説明

電子機器

【課題】多値書込フラッシュメモリへの書込み速度を速くする。
【解決手段】コントローラは、2値書込みが行われるFAT領域15とFAT予約領域15aと、多値書込みが行われるデータ領域16を有する多値書込フラッシュメモリ6のFAT領域15に新規ファイル管理データを書込む時に、先ず、このFAT領域15に存在する書込済ファイル管理データを、FAT予約領域15aに書込み、次に、前記新規ファイル管理データをFAT領域15に書込み、その後前記FAT予約領域15aに書込んだ書込済ファイル管理データを消去する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2値書込みが行われるFAT領域と多値書込みが行われるデータ領域を有する多値書込フラッシュメモリの装着部を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2値書込みが行われるFAT領域と多値書込みが行われるデータ領域を有する多値書込フラッシュメモリは、書込容量が飛躍的に大きくなるので、各種電子機器において活用されている。
【0003】
前記多値書込フラッシュメモリは、前記多値書込フラッシュメモリのFAT領域に新規ファイル管理データを書込む時には、先ずは、このFAT領域に存在する書込済ファイル管理データをデータ領域に2値で書込み、次に、前記新規ファイル管理データをFAT領域に書込む構成としている。
【0004】
つまり、FAT領域に存在する2値の書込済ファイル管理データを、多値書込みが行われるデータ領域に退避させるようにしている(このような技術に類似する先行文献としては下記特許文献1が存在する)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−205555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来例における課題は、前記多値書込フラッシュメモリへの書込み速度が低下してしまうと言うことである。
【0007】
すなわち、前記多値書込フラッシュメモリのFAT領域への新規ファイル管理データ書込みは頻繁に行われるものであるが、この書込みのため長時間が費やされ、その結果として多値書込フラッシュメモリへの書込み速度が低下してしまうのであった。
【0008】
この点を、いま少し説明を続けると、FAT領域に存在する書込済ファイル管理データは2値で書込まれたものであり、これが書き込まれるデータ領域は本来多値書込が行われる部分であるので、このデータ領域においては、前記2値で書込まれた書込済ファイル管理データの集約作業が頻繁に行われることとなり、その結果として多値書込フラッシュメモリへの書込み速度が低下してしまうのであった。
【0009】
そこで、本発明は、多値書込フラッシュメモリへの書込み速度を速くすることことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして、この目的を達成するために本発明は、2値書込みが行われるFAT領域とFAT予約領域と、多値書込みが行われるデータ領域を有する多値書込フラッシュメモリの装着部と、この装着部に装着された多値書込フラッシュメモリからのデータ読込制御、および前記多値書込フラッシュメモリへのデータ書込制御を行うコントローラとを備え、前記コントローラは、前記多値書込フラッシュメモリのFAT領域に新規ファイル管理データを書込む時には、先ず、このFAT領域に存在する書込済ファイル管理データを、前記多
値書込フラッシュメモリのFAT予約領域に書込み、次に、前記新規ファイル管理データをFAT領域に書込み、その後前記FAT予約領域に書込んだ書込済ファイル管理データを消去する構成とし、これによって所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明は、2値書込みが行われるFAT領域とFAT予約領域と、多値書込みが行われるデータ領域を有する多値書込フラッシュメモリの装着部と、この装着部に装着された多値書込フラッシュメモリからのデータ読込制御、および前記多値書込フラッシュメモリへのデータ書込制御を行うコントローラとを備え、前記コントローラは、前記多値書込フラッシュメモリのFAT領域に新規ファイル管理データを書込む時には、先ず、このFAT領域に存在する書込済ファイル管理データを、多値書込フラッシュメモリのFAT予約領域に書込み、次に、前記新規ファイル管理データをFAT領域に書込み、その後前記FAT予約領域に書込んだ書込済ファイル管理データを消去する構成としたものであるので、多値書込フラッシュメモリへの書込み速度を速くすることができる。
【0012】
すなわち、本発明のコントローラは、前記多値書込フラッシュメモリのFAT領域に新規ファイル管理データを書込む時には、先ず、このFAT領域に存在する書込済ファイル管理データを、多値書込フラッシュメモリのFAT予約領域に書込み、次に、前記新規ファイル管理データをFAT領域に書込み、その後前記FAT予約領域に書込んだ書込済ファイル管理データを消去する構成としたものであり、2値の書込済ファイル管理データが、2値でFAT予約領域に書込まれ、多値書込みが行われるデータ領域での、2値の書込済ファイル管理データの集約作業が不要となり、その結果として多値書込フラッシュメモリへの書込み速度を速くすることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態にかかる電子機器を搭載した車内の正面側の斜視図
【図2】同車載用電子機器の制御ブロック図
【図3】同要部の構成図
【図4】同要部の構成図
【図5】同要部の動作説明図
【図6】同動作フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1を、車載用電子機器に適用したものを、添付図面を用いて説明する。
【0015】
図1において、1は車両の車内を示し、そのフロント部分には、ハンドル2が設けられ、また、このハンドル2の側方のコンソールボックス3部分には車載用電子機器4が設置されている。
【0016】
車載用電子機器4の前面には、光ディスクの挿入部5と、カード状の多値書込フラッシュメモリ(図2の6)が挿入される挿入部7が設けられている。
【0017】
図2は、車載用電子機器4の制御ブロック図であり、挿入部5に対応し、光ディスクからデータ読込むための光ピックアップ部8と、読み込んだデータを処理する光信号処理部9が設けられている。
【0018】
また、挿入部7に対応し、多値書込フラッシュメモリ6からのデータ読込制御、および前記多値書込フラッシュメモリへのデータ書込制御を行うコントローラ10が設けられて
いる。
【0019】
さらに、光信号処理部9とコントローラ10は、インターフェース部11を介して増幅部12、音声出力部13が接続されている。
【0020】
なお、音声出力部13には、図1の車内1の各部に設置されたスピーカ(図示せず)が接続されている。
【0021】
図3は、多値書込フラッシュメモリ6のアドレス構造を示すもので、大きくは、管理領域14と、FAT領域15と、FAT予約領域15aと、データ領域16に分割されている。
【0022】
なお、管理領域14と、FAT領域15とFAT予約領域15aは、2値書込みが行われるようになっている。
【0023】
これに対して、データ領域16は多値書込が行われるようになっている。
【0024】
具体的には、このデータ領域16においては、図4に示すメモリゲート構成となっており、17はソース、18はドレイン、19はコントロールゲート、20はフローティングゲートである。
【0025】
この構造と動作は周知のことであるので、説明は簡略化するが、この図4に示すメモリゲート構成によれば、図5に示すように、同じアドレスに対する多値書込が行えるようになっている。
【0026】
本実施形態において、多値書込フラッシュメモリ6のFAT領域15に新規ファイル管理データを書込む時(図6のS1)には、コントローラ10は以下のように動作する。
【0027】
先ず、このFAT領域15に存在する2値の書込済ファイル管理データを、前記FAT領域15の後半部分に存在するFAT予約領域15aに書込み(図6のS2)、書込済データを有効とする有効フラグを立てる(図6のS3)。
【0028】
次に、新規ファイル管理データをFAT領域15に書込み(図6のS4)、この書込みが完了すると、有効フラグを降ろし(図6のS5)、書込が完了する(図6のS6)。
【0029】
その後、前記FAT予約領域15aに書込んだ書込済ファイル管理データを消去する(図6のS7)。
【0030】
以上のごとく、本実施形態は、多値書込フラッシュメモリ6のFAT領域15には、活用されていない十分に大きなエリアが存在することに着目し、コントローラ10により、ここをFAT予約領域15aとして活用するようにしたものである。
【0031】
その結果、2値の書込済ファイル管理データが、2値でFAT予約領域15aに書込まれることとなり、多値書込みが行われるデータ領域16での、2値の書込済ファイル管理データの集約作業が不要となり、その結果として多値書込フラッシュメモリ6への書込み速度を速くすることができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上のように本発明は、2値書込みが行われるFAT領域とFAT予約領域と、多値書込みが行われるデータ領域を有する多値書込フラッシュメモリの装着部と、この装着部に
装着された多値書込フラッシュメモリからのデータ読込制御、および前記多値書込フラッシュメモリへのデータ書込制御を行うコントローラとを備え、前記コントローラは、前記多値書込フラッシュメモリのFAT領域に新規ファイル管理データを書込む時には、先ず、このFAT領域に存在する書込済ファイル管理データを、前記多値書込フラッシュメモリのFAT予約領域に書込み、次に、前記新規ファイル管理データをFAT領域に書込み、その後前記FAT予約領域に書込んだ書込済ファイル管理データを消去する構成としたものであるので、多値書込フラッシュメモリへの書込み速度を速くすることができる。
【0033】
すなわち、本発明のコントローラは、前記多値書込フラッシュメモリのFAT領域に新規ファイル管理データを書込む時には、先ず、このFAT領域に存在する書込済ファイル管理データを、前記FAT領域のFAT予約領域に書込み、次に、前記新規ファイル管理データをFAT領域に書込み、その後前記FAT予約領域に書込んだ書込済ファイル管理データを消去する構成としたものであり、2値の書込済ファイル管理データが、2値でFAT予約領域に書込まれ、多値書込みが行われるデータ領域での、2値の書込済ファイル管理データの集約作業が不要となり、その結果として多値書込フラッシュメモリへの書込み速度を速くすることができるのである。
【0034】
したがって、車載用やその他の部分で活用される電子機器に広く活用されるものとなる。
【符号の説明】
【0035】
1 車内
2 ハンドル
3 コンソールボックス
4 車載用電子機器
5 挿入部
6 多値書込フラッシュメモリ
7 挿入部
8 光ピックアップ部
9 光信号処理部
10 コントローラ
11 インターフェース部
12 増幅部
13 音声出力部
14 管理領域
15 FAT領域
15a FAT予約領域
16 データ領域
17 ソース
18 ドレイン
19 コントロールゲート
20 フローティングゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2値書込みが行われるFAT領域およびFAT予約領域と、多値書込みが行われるデータ領域を有する多値書込フラッシュメモリの装着部と、この装着部に装着された多値書込フラッシュメモリからのデータ読込制御、および前記多値書込フラッシュメモリへのデータ書込制御を行うコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記多値書込フラッシュメモリのFAT領域に新規ファイル管理データを書込む時には、先ず、このFAT領域に存在する書込済ファイル管理データを、前記多値書込フラッシュメモリのFAT予約領域に書込み、次に、前記新規ファイル管理データをFAT領域に書込み、その後前記FAT予約領域に書込んだ書込済ファイル管理データを消去する構成とした電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−83877(P2012−83877A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228294(P2010−228294)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】