説明

電子機器

【課題】スピーカからの音波によって筐体が振動することを抑制する。
【解決手段】この電子機器は、筐体60、スピーカ10、振動検出部90、及び制御部100を備えている。スピーカ10は、筐体60内に配置され筐体60の外部に向けた音波を出力する。振動検出部90は、筐体60に生じる振動を検出する。制御部100は、振動検出部90の検出結果に基づいて、スピーカ10に入力する音声信号を処理する。このため、スピーカ10から出される音波によって筐体60が振動することを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカを筐体内に内蔵した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、携帯通信端末などの小型の電子機器の多機能化が進んでいる。小型の電子機器には、通信機能、及び音楽再生機能が含まれている場合が多い。
【0003】
なお、特許文献1及び2には、加速度センサを用いてスピーカの振動(加速度及び速度)を検出し、検出した加速度及び速度をフィードバック処理することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−197206号公報
【特許文献2】特開2007−81815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子機器には軽量化も求められるため、電子機器の筐体を厚くしてその剛性を必要以上に高めることはできない。一方、電子機器にハンズフリーの再生機能を持たせる場合、電子機器が内蔵しているスピーカの出力はある程度大きくなる。この場合、電子機器の筐体が、スピーカからの音波によって振動し、再生音の音質に影響を与える可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、スピーカからの音波によって筐体が振動することを抑制できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、筐体と、
前記筐体内に配置され、前記筐体の外部に向けた音波を出力するスピーカと、
前記筐体に生じる振動を検出する振動検出手段と、
前記振動検出手段の検出結果に基づいて、前記スピーカに入力する音声信号を処理する制御手段と、
を備える電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スピーカからの音波によって筐体が振動することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る電子機器の機能構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した電気機器の概略図である。
【図3】制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】音声信号処理部が行う処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係る電子機器の機能構成を示すブロック図である。この電子機器は、筐体60、スピーカ10、振動検出部90、及び制御部100を備えている。スピーカ10は、筐体60内に配置され筐体60の外部に向けた音波を出力する。振動検出部90は、筐体60に生じる振動を検出する。制御部100は、振動検出部90の検出結果に基づいて、スピーカ10に入力する音声信号を処理する。このため、スピーカ10から出される音波によって筐体60が振動することを抑制できる。以下、図2〜図4を用いつつ、具体的に説明を行う。
【0012】
図2は、図1に示した電気機器の概略図である。本図に示す例において、電子機器は、折りたたみ型の携帯通信端末であり、筐体60の端部及び筐体70の端部をヒンジ部材80で互いに固定した構成を有している。筐体60の表面には表示ディスプレイが設けられており、筐体70の表面には操作キーが設けられている。そして筐体60の裏面には、音孔62が設けられている。スピーカ10は、音孔62から音波を出すように、筐体60内に配置されている。
【0013】
筐体60の裏面側の内面には、振動検出部90が取り付けられている。振動検出部90は、例えば圧電素子であり、筐体60に生じた振動を電気信号に変換する。振動検出部90は、筐体60に対して複数設けられても良いし、一つのみ設けられても良い。
【0014】
制御部100は筐体70内に設けられていても良いし、筐体60内に設けられていても良い。
【0015】
なお、電子機器は、スライド式の携帯通信端末であっても良いし、タッチパネル形式で入力を行う装置であっても良い。後者の場合、電子機器を構成する筐体は、筐体70のみであっても良い。
【0016】
図3は、制御部100の構成を示すブロック図である。制御部100は、アナログ増幅部102、AD変換部104、デジタル増幅部106、音声信号処理部108、デジタル増幅部110、DA変換部112、及びアナログ増幅部114を備えている。アナログ増幅部102は、振動検出部90が出力するアナログ信号を増幅する。AD変換部104は、アナログ増幅部102が増幅したアナログ信号をデジタル信号に変換する。デジタル増幅部106は、AD変換部104が出力したデジタル信号を増幅する。
【0017】
音声信号処理部108は、少なくともイコライザ機能及びマルチバンドコンプレッサ機能を有しており、デジタル増幅部106が増幅したデジタル信号に基づいて、スピーカ10が出力すべき音声信号を処理する。音声信号処理部108が処理する段階において、音声信号はデジタル信号である。ここで行う処理の詳細については、フローチャートを用いて後述する。
【0018】
デジタル増幅部110は、音声信号処理部108が処理したデジタル形式の音声信号を増幅する。DA変換部112は、デジタル増幅部110が増幅した音声信号をアナログ形式の音声信号に変換する。アナログ増幅部114は、DA変換部112が出力したアナログ形式の音声信号を増幅し、スピーカ10に入力する。
【0019】
図4は、音声信号処理部108が行う処理の詳細を示すフローチャートである。まず音声信号処理部108は、デジタル形式の音声信号に対してSTFT(Short Time Fourier Transform)処理を行い(ステップS10)、バッファリング及び平滑化を経てから、音声信号の周波数帯域別のエネルギーを算出する(ステップS20)。また音声信号処理部108は、デジタル増幅部106から出力された振動検出部90の検出信号に対してSTFT処理を行い(ステップS30)、バッファリング及び平滑化を経てから、音声信号の周波数帯域別のエネルギーを算出する(ステップS40)。
【0020】
次いで音声信号処理部108は、音声信号を基準にしたときの筐体に生じた振動の大きさが基準以上である場合に、当該周波数帯域における音声信号の信号レベルを低くする処理を、周波数帯域別に行う。具体的には、音声信号処理部108は、周波数帯域別に、ステップS20で算出したエネルギーと、ステップS40で算出したエネルギーとの差を算出する(ステップS50)。次いで音声信号処理部108は、ステップS40で算出したエネルギーが、ステップS20で算出したエネルギーに対して基準値以上大きな周波数帯域を選択する(ステップS60)そして音声信号処理部108は、ステップS60で選択した周波数帯域において、音声信号の信号レベルを低くする処理を行う(ステップS70)
【0021】
以上、本実施形態によれば、音声信号処理部108は、音声信号を基準にしたときの筐体に生じた振動の大きさが基準値以上である場合に、当該周波数帯域における音声信号の信号レベルを低くする処理を、周波数帯域別に行う。従って、スピーカ10から出される音波によって筐体60が振動することを抑制できる。また、スピーカ10と筐体60の固定部分において振動が発生する場合においても、この振動を抑制することができる。
【0022】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0023】
10 スピーカ
60 筐体
62 音孔
70 筐体
80 ヒンジ部材
90 振動検出部
100 制御部
102 アナログ増幅部
104 AD変換部
106 デジタル増幅部
108 音声信号処理部
110 デジタル増幅部
112 DA変換部
114 アナログ増幅部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置され、前記筐体の外部に向けた音波を出力するスピーカと、
前記筐体に生じる振動を検出する振動検出手段と、
前記振動検出手段の検出結果に基づいて、前記スピーカに入力する音声信号を処理する制御手段と、
を備える電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記制御手段は、前記音声信号の増幅率を周波数帯域別に増減処理する電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記制御手段は、前記音声信号を基準にしたときの前記筐体に生じた振動の大きさが基準以上である場合に、当該周波数帯域における前記音声信号の信号レベルを低くする処理を、周波数帯域別に行う電子機器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子機器において、
前記振動検出手段は、前記筐体に取り付けられた圧電素子である電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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