説明

電子機器

【課題】開閉カバーを閉じたときの堅固なロック状態を確実に維持する。
【解決手段】筐体2と、回動軸kまわりに回動可能となるように筐体2に支持される開閉カバー5とを有し、開閉カバー5は、左壁面5Dと右壁面5Cとを備え、左壁面5D及び右壁面5Cは被係止部16を備え、筐体2は、開閉カバー5の閉じ方向への回動により回動軸kを中心とした円弧軌跡Cに沿って到来する上記被係止部16に対し前方側から係合して後方側へと弾性的に押圧する係止部15を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の開口部を開閉カバーで開閉する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
装置の外郭を構成する筐体に設けた開口部を、回動可能な開閉カバーによって開閉する電子機器として、例えば特許文献1記載のものが知られている。この従来技術による電子機器(テープ印刷装置)は、筐体(本体筐体)の開口部を開閉するために開閉カバー(上カバー)が設けられる。開閉カバーは、筐体の背面側に略水平方向に配設された回動軸まわりに回動可能に構成されている。また開閉カバーは、左右両側(言い換えれば上記回動軸の軸方向一方側及び他方側)にそれぞれ側壁面を備えている。開閉カバーが開き方向又は閉じ方向へ回動するときには、上記左右の側壁面が上記回動軸を中心とした円弧軌跡を描く。
【0003】
そして、開閉カバーが閉じ方向に回動して開口部を閉じる際には、係止部(係止突起)と被係止部(係合凹部)とが互いに係止しロックが行われる。係止部は筐体の側面に左右方向を向いて設けられ、被係止部は開閉カバーの上記左右の側壁面に設けられる。開閉カバーの被係止部は上記円弧軌跡に沿って筐体の係止部に近づき、接触する。その際、開閉カバーの左側の被係止部の右側に、筐体の左側の係止部が水平方向(言い換えれば上記回動軸の軸方向)に接触し、当該左側の被係止部を左側へ弾性的に押圧することにより、係止(ロック)を行う。同様に、開閉カバーの右側の被係止部の左側に、筐体の右側の係止部が水平方向に接触し、当該右側の被係止部を右側へ弾性的に押圧することにより、係止(ロック)を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−28977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、上記従来技術で、係止部が被係止部を押圧し係止する動作は、左右方向すなわち回動軸の軸方向に沿って行われる。この結果、例えば開閉カバーの変形や製造寸法誤差等により、上記左右の側壁面(軸方向一方側及び他方側の壁面)と筐体との相対位置関係が僅かにずれた場合、係止部と被係止部との距離が変化するため、係止状態の精度に対し影響を与える場合があり得る。この場合、開閉カバーを閉じたときのロック状態を、堅固な状態に維持することが困難となる。
【0006】
本発明の目的は、開閉カバーを閉じたときの堅固なロック状態を確実に維持できる、電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明は、装置の外郭を構成するとともに開口部を備える筐体と、所定の回動軸まわりに回動可能となるように前記筐体に支持され、当該回動により前記開口部を開閉する開閉カバーと、を有する電子機器であって、前記開閉カバーは、前記回動軸の軸方向における一方側に設けられた一方側壁面と、前記回動軸の軸方向における他方側に設けられた他方側壁面と、を備えており、前記一方側壁面及び前記他方側壁面と前記筐体とのうち、いずれか一方は、被係止部を備えており、前記一方側壁面及び前記他方側壁面と前記筐体とのうち、いずれか他方は、前記開閉カバーの閉じ方向への回動により前記回動軸を中心とした円弧軌跡に沿って相対的に到来する前記被係止部に対し、前記一方側壁面及び前記他方側壁面の面方向に沿って、前記軸方向と直交する直交方向における一方側から係合して他方側へと弾性的に押圧する、係止部を備えている
ことを特徴とする。
【0008】
本願発明の電子機器は、開口部を備えた筐体を有している。この開口部を開閉するために開閉カバーが設けられる。開閉カバーは、所定の回動軸まわりに回動可能に構成されており、当該回動軸の軸方向一方側に一方側壁面を備えるとともに軸方向他方側に他方側壁面を備える。開き方向又は閉じ方向へ回動するときには、上記一方側壁面及び他方側壁面が上記回動軸を中心とした円弧軌跡を描く。
【0009】
開閉カバーが閉じ方向に回動して開口部を閉じる際には、係止部と被係止部とが互いに係止しロックが行われる。これら係止部及び被係止部のうち一方は筐体に設けられ、他方が開閉カバーの上記一方側壁面及び上記他方側壁面に設けられる。上記のように一方側壁面及び他方側壁面は、上記回動軸を中心とした円弧軌跡を描くことから、係止部と被係止部とは、上記円弧軌跡に沿って相対的に近づき、接触する。その際、係止部は、上記回動軸の軸方向と直交する直交方向における一方側から被係止部に接触し当該被係止部を他方側へと弾性的に押圧することにより、ロックを行う。
【0010】
すなわち、本願発明においては、係止部による被係止部に対する係止動作は、回動軸の軸方向に沿って行われるのではなく、回動軸の軸方向に直交する方向に沿って(言い換えれば上記一方側壁面及び他方側壁面の面方向に沿って)行われる。この結果、例えば開閉カバーの変形や製造寸法誤差等により、上記軸方向における一方側壁面及び他方側壁面と筐体との相対位置関係が僅かにずれたとしても、係止部と被係止部との係止状態の精度に対し影響を与えることがない。この結果、開閉カバーを閉じたときの堅固なロック状態を確実に維持することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、開閉カバーを閉じたときの堅固なロック状態を確実に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る印字ラベル作成装置の外観を表す斜視図である。
【図2】印字ラベル作成装置の平面図である。
【図3】印字ラベル作成装置の背面図である。
【図4】印字ラベル作成装置にロールシートホルダが装着された状態を開閉カバーを開けて示す斜視図である。
【図5】ロールシートホルダを印字ラベル作成装置に装着した状態を示す側断面図である。
【図6】印字ラベル作成装置の開閉カバーを開けた状態を示す平面図である。
【図7】図6に示す状態からさらに開閉カバーを開きリンクレバーが外れた状態を示す平面図である。
【図8】印字ラベル作成装置の開閉カバーを開けた状態を示す斜視図である。
【図9】印字ラベル作成装置の開閉カバーを外した状態を示す左側面図である。
【図10】印字ラベル作成装置の開閉カバーを外した状態を示す側断面図、及び図10(a)中X−X′断面による横断面図である。
【図11】印字ラベル作成装置の開閉カバーを外した状態を示す斜視図である。
【図12】開閉カバーを開いた状態で筐体側の係止部及びガイド部の要部を示す、図11の部分拡大図である。
【図13】図1に示す構造より開閉カバーを抽出した状態に相当する、閉じ状態における開閉カバーを表す右側面図である。
【図14】開閉カバーの側断面図、及び図14(a)中XIV−XIV′断面による横断面図である。である。
【図15】図6中の開閉カバーを抽出して表す拡大平面図である。
【図16】開閉カバーの被係止部の要部を示す、図15の部分拡大図である。
【図17】開閉カバーを閉めた状態で筐体側の係止部に開閉カバーの被係止部が係止された状態を示す、要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
本実施形態は、本発明を電子機器としての印字ラベル作成装置1に適用したものである。先ず、本実施形態に係るロールシートホルダの上側を覆う開閉カバー5を備えた印字ラベル作成装置1の概略構成について図1乃至図10に基づき説明する。
【0015】
<印字ラベル作成装置1の概略構造>
図1乃至図4に示すように、印字ラベル作成装置1は、当該装置1の外郭を構成するとともに、所定幅のロールシート3A(各請求項記載の被印字テープに相当)が巻回されたロールシートホルダ3を収納するロールシートホルダ収納部4を備える樹脂製の筐体2と、シートホルダ収納部4の上側を覆うように後側上端縁部に、後部側左右一対のヒンジ部60(筐体側ヒンジ60Aとカバー側ヒンジ60Bとから構成される)を介して開閉自在に取り付けられた透明樹脂製の開閉カバー5と、を有している。
【0016】
ロールシート3Aは、自己発色性を有する長尺状の感熱シート(いわゆる、サーマルペーパー)や、該感熱シートの片面に粘着剤を介して離形紙が貼り合わされた長尺状のラベルシート等で構成され、ロールシートホルダ3に巻回されている。
【0017】
開閉カバー5は、回動軸kまわりに回動可能となるようにカバー側ヒンジ60Bを介して筐体2の筐体側ヒンジ60Aに支持され、当該回動によりロールシートホルダ収納部4上方の開口部OPを開閉する。この開閉カバー5では、左側(上記回動軸kの軸方向一方側に相当)に設けられた左壁面5Dと、右側(上記回動軸kの軸方向他方側に相当)に設けられた右壁面5Cと、左壁面5Dと右壁面5Cとを接続するように軸方向に延設される中間壁面5Eとが、略コの字形状となって一体に構成されている。さらに、開閉カバー5には、略コの字形状の左壁面5D、中間壁面5E、右壁面5Cの内縁部を覆うように、当該左壁面5D、中間壁面5E、右壁面5Cとは別部材の天板5Fが取り付けられている。なお、左壁面5D、右壁面5C、中間壁面5Eが各請求項記載の第1壁部を構成し、天板5Fが各請求項記載の第2壁部を構成する。
【0018】
また、開閉カバー5の前側のフロントカバー6には、印刷されたロールシート3Aを外部に排出するシート排出口6Aが形成されている。また、このシート排出口6Aの上側の前面部には電源ボタン7A、押下することによってシート排出口6Aの内側に設けられたカッターユニット8(後述の図5参照)を駆動させてロールシート3Aを所望の長さに切断し印字ラベル(図示せず)を生成するカットボタン7B、押下している間ロールシート3Aを搬送方向に排出するフィードボタン7C、その他のボタン7Dの合計4個のボタンが略水平に配置されている。
【0019】
また、開閉カバー5の凹み部5Aの正面左側には、前側方向に所定長さ突出した押し爪部5Bが設けられている。また、開閉カバー5を閉じた場合に、筐体2の当該押し爪部5Bが当接する位置には、マイクロスイッチ等から構成されて、この押し爪部5Bによって押下されたか否か、即ち、開閉カバー5が閉じられたか否かを判別するための開閉カバー検出スイッチ18が配置されている。
【0020】
また、筐体2の背面部には不図示の電源コードが接続されるインレット10が配設されると共に、その横側(図3中の左側)には不図示のパーソナルコンピュータ等と接続されるUSB(Universal Serial Bus)コネクタ11が設けられている。
【0021】
<ロールシートホルダ収納部の詳細>
図4〜図8に示すように、ロールシートホルダ収納部4の搬送方向に対して略垂直方向の一方の側端縁部(図4中、右側側端縁部)に、ホルダ支持部材23が設けられている。このホルダ支持部材23には、上方に開口すると共に幅方向両側に開口する側面視略縦長Uの字状の第1位置決め溝部24が形成されており、ロールシートホルダ3を構成する位置決め保持部材20の外側方向に突設される、断面略矩形状の取付部材21を嵌め込むことができる。
【0022】
また、ロールシート3Aを挿入する挿入口26(図5参照)の後端縁部からロールシートホルダ収納部4の前側上端縁部まで略水平に延出された載置部29が設けられている。また、この載置部29の搬送方向後側の端縁角部には、ロールシート3Aの複数の幅寸法に対応して断面略L字状の5個の第2位置決め溝部30A〜30Eが形成されている。この各第2位置決め溝部30A〜30Eは、図5に示すように、ロールシートホルダ3を構成するガイド部材28の載置部29に当接する先端下端部分を、上方から嵌め込むことができるように形成されている。
【0023】
また、ロールシートホルダ収納部4の底面部には、ホルダ支持部材23の内側基端部から対向する側面部基端部まで搬送方向に対して略垂直に平面視横長四角形の位置決め凹部4Aが、所定深さで形成されている。この位置決め凹部4Aの搬送方向幅寸法は、ロールシートホルダ3を構成する位置決め保持部材20及びガイド部材28の各下端縁部の幅寸法にほぼ等しくなるように形成されている。
【0024】
また、位置決め凹部4Aのホルダ支持部材23の内側基端部には、搬送方向に縦長の平面視長四角形の判別凹部4Bが形成されている。この判別凹部4Bは、位置決め保持部材20の下端縁部から略直角内側方向に延出されるシート判別部(不図示)に対向しており、位置決め凹部4Aよりもさらに所定深さだけ深くなるように形成されている。
【0025】
そして、この判別凹部4Bには、プッシュ式のマイクロスイッチ等から構成されて、ロールシート3Aの種別、材質、ロールシート幅等を判別するための5個のシート判別センサP1、P2、P3、P4、P5がL字状に設けられている。この各シート判別センサP1〜P5は、プランジャーとマイクロスイッチ等から構成される公知の機械式スイッチからなり、該各プランジャーの上端部は、該判別凹部4Bの底面部から位置決め凹部4Aの底面部近傍まで突き出るように設けられている。そして、この各シート判別センサP1〜P5は、それらセンサP1〜P5に対し位置決め保持部材20の下端縁部から略直角内側方向に延出されるシート判別部に形成される各センサ孔(不図示)が有るか否かを検出して、そのオン・オフ信号によりロールシートホルダ3に装着されたロールシート3Aの種別、材質、ロールシート幅等を検出する。
【0026】
尚、本実施形態の場合は、各シート判別センサP1〜P5は、そのプランジャーが常には、判別凹部4Bの底面から位置決め凹部4Aの底面部近傍まで突き出しており、マイクロスイッチがオフ状態になっている。そして、シート判別部の各センサ孔が、各シート判別センサP1〜P5に対向する位置に有る場合には、プランジャーが押下されずマイクロスイッチがオフ状態にあるので、オフ信号が出力される。一方、シート判別部の各センサ孔が、各シート判別センサP1〜P5に対向する位置に無い場合には、プランジャーが押下されてマイクロスイッチがオン状態になるので、オン信号が出力される。従って、各シート判別センサP1〜P5によって5ビットの「0」、「1」信号が出力され、各シート判別センサP1〜P5が全てオフ状態の場合、即ち、ロールシートホルダ3が装着されていない場合には、5ビットの「00000」の信号が出力される。
【0027】
また、挿入口26のホルダ支持部材23側の側端縁部には、載置部29のほぼ搬送方向後端部まで案内部31が形成され、ロールシート3Aを挿入口26まで案内している。ここで、この案内部31の内側端面31A(図6中、左側端面)は、該ホルダ支持部材23に嵌め込まれる位置決め部材20の内側端面に対向する位置、つまり、同一平面上に位置するように形成されている。これにより、ロールシートホルダ3から引き出されたロールシート3Aの外側の側端縁部は、この案内部31の内側端面に当接して、挿入口26へ案内される
【0028】
<サーマルヘッド・カッターユニット等の内部機器>
また、上記図5及び、図9、図10に示すように、挿入口26のロールシート搬送方向奥側には、プラテンローラ35(搬送手段)が回転自在に軸支されている。また、サーマルヘッド32(印字手段)が、押圧バネ36によって上方に付勢されているヘッド支持部材37の上面に固定されている。また、このヘッド支持部材37の搬送方向に対して後側の端縁部は、フレーム38の背面部によって上下方向に揺動可能に支持されている。そして、ホルダ収納部4のホルダ支持部材23と反対側の側端縁部に対向する、筐体2の開口部OP周縁の内側には、断面円形状でリンクレバー34の厚さにほぼ等しい高さに形成された係合軸33(図4、図7参照)が立設されている。この係合軸33には、サーマルヘッド32を上下動させるリンクレバー34の一方の端縁部に形成された貫通孔34Aが嵌め込まれ、このリンクレバー34の端縁部が回動可能且つ着脱可能に取り付けられている。そして、開閉カバー5を開閉すると、リンクレバー34が前後方向に移動し、リリースレバー51、レバー軸50を介して、サーマルヘッド32が上下動される。すなわち、上記開閉カバー5の閉じ動作に伴うレバー軸50の回動によって、押圧バネ36によって上方に付勢されているサーマルヘッド32が、プラテンローラ35にロールシート3Aを押圧付勢して印字可能な状態になる。また、開閉カバー5の開き動作に伴うレバー軸50の上記とは逆方向への回動によって、サーマルヘッド32が、プラテンローラ35から離間し、ロールシート3Aを挿入口26から挿通して、プラテンローラ35とサーマルヘッド32との間に挿通可能な状態になる。
【0029】
また、プラテンローラ35及びサーマルヘッド32から、ロールシート3Aの搬送方向下流側(図5、図10(a)中左側)には、カッターユニット8が設けられている。このカッターユニット8は、図5に示すように、固定刃8Aと可動刃8Bとを有している。前述したカットボタン7Bが押下された場合には、可動刃8BがDCモータ等で構成される切断用モータ8Cにより上下方向に往復移動される。これにより、上記サーマルヘッド32による印字がなされた後のロールシート3Aが固定刃8Aと可動刃8Bとによって所望の長さに切断されて印字ラベルが生成され、シート排出口6Aから排出される。尚、可動刃8Bは正面視V字形に構成されている。
【0030】
一方、ロールシートホルダ収納部4の下側には、仕切壁39を介して、制御基板40が設けられている。この制御基板40には、外部のパーソナルコンピュータ等からの指令によりサーマルヘッド32等の各機構部を駆動制御する制御回路部が形成されると共に、各シート判別センサP1〜P5が電気的に接続されている。また、上記フレーム38の下方には、仕切壁39を介して、電源回路部が形成された電源基板41が設けられている。なお、上記サーマルヘッド32は、フレキシブルフラットケーブル(FFC)43によって、制御基板40の底面側に設けられたコネクタ44に接続されている。そして、制御基板40及び電源基板41は、底面部にネジ止めされた薄い鋼板製の底面カバー45によって覆われている。
【0031】
<係止部及び被係止部>
以上の基本構成において、本実施形態の最大の特徴は、開閉カバー5を閉じたときに係止するために設けられる、係止部15及び被係止部16の構成にある。すなわち、前述の図6、図7、図8に示すように、ロールシート収納部4の前側の壁部には、爪状の左右の係止部15,15が設けられている(なお、前述の図4では、上記係止部15及び被係止部16の図示は省略されている)。そして、係止部15,15に対向するように、上記開閉カバー5の天板5Fの左右両端下方側には、水平リブ状の被係止部16,16が設けられている。これにより、開閉カバー5を開いた状態から前側方向に回動させることにより、各係止部15と各被係止部16とが係合し、開閉カバー5が閉じられた状態で保持される。また、開閉カバー5の前端中央部に形成される凹み部5Aに指を掛けて後側方向に回動させることによって、各係止部15と各被係止部16との係合が外れ、開閉カバー5を開くことが可能となる。以下、係止部15及び被係止部16の詳細構成を図11乃至図17に基づき詳細に説明する。
【0032】
図11及び図12に示すように、ロールシート収納部4の前側の上記案内部31には、後方へ弾性変形可能に形成された爪状の係止部15,15が左右2箇所に設けられている。各係止部15は、基部15Aと、開閉カバー5係止用の爪部15Bと、開口部15Cとを備えている。開口部15Cは、案内部31に縦長矩形状に穿設されている。基部15Aは、開口部15Cの開口内縁下側から当該開口部15C内上方に向けて延設されており、上記ヒンジ部60の回動軸kに直交する方向である、前後方向(上記図6、図7、及び後述の図17中の矢印AB方向)に撓曲可能に構成されている。爪部15Bは、基部15Aの先端から後方に向けて突設されており、例えば側断面三角形状(もしくは側断面楔状)に形成されている。
【0033】
一方、図13及び図14に示すように、上記係止部15,15に対向すべく、開閉カバー5の左壁面5D及び右壁面5Cの内壁部上縁側(すなわち天板5Fの左右両端に接続される左壁面5D及び右壁面5Cの縁部内側)には、水平リブ状の被係止部16,16が形成されている。被係止部16は、図13に示すように、閉じ状態の開閉カバー5において、後方(言い換えればヒンジ部60の回動軸kに直交する方向:上記図6、図7、及び図9中の矢印B方向)に向かって水平よりやや上向きになるように延設されている。また被係止部16の前方側先端部は、若干下方に向けて湾曲した形状となっており、係止部15の上記爪部15Bと係止した後のロック状態を確実に維持できるように図られている(後述の図17も参照)。
【0034】
また、図15、図16、図17に示すように、各被係止部16の互いの内側には略L字状の切り欠き部16Aが形成されている。この切り欠き部16Aには、各係止部15の位置よりも左右方向内側に設けられた縦長リブ形状のガイド部70(図17及び上記図11、図12参照)が、係合可能となっている。これによって、開閉カバー5の閉じ方向への回動によりヒンジ部60の回動軸kを中心とした円弧軌跡C(図14(a)、図17参照)に沿って到来する各被係止部16に対し、ガイド部17が上記左右方向内側から接触して左右方向外側へとガイドするようになっている。
【0035】
以上説明したように、本実施形態においては、開閉カバー5は、ヒンジ部60の回動軸kまわりに回動可能に構成されており、開き方向又は閉じ方向へ回動するときには、上記左壁面5D及び右壁面5Cは、図14(a)、図17の被係止部16の円弧軌跡Cと同様、上記回動軸kを中心とした円弧軌跡を描く。そして、開閉カバー5が閉じ方向に回動して筐体2の開口部OPを閉じる際には、図17に示すように、各係止部15と各被係止部16とが互いに係止しロックが行われる。すなわち、上記のように左壁面5D及び右壁面5Cは、上記回動軸kを中心とした円弧軌跡を描くことから、被係止部16が、上記円弧軌跡Cに沿って(言い換えれば左壁面5D及び右壁面5Cの面方向に沿って)係止部15に近づき、接触する。その際、係止部15は、上記前方側(回動軸kと直交する方向における一方側)から被係止部16に接触し、当該被係止部16を後方側(回動軸kと直交する方向における他方側)へと弾性的に押圧することにより、ロックを行う。
【0036】
具体的には、図17に示すように、開閉カバー5が閉じるとき、係止部15の爪部15Bにおける上側傾斜面151に、被係止部16の先端が当接する。開閉カバー5が更に閉じ方向に回動すると、被係止部16の先端161が、撓曲可能な基部15Aにより係止部15を矢印B方向へ押し退けながら、爪部15Bの上側傾斜面151に沿ってスライドして行く。そして、爪部15Bの下側水平面152の位置に被係止部16の先端161が到達した時には、撓曲可能な基部15Aが弾性復帰することによって爪部15Bが元の位置へ向かって(矢印A方向)に戻り、被係止部16の先端161の上面が爪部15Bの下側水平面152によって係止される。
【0037】
このように、本実施形態においては、係止部15による被係止部16に対する係止動作は、従来構造のように左右方向に沿って(言い換えればヒンジ部60の回動軸kに沿って)行われるのではなく、前後方向に沿って(言い換えれば回動軸kに直交する方向に沿って)行われる。この結果、例えば開閉カバー5の変形や製造寸法誤差等により、上記回動軸k方向における左壁面5D及び右壁面5Cと筐体2との相対位置関係が僅かにずれたとしても、係止部15と被係止部16との係止状態の精度に対し影響を与えることがない。この結果、開閉カバー5を閉じたときの堅固なロック状態を確実に維持することができる。
【0038】
すなわち、ロールシート3Aを搬送して所望の印刷を行うことで印字ラベルを作成する印字ラベル作成装置1において、係止部15と被係止部16との係止状態の精度を維持し、開閉カバー5を閉じたときの堅固なロック状態を確保することができる。
【0039】
また、本実施形態においては、特に、開閉カバー5の一部の左壁面5D、右壁面5C、中間壁面5Eを一体物で構成することにより、部品点数の低減及び製造工程の簡素化を図ることができる。そして、そのようにして製造された開閉カバー5が当該コの字形状が開くように変形し、左右方向における左壁面5D及び右壁面5Cと筐体2との相対位置関係が僅かにずれたとしても、上記堅固なロック状態を確実に維持することができる。
【0040】
特に、本実施形態では、開閉カバー5のコの字形状の内縁部を覆うように別部材の天板5Fが取り付けられているため、天板5Fが一体物として構成される場合と異なり、上記開閉カバー5のコの字形状が開くような変形が生じやすい。したがって、前後方向に沿って(回動軸kに直交する方向に沿って)係止部15の係止動作が行われる、上記のような本実施形態の構成が効果的である。
【0041】
また、本実施形態においては、特に、被係止部16に対し左右方向内側から接触し左右方向外側へとガイドするガイド部70を備え、各係止部15に各被係止部16が上記円弧軌跡Cに沿って近づくとき、被係止部16を左右方向に沿ってガイドする。これにより、係止部15によるさらに円滑なロック動作を確保することができる。
【0042】
なお、上記実施形態においては、係止部15は筐体2に設けられ、被係止部16は開閉カバー5の上記左壁面5D及び上記右壁面5Cに設けられているが、これとは逆に、被係止部16と同等の構造を筐体2に設け、係止部15と同等の構造を開閉カバー5の上記左壁面5D及び上記右壁面5Cに設け、それらによって上記同様の前後方向の係止を行うようにしてもよい。この場合も同様の効果を得る。
【0043】
また、上記は、電子機器として、被印字テープに所望の印刷を行って印字ラベルを作成する印字ラベル作成装置に対し、本発明を適用したが、これに限られない。例えば、バッテリ電源により駆動される携帯用プリンタや、例えばA4、A3、B4、B5サイズ等の通常の被印刷用紙に画像を形成したり文字を印刷するプリンタ等の、他のタイプの印刷装置に本発明を適用してもよい。また印刷装置にも限られず、開口部を備えた筐体を有する電子機器であれば他のものに対しても本発明は適用でき、この場合も同様の効果を得る。
【0044】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0045】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0046】
1 印字ラベル作成装置(電子機器)
2 筐体
3 ロールシートホルダ
3A ロールシート(被印字媒体)
5 開閉カバー
5C 右壁面(他方側壁面、第1壁部)
5D 左壁面(一方側壁面、第1壁部)
5E 中間壁面(第1壁部)
5F 天板(第2壁部)
15 係止部
16 被係止部
32 サーマルヘッド(印字手段)
34 リンクレバー
35 プラテンローラ(搬送手段)
60 ヒンジ部
70 ガイド部
C 円弧軌跡
k 回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の外郭を構成するとともに開口部を備える筐体と、
所定の回動軸まわりに回動可能となるように前記筐体に支持され、当該回動により前記開口部を開閉する開閉カバーと、
を有する電子機器であって、
前記開閉カバーは、
前記回動軸の軸方向における一方側に設けられた一方側壁面と、
前記回動軸の軸方向における他方側に設けられた他方側壁面と、
を備えており、
前記一方側壁面及び前記他方側壁面と前記筐体とのうち、いずれか一方は、被係止部を備えており、
前記一方側壁面及び前記他方側壁面と前記筐体とのうち、いずれか他方は、前記開閉カバーの閉じ方向への回動により前記回動軸を中心とした円弧軌跡に沿って相対的に到来する前記被係止部に対し、前記一方側壁面及び前記他方側壁面の面方向に沿って、前記軸方向と直交する直交方向における一方側から係合して他方側へと弾性的に押圧する、係止部を備えている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1記載の電子機器において、
前記開閉カバーは、
前記一方側壁面と前記他方側壁面とを接続するように前記軸方向に延設される中間壁面をさらに備え、
前記一方側壁面と、前記他方側壁面と、前記中間壁面とは、略コの字形状の第1壁部として一体に構成されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2記載の電子機器において、
前記開閉カバーは、
前記第1壁部の前記略コの字形状の内縁部を覆うように取り付けられる、当該第1壁部とは別部材の第2壁部をさらに備えることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の電子機器において、
前記筐体は、
前記開閉カバーの閉じ方向への回動により前記回動軸を中心とした円弧軌跡に沿って相対的に到来する前記被係止部に対し、前記軸方向における一方側から接触して他方側へとガイドする、ガイド部を備えている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載の電子機器において、
被印字テープを搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される被印字テープに対し所望の印刷を行う印字手段と、を前記筐体内に備え、印字後の前記被印字テープにより印字ラベルを作成する印字ラベル作成装置である
ことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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