説明

電子機器

【課題】従来のプリンタでは、用紙の残量やバッテリーの有無などによって機器本体の重心が変わると、ハンドルに対する機器本体の姿勢が変化するので、持ち運び難いという問題がある。
【解決手段】装着物を着脱可能に保持する機器本体と、支軸によって前記機器本体に回動可能に連結されて、前記機器本体を吊り下げ支持可能であり、吊り下げ支持した前記機器本体に前記支軸回り方向のモーメントが生じる位置に配置された支持部と、前記支持部に吊り下げ支持された状態の前記機器本体と前記支持部との相対回動を規制するストッパ部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙やバッテリーなどが装着される機器本体と、この機器本体に回動可能に連結されたハンドルとを備えるプリンタがある。このようなプリンタにあっては、使用者は、ハンドルを把持して持ち運びすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2812506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなプリンタでは、用紙の残量やバッテリーの有無などによって機器本体の重心が変わると、ハンドルに対する機器本体の姿勢が変化するので、持ち運び難いという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の電子機器は、装着物を着脱可能に保持する機器本体と、支軸によって前記機器本体に回動可能に連結されて、前記機器本体を吊り下げ支持可能であり、吊り下げ支持した前記機器本体に前記支軸回り方向のモーメントが生じる位置に配置された支持部と、前記支持部に吊り下げ支持された状態の前記機器本体と前記支持部との相対回動を規制するストッパ部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態にかかる電子機器としてのプリンタを示す図であって、支持部が第1の位置に位置した状態を示す斜視図。
【図2】第1の実施形態にかかるプリンタを示す図であって、支持部が第2の位置に位置した状態を示す斜視図。
【図3】第1の実施形態にかかるプリンタを示す図であって、蓋部が開位置に位置した状態を示す斜視図。
【図4】第1の実施形態にかかる第1の位置に位置した支持部を示す斜視図。
【図5】第1の実施形態にかかる支持部の一端部を示す斜視図。
【図6】第1の実施形態にかかる機器本体を示す斜視図。
【図7】第2の実施形態にかかるプリンタを示す図であって、支持部が第2の位置に位置した状態を示す斜視図。
【図8】第2の実施形態にかかる第1の位置に位置した支持部を正面側から見て示す斜視図。
【図9】第2の実施形態にかかる第1の位置に位置した支持部を背面側から見て示す斜視図。
【図10】図9中のF10矢視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態では、電子機器として、ロール状に巻回された用紙を引き出して印字する携帯型のプリンタについて説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。また、各図では、便宜上、プリンタ1の基部10の前後方向での後方をX方向、プリンタ1の基部10の幅方向をY方向、プリンタ1の基部10の高さ方向をZ方向と記す。これらX方向、Y方向、およびZ方向は相互に直交している。
【0008】
第1の実施形態を図1から図6を参照して説明する。
【0009】
図1に示すように、プリンタ1は、印字動作を行う機器本体2と、機器本体2に連結され把持可能な支持部3と、を有している。プリンタ1は、可搬性を有している。支持部3は、機器本体2に対して起立した位置であって機器本体2を吊り下げ支持する第1の位置(図1参照)と、機器本体2の基部10に沿う第2の位置(図2参照)との間で回動可能に機器本体2に連結されている。したがって、使用者(図示せず)は、支持部3を起立させて第1の位置に位置させた状態で支持部3を把持してプリンタ1を持ち運ぶことができる。支持部3は、別の言い方をすると、吊り下げ部やハンドルである。このプリンタ1は、機器本体2に装着されたバッテリー13(図3参照)の電力によって印字動作等の動作を行う。
【0010】
図3に示すように、本実施形態のプリンタ1で使用される用紙100は、帯状に形成されてロール状に巻回されている。用紙100は、例えばラベル用紙やレシート用紙等である。用紙100は、機器本体2に収容されている。
【0011】
図1および図2に示すように、機器本体2は、基部10と、蓋部11と、を有している。基部10は、上面開口の略直方体状に形成されている。基部10は、左右の幅方向よりも前後方向の方が長く形成されている。基部10は、用紙100およびバッテリー13を着脱可能に保持する。用紙100およびバッテリー13は、装着物に相当する。一方、蓋部11は、側面視で略三角形状に形成されている。蓋部11は、ヒンジ部12(図3参照)によって基部10に回動可能に連結されている。詳しくは、蓋部11は、基部10の上部に配置され基部10の上部を覆う閉位置(図1参照)と、基部10の上部を露出させる開位置(図3参照)との間で基部10に回動可能に連結されている。機器本体2には、開閉ロック部50が設けられており、この開閉ロック部50が、閉位置に位置する蓋部11を基部10に対して解除可能にロックする。また、機器本体2の前面(正面)2aにおける基部10と蓋部11との間には、用紙100を排出する排紙口2bが設けられている。
【0012】
図3に示すように、基部10は、第1の筐体14を有しており、この第1の筐体14に、用紙収容部15やプラテンローラ16、バッテリー13、電源スイッチ17、制御基板(図示せず)等が設けられている。一方、蓋部11は、第2の筐体18を有しており、この第2の筐体18にタッチパネル付きディスプレイ19(図2参照)や印字ヘッド20等が設けられている。蓋部11が閉位置に位置付けられた状態では、印字ヘッド20とプラテンローラ16とが対向する。蓋部11が開位置に位置付けられた状態では、印字ヘッド20とプラテンローラ16との間が開放される。ここで、タッチパネル付きディスプレイ19や制御基板、印字ヘッド20は、電気電子部品であり、バッテリー13の電力によって動作する。
【0013】
第1の筐体14は、上面開口の略箱状に形成されている。第1の筐体14は、相互に離間して配置された一対の側壁部14aを有している。一方の側壁部14aには、バッテリー13を着脱可能に保持するバッテリー保持部21が設けられている。
【0014】
バッテリー保持部21は、一方の側壁部14aにおいて他方向の側壁部14aに向かって凹状に設けられており、バッテリー保持部21は、第1の筐体14の側方からバッテリー13の挿入を受け付ける。バッテリー保持部21は、第2の蓋部22によって開閉される。第2の蓋部22は、第2のヒンジ部23によって側壁部14aに回動可能に連結されている。第2の蓋部22は、例えば樹脂製であり、バッテリー保持部21の入口21aに嵌脱可能となっている。
【0015】
用紙収容部15は、第1の筐体14の後部に設けられている。用紙収容部15は、下方に向かって凹状に設けられており、上面開口となっている。用紙収容部15は、用紙投げ込み式であり、収容したロール状の用紙100の下部外周を支持する。用紙収容部15は、用紙100を回転可能に保持しており、これにより、プラテンローラ16による用紙100の引き出しが可能となっている。
【0016】
プラテンローラ16は、歯車等で構成される動力伝達機構を介して駆動源であるモータに連結されている。プラテンローラ16は、印字ヘッド20によって用紙100が押し付けられた状態で、モータによって回転駆動されることにより、用紙収容部15に保持された用紙100を引き出して搬送する。モータは、バッテリー13の電力によって動作する。プラテンローラ16は、用紙収容部15に保持された用紙100を引き出して搬送する搬送部に相当する。
【0017】
印字ヘッド20は、例えば、サーマルヘッドである。印字ヘッド20は、プラテンローラ16に対向配置されている。印字ヘッド20は、プラテンローラ16に対して接離可能に蓋部11の内面に連結されている。印字ヘッド20は、プラテンローラ16に向けて付勢部材であるコイルばねによって付勢されている。コイルばねに付勢された印字ヘッド20は、当該印字ヘッド20とプラテンローラ16との間に介在する用紙100をプラテンローラ16に押し付ける。これにより、プラテンローラ16の搬送力が用紙100に確実に伝達される。印字ヘッド20は、一列に配置された複数の発熱素子を有しており、これらの複数の発熱素子に選択的に通電することで発熱素子を発熱させる。この発熱によって、印字ヘッド20は、プラテンローラ16に支持されるとともに発熱素子に重ねられた用紙100に各種の情報を印字する。印字ヘッド20は、印字部に相当する。
【0018】
図1および図2に示すように、支持部3は、支軸30によって機器本体2に回動可能に連結されており、機器本体2を吊り下げ支持可能である。
【0019】
図4に示すように、支持部3は、一対のアーム部3aと、一対のアーム部3a同士を接続した把持部3bと、を有している。一対のアーム部3aは、基部10の幅方向に相互に間隔をあけて配置され、機器本体2を間に位置させた状態で相互に対向している。各アーム部3aの一端部には、支軸30が一体に設けられている。一対の支軸30は、同一軸上に配置されている。一方の支軸30は、機器本体2の基部10の一方の側壁部14aに連結されており、他方の支軸30は、機器本体2の基部10の他方の側壁部14aに連結されている。詳しくは、各支軸30は、各側壁部14aの上部に形成された軸孔14c(図6参照)に挿入されている。なお、図6では、一方の軸孔14cのみが示されている。アーム部3aは、支軸30回り方向(図中の矢印AやBの方向)に回動可能に機器本体2の基部10に連結されている。把持部3bは、一対のアーム部3aの他端部同士を接続している。支持部3は、例えば樹脂や金属等によって構成されている。把持部3bは、支持部3の自由端部3hを構成している。
【0020】
支持部3に吊り下げ支持された状態の機器本体2と支持部3との相対回動は、ストッパ部40(図5、図6参照)によって規制される。ストッパ部40は、第1のストッパ部41と、第2のストッパ部42と、を有している。
【0021】
第1のストッパ部41は、図5や図6に示すように、支持部3に設けられた係合部3c(図5参照)と、機器本体2の基部10における第1の筐体14に設けられた収容部14d(図6参照)と、を有している。なお、機器本体2に係合部3cを設け、支持部3に収容部14dを設けてもよい。即ち、収容部14dが支持部3と機器本体2との一方に設けられ、係合部3cが支持部3と機器本体2との他方に設けられていてよい。
【0022】
図5に示すように、係合部3cは、各アーム部3aの一端部の内面に凸状に設けられている(図面では、一方の係合部3cが示されている)。係合部3cは、円弧部3dと、第1および第2の当接部3e,3fとを有して、扇状に形成されている。円弧部3dは、支軸30周り方向の円弧状に形成されている。第1および第2の当接部3e,3fは、円弧部3dの両端部から相互に近づく方向に延出している。第1および第2の当接部3e,3fの合流部に、支軸30が連設されている。係合部3cは、収容部14dの内部空間よりも小さく形成されており、支軸30周り方向に収容部14dと相対回動可能となっている。
【0023】
図6に示すように、収容部14dは、第1の筐体14の各側壁部14aの外面の上部に凹状に設けられている(図面では、一方の収容部14dが示されている)。収容部14dは、係合部3cの第1の当接部3eと当接可能な第3の当接部14eと、係合部3cの凸部3gと当接可能な第4の当接部14fと、を有している。第3の当接部14eと第4の当接部14fとは、収容部14dの上端部に直線状に設けられている。
【0024】
第1のストッパ部41では、係合部3cが、収容部14dに当接(係合)することで支持部3に対する機器本体2の回動を規制する。詳細には、支持部3が第1の位置(図1)に位置した状態では、係合部3cの第1の当接部3eと収容部14dの第3の当接部14eとが当接しており、第2の位置から第1の位置へ向かう方向(図中の矢印Aの方向)での支持部3の回動を規制する。一方、支持部3が第2の位置(図2参照)に位置した状態では、係合部3cの第2の当接部3fと収容部14dの第4の当接部14fとが当接しており、第1の位置から第2の位置へ向かう方向(図中の矢印Bの方向)での支持部3の回動を規制する。
【0025】
第2のストッパ部42は、図5や図6に示すように、支持部3に設けられた凸部3g(図5参照)と、機器本体2の基部10における第1の筐体14に設けられた第1および第2の凹部14g,14h(図6参照)と、を有している。第1の凹部14gは、第1の嵌合部に相当し、凸部3gは、第2の嵌合部に相当する。なお、機器本体2に凸部3gを設け、支持部3に凹部14g,14hを設けてもよい。即ち、凹部14g,14hが支持部3と機器本体2との一方に設けられ、凸部3gが支持部3と機器本体2との他方に設けられていてよい。
【0026】
図5に示すように、凸部3gは、支持部3の各アーム部3aに設けられた各係合部3cに一体に設けられている(図面では一方の凸部3gを示している)。凸部3gは、第1および第2の凹部14g,14hに選択的に嵌脱可能であって第1および第2の凹部14g,14hと支軸30周り方向に相対回動可能である。凸部3gが第1の凹部14gまたは第2の凹部14hに嵌合した状態から、アーム部3aが回動することで、各アーム部3aの弾性変形を伴って凸部3gが第1の凹部14gまたは第2の凹部14hから脱する。
【0027】
図6に示すように、第1および第2の凹部14g,14hは、第1の筐体14の各側壁部14aに設けられた各収容部14dに設けられている(図面では一方の第1および第2の凹部14g,14hが示されている)。第1および第2の凹部14g,14hは、第1および第2の凹部14g,14hの回動経路に沿って相互に間隔をあけて配置されている。
【0028】
第2のストッパ部42は、凸部3gが、第1の凹部14gまたは第2の凹部14hと嵌合することで支持部3に対する機器本体2の回動を規制する。詳細には、支持部3が第1の位置(図1参照)に位置した状態では、凸部3gと第1の凹部14gとが嵌合しており、図中の矢印A方向およびB方向への支持部3の回動を規制する。一方、支持部3が第2の位置(図2参照)に位置した状態では、凸部3gと第2の凹部14hとが嵌合しており、図中の矢印A方向およびB方向への支持部3の回動を規制する。
【0029】
第2のストッパ部42は、第1のストッパ部41が支持部3に対する機器本体2の回動を規制するのと同時に、支持部3に対する機器本体2の回動を規制する。つまり、本実施形態では、第1のストッパ部41と第2のストッパ部42とが、支持部3に対する機器本体2の回動を規制する。
【0030】
上記構成の機器本体2の重心は、基部10の前後方向で支軸30の後方に位置している。機器本体2の重心は、用紙100の使用量やバッテリー13の装着状態の変化に応じて変わるが、基部10の前後方向で支軸30の後方に位置している点は変わらない。詳しくは、機器本体2の重心は、装着品である用紙100が消費されて用紙100の重量が軽くなるにしたがって変わるが、基部10の前後方向で支軸30の後方に位置している点は変わらない。また、機器本体2の重心は、装着品である用紙100およびバッテリー13が機器本体2に装着されている場合と、用紙100およびバッテリー13の一方または両方が機器本体2に装着されていない場合とで変わるが、基部10の前後方向で支軸30の後方に位置している点は変わらない。つまり、支持部3は、吊り下げ支持した機器本体2に支軸30回り方向のモーメント(回転モーメント)が機器本体2の重量によって生じる位置に配置されている。前述のモーメントの方向は、機器本体2が装着物(用紙100、バッテリー13)を装着した状態と機器本体2が装着物(用紙100、バッテリー13)を装着していない状態とで同じであり、図中の矢印Bの方向である。
【0031】
このような構成において、支持部3が第2の位置(図2参照)に位置した状態のプリンタ1を使用者が持ち上げる場合、一例として、使用者は、支持部3の把持部3bを把持して支持部3を第2の位置から第1の位置(図1参照)へ回動させる。この際、第1のストッパ部41では、係合部3cの第1の当接部3eと収容部14dの第3の当接部14eとが当接して、第2の位置から第1の位置へ向かう方向(図中の矢印Aの方向)での支持部3の回動を規制する。この状態から使用者がプリンタ1を持ち上げると、支持部3に吊り下げ支持された機器本体2には支軸30回り方向(矢印Bの方向)のモーメントが生じるので、係合部3cの第1の当接部3eと収容部14dの第3の当接部14eとの当接が維持されて、第1のストッパ部41による支持部3と機器本体2との相対回動の規制が維持される。この状態では、機器本体2の底面が略水平となる。一方、第2のストッパ部42では、凸部3gが第2の凹部14hから脱して第1の凹部14gと嵌合して、第1のストッパ部41による支持部3と機器本体2との相対回動を規制する。この規制は、使用者がプリンタ1を持ち上げても持ち上げて、機器本体2に支軸30回り方向(矢印Bの方向)のモーメントが生じても維持される。以上により、使用者が、支持部3の把持部3bを把持してプリンタ1を持ち上げた場合、支持部3が常に第1の位置に位置する。
【0032】
一方、使用者が、機器本体2を机等の載置部(図示せず)に置いて、支持部3を第1の位置(図1参照)から第2の位置(図2参照)に回動させると、第1のストッパ部41では、係合部3cの第2の当接部3fと収容部14dの第4の当接部14fとが当接して、第1の位置から第2の位置へ向かう方向(図中の矢印Bの方向)での支持部3の回動を規制する。また、第2のストッパ部42では、凸部3gが第1の凹部14gから脱して第2の凹部14hと嵌合して、支持部3の回動を規制する。この状態では、支持部3の把持部3bが機器本体2の背面に対向した状態で機器本体2から離間している。
【0033】
また、本実施形態では、第1の位置(図1参照)に位置した支持部3は、蓋部11の回動経路中に位置する。したがって、本実施形態では、蓋部11を閉位置から開位置にする即ち全開にする場合は、支持部3を第2の位置に位置付ける。これにより、蓋部11を閉位置から開位置にする即ち全開にすることが可能となる。そして、蓋部11が開位置に位置した場合、第2の位置(図2参照)から第1の位置(図1参照)への支持部3の回動を蓋部11が支持部3と当接して規制する。
【0034】
以上説明したとおり、本実施形態では、ストッパ部41が、支持部3に吊り下げ支持された状態の機器本体2と支持部3との相対回動を規制する。したがって、用紙100やバッテリー13の装着の有無や用紙100の残量に関わらず、機器本体2が支持部3に対して位置決めされるので、プリンタ1の持ち運び性を良好にすることができる。
【0035】
また、本実施形態では、ストッパ部40が、第1のストッパ部41と第2のストッパ部42とを有しており、第1のストッパ部41と第2のストッパ部42とが、支持部3に吊り下げ支持された状態の機器本体2と支持部3との相対回動を規制する。したがって、機器本体2と支持部3との相対回動を規制するためにストッパ部41に作用する負荷を第1のストッパ部41と第2のストッパ部42とに分散することができ、ストッパ部41の長寿命化を図ることができる。
【0036】
また、本実施形態では、蓋部11が開位置に位置した場合には、第2の位置から第1の位置への支持部3の回動を蓋部11が支持部3と当接して規制する。したがって、使用者が、用紙100の補充のため等に、支持部3を第1の位置に位置させて蓋部11をあけた状態では、支持部3を第1の位置へ動かすことが規制される。よって、蓋部11を開けた状態でプリンタ1が持ち運ばれるのを抑制することができる。
【0037】
次に、第2の実施形態を図7ないし図10を参照して説明する。本実施形態は、基本的には第1の実施形態と同じであるが、図7に示すように、支持部3が第2の位置に位置した場合、支持部3の自由端部3hが機器本体2と当接して機器本体2に対して位置決めされる点が第1の実施形態と異なる。
【0038】
本実施形態のストッパ部40は、図8および図9に示すように、第1の実施形態と同様に、第1のストッパ部41および第2のストッパ部42を有している。そして、第2の位置に位置した支持部3の把持部3bが機器本体2と当接するように、第1のストッパ部41および第2のストッパ部42が構成されている。
【0039】
そして、本実施形態の支持部3の把持部3bには、図9および図10に示すように、当接部3iが設けられている。当接部3i、把持部3bの左右の端部に一つずつ設けられている。当接部3iは、支持部3が第2の位置に位置した状態で、機器本体2の基部10の背面と当接する。当接部3iは、支持部3の自由端部3hに含まれる。
【0040】
以上説明した本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、ストッパ部40が、支持部3に吊り下げ支持された状態の機器本体2と支持部3との相対回動を規制する。したがって、プリンタ1の持ち運び性を良好にすることができる。
【0041】
また、本実施形態では、支持部3が第2の位置に位置した場合には、支持部3の自由端部3hが、機器本体2と当接して機器本体2に対して位置決めされる。したがって、第2の位置に位置した支持部3を安定して保持することができる。
【0042】
以上説明したとおり、上記の各実施形態によれば、持ち運び性が良好なプリンタを提供することができる。
【0043】
なお、上記各実施形態では、電子機器としてプリンタを例に説明したが、これに限るものではない。例えば、電子機器は、情報記憶媒体に対して情報を読み書きするリーダライタ等であってもよい。また、電子機器は、一取引に係る商品の登録、精算処理を行うPOS端末やカード支払いによる決算処理が可能なカード処理決済端末等であってもよい。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1 プリンタ
2 機器本体
3 支持部
3h 自由端部
3c 係合部
3g 凸部
10 基部
11 蓋部
13 バッテリー
14d 収容部
14g 凹部
30 支軸
40 ストッパ部
100 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着物を着脱可能に保持する機器本体と、
支軸によって前記機器本体に回動可能に連結されて、前記機器本体を吊り下げ支持可能であり、吊り下げ支持した前記機器本体に前記支軸回り方向のモーメントが生じる位置に配置された支持部と、
前記支持部に吊り下げ支持された状態の前記機器本体と前記支持部との相対回動を規制するストッパ部と、
を備える電子機器。
【請求項2】
前記モーメントの方向は、前記機器本体が前記装着物を装着した状態と前記機器本体が前記装着物を装着していない状態とで同じである請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記ストッパ部は、前記支持部と前記機器本体との一方に設けられた収容部と、前記支持部と前記機器本体との他方に設けられ、前記収容部に収容された状態で前記収容部に対して前記支軸周り方向に相対回動可能な係合部とを有し、
前記係合部は、
前記収容部に当接することで前記支持部に対する前記機器本体の回動を規制する請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記ストッパ部は、前記支持部と前記機器本体との一方に設けられた第1の嵌合部と、前記支持部と前記機器本体との他方に設けられ、前記第1の嵌合部に嵌脱可能であって前記第1の嵌合部と前記支軸周り方向に相対回動可能な第2の嵌合部とを有し、
前記第2の嵌合部は、前記第1の嵌合部と嵌合することで前記支持部に対する前記機器本体の回動を規制する請求項1ないし3のいずれか一つに記載の電子機器。
【請求項5】
前記支持部は、前記機器本体を吊り下げ支持する第1の位置と前記機器本体に沿う第2の位置と、の間で回動可能に前記機器本体に連結され、
前記支持部の自由端部は、前記支持部が第2の位置に位置した場合には、前記機器本体と当接して前記機器本体に対して位置決めされる請求項1ないし4のいずれか一つに記載の電子機器。
【請求項6】
前記機器本体は、前記装着物を着脱可能に保持する基部と、前記基部の上部に配置され前記基部の上部を覆う閉位置と前記上部を露出させる開位置との間で前記基部に回動可能に連結された蓋部と、を有し、
前記支持部は、前記機器本体を吊り下げ支持する第1の位置と前記基部に沿う第2の位置との間で回動可能に前記機器本体に連結され、
前記蓋部が前記開位置に位置した場合には、前記第2の位置から前記第1の位置への前記支持部の回動を前記蓋部が前記支持部と当接して規制する請求項1ないし4のいずれか一つに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−63609(P2013−63609A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204181(P2011−204181)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】