説明

電子装置

【課題】電源交換の前における操作部の位置を変更して、電源をオン或いはオフにする。
【解決手段】電池を収納可能な装置本体10と、前記電池が収納された状態において装置本体10と結合して、蓋となる蓋体20と、前記電池により供給される電源をオンとするオン位置からオフとするオフ位置までの間を移動する操作部22と、前記操作部22がオン位置またはオフ位置のいずれか所定位置にない場合に、前記装置本体10から前記蓋体20の取り外し又は結合に応じて前記操作部22を前記所定位置へ移動させて保持する移動保持手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電池により電力を得て動作する電子装置に関し、特に、電池交換の後に必ず電源がオン(あるいはオフ)となっていることが保証される電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、医療用テレメータ装置においては、患者に常に帯同させて生体情報を得て送信する動作を行うものであり、患者に帯同させているときには基本的に電源オンの状態で使用される。そして、電池交換が必要になると、医療従事者等が装置の蓋を開けて電池交換を行い、蓋を閉めて再び電源をオンとして測定を継続させるような使われ方がされる。
【0003】
従って、従来の医療用テレメータ装置においては、電池交換の後に通常は電源オンであることが必要であり、電池交換に際して電源オフとした場合には操作が煩わしく、作業効率が悪いという問題があった。さらに、電池交換後に電源オンにするのを忘れてしまう場合も想定された。
【0004】
ここで、電源スイッチをなくし、電池交換により電源のオン/オフを切り換える手法も考えられる。しかし、該手法においては使用していない場合にも電源がオンとなり、電池が消耗される為、電源スイッチはなくすことで新たな問題が発生することとなる。
【0005】
上記に対し、電池収納部の蓋を開けた状態において電池交換スイッチが露出する構成の装置において、電池交換後に蓋の着脱によって自動的に上記電池交換スイッチを所定状態とすることができる構成の装置が知られている(特許文献1、特に図6〜図9とその説明)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−225140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の装置においては、電源の操作部を操作者がオン位置からオフ位置へ移動できる構成ではない。従って、電源交換の前における操作部の位置を変更してまで電子装置の電源をオンにし或いはオフにする構成を有するものではない。
【0008】
本発明は上記のような電子装置の現状に鑑みてなされたもので、その目的は、電池交換の際における蓋体を着脱する操作によって、所要の場合には電源交換の前における操作部の位置を変更して、電源をオンにし或いはオフにすることが可能な電子装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電子装置は、電池を収納可能な装置本体と、前記電池が収納された状態において装置本体と結合して、蓋となる蓋体と、前記電池により供給される電源をとするオン位置からオフとするオフ位置までの間を移動する操作部と、前記操作部がオン位置またはオフ位置のいずれか所定位置にない場合に、前記装置本体から前記蓋体の取り外し又は結合に応じて前記操作部を前記所定位置へ移動させて保持する移動保持手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る電子装置では、電源供給経路に設けられ、該供給経路を開閉するスイッチ接点をさらに具備し、前記操作部は、前記スイッチ接点を移動させ前記電源供給経路を開閉させるためにオン位置からオフ位置までの間を移動することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る電子装置では、移動保持手段は、蓋体の装置本体への結合操作に拘らず、操作部の保持を継続することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る電子装置では、前記移動保持手段は、前記操作部をオン位置に保持することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る電子装置では、蓋体は、装置本体に対して回動あるいはスライドすることにより取り外し及び結合がなされることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る電子装置では、操作部は円弧状の溝部に沿ってオン位置からオフ位置までの間を移動することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る電子装置では、操作部は蓋体に押し込まれることでオフ位置からオン位置までの間を移動する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子装置。
【0016】
本発明に係る電子装置では、前記操作部は前記蓋体に設けられることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る電子装置では、生体信号を測定可能な生体信号測定部をさらに具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る電子装置は、電池により供給される電源をオンとするオン位置からオフとするオフ位置までの間を移動する操作部を有し、この操作部がオン位置またはオフ位置のいずれか所定位置にない場合に、装置本体から蓋体の取り外しに応じて操作部を所定位置へ移動させて保持する移動保持手段を具備するので、蓋体の取り外しの際に、操作部が所定位置へ移動されて保持されることになり、電池交換の後には電源がオン或いはオフになり、煩わしい操作が不要であり、また、電源をオン或いはオフにする操作を忘れても電源が所定状態となる。よって、作業効率が向上するだけでなく、前記所定状態がオンの場合、電池交換後に該電子装置の電源をオンすることを忘れるといった人為的なミスにより測定できないといった事態をも回避できる。
【0019】
本発明に係る電子装置では、移動保持手段は、蓋体の装置本体への結合操作に拘らず、操作部の保持を継続するので、蓋体と装置本体を結合した場合にも、蓋体の取り外しの際に、操作部が所定位置へ移動された状態のままとなり、電池交換の後には電源がオン或いはオフとなることが確保される。
【0020】
本発明に係る電子装置では、蓋体は、装置本体に対して回動あるいはスライドすることにより取り外し及び結合がなされるので、回動あるいはスライドによる蓋体の取り外しの際に、操作部が所定位置へ移動された状態のままとなり、電池交換の後には電源がオン或いはオフとなることが確保される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る電子装置の第1の実施形態である医療用テレメータを示す斜視図。
【図2】本発明に係る電子装置の第1の実施形態である医療用テレメータを示す斜視図。
【図3】本発明に係る電子装置の第1の実施形態である医療用テレメータの底面図であり、(a)は蓋が閉じられた状態を示し、(b)は蓋を開ける過程を示す図。
【図4】本発明に係る電子装置の第1の実施形態である医療用テレメータにおける蓋を開けた状態の斜視図。
【図5】本発明に係る電子装置の第1の実施形態である医療用テレメータにおける蓋体の組立斜視図。
【図6】本発明に係る電子装置の第1の実施形態である医療用テレメータにおける蓋体を構成する回転体の斜視図。
【図7】本発明に係る電子装置の第1の実施形態である医療用テレメータにおける蓋体におけるスイッチ接点を示す平面図。
【図8】本発明に係る電子装置の第1の実施形態である医療用テレメータにおける蓋体の要部を組み立てた状態の斜視図。
【図9】本発明に係る電子装置の第1の実施形態である医療用テレメータにおける蓋体の操作部の動作を説明する平面図。
【図10】本発明に係る電子装置の第2の実施形態である医療用テレメータにおけるオン状態を示す要部断面。
【図11】本発明に係る電子装置の第2の実施形態である医療用テレメータにおけるオフ状態を示す要部断面。
【図12】本発明に係る電子装置の第2の実施形態である医療用テレメータにおける装置本体から外した蓋体の要部断面。
【図13】本発明に係る電子装置の第3の実施形態である医療用テレメータにおける要部を示す平面図。
【図14】図13の裏面を示す平面図。
【図15】本発明に係る電子装置の第3の実施形態である医療用テレメータにおける要部断面。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下添付図面を参照して、本発明に係る電子装置の実施例を説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。第1の実施形態に係る電子装置は医療用テレメータであり、図1に示すように縦長の直方体形状をなす装置本体10を備えている。装置本体10の一面にはLCD等により構成され、測定状態や電池残量などを表示する表示部11と、測定に必要な諸設定等を行うための操作ボタン12が設けられている。
【0023】
装置本体10を立てた状態の上面には、コネクタを構成するレセプタクル13A、13Bが設けられており、コネクタの他方を構成するプラグ14A、14Bが接続可能に構成されている。例えば、プラグ14Aには、心電図の電極が接続され、プラグ14Bには、SpO2測定用のセンサが接続される。
【0024】
装置本体10を立てた状態の底部は蓋体20となっており、装置本体10と蓋体20は結合されている。蓋体20の底面側には、図2に示すように円弧状の溝部21が形成され、この溝部21にはスイッチの操作部22が挿入されており、スイッチの操作部22はオン位置からオフ位置までの間を摺動可能となっている。
【0025】
蓋体20の底面側には、装置本体10から蓋体20を取り外す場合に指先などを当てる手掛かりとするための三日月状の凹部23が形成されており、蓋体20の外蓋部24が図3(a)に示す結合位置から左回転により図3(b)に示すように回動可能となっている。外蓋部24の回動により現れる面は内蓋底板25の一部である。矢印Mは、取り外しの際の回動方向を示すために、切欠されて形成されたマークを示す。
【0026】
図3(b)の状態から、外蓋部24を装置本体10から引き離すように引き出すことにより、内蓋底板25が装置本体10の底部から外れて図4に示すような底面凹部15が現れる。図4は、外蓋部24と内蓋底板25を重ねた状態を示しているが、実際には図3(b)の状態で内蓋底板25を装置本体10側から引き離すことになる。装置本体10における底面凹部15には、内部の電子回路へ電力を供給する電池を収納する収納部16の開口部が形成されている。また、二つの収納部16の間には、蓋体20に備えられている係止片26の頭部26Aを収納する収納部17の開口部が形成されている。収納部17内には、係止片26の頭部26Aが回動したときにねじ込みが行われて蓋体20と装置本体10とが結合固定される図示せぬ係止部が備えられている。蓋体20と装置本体10とは適当な長さの紐体30により接続され、取り外しの際における蓋体20の飛散防止などが図られている。
【0027】
図5には、蓋体20の組立斜視図が示されている。蓋体20は図5の下方から上方へ向かって描かれている、外蓋部24、回転体31、内蓋底板25、リング27、内蓋天板40、係止片26を主な構成要素としている。これらはネジ28により蓋体20として組み立てられる。
【0028】
回転体31の一方の面には図6に示すように、概ね小直方体形状の突起であるスイッチの操作部22が形成されている。回転体31は、円盤状であり、円盤の中央にスリーブ32により囲繞された透孔33を有し、最外郭の円周部は、大段部34と小段部35により小径の円周部へと続いている。スリーブ32は円筒形状であり、一部が切削された平坦部32Aを有する。小段部35に続く小径の円周部は、渦巻状に延在するアーム片36の外郭を形成する。大段部34に続く小径の円周部は、上記アーム片36の基部36Aへ延びている。上記アーム片36の先端部には、外側へ突出した突起部36Bが形成されている。アーム片36は、基部36Aを中心として内外方向へ撓む可撓性を有している。
【0029】
内蓋天板40の中央部には係止片26の下側にある太径部が挿入される孔41が穿設されている。この孔41を中心として長手方向にほぼ等距離の二か所には穴が形成され、一方の穴からは電池の陰極に接する導電体により形成された竹の子バネ42が突出し、他方の穴には電池の正極に接する接触凸部43が設けられている。
【0030】
内蓋天板40の裏面には、図7に示されるように導電体により形成された電路44、45が貼着されて設けられている。電路44は竹の子バネ42に電気的に接続されており、電路45には、内蓋天板40の表面側へ凸となるように加工された接触凸部43が設けられている。電路44の一つの角部からは、内蓋天板40の裏面に対して垂直に起立するように折り曲げられた撓動片44Aが内蓋天板40の幅方向へ延びるように設けられている。また、電路45は、上記撓動片44Aの先端部へ向かって延びる幅細部45Aを有し、その先端は内蓋天板40の裏面に対して垂直に起立するように折り曲げられて固定側スイッチ接点45Bが形成されている。上記撓動片44Aの先端部は、固定側スイッチ接点45Bと対向する可動側スイッチ接点44Bとなっている。
【0031】
図5に示すように、内蓋底板25には、内蓋天板40の周縁部の段部と嵌合するための壁部51が形成されており、また、内蓋底板25の中央部には、回転体31におけるスリーブ32が挿入される穴52が形成されている。この穴52の周辺には、一部が切欠された円環状に突出した台座53が形成されている。また、台座53における周縁部の三分の二周程度の部位には、凸壁54が形成されている。
【0032】
台座53には、リング27が載置される。リング27は、回転体31におけるスリーブ32が挿入される穴55を有し、穴55は基本的に円形であるが、一部はスリーブ32の平坦部32Aに対応して直線部55Aが形成されている。従って、回転体31のスリーブ32がリング27の穴55に挿入された状態では、図8に示すようにスリーブ32とリング27とは一体的に嵌合される。この状態で回転体31の操作部22に指をかけて、操作部22を溝部21においてオン位置からオフ位置までの間を摺動させると、スリーブ32及びリング27が一体となって回動する構成であってもよい。
【0033】
リング27は操作部22の摺動により回動する。ここで、操作部22は溝部21の範囲内で摺動可能である。よって、操作部22が摺動可能な範囲内で、リング27は回動可能な構成であってもよい。
【0034】
リング27の外周部は、概ね円形であり、スリーブ32と嵌合して台座53に載置された状態で、台座53における凸壁54が存在しない縁部方向へ突出する突片56が形成されている。リング27と突片56は一体で回動するが、凸壁54の両終端部54Eがストッパとして機能し、台座53における凸壁54が存在しない範囲においてリング27は回動してもよい。
【0035】
図8のように、回転体31と内蓋底板25とリング27が組み立てられた状態において、内蓋天板40が被せられる。操作部22を外蓋部24に形成された溝部21のオン位置に位置付けたときには、リング27は図7に想像線である一点鎖線によって示されるような状態となり、電路44の撓動片44Aの根元付近に突片56が位置する。このため、固定側スイッチ接点45Bと対向する可動側スイッチ接点44Bとは接触した状態である。操作部22を溝部21のオフ位置側へ回動すると、突片56は図7における左回りに回動して撓動片44Aを電路44側へ押し離すので、固定側スイッチ接点45Bと対向する可動側スイッチ接点44Bとが離間し、電池から電力が電子回路へ供給されずオフ状態になる。
【0036】
図5に示されるように、外蓋部24の内側底面の中央部からは、内側へ向かって突出する軸61が形成されており、この軸61の頭部61Aは、係止片26の底部に形成されている図示しない角穴に対応した四角柱形状をなしている。外蓋部24の内側底面には、図9に示されるように回転体31の透孔33に軸61が挿入された状態で回転体31が設置される。
【0037】
外蓋部24の内側底面において、軸61に軸支された回転体31の最外郭の円周部に沿うように円筒状のガイド壁62が設けられている。ガイド壁62の内壁には、外蓋部24を長手方向に延びる線分で上下に二等分する場合に、この線分と交差する二か所の位置に、内側へ突出した突起63、64が形成されている。回転体31の大段部34に対して突起63がストッパとして機能し、小段部35に対して突起64がストッパとして機能する。
【0038】
回転体31の大段部34に対して突起63が当接した状態において、アーム片36の突起部36Bが位置する部位には、図9(b)に示されるようにガイド壁62の内壁に段部65が形成されている。この段部65は、右回り方向に高さが高くされている。図9(b)に示すように回転体31の大段部34に対して突起63が当接した状態においては、アーム片36の突起部36Bが段部65に当接しており、このとき操作部22が溝部21においてオン位置にある。このとき、回転体31のスリーブに嵌合されているリング27の突片56は、固定側スイッチ接点45Bと対向する可動側スイッチ接点44Bとを接触させる位置にある。
【0039】
この状態から操作部22を溝部21のオフ位置側へ回動(図9において右回り)すると、アーム片36が撓んで突起部36Bが段部65の高さを乗り越えてガイド壁62の内壁を摺動するように進む。更なる回動により、小段部35に対して突起64が当接しストッパとして機能する。このとき操作部22が溝部21においてオフ位置にある(図9(a))。このとき、回転体31のスリーブに嵌合されているリング27の突片56は、固定側スイッチ接点45Bと対向する可動側スイッチ接点44Bとを離間させる位置にある。
【0040】
上記において、外蓋部24におけるガイド壁62の内壁と回転体31の外周部との結合力(摩擦力)は、図9(a)の状態では、回転体31のスリーブ32における外壁と内蓋底板25における穴52との結合力(摩擦力)に比べて極めて弱い。電池交換の際に蓋体20を外す場合には、外蓋部24が内蓋底板25に対して回動するようになるが(図3参照)、上記の結合力の差により回転体31は内蓋底板25に追従する。
【0041】
一方、図9(b)の状態となると、回転体31のスリーブ32における外壁と内蓋底板25における穴52との結合力(摩擦力)は、アーム片36の突起部36Bが段部65の高さを乗り越えるほど大きくないので、回転体31は図9(b)の状態に留まる。従って、回転体31と外蓋部24の位置関係が図9(b)の状態であると、外蓋部24が内蓋底板25に対していずれの方向に回動されても、回転体31と外蓋部24の位置関係は図9(b)の状態のままとなる。
【0042】
従って、電池交換の際に蓋体20を外す前に、操作部22が溝部21においてオフ位置にある(図9(a))とき、外蓋部24が内蓋底板25に対して回動(図9において右回り)されると、回転体31は内蓋底板25に追従して残り、アーム片36がガイド壁62の内壁を摺動してアーム片36の突起部36Bが段部65に到り、また、回転体31の大段部34に対して突起63が当接して回動が停止される。つまり、電池交換の際に蓋体20を外す前に、操作部22が溝部21においてオフ位置にあったとしても、この操作部22が溝部21におけるオン位置に移動され図9(b)の状態とされる。
【0043】
電池交換の後に外蓋部24と内蓋底板25が重なる方向へ外蓋部24を回動すると、アーム片36の突起部36Bは段部を乗り越えることはなく、回転体31は図9(b)の位置に留まった状態で外蓋部24と共に回動して外蓋部24と内蓋底板25が重なる。このため、操作部22が溝部21におけるオン位置に位置付けられる。斯くして、電源がオンとされ、電子回路が動作を開始する。
【0044】
上記に対し、電池交換の際に蓋体20を外す前に、操作部22が溝部21においてオン位置にある(図9(b))と、外蓋部24が内蓋底板25に対して回動しても、回転体31は図9(b)の位置に留まった状態で外蓋部24と共に回動する。つまり、電池交換の際に蓋体20を外す前に、操作部22が溝部21においてオン位置にあると、この操作部22が溝部21におけるオン位置に保持されたままの状態において外蓋部24が回転体31を伴って回動する。
【0045】
更に電池交換の後に外蓋部24と内蓋底板25とが重なる方向へ外蓋部24を回動すると、前述と同様に回転体31は図9(b)の位置に留まった状態で外蓋部24と共に回動して外蓋部24と内蓋底板25が重なる。このため、電源がオンとされ、電子回路が動作を開始する。
【0046】
以上の通り、外蓋部24と内蓋底板25及び回転体31は、操作部22がオン位置またはオフ位置のいずれか所定位置にない場合に、装置本体10から蓋体20の取り外しに応じて操作部22を所定位置へ移動させて保持する移動保持手段を構成する。なお、上記実施形態では、所定位置がオン位置であるが、スイッチ接点の構成を変えることにより、所定位置をオフ位置にすることは当業者に容易である。
【0047】
図10〜図12には、第2の実施形態に係る電子装置の要部構成が示されている。装置本体10Aに電子回路が備えられ電池100により電力が電子回路へ供給される。蓋体20Aは、装置本体10Aに対し着脱可能であり、着脱構成は第1の実施形態と同じであっても、また、スライドや引き押しによる着脱構造であってもよい。
【0048】
蓋体20Aには、板状の導電体により構成される電路71が備えられ、電路71には導電体の竹の子バネ73と凸部71Aが設けられている。凸部71Aの直下にはカップ形状の押圧片74が設けられており、この押圧片74は、蓋体20Aの側壁部から延在する中間天板75の先端部によって穴部76の位置に支持されている。押圧片74の下の蓋体20Aにおける底面の穴には、上下にストッパを備える押圧ピン77が装着されている。押圧ピン77の上部のストッパと蓋体20Aにおける底面の間にはバネ78が介装され、押圧ピン77を押圧片74方向へ付勢している。
【0049】
押圧ピン77の上部のストッパの側部には、L字状の棒体81が設けられている。棒体81は、蓋体20Aの天板へ通じると透孔82に基部81Aが挿入され、基部81Aから直角に折れ曲がるアーム部81Bは可撓性を有する。棒体81は透孔82の下側に突出した支持部83により支持され、アーム部81Bの上部に張り出したストッパ84の位置まで上昇可能となっている。アーム部81Bの先端部は、押圧ピン77の上部のストッパと接触するが、アーム部81Bの可撓性により押圧ピン77を人が操作すると、押圧ピン77の上部のストッパを介して上部にもまた下部にも移動可能であるが、バネ78の力により撓むことはない。透孔82の上部において、ストッパ84から遠い側は幅広くされた幅広部88を備え、下方へ狭くなるスロープ89が形成されている。
【0050】
電路71における凸部71Aは、電池の正極と接触或いは非接触となるもので、電力の供給経路に設けられ、該供給経路を開閉するスイッチ接点として機能する。電路71は、蓋体20A内において上下移動がフリーに保持されている。また、押圧ピン77は、スイッチ接点を移動させ前記供給経路を開閉させるためにオン位置からオフ位置までの間を移動する操作部を構成する。オン位置は押圧ピン77を蓋体20A内に押し込んだ位置(図10)であり、オフ位置は押圧ピン77を蓋体20A内から引き出した位置(図11)である。
【0051】
以上の構成において、電池100が実装され、蓋体20Aと装置本体10Aとが結合された状態では、人が押圧ピン77を蓋体20A内に押し込むと、押圧ピン77の上部のストッパはアーム部81Bを超えて上部へ移動し、押圧片74がバネ78の付勢力で押圧され、その上部に存在する凸部71Aが押し上げられて電池100の正極に接してオン状態となる(図10)。
【0052】
上記オン状態において人が押圧ピン77を蓋体20Aから引き出すと、押圧ピン77の上部のストッパはアーム部81Bを撓ませると共にこれを超えて下部へ移動し、押圧ピン77の上部のストッパがアーム部81Bの先端部で押させられた状態となる(図11)。押圧片74がバネ78の付勢を受けることなくなり、凸部73が下方へ移動して電池100の正極と非接触なオフ状態となる。
【0053】
上記の図10に示されたオン状態で電池交換のために蓋体20Aを外すと、この状態が維持されオン状態である。電池交換の後に蓋体20Aを閉じると図10に示すオン状態が保持される。
【0054】
また、上記図11に示されたオフ状態で電池交換のために蓋体20Aを外すと、バネ78の付勢を受けて押圧ピン77が上方へ移動される。このとき、押圧ピン77の上部のストッパはアーム部81Bを乗せた状態において移動するため、棒体81の基部81Aの一部が透孔82から外へ突出するが、ストッパ84にこれ以上の上昇を阻止される(図12)と共に棒体81は幅広部88側へ押し出されてスロープ89を滑り落ちて支持部で支持される。棒体81は図10に示される位置に復旧する。この状態では、押圧ピン77の上部のストッパは押圧片74をバネ78の付勢力で上方へ押圧し、その上部に存在する凸部73が押し上げられて電池100の正極に接触可能なオン状態の位置へと位置付けられる。
【0055】
以上の通り、押圧ピン77、バネ78、棒体81及び透孔82は、操作部である押圧ピン77がオン位置またはオフ位置のいずれか所定位置にない場合に、装置本体10Aから蓋体20Aの取り外しに応じて操作部である押圧ピン77を上記所定位置へ移動させて保持する移動保持手段を構成する。本第2の実施の形態においても電池交換の際に蓋体20Aを外す前に、操作部である押圧ピン77が溝部21においてオフ位置にあったとしても、この操作部である押圧ピン77がオン位置に移動される。
【0056】
図13〜図15には、第3の実施形態に係る電子装置の要部構成が示されている。図13に示す蓋体20Bの内天蓋90には、第1の実施形態と同様の装置本体10Bの底部に形成された摺動壁を摺動させる摺動溝91が形成されており、蓋体20Bはスライドにより取り外すことができる。蓋体20Bの内天蓋90には、竹の子バネ92Aと凸部93Aが突出している。
【0057】
図14に示す蓋体20Bの内天蓋90の裏面には、竹の子バネ92Aが接続された導電体の電路92と、凸部93Aが形成された導電体の電路93が設けられている。
【0058】
蓋体20Bの内天蓋90において、図13に示す中央部からやや右側には細長の摺動孔94が穿設されている。摺動孔94の二長辺には摺動レール94Aが形成されている。摺動孔94には、直方体形状の操作部95が嵌合されている。摺動レール94Aにおける電路92に近い端部側がオン位置であり、摺動レール94Aにおける長手方向の上記オン位置側と反対側端部がオフ位置である。オン位置の近傍には、電路93に対し、基部93Bにおいて接続した可撓性を有する可撓片93Cが延びており、その先端部は電路93の平面に対し直角に折り曲げられたスイッチ可動接点93Dとなっている。スイッチ可動接点93Dの近傍には、スイッチ可動接点93Dと対向するスイッチ固定接点92Bが電路92の平面に対し直角に折り曲げられて形成されている。
【0059】
操作部95の側壁において、摺動孔94における摺動レール94Aに対応する位置には摺動溝95Aが形成されており、操作部95はオン位置とオフ位置の間を摺動可能に構成されている。操作部95はオン位置に位置付けられたときスイッチ可動接点93Dを対向するスイッチ固定接点92Bへ押し付け、電源オンの状態となる。
【0060】
摺動レール94Aは、摺動孔94の側方向から見た状態で図15に示すように、中央部よりややオン位置に近い部分に段部94Bを有し、オン位置に近い位置では操作部95が沈み、オフ位置に近い側では操作部95が突出する。
【0061】
図15に示すように、装置本体10Bの底面において、摺動孔94のオフ位置側端部と対応する位置には段部96が形成されており、段部96より外側の部分は蓋体20B側へ突出した凸部96Aとなっている。また、装置本体10Bの底面において、段部96より中央側の部分は蓋体20Bと間隙を有する凹部96Bとなっている。凸部96Aと凹部96Bとの間の寸法は、摺動レール94Aにおける段部94Bにおける段差寸法に相当する。
【0062】
蓋体20Bを取り外す場合には、蓋体20Bを図15の矢印Sの方向へスライドさせると、蓋体20Bに形成された摺動溝91を装置本体10Bの底部に形成された摺動壁が摺動し、蓋体20Bをスライドにより取り外すことができる。このとき、操作部95がオフ位置にあると、装置本体10Bの段部96が操作部95の頭部を押圧してオン位置側へ移動させ、摺動レール94Aにおける段部94Bを操作部95が超えてオン位置側へ到る。この状態では操作部95が沈み込み、装置本体10Bの段部96は操作部95の頭部を押圧しなくなる。
【0063】
以上の通り、摺動孔94、摺動レール94A及び段部96は、操作部95がオン位置またはオフ位置のいずれか所定位置にない場合に、装置本体10Bから蓋体20Bの取り外しに応じて上記操作部95を所定位置へ移動させて保持する移動保持手段を構成する。本第3の実施の形態においても電池交換の際に蓋体20Bを外す前に、操作部95が摺動孔94においてオフ位置にあったとしても、この操作部22がオン位置に移動される。電池交換の後に蓋体20Bを図15の矢印Sとは逆方向へスライドさせると、沈み込んだ操作部95は何等の影響を受けることなく操作部95はオン位置に位置付けられており、スイッチ可動接点93Dを対向するスイッチ固定接点92Bへ押し付け、電源オンの状態となる。
【符号の説明】
【0064】
10、10A、10B 装置本体
11 表示部
12 操作ボタン
20、20A、20B 蓋体
22 操作部
24 外蓋部
25 内蓋底板
26、26A 係止片
27 リング
31 回転体
36 アーム片
36B 突起部
40 内蓋天板
44、45 電路
45B 固定側スイッチ接点
62 ガイド壁
77 押圧ピン
78 バネ
81 棒体
82 透孔
92、93 電路
93D スイッチ可動接点
94A 摺動レール
94B 段部
95 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を収納可能な装置本体と、
前記電池が収納された状態において装置本体と結合して、蓋となる蓋体と、
前記電池により供給される電源をオンとするオン位置からオフとするオフ位置までの間を移動する操作部と、
前記操作部がオン位置またはオフ位置のいずれか所定位置にない場合に、前記装置本体から前記蓋体の取り外し又は結合に応じて前記操作部を前記所定位置へ移動させて保持する移動保持手段と
を具備することを特徴とする電子装置。
【請求項2】
電源供給経路に設けられ、該供給経路を開閉するスイッチ接点をさらに具備し、
前記操作部は、前記スイッチ接点を移動させ前記電源供給経路を開閉させるためにオン位置からオフ位置までの間を移動する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記移動保持手段は、蓋体の装置本体への結合操作に拘らず、操作部の保持を継続することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の電子装置。
【請求項4】
前記移動保持手段は、前記操作部をオン位置に保持する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項5】
前記蓋体は、装置本体に対して回動あるいはスライドすることにより取り外し及び結合がなされる
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項6】
前記操作部は円弧状の溝部に沿ってオン位置からオフ位置までの間を移動する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項7】
前記操作部は前記蓋体に押し込まれることでオフ位置からオン位置までの間を移動する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項8】
前記操作部は前記蓋体に設けられる
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項9】
生体信号を測定可能な生体信号測定部をさらに具備する
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−60734(P2011−60734A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212442(P2009−212442)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】