説明

電子機器

【課題】磁力の影響による誤作動を防止してカメラモジュールとスピーカとを隣接して配置することによりコンパクト化を図ることができる電子機器を提供する。
【解決手段】カメラモジュール30の側面321に磁力吸収面33を設けたので、例えば手ぶれ補正装置のような磁力の影響を受け易いカメラモジュール30の近傍にスピーカ31のような強力な磁力を有する部品が取り付けられていても、影響を遮断できる。このため、磁力の影響による誤作動を防止してカメラモジュール30とスピーカ31とを隣接して配置することができ、電子機器のコンパクト化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュールおよびスピーカを有する電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、カメラモジュールおよびスピーカを有する電子機器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の電子機器は、光学式手振れ補正機能を備えたカメラモジュールを有する携帯端末であり、マグネットを用いてレンズを揺動させることにより、手振れを補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/133690号公報(第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した特許文献1に記載の電子機器においては、カメラモジュールの近傍に強力な磁力を発するスピーカのマグネットが設けられていると、手振れ補正装置のマグネットがスピーカからの磁力の影響を受けて、手振れ補正装置が誤動作するおそれがある。
従って、磁力による誤作動を防止するためには、カメラモジュールとスピーカとの間隔を一定寸法以上離す必要があり、電子機器のコンパクト化を阻害するという問題があった。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、磁力の影響による誤作動を防止してカメラモジュールとスピーカとを隣接して配置することによりコンパクト化を図ることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器は、筐体と、前記筐体に収容された回路基板と、前記回路基板に実装されたカメラモジュールと、前記筐体に収容されたスピーカと、前記カメラモジュールの側面に設けられた磁力吸収面と、を備えたものである。
【0007】
また、本発明の電子機器では、前記磁力吸収面が前記カメラモジュールにおける前記スピーカに向く側面に設けられているものである。
【0008】
さらに、本発明の電子機器では、前記磁力吸収面が、少なくとも前記カメラモジュールの前記回路基板側半分を覆う高さ寸法を有するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、カメラモジュールの側面に磁力吸収面を設けたので、磁力の影響を受け易いカメラモジュールの近傍にスピーカのような強力な磁力を有する部品が取り付けられていても、その影響を遮断できる。このため、磁力の影響による誤作動を防止してカメラモジュールとスピーカとを隣接して配置することによりコンパクト化を図ることができるという効果を有する電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施形態の携帯端末の斜視図
【図2】本発明に係る実施形態の携帯端末の下筐体の分解斜視図
【図3】下筐体のケースの分解斜視図
【図4】カメラモジュールとスピーカの位置関係を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態の電子機器について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本発明に係る実施形態の電子機器である携帯端末10は、上筐体11と下筐体(筐体)20とを有する。上筐体11と下筐体20とは、互いに長手方向へ沿ってスライド可能に連結されている。
なお、以下の説明において、使用者が、後述する操作部を通常操作する状態において上方となる側を上側(図1中下側)と云い、使用状態において下方となる側を下側(図1中上側)と云うこととする。
【0012】
下筐体20の下面201におけるスライド方向(矢印A方向)前端部には、カメラ用レンズカバー21が設けられている。
また、上筐体11の上面111には、複数の操作キーを有する操作部(図示省略)および液晶表示板からなる表示部(図示省略)が設けられている。
【0013】
図2に示すように、下筐体20は、矩形箱状のケース22と、ケース22の下面221(図2において上面)を覆うカバー23を有する。
図3に示すように、ケース22は、ケース本体26と蓋部27を有する。
ケース本体26は、ベースプレート261と周壁262とからなり、下方(図3において上方)に開口(開口部263)した矩形箱状を呈している。ベースプレート261の内面には回路基板29が取り付けられており、回路基板29のスライド方向前端部(図3において右上端部)にはカメラモジュール30が、カメラレンズ34を下方(図3において上方)へ向けて設けられている。
【0014】
蓋部27はケース本体26の開口部263を覆う矩形板状部材であり、ケース本体26に収容されるカメラモジュール30に対応して、円形のカメラ用開口部271が設けられ、カメラ用開口部271にカメラ用レンズカバーが設けられている。また、ケース22におけるスライド方向後端部(図3において左下端部)には、電池パック24(図2参照)を収容する収容凹部25が設けられている。
また、ケース本体26における収容凹部25と反対側端部には、ホルダ28が収容されている。ホルダ28におけるカメラモジュール30に対応する位置には、シールド開口部281を有するシールド部材282が取り付けられている。
【0015】
従って、シールド開口部281にカメラモジュール30を収容するようにホルダ28をケース本体26に取り付けて、蓋部27で覆う。
このとき、カメラモジュール30のカメラレンズ34は、シールド部材282のシールド開口部281および蓋部27のカメラ用開口部271を介して、ケース22外部に露出する。
【0016】
図2に示すように、カバー23のスライド方向前端部には、ケース22に設けられたカメラモジュール30に対応して、カメラ用開口部271に設けられたカメラ用レンズカバーが外部露出するカバー開口21が設けられる。また、図示はしないが、カバー23においてケース22の収容凹部25に対応する位置に、電池用の蓋を着脱可能に設ける場合もある。
【0017】
図4に示すように、回路基板29には、下方(図4において上方)へ突出し、カメラレンズ34を下方に向けて、矩形柱状のカメラモジュール30が実装されており、カメラモジュール30に隣接して、スピーカ31が回路基板29に取り付けられている。
カメラモジュール30には手振れ補正装置(図示省略)が装備されており、ここでは、例えばカメラモジュール30そのものを移動させることにより手振れを補正するモジュールシフト方式のものを対象とすることができる。この場合、手振れ補正装置には強い磁力が必要となるため、他の部品であるスピーカ31のマグネットが発する磁力の影響を受けやすくなる。
【0018】
カメラモジュール30は、上方が開口した矩形箱状の外枠32を有しており、外枠32の内部にカメラモジュール30が移動可能に支持されている。外枠32の側面であるスピーカ側外面321には、磁力吸収面である例えばフェライトシート33が取り付けられている。
なお、磁力吸収面は、シート状に限らず、板状、あるいは磁力吸収部材を含有する樹脂等の形態であっても可能である。
【0019】
カメラモジュール30では、手振れ補正装置が回路基板29側に設けられているので、フェライトシート33を回路基板29側に取り付ける。外枠32は高さH0を有しており、フェライトシート33は、少なくともカメラモジュール30の回路基板29側半分を覆う高さ寸法H1を有する。
すなわち、フェライトシート33の高さH1は、外枠32の高さH0の半分以上(H1>H0/2)であり、カメラモジュール30の取付側である回路基板29側の半分を覆っている。
【0020】
以上、説明した本発明に係る実施形態の携帯端末10によれば、カメラモジュール30のスピーカ側外面321にフェライトシート33を設けた。
このため、例えば手ぶれ補正装置のような磁力の影響を受け易い部位を有するカメラモジュール30の近傍に、スピーカ31のような強力な磁力を有する部品が取り付けられていても、磁力を遮断できる。
従って、磁力の影響によるカメラモジュール30の誤作動を防止して、カメラモジュール30とスピーカ31とを隣接して配置することができ、カメラモジュール30とスピーカ31との間の距離D(図4参照)を短くすることができる。これにより、携帯端末10のコンパクト化を図ることができる。
【0021】
また、本発明の携帯端末10では、カメラモジュール30においてスピーカ31に向く側面、すなわち、カメラモジュール30の外枠32のスピーカ側外面321にフェライトシート33を設けたので、効率よくスピーカ31からの磁力を遮断できる。
【0022】
さらに、本発明の携帯端末10では、フェライトシート33が、少なくともカメラモジュール30の回路基板29側半分を覆う高さ寸法を有する。
このため、カメラモジュール30において磁力の影響を受けやすい部分である手振れ補正装置に対するスピーカ31からの磁力を遮断できるので、効率的にカメラモジュール30の誤作動を防止できる。
【0023】
なお、本発明の電子機器は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、前述した実施形態においては、電子機器として上筐体11および下筐体20を相対的にスライドさせるスライド式の携帯端末10を例示したが、本発明は、開閉式等その他の形式でカメラモジュール30およびスピーカ31を有する携帯端末10についても同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上のように、本発明にかかる電子機器は、磁力の影響による誤作動を防止してカメラモジュールとスピーカとを隣接して配置することによりコンパクト化を図ることができるという効果を有し、カメラモジュールおよびスピーカを有する電子機器等として有用である。
【符号の説明】
【0025】
10 携帯端末(電子機器)
20 下筐体(筐体)
29 回路基板
30 カメラモジュール
31 スピーカ
321 スピーカ側外面(スピーカに向く側面)
33 フェライトシート(磁力吸収面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に収容された回路基板と、
前記回路基板に実装されたカメラモジュールと、
前記筐体に収容されたスピーカと、
前記カメラモジュールの側面に設けられた磁力吸収面と、を備える電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記磁力吸収面が、前記カメラモジュールにおける前記スピーカに向く側面に設けられている電子機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子機器であって、
前記磁力吸収面が、少なくとも前記カメラモジュールの前記回路基板側半分を覆う高さ寸法を有する電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−209735(P2012−209735A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73444(P2011−73444)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】