説明

電子機器

【課題】 電池室カバーを取り外すとなると、無くすおそれがある。
【解決手段】 電池が収納される筐体に設けられた電池室と、電子機器の内部回路に電気的につながる一側面に設けられた電気接点が筐体側に向いて電池室を塞ぐ閉状態と一側面が筐体の外側を向いて電気接点が筐体の外部に露出する開状態とに開閉自在に筐体に設けられている電池蓋とを備えて、電子機器を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたようなカメラ用外部電源装置がカメラの電池室に取り付けられる際、カメラの電池室カバーが取り外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−93969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電池室カバーを取り外すとなると、電池室カバーを無くすおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
電池が収納される筐体に設けられた電池室と、
電子機器の内部回路に電気的につながる一側面に設けられた電気接点が筐体側に向いて電池室を塞ぐ閉状態と一側面が筐体の外側を向いて電気接点が筐体の外部に露出する開状態とに開閉自在に筐体に設けられている電池蓋と
を備えて電子機器を構成した。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電池室カバーを無くすおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態によるデジタルカメラの外観を示す正面斜視図である。
【図2】図1に示すデジタルカメラの、バッテリーパックと対峙する下面にある電池蓋付近の断面図である。
【図3】図2に示す状態の電池蓋内部にある収納体がスライドした図である。
【図4】図2に示す電池蓋が回転ヒンジを中心として180°回転した図である。
【図5】図4に示す状態の電池蓋内部にある収納体がスライドした図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明による電子機器をデジタルカメラに適用した場合における一実施の形態について説明する。
【0009】
図1は、この一実施の形態によるデジタルカメラ1の外観を示す正面斜視図である。
【0010】
デジタルカメラ1の正面中央部には、被写界からの光を撮像素子に導く光学レンズユニット2が設けられている。光学レンズユニット2の右上方には、被写界で発生する音を拾って電気信号に変換するマイク3が設けられており、左上方には、シャッターボタン4が設けられている。また、シャッターボタン4の後方の肩部上面には、撮影時の種々の情報が表示される撮影情報表示パネル5が設けられており、反対側の肩部上面には、種々の撮影モードを設定するための撮影モードダイヤル6が設けられている。また、デジタルカメラ1の中央上部のペンタ部1Aには、ストロボ装置などを取り付けるためのアクセサリシュー7が設けられている。また、デジタルカメラ1の下部には、デジタルカメラ1に電源供給する、デジタルカメラ1の筐体9に着脱可能なバッテリーパック8が装着されている。
【0011】
図2は、図1に示すデジタルカメラ1の、バッテリーパック8と対峙する下面にある電池蓋11付近の断面図である。
【0012】
デジタルカメラ1のこの下面内部における筐体9内には、電池室12が設けられている。電池室12には電池13が収納されており、電池室12は電池蓋11で覆われている。電池蓋11に隣接する筐体9の下面側面には、電池蓋11とほぼ同じ容積の凹形状の格納部14が形成されている。電池蓋11は、同図に示すその閉状態時に電池室12を塞ぐ蓋体11aと、蓋体11aにスライド自在に収納された収納体11bとの二重構造で構成されている。また、電池蓋11の一側面には、バッテリーパック等の外部機器と電気的に接続するための電気接点15が、電池13と同様に3つ設けられている。このうち2つの電気接点15は、外部機器が有する電源に接続されるプラス極およびマイナス極であり、残りの1つの電気接点15は、外部機器とデジタルカメラ1間で電源の種類等の情報を伝達するために設けられている。電池蓋11は、一端部に回転ヒンジ16を備えており、この回転ヒンジ16を中心として他端部が回転自在に構成されている。また、この回転ヒンジ16の軸内には、電気接点15から延びている図示しないリード線が通っている。このリード線は、さらに延びて、デジタルカメラ1内部の図示しない内部電気回路と電気的につながっている。
【0013】
図3は、図2に示す状態の電池蓋11の内部にある収納体11bがスライドした図である。なお、同図において図2と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0014】
デジタルカメラ1を用いた通常の撮影が行われる場合、電池蓋11内部にある収納体11bは、蓋体11aから矢印で示す左方向にスライドして、格納部14に収められる。このスライドした後の収納体11bは、この位置で、図示しない係止部材によりデジタルカメラ1にロックされる。この状態において、電池蓋11は、収納体11bが蓋体11aからスライドされることで、閉状態時に図2に示すように格納部14に形成されていた空間を埋め、デジタルカメラ1の下面は、格納部14に形成された凹状のくぼみが無くなって平らになる。
【0015】
図4(a)は、図2に示す電池蓋11が回転ヒンジ16を中心として180°回転した図である。なお、同図において図2と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0016】
バッテリーパック8を用いてデジタルカメラ1に電源供給を行う場合、電池蓋11は、一端部の回転ヒンジ16を中心として他端部が180°回転されて、同図に示すように凹状の格納部14に収められる。電池蓋11は、電気接点15が筐体9側に向いて電池室12を塞ぐ図2に示す閉状態と、一側面が筐体9の外側を向いて電気接点15が筐体9の外部に露出する図4(a)に示す開状態とに、開閉自在に筐体9に設けられている。
【0017】
電池蓋11の180°回転後、電池蓋11の電気接点15は、デジタルカメラ1の外部、つまりデジタルカメラ1の下面を向いているため、バッテリーパック8の電気接点8aと電気的に接続することが可能である。電池蓋11の電気接点15とバッテリーパック8の電気接点8aとの接続時には、バッテリーパック8の電力が、矢印に示すように、電気接点8a、15および回転ヒンジ16を介して、デジタルカメラ1の内部回路に供給される。また、この接続時には、開状態にある電池蓋11が格納部14に格納され、電池蓋11が180°回転される前に図2に示すように占めていた空間18は、バッテリーパック8の突出部8bが占める。
【0018】
図5は、図4(a)に示す状態の電池蓋11の内部にある収納体11bがスライドした図である。
【0019】
図示しない充電台(クレードル)を用いて電池13を充電する場合、電池蓋11は、収納体11bが蓋体11aから右方向にスライドされることで、空間18を埋め、デジタルカメラ1の下面をフラットにする。収納体11bは、スライド後、図示しない係上部材によってデジタルカメラ1にロックされる。収納体11bは、電池13を覆うため、電池13がデジタルカメラ1から外れるのを防ぐ。
【0020】
このような状態で、フラットになったデジタルカメラ1下部に図示しない充電台を設置することにより、図示しない充電台の電気接点は、外部に露出した電池蓋11の電気接点15と接続される。この接続時には、充電台からの電力が、これらの電気接点を介してデジタルカメラ1の内部回路に供給され、さらに、内部回路と電気的に接続している電池13に供給されて、電池13が充電される。
【0021】
このような本実施形態によるデジタルカメラ1によれば、電池蓋11が開閉自在にデジタルカメラ1の筐体9に設けられているため、従来のように電池蓋11をデジタルカメラ1から外すことで、電池蓋11を無くすおそれがなくなる。また、電池蓋11は、電池室12を塞ぐ図2に示す閉状態から、一側面が筐体9の外側を向いて電気接点15が筐体9の外部に露出する図4(a)に示す開状態になる。このため、電池蓋11の開状態において、筐体9の外部に露出した電気接点15によってバッテリーを備えたバッテリーパック8等の外部機器を接続することにより、電池蓋11に設けられた電気接点15を介して、外部機器からの電力をデジタルカメラ1の内部回路に供給することができる。また、この際、開閉自在に筐体9に設けられている電池蓋11、および電池室12に収納された電池13をデジタルカメラ1から外さないで、外部機器からの電力をデジタルカメラ1の内部回路に供給することが可能である。このため、電池蓋11および電池13をデジタルカメラ1から外す手間を省いてデジタルカメラ1に給電できるため、利便性が向上する。
【0022】
また、電池蓋11に設けられた電気接点15を介して、バッテリーパック8の電力をデジタルカメラ1の内部回路に供給することができるため、従来のように、バッテリーパック8の電力をデジタルカメラ1に供給する電気接点を、電池室12に挿入される形状をしたバッテリーパック8の突出部の先端に設け、電池室12の底にある電気接点と接続させる必要がなくなる。このために、バッテリーパック8に、電池室12に挿入される形状をした突出部を設ける必要がなくなり、突出部が突出して歪な形状をしていたバッテリーパック8はコンパクトな形状となり、持ち運びが容易になる。また、本実施形態によるデジタルカメラ1によれば、電池蓋11の閉状態時に、蓋体11aが電池室12を塞いだ図2に示す状態で、蓋体11aに対して収納体11bが図3に示すようにスライドされる。このため、蓋体11aからスライドした収納体11bにより、蓋体11aに隣接する筐体9表面の外部に露出させたくない部分、例えばコネクタが形成された部分を覆って隠したり、蓋体11aに隣接する筐体9表面の格納部14に形成される空間を埋めることができる。
【0023】
また、本実施形態によるデジタルカメラ1によれば、筐体9が、開状態にある電池蓋11を図4に示すように格納する格納部14を側面に備えている。このため、電池蓋11が開状態にある場合に、デジタルカメラ1を台などに置いた時や、デジタルカメラ1を落下させた時などに、開状態にある電池蓋11が筐体9表面から突出することにより、電池蓋11が破損してしまうことがなくなる。また、収納体11bが蓋体11aからスライドされることで、電池蓋11の閉状態時に筐体9側面の格納部14に形成される空間が、図3に示すように埋められる。このため、デジタルカメラ1の筐体9表面はフラットな構造となり、デジタルカメラ1の使用中に使用者がこの格納部14に形成される空間に指等を引っ掛けてしまうこともなくなり、快適にデジタルカメラ1を使用できるようになると共に、デジタルカメラ1をフラットな外観にすることができる。
【0024】
なお、本実施形態では、電池蓋11は回転ヒンジ16を中心に180°回転する構造であったが、電池蓋11の回転角度は、180°に限らず、任意の角度であってよい。
【0025】
図4(b)は、本発明の変形例を示す図である。この変形例の構成では、電池13およびバッテリーパック8に対して電気接点13aおよび電気接点8cが設けられている。バッテリーパック8の突出部8bに設けられた電気接点8cと、電池13の電気接点13aとが接続されると、バッテリーパック8の電力が、矢印に示すように、これらの電気接点8c、13aを介して電池13に供給され、電池13が充電される。なお、矢印とは逆方向に、電池13の電力が、電気接点13a、8cを介してバッテリーパック8に供給され、さらにこのバッテリーパック8および電気接点8a、15を介してデジタルカメラ1に供給される構成であってもよい。
【0026】
上記実施形態においては、本発明をデジタルカメラ1に適用した場合について説明したが、動画像を撮影するビデオカメラや、カメラ付き携帯電話機等のその他の電子機器にも適用することが可能である。このような電子機器に本発明を適用した場合においても、上記実施形態と同様な作用効果が奏される。
【符号の説明】
【0027】
1…デジタルカメラ
8…バッテリーパック
8a、8c…電気接点
8b…突出部
9…筐体
11…電池蓋
11a…蓋体
11b…収納体
12…電池室
13…電池
13a…電気接点
14…格納部
15…電気接点
16…回転ヒンジ
18…空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池が収納される筐体に設けられた電池室と、
電子機器の内部回路に電気的につながる一側面に設けられた電気接点が前記筐体側に向いて前記電池室を塞ぐ閉状態と前記一側面が前記筐体の外側を向いて前記電気接点が前記筐体の外部に露出する開状態とに開閉自在に前記筐体に設けられている電池蓋と
を備えた電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記電池蓋は、前記閉状態時に前記電池室を塞ぐ蓋体と前記蓋体にスライド自在に収納された収納体との二重構造で構成されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記筐体は、前記開状態にある前記電池蓋を格納する格納部を側面に備え、
前記電池蓋は、前記収納体が前記蓋体からスライドされることで、前記閉状態時に前記格納部に形成される空間を埋める
ことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−18458(P2011−18458A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160472(P2009−160472)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】