説明

電子機器

【課題】測定作業の効率を向上し得る測定装置を提供する。
【解決手段】本体部2と、本体部2が載置面に対して所定の角度で傾斜するように本体部2を支持するスタンド4とを備え、本体部2の上下方向(傾斜状態の本体部2における上部側の位置と下部側の位置との間の方向)に沿ってスライド可能に本体部2の背面14側に配設されたスライド部3を備え、スタンド4は、スライド部3に対して回動可能に連結されると共にスライド部3に対して対向しつつ傾斜した状態を維持可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体部が載置面に対して所定の角度で傾斜するように本体部を支持する支持部を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電子機器として、特開平9−33679号公報に開示された携帯用試験器具(器具)が知られている。この携帯用試験器具は、スタンドとして機能するベイルを備えて構成されている。この場合、この携帯用試験器具では、ベイルが携帯用試験器具に対して予め定められた所定の角度(開脚角度)で開くように構成されている。
【特許文献1】特開平9−33679号公報(第3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記の携帯用試験器具には以下の問題点が存在する。すなわち、この器具では、ベイルの開脚角度が予め定められた1つだけに限定されている。この場合、この種の携帯用試験器具は様々な測定環境下で使用されるため、測定環境に応じて携帯用試験器具の傾斜角度を変更することで画面を見易くしたり、操作をし易くして作業効率を向上させることができるのが好ましい。しかしながら、この携帯用試験器具では、ベイルの開脚角度が1つだけに限定されているため、携帯用試験器具を載置した際の載置面に対する傾斜角度も1つだけに限定される結果、作業効率の向上が困難であるという問題点が存在する。
【0004】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、測定作業の効率を向上し得る電子機器を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成すべく請求項1記載の電子機器は、本体部と、当該本体部が載置面に対して所定の角度で傾斜するように当該本体部を支持する支持部とを備えた電子機器であって、前記本体部の上下方向に沿ってスライド可能に当該本体部の背面側に配設されたスライド部を備え、前記支持部は、前記スライド部に対して回動可能に連結されると共に前記スライド部に対して対向しつつ傾斜した状態を維持可能に構成されている。
【0006】
また、請求項2記載の電子機器は、請求項1記載の電子機器において、前記本体部は、前記背面に配設された突起部を備え、前記スライド部は、前記本体部に配設された状態における当該本体部の前記上下方向に沿って形成されると共に前記突起部の挿入が可能なスリットを備えている。
【0007】
また、請求項3記載の電子機器は、請求項1または2記載の電子機器において、前記スライド部は、前記本体部に配設された状態において当該本体部の前記上下方向における上部側に位置する一端部において当該スライド部と一体形成された軸受け部を備え、前記支持部は、前記軸受け部に対向する一端部において当該支持部と一体形成されると共に前記軸受け部に回動可能に挿入される軸部を備え、前記軸受け部に前記軸部が挿入されることによって前記スライド部に連結される。
【0008】
また、請求項4記載の電子機器は、請求項1から3のいずれかに記載の電子機器において、前記本体部は、前記背面側において前記上下方向で互いに離間した複数の位置にそれぞれ形成された複数の第1嵌合部を備え、前記スライド部は、前記各第1嵌合部に嵌合可能に形成された第2嵌合部を備えると共に、前記複数の位置において前記第1および第2嵌合部が互いに嵌合して当該各位置においてスライドが規制される。
【0009】
また、請求項5記載の電子機器は、請求項4記載の電子機器において、前記本体部は、前記スライドが規制される各位置にそれぞれ対応する所定の位置に形成された孔または凹部を備え、前記支持部は、前記孔または凹部に挿入可能に形成された凸部を備え、前記スライドが規制される各位置において前記孔または凹部に前記凸部が挿入されることによって前記傾斜した状態を維持する。
【0010】
また、請求項6記載の電子機器は、請求項1から5のいずれかに記載の電子機器において、前記スライド部と前記支持部とが互いに対向した状態において当該スライド部に対して回動不可状態に当該支持部をロックするロック部を備え、前記ロック部は、前記支持部のロック状態において前記スライド部が前記上下方向における下方向にスライドさせられたときに当該支持部のロックを解除する。
【0011】
また、請求項7記載の電子機器は、請求項1から6のいずれかに記載の電子機器において、測定装置として構成されている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1,7記載の電子機器によれば、本体部の上下方向に沿ってスライド可能に本体部の背面側に配設されたスライド部に支持部を回動可能に連結すると共に、スライド部に対して対向しつつ傾斜した状態を維持可能に支持部を構成したことにより、載置面に対する傾斜角度が1つだけに限定される従来の携帯用試験器具とは異なり、本体部の上下方向にスライド部をスライドさせて、異なる位置で支持部をスライド部に対して傾斜させることで、載置面に対する本体部の傾斜角度を複数の傾斜角度に切り替えることができる。したがって、この電子機器によれば、測定環境に応じて本体部の傾斜角度を変更することで画面を見易くしたり、操作をし易くしたりすることができるため、測定作業の効率を十分に向上させることができる。また、スライド部をスライドさせることで傾斜角度を複数の傾斜角度に切り替えることができるため、スライド部を備えていない構成と比較して、支持部を短く形成したとしても、本体部を載置面に対して大きな傾斜角度で傾斜させることができる。
【0013】
また、請求項2記載の電子機器によれば、本体部の背面に突起部を配設すると共に、突起部の挿入が可能なスリットを本体部の上下方向に沿ってスライド部に形成したことにより、本体部からスライド部を外れさせることなく、本体部の背面側でその上下方向に沿ってスライド部を確実かつスムーズにスライドさせることができる。
【0014】
また、請求項3記載の電子機器によれば、スライド部の一端部において軸受け部をスライド部に一体形成すると共に、軸受け部に回動可能に挿入される軸部を支持部の一端部において支持部に一体形成して、軸受け部に軸部を挿入することによって支持部をスライド部に連結したことにより、簡易な構成でありながら軸部を中心として支持部をスムーズに回動させることができる。また、例えば、別体に形成した軸受けや軸部をインサート成形する構成と比較して、スライド部および支持部を容易に作製することができる。
【0015】
また、請求項4記載の電子機器によれば、本体部の背面側に複数の第1嵌合部を形成すると共に、スライド部に第2嵌合部を形成したことにより、第1嵌合部に第2嵌合部を嵌合させることで、本体部の上下方向における複数の位置においてスライド部のスライドを確実に規制することができる。
【0016】
また、請求項5記載の電子機器によれば、本体部に孔または凹部を形成すると共に、その孔または凹部に挿入可能な凸部を支持部の上端部に形成したことにより、孔または凹部に凸部を挿入させることで、支持部をスライド部に対して所定の角度で傾斜した状態に確実に維持することができる。このため、載置面に対して傾斜するように本体部を支持部で確実に支持することができる。
【0017】
また、請求項6記載の電子機器によれば、スライド部に対して支持部を回動不可状態にロックするロック部を備えたことにより、支持部をスライド部側に折り畳んだ(両者を互いに対向させた)状態において支持部を回動不可状態に確実にロックすることができる。このため、電子機器を手に持った状態で使用する際に、支持部が開く事態を確実に防止することができる。また、支持部がロックされている状態においてスライド部が下方向にスライドさせられたときにロック部による支持部のロックが解除されるため、スライド部のスライドと支持部のロック解除とを1つの動作で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る電子機器の最良の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0019】
最初に、本発明に係る電子機器を適用した測定装置1の構成について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1,2に示す測定装置1は、本発明に係る電子機器の一例であって、本体部2、スライド部3(図11参照)およびスタンド4を備えて構成されている。また、測定装置1は、携帯型の測定装置であって、手に持った状態での使用に適した大きさに構成されている。また、測定装置1は、スライド部3およびスタンド4を用いることで、本体部2を所定の角度で傾斜させた状態で机や床に載置可能に構成されている。この場合、この測定装置1では、載置面に対する本体部2の傾斜角度を、第1傾斜角度(一例として、約45゜)と第1傾斜角度よりも大きい第2傾斜角度(一例として、約60゜)の2段階に切り替えることが可能となっている。
【0021】
本体部2は、図外の測定部、表示部11および操作部12(いずれも図1参照)を備えて構成されて、操作部12を用いた操作に従い、外部から入力した測定対象信号の電気的パラメータを測定すると共に、その測定結果を表示部11に表示する。この場合、本体部2は、全体として略直方体に形成されて、測定部が内部に収容されると共に、表示部11および操作部12が正面パネル13に配設されて構成されている。また、図3,11に示すように、本体部2の背面14側には、スライド部3がスライド可能に配設される略矩形の凹部21が形成されると共に、バッテリーが収容されたバッテリー収容部15を覆うカバー16が取り付けられている。また、図3に示すように、本体部2の凹部21を構成する側壁22aには、嵌合部23a〜23d(以下、区別しないときには「嵌合部23」ともいう)が形成され、側壁22bには、嵌合部23a〜23dと面対称となるように嵌合部24a〜24d(以下、区別しないときには「嵌合部24」ともいう)が形成されている。この場合、嵌合部23a〜23dおよび嵌合部24a〜24dは、この順で互いに対向するように各々の配設位置が規定されている。
【0022】
ここで、この嵌合部23,24は、本発明における第1嵌合部に相当し、スライド部3の嵌合部36a,36b,37a,37b(本発明における第2嵌合部に相当する:図4参照)と互いに嵌合することで、本体部2における上下方向(図1に示す傾斜状態の本体部2における上部側の位置と下部側の位置との間の方向)へのスライド部3のスライドを規制する機能を有している。さらに、凹部21を構成する底面22cには、スライド部3のスリット31(図4参照)に挿入される突起部25a,25bと、スライド部3のスリット32(同図参照)に挿入される突起部26a,26bとが形成されている。また、底面22cには、スタンド4の凸部42(図5参照)が挿入可能な凹部27a,27b(本発明における孔または凹部の一例)が形成されている。この場合、凹部27a,27bは、嵌合部23,24によってスライド部3のスライドが規制される2箇所の位置においてスタンド4が回動させられたときに、凸部42が挿入可能な位置にその形成位置がそれぞれ規定されている。なお、凹部27a,27bに代えて、凸部42が挿入可能な孔を底面22cに形成する構成を採用することもできる。
【0023】
スライド部3は、本発明における支持部に相当し、図4に示すように、その本体部分が全体として略矩形の板状に形成されている。この場合、スライド部3は、その横幅が本体部2における凹部21の横幅よりもやや狭く規定されると共に、その長さが凹部21の長さよりも短く規定されている。また、スライド部3には、本体部2の突起部25a,25bを挿入させるスリット31、および本体部2の突起部26a,26bを挿入させるスリット32が本体部2に配設された状態における本体部2の上下方向に沿って形成されている。また、本体部2に配設された状態において本体部2の上部側に位置するスライド部3の一端部(以下、「上端部」ともいう)には、スタンド4の一端部を保持する一対の保持用爪部33,33が形成され、上端部の両隅部には、スタンド4の軸部41(図5参照)が挿入可能な一対の軸受け部34,34が例えば樹脂を用いた射出成形などによって本体部分に一体形成されている。さらに、スライド部3の下端部には、ロック用爪部35(図7も参照)が形成されている。また、スライド部3の一方の側面3aには、本体部2の嵌合部23に嵌合する嵌合部36a,36bが形成され、他方の側面3bには、本体部2の嵌合部24に嵌合する嵌合部37a,37bが形成されている。
【0024】
スタンド4は、図5に示すように、スライド部3に連結された状態(図6も参照)においてスライド部3の上端部側に対向する一端部(本発明における軸受け部に対向する一端部:以下、「上端部」ともいう)側の横幅が他端部(以下、「下端部」ともいう)側の横幅よりもやや狭い全体として略矩形の板状にその本体部分が形成されている。また、スタンド4は、下端部側の横幅がスライド部3の横幅とほぼ同じ幅に規定されると共に、その長さがスライド部3の長さよりも長くかつ本体部2における凹部21の長さととほぼ同じ長さに規定されている。また、スタンド4は、図10に示すように、下端部側の両隅部が丸みを帯びた平面視形状に形成されると共に、下端部の端面と裏面(同図において本体部2の底面22cに対向する面)との角部が丸められている(面取りされている)。
【0025】
また、図5に示すように、スタンド4における上端部の両隅部には、一対の軸部41,41が例えば樹脂を用いた射出成形などによって本体部分に一体形成されている。この場合、軸部41は、図6に示すように、スライド部3の軸受け部34に回動可能に挿入されることにより、スライド部3の背面(同図における紙面手前側の面)と対向しつつ接離する方向で回動可能にスタンド4とスライド部3とを連結する。さらに、スタンド4における上端部の中央部には、本体部2の凹部27a,27bに挿入される凸部42が、上端部から所定の角度で傾斜して突出形成されている。ここで、凸部42が傾斜しているため、図11,12に示すように、凸部42が凹部27a,27bに挿入された状態では、スタンド4がスライド部3に対して所定の角度で傾斜する。この場合、スライド部3に対するスタンド4の傾斜角度は、凸部42が凹部27aに挿入された状態で測定装置1を机等に載置したときの載置面に対する本体部2の傾斜角度が約45゜となり、かつ凸部42が凹部27bに挿入された状態で測定装置1を机等に載置したときの載置面に対する本体部2の傾斜角度が約60゜となるように規定されている。
【0026】
また、図5に示すように、スタンド4の下端部側には、ロック用嵌合部43(図8も参照)が形成されている。この場合、ロック用嵌合部43は、スライド部3のロック用爪部35と共に本発明におけるロック部を構成し、図2,9に示すように、スタンド4がスライド部3側に折り畳まれた状態(両者が互いに対向した状態)においてロック用爪部35と嵌合してスタンド4を回動不可状態にロックする切り欠き部43aと、切り欠き部43aとロック用爪部35との嵌合を解除させるための摘み43bとを備えている。また、ロック用嵌合部43は、図10に示すように、折り畳まれた状態のスタンド4がスライド部3と共に本体部2の下端部側(同図では紙面の手前側)にスライドさせられたときに、本体部2に取り付けられているカバー16の縁部にスタンド4の下端部の縁部が乗り上げるようにしてスタンド4がスライド部3から離間させられることで、切り欠き部43aとロック用爪部35との嵌合が解除されるように構成されている。
【0027】
次に、測定装置1の使用方法について、図面を参照して説明する。なお、初期状態において、例えば図12に示すように、スライド部3が本体部2の中央部に位置し、スタンド4がスライド部3に対して傾斜している(開いている)ものとする。
【0028】
この測定装置1では、上記したように、手に持った状態での使用と、机や床に載置した状態での使用とが可能となっている。この場合、例えば測定装置1を手に持って使用するときには、スタンド4の下端部をスライド部3側に押し下げる。この際に、図6に示すように、スライド部3の保持用爪部33によって保持されているスタンド4の上端部、およびスライド部3の軸受け部34に挿入されている軸部41を中心として、スタンド4がスムーズに回動させられて、スタンド4がスライド部3側に折り畳まれる。次いで、図2に示すように、スライド部3をスタンド4と共に本体部2の上端部側に向けてスライドさせる。この際に、スライド部3のスリット31に本体部2の突起部25a,25bが挿入されると共に、スライド部3のスリット32に本体部2の突起部26a,26bが挿入されているため、本体部2から外れることなく本体部2の凹部21内でその上下方向に沿ってスライド部3が確実かつスムーズにスライドさせられる。
【0029】
続いて、スライド部3の上端部が本体部2の上端部側の所定位置までスライドさせられたときには、本体部2の嵌合部23a,23bにスライド部3の嵌合部36a,36bがそれぞれ嵌合すると共に、本体部2の嵌合部24a,24bにスライド部3の嵌合部37a,37bがそれぞれ嵌合することにより、上下方向へのスライド部3のスライドが確実に規制される。次いで、スタンド4の下端部をスライド部3側にさらに押し下げる。この際に、図9に示すように、スタンド4におけるロック用嵌合部43の切り欠き部43aとスライド部3のロック用爪部35とが互いに嵌合して、スタンド4が回動不可状態に確実にロックされる。これにより、測定装置1が、手に持った状態での使用に適した形態(以下、この形態を「第1の形態」ともいう)となる。
【0030】
次に、例えば、入力信号の電気的パラメータ(一例として電圧)を測定するときには、操作部12を操作して、測定条件を設定した後に、測定部に測定を開始させる。この際に、測定部が入力信号をサンプリングして電圧についての測定データを出力し、表示部11が、表示処理を実行することによって測定データに基づく測定値を表示する。
【0031】
一方、この測定装置1では、上記したように、机や床に載置する際に、載置面に対する本体部2の傾斜角度を、第1傾斜角度、および第1傾斜角度よりも大きい第2傾斜角度の2段階に切り替えることが可能となっている。この場合、測定装置1を、例えば、上記した第1の形態から、載置面に対して本体部2を第1傾斜角度に傾斜させる形態(以下、この形態を「第2の形態」ともいう)に変更するときには、ロック用嵌合部43の摘み43bを引き上げることによって切り欠き部43aとロック用爪部35との嵌合を解除させて、図11に示すように、スタンド4の下端部を引き上げる。この際に、スタンド4の上端部および軸部41を中心としてスタンド4がスムーズに回動させられる。また、スタンド4が回動させられることで、スタンド4の凸部42が本体部2の凹部27aに挿入される。これにより、スタンド4がスライド部3に対して所定の角度で傾斜した状態に維持されて、測定装置1が、第2の形態に変更される。次いで、本体部2の下端部とスタンド4の下端部とを下側にして、測定装置1を机等に載置する。この場合、スタンド4の凸部42を本体部2の凹部27aに挿入したことで、スタンド4がスライド部3に対して所定の角度で傾斜した状態に確実に維持されているため、本体部2は、第1傾斜角度(この場合、約45゜)で傾斜するようにスタンド4によって確実に支持される。
【0032】
一方、測定装置1を、上記した第2の形態から、載置面に対して本体部2を第2傾斜角度に傾斜させる形態(以下、この形態を「第3の形態」ともいう)に変更するときには、スタンド4の下端部をスライド部3側に押し下げる。この際に、スタンド4の上端部および軸部41を中心としてスタンド4がスムーズに回動させられる。また、スタンド4が回動させられることで、本体部2の凹部27aに挿入されていたスタンド4の凸部42が凹部27aから引き抜かれる。次いで、スタンド4の下端部をスライド部3側にさらに押し下げることにより、スタンド4におけるロック用嵌合部43の切り欠き部43aとスライド部3のロック用爪部35とを互いに嵌合させて、スタンド4をロックする。これにより、スタンド4がスライド部3側に折り畳まれる。
【0033】
続いて、スライド部3をスタンド4と共に本体部2の下端部側に向けてスライドさせる。この際に、図10に示すように、スタンド4のスライドに伴い、スタンド4の下端部の縁部がカバー16の縁部に乗り上げるようにしてスタンド4がスライド部3から離間させられることで、スタンド4におけるロック用嵌合部43の切り欠き部43aとスライド部3のロック用爪部35との嵌合が解除される。この場合、スタンド4の下端部の両隅部が丸みを帯び、かつ下端部の端面と裏面との角部が丸められているため、スタンド4の下端部の縁部がカバー16の縁部にスムーズに乗り上げる結果、切り欠き部43aとロック用爪部35との嵌合の解除が容易に行われる。なお、上記の例では、スタンド4をロックした(スタンド4を折り畳んだ)状態でスライド部3とスタンド4とを本体部2の下端部側に向けてスライドさせたが、スタンド4をロックすることなくスタンド4の凸部42が本体部2の凹部27aから引き抜かれた段階で、スライド部3とスタンド4とを下端部側に向けてスライドさせてもよい。
【0034】
次いで、スライド部3の下端部が本体部2の下端部側の所定位置までさらにスライドさせられたときには、本体部2の嵌合部23c,23dにスライド部3の嵌合部36a,36bがそれぞれ嵌合すると共に、本体部2の嵌合部24c,24dにスライド部3の嵌合部37a,37bがそれぞれ嵌合することにより、上下方向へのスライド部3のスライドが確実に規制される。続いて、図12に示すように、スタンド4の下端部を引き上げる。この際に、スタンド4の上端部および軸部41を中心としてスタンド4がスムーズに回動させられる。また、スタンド4が回動させられることで、スタンド4の凸部42が本体部2の凹部27bに挿入される。これにより、スタンド4がスライド部3に対して所定の角度で傾斜した状態に維持されて、測定装置1が、第3の形態に変更される。次いで、本体部2の下端部とスタンド4の下端部とを下側にして、測定装置1を机に載置する。この場合、スタンド4の凸部42を本体部2の凹部27bに挿入したことで、スタンド4がスライド部3に対して所定の角度で傾斜した状態に確実に維持されているため、本体部2は、第2傾斜角度(この場合、約60゜)で傾斜するようにスタンド4によって確実に支持される。
【0035】
このように、この測定装置1によれば、本体部2の上下方向に沿ってスライド可能に本体部2の背面14側に配設されたスライド部3にスタンド4を回動可能に連結すると共に、スライド部3に対して対向しつつ傾斜した状態を維持可能にスタンド4を構成したことにより、載置面に対する傾斜角度が1つだけに限定される従来の携帯用試験器具とは異なり、本体部2の上下方向にスライド部3をスライドさせて、異なる位置でスタンド4をスライド部3に対して傾斜させることで、載置面に対する本体部2の傾斜角度を複数の傾斜角度に切り替えることができる。したがって、この測定装置1によれば、測定環境に応じて本体部2の傾斜角度を変更することで画面を見易くしたり、操作をし易くしたりすることができるため、測定作業の効率を十分に向上させることができる。また、スライド部3をスライドさせることで傾斜角度を複数の傾斜角度に切り替えることができるため、スライド部3を備えていない構成と比較して、スタンド4を短く形成したとしても、本体部2を載置面に対して大きな傾斜角度で傾斜させることができる。
【0036】
また、この測定装置1によれば、本体部2の背面14に突起部25a,25b,26a,26bを配設すると共に、突起部25a,25b,26a,26bの挿入が可能なスリット31,32を本体部2の上下方向に沿ってスライド部3に形成したことにより、本体部2からスライド部3を外れさせることなく、本体部2の凹部21内でその上下方向に沿ってスライド部3を確実かつスムーズにスライドさせることができる。
【0037】
また、この測定装置1によれば、スライド部3の上端部において軸受け部34を本体部分に一体形成すると共に、軸受け部34に回動可能に挿入される軸部41をスタンド4の上端部において本体部分に一体形成して、軸受け部34に軸部41を挿入することによってスタンド4をスライド部3に連結したことにより、簡易な構成でありながら軸部41を中心としてスタンド4をスムーズに回動させることができる。また、例えば、別体に形成した軸受けや軸部をインサート成形する構成と比較して、スライド部3およびスタンド4を容易に作製することができる。
【0038】
また、この測定装置1によれば、本体部2の背面14側に嵌合部23,24を形成すると共に、スライド部3に嵌合部36a,36b,37a,37bを形成したことにより、嵌合部23に嵌合部36a,36bを嵌合させると共に、嵌合部24に嵌合部37a,37bを嵌合させることで、本体部2の上下方向における2箇所の位置においてスライド部3のスライドを確実に規制することができる。
【0039】
また、この測定装置1によれば、本体部2に凹部27a,27bを形成すると共に、凹部27a,27bに挿入可能な凸部42をスタンド4の上端部に形成したことにより、凹部27a,27bに凸部42を挿入させることで、スタンド4をスライド部3に対して所定の角度で傾斜した状態に確実に維持することができる。このため、載置面に対して傾斜するように本体部2をスタンド4で確実に支持することができる。
【0040】
また、この測定装置1によれば、スライド部3に対してスタンド4を回動不可状態にロックするロック用爪部35およびロック用嵌合部43をスライド部3およびスタンド4にそれぞれ形成したことにより、スタンド4をスライド部3側に折り畳んだ(両者を互いに対向させた)状態においてスタンド4を回動不可状態に確実にロックすることができる。このため、測定装置1を手に持った状態で使用する際に、スタンド4が開く事態を確実に防止することができる。また、スタンド4がロックされている状態においてスライド部3が下方向にスライドさせられたときにロック用爪部35とロック用嵌合部43との係合が解除されてスタンド4のロックが解除されるため、スライド部3のスライドとスタンド4のロック解除とを1つの動作で行うことができる。
【0041】
なお、本発明は、上記の構成に限定されない。例えば、本体部2の傾斜角度を第1傾斜角度および第2傾斜角度の2段階に切り替え可能に構成した例について上記したが、嵌合部23,24をさらに増やすことで、本体部2の傾斜角度を3段階以上に切り替え可能に構成することもできる。また、スライド部3のスリット31,32に本体部2の突起部25a,25b,26a,26bを挿入させることによって本体部2に対してスライド部3をスライドさせる構成例について上記したが、スライド部3に突起部を形成すると共に本体部2にスリットまたは溝を形成して、そのスリットまたは溝にスライド部3の突起部を挿入してスライド部3をスライドさせる構成を採用することもできる。さらに、スライド部3に軸受け34を形成すると共にスタンド4に軸部41を形成した構成例について上記したが、スライド部3に軸部を形成すると共にスタンド4に軸受けを形成する構成を採用することもできる。また、本発明に係る電子機器を測定装置1に適用した例について上記したが、これに限らず、薄形テレビを初めとする各種ディスプレイ装置、パーソナルコンピュータ、ゲーム機およびナビゲータなどの各種電子機器にも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】測定装置1を正面パネル13側から見た斜視図である。
【図2】測定装置1を背面14側から見た斜視図である。
【図3】本体部2の斜視図である。
【図4】スライド部3の斜視図である。
【図5】スタンド4の斜視図である。
【図6】連結状態のスライド部3およびスタンド4の斜視図である。
【図7】ロック用爪部35の斜視図である。
【図8】ロック用嵌合部43の斜視図である。
【図9】嵌合状態のロック用爪部35およびロック用嵌合部43の斜視図である。
【図10】スライド部3をスライドさせる際のスタンド4の動作を説明するため測定装置1の斜視図である。
【図11】第2の形態に変更した状態の測定装置1の斜視図である。
【図12】第3の形態に変更した状態の測定装置1の斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 測定装置
2 本体部
3 スライド部
4 スタンド
14 背面
23a〜23d,24a〜24d,36a,36b,37a,37b 嵌合部
25a,25b,26a,26b 突起部
27a,27b 凹部
31,32 スリット
34 軸受け部
35 ロック用爪部
41 軸部
42 凸部
43 ロック用嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、当該本体部が載置面に対して所定の角度で傾斜するように当該本体部を支持する支持部とを備えた電子機器であって、
前記本体部の上下方向に沿ってスライド可能に当該本体部の背面側に配設されたスライド部を備え、
前記支持部は、前記スライド部に対して回動可能に連結されると共に前記スライド部に対して対向しつつ傾斜した状態を維持可能に構成されている電子機器。
【請求項2】
前記本体部は、前記背面に配設された突起部を備え、
前記スライド部は、前記本体部に配設された状態における当該本体部の前記上下方向に沿って形成されると共に前記突起部の挿入が可能なスリットを備えている請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記スライド部は、前記本体部に配設された状態において当該本体部の前記上下方向における上部側に位置する一端部において当該スライド部と一体形成された軸受け部を備え、
前記支持部は、前記軸受け部に対向する一端部において当該支持部と一体形成されると共に前記軸受け部に回動可能に挿入される軸部を備え、前記軸受け部に前記軸部が挿入されることによって前記スライド部に連結される請求項1または2記載の電子機器。
【請求項4】
前記本体部は、前記背面側において前記上下方向で互いに離間した複数の位置にそれぞれ形成された複数の第1嵌合部を備え、
前記スライド部は、前記各第1嵌合部に嵌合可能に形成された第2嵌合部を備えると共に、前記複数の位置において前記第1および第2嵌合部が互いに嵌合して当該各位置においてスライドが規制される請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記本体部は、前記スライドが規制される各位置にそれぞれ対応する所定の位置に形成された孔または凹部を備え、
前記支持部は、前記孔または凹部に挿入可能に形成された凸部を備え、前記スライドが規制される各位置において前記孔または凹部に前記凸部が挿入されることによって前記傾斜した状態を維持する請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
前記スライド部と前記支持部とが互いに対向した状態において当該スライド部に対して回動不可状態に当該支持部をロックするロック部を備え、
前記ロック部は、前記支持部のロック状態において前記スライド部が前記上下方向における下方向にスライドさせられたときに当該支持部のロックを解除する請求項1から5のいずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
測定装置として構成されている請求項1から6のいずれかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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