説明

電子機器

【課題】ユーザが種々の通知情報を簡単かつ容易に識別して確認できる電子機器を提供する。
【解決手段】タッチ入力を検出するタッチセンサ11と、タッチセンサ11のタッチ面11aを振動させる触感呈示部13と、異なる種別の通知情報を記憶可能な記憶部16と、タッチ面11aにタッチしているタッチ対象Fに対して触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御する制御部17とを備え、制御部17は、タッチ対象Fがタッチ面11aに対して所定のタッチ状態にあるのを検出した際に、記憶部16に記憶されている種別の異なる通知情報毎に、タッチ対象Fに対して異なる触感を呈示するように触感呈示部13によりタッチ面11aを振動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器には、種々の情報を通知する機能を有するものがあり、ユーザはその情報通知機能により、種々の情報を知ることができる。この電子機器の情報通知機能の一例として、電子機器に未読メールまたは未応答着信が記憶されている場合に、電子機器に備えられた表示部に未読メールまたは未応答着信がある旨の情報を表示してユーザに通知する機能がある。この機能により、ユーザは、ある時間放置していた電子機器に、新規受信メールまたは新規着信があったのか否か、すなわち未読メールまたは未応答着信があるか否かを、表示部に表示される情報により確認することができる。
【0003】
しかし、例えば、携帯電話端末やPDA(Personal Digital Assistants)等のように携帯されて使用される電子機器は、鞄やポケットに入れて携帯される場合が多い。この場合、電子機器の表示部に表示されている通知情報を確認するには、電子機器を鞄やポケットからいちいち取り出し、さらに機種によっては操作キーを押したり、折り畳み式の場合は機器を開いたりするなどの面倒な操作を行って、表示部に表示される通知情報を視認することになる。このため、ポケットや鞄等の中に収容物が詰まっている等の原因により、電子機器を取り出し難いといった状況においては、通知情報を確認し難く、ユーザにとっては不都合が生じていた。また、通知情報を確認する毎に、ポケット等からいちいち電子機器を取り出し、その後、再びポケット等に電子機器を戻すという一連の操作を行うことは、ユーザにとって手間になっていた。
【0004】
なお、従来の折り畳み式の電子機器として、折り畳んだ状態で露出する部分にサブ表示部を設け、このサブ表示部に日時、着信、新着メール等を表示するようにしたものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電子機器によれば、機器を展開してメインの表示部を見ることなく、機器を折り畳んだ状態で、サブ表示部を視認することにより、サブ表示部に表示されている通知情報を確認することができる。しかし、この電子機器においても、電子機器がポケット等に入っている場合は、いちいち機器を取り出してサブ表示部を視認することになるため、同様の不都合が生じることになる。
【0005】
また、電子機器は、携帯されて種々の場所で使用されることから、例えば、炎天下や明るいライトの下で表示部に表示されている通知情報を見る場合もある。しかし、このような環境の下では、表示部による外光の反射や、外界の表示部への写りこみ等が生じて、表示部に表示されている通知情報が見づらくなる。
【0006】
一方、従来の電子機器として、キー入力部の所定のキーを、触覚的に相違する2つの状態を表す所定のスイッチとして構成して、電話の着信や電子メールの受信など予め定められた処理が実行された際に、この所定のスイッチを予め定められた状態に遷移させるようにした電子機器も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
特許文献2に開示の電子機器によれば、ユーザは、所定のスイッチに触ることにより、未読メールや未応答着信があるか否かを確認することができる。しかも、ユーザは、所定のスイッチに触れればよいので、電子機器がポケットや鞄にある場合は、ポケット等に入れたままで、所定のスイッチに触ることにより未読メールや未応答着信の有無を確認することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−198676号公報
【特許文献2】特開2001−249759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献2に開示の電子機器の場合、ユーザは、所定のスイッチを触ることにより、電話の着信や電子メールの受信があったことを知ることはできるが、電話の着信があったのか、電子メールの受信があったのかを判別することはできない。このため、ユーザにおいては、例えば電話待ちや電子メール待ちをしている場合に、どちらの着信があったのかを、表示部を見て確認しなければならないという面倒な操作を要することになる。
【0010】
また、所定のスイッチは、キー入力部の一つのキーの大きさで、比較的小さい。このため、電子機器を鞄やポケット等に入れたままの状態で、所定のスイッチを触る場合は、電子機器の収容状態や姿勢が把握し難いことと相俟って、所定のスイッチを探すのに時間がかかる場合がある。
【0011】
このようなことから、未読メールや未応答着信を、表示部を見ることなく、簡単かつ容易に識別して確認できる電子機器の開発が望まれている。特に、近年の電子機器は、上述した未読メールや未応答着信の他にも、スケジュールなどの種々の情報が通知可能となっていることから、ユーザが希望する種々の通知情報を、簡単かつ容易に識別して確認できることが望まれている。
【0012】
本発明は、このような要望に応えるべくなされたもので、ユーザが種々の通知情報を簡単かつ容易に識別して確認できる電子機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する第1の観点に係る電子機器の発明は、
タッチ入力を検出するタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部と、
異なる種別の通知情報を記憶可能な記憶部と、
前記タッチ面にタッチしているタッチ対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記タッチ対象が前記タッチ面に対して所定のタッチ状態にあるのを検出した際に、前記記憶部に記憶されている種別の異なる通知情報毎に、前記タッチ対象に対して異なる触感を呈示するように前記触感呈示部により前記タッチ面を振動させる、
ことを特徴とするものである。
【0014】
第2の観点に係る発明は、第1の観点に係る電子機器において、
前記タッチセンサは、前記タッチ対象による前記タッチ面のタッチ位置の位置情報を出力し、
前記制御部は、前記所定のタッチ状態として、前記タッチセンサからの前記位置情報が連続的に変化する前記タッチ対象によるスライドを検出する、
ことを特徴とするものである。
【0015】
第3の観点に係る発明は、第1または2の観点に係る電子機器において、
前記タッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記荷重検出部により検出される押圧荷重が所定の荷重基準を満たした際に所定の処理を実行し、前記荷重検出部により検出される押圧荷重が前記所定の荷重基準を満たしていない状態で前記所定のタッチ状態を検出する、
ことを特徴とするものである。
【0016】
第4の観点に係る発明は、第1乃至3のいずれかの観点に係る電子機器において、
電子メールの送受信または電話を行うための通信部をさらに備え、
前記記憶部は、前記通知情報として、前記通信部により受信した未読メールまたは未応答電話の着信情報を記憶するとともに、前記タッチセンサを介して入力されるスケジュールを記憶する、
ことを特徴とするものである。
【0017】
第5の観点に係る発明は、第1乃至4のいずれかの観点に係る電子機器において、
前記制御部は、前記通知情報の重要度に応じて触感の呈示態様を異ならせる、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る電子機器によれば、タッチセンサのタッチ面に対する所定のタッチ状態を検出して、通知情報をその種別に応じた触感により呈示する。これにより、ユーザは、タッチセンサのタッチ面に対するタッチ状態を所定の状態とする簡単な操作で、種々の通知情報を容易に識別して確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る携帯電話端末の機能ブロック図である。
【図2】図1に示したタッチセンサを含む部分の実装構造の一例を示す図である。
【図3】第1実施の形態に係る携帯電話端末による通知情報の触感呈示態様を説明するための図である。
【図4】第1実施の形態に係る携帯電話端末による通知情報の触感呈示動作を示すフローチャートである。
【図5】第1実施の形態に係る携帯電話端末の動作を説明するための図である。
【図6】第1実施の形態に係る携帯電話端末の動作を説明するための図である。
【図7】本発明の第2実施の形態に係る携帯電話端末の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る電子機器の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0021】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る電子機器の機能ブロック図である。この電子機器は、電話機能および電子メールの送受信機能を有する携帯電話端末で、タッチセンサ11、荷重検出部12、触感呈示部13、表示部14、通信部15、記憶部16、および、全体の動作を制御する制御部17を有する。
【0022】
タッチセンサ11は、そのタッチ面に対する指やスタイラスペンなどのタッチ対象によるタッチ入力を検出するもので、抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等のタッチ位置の二次元の位置情報を出力する公知のもので構成して、表示部14上に配置する。荷重検出部12は、タッチセンサ11のタッチ面に対する押圧荷重を検出するもので、例えば、歪みゲージセンサや圧電素子等の荷重に対して反応する素子を用いて構成する。触感呈示部13は、タッチセンサ11を振動させるもので、例えば、圧電素子を用いて構成する。
【0023】
表示部14は、押しボタンスイッチ(プッシュ式ボタンスイッチ)のような入力ボタン等の入力用オブジェクトを表示するもので、例えば、液晶表示パネルや有機EL表示パネル等を用いて構成する。この表示部14に表示された入力用オブジェクトに対するタッチ入力は、タッチセンサ11から出力される位置情報に基づいて制御部17により検出される。通信部15は、公知のセルラー網等のネットワークを介して電話や電子メール等の無線通信を行うように構成する。記憶部16には、無線通信プログラムを含む各種の動作プログラム、未読メールや未応答電話の着信情報あるいはユーザ入力によるスケジュール等の種々の通知情報、触感呈示部13の駆動信号情報、等を記憶する。
【0024】
制御部17は、例えばCPU等からなり、タッチセンサ11からの位置情報、荷重検出部12からの押圧荷重情報に基づいて各部の動作を制御する。
【0025】
図2は、図1に示したタッチセンサ11を含む部分の実装構造の一例を示すもので、図2(a)は要部断面図、図2(b)は要部平面図である。表示部14は、筐体21内に収納保持する。表示部14上には、弾性部材からなるインシュレータ22を介して、タッチセンサ11を保持する。なお、本実施の形態では、タッチセンサ11および表示部14を、平面視で縦長の矩形状として、タッチセンサ11を、図2(b)に仮想線で示す表示部14の表示領域Aから外れた4隅に配設したインシュレータ22を介して表示部14上に保持する。
【0026】
また、筐体21には、表示部14の表示領域から外れたタッチセンサ11の表面領域を覆うようにアッパカバー23を設け、このアッパカバー23とタッチセンサ11との間に、弾性部材からなるインシュレータ24を配設する。
【0027】
なお、図2に示すタッチセンサ11は、タッチ面11aを有する表面部材が、例えば透明フィルムやガラスで構成され、裏面部材がガラスやアクリルで構成されて、タッチ面11aが押圧されると、押圧部分が押圧力に応じて微少量撓む(歪む)、または構造体そのものが微少量撓む構造のものを用いる。
【0028】
タッチセンサ11の表面上には、アッパカバー23で覆われる各辺の近傍に、タッチセンサ11に加わる荷重(押圧力)を検出する歪みゲージセンサや圧電素子からなる荷重センサ31をそれぞれ接着等により設ける。また、タッチセンサ11の裏面上には、対向する2つの辺の近傍に、タッチセンサ11を振動させるための圧電素子32をそれぞれ接着等により設ける。すなわち、図2に示す携帯電話端末は、図1に示した荷重検出部12を4つの荷重センサ31を用いて構成し、触感呈示部13を2つの圧電素子32を用いて構成している。そして、触感呈示部13によりタッチセンサ11を振動させることにより、タッチ面11aを振動させて、タッチ面11a上のタッチ対象に触感を呈示するようにしている。なお、図2(b)においては、図2(a)に示した筐体21、アッパカバー23およびインシュレータ24の図示を省略している。
【0029】
本実施の形態に係る携帯電話端末においては、タッチセンサ11からの出力に基づいてタッチセンサ11のタッチ面11aへのタッチ操作(タッチ入力)を検出する。そして、荷重検出部12により検出される押圧荷重が所定の処理を実行するための荷重基準(例えば、1.5N)を満たさない状態で、タッチセンサ11からの位置情報が連続的に変化する場合、指等のタッチ対象がタッチ面11aをスライドしていると判定する。そして、スライドしていると判定した場合において、記憶部16に未読メールや未応答電話の着信情報、あるいは当日の今後のスケジュールの通知情報がある場合は、その通知情報の種別に応じて触感呈示部13によりタッチ面11aを振動させる。
【0030】
例えば、未読メールがある場合は、図3(a)に示すように、タッチ対象の指Fに「ブル」と感じる触感を呈示し、未応答電話着信がある場合は、図3(b)に示すように、指Fに「ブブ」と感じる触感を呈示し、スケジュールがある場合は、図3(c)に示すように、指Fに「カツ」と感じる触感を呈示する。また、複数種別の通知情報がある場合は、必要に応じて、通知情報の種別の組み合わせに応じた所定の触感を呈示する。これにより、タッチ面11aをスライドしている指Fに対して、通知情報の種別を触感により識別して呈示する。
【0031】
ここで、触感呈示部13が圧電素子を用いて構成されている場合、圧電素子に印加する駆動信号は、「ブル」や「ブブ」と感じられる軟質的な触感を呈示する場合、200Hz〜500Hz程度の三角波信号や正弦波信号を2〜3周期分印加する。また、「カツ」と感じられる硬質な触感を呈示する場合は、200Hz〜500Hz程度の矩形波信号を2〜3周期分印加する。これらの種々の触感を呈示する駆動信号情報は、記憶部16に記憶する。なお、記憶部16には、好ましくは、他の触感を呈示する駆動信号や、同じ波形の信号で振幅の異なる駆動信号を記憶して、ユーザにより通知情報の種別に応じて所望の触感を呈示する駆動信号を適宜設定できるようにする。
【0032】
以下、本実施の形態に係る携帯電話端末による通知情報の触感呈示動作について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0033】
先ず、制御部17は、タッチセンサ11からの位置情報の入力を検出して、タッチ面11aに指等のタッチ対象が接触(タッチ)したのを検出すると(ステップS401)、荷重検出部12から入力される押圧荷重が所定の処理を実行するための荷重基準(1.5N)未満(満たさない)か否かを判定する(ステップS402)。その結果、押圧荷重が荷重基準未満と判定した場合(Yesの場合)、制御部17は、タッチセンサ11からの位置情報に基づいて、タッチ面11aにタッチしているタッチ対象の移動距離を検出して(ステップS403)、一定量移動(例えば、2mm移動)したか否かを判定する(ステップS404)。その結果、一定量移動した場合(Yesの場合)は、スライドと判定し(ステップS405)、一定量移動していないと判定された場合(Noの場合)は、誤入力と判定して処理を終了する。
【0034】
したがって、図5(a)に示すように、タッチ面11a上で、ユーザが指Fを一定量(2mm)以上移動させ、その際に荷重検出部12によって検出される押圧荷重が、図5(b)に示すように、荷重基準(1.5N)未満である場合は、スライドと判定される。これに対し、タッチ面11aを、荷重基準未満の押圧荷重で単に触れた場合は、その時点で処理が終了され、当該タッチ操作はキャンセルされる。
【0035】
制御部17は、ステップS405においてスライドと判定すると、次に、記憶部16に、未読メール、未応答電話または直後のスケジュールの通知情報が記憶されているか否かを判定し(ステップS406)、ある場合(Yesの場合)は、その通知情報の種別に応じて触感呈示部13の駆動して触感を呈示し(ステップS407)、無い場合(Noの場合)は、触感呈示部13を駆動することなく処理を終了する。
【0036】
ここで、例えば、未読メールのみがある場合、制御部17は、図3(a)に示したように、タッチ対象の指Fに「ブル」と感じる触感を呈示するように、対応する駆動信号により触感呈示部13を駆動する。また、未応答電話のみがある場合、制御部17は、図3(b)に示したように、指Fに「ブブ」と感じる触感を呈示するように、対応する駆動信号により触感呈示部13を駆動する。同様に、スケジュールのみがある場合、制御部17は、図3(c)に示したように、指Fに「カツ」と感じる触感を呈示するように、対応する駆動信号により触感呈示部13を駆動する。
【0037】
また、複数種別の通知情報がある場合、制御部17は、一回のスライド中に、それらの種別の通知情報を通知する。この場合は、複数種別の通知情報を順次通知するように、触感呈示部13をそれぞれ対応する駆動信号により順次駆動するか、あるいは、通知情報の種別の組み合わせに応じて予め設定した対応する駆動信号により触感呈示部13を駆動する。図6は、未読メールと未応答電話とがある場合に、触感呈示部13をそれぞれ対応する駆動信号により順次駆動した場合の触感呈示態様を示している。
【0038】
一方、図4のステップS402において、制御部17が荷重検出部12からの押圧荷重が荷重基準(1.5N)を満たすと判定した場合(Noの場合)、制御部17は、当該入力操作を所定の処理の実行指示として受け付けて(ステップS408)、所定の処理を実行する(ステップS409)。例えば、携帯電話端末がスリープモード等の省電力モードにある場合は、省電力モードを解除して待受けモードに移行したり、電話番号等の入力を受け付けたりする等の所定の処理を実行する。
【0039】
本実施の形態に係る携帯電話端末によれば、ユーザが、タッチセンサ11のタッチ面11aを、荷重基準未満の押圧荷重で指等をスライドさせると、通知情報がある場合は、その通知情報の種別に応じてタッチ対象に対して触感を呈示する。これにより、ユーザは、通知情報を容易に識別して認識することができる。したがって、ユーザは、例えば、電話待ちや電子メール待ちをしている場合に、どちらの着信があったのかを容易に識別できるので、表示部14を見て確認するなどの面倒な操作を要することなく、適切な対応が可能となり、利便性を向上することができる。しかも、ユーザは、タッチセンサ11のタッチ面11aを軽くスライドすればよいので、携帯電話端末を鞄やポケット等に入れたままの状態でも、タッチセンサ11を簡単に探して操作することができる。なお、図3、図5および図6では、指Fがタッチ面11aを縦方向にスライドする場合を図示しているが、タッチ面11aに対するスライド方向は、任意の方向である。
【0040】
(第2実施の形態)
本発明の第2実施の形態に係る電子機器は、重要度の高い通知情報の種別に対しては、当該通知情報の種別を通常の触感とは異なる触感、例えば通常の触感よりも強く感じる触感を呈示する。ここで、重要度は、例えば、同じ相手から複数の未読メールや未応答電話がある場合、重要度の高い未読メールがある場合、所定の相手から未読メールや未応答電話がある場合、異なる相手から複数の未読メールや未応答電話がある場合、キャンセルできないスケジュールがある場合など、ユーザにおいて適宜設定する。
【0041】
このため、記憶部16には、同じ波形の信号で振幅の異なる駆動信号を記憶して、高い重要度に振幅の大きい駆動信号を割り当てる。そして、重要度の高い通知情報の種別を、通常の触感よりも強く感じる触感を提示して通知する。例えば、未読メールがある場合、その重要度が高くなければ、図7(a)に示すように、図3(a)の場合と同様に、タッチ対象の指Fに「ブル」と感じる触感を呈示し、重要度が高い場合は、図7(b)に示すように、図7(a)の場合と同じ波形で、図7(a)の場合よりも振幅の大きい駆動信号により触感呈示部13を駆動して、指Fに「ブル」が強く感じる触感を呈示する。他の通知情報の場合も同様である。
【0042】
このように、本実施の形態に係る携帯電話端末においては、通知情報を触感により呈示する際、同一種別の通知情報を、重要度に応じて触感の呈示態様を異ならせるようにしたので、ユーザにおいてより適切な対処が可能となり、利便性をさらに向上することができる。
【0043】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、指等のタッチ対象に呈示する触感は、タッチ面11aを振動させる触感呈示部13の駆動信号により適宜設定することが可能である。また、未読メールが1件ある場合、その通知直後に,ユーザによる押圧操作により荷重検出部12で検出される押圧荷重が所定の処理を実行するための荷重基準と同程度の所定の閾値を超えた場合、現在返信できない旨の定型文メールを送信者に自動的に送信するように構成することもできる。
【0044】
また、図1に示した構成において、荷重検出部12および触感呈示部13は、圧電素子を荷重検出用と触感呈示用とに共用して構成することもできる。さらに、上記実施の形態において、タッチセンサ11のタッチ面は、縦長矩形に限らず、正方形、横長矩形等、任意の形状とすることができる。また、スライドの判定は、押圧荷重が所定の処理を実行するための荷重基準よりも高い所定の閾値を超えて、タッチ位置が所定距離移動した場合にスライドと判定することもできる。
【0045】
さらに、タッチセンサは、通知情報の触感呈示専用に設けてもよい。この場合は、押圧荷重を検出することなく、スライドのみを検出して、通知情報を触感により呈示すればよい。また、この場合、タッチセンサは、一次元の位置情報を出力するタッチセンサとすることもできる。
【0046】
また、スライドを検出することなく、タッチ対象による所定時間の長押しを検出して、通知情報の有無を種別に応じて、触感により呈示するよう構成することもできる。さらに、通知情報は、未読メール、未応答電話、スケジュールに限らず、さらに多くの通知情報を識別して通知するように構成することもできるし、所望の2つのみ通知情報のみを識別して通知するように構成することもできる。また、本発明は、図1に示したような携帯電話端末に限らず、通信部15を有しない他の電子機器にも有効に適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
11 タッチセンサ
11a タッチ面
12 荷重検出部
13 触感呈示部
14 表示部
15 通信部
16 記憶部
17 制御部
21 筐体
22 インシュレータ
23 アッパカバー
24 インシュレータ
31 荷重センサ
32 圧電素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ入力を検出するタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部と、
異なる種別の通知情報を記憶可能な記憶部と、
前記タッチ面にタッチしているタッチ対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記タッチ対象が前記タッチ面に対して所定のタッチ状態にあるのを検出した際に、前記記憶部に記憶されている種別の異なる通知情報毎に、前記タッチ対象に対して異なる触感を呈示するように前記触感呈示部により前記タッチ面を振動させる、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記タッチセンサは、前記タッチ対象による前記タッチ面のタッチ位置の位置情報を出力し、
前記制御部は、前記所定のタッチ状態として、前記タッチセンサからの前記位置情報が連続的に変化する前記タッチ対象によるスライドを検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記タッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記荷重検出部により検出される押圧荷重が所定の荷重基準を満たした際に所定の処理を実行し、前記荷重検出部により検出される押圧荷重が前記所定の荷重基準を満たしていない状態で前記所定のタッチ状態を検出する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
電子メールの送受信または電話を行うための通信部をさらに備え、
前記記憶部は、前記通知情報として、前記通信部により受信した未読メールまたは未応答電話の着信情報を記憶するとともに、前記タッチセンサを介して入力されるスケジュールを記憶する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、前記通知情報の重要度に応じて触感の呈示態様を異ならせる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−48697(P2011−48697A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197408(P2009−197408)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】