説明

電子機器

【課題】浴室や屋外その他の水がかかる壁部に対してネジで取り付けられ、ケーシングに設けられた取り付け用のネジ穴内に水が侵入しても、侵入した水がネジ穴内に溜まることを防止することができる電子機器を提供する。
【解決手段】ネジ穴31の底面となる位置に、ネジ4の軸部41より狭い幅であって、ネジ穴内の水を排水する排水溝32を形成し、この排水溝32の少なくとも出口部分の深さを、ネジ4の頭部42で隠れない深さに設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室や屋外その他の水がかかる壁面に対してネジで取り付けられる電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の電子機器として、例えば浴室テレビや風呂リモコンなどが知られている。これら電子機器は内部に水などが侵入しないように、防水性を備えたケーシング内に納められている。そして、そのケーシングには、ケーシング内とは隔絶された長穴状のネジ穴が、ケーシングの前後方向に貫通して形成されている。
【0003】
電子機器を浴室の壁部に固定する際には、電子機器を所定の取付位置に位置決めした状態でネジ穴にネジを挿入し、ネジ止めを行っている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−31751号公報(図4の図番22を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記電子機器を壁部に固定する際には、ネジを強固に締め付ける前に微妙に電子機器の姿勢を調節するためにネジ穴が長穴状に形成されているが、そのためネジを締め付けた状態で、ネジ穴の一部が開口することになる。するとその開口部分からネジ穴内に水が入り込む場合が生じるが、ネジ穴の後方は壁部で塞がれており、かつ、ネジの頭部でネジ穴の下部分が覆われていると、ネジ穴内に侵入した水がネジ穴から排出されず、ネジ穴内に溜まる状態が生じる。
【0005】
このようにネジ穴内に水が溜まると、ネジの腐食や壁部の腐食、またネジ穴内でのカビの発生など、多くの不具合が複合して生じるおそれがある。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、長穴状のネジ穴内に水が溜まらない電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明による電子機器は、浴室や屋外その他の水がかかる壁部に対してネジで取り付けられる電子機器であって、電子機器のケーシングに取り付け用のネジが挿通される長穴状のネジ穴を形成したものにおいて、壁部に取り付けられた状態で、このネジ穴の底面となる位置に、ネジの軸部より狭い幅であって、ネジ穴内の水を排水する排水溝を形成し、この排水溝の少なくとも出口部分の深さを、ネジの頭部で隠れない深さに設定したことを特徴とする。
【0008】
ネジ穴内に水が侵入しても排水溝を通って水がネジ穴の外へ排出されるので、ネジ穴内に水が溜まることはない。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明は、ネジ穴内に水が溜まらないので、ネジの腐食や壁部の腐食その他の不具合の発生を防止することができ、電子機器の取付部周辺や壁部の寿命を延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1を参照して、1は本発明による電子機器である浴室テレビであり、浴室BRの壁部Wに固定されている。
【0011】
図2を参照して、浴室テレビ1のケーシング3にはネジ4が挿入され、ケーシング3を壁部Wに固定するためのネジ穴31が形成されている。これらネジ穴31およびネジ4は左右のスピーカカバー21および上カバー22と下カバー23とで隠され、通常の使用時には外部から見えないように構成されている。
【0012】
図2には、ケーシング3の左端に上下2個のネジ穴31を設けたことが示されているが、そのほかにもAおよびBの黒矢印で示した位置に各々ネジ穴が形成されており、本実施の形態では合計9個のネジ穴が形成されている。
【0013】
浴室テレビ1を壁部Wに固定する際には、最初にAで示すネジ穴にネジを挿通して浴室テレビ1を壁部Wに仮固定する。その状態では浴室テレビ1を手で支えることなく、かつ左右に自由に傾けることができる。そして、浴室テレビ1の姿勢を水平に保った状態で他のネジ穴にネジを挿通して浴室テレビ1の姿勢を決め、最後に全てのネジを硬く締め付けて、浴室テレビ1を壁部Wに本固定するようにした。
【0014】
図3を合わせて参照して、本実施の形態では、浴室テレビ1を壁部Wに固定した状態でネジ穴31の底部となる部分に、ネジ4の軸部41の直径より幅の狭い排水溝32を設けた。この排水溝32の底部は水平でもよいが、図3に示すように前方に向かって下るように傾斜させることが望ましい。
【0015】
また、この排水溝32の前方端、すなわち出口部分の深さは、ネジ4の頭部42によって塞がれないように深くした。このように構成することにより、ネジ穴31内に水が入り込んでも、排水溝32を伝って水がネジ穴の外部に排出されるので、水がネジ穴31内に溜まることが防止される。ところで、ケーシング3は前側本体3aと、後側本体3bとが水密に接合されることにより形成されているが、ネジ穴31は後側本体3bに形成した。
【0016】
ところで、上記浴室テレビ1は壁部Wに固定された状態で、壁部Wとケーシング3の間の隙間をコーキング剤で防水処理する。ところが、例えばネジ穴1からケーシング3の裏側へ水が回り込むと、逆にコーキング剤によって水が閉じこめられ排水されない場合が生じる。しかし、上記の構成では下側に設けたネジ穴からこの水を排水することができる。
【0017】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】浴室テレビの取り付け状態を示す図
【図3】ネジ穴の詳細を示すIII-III断面図
【符号の説明】
【0019】
1 浴室テレビ
3 ケーシング
4 ネジ
21 スピーカカバー
22 上カバー
23 下カバー
31 ネジ穴
32 排水溝
BR 浴室
W 壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室や屋外その他の水がかかる壁部に対してネジで取り付けられる電子機器であって、電子機器のケーシングに取り付け用のネジが挿通される長穴状のネジ穴を形成したものにおいて、壁部に取り付けられた状態で、このネジ穴の底面となる位置に、ネジの軸部より狭い幅であって、ネジ穴内の水を排水する排水溝を形成し、この排水溝の少なくとも出口部分の深さを、ネジの頭部で隠れない深さに設定したことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−218939(P2008−218939A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57986(P2007−57986)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(000100562)アール・ビー・コントロールズ株式会社 (97)
【Fターム(参考)】