説明

電子機器

【課題】タッチパネルを振動させることにより、操作者に操作感をフィードバックするよう構成された電子機器につき、その振動を可能な限り減衰させることなく、防塵性、防水性を向上させる。
【解決手段】電子機器1は、タッチパネル3と、タッチパネル3を振動させる振動部15、16と、タッチパネル3の裏面側に配置された画像表示部18と、タッチパネル3の裏面側に設けられ、該タッチパネル3の周縁部に対向する支持部7dと、平面視で矩形枠状でありタッチパネル3の周縁部および支持部7d相互間に介装されてこれらのタッチパネル3および支持部7dに密接する弾性部材20と、を備え、弾性部材20は、辺に沿った少なくとも一部が中空である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、操作者による操作入力を検出し、その入力に応じた振動をタッチパネルに与えることにより、操作者に対してタッチパネルを介して操作感をフィードバックする電子機器に関し、とくには、タッチパネルへの振動入力を阻害することなく、その防塵性、防水性の向上を図ろうとするものに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電子機器の入力装置として、タッチパネルやタッチパッドなどが広く採用されている。そのような入力装置において、操作者がタッチパネルやタッチパッドなどを操作した際に、タッチパネルやタッチパッドを湾曲振動させることにより、操作者の指先などに操作感をフィードバックするものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図9は、特許文献1に記載の電子機器を分解した外観斜視図である。図9に示すように、特許文献1に記載の電子機器(ディスプレイ装置)は、ディスプレイモニタ100、パネル固定用フレーム210、タッチパネル400、およびカバー500を備えている。この電子機器は、タッチパネル400等の各部品が、上記ディスプレイモニタ100に対して組付けられることにより構成されている。
【0004】
特許文献1に記載の電子機器において、ディスプレイモニタ100は、液晶ディスプレイ(LCD)で構成され、全体が矩形かつ扁平な形状を有している。ディスプレイモニタ100は、図示しない制御装置による制御に従って、例えばキーやボタン等のオブジェクトまたは各種の情報などを、その表示面に表示する。このディスプレイモニタ100の表示面上には、当該モニタ100とほぼ同じ大きさのタッチパネル400が位置するように組付けられる。
【0005】
タッチパネル400は、例えば透明な樹脂板にマトリクス状のスイッチ回路が形成され、パネル表面が操作者の指先などにより接触されると、その接触位置に応じた検出信号を前記制御装置に出力するように構成されている。つまり、操作者は、タッチパネル400を通して映し出されるディスプレイモニタ100の表示に従って当該パネル400に対して操作を行うことにより、前記電子機器に対して当該表示に応じた各種情報を入力することができる。
【0006】
この電子機器においては、図9に示すように、タッチパネル400に裏面には、上部長辺(図の奥側)および下部長辺(図の手前側)に沿って、一対の圧電素子(ピエゾ素子)420が貼り付けられている。タッチパネル400が操作者による接触を検出すると、この電子機器は、前記制御装置から圧電素子420に駆動信号(電圧)を付与する。この駆動信号を受信すると、圧電素子420は伸縮してタッチパネル400を変形(湾曲)させるため、この電子機器は、タッチパネル400の操作面に対して振動を発生させることができる。すなわち、上記操作に伴って、タッチパネル400が振動することにより、操作者は操作感を得ることができるようになっている。
【0007】
なお、この電子機器において、タッチパネル400は、パネル固定用フレーム210を介して前記ディスプレイモニタ100に組付けられている。パネル固定用フレーム210は、ABS等の硬質の樹脂材料から形成されることにより全体が剛性を有した構成となっている。
【0008】
図9に示すように、パネル固定用フレーム210には、前記タッチパネル400をその四隅において保持するホルダ220が組付けられる。図10は、4つのホルダ220のうち1つが、タッチパネル400の隅に取り付けられる様子を示す拡大図である。各ホルダ220には、タッチパネル400の角部を差込み可能なスリット状の差込み部360がそれぞれ形成されている。また、図9に示すように、パネル固定用フレーム210の周囲側面には、各側面それぞれの端部付近に、ホルダ220を固定するための固定孔320が設けられている。そして、図10に示すホルダ220に形成されたフック340aが、図9に示す各固定孔320に差し込まれることにより、各ホルダ220は、タッチパネル400をパネル固定用フレーム210に固定する。
【0009】
このように、各ホルダ220にタッチパネル400の四隅がそれぞれ差込まれると、各ホルダ220は、タッチパネル400を四隅で外側から拘束するとともに、厚み方向の両側からも拘束した状態で保持する。したがって、特許文献1に記載の電子機器は、タッチパネル400が固定されるように配置することができる。
【0010】
また、ホルダ220は、それぞれ、パネル固定用フレーム210よりも弾性係数の小さい材料から形成されており、例えばシリコン系の樹脂またはゴムにより一体成型されている。このように、ホルダ220は、タッチパネル400を安定的に保持する一方で、タッチパネル400が振動できるように弾性変形可能に構成されている。なお、タッチパネル400とディスプレイモニタ100との間には、タッチパネル400の厚み方向の変位を可能とする隙間が確保される。このため、圧電素子420が振動する際に、当該振動に伴うタッチパネル400の厚み方向の変位が可能となっている。
【0011】
したがって、特許文献1に記載の電子機器は、タッチパネル400を振動させる際に、その振動を大きく妨げることがないようになっているため、タッチパネル400の振動による操作感を良好に確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−44497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、特許文献1の電子機器では、機器への埃や水の侵入に対しては十分な対策が講じられていない。例えば、図9に示す電子機器を組み立てると、タッチパネル400は、弾性材料のホルダ220の差込み部360に差し込まれた状態で、つまりホルダ220を介して、パネル固定用フレーム210に取り付けられる。これは、タッチパネル400をパネル固定用フレーム210に強固に固定してしまうと、圧電素子420が振動する際に、タッチパネル400が厚み方向に変位せず、タッチパネル400を良好に振動させることができなくなるためである。このため、タッチパネル400とパネル固定用フレーム210との間には隙間ができることになり、この隙間から埃や水分が侵入することが多分に想定される。
【0014】
そこで仮に、特許文献1に記載の電子機器において、防塵、防水対策として、例えば、ホルダ20を延長してタッチパネル400とパネル固定用フレーム210との間の隙間を全て埋めることも考えられる。しかしながら、このようにした場合、タッチパネル400の振動がホルダ20によって阻害され、所期したとおりにタッチパネル400を振動させることができないという問題が生じる。
【0015】
それゆえ、この発明の目的は、タッチパネルを振動させることにより、操作者に操作感をフィードバックするよう構成された電子機器につき、その振動を可能な限り減衰させることなく、防塵性、防水性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、この発明の電子機器は、タッチパネルと、前記タッチパネルを振動させる振動部と、前記タッチパネルの裏面側に配置された画像表示部と、前記タッチパネルの裏面側に設けられ、該タッチパネルの周縁部に対向する支持部と、平面視で矩形枠状であり、前記タッチパネルの周縁部および前記支持部相互間に介装されてこれらのタッチパネルおよび支持部に密接する弾性部材と、を備え、前記弾性部材は、辺に沿った少なくとも一部が中空であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、タッチパネルを振動させることにより、操作者に操作感をフィードバックするよう構成された電子機器につき、その振動を可能な限り減衰させることなく、防塵性、防水性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明にしたがう一実施形態の電子機器の平面図である。
【図2】(a)は、図1中のA−A線に沿う断面図であり、(b)は、図1中のB−B線に沿う断面図である。
【図3】この発明に適用可能な弾性部材の一例を示す斜視図である。
【図4】図3の弾性部材を示す平面図である。
【図5】図3の弾性部材の底面側を示す斜視図である。
【図6】図2(a)の一部を拡大した断面図であり、(a)は、タッチパネルが静止した状態を、(b)は、タッチパネルが振動した状態をそれぞれ示している。
【図7】この発明にしたがう他の実施形態の電子機器を、図2と同様の断面で示す断面図である。
【図8】この発明にしたがうさらに他の実施形態に用いられる弾性部材をその底面側から示す斜視図である。
【図9】従来の電子機器の構造を説明する分解斜視図である。
【図10】図9の一部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明にしたがう実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1に示すように、この実施形態の電子機器(ここでは例として携帯電話端末)1は、操作者による操作入力を検出し、その入力に応じた振動をタッチパネル3に与えることにより、操作者に対してタッチパネル3を介して操作感をフィードバックする入力装置本体5と、内側に入力装置本体5を収容する筐体7と、を備える。
【0021】
図2にこの電子機器1の詳細を示すように、筐体7は、外観形状の一部を形成する外周壁7aと、該外周壁7aの上端に対して段下がりをなして内側に延出するとともにタッチパネル3を取り囲む平坦部7bと、該平坦部7bの内周縁から垂下する垂壁7cと、該垂壁7cの下端から内側に向けてタッチパネルと平行に延び、タッチパネル3の周縁部に対向する支持部7dとを一体に有する。支持部7dは、筐体7とは別体としてもよい。筐体7は、比較的硬質の合成樹脂材料や金属材料を用いて形成することができる。また、平坦部7bには、枠状のベゼル9が両面テープ等により貼り付けられている。なお、ベゼル9は筐体7に一体に設けてもよい。
【0022】
入力装置本体5は、タッチパネル3と、タッチパネル3を振動させる少なくとも1つ、ここでは2つの振動部15、16(図1参照)と、タッチパネル3の裏面側に配置された画像表示部18と、全体の動作を制御する制御部が設けられ例えば画像表示部18の下方に配置することができる基板(図示省略)と、を有する。
【0023】
入力装置本体5を構成する各部材の詳細を説明するに、先ず、タッチパネル3は平面視で矩形状であり、振動部15、16からの振動を受けて振動(湾曲変形)可能である。タッチパネル3は、ベゼル9によって上方への変位が規制されている。さらにタッチパネル3には、周端縁に向けて段下がりをなす凹み3aが形成されており、これにより、ベゼル9の上面とタッチパネル3のタッチ面は面一に設定されている。また、タッチパネル3は、画像表示部18に表示したオブジェクトに対する操作者の操作、すなわち、タッチパネル3上での指やスタイラスペン等の位置を検出し、当該検出した位置を基板に設けられた制御部に通知する機能を有している。タッチパネル3としては、例えば抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の既知の方式のものを用いることができる。
【0024】
なお、画像表示部18に表示したオブジェクトに対する操作者による操作を検出するにあたっては、指やスタイラスペン等がタッチパネル3に物理的に触れることは必須ではない。例えば、タッチパネル3として光学式(赤外線走査方式)のものを採用した場合は、ベゼル9内部等に配置することができる発光素子(図示省略)から発せられた、タッチパネル3の上面に沿って走査する赤外線が指等で遮られた位置を検出するため、指等がタッチパネル3に触れることは不要である。
【0025】
振動部15、16は、タッチパネル3の裏面に、タッチパネル3の対向する2つの辺(ここでは2つの短辺)の近傍に接着剤等により取り付けられている。ここでは、振動部15、16は、電圧を印加するとその長手方向に伸縮する圧電素子で構成する。振動部15、16が伸縮すると、タッチパネル3は、その厚み方向(タッチ面に直交する方向)に反り変形(湾曲変形)を繰り返す。振動部15、16は、例えば基板に設けられた制御部からの信号に基づいて、所定の振動パターン(周波数、周期、波形、振幅)による振動を発生させることが可能であり、振動パターンによっては、タッチ面に接触している指等に対してあたかもボタンを操作したときのような触感を提供することが可能である。例えば、携帯端末に使用されているメタルドームスイッチに代表されるクリック感を提供する場合には、タッチパネル3に所定の荷重が加わった時点で、例えば、170Hzの一定周波数のSin波からなる1周期分の駆動信号により振動部15、16を駆動して、タッチパネル3を、所定の荷重が加わった状態で、約15μm振動させる。これにより、操作者にリアルなクリック感を提供することができる。
【0026】
画像表示部18は、平面視で矩形状であるがタッチパネル3に比べて小さく、例えばキーのような押しボタンスイッチ等のオブジェクトを画像で表示することができる。画像表示部18に表示する画像は静止画に限らず、動画であってもよい。画像表示部18としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)のほか、有機ELディスプレイ、電子ペーパーを用いることができる。
【0027】
そして、この実施形態の電子機器1は、図2〜5に示すように、平面視で矩形枠状でありタッチパネル3の周縁部および支持部7d相互間に介装されてこれらのタッチパネル3および支持部7dに密接する弾性部材20を備えている。弾性部材20は、例えばゴムまたはシリコンゴムにより一体成形することができ、その好適な硬度は40〜50度(JIS A硬度)である。
【0028】
より詳細に説明するに、弾性部材20は、支持部7dに向けて開口する環状凹部g1を形成する断面略C字状の本体部20aと、該本体部20aから画像表示部18まで延びて画像表示部18の周縁部の上面に全周に亘って密着する延出部20bと、該延出部20bから垂下して画像表示部18の周縁部を下方から包み込む被覆部20cとを有する。延出部20bと画像表示部18とは両面テープ21や接着剤等により密着することができる。さらに、本体部20aには、環状凹部g1の真上の位置にてタッチパネル3の裏面に向けて突出するとともに環状に延びる突起20dが一体に設けられている。
【0029】
また、この実施形態では、図2(b)及び図5に示すように、本体部20aの各隅部において、弾性部材20よりも剛性の高い剛性部材22〜25が環状凹部g1にそれぞれ挿設されている。すなわち、弾性部材20の本体部20aは、辺に沿った少なくとも一部(ここでは辺に沿った全ての部分)が中空であり、4つの各隅部は剛性部材22〜25により充塞されている。剛性部材22〜25は、環状凹部g1の隅部の形状に対応する形状であり、平面視でL字形状である。剛性部材22〜25の横断面はここでは矩形であるが、これに限らず、円形であってもよく、また、剛性部材22〜25は辺方向の長さを図示のものより短くして支柱状としてもよい。また、剛性部材22〜25の材料としては、硬質の合成樹脂(例えばABS樹脂)や金属等を用いることができる。なお、図4において破線で囲まれた部分には、画像表示部18が嵌め込まれる。
【0030】
このようになる電子機器1にあっては、制御部からの駆動信号に基づいて振動部15、16が振動するとその振動がタッチパネル3に伝達され、操作者に対してタッチパネル3を介して操作感がフィードバックされる。この際、タッチパネル3を支持する弾性部材20の、各辺に沿った部分は中空であるためタッチパネル3が振動すると、弾性部材20は、図6(b)に示すように撓み変形し、タッチパネル3はその厚み方向に変位することができる。これにより、タッチパネル3の十分な振動を確保にすることができる。その一方で、弾性部材20の各隅部は環状凹部g1内に挿設された剛性部材22〜25によって補強されていることから、該隅部にてタッチパネル3を確実に支持することができる。また、タッチパネル3と支持部7dとの間は、弾性部材20(ここでは突起20d)により密封されていることから、筐体7内部への埃や水分の侵入を防ぐことができる。
【0031】
また、この実施形態の電子機器1によれば、弾性部材20の本体部20aに、環状凹部g1の真上の位置にて突起20dを設けたことから、タッチパネル3の振動時に本体部20の上面部(突起20dが設けられた部分)を変形し易くすることができるとともに、シール圧を高めることができる。
【0032】
さらに、この実施形態の電子機器1によれば、弾性部材20に、画像表示部18の周縁部まで延びて該周縁部の全周に密着する延出部20bを設けたことから、該弾性部材20によって、タッチパネル3と画像表示部18間をも密封することができ、電子機器1の防塵性、防水性をより一層向上させることができる。
【0033】
次に、図7(a)、(b)を参照して、この発明にしたがう他の実施形態に係る電子機器について説明する。なお、先の実施形態と同様の要素には、同一の符号を付してその説明は省略する。
【0034】
先の実施形態では、弾性部材20の本体部20aに全周に亘って環状凹部g1を形成し、環状凹部g1の各隅部に別部材として剛性部材22〜25を挿入すると説明したが、この実施形態では、剛性部材22〜25に代えて、支持部7dの各隅部(弾性部材20の各隅部に対応する部分)に、弾性部材20の本体部20aの環状凹部g1内に入り込む凸部7eをそれぞれ一体に設けて、弾性部材20の各隅部を補強するようにしている。
【0035】
かかる実施形態の電子機器1によれば、タッチパネル3の振動が減衰されるのを抑制しつつ、防塵性、防水性を向上させることができるという効果に加えて、弾性部材20は、支持部7dと一体である凸部7eによって筐体7側に保持されるので、弾性部材20の位置を常に保持することができ、弾性部材20の位置ズレ、脱落等を防止することができる。また、剛性部材22〜25に代えて、凸部7を支持部7dと一体に形成することで部品数を削減できるとともに、組み立て性を向上させることができる。
【0036】
次いで、図8を参照して、この発明にしたがうさらに他の実施形態について説明する。前述の実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0037】
先の実施形態では、弾性部材20の本体部20aに全周に亘って環状凹部g1を形成し、該環状凹部g1の各隅部に剛性部材22〜25あるいは凸部7eを挿入して弾性部材20の各隅部を補強すると説明したが、この実施形態の電子機器1では、弾性部材20の本体部20aの各辺に沿った部分に、支持部7dに向けて開口する凹部g2〜g5を形成するものの、該凹部g2〜g4は辺に沿った部分にのみ形成し、本体部20aの各隅部には凹部を形成しない。すなわち、弾性部材20の本体部20aの辺に沿った部分は中空であり、各隅部は他の部分と同一の材料で満たされた中実の構造(中実部h1〜h4)を有する。
【0038】
かかる実施形態の電子機器1によれば、タッチパネル3の振動が減衰されるのを抑制しつつ、防塵性、防水性を向上させることができるという効果に加えて、前述の実施形態の電子機器1ように、本体部20aの環状凹部g1内に剛性部材22〜25を挿入したり、支持部7dに凸部7eを形成したりする必要がないことから、簡素な構造を実現することができる。
【0039】
以上、この発明を図示例に基づき説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜に変更することができる。例えば、上記実施形態では、環状凹部g1あるいは凹部g2〜g5は、弾性部材20の本体部20aの辺に沿った全ての部分に設けているが、このような本体部20aに中空部を形成する凹部は、本体部20aの辺に沿った少なくとも一部にあればよく、とくには、このような凹部は、少なくとも振動部15、16に隣接する辺に設ければよい。また、上記実施形態では、環状凹部g1に、剛性部材22〜25あるいは支持部7dの凸部7eを挿入すると説明したが、先ず環状凹部g1を有する部材を一次成形材として形成し、この一次成形材の環状凹部g1の各隅部を、一次成形材よりも硬質の部材(二次成形材)を用いてインサート成形または二材成形法により充塞し、該隅部を補強するようにしてもよい。さらに、支持部7d、延出部20b、および被覆部2cを形成せず、画像表示部18が全体的により大きな構成とし、画像表示部18を支持部として弾性部材20を載置するようにしてもよい。
【0040】
また、この発明では、タッチパネルは、タッチ面に対して指等が接触した位置を検出する機能(センシング機能)を有さない、単なる「パネル」のような平板部材とすることもできる。このような構成の電子機器においては、例えば、押圧の荷重を検出する荷重検出部を設け、検出された荷重が、所定の押圧荷重の基準を満たした場合に、タッチパネルに対する接触がなされたものと判定することができる。このような荷重検出部は、任意の個数の歪みゲージセンサ等をタッチパネルに設けることで構成することができる。また、振動部を圧電素子とした場合には、当該圧電素子を歪みゲージセンサとしても用いることができる。
【0041】
また、この発明は、上述の実施形態で説明した要素以外の他の要素、例えば、荷重検出部(図示省略)を備えていてもよい。この場合、制御部は、タッチパネルへの入力を監視するとともに、荷重検出部で検出された荷重を監視することができ、すなわち、タッチパネルへの入力が画像表示部に表示された入力用のオブジェクトに対する入力で、かつ、荷重検出部により検出される押圧荷重が、タッチパネルの押圧によって増加しながら当該入力を受け付ける所定の基準を満たしたのかを検知すると、その時点のタッチパネルへの入力を受け付けるとともに、振動部を所定の駆動振動で駆動して、タッチパネルを予め設定した所定の振動パターンで振動させることができる。ここで、上記所定の基準は、表現したい押しボタンスイッチの押圧時の荷重特性に応じて適宜設定することができる。そして、荷重検出部としては、例えば、タッチパネルの四隅に配置することができる4つの歪みゲージセンサを適用できるほか、抵抗膜方式のタッチパネルの場合には、接触面積による抵抗変化に基づく出力信号の変化から荷重を検出することができる。また、静電容量方式のタッチパネルの場合には、静電容量の変化に基づく出力信号の変化から荷重を検出することができる。
【0042】
また、振動部は、上述の実施形態では、一対の圧電素子を用いると説明したが、任意の個数の圧電振動子やタッチパネルの全面に貼り付けることができる透明な膜圧電体、あるいは駆動信号の1周期で1回転するよう構成された偏心モータを用いることができる。
【0043】
さらに、この発明は、携帯電話端末のみならず、画像表示部と該画像表示部で表示された画像を透過させるタッチパネルとを備える種々の電子機器(ゲーム端末、タブレットPC、カーナビゲーション等)に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
かくして、この発明によれば、タッチパネルを振動させることにより、操作者に操作感をフィードバックするよう構成された電子機器につき、その振動を可能な限り減衰させることなく、防塵性、防水性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 電子機器
3 タッチパネル
5 入力装置本体
7 筐体
7a 外周壁
7b 平坦部
7c 垂壁
7d 支持部
7e 凸部
9 ベゼル
15、16 振動部
18 画像表示部
20 弾性部材
20a 本体部
20b 延出部
20c 被覆部
20d 突起
22〜25 剛性部材
g1 環状凹部(中空部)
g2〜g5 凹部(中空部)
h1〜h4 中実部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルと、
前記タッチパネルを振動させる振動部と、
前記タッチパネルの裏面側に配置された画像表示部と、
前記タッチパネルの裏面側に設けられ、該タッチパネルの周縁部に対向する支持部と、
平面視で矩形枠状であり、前記タッチパネルの周縁部および前記支持部相互間に介装されてこれらのタッチパネルおよび支持部に密接する弾性部材と、を備え、
前記弾性部材は、辺に沿った少なくとも一部が中空であることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記画像表示部の周縁部まで延びて該周縁部の全周に密着する延出部を有する、請求項1に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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