説明

電子秤

【課題】電源生成時でのノイズの発生を抑制し、しかも低コスト化を図ること。
【解決手段】電源生成部90により、主電源からの電力を用いて所定レベルの正電圧である+VDD(たとえば+4.2V)と負電圧である−VDD(たとえば−3.0V)とが生成され、ロードセル20には正電圧と負電圧とが与えられ、増幅部30、AD変換部40、インタフェース部50、演算処理部60のそれぞれには正電圧が与えられることで、ロードセル20により荷重に応じた電気信号が出力され、増幅部30によりその電気信号が増幅され、AD変換部40により増幅部30からの出力がデジタル信号に変換され、演算処理部60によりそのデジタル信号が処理されて荷重を示すデータが得られるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重を高精度で検出する電子秤に関する。
【背景技術】
【0002】
荷重を検出するものとしてロードセルセンサと呼ばれるものがある。ロードセルセンサからの出力は電気信号として得られるが、その出力のレベルは微量であるため、センサ出力増幅回路によって増幅する必要がある。
【0003】
ここで、通常のセンサ出力増幅回路では片電源、もしくは両電源を用いて回路を構成している。片電源での回路構成では、高出力のロードセルセンサを用い、低ノイズ回路での駆動を行っている。具体的には、低ノイズタイプの回路デバイス(オペアンプ)を使用するとともに、EMIフィルタ等の耐ノイズ部品を回路上に配置して、低ノイズ化を図っている。
【0004】
両電源での構成では、低出力のロードセルセンサであっても、負荷電圧を大きくすることができ、しかも有効電圧範囲が広いことから、増幅率を高くすれば、SN比の高い高精度の測定が期待できる。
【0005】
ロードセルセンサを用いたものとして、特許文献1では、積分器用のオペアンプの反転入力端子に接続された第2の抵抗及び第3の抵抗に対してそれぞれ並列に誘電体吸収特性の小さいフィルムコンデンサからなる第2のコンデンサ及び第3のコンデンサを接続し、実際の荷重に対するA/D変換したデータの関係に対して、上膨らみ傾向に関しては、第2のコンデンサの静電容量を大きくし、下膨らみ傾向に関しては、第2のコンデンサの静電容量を小さくし、S形の傾向に関しては、第3のコンデンサの静電容量を調整するようにした電子秤を提案している。
【特許文献1】特開平10−185674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の電子秤によれば、ロードセルからのアナログ出力信号をA/D変換したときに実際の荷重に対する関係において直線性の精度の高いデータを得るようにすることで、A/D変換したデータを重量データに換算する際の補正が不要となるとされている。
【0007】
ところで、このような電子秤では、第1の抵抗の他端が積分器用のオペアンプの非反転入力端子に接続され、このオペアンプの反転入力端子が制御電源Veとグラウンド(0 [V])との間に接続された第2の抵抗及び第3の抵抗からなる直列分割回路の分圧出力点に接続されている。
【0008】
すなわち、そのオペアンプである増幅回路は、その反転入力端子が制御電源Veとグラウンド(0 [V])との間に接続された第2の抵抗及び第3の抵抗からなる直列分割回路の分圧出力点に接続されている、いわゆる片電源による構成となっているため、低出力のロードセルセンサでは十分な増幅出力が得られない。
【0009】
この場合、高出力のロードセルセンサを用いることで、片電源であっても十分な増幅出力を得ることができるが、高出力のロードセルセンサでは製作が極めて難しいため、安価なものは存在せず、コストアップになってしまう。
【0010】
またこの場合、ロードセルセンサを低出力のものとし、その出力を両電源の増幅回路で増幅するようにすれば、ロードセルセンサからの十分な増幅出力を得ることができるが、両電源を生成する際に昇圧回路等が必要となり、その昇圧回路等でのスイッチングノイズ等によりノイズが発生して検出結果に誤差を生じてしまうばかりか、昇圧回路等の付加によってコストアップを招いてしまうおそれがある。
【0011】
また、唯一安価な半導体ゲージを用いたロードセルセンサの使用も考えられるが、高精度な測定には不向きである。
【0012】
さらに、回路構成について考えると、通常の両電源バイポーラ駆動による回路では、正電源側(+Vdd)と負電源側(−Vdd)とでは絶対値が同じである場合が多い。これはGNDレベルを統一化することによりノイズ対策的に優位性を保つことができるメリットがあることから採用されている方法である。
【0013】
この場合、増幅回路と、増幅回路からの増幅出力をデジタル信号に変換するAD変換回路とがバイポーラ動作となり、CPU等を有するデジタル制御回路側はユニポーラ動作となるため、AD変換回路とデジタル制御回路側との間のインタフェース部に整合変換部品が必要となることからも、コストアップを招いてしまうおそれがある。
【0014】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決することができる電子秤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の電子秤は、荷重を計測する電子秤であって、荷重に応じた電気信号を出力する荷重センサと、前記電気信号を増幅する増幅手段と、該増幅手段からの出力をデジタル信号に変換するAD変換手段と、該AD変換手段によって変換されたデジタル信号を処理して前記荷重を示すデータを得る演算処理手段と、前記AD変換手段からの出力レベルを前記演算処理手段側の処理レベルに合わせるインタフェース手段と、前記荷重センサ、前記増幅手段、前記AD変換手段、前記インタフェース手段、前記演算処理手段のそれぞれにおいて必要な電源を生成する電源生成手段とを備え、前記電源生成手段は、主電源からの電力を用いて所定レベルの正電圧と負電圧とを生成し、前記荷重センサには前記正電圧と前記負電圧とが与えられ、前記増幅手段、前記AD変換手段、前記インタフェース手段、前記演算処理手段のそれぞれには前記正電圧が与えられるように構成されていることを特徴とする。
また、前記電源生成手段は、少なくとも、前記正電圧を生成する正電圧用LDOレギュレータと、前記負電圧を生成するチャージポンプIC及び負電圧用LDOレギュレータとを有しているようにすることができる。
また、前記正電圧と前記負電圧との絶対値が異なるように生成されるようにすることができる。
また、前記正電圧をA+αとし、前記負電圧を−Aとしたとき、前記荷重センサの出力であるα/2において、αの値がα≫0となるように設定されているようにすることができる。
本発明の電子秤では、電源生成手段により、主電源からの電力を用いて所定レベルの正電圧と負電圧とが生成され、荷重センサには正電圧と負電圧とが与えられ、増幅手段、AD変換手段、インタフェース手段、演算処理手段のそれぞれには正電圧が与えられることで、荷重センサにより荷重に応じた電気信号が出力され、増幅手段によりその電気信号が増幅され、AD変換手段により増幅手段からの出力がデジタル信号に変換され、演算処理手段によりそのデジタル信号が処理されて荷重を示すデータが得られる。
ここで、電源生成手段は、昇圧等を行わず主電源からの電力を受けて直接正電圧と負電圧とを生成することができる。また、荷重センサには正電圧と負電圧とが与えられることから、荷重センサの出力幅を所望の値まで高めることが可能となる。また、増幅手段、AD変換手段、インタフェース手段、演算処理手段のそれぞれの電源が正電圧(片電源)だけで構成されていることから、インタフェース手段に整合変換部品等を設けることなく、AD変換手段と演算処理手段とをインタフェース手段を介して直接接続することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電子秤によれば、電源生成手段は、昇圧等を行わず主電源からの電力を受けて直接正電圧と負電圧とを生成することができることから、ノイズの発生を抑制することができる。
【0017】
また、荷重センサには正電圧と負電圧とが与えられることから、荷重センサの出力幅を所望の値まで高めることが可能となり、低出力の荷重センサであっても十分な増幅出力が得られることで、低コスト化を図ることができる。
【0018】
また、増幅手段、AD変換手段、インタフェース手段、演算処理手段のそれぞれの電源が正電圧(片電源)だけで構成されていることから、インタフェース手段に整合変換部品等を設けることなく、AD変換手段と演算処理手段とをインタフェース手段を介して直接接続することができ、低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本実施形態では、電源生成手段により、主電源からの電力を用いて所定レベルの正電圧と負電圧とが生成され、荷重センサには正電圧と負電圧とが与えられ、増幅手段、AD変換手段、インタフェース手段、演算処理手段のそれぞれには正電圧が与えられることで、荷重センサにより荷重に応じた電気信号が出力され、増幅手段によりその電気信号が増幅され、AD変換手段により増幅手段からの出力がデジタル信号に変換され、演算処理手段によりそのデジタル信号が処理されて荷重を示すデータが得られるようにした。
【0020】
この場合、電源生成手段を、少なくとも、正電圧を生成する正電圧用LDOレギュレータと、負電圧を生成するチャージポンプIC及び負電圧用LDOレギュレータとで構成することができる。
【0021】
このような構成により、電源生成手段は、昇圧等を行わず主電源からの電力を受けて直接正電圧と負電圧とを生成することができ、ノイズの発生を抑制することができる。
【0022】
また、荷重センサには正電圧と負電圧とが与えられることから、荷重センサの出力幅を所望の値まで高めることが可能となり、低出力の荷重センサであっても十分な増幅出力が得られることで、低コスト化が図れる。
【0023】
また、増幅手段、AD変換手段、インタフェース手段、演算処理手段のそれぞれの電源が正電圧(片電源)だけで構成されていることから、インタフェース手段に整合変換部品等を設けることなく、AD変換手段と演算処理手段とをインタフェース手段を介して直接接続することができ、低コスト化が図れる。
【0024】
なお、電源生成手段では、正電圧と負電圧との絶対値が異なるように電源を生成することができる。この場合、正電圧をA+αとし、負電圧を−Aとしたとき、荷重センサの出力であるα/2において、αの値がα≫0となるように設定することができる。
【0025】
このようにすることで、荷重センサに荷重が加わった場合、プラス側の出力電圧は増加し、マイナス側の出力電圧は減少することになり、マイナス側の出力電圧が0V以下であることから、片電源では動作不具合を生じてしまうことになるが、荷重センサには正電圧と負電圧とが与えられることから、動作不具合を生じてしまうことがなく、α/2となる安定した出力電圧が得られる。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の実施例の詳細について説明する。図1は、本発明の電子秤の一実施例を説明するための図である。
【0027】
同図に示すように、電子秤10は、ロードセル20、増幅部30、AD変換部40、インタフェース部50、演算処理部60、シリアル通信部70、バックライト80、電源生成部90を備えている。
【0028】
ロードセル20は、たとえば4つの歪ゲージを有するブリッジ回路(図示省略)からなり、加えられた荷重(力)を電気信号に変換して出力する。また、ロードセル20のブリッジ回路には、電源生成部90によって生成された+VDDと−VDDとが与えられるようになっているが、その詳細については後述する。
【0029】
増幅部30は、ロードセル20からの電気信号を増幅して出力する。また、増幅部30には、電源生成部90によって生成された+VDDが与えられるようになっている。なお、増幅部30の詳細についても後述する。
【0030】
AD変換部40は、増幅部30によって増幅された電気信号をデジタル信号に変換する。また、AD変換部40には、電源生成部90によって生成された+VDDが与えられるようになっている。
【0031】
インタフェース部50は、AD変換部40によって変換されたデジタル信号を演算処理部60に与える。また、インタフェース部50には、電源生成部90によって生成された+VDDが与えられるようになっている。
【0032】
演算処理部60は、CPU等の演算処理を行うチップ等を有し、AD変換部40によって変換されたデジタル信号を処理して荷重(力)を示すデータを得る。また、演算処理部60には、電源生成部90によって生成された+VDDが与えられるようになっている。なお、演算処理部60によって得られたデータに応じて、図示しない表示部にその荷重(力)が表示される。
【0033】
シリアル通信部70は、図示しないPC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器に接続され、たとえばそのPCからの要求に応じて演算処理部60によって得られたデータを転送する。また、シリアル通信部70には、電源生成部90によって生成された+VDDが与えられるようになっている。
【0034】
バックライト80は、上述した図示しない表示部を照らす。また、バックライト80には、電源生成部90によって生成された所定の電圧である+Vが与えられるようになっている。
【0035】
電源生成部90は、図示しない主電源からの電力を受けて、少なくとも上述した+VDD(たとえば+4.2V)と−VDD(たとえば−3.0V)とを生成する。なお、電源生成部90の詳細についても後述する。
【0036】
図2は、増幅部30等の詳細について説明するための回路図である。同図において、符号G1〜G4は上述したロードセル20の図示しないブリッジ回路のゲージ端子を示し、符号C1〜C8はコンデンサを示し、符号L1〜L4はコイルを示し、符号R1,R2はプルダウン抵抗を示し、符号21は内部信号配線(+電源入力用)を示し、符号22は内部信号配線(−電源入力用)を示し、符号P1〜P6はテストピンを示している。また、コンデンサC1〜C8とコイルL1〜L4とによりノイズフィルタ回路が構成されている。
【0037】
内部信号配線(+電源入力用)21には電源生成部90で生成された+VDD(たとえば+4.2V)が与えられ、さらにその+VDDはコイルL1を介してロードセル20のゲージ端子G1に与えられる。また、内部信号配線(−電源入力用)22には電源生成部90で生成された−VDD(たとえば−3.0V)が与えられ、さらにその−VDDはコイルL4を介してロードセル20のゲージ端子G4に与えられる。
【0038】
ここで、ゲージ端子G2をロードセル20のブリッジ回路の出力のプラス側とし、ゲージ端子G3をロードセル20のブリッジ回路の出力のマイナス側とすると、ブリッジ回路のゼロバランス調整が施されているとすれば、それぞれのゲージ端子G2,G3に0Vが出力されることになる。
【0039】
そして、ロードセル20に荷重が加わった場合には、プラス側のゲージ端子G2の電圧は増加し、マイナス側のゲージ端子G3の電圧は減少する。ここで、マイナス側のゲージ端子G3の電圧は0V以下であることから、片電源では動作不具合を生じてしまうことになるが、本実施例では、上述したように+VDD(たとえば+4.2V)と−VDD(たとえば−3.0V)とを用いた両電源としているため、動作不具合を生じてしまうことがない。
【0040】
すなわち、ロードセル20のブリッジ回路のゼロバランス調整が施されているとし、プラス側のゲージ端子G1にA+αを与え、マイナス側のゲージ端子G4に−Aを与えるとすると、ゲージ端子G2,G3の間の電圧がα/2となる。
【0041】
よって、α≫0(GND)の条件が保たれるようにαの値を設定することで、ロードセル20の出力変化を正常に増幅することが可能となる。
【0042】
一方、増幅部30においては、符号31〜34はオペアンプを示し、符号C9,C17はコンデンサを示し、符号C10〜C14は増幅用のコンデンサを示し、符号C15,C16,C18はバイバス用のコンデンサを示し、符号R3は抵抗を示し、符号R4〜R7は増幅用の抵抗を示している。
【0043】
ここで、ゲージ端子G2からの出力はオペアンプ31の非反転入力端子に入力され、ゲージ端子G3からの出力はオペアンプ32の非反転入力端子に入力される。オペアンプ31からは、コンデンサC10,C12、抵抗R4のそれぞれの値によって決定される増幅率で増幅された出力が得られる。また、オペアンプ32からは、コンデンサC11,C13、抵抗R5のそれぞれの値によって決定される増幅率で増幅された出力が得られる。
【0044】
オペアンプ31の出力はオペアンプ33の反転入力端子に入力され、オペアンプ32の出力はオペアンプ33の非反転入力端子に入力される。また、オペアンプ33の非反転入力端子にはオペアンプ34の出力が入力される。
【0045】
そして、オペアンプ33からは、コンデンサC14と抵抗R3のそれぞれの値によって決定される増幅率で増幅された出力が得られる。
【0046】
図3は、電源生成部90の詳細について説明するための回路図である。同図において、符号91は正電圧用LDO(Low Drop Out)レギュレータを示し、符号92はチャージポンプICを示し、符号93,94は負電圧用LDO(Low Drop Out)レギュレータを示し、符号95は+VDDの出力端子を示し、符号96は内部信号配線(+電源出力用)を示し、符号97は内部信号配線(−電源出力用)を示し、符号C20〜C34はバイバス用のコンデンサを示し、符号C35はチャージポンプ用のコンデンサを示し、符号L5〜L8はコイルを示し、符号R10,R11は抵抗を示し、符号D1,D2はダイオードを示し、符号P10〜P13はテストピンを示している。
【0047】
ここで、電源生成部90は、昇圧等を行わず主電源からの電力を受けて直接電源を生成することで、ノイズの発生を抑制している。すなわち、主電源からの電力は、コイルL5及びコンデンサC20からなるノイズフィルタ回路を経て正電圧用LDOレギュレータ91に取り込まれると、この正電圧用LDOレギュレータ91によって整流されるとともに、+VDDであるたとえば+4.2Vの一定電圧が得られる。
【0048】
この+VDD(たとえば+4.2V)は、出力端子95から増幅部30、AD変換部40、インタフェース部50、演算処理部60、シリアル通信部70等に与えられる。すなわち、出力端子95は、共通の+VDD(たとえば+4.2V)の出力端子となっている。
【0049】
また、正電圧用LDOレギュレータ91によって得られた+VDD(たとえば+4.2V)は、内部信号配線(+電源出力用)96から上述の内部信号配線(+電源入力用)21を介してロードセル20のゲージ端子G1に与えられる。
【0050】
また、主電源からの電力は、コイルL6及びコンデンサC21からなるノイズフィルタ回路を経てチャージポンプIC92に取り込まれると、このチャージポンプIC92でコンデンサC35の充電電圧を用いて昇圧された後、負電圧用LDOレギュレータ93,94で整流されることで、−VDDであるたとえば−3.0Vの一定電圧が得られる。
【0051】
この−VDD(たとえば−3.0V)は、内部信号配線(−電源出力用)97から上述の内部信号配線(−電源入力用)22を介してロードセル20のゲージ端子G4に与えられる。
【0052】
このように、本実施例では、電源生成手段としての電源生成部90により、主電源からの電力を用いて所定レベルの正電圧である+VDD(たとえば+4.2V)と負電圧である−VDD(たとえば−3.0V)とが生成され、荷重センサとしてのロードセル20には正電圧と負電圧とが与えられ、増幅手段としての増幅部30、AD変換手段としてのAD変換部40、インタフェース手段としてのインタフェース部50、演算処理手段としての演算処理部60のそれぞれには正電圧が与えられることで、ロードセル20により荷重に応じた電気信号が出力され、増幅部30によりその電気信号が増幅され、AD変換部40により増幅部30からの出力がデジタル信号に変換され、演算処理部60によりそのデジタル信号が処理されて荷重を示すデータが得られるようにした。
【0053】
この場合、電源生成部90を、少なくとも正電圧を生成する正電圧用LDOレギュレータ91と、負電圧を生成するチャージポンプIC92及び負電圧用LDOレギュレータ93,94とで構成することができる。
【0054】
このような構成により、電源生成部90は、昇圧等を行わず主電源からの電力を受けて直接正電圧と負電圧とを生成することができ、ノイズの発生を抑制することができる。
【0055】
また、ロードセル20には正電圧と負電圧とが与えられることから、ロードセル20の出力幅を所望の値まで高めることが可能となり、低出力のロードセル20であっても十分な増幅出力が得られることで、低コスト化を図ることができる。
【0056】
また、増幅部30、AD変換部40、インタフェース部50、演算処理部60のそれぞれの電源が正電圧(片電源)だけで構成されていることから、インタフェース部50に整合変換部品等を設けることなく、AD変換部40と演算処理部60とをインタフェース部50を介して直接接続することができ、低コスト化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
体重計、台秤、産業用秤等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の電子秤の一実施例を説明するためのブロック図である。
【図2】図1の増幅部等の詳細について説明するための回路図である。
【図3】図1の電源生成部の詳細について説明するための回路図である。
【符号の説明】
【0059】
10 電子秤
20 ロードセル
21 内部信号配線(+電源入力用)
22 内部信号配線(−電源入力用)
30 増幅部
31〜34 オペアンプ
40 AD変換部
50 インタフェース部
60 演算処理部
70 シリアル通信部
80 バックライト
90 電源生成部
91 正電圧用LDO(Low Drop Out)レギュレータ
92 チャージポンプIC
93,94 負電圧用LDO(Low Drop Out)レギュレータ
95 出力端子
96 内部信号配線(+電源出力用)
97 内部信号配線(−電源出力用)
C1〜C18,C20〜C34 コンデンサ
C35 チャージポンプ用のコンデンサ
D1,D2 ダイオード
G1〜G4 ゲージ端子
L1〜L8 コイル
R1〜R7,R10,R11 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重を計測する電子秤であって、
荷重に応じた電気信号を出力する荷重センサと、
前記電気信号を増幅する増幅手段と、
該増幅手段からの出力をデジタル信号に変換するAD変換手段と、
該AD変換手段によって変換されたデジタル信号を処理して前記荷重を示すデータを得る演算処理手段と、
前記AD変換手段からの出力レベルを前記演算処理手段側の処理レベルに合わせるインタフェース手段と、
前記荷重センサ、前記増幅手段、前記AD変換手段、前記インタフェース手段、前記演算処理手段のそれぞれにおいて必要な電源を生成する電源生成手段とを備え、
前記電源生成手段は、主電源からの電力を用いて所定レベルの正電圧と負電圧とを生成し、前記荷重センサには前記正電圧と前記負電圧とが与えられ、前記増幅手段、前記AD変換手段、前記インタフェース手段、前記演算処理手段のそれぞれには前記正電圧が与えられるように構成されている
ことを特徴とする電子秤。
【請求項2】
前記電源生成手段は、
少なくとも、
前記正電圧を生成する正電圧用LDOレギュレータと、
前記負電圧を生成するチャージポンプIC及び負電圧用LDOレギュレータとを有している
ことを特徴とする請求項1に記載の電子秤。
【請求項3】
前記正電圧と前記負電圧との絶対値が異なるように生成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子秤。
【請求項4】
前記正電圧をA+αとし、前記負電圧を−Aとしたとき、前記荷重センサの出力であるα/2において、αの値がα≫0となるように設定されていることを特徴とする請求項3に記載の電子秤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−139185(P2009−139185A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314868(P2007−314868)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)