説明

電子眼鏡

【課題】電源を交換する作業が手間無く簡単に行える電子眼鏡を提供する。
【解決手段】モダンとテンプルとを備えた電子眼鏡において、前記モダンのうち少なくとも一つは、その内部に電子眼鏡を駆動する電池を含み、且つ前記テンプルと着脱可能に構成されており、前記モダンは前記テンプルと接続するための接続機構を持ち、前記テンプルは前記接続機構と嵌合するための接続部を持ち、前記接続機構の表面には前記電池の両極に接続された導電部材が形成されており、前記接続部の表面には嵌合した際に前記導電部材と通電接続するための配線部材が形成されている電子眼鏡。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子眼鏡に関し、特に着脱式の電源供給機構に関する。
【背景技術】
【0002】
眼鏡に電源を設置し、電源から供給される電圧の印加によって、眼鏡の持つ性能を可変させることが可能な電子眼鏡が知られている。電子眼鏡は主としてレンズの屈折率もしくは透過率等を電気信号により制御する。これらの電気的な制御で可変するレンズの性能を維持するにあたって、電源からの安定した電流、電圧供給が必要不可欠である。さらに、人体の頭部に装着するため、より小型、軽量で取扱いの容易な電源であることが望ましい。従来の電子眼鏡は、眼鏡フレームのモダンに構成された収納部に蓋を開けて電源を収納する方式としている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開昭61−177430号公報(第4頁、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、図8に示すように、モダンの側面に電源を収納するための開口部と、開口部を覆うための蓋で構成される。この構成では、手が不自由もしくは弱視を持つ使用者にとっては、蓋を外して小さな形状である電源を交換する作業が困難であるという課題を有していた。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、電源を交換する作業が手間無く簡単に行える電子眼鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電子眼鏡は、モダンとテンプルとを備えた電子眼鏡において、前記モダンのうち少なくとも一つは、その内部に電子眼鏡を駆動する電池を含み、且つ前記テンプルと着脱可能に構成されていることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の電子眼鏡によれば、容易に電源交換を行うことができ、作業者の手間を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明における電子眼鏡の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【0008】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態1における電子眼鏡の斜視図、図2にモダンの斜視図、図3にテンプル及びモダンの上から見た断面図、図4にテンプル及びモダンの横から見た断面図を示す。
【0009】
図1において、電子眼鏡100は、レンズ1、フレーム2、テンプル3、モダン4で構成される。テンプル3の端には凸形状の端子6が備え付けてあり、端子6には正及び負の電極膜8a、8bが塗布されている。図1では端子6の形状は直方体で一方の面に2個の電極が塗布されているが、特に限定したものでなく、それぞれ異なる面に1個ずつ電極を塗布した構成でもよい。
【0010】
図2において、モダン4の端には端子6を挿入するための開口部5が設置されている。開口部5及び端子6の断面形状はモダン4と接続した状態でモダン4が端子6を軸に回転しないように角形状であることが望ましいが、代わりに円形状あるいは楕円形状でもよい。左眼側と右眼側各々のテンプルに対してモダン4を反対に誤挿入するのを防ぐために、開口部5及び端子6の断面形状を非対称にすることが望ましい。また、端子6に塗布してある電極膜8a、8bの代わりに導線を接着する形でもよい。
【0011】
図3、図4のように、モダン4の内部には電源9が設置され、電源9には正の電極10a、負の電極10bが接続されている。電源は、マンガン、アルカリ等を用いた一次電池、あるいは、ニカド、ニッケル水素等を用いた二次電池等を用いる。各々の電極10a、10bが電極膜8a、8bに接触することで導電しテンプル部に電圧が供給される。
【0012】
以上のように、実施の形態1においてはテンプル3の端に設置された端子6を電源9が内臓されたモダン4の開口部5に差し込む方式により、簡単に電源交換することができる。また、実施の形態1では、テンプル3の端に凸形状の端子6、モダン4の端に凹形状の開口部5が構成されているが、反対にテンプル3の端に凹形状の開口部、モダン4の端に凸形状の端子を設置することもできる。また、図4のように窪み7と金具で形成した突起11によって開口部5と端子6を固定することができる。上記の構成に加えて、モダン4と端子6とをネジ等で導通させることで、より安定して固定することもできる。
【0013】
(実施の形態2)
図5に、本発明の実施の形態2における電子眼鏡のテンプル及びモダンの上から見た断面図、図6にテンプル及びモダンの斜視図を示す。図5において、実施の形態1と同様、モダン4の内部には電源9が設置され、電源9には正の電極10a、負の電極10bが接続されている。電源は、マンガン、アルカリ等を用いた一次電池、あるいは、ニカド、ニッケル水素等を用いた二次電池等を用いる。各々の電極10a、10bが電極膜8a、8bに接触することで導電しテンプル部に電圧が供給される。実施の形態1の構成と異なるところは支軸とバネで構成され、バネの働きによって電源をON/OFFさせることが可能な装着検出機構12を設け、この装着検出機構12を中心に接続部材14が回転するようにした点である。接続部材14の側面には導電性の金属膜が形状に沿って2本平行に塗布されており、電極膜8a、8bと接触する部分には全面に塗布している形としている。
【0014】
図5(a)は眼鏡を人体の頭部に装着していない状態、すなわち、モダン4に圧力が加えられていない状態を示している。この時バネを利用した装着検出機構12の作用によって、接続部材14は真上から見て反時計回り方向に力が働き、電極膜8a、8bは電極10a、10bから離れる。したがって、電極膜8a、8bと電極10a、10bは開放された状態となり、電源がOFFの状態となる。
【0015】
図5(b)は眼鏡を人体の頭部に装着している状態であり、この時モダン4の内側(頭部側)から圧力が加わる。圧力が加わるとバネを利用した装着検出機構12を支点として電池9の位置が頭部の外側に向かって押され、部材14は真上から見て時計回り方向に回転し、電極10が電極膜8に接触され電源がONの状態となる。そこで眼鏡を人体の頭部から外すと、電極膜8と電極10は開放され、再び電源はOFFとなる。モダンの素材は合成樹脂等を用いるが、材質としてはやや柔らかく耐久性のあるものが望ましい。
【0016】
また、図5、図6ではモダン4の内部構造が眼鏡100の左眼側であるがこれに限定することなく、図5、図6のモダン4の内部構造を反転した形とすれば右眼側としても適用できる。
【0017】
(実施の形態3)
図7に、本発明の実施の形態3における電子眼鏡のテンプル及びモダンの上から見た断面図を示す。
【0018】
図7において、実施の形態1、実施の形態2と同様、モダン4の内部には電源9が設置され、電源9には正の電極10a、負の電極10bが接続されている。電源は、マンガン、アルカリ等を用いた一次電池、あるいは、ニカド、ニッケル水素等を用いた二次電池等を用いる。各々の電極10a、10bが電極膜8a、8bに接触することで導電しテンプル部に電圧が供給される。実施の形態1の構成と異なるところは、端子6を開口部5に差し込み固定するための窪み7および突起11の代わりとして、端子6の先端部にN極の永久磁石15a、開口部5の奥部にS極の永久磁石15bを設けた点である。図7では、端子6の先端部にN極、開口部5の奥部にS極の永久磁石を設けているが、反対に端子6の先端部にS極、開口部5の奥部にN極の永久磁石を設けてもよい。
【0019】
このような構成により、端子6を開口部5に差し込んだ時、各々の極性の異なる永久磁石15a、15bの間で働く引力によって端子6が開口部5に固定され、誤って端子6が開口部5から外れるのを防ぐ効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明にかかる電子眼鏡は、容易に電源交換を行うことを有し、電子制御式眼鏡等として有用である。また、印加電圧によって焦点距離あるいは透過率等を可変させる電子制御式眼鏡に好適に利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1における電子眼鏡の斜視図
【図2】本発明の実施の形態1におけるモダンの斜視図
【図3】本発明の実施の形態1におけるテンプル及びモダンの上から見た断面図
【図4】本発明の実施の形態1におけるテンプル及びモダンの横から見た断面図
【図5】本発明の実施の形態2におけるテンプル及びモダンの上から見た断面図
【図6】本発明の実施の形態2におけるテンプル及びモダンの斜視図
【図7】本発明の実施の形態3におけるテンプル及びモダンの上から見た断面図
【図8】従来の電子眼鏡におけるモダンの斜視図
【符号の説明】
【0022】
1 レンズ
2 フレーム
3 テンプル
4 モダン
5 開口部
6 端子
7 窪み
8a 電極膜(+極)
8b 電極膜(−極)
9 電池
10a 電極(+極)
10b 電極(−極)
11a、11b 突起
12 装着検出機構
13a、13b 導線
14 接続部材
15a 永久磁石(N極)
15b 永久磁石(S極)
21 耳掛部
22 収納部
23 開口部
24 つまみ
25 蓋体
100 眼鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モダンとテンプルとを備えた電子眼鏡において、
前記モダンのうち少なくとも一つは、その内部に電子眼鏡を駆動する電池を含み、且つ前記テンプルと着脱可能に構成されている電子眼鏡。
【請求項2】
前記モダンは前記テンプルと接続するための接続機構を持ち、
前記テンプルは前記接続機構と嵌合するための接続部を持ち、
前記接続機構の表面には前記電池の両極に接続された導電部材が形成されており、
前記接続部の表面には嵌合した際に前記導電部材と通電接続するための配線部材が形成されている請求項1に記載の電子眼鏡。
【請求項3】
前記モダンは前記テンプルと接続するための接続機構を持ち、
前記テンプルは前記接続機構と嵌合するための接続部を持ち、
前記接続機構の表面には前記電池の両極に接続された導電部材が形成されており、
前記接続部の表面には前記電気導電部材と通電接続するための配線部材が形成されており、
前記電子眼鏡を装着した時のみ電気導電部材と前記配線部材とを接続するための装着検出機構を備えた請求項1に記載の電子眼鏡。
【請求項4】
前記接続部は、少なくとも一個の凹部又は凸部を備え、前記接続機構は前記凹部又は凸部と相補の凹部又は凸部を持つ請求項2又は3に記載の電子眼鏡。
【請求項5】
前記導電部材と前記配線部材の近傍にお互いに極性の異なる永久磁石を備えた請求項2又は3に記載の電子眼鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−237450(P2009−237450A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86068(P2008−86068)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】