説明

電子機器

【課題】良好な画質を維持できる最大の投映サイズで画像の投映を行う電子機器を提供する。
【解決手段】投映画像を投映面に対して投映する投映部34と、前記投映部から前記投映面までの距離を計測する計測部36と、前記投映面の光学特性を検知する検知部20と、前記投映部の投映性能を記憶する記憶部31と、前記投映面までの距離、前記投映面の光学特性及び前記投映部の投映性能に基づいて、前記投映面における最大投映サイズを決定する決定部20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、投映画像のサイズを調整できるプロジェクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。このプロジェクタによれば、投映する画像のサイズに対応させて映像信号の諸特性を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−054030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のプロジェクタでは、投映する画像のサイズに対応させて映像信号の諸特性を調整した場合に投映画像の画質を維持することができない場合があった。
【0005】
本発明の目的は、良好な画質を維持できる最大の投映サイズで画像の投映を行う電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器は、投映画像を投映面に対して投映する投映部と、前記投映部から前記投映面までの距離を計測する計測部と、前記投映面の光学特性を検知する検知部と、前記投映部の投映性能を記憶する記憶部と、前記投映面までの距離、前記投映面の光学特性及び前記投映部の投映性能に基づいて、前記投映面における最大投映サイズを決定する決定部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電子機器によれば、良好な画質を維持できる最大の投映サイズで画像の投映を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施の形態に係るプロジェクタの投映状態を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係るプロジェクタのシステム構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態に係るプロジェクタの処理を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施の形態に係るプロジェクタにおける撮像部の撮像範囲を示す平面図である。
【図5】第1の実施の形態に係るプロジェクタにおける撮像部の撮像範囲を示す側面図である。
【図6】第2の実施の形態に係るプロジェクタの処理を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施の形態に係るプロジェクタの処理を示すフローチャートである。
【図8】第1及び第3の実施の形態に係るプロジェクタにおいて投映面に投映される指示マークの形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、第1の実施の形態に係る電子機器をプロジェクタを例にして説明する。図1は、第1の実施の形態に係るプロジェクタの投映状態を示す斜視図である。プロジェクタ2は金属やプラスチックからなる筐体4を備え、筐体4の背面には、後述するメッセージの画像等の表示を行うLCD表示部6、投映画像の選択等を行うマルチセレクタ8、プロジェクタ投映を行う投映モードを設定するPJボタン10、良好な画質を維持できる最大投映サイズ11を決定するための処理を開始する開始ボタン12が設けられている。また、筐体4の上面には、電源スイッチ14、後述する撮像部24による撮像指示を行うレリーズボタン15が設けられている。
【0010】
図2は、第1の実施の形態に係るプロジェクタ2の構成を示すブロック図である。プロジェクタ2はCPU20を備え、CPU20には、マルチセレクタ8、PJボタン10、開始ボタン12、電源スイッチ14、レリーズボタン15等を備える操作部22、LCD表示部6の表示制御を行う表示制御部23、被写体を撮像する撮像素子を有する撮像部24、撮像部24から出力された撮像データを記憶する記憶部26、投映等に関する設定、制御を行うためのプログラムを格納するプログラム記憶部30、プロジェクタ2の投映性能に関する情報を記憶する性能記憶部31、投映する画像の画像データを記憶するメモリカード32、画像を投映する投映部34、及び筐体4の前面から投映面Wまでの距離を計測する計測部36が接続されている。なお、計測部36は、撮像部24により被写体を撮像する際に被写体までの距離を計測する測距部を用いてもよい。
【0011】
ここで、投映部34は、光源であるLED光源46の点灯、消灯及びLED光源46から射出される投映光の光量を調節する電源制御部48、投映画像を表示するLCOS50の制御を行う投映制御部52を備えている。
【0012】
次に、図3に示すフローチャートを参照して第1の実施の形態に係るプロジェクタ2の処理について説明する。まず、PJボタン10が操作されると投映モードが設定される(ステップS1)。次に、CPU20は、プログラム記憶部30に記憶されている、「プロジェクタをスクリーンに向けてください。」等のメッセージの画像データを読み出し、この画像データに基づく画像をLCD表示部6に表示する(ステップS2)。
【0013】
次に、CPU20は、開始ボタン12が操作されたか否かの判定を行う(ステップS3)。開始ボタン12が操作された場合(ステップS3:Yes)、CPU20は、最大投映サイズ11を決定するための処理を開始する。即ち、まず、計測部36により筐体4の前面から投映面Wまでの距離を計測する(ステップS4)。次に、撮像部24により、投映面Wの撮像を行う。ここで、撮像部24は、暗室状態における白色の投映面(標準スクリーン)Wを想定した場合に明瞭な投映画像を投映することが可能な最大投映範囲を撮像する。即ち、図4に示すように、プロジェクタ2を上から見たときの最大投映範囲がXS、図5に示すようにプロジェクタ2を側面から見たときの最大投映範囲がYSである場合、CPU20は、撮像範囲XCが最大投映範囲XSを、撮像範囲YCが最大投映範囲YSをそれぞれ含むように撮像部24の撮像画角を調整して投映面Wの撮像を行う。ここで、撮像画角の調整には、被写体光を入射させる撮影窓40と投映光を射出する投映窓42との間の距離DX及びDYも考慮される。なお、図4及び図5において、距離Lは、筐体4の前面から投映面Wまでの距離を示し、XP及びYPは、距離Lで投映した場合の投映範囲を示している。
【0014】
CPU20は、撮像部24から出力された撮像データを記憶部26に記憶する。次に、CPU20は、記憶部26から撮像データを読み出し、撮像データに基づいて投映面Wの光学特性(例えば、投映面Wの輝度の分布及び投映面Wの色の分布等)を検知する(ステップS5)。
【0015】
次に、CPU20は、性能記憶部31からプロジェクタ2の投映性能に関する情報(例えば、投映光の輝度、投映光の色、投映焦点距離、レンズの光学収差等の情報等)を読み出すと共に、メモリカード32から画像データを読み出し、画像データから投映画像の画像特性(例えば、解像度、画素の輝度、画素の色等)を検出する(ステップS6)。次に、CPU20は、投映面Wまでの距離、投映面Wの光学特性、プロジェクタ2の投映性能及び投映画像の画像特性に基づいて、良好な画質を維持できる最大投映サイズ11を決定する(ステップS7)。ここで、最大投映サイズ11は、予め行われた実験結果やシミュレーションの結果等に基づいて作成されたプログラムを用いて決定される。なお、最大投映サイズ11は、検出した画像特性において、画像の解像度が所定の解像度を超える場合、または画素の輝度が所定の輝度を超える場合には大きなサイズに、画像の解像度が所定の解像度以下である場合、または画素の輝度が所定の輝度以下である場合には小さなサイズに決定される。また、画素の色の彩度が所定の彩度以下である場合、または画像のコントラストが所定のコントラスト値以下である場合には小さなサイズに、画素の色の彩度が所定の彩度を超える場合、またはコントラストが所定のコントラスト値を超える場合には大きなサイズに決定される。
【0016】
次に、CPU20は、現在の筐体4の位置で画像を投映した場合の現状投映サイズ17(図1参照)が最大投映サイズ11と一致するか否かの判定を行う(ステップS8)。即ち、最大投映サイズ11で投映を行う場合の筐体4の前面から投映面Wまでの距離と、現在の筐体4の前面から投映面Wまでの距離に差があるか否かの判定を行う。現状投映サイズ17が最大投映サイズ11と一致しなかった場合(ステップS8:No)、即ち、最大投映サイズ11で投映を行う場合の筐体4の前面から投映面Wまでの距離と、現在の筐体4の前面から投映面Wまでの距離が一致していない場合には、CPU20は、現状投映サイズ17と最大投映サイズ11とのズレ量を投映面Wまでの距離の差に基づいて算出する(ステップS9)。
【0017】
次に、CPU20は、プログラム記憶部30に記憶されている指示マーク16(図1参照)の画像データを読み出し、最大投映サイズ11と現状投映サイズ17のズレ量に基づいて指示マーク16の方向及びサイズを調整した後、投映制御部52により投映面Wに対して指示マーク16を投映する(ステップS10)。例えば、現状投映サイズ17が最大投映サイズ11よりも小さい場合、図1に示すように、指示マーク16が現状投映サイズ17の投映領域の外側を指示するように投映し、現状投映サイズ17が最大投映サイズ11よりも大きい場合、指示マーク16が投映領域の中心を指示するように投映する。
【0018】
また、ズレ量が大きい場合には大きな指示マーク16を、ズレ量が小さい場合には小さな指示マーク16を投映する。このため、筐体4が最大投映サイズ11で投映できる位置に近づくにつれて指示マーク16が小さくなり、遠ざかるにつれて指示マーク16が大きくなる。
【0019】
これにより、操作者は、投映面Wに投映された指示マーク16(図1参照)に従って、適確に筐体4を最大投映サイズ11で投映できる位置に移動させることができる。なお、CPU20は、現状投映サイズ17が最大投映サイズ11と一致するまでステップS4〜S10の処理を繰り返す。
【0020】
また、現状投映サイズ17が最大投映サイズ11と一致する場合(ステップS8:Yes)、CPU20は、プログラム記憶部30に記憶されている、「最適なサイズで投映できます。」等のメッセージの画像データを読み出し、この画像データに基づく画像をLCD表示部6に表示する(ステップS11)。ここで、既にステップS4〜S10の処理が行われている場合、ステップS7の判定を行う時点で指示マーク16が投映面Wに投映されている。この場合、CPU20は、投映部34による指示マーク16の投映を中止する。次に、CPU20は、メモリカード32から画像データを読み出し、投映部34により画像データに基づく投映画像を最大投映サイズ11で投映面Wに投映する(ステップS12)。
【0021】
この第1の実施の形態に係るプロジェクタ2によれば、投映面Wの光学特性、投映面Wまでの距離及びプロジェクタ2の投映性能に基づいて最大投映サイズ11を決定するため、良好な画質を維持できる最大の投映サイズで投映画像の投映を行うことができる。また、現状投映サイズ17が最大投映サイズ11と一致しない場合、最大投映サイズ11で画像を投映できる位置にプロジェクタ2を移動できるように、投映面Wに指示マーク16を投映することができる。
【0022】
次に、第2の実施の形態に係るプロジェクタについて説明する。なお、第2の実施の形態に係るプロジェクタは、投映部34の投映光学系をズーム投映光学系に換え、最大投映サイズ11で投映できるように投映画角を調整するズーム制御部を投映部34に付加したものである。従って、第1の実施の形態と同様の構成についての詳細な説明は省略し、異なる部分のみについて説明する。また、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して説明する。
【0023】
図6は、第2の実施の形態に係るプロジェクタの処理を示す図である。まず、PJボタン10が操作されると投映モードが設定される(ステップS21)。次に、CPU20は、プログラム記憶部30に記憶されている、「プロジェクタをスクリーンに向けてください。」等のメッセージの画像データを読み出し、この画像データに基づく画像をLCD表示部6に表示する(ステップS22)。
【0024】
次に、CPU20は、開始ボタン12が操作されたか否かの判定を行う(ステップS23)。開始ボタン12が操作された場合(ステップS23:Yes)、CPU20は、最大投映サイズ11を決定するための処理を開始する。即ち、まず、計測部36により筐体4の前面から投映面Wまでの距離を計測する(ステップS24)。次に、撮像部24の撮像画角を調整して投映面Wの最大投映範囲(図4及び図5参照)を撮像し、撮像部24から出力された撮像データを記憶部26に記憶する。
【0025】
次に、CPU20は、記憶部26から撮像データを読み出し、撮像データに基づいて投映面Wの光学特性を検知する(ステップS25)。次に、CPU20は、性能記憶部31からプロジェクタ2の投映性能に関する情報を読み出すと共に、メモリカード32から画像データを読み出し、画像データから投映画像の画像特性を検出する(ステップS26)。次に、CPU20は、投映面Wまでの距離、投映面Wの光学特性、プロジェクタ2の投映性能及び投映画像の画像特性に基づいて、良好な画質を維持できる最大投映サイズ11を決定する(ステップS27)。
【0026】
次に、CPU20は、現状投映サイズ17が最大投映サイズ11と一致するか否かの判定を行う(ステップS28)。投映画像のサイズが最大投映サイズ11と一致しない場合(ステップS28:No)、CPU20は、第1の実施の形態と同様の方法で現状投映サイズ17と最大投映サイズ11とのズレ量を算出する(ステップS29)。次に、CPU20は、投映制御部52によりレンズ駆動部(図示せず)を駆動して投映レンズ(図示せず)を光軸方向に移動させ、現状投映サイズ17が最大投映サイズ11と一致するように投映部34の投映画角を調整する(ステップS30)。そして、メモリカード32から画像データを読み出し、投映部34により画像データに基づく投映画像を最大投映サイズ11で投映面Wに対して投映する(ステップS31)。
【0027】
一方、現状投映サイズ17が最大投映サイズ11と一致する場合(ステップS28:Yes)、ステップS29及びステップS30の処理を行わず、画像データに基づく投映画像を投映面Wに対して投映する(ステップS31)。
【0028】
この第2の実施の形態に係るプロジェクタによれば、投映面Wの光学特性、投映面Wまでの距離及びプロジェクタ2の投映性能に基づいて最大投映サイズ11を決定するため、良好な画質を維持できる最大の投映サイズで投映画像の投映を行うことができる。
【0029】
次に、第3の実施の形態に係るプロジェクタについて説明する。なお、第3の実施の形態に係るプロジェクタは、プロジェクタ2に音声出力部を付加し、LCD表示部6にメッセージが表示されてから所定時間内に開始ボタン12が操作されない場合、音声出力部により警告音を報知するものである。また、指示マーク16を投映した時から所定時間以内に筐体4が移動されなかった場合、現状投映サイズ17が最大投映サイズ11と一致しなくても投映画像を投映面Wに投映するものである。従って、第1の実施の形態と同様の構成についての詳細な説明は省略し、異なる部分のみについて説明する。また、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して説明する。
【0030】
図7は、第3の実施の形態に係るプロジェクタの処理を示す図である。まず、PJボタン10が操作されると投映モードが設定される(ステップS41)。次に、CPU20は、プログラム記憶部30に記憶されている、「プロジェクタをスクリーンに向けてください。」等のメッセージの画像データを読み出し、この画像データに基づく画像をLCD表示部6に表示する(ステップS42)。
【0031】
次に、CPU20は、メッセージがLCD表示部6に表示されてから所定時間内に開始ボタン12が操作されたか否かの判定を行う(ステップS43)。所定時間内に開始ボタン12が操作されなかった場合(ステップS43:Yes)、CPU20は、図示しない音声出力部により警告音を報知し(ステップS44)、再度、メッセージをLCD表示部6に表示する(ステップS42)。ここで、所定時間については操作者が任意に設定することができる。
【0032】
一方、所定時間内に開始ボタン12が操作された場合(ステップS43:Yes)、CPU20は、最大投映サイズ11を決定するための処理を開始する。まず、計測部36により筐体4の前面から投映面Wまでの距離を計測する(ステップS45)。ここで、距離の計測は一定時間間隔で行われ、計測された距離に関する情報は記憶部26に記憶される。
【0033】
次に、撮像部24の撮像画角を調整して投映面Wの最大投映範囲(図4及び図5参照)を撮像し、撮像部24から出力された撮像データを記憶部26に記憶する。
【0034】
次に、CPU20は、記憶部26から撮像データを読み出し、撮像データに基づいて投映面Wの光学特性を検知する(ステップS46)。次に、CPU20は、性能記憶部31からプロジェクタ2の投映性能に関する情報を読み出すと共に、メモリカード32から画像データを読み出し、画像データから投映画像の画像特性を検出する(ステップS47)。次に、CPU20は、投映面Wまでの距離、投映面Wの光学特性、プロジェクタ2の投映性能及び投映画像の画像特性に基づいて、良好な画質を維持できる最大投映サイズ11を決定する(ステップS48)。
【0035】
次に、CPU20は、現状投映サイズ17が最大投映サイズ11と一致するか否かの判定を行う(ステップS49)。現状投映サイズ17が最大投映サイズ11と一致しなかった場合(ステップS49:No)、CPU20は、第1の実施の形態と同様の方法で現状投映サイズ17と最大投映サイズ11とのズレ量を算出する(ステップS50)。
【0036】
次に、CPU20は、プログラム記憶部30に記憶されている指示マーク16(図1参照)の画像データを読み出し、最大投映サイズ11と現状投映サイズ17のズレ量に基づいて指示マーク16の方向及びサイズを調整した後、投映制御部52により投映面Wに対して指示マーク16を投映する(ステップS51)。
【0037】
次に、CPU20は、指示マーク16を投映した時から所定時間内に筐体4が移動されたか否かの判定を行う(ステップS52)。即ち、記憶部26から指示マーク16を投映した時の筐体4の前面から投映面Wまでの距離に関する情報を読み出し、指示マーク16を投映した時の筐体4の前面から投映面Wまでの距離と、指示マーク16を投映した時から所定時間が経過した時の筐体4の前面から投映面Wまでの距離に差があるか否かの判定を行う。所定時間内に筐体4が移動された場合(ステップS52:Yes)、即ち、指示マーク16を投映した時の筐体4の前面から投映面Wまでの距離と、指示マーク16を投映した時から所定時間が経過した時の筐体4の前面から投映面Wまでの距離が一致しない場合には、ステップS49の処理に戻る。一方、所定時間を経過しても筐体4が移動されなかった場合(ステップS52:No)、即ち、指示マーク16を投映した時の筐体4の前面から投映面Wまでの距離と、指示マーク16を投映した時から所定時間が経過した時の筐体4の前面から投映面Wまでの距離が一致した場合には、CPU20は、メモリカード32から画像データを読み出し、投映部34により画像データに基づく投映画像を投映面Wに投映する(ステップS54)。ここで、所定時間については操作者が任意に設定することができる。
【0038】
また、現状投映サイズ17が最大投映サイズ11と一致する場合(ステップS49:Yes)、CPU20は、プログラム記憶部30に記憶されている、「最適なサイズで投映できます。」等のメッセージの画像データを読み出し、この画像データに基づく画像をLCD表示部6に表示する(ステップS53)。ここで、既にステップS49〜S52の処理が行われ、ステップS49の判定を行う時点で指示マーク16が投映面Wに投映されている場合、CPU20は、投映部34による指示マーク16の投映を中止する。次に、CPU20は、メモリカード32から画像データを読み出し、投映部34により画像データに基づく投映画像を最大投映サイズ11で投映面Wに投映する(ステップS54)。
【0039】
この第3の実施の形態に係るプロジェクタによれば、メッセージがLCD表示部6に表示された時から所定時間内に開始ボタン12が操作されない場合、警告音を報知することにより操作者に開始ボタン12の操作を促すことができる。また、指示マーク16が投映されてから所定時間内に最大投映サイズ11で投映できる位置に筐体4を移動させることができなかった場合であっても、現状投映サイズ17で投映画像を投映することができる。
【0040】
なお、上述の実施の形態において、最大投映サイズ11を決定した後、投映面Wの光学特性を再度検知するようにしてもよい。例えば、CPU20は、最大投映サイズ11を決定した後、撮像部24の撮像画角を調整して投映面Wにおける最大投映サイズ11の範囲を撮像する。次に、撮像部24から出力された撮像データに基づいて投映面Wの光学特性を再度検知するようにしてもよい。これにより、投映面Wに色ムラがある場合などにおいても、実際に投映を行う領域の光学特性を高精度に検知できる。また、検知した光学特性を用いることにより正確に最大投映サイズ11を決定することができる。
【0041】
また、上述の実施の形態においては、投映面Wに対して一つの矢印型の指示マーク16を投映する場合を例に説明しているが、図8(a)に示すように、指示マーク16は複数であってもよい。また、図8(b)に示すように、一つの指示マーク16が複数の方向を指示するものであってもよい。また、図8(c)に示すような円形の指示マーク16を投映し、ズレ量が小さい場合には小さなサイズの円形を、ズレ量が大きい場合には大きなサイズの円形を投映するようにしてもよい。この場合操作者は、指示マーク16のサイズにより、筐体4の位置が最大投映サイズ11で投映できる位置からどの程度離れているかを認識することができる。
【0042】
また、上述の実施の形態においては、撮像部24により撮像を行い、撮像部24から出力された撮像データを用いて投映面Wの光学特性を検知しているが、輝度センサ等を含む検知部を備え、検知部により直接光学特性を検知するようにしてもよい。これにより、撮像部24を用いずに投映面Wの光学特性を検知することができる。
【0043】
また、上述の実施の形態においては、現状投映サイズ17が最大投映サイズ11と一致しなかった場合、投映面Wに対して指示マーク16を投映しているが、指示マーク16と共に「可能な投映サイズ:40型」のような最大投映サイズ11のサイズ名称、及び「対応投映距離:2m」のような最大投映サイズ11が投映できる距離を併せて投映するようにしてもよい。これにより、操作者は具体的に最大投映サイズ11及び最大投映サイズ11で投映画像を投映するために必要な距離をイメージすることができる。また、現状投映サイズ17が最大投映サイズ11よりも大きい場合、最大投映サイズ11の投映領域の縁部に枠を投映するようにしてもよい。
【0044】
また、第1及び第3の実施の形態においては、投映面Wに対して指示マーク16を投映することにより操作者に指示を行う場合を例に説明しているが、例えば、「プロジェクタ2を前に移動させてください。」等のメッセージを投映面Wに対して投映することにより操作者に指示を行うようにしてもよい。また、音声出力部を備え音声により指示を行うようにしてもよい。
【0045】
また、上述の実施の形態においては、投映面Wまでの距離、投映面Wの光学特性、プロジェクタ2の投映性能及び投映画像の画像特性に基づいて最大投映サイズ11を決定しているが、投映画像の画像特性を除外し、投映面Wまでの距離、投映面Wの光学特性及びプロジェクタ2の投映性能に基づいて最大投映サイズ11を決定してもよい。
【0046】
また、上述の実施の形態においては、計測部36の計測方式を明記していないが、投映面Wが低輝度である場合においても筐体4の前面から投映面Wまでの距離を計測することができれば、レーザ距離計、超音波式距離計等の計測方式は問わない。
【0047】
また、上述の実施の形態において、投映面Wの所定のスポット、例えば、投映面Wの4隅と中央等の5つのスポットの光学特性を検知するようにしてもよい。
【0048】
また、第1及び第3の実施の形態においては、指示マーク16を投映面Wに対して投映しているが、LCD表示部6に表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
2…プロジェクタ、4…筐体、6…LCD表示部、11…最大投映サイズ、17…現状投映サイズ、16…指示マーク、20…CPU、22…操作部、23…表示制御部、24…撮像部、26…記憶部、30…プログラム記憶部、31…性能記憶部、32…メモリカード、34…投映部、36…計測部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投映画像を投映面に対して投映する投映部と、
前記投映部から前記投映面までの距離を計測する計測部と、
前記投映面の光学特性を検知する検知部と、
前記投映部の投映性能を記憶する記憶部と、
前記投映面までの距離、前記投映面の光学特性及び前記投映部の投映性能に基づいて、前記投映面における最大投映サイズを決定する決定部と
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記決定部は、更に前記投映画像の画像特性に基づいて前記投映面における最大投映サイズを決定することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記投映面を撮像する撮像部を備え、
前記検知部は、前記撮像部により出力される撮像データに基づいて、前記投映面の光学特性を検知することを特徴とする請求項1または2記載の電子機器。
【請求項4】
前記最大投映サイズに関する情報を報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記報知手段は、前記投映部により報知情報を投映する投映制御部または前記報知情報を音声出力する音声出力部の少なくとも一方を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記投映画像のサイズを前記最大投映サイズに一致させるための指示マークの画像データを記憶する画像記憶部を備え、
前記投映制御部は、前記投映部により前記投映面に対して前記指示マークを投映することを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記報知手段は、前記投映画像のサイズが前記最大投映サイズと一致する場合、その旨を報知することを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記投映部は、ズーム投映光学系を備え、
前記決定部により決定された前記最大投映サイズに基づいて前記ズーム投映光学系を制御するズーム制御部を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記検知部は、前記最大投映サイズの投映領域の前記光学特性を再度検知することを特徴とする請求項1〜8の中の何れか一項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−123282(P2012−123282A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275286(P2010−275286)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】