説明

電子機器

【課題】高価な断熱材を用いることなく、良好な断熱性能を確保して、電子機器の低コスト化を図ることができる仕組みを提供する。
【解決手段】この電子機器は、機器本体10に設けられた熱源の一例である回路基板11を覆うように配置される第1のカバー部12と、該第1のカバー部12の外側を覆う第2のカバー部13と、を備える。そして、第1のカバー部12と第2のカバー部13との間に、略密閉された複数の独立した空気層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱構造を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器の断熱構造として、例えば、機器内部の熱源を覆う外装ケースの内側に、ゴムや樹脂発泡体等が配合された断熱材を配置して、熱源の熱が外装ケースの外側に伝わらないようにしたものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−217578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1では、高価な断熱材を使用する必要があるため、電子機器の低コスト化を妨げる原因になる。
【0005】
そこで、本発明は、高価な断熱材を用いることなく、良好な断熱性能を確保して、電子機器の低コスト化を図ることができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、機器本体に設けられた熱源を覆うように配置される第1のカバー部と、該第1のカバー部の外側を覆う第2のカバー部と、を備え、前記第1のカバー部と前記第2のカバー部との間に、略密閉された空気層を形成した、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高価な断熱材を用いることなく、良好な断熱性能を確保することができるので、電子機器の低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の電子機器の実施形態の一例であるデジタルビデオカメラを説明するための分解斜視図である。
【図2】第1のカバー部を外側から見た斜視図である。
【図3】第2のカバー部を内側から見た斜視図である。
【図4】第2のカバー部が組み込まれた状態の第1のカバー部を機器本体に取り付けた状態を示す図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の電子機器の実施形態の一例であるデジタルビデオカメラを説明するための分解斜視図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態のデジタルビデオカメラは、機器本体10の内部に設けられた熱源の一例である回路基板11を含む側面領域を覆う第1のカバー部12と、第1のカバー部12の一部を外側から覆う第2のカバー部13とを備える。回路基板11は、機器本体10に設けられた撮影レンズ10aの光軸方向に沿うように該機器本体10の内部に配置されている。
【0012】
第1のカバー部12は、第2のカバー部13が組み込まれた状態で機器本体10に取り付けられる。第1のカバー部12の回路基板11に対向する領域の外側の面には、第2のカバー部13が装着される装着部12aが設けられている。
【0013】
装着部12aには、図2に示すように、第2のカバー部13の周縁部の形状に沿って連続する環状リブ121aと、環状リブ121aで囲まれる領域に略格子状に配置された格子状リブ121bとが設けられている。
【0014】
格子状リブ121bは、撮影レンズ10aの光軸に沿って略水平方向に延びる水平リブと、水平リブと直交して上下方向(重力方向G)に延びる垂直リブとを有する。垂直リブは、略水平方向に互いに離間して複数配置されており、水平リブ及び垂直リブの両端部は、それぞれ環状リブ121aに接続されている。そして、環状リブ121aと格子状リブ121bにより、装着部12aに、複数に区画された領域(以下「区画領域」という。)が形成される。
【0015】
装着部12aの各区画領域には、格子状リブ121bの水平リブと平行に延びる第1の規制リブ122が設けられており、第1の規制リブ122は、格子状リブ121bの水平リブの高さより低くなっている。また、装着部12aの所定の位置には、複数(図2では6箇所)の開口部123及び複数(図2では2箇所)の位置決め凹部124が形成されている。
【0016】
一方、第2のカバー部13は、図3に示すように、その内側面に、第1のカバー部12の開口部123に対応する複数の溶着ダボ131及び第1のカバー部12の位置決め凹部124に対応する複数の位置決め凸部132がそれぞれ形成されている。
【0017】
また、第2のカバー部13の内側面には、第1のカバー部12の装着部12aの各区画領域に配置される複数の第2の規制リブ133が第1の規制リブ122と平行に形成されている。ここで、本実施形態では、デジタルビデオカメラの通常の使用状態における姿勢において重力方向Gに対して略直交する方向(即ち、略水平方向)に規制リブ122,133を形成している。
【0018】
第1のカバー部12に第2のカバー部13を組み付けるには、第1のカバー部12の位置決め凹部124に第2のカバー部13の位置決め凸部132を嵌合しつつ、第1のカバー部12の開口部123に第2のカバー部13の溶着ダボ131を挿入する。
【0019】
その後、第1のカバー部12の開口部123から突出した溶着ダボ131を第1のカバー部12に溶着する。これにより、第1のカバー部12に第2のカバー部13が組み付けられ、この状態で、第1のカバー部12が、機器本体10の回路基板11を覆うように該機器本体10に取り付けられる。
【0020】
図4は機器本体10に第1のカバー部12を取り付けた状態を示す図、図5は図4のA−A線断面図である。なお、図5では、溶着ダボ131を第1のカバー部12に溶着する前の状態を示している。
【0021】
図5に示すように、第1のカバー部12に第2のカバー部13を組付けた状態では、第1のカバー部12の環状リブ121a及び格子状リブ121bが、第2のカバー部13の内側面に接触している。
【0022】
このとき、溶着ダボ131の基部に配置された受け面1311と第1のカバー部12との間には、所定の隙間が形成されて、環状リブ121a及び格子状リブ121bが必ず第2のカバー部13の内側面に接触するようにしている。これにより、第1のカバー部12の装着部12aに形成された各区画領域と第2のカバー部13の内側面との間に、略密閉された複数の独立した空気層が形成される。ここで、略密閉とは、空気の流れが略閉じた系となっている状態をいう。
【0023】
また、複数の空気層には、それぞれ略水平方向に延びる規制リブ122,133が上下方向(重力方向G)に交互に配置される。そして、第1のカバー部12に設けられた第1の規制リブ122は、第2のカバー部13に非接触とされ、第2のカバー部13に設けられた第2の規制リブ133は、第1のカバー部12に非接触とされている。
【0024】
これらの規制リブ122,133により、第1のカバー部12及び第2のカバー部13の剛性を高めることができると共に、各空気層内において回路基板11の熱で温められた空気が重力方向Gと逆方向に移動しようとする対流を効率よく規制することができる。
【0025】
また、規制リブ122,133が第2のカバー部13及び第1のカバー部12に非接触とされているので、空気に比べて熱伝導率の高い規制リブ122,133を介して回路基板11の熱が第2のカバー部13の外側に伝わらないようにすることができる。
【0026】
以上説明したように、本実施形態では、熱源の一例である回路基板11を覆う第1のカバー部12と該第1のカバー部12を覆う第2のカバー部13との間に略密閉状態の複数の独立した空気層を形成している。これにより、高価な断熱材を用いることなく、良好な断熱性能を確保することができ、デジタルビデオカメラの低コスト化を図ることができる。
【0027】
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0028】
例えば、上記実施形態では、第1のカバー部12で回路基板11の全領域を覆い、第2のカバー部13で第1のカバー部12の一部を覆う場合を例示したが、これに限定されない。例えば、第1のカバー部12で回路基板11の一部を覆い、第2のカバー部13で第1のカバー部12の全部を覆うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0029】
10 機器本体
11 回路基板
12 第1のカバー部
13 第2のカバー部
121a,121b リブ
122 第1の規制リブ
133 第2の規制リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体に設けられた熱源を覆うように配置される第1のカバー部と、該第1のカバー部の外側を覆う第2のカバー部と、を備え、
前記第1のカバー部と前記第2のカバー部との間に、略密閉された空気層を形成した、ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1のカバー部と前記第2のカバー部との間に、複数の独立した前記空気層を形成した、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1のカバー部は、前記熱源の全領域を覆い、前記第2のカバー部は、前記第1のカバー部の一部を覆う、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記空気層における前記熱源により温められた空気の対流を規制する規制手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記規制手段は、前記第1のカバー部の外側に設けられて、重力方向と略直交する方向に延びる第1の規制リブと、前記第2のカバー部の内側に設けられて、前記第1の規制リブと平行に延びる第2の規制リブと、を備えることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1の規制リブと前記第2の規制リブとは、重力方向に交互に配置される、ことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1の規制リブは、前記第2のカバー部に対して非接触とされ、前記第2の規制リブは、前記第1のカバー部に対して非接触とされている、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−124271(P2011−124271A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278510(P2009−278510)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】