説明

電子機器

【課題】
シールドケースを一体成型し、製作コストの低減を図ると共にコネクタ等の部品の取付け作業性を損うことなく、而もシールド性能の高いシールドケースを具備する電子機器を提供する。
【解決手段】
RF回路等シールドを必要とする回路が形成された配線基板3と、該配線基板に取付けられる前記回路をシールドするシールドケース4とを具備する電子機器に於いて、前記シールドケースは一体成型品であり、該シールドケースの側面に前記回路に接続されるコネクタ12が設けられ、前記シールドケースの天板部4aに前記コネクタの内端部が露出する様に作業用窓13が形成され、該作業用窓が前記シールドケースの一部である窓蓋17によって着脱可能に閉塞される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はRF回路等シールドを必要とする回路を具備する電子機器、特に該回路が形成された配線基板に設けられたシールドケースを具備する電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
RF回路(高周波回路)等シールドを必要とする回路(以下RF回路と総称する)が形成された配線基板、或は該配線基板が組込まれたRFユニットを具備する電子機器では、RF回路、RFユニットにノイズである電磁波が浸入することを防止する為、電磁波を遮蔽する為のシールドケースが前記配線基板に設けられる。
【0003】
又、シールドケースで覆われたRF回路と外部ケーブルとの接続の為、シールドケースの側面にはコネクタ等の部品が設けられる。
【0004】
特許文献1に示される様に、従来のシールドケースは配線基板に取付けられる枠体と、該枠体の上面を閉塞する天板とから構成されており、前記コネクタは前記枠体に固定された構造となっている。
【0005】
前記シールドケースに於いて、前記コネクタと前記配線基板との接続は、前記天板を取外した状態で行われ、接続後、前記天板が前記枠体に取付けられていた。又、前記コネクタの交換、調整時には前記天板が取外され、前記枠体が開放された状態で作業が行われていた。
【0006】
上記した従来のシールドケースでは、枠体と天板とが別体構造であり、分品点数が多く、又組立て、調整時には前記天板の着脱作業が伴うので、製作コストの増大、作業工数の増大を招いていた。又、枠体と天板との間に接続部が生じ、接続部からの電磁波の浸入或は漏洩を防止する手段が講じられなければならず、やはりコストの増大を招いていた。
【0007】
【特許文献1】特開2004−235308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は斯かる実情に鑑み、シールドケースを一体成型し、製作コストの低減を図ると共にコネクタ等の部品の取付け作業性を損うことなく、而もシールド性能の高いシールドケースを具備する電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、RF回路等シールドを必要とする回路が形成された配線基板と、該配線基板に取付けられる前記回路をシールドするシールドケースとを具備する電子機器に於いて、前記シールドケースは一体成型品であり、該シールドケースの側面に前記回路に接続されるコネクタが設けられ、前記シールドケースの天板部に前記コネクタの内端部が露出する様に作業用窓が形成され、該作業用窓が前記シールドケースの一部である窓蓋によって着脱可能に閉塞される電子機器に係るものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、RF回路等シールドを必要とする回路が形成された配線基板と、該配線基板に取付けられる前記回路をシールドするシールドケースとを具備する電子機器に於いて、前記シールドケースは一体成型品であり、該シールドケースの側面に前記回路に接続されるコネクタが設けられ、前記シールドケースの天板部に前記コネクタの内端部が露出する様に作業用窓が形成され、該作業用窓が前記シールドケースの一部である窓蓋によって着脱可能に閉塞されるので、前記コネクタの取付け、交換作業は前記窓蓋を外すだけで作業でき、作業性が容易となり作業コストが低減し、又前記シールドケースは一体成型品であり、高いシールド性が確保でき、部品点数が少なく製作コストが低減するという優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施する為の最良の形態を説明する。
【0012】
図1、図2は本発明に係る電子機器に用いられるRFユニット1を示している。
【0013】
該RFユニット1はベース2、RF回路(図示せず)が形成された配線基板3、該配線基板3を前記ベース2との間で挾持するシールドケース4、該シールドケース4と前記配線基板3との間に挾設されるガスケット5から主に構成され、前記ベース2、前記配線基板3、前記シールドケース4を重合させた状態でボルト6により共締めして一体化している。
【0014】
前記ベース2、前記シールドケース4はアルミニウム等の金属材料から成り、ダイカスト等により一体成型されたものである。又、前記ガスケット5の材質は、可撓性、良電導性材料であり、例えば、シリコンゴムにNi、Ag、Cu等の良電導性金属粉を混合したものである。尚、前記シールドケース4を少量生産する場合は、機械加工によって製作してもよい。
【0015】
前記配線基板3には、周縁部及びRF回路等シールドを必要とする回路が形成される区分を囲む様にアースパターン7が形成されている。
【0016】
前記シールドケース4は図3に示される様に浅底箱形状をしており、周囲を囲繞する様に側壁部8が形成され、又前記アースパターン7の形状と合致するリブ9が形成されている。前記側壁部8、前記リブ9の上面には溝11が刻設され、該溝11には前記ガスケット5が嵌合される。
【0017】
前記シールドケース4を前記配線基板3に取付けた状態では、該配線基板3と前記シールドケース4との間に前記リブ9で区画された空間が形成される。該空間にシールドを必要とするRF回路等が収納される。又、前記側壁部8、前記リブ9は前記ガスケット5を介在して前記アースパターン7に隙間なく密着すると共に導電性が確保される。
【0018】
前記側壁部8の所要位置にはコネクタ12が取付けられる様になっており、前記シールドケース4の天板部4aの前記コネクタ12取付け部に隣接した部分には作業用窓13が穿設される。該作業用窓13は前記コネクタ12の端子部に対する作業を可能とする充分な大きさを有している。
【0019】
前記作業用窓13の周縁に沿って溝14が刻設され、該溝14には窓用ガスケット15が嵌設される。前記作業用窓13の周辺所要幅で座刳り部16(図4参照)が形成され、前記作業用窓13を閉塞する窓蓋17が嵌込まれる。該窓蓋17はボルト18によって前記天板部4aに固着され、又前記窓用ガスケット15によって前記天板部4aと前記窓蓋17との間が密閉される。該窓蓋17が取付けられた状態では、該窓蓋17は前記作業用窓13によって損われたシールド性能を補完するものであり、前記シールドケース4の一部を構成する。
【0020】
前記座刳り部16には前記窓蓋17を取出し易い様に逃げ部19が形成されている。該逃げ部19が形成されることで、前記窓蓋17が取付けられた状態でも該窓蓋17の側方に隙間が生じるので、該窓蓋17の着脱が容易となる。
【0021】
前記コネクタ12の取付け手順について説明する。
【0022】
前記シールドケース4単体の状態で、前記コネクタ12を前記シールドケース4に取付け、次に前記ボルト6により、前記ベース2、前記配線基板3、前記シールドケース4を一体化する。
【0023】
前記窓蓋17を取外すと、前記コネクタ12の内端部、芯線21及び前記配線基板3の前記コネクタ12に臨接する部分が前記作業用窓13を通して露出され、前記配線基板3の前記隣接する部分には回路接続用のパッド22が形成されている。
【0024】
前記芯線21と前記パッド22とに掛渡して接続片23が設けられ、前記窓蓋17を通してハンダゴテ等工具を挿入し、前記接続片23と前記芯線21、前記パッド22とをそれぞれハンダ付けすることで、前記コネクタ12と前記配線基板3の回路とが接続される。尚、前記芯線21を直接前記パッド22にハンダ付けしてもよい。
【0025】
接続作業が完了すると、前記窓蓋17を前記座刳り部16に嵌込み前記ボルト18により固定する。前記窓用ガスケット15を介して前記座刳り部16と前記窓蓋17間は密着する。又、前記作業用窓13は作業に必要な大きさでよく、前記シールドケース4の形状に比べると小さな開口部であり、前記窓蓋17を取付けた状態での密閉性、シールド性に優れている。
【0026】
又、前記コネクタ12の交換、該コネクタ12の交換に伴う調整等は、前記ベース2、前記配線基板3、前記シールドケース4を分解する必要がなく、小さな前記窓蓋17を取外すだけでよく作業性がよい。
【0027】
図5は他の実施の形態を示しており、配線基板3がヒートシンク24に取付けられた状態を示している。
【0028】
第2の配線基板25により作業用窓13を閉塞し、更に前記第2の配線基板25を第2のシールドケース26により覆ったものである。該第2のシールドケース26と前記第2の配線基板25とはボルト(図示せず)により、シールドケース4に共締めしたものである。前記第2のシールドケース26は前記第2の配線基板25のシールドケースであると共に前記シールドケース4の前記作業用窓13の窓蓋として機能する。前記第2の配線基板25は、前記配線基板3が発生する電磁波の影響を受けず、且つ、該配線基板3に対して電磁波の影響を与えない回路基板である。
【0029】
尚、前記第2の配線基板25と前記配線基板3との回路上の接続は、前記作業用窓13を通してケーブル(図示せず)で行ってもよく、前記シールドケース4、前記第2のシールドケース26に各々コネクタを設け、そちらをケーブルで接続する様にしてもよい。又、前記シールドケース4、前記第2のシールドケース26と前記第2の配線基板25とは、例えば該第2の配線基板25に形成したアースパターン(図示せず)を介して接続されている。
【0030】
而して、前記第2の配線基板25もシールドケースによって電磁シールドされ、又前記シールドケース4に2段に設けられるので、前記ヒートシンク24を小型化できる。
【0031】
又、上記実施の形態では、ガスケット5、窓用ガスケット15を設ける為に、溝を刻設したが、溝を刻設せず、直接ガスケットをシール面に付着形成させてもよい。
【0032】
例えばX−Yテーブルを有す工作機械等に液状シール材吐出ノズルを取付け、該液状シール材吐出ノズルを前記シールドケース4に対して移動させ、該シールドケース4の側壁部8、リブ9の表面に液状シール材を塗布し、該液状シール材を固化させる。尚、液状シール材の材質は、例えばNi、Ag、Cu等の良電導性金属粉が混合された液状シリコンゴムであり、固化は自然硬化、熱硬化であってもよい。
【0033】
シール面に直接シール材を塗布するので、シール面は少なくてよく、従って前記リブ9の幅を小さくでき、基板上の実装面積を有効活用できる。
【0034】
尚、前記窓蓋17は、シールド性能を補完するものであればよく、板状を呈する封止板又は前記第2の配線基板25と前記第2のシールドケース26で構成されたものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子機器に用いられるRFユニットの斜視図である。
【図2】該RFユニットの分解斜視図である。
【図3】該RFユニットに於けるシールドケースの底面から見た斜視図である。
【図4】該シールドケースのコネクタ取付け部分の拡大図である。
【図5】本発明の他の実施の形態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 RFユニット
3 配線基板
4 シールドケース
5 ガスケット
12 コネクタ
13 作業用窓
15 窓用ガスケット
17 窓蓋
21 芯線
22 パッド
23 接続片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RF回路等シールドを必要とする回路が形成された配線基板と、該配線基板に取付けられる前記回路をシールドするシールドケースとを具備する電子機器に於いて、前記シールドケースは一体成型品であり、該シールドケースの側面に前記回路に接続されるコネクタが設けられ、前記シールドケースの天板部に前記コネクタの内端部が露出する様に作業用窓が形成され、該作業用窓が前記シールドケースの一部である窓蓋によって着脱可能に閉塞されることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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