説明

電子機器

【課題】
USB周辺機器の接続を早期に検出する。
【解決手段】
USBインターフェース回路36は、VBUS線に接続する電流検出回路50を具備する。電流検出回路50は、外部記録媒体70が接続したときに、VBUS線に流れる電流を検出し、外部記録媒体70に駆動電流を供給する。電流検出回路50は、外部記録媒体70が接続したときの突入電流を検出し、バス34を介して、外部記録媒体70の接続をシステム制御回路30に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、より具体的には、周辺機器に電力を供給しつつ制御信号又はデータ信号を通信する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−67156号公報
【0004】
従来、電子機器に周辺機器を接続するインターフェースとして、USB(Universal Serial Bus)が知られている。USBは、ホスト機器(一般的には、コンピュータ)に複数の周辺機器(デバイス)をシリアル通信で接続するものである。特許文献1には、ホスト機器としてのコンピュータと、周辺機器としてのデジタルカメラとの接続に関する技術が記載されている。
【0005】
USBの特徴は、プラグアンドプレイ機能とホットスワップ機能がある。プラグアンドプレイ機能は、周辺装置を新たに接続したり、取り外すときに、自動的に周辺装置との接続関係を認識し更新する機能である。ホットスワップ機能はいわゆる活線挿抜機能であり、電源を入れた状態で、周辺装置の接続及び取り外しが可能になる機能である。USBは更に、周辺装置に電源を供給する機能も具備する。これらの機能により、ユーザは、接続の際にアドレス及びID番号などの設定や電源供給に煩わされること無しに、周辺装置を利用できる。
【0006】
USBケーブルは、VBUSと称する5Vの電源線、GND線、並びに、D+及びD−という2本の信号線の、合計4本の配線からなり、これを専用接続端子で機器と接続する。接続とともに、ホスト機器はVBUS線を介して周辺機器に電源を供給する。その後、周辺機器はD+線をプルアップし、ホスト機器は、D+線のプルアップをもって周辺機器の接続を認識する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
USBの規格では、接続からD+線のプルアップまでの時間は最大100msecと規定されている。しかし、市販されている多くの周辺機器は、この規格を満たさない。そのため、物理的に接続されてはいるものの、ホスト機器が周辺機器の接続を認識するまでに時間を要してしまう場合がある。
【0008】
本発明は、このような不都合を解消する電子機器を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電子機器は、周辺機器を接続する接続手段と、前記接続手段を介して前記周辺機器と通信する通信手段と、前記接続手段を介して前記周辺機器に電源を供給する電源供給手段と、前記電源供給手段から前記周辺機器に供給される電流をモニタする電流モニタ手段とを具備し、前記モニタ手段による電流値が閾値を超えることにより前記周辺機器の接続を認識することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、周辺機器の接続による駆動電流により、周辺機器の接続を検出できるので、周辺機器の利用を迅速に開始できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例の概略構成ブロック図である。
【図2】電流検出回路50の概略構成ブロック図である。
【図3】撮影画像記録時の制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の一実施例である撮像装置の概略構成ブロック図を示す。撮像装置10は、撮影画像の記録媒体として内蔵する記録媒体(内蔵記録媒体)24の他に、USB(Universal Serial Bus)ケーブル60で接続する外部記録媒体70を利用できる。内蔵記録媒体24は、撮像装置10から取り外し可能である。外部記録媒体70は、ホストとなる電子機器である撮像装置10に対する周辺機器となる。
【0014】
撮像装置10の基本動作を説明する。撮影レンズ12は被写体の光学像を撮像素子14上に結像する。撮像素子14は、撮影レンズ12による光学像を電気信号に変換する。A/D変換器16は、撮像素子14から出力されるアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換する。カメラ信号処理回路18は、A/D変換器16からのデジタル画像信号に、ガンマ補正、色バランス調整及び色空間変換等の周知のカメラ信号処理を施す。カメラ信号処理回路18で処理された画像データは、バス34を介して、メモリ20に格納される。
【0015】
メモリ20は、後述するように、撮影画像データの一時保存用、連写の場合のバッファ用、圧縮伸長回路22の処理用、再生画像データの一時保存用、及び画像表示用等、多用途に利用される。勿論、これらの個別の用途に別々のメモリを用意しても良いことは明らかである。
【0016】
LCD駆動回路26は、メモリ20に格納される画像データを一定周期で読み出し、液晶表示装置(LCD)28を駆動する。これにより、撮像素子14に入射する光学像に相当する画像が、LCD28の画面上に表示される。この状態で、ユーザは、被写体の構図をLCD28の画面上で確認でき、LCD28がいわゆる電子ファインダとして機能する。このとき、撮像素子14からは、LCD28による表示に充分な解像度の画像信号が読み出される。
【0017】
ユーザは、操作装置32によりシステム制御回路30に種々の指示を入力でき、システム制御回路30は、ユーザの指示及び設定内容に応じて、各部を制御する。
【0018】
例えば、ユーザによるシャッタレリーズ操作に対して、撮影画像が圧縮されて記録媒体24に記録される。即ち、操作装置32のレリーズボタンの操作に応じて、撮像素子14は、予め指定された解像度(通常は、高解像度)の画像信号を出力する。撮像素子14の出力画像信号は、A/D変換器16、カメラ信号処理回路18及びバス34を介してメモリ20に書き込まれる。圧縮伸長回路22が、メモリ20に格納される撮影画像データを圧縮符号化する。圧縮伸長回路22で圧縮された画像データは、バス34を介して内蔵記録媒体24に供給され、内蔵記録媒体24に格納される。内蔵記録媒体24は、例えば、フラッシュメモリからなる。
【0019】
再生モードでは、ユーザにより指定される画像の圧縮画像データが内蔵記録媒体24から読み出され、バス34を介して、メモリ20に書き込まれる。圧縮伸長回路22が、メモリ20に格納される圧縮画像データを伸長する。圧縮伸長回路22の伸長により得られる再生画像データは、バス34を介してメモリ20に書き戻される。
【0020】
LCD駆動回路26は、メモリ20の再生画像データを一定周期で読み出し、液晶表示装置(LCD)28を駆動する。これにより、再生画像が、LCD28の画面上に表示される。
【0021】
撮像装置10は、撮影画像の保存先として、外部記録媒体70を指定できる。外部記録媒体70との接続構成と、撮像装置10による外部記録媒体70の認識動作を説明する。
【0022】
外部記録媒体70は、USBケーブル60を介して撮像装置10に接続する。このUSB接続のために、撮像装置10は、バス34に接続するUSBインターフェース回路(又はUSB接続制御装置)36と、USB接続端子38を具備する。周知の通り、USBケーブル60は、VBUS線、D+線、D−線及びGND線からなる。
【0023】
USBインターフェース回路36は、D+線及びD−線を収容するホストコントローラ40を具備し、D+線に対する入出力バッファ42、並びにD−線に対する入出力バッファ44を具備する。ホストコントローラ40は、USBデバイス(ここでは外部記録媒体70)との間で、データパケットをやり取りする。D+線は、プルダウン抵抗46を介してアースに接続し、D−線はプルダウン抵抗48を介してアースに接続する。USB規格では、ホスト機器側はD+線及びD−線をプルダウンすることになっている。
【0024】
電源線であるVBUS線は、電流検出回路50に接続し、コンデンサ52を介してアースに接続する。電流検出回路50は、接続するUSBデバイス(ここでは外部記録媒体70)に駆動電流を供給する電源供給手段として機能すると共に、その電流値をモニタする電流モニタ手段として機能する。電流検出回路50の詳細は、後述する。
【0025】
外部記録媒体70は、USB接続端子72、USBインターフェース回路(又はUSB接続制御装置)74、及びハードディスク76からなる。USBインターフェース回路74は、D+線及びD−線を収容するデバイスコントローラ78を具備し、D+線に対する入出力バッファ80、並びにD−線に対する入出力バッファ82を具備する。デバイスコントローラ78は、ホストコントローラ40との間で、データパケットをやり取りする。電源線であるVBUS線は、プロアップ制御回路84及びデバイスコントローラ78に接続して電源を供給する。VBUS線は、コンデンサ86を介してアースに接続する。プルアップ制御回路84は、電源の供給下で、D+線に接続するプルアップ抵抗88の電位を所定値に引き上げる。
【0026】
図2は、電流検出回路50の一回路例の概略構成ブロック図を示す。図2に示す回路例では、電源スイッチIC90を使用する。電源スイッチIC90は、過電流検出機能を持つ市販されている市販されている電源スイッチ用ICである。過電流検出機能は一般に、ホスト機器が周辺機器に対してVBUS線を介して供給する電流が許容値(閾値)を越えるか否かを検出する。多くの電源スイッチICは、過電流検出機能とともに過電流制限機能をも具備する。許容値を任意に設定できる電源スイッチICもあり、制御端子に接続する抵抗の抵抗値で許容値を設定する。
【0027】
電源スイッチIC90は、制御端子に接続する抵抗の抵抗値で過電流の閾値を設定でき、図2に示す回路では、抵抗値を変更可能な電流検出値調整回路92を接続してある。電源スイッチIC90は、電源端子94から電源電圧(例えば、5V)を供給される。
【0028】
電流検出値調整回路92は、図示例では、スイッチ100で抵抗102又は104を先着できるようになっている。抵抗102,104の抵抗値は互いに異なる。例えば、スイッチ100が抵抗102の側に接続するとき、電流検出閾値が高い値に設定され、スイッチ100が抵抗104の側に接続するとき、電流検出閾値が低い値に設定される。USBデバイスが全く接続していないときには、スイッチ100を抵抗104側に接続しておく。電源スイッチIC90の過電流検出機能で、VBUS線の一定以上の電流を検出したら、スイッチ100を抵抗102の側に切り換える。この状態で、通常動作時の過電流を検出する。
【0029】
電源スイッチIC90はまた、バス34及び制御線96を介してシステム制御回路30から制御信号を受け取り、電流検出信号線98及びバス34を介してシステム制御回路30に電流検出結果を知らせる。具体的には、システム制御回路30は制御線96を介して、電源スイッチIC90にVBUS線への電流出力のオン/オフを制御できる。電源スイッチIC90はまた、電流検出値調整用回路92の設定抵抗値を使った過電流検出結果を、電流検出信号線98及びバス34を介してシステム制御回路30に電流検出結果を知らせる。本実施例では、この機能を使って、USBデバイスの接続を早期に検出でき、通常使用状態では過電流を検出できる。
【0030】
図3は、電流検出値調整回路92の制御方法の一例を示す。周辺機器が接続されていない初期状態では、抵抗104を選択し、電流検出値の閾値を低値に設定する(S1)。周辺機器が接続されると(S2)、電源スイッチIC90から電流検出信号線98を介して、電流検出割り込みが通知される(S3)。システム制御回路30は、周辺機器が接続されたことを認識し、レリーズ(撮影)を許可する(S4)。ここでは、接続認識後の処理例としてレリーズ許可を挙げているが、接続認識後の処理としては、必要に応じて他の処理をしても良いことは明らかである。この段階で撮影が行われても、外部記録媒体70の記録準備が整っていない。従って、この時点での撮影に対しては、たとえば撮影画像データ(又はその圧縮画像データ)をメモリ20又は内蔵記録媒体24等に一時的に格納しておく。
【0031】
USBの接続処理(エニュメレーションという)が完了したら(S5)、接続されたUSBデバイスがHDD、即ち、外部記録媒体70であるかどうかを判定する(S6)。HDDでない場合(S6)、警告表示等でユーザに警告する(S7)。また、接続された周辺機器がHDDの場合(S6)、電流検出値調整回路92を抵抗104から抵抗102に切り替え(S8)、電源スイッチIC90を通常動作時の過電流検出機能に切り替える(S8)。その後、撮影画像の記録先として外部記録媒体70を指定する(S9)。メモリ20又は内蔵記録媒体24に一時保存していたデータがあれば、外部記録媒体70に移動する。
【0032】
本実施例では、VBUS線を流れる電流をモニタし、閾値より大きな電流が流れた場合に、周辺機器が接続したと判断する。これにより、接続とともに即座に周辺機器の接続を認識でき、周辺機器の利用に備えることができる。外部記録媒体70の接続時にはコンデンサ86に対し突入電流が流れるので、VBUS線の電流をモニタすることにより、外部記録装置70の接続を即座に検出できる。
【0033】
接続と同時に接続検出が行えることで、周辺機器側の通信準備が整っていなくとも、ホスト機器側で予め通信の準備を行っておくことができる。周辺機器の準備が完了したと同時に即座に通信を開始でき、接続処理の高速化を実現できる。たとえば、ホスト機器をデジタルカメラとし、周辺機器として記録媒体としてのハードディスクを想定した場合、従来例では、接続してからある時間、経過しないと、記録媒体を認識できなかったのに対し、本実施例では、接続と同時に周辺機器を認識できるので、例えばレリーズを許可できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺機器を接続する接続手段と、
前記接続手段を介して前記周辺機器と通信する通信手段と、
前記接続手段を介して前記周辺機器に電源を供給する電源供給手段と、
前記電源供給手段から前記周辺機器に供給される電流をモニタする電流モニタ手段
とを具備し、
前記モニタ手段による電流値が閾値を超えることにより前記周辺機器の接続を認識することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記接続手段が、USB(Universal Serial Bus)接続端子であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記電子機器が撮像装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−118768(P2011−118768A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276939(P2009−276939)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】