても、上述の通り入力操作を行って入力操作が有効であると判定された場合にのみ、入力操作を有効と判定した座標に対応する出力情報IFを電子機器12に出力し、電子機器12の動作を制御するようになっていれば、本発明の目的を達成できるので、設計仕様等に鑑みて最適なセンサを選択すれば良い。
【0102】
また、上述した変形例のスライド操作を考慮した場合、入力操作部20は、「面」として形成されていることが好ましが、曲面でもスライド操作は可能であり、必ずしも「平坦面」であることは必須の要件ではない。
【符号の説明】
【0103】
11 電子機器システム
12 電子機器
13 入力装置
14 制御回路部
15 入力処理部
16 データ処理部
17 記憶部
18 入力情報検出回路
19 検知部
20 入力操作部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる入力内容を択一的又は同時に入力可能な入力操作部と、該入力操作部に対する入力操作を検知して前記複数の異なる入力内容に対応した検知情報を出力する検知部と、を有し、少なくとも前記入力操作を伴う場合に前記検知情報に応じた入力情報を出力する入力処理部と、
前記入力情報が入力され、前記入力情報の基となる前記入力操作が行われているとの判定の下で、前記入力操作に対応する出力情報を前記電子機器に出力する制御回路部と、を備えた電子機器用の入力装置であって、
該制御回路部は、前記入力操作が行われているとの判定が未確定の時点で、少なくとも1個以上の前記入力情報が出力された場合に、
前記入力操作が行われているか否かの判定結果の推移に応じて設定される異なる優先度のうちいずれかの優先度に基づいて、前記入力情報から1個のみを選択し、該選択された入力情報の基となる入力操作が行われていると判定することを特徴とする電子機器用の入力装置。
【請求項2】
前記異なる優先度は、少なくとも前記座標に基づく前記入力情報の選択順位群である基本優先度と、少なくとも入力操作が行われていると判定された入力操作を検知した検知部の座標に基づく前記入力情報の選択順位群である検知時優先度と、からなり、
前記制御回路部は、
前記複数の異なる入力内容に対応した前記検知部の座標と、
前記座標に対応する前記出力情報と、
前記基本優先度と、前記検知時優先度と、を有する記憶部と、
前記入力操作が行われているとの判定が未確定の時点で、少なくとも1個以上の前記入力情報が入力された場合に、前記入力操作が行われているか否かの判定結果の推移に応じて設定される前記基本優先度または前記検知時優先度のいずれかの優先度に基づいて、前記入力情報から1個のみを選択したとき、選択された前記入力情報の基となる入力操作が行われていると判定するとともに、前記入力操作に対応する出力情報を前記電子機器に出力するデータ処理部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器用の入力装置。
【請求項3】
前記データ処理部は、
少なくとも1個以上の前記入力情報が入力され、前記入力情報は前回入力操作が行われていると判定された入力操作を検知した検知部と異なる別の検知部が検知した入力操作に由来するとき、前記基本優先度を用いて入力情報から1個のみを選択し、選択された前記入力情報の基となる入力操作が行われていると判定し、前記入力情報は少なくとも2回以上連続して同じ検知部が検知した入力操作に由来するとき、前記検知時優先度を用いて入力情報から1個のみを選択し、選択された入力情報の基となる入力操作が行われていると判定することを特徴とする請求項2に記載の電子機器用の入力装置。
【請求項4】
前記基本優先度は、
全ての前記検知部の座標に対応し、且つ全ての前記検知部に対する入力操作に由来する全ての入力情報に任意の選択順位を付与した選択順位群であり、
前記検知時優先度は、前回入力操作が行われていると判定された入力操作を検知した検知部の座標に対応し、
且つ少なくとも2回以上連続して同じ検知部に入力操作が行われていると判定されたときに前記入力操作に由来する入力情報のみに最上位の選択順位を付与した選択順位群であることを特徴とする請求項2または3に記載の電子機器用の入力装置。
【請求項5】
前記データ処理部は、
前記入力操作部に当接したまま該当接する座標を遷移させるスライド操作によって入力操作が行われ、
少なくとも1個以上の前記入力情報がはじめて入力され、
前記スライド操作の基点座標の検知部に対する入力操作に由来する基点入力情報を含むとき、前記基本優先度を用いて前記入力情報から基点入力情報のみを選択し、選択された前記入力情報の基となる入力操作が行われていると判定するとともに、
前記基本優先度を前記検知時優先度に切り替え、
引き続き少なくとも1個以上の前記入力情報が入力されるとき、前記検知時優先度を用いて前記入力情報の基となる入力操作が有効であるか無効であるかのいずれかの判定を行うとともに、
少なくとも、前記判定の結果が無効である場合と前記有効と判定した入力操作が前記スライド操作の終点座標の検知部に対する入力操作に由来する終点入力情報を含むとき、前記検知時優先度を前記基本優先度に切り替えることを特徴とする請求項2に記載の電子機器用の入力装置。
【請求項6】
前記基本優先度は、
全ての前記検知部の座標に対応した選択順位群であり、
前記検知時優先度から前記基本優先度に切り替えるときは、少なくともスライド操作が終了した座標に対する入力操作に由来する入力情報に最上位の選択順位を付与し、
前記検知時優先度は、
前記基点座標の検知部に対する入力操作に由来する基点入力情報に最上位の選択順位を付与し、前記終点入力情報に2番目以下で且つ前記基点座標と前記終点座標以外の座標の検知部に対する入力操作に由来する入力情報より上位の選択順位を付与する選択順位群であることを特徴とする請求項4または5に記載の電子機器用の入力装置。
【請求項7】
複数の異なる入力内容を択一的又は同時に入力操作が可能であり、該入力操作が行われたことを検知して前記複数の異なる入力内容に対応した検知情報を出力し、少なくとも前記入力操作を伴う場合に前記検知情報に応じた入力情報を出力するようになっており、前記入力情報が入力され、前記入力情報の基となる前記入力操作が行われているとの判定の下で、前記入力操作に対応する出力情報を出力する入力制御方法であって、
前記入力操作が行われているとの判定が未確定の時点で、少なくとも1個以上の前記入力情報が出力された場合に、
前記入力操作が行われているか否かの判定結果の推移に応じて設定される異なる優先度のうちいずれかの優先度に基づいて、前記入力情報から1個のみを選択し、該選択された入力情報の基となる入力操作が行われていることを制御回路部によって判定することを特徴とする入力制御方法。
【請求項8】
前記異なる優先度は、少なくとも前記座標に基づく前記入力情報の選択順位群である基本優先度と、少なくとも入力操作が行われていると判定された入力操作を検知した検知部の座標に基づく前記入力情報の選択順位群である検知時優先度と、からなり、
前記制御回路部は、前記入力制御を行うにあたって、
少なくとも、前記複数の異なる入力内容に対応した前記検知部の座標と、
前記座標に対応する前記出力情報と、
前記基本優先度と、前記検知時優先度と、を記憶するようになっており、
前記入力操作が行われているとの判定が未確定の時点で、少なくとも1個以上の前記入力情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで前記入力情報が取得された場合に、前記入力操作が行われているか否かの判定結果の推移に応じて前記基本優先度または前記検知時優先度のいずれかの優先度を設定する設定ステップと、
前記設定ステップで設定される前記基本優先度または前記検知時優先度のいずれかの優先度に基づいて、前記入力情報から1個のみを選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択された前記入力情報の基となる入力操作が行われていると判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおける判定に基づいて前記入力操作に対応する出力情報を出力する出力ステップと、を有することを特徴とする請求項7に記載の入力制御方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate