説明

電子装置

【課題】 ユーザ操作の負担を軽減し、携帯型情報端末の通話機能を利用することができる「電子装置」を提供する。
【解決手段】 携帯端末20から提供される画面情報を表示可能な電子装置40は、通話機能を有する携帯端末20との間で接続を確立する接続手段と、携帯端末20との接続が確立されたとき、携帯端末20への直接的な入力操作が制限されかつ携帯端末20への遠隔操作が可能となるターミナルモードを制御する制御手段と、携帯端末20から提供された画面情報であってターミナルモードを解除するための解除ボタン310を含む画面情報300を表示する表示手段と、解除ボタン310への入力を受け取る入力手段とを有する。制御手段は、解除ボタン310への入力があったとき、ターミナルモードを解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型情報端末が接続されたとき携帯型情報端末のアプリケーションを遠隔操作することができる電子装置に関し、特に、携帯型端末装置の通話機能の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンなどに代表される高機能なポータブル装置の利用が増加している。このようなポータブル装置が車内に持ち込まれたとき、ポータブル装置を車載用電子装置に接続し、車載用電子装置においてポータブル装置のメディアデータなどを利用することが可能になっている。例えば特許文献1は、携帯電話の画面に表示された情報を車載器に表示する場合に、携帯電話の画面を大画面で表示する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−244343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載用電子装置は、USBケーブル等を介してスマートフォンが接続されたとき、スマートフォンのアプリケーションを遠隔操作することが可能なターミナルモードに移行する。USBケーブルの接続中、すなわちターミナルモードでは、スマートフォンの直接的な入力操作が制限(ロック)され、車載用電子装置からのみ入力操作が可能となる。また、車両の走行中は、安全性の観点から、車載用電子装置から操作できるアプリケーションが限定される。
【0005】
しかし、走行中でも、制限の対象となっているスマートフォンのアプリケーションを自由に操作したい事態が生じる。ユーザがスマートフォンを操作するためには、スマートフォンへの入力操作のロック解除のために、一旦、USBケーブルを抜いて、ターミナルモードを解除する必要がある。また、車載用電子装置から再び操作したい場合は、USBケーブルを再接続してターミナルモードにする必要がある。USBケーブルの着脱は、両手が使えないと不便であり、ユーザが車を運転している場合は危険な操作となる。
【0006】
また、ターミナルモードでは、スマートフォンの通話機能の使用にブルーツースの接続を前提している。しかし、車載用電子装置の機種によってはブルーツース機能を備えていないものもある。このため、ブルーツースが接続されていないと、スマートフォンへの入力操作がロックされるため、ユーザは、電話の発着信に関する操作を行うことができない。従って、この場合にも、ユーザは、一旦、USBケーブルを外し、ターミナルモードを解除し、スマートフォンを操作して通話を行わなければならない。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決し、ユーザ操作の負担を軽減し、携帯型情報端末の通話機能を利用することができる電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子装置は、携帯型情報端末から提供される画面情報を表示可能であって、通話機能を有する携帯型情報端末との間で接続を確立する接続手段と、前記接続手段により携帯型情報端末との接続が確立されたとき、携帯型情報端末への直接的な入力操作が制限されかつ携帯型情報端末への遠隔操作が可能となる動作モードを制御する制御手段と、前記接続手段を介して提供された画面情報であって、前記動作モードの解除を可能にするための入力表記を含む画面情報を表示する表示手段と、前記入力表記への入力を受け取る入力手段とを有し、前記制御手段は、前記入力表記への入力があったとき、前記動作モードを解除する。好ましくは前記入力表記は、携帯型情報端末の着信情報を報知する。
【0009】
本発明に係る電子装置は、携帯型情報端末から提供される画面情報を表示可能であって、通話機能を有する携帯型情報端末との間で接続を確立する接続手段と、前記接続手段により携帯型情報端末との接続が確立されたとき、携帯型情報端末への直接的な入力操作が制限されかつ携帯型情報端末への遠隔操作が可能となる動作モードを制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記接続手段を介して提供された画面情報に基づき携帯型情報端末への着信があったことを検出したとき、前記動作モードを解除する。好ましくは前記接続手段は、携帯型情報端末に対し電源を供給する電源供給線を含み、前記制御手段は、前記電源供給線による電源供給を停止することにより前記動作モードを解除する。
【0010】
本発明に係る電子装置は、携帯型情報端末から提供される画面情報を表示可能であって、通話機能を有する携帯型情報端末との間で接続を確立する接続手段と、携帯型情報端末との間で音声情報の接続を確立する音声情報接続手段と、前記接続手段により携帯型情報端末との接続が確立されたとき、携帯型情報端末への直接的な入力操作が制限されかつ携帯型情報端末への遠隔操作が可能となる動作モードを制御する制御手段と、前記音声情報接続手段により音声情報の接続が確立されていないとき、携帯型情報端末の通話機能を操作するための画面情報を表示する表示手段と、入力手段とを有し、前記制御手段は、前記通話機能を操作するための画面情報について入力された操作情報を前記接続手段を介して携帯型情報端末に送信する。
【0011】
好ましくは前記表示手段は、前記音声情報接続手段による音声情報の接続が確立されかつ車両が走行中であるとき、前記通話機能を操作する画面情報の表示を制限する。好ましくは前記接続手段は、携帯型情報端末との間で音声情報の通信制御を行う。
【0012】
本発明に係るメディアシステムは、上記した電子装置と、当該電子装置に接続されかつ通話機能を有する携帯型情報端末とを有するものであって、携帯型情報端末は、前記動作モードを解除するための入力表記を含む画面情報を電子装置に送信する送信手段を含む。好ましくは携帯型情報端末は、着信があったとき、前記入力表記を含む画面情報を送信する。本発明の更なるメディアシステムの携帯型情報端末は、着信があったことを識別する識別情報を含む画面情報を電子装置に送信する送信手段を有する。本発明の更なるメディアシステムの携帯型情報端末は、前記通話機能を操作するための画面情報を送信する送信手段を有する。
【0013】
本発明に係る通話プログラムは、携帯型情報端末から提供される画面情報を表示可能な電子装置が実行するものであって、通話機能を有する携帯型情報端末との間で接続を確立するステップと、前記接続ステップにより携帯型情報端末との接続が確立されたとき、携帯型情報端末への直接的な入力操作が制限されかつ携帯型情報端末への遠隔操作が可能となる動作モードを制御するステップとを有し、携帯型情報端末から提供された画面情報であって、前記動作モードの解除を可能にするための入力表記を含む画面情報を表示するステップと、前記入力表記への入力があったとき、前記動作モードを解除するステップとを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、携帯型情報端末から提供される画面情報に動作モードを解除するための入力表記を含ませることで、電子装置側から入力表記への入力を行うことで、動作モードを容易に解除することができる。さらに本発明によれば、携帯型情報端末から提供される画面情報に基づき着信があったことを検出した場合には、動作モードを解除するようにしたので、ユーザ入力によらず自動的に動作モードを解除することができる。さらに本発明によれば、音声情報接続手段による接続が確立されていない場合には、通話機能を操作するための画面情報を表示できるようにしたので、通話機能を操作するための画面情報への入力操作により通話を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例に係るメディアシステムの構成を示す図である。
【図2】図1に示す車載用電子装置の典型的な構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す携帯型情報端末の典型的な構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例に係るターミナルモードの基本動作を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施例に係る通話動作を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施例に係る通話動作を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施例に係る通話動作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第4の実施例に係る通話動作を説明するフローチャートである。
【図9】図9(a)は走行制限時のメニュー画面の表示例、図9(b)は走行制限の緩和時のメニュー画面の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。好ましい実施態様では、移動体として自動車を例示し、自動車に電子装置が搭載された例を説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の実施例に係るメディアシステムの構成を示す図である。本実施例のメディアシステム10は、携帯型情報端末20(以下、携帯端末と略す)と、携帯端末20が接続手段30を介して接続された車載用電子装置40(以下、電子装置と略す)とを含んで構成される。ここで、携帯端末20は、ユーザ入力に応答して種々の情報処理を行う情報処理装置、コンピュータ装置などであることができ、その機能が特に制限されるものではなく、例えば、携帯電話機、スマートフォン、携帯型音声再生装置、携帯型映像再生装置、ポータブルの情報処理端末などであることができる。電子装置40は、ユーザ入力に応答して種々の情報処理を行う情報処理装置、コンピュータ装置などであることができ、その機能が特に制限されるものではなく、例えば、ナビゲーション機能、オーディオ機能、ビデオ機能、テレビ機能、ラジオ機能などを含むことができる。電子装置40と携帯端末20とを接続する接続手段30は、有線ケーブルまたは無線信号のいずれであってもよい。例えば、USBケーブル、無線LAN、ブルーツースなどを用いて両機器を接続することができる。
【0018】
本実施例のメディアシステム10では、電子装置40に携帯端末20が接続されたとき、両機器はターミナルモードで動作する。ターミナルモードでは、音声情報、画面情報および操作情報が機器間で転送され、携帯端末20に表示される画面情報が電子装置40に表示され、ユーザは、電子装置40の画面を操作することで、携帯端末20のアプリケーションを遠隔操作をすることができる。
【0019】
携帯端末20から電子装置40へ転送される画面情報、および電子装置40から携帯端末20へ送信される操作情報(タッチパネルの座標情報やキー入力情報)は、RFB(Remote Frame buffer)プロトコルを用いて通信制御される。音声情報は、RTP(Real-time Transport Protocol)を用いて通信制御される。本実施例の好ましい態様では、USBケーブルまたはWLANにより両機器が接続されたときにターミナルモードで両機器が動作可能である。ターミナルモードでは、ブルーツースの利用を前提とし、両機器間がブルーツースにより接続された場合には、ブルーツースを利用して音声情報に関する信号の送受が行われる。
【0020】
制約事項として、ターミナルモードでは、携帯端末20への直接的な入力操作が制限され、つまり入力がロックされ、電子装置40からのみユーザ入力が可能になる。また、車両の走行中では、電子装置40に表示される画面情報に制限があり、例えば、ナビゲーション画面および音楽再生画面のみ表示可能にされ、携帯端末20が保有する他のアプリケーションに関する情報の表示が制限される。さらに携帯端末20による電話の発着信操作は、ブルーツース経由で行われる。
【0021】
図2は、電子装置40の典型的な構成を示すブロック図である。同図に示すように、電子装置40は、ユーザからの入力を受け取る入力部100、携帯端末20との接続を確立する接続部110、ディスプレイに携帯端末20からの画面情報等の種々の情報を表示する表示部120、音声を出力する音声出力部130、車両情報を検出する車両情報検出部140、制御部150、アプリケーション等を実行するためのプログラムを格納するプログラムメモリ160、音楽、映像、地図などの種々のデータを記憶するデータメモリ170、各部を接続するバス180とを備えている。
【0022】
好ましくは、入力部100は、リモコンやカーソルによる入力に加え、ディスプレイへのタッチパネル入力、ハンズフリー通話時のマイクロフォン44を含む。なお、ハンズフリー通話時には、車内のスピーカ42から音声が出力される。車両情報検出部140は、車両の走行に関する情報として、パーキングオン・オフ情報、車速情報などを検出する。また、プログラムメモリ160は、ナビゲーション機能、オーディオ機能、ビデオ機能などを実行するためのプログラムに加え、携帯端末20が接続されたときに実行されるターミナルモードを制御するプログラムを有する。ターミナルモードは、上記したように、携帯端末20と共働して、電子装置40から携帯端末20が保有するアプリケーションの起動などの遠隔操作を可能にし、携帯端末20から提供される画面情報を表示部120に表示する。
【0023】
図3は、携帯端末の典型的な構成を示すブロック図である。携帯端末20は、ユーザからの入力を受け取る入力部200、電子装置40との接続を確立する接続部210、ディスプレイに種々の画像を表示する表示部220、音声を出力する音声出力部230、外部のサーバとデータ通信をしたり携帯電話機との通話を可能にする通信部240、制御部250、携帯端末20が保有するアプリケーション等のプログラムを格納するプログラムメモリ260、音楽、映像、地図などのデータを記憶するデータメモリ270、各部を接続するバス280とを備えている。
【0024】
好ましくはプログラムメモリ260は、電子装置40に接続されときに実行されるターミナルモードを制御するプログラムを含む。ターミナルモードでは、携帯端末20に表示する画面情報が電子装置40に転送され、また、携帯端末20の入力部200への入力操作がロックされる。さらに携帯端末20は、後述するように電話の着信時などにターミナルモードを解除するための入力を含む画面情報を電子装置40へ送信する。
【0025】
図4は、本実施例のターミナルモードの基本的な動作を説明するフローチャートである。電子装置40および携帯端末20は、接続部110および210を介して相互に接続されたか否かを確認し(S101)、接続が確認されると、電子装置40および携帯端末20はターミナルモードで動作する(S102)。ターミナルモードへの移行は、画面情報/操作情報の送受が可能となる接続が確認されれば十分であり、必ずしも音声情報のための接続の有無は不要である。従って、本例で言えば、ターミナルモードへの移行には、両機器がUSBケーブルまたは無線LANにより接続されていることが確認されればよく、ブルーツースの接続は要しない。
【0026】
ターミナルモードに移行すると、電子装置40の表示部120にはメニュー画面が表示され(S103)、電子装置40から遠隔操作が可能なアプリケーションのアイコンなどが表示される。また、車両走行中には、遠隔操作が可能なアプリケーションのアイコンの表示が制限される。電子装置40は、入力部100を介してメニュー画面への入力操作(例えば、タッチ入力)が行われたか否かを監視し(S104)、入力が行われた場合には、入力座標またはキー情報等の操作情報が携帯端末20へ送信される(S105)。携帯端末20は、受信した操作情報に基づき該当するアプリケーションを起動する(S106)。アプリケーションが起動されると、携帯端末20は、表示部220に表示する画面情報と同一の画面情報を電子装置40に転送し(S107)、転送された画面情報が電子装置40の表示部120に表示される(S108)。
【0027】
次に、本発明の第1の実施例に係る通話動作について図5のフローを参照して説明する。ここでは、携帯端末20と電子装置40がUSBケーブルにより接続されるものとする。USBケーブルは、USB規格を遵守したデータ転送用のケーブルであり、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)とは、シリアルデータ転送を行うためのバス規格の一つである。USBは、少なくとも、電力を供給するVBUS(電力供給線)、信号線D+、信号線D−、およびグランド(GND)の4本の信号線を備える。2本の信号線D+/D−は、データ信号を転送する信号線であり、それぞれ差動信号の関係にある。USBには、複数の規格1.0、2.0、3.0があり、USB2.0は、上記の4本のピンまたは信号線を持つのに対して、USB3.0は、10本のピンまたは信号線をもつ。
【0028】
USBケーブルにより接続された携帯端末20および電子装置40がターミナルモードに移行すると(S201)、携帯端末20から電子装置40に画面情報が転送され、電子装置40の表示部120に画面情報が表示される。本実施例では、図5(b)に示すように、転送される画面情報300にはターミナルモード解除ボタン310が含まれている。このターミナルモード解除ボタン310は、ターミナルモード期間中、画面情報内に常時表示される(S202)。ターミナルモード解除ボタン310は、予め決められた位置に表示され、電子装置40の制御部150は、その位置情報からターミナル解除ボタン310を識別することができる。
【0029】
ユーザは、ターミナルモードの解除を望むとき、タッチ入力等により解除ボタン310への入力操作を行う(S203)。制御部150は、解除ボタン310への入力操作を受け取ると、その位置情報からターミナル解除ボタン310がユーザによって選択されたことを知り、電子装置40から携帯端末20に供給されるUSBケーブルの電源を停止する(S204)。これにより、両機器において、相手方の機器の接続を確認することができなくなり、ターミナルモードが一時的に切断される(S205)。
【0030】
ターミナルモードの期間中、携帯端末20に対するユーザ操作は不可であるが、ターミナルモードが切断されたことで、携帯端末20に対するユーザ操作が可能になる。これにより、ユーザは、携帯端末20が保有するアプリケーションを自由に操作することができる。また、ユーザは、USBケーブルの取り外しを行う必要がなくなり、運転中の危険な操作を回避させることができる。なお、携帯端末20と電子装置40とが無線LAN等によって接続されている場合には、制御部150は、電源供給を停止する代わりに、自身の無線接続機能を停止させてもよい。再度、ターミナルモードに移行する場合には、USBケーブルを再接続するか、自身の無線接続機能を再開させることで、両機器の接続が確認されるようにする。
【0031】
なお、上記実施例では、携帯端末20から転送される画面情報にターミナルモード解除ボタン310を含ませるようにしたが、電子装置40が、携帯端末20から転送される画面情報にターミナルモード解除ボタン310を合成して表示するようにしてもよい。
【0032】
次に、本発明の第2の実施例について図6を参照して説明する。第2の実施例では、携帯端末20と電子装置40とは、音声情報を送受するブルーツースにより接続されていないことを前提とする。両機器がターミナルモードに移行すると(S301)、電子装置40の表示部120には、携帯端末20から転送された画面情報が表示される。ここで、携帯端末20に電話着信があると(S302)、携帯端末20は、図6(b)に示すように、電話ボタン330を含む画面情報320を電子装置40に転送する。これにより、電子装置40の表示部120には、電話ボタン330を含む画面情報320が表示される(S303)。電話ボタン330は、予め決められた位置に表示され、電子装置40の制御部150は、その位置情報から電話ボタン330を識別することができる。
【0033】
ユーザは、着信に応答することを望む場合には、電話ボタン330を選択するような入力操作を行う(S304)。制御部150は、電話ボタン330がユーザによって選択されたことを知り、USBケーブルの電源供給を停止する(S305)。これにより、ターミナルモードが一時的に切断される(S306)。ターミナルモードが解除されたことで、携帯端末20への入力操作が可能になるため、ユーザは、携帯端末20への電話操作を行い、着信電話に応答することが可能になる。
【0034】
携帯端末20に着信があった場合、携帯端末20は、着信音を発生させるが、ブルーツースが非接続の状態では、電子装置40において発着信の操作を行うことができず、さらにターミナルモードでは、携帯端末20の入力操作がロックされるが、本実施例では、着信があったとき、これをトリガーにして、着信を知らせかつターミナルモードを解除するための入力表記として電話ボタン330を表示するようにしたので、ユーザは、簡易な操作によって迅速にターミナルモードを終了させ、携帯端末20から着信電話へ応答することが可能になる。
【0035】
次に、本発明の第3の実施例について図7のフローを参照して説明する。第2の実施例では、ユーザが電話ボタン330への入力操作を行うことでターミナルモードを解除したが、第3の実施例では、着信時に自動的にターミナルモードを解除するものである。ターミナルモードに移行し(S401)、携帯端末20に着信があると(S402)、携帯端末20は、着信があったことを識別可能な画面情報または割込み画面を電子装置40に転送する。電子装置40は、例えば図7(b)に示すように、着信情報350を含む画面情報340を受信し、これを表示する(S403)。さらに制御部150は、画面情報340に含まれる識別情報に基づき着信があったことを検出し(S404)、USBケーブルの電源供給を停止し(S405)、ターミナルモードを一時的に切断する(S406)。第3の実施例によれば、ユーザは、ターミナルモードを解除するための入力操作を行うことなく、即座に携帯端末20から電話に応答することができる。
【0036】
次に、本発明の第4の実施例について図8のフローを参照して説明する。電子装置40がターミナルモードに移行すると(S501)、制御部150は、接続部110を介して電子装置40が携帯端末20とブルーツース接続されているか否かを判定する(S502)。ブルーツース接続されている判定した場合には、通常の走行制限のアプリケーションのアイコンが表示されるメニュー画面を表示する(S503)。他方、ブルーツースが非接続であると判定された場合には、走行制限が緩和されたメニュー画面を表示する(S504)。
【0037】
図9(a)は、通常の走行制限時のメニュー画面の例であり、メニュー画面400には、ナビゲーションのアイコン410と、オーディオ再生のアイコン420が表示される。走行時の安全性の観点から、電子装置40から遠隔操作できるアプリケーションがナビゲーションとオーディオ再生の2つに制限される。図9(b)は、走行制限の緩和時のメニュー画面の例である。メニュー画面400Aに、アイコン410、420に加えて、通話機能に関するアイコン430が表示される。走行中に、アイコン430への操作が行われると、その操作情報が携帯端末20に送信され、通話機能のアプリケーションが起動される。そして、携帯端末20から電話の発着信操作に関する画面情報が電子装置40に転送され、表示部120に表示される。ユーザは、発着信操作に関する画面情報への入力操作を行うことで通話機能を使用することが可能となる。なお、好ましい例では、制御部150は、ターミナルモードに移行すると、ブルーツースの接続の有無に応じて、遠隔操作が可能なアプリケーションのアイコンの送信を携帯端末20に要求し、携帯端末20から送信されたアイコンを含むメニュー画面を表示部120に表示する。
【0038】
また、携帯端末20と電子装置40とがブルーツース接続されている場合には、音声情報の送受や電話の発着信による操作は、ブルーツースを介してRTP(Real-time Transport Protocol)により通信制御される。他方、ブルーツースが非接続である場合には、音声情報の送受は、USBケーブルまたは無線LANを介してRTPにより行われる。RTPによる制御は、電子装置40および携帯端末20の制御部150、250によって行われる。さらに好ましくは、制御部150は、ハンズフリー通話をサポートするアプリケーションを備える。図1に示すように、電子装置40には、車内スピーカ42と、サンバイザー等に固定された音声を入力するマイクロフォン44とが接続され、これらはハンズフリー通話の際に利用される。このように第4の実施例では、ブルーツースが非接続であっても、すなわち音声情報の送受のための接続がない場合であっても、表示部120に表示された電話の発着信操作に画面情報を利用して通話を行うことができる。
【0039】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。上記実施例では、携帯端末20と電子装置40との接続にUSBケーブルを利用したが、これ以外の有線ケーブルを用いるものであってもよい。さらに、音声情報の送受にブルーツースを利用したが、これ以外の無線通信または有線通信を用いるものであってもよい。さらに上記実施例で示した電子装置40および携帯端末20が備える機能は一例であって、本発明は、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0040】
10:メディアシステム 20:携帯型情報端末
30:接続手段 40:車載用電子装置
300、320、340:画面情報 310:解除ボタン
330:電話ボタン 350:着信情報
400、400A:メニュー画面 410、420、430:アイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型情報端末から提供される画面情報を表示可能な電子装置であって、
通話機能を有する携帯型情報端末との間で接続を確立する接続手段と、
前記接続手段により携帯型情報端末との接続が確立されたとき、携帯型情報端末への直接的な入力操作が制限されかつ携帯型情報端末への遠隔操作が可能となる動作モードを制御する制御手段と、
前記接続手段を介して提供された画面情報であって、前記動作モードの解除を可能にするための入力表記を含む画面情報を表示する表示手段と、
前記入力表記への入力を受け取る入力手段とを有し、
前記制御手段は、前記入力表記への入力があったとき、前記動作モードを解除する、電子装置。
【請求項2】
前記入力表記は、携帯型情報端末の着信情報を報知する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
携帯型情報端末から提供される画面情報を表示可能な電子装置であって、
通話機能を有する携帯型情報端末との間で接続を確立する接続手段と、
前記接続手段により携帯型情報端末との接続が確立されたとき、携帯型情報端末への直接的な入力操作が制限されかつ携帯型情報端末への遠隔操作が可能となる動作モードを制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記接続手段を介して提供された画面情報に基づき携帯型情報端末への着信があったことを検出したとき、前記動作モードを解除する、電子装置。
【請求項4】
前記接続手段は、携帯型情報端末に対し電源を供給する電源供給線を含み、前記制御手段は、前記電源供給線による電源供給を停止することにより前記動作モードを解除する、請求項1ないし3いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項5】
携帯型情報端末から提供される画面情報を表示可能な電子装置であって、
通話機能を有する携帯型情報端末との間で接続を確立する接続手段と、
携帯型情報端末との間で音声情報の接続を確立する音声情報接続手段と、
前記接続手段により携帯型情報端末との接続が確立されたとき、携帯型情報端末への直接的な入力操作が制限されかつ携帯型情報端末への遠隔操作が可能となる動作モードを制御する制御手段と、
前記音声情報接続手段により音声情報の接続が確立されていないとき、携帯型情報端末の通話機能を操作するための画面情報を表示する表示手段と、
入力手段とを有し、
前記制御手段は、前記通話機能を操作するための画面情報について入力された操作情報を前記接続手段を介して携帯型情報端末に送信する、電子装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記音声情報接続手段による音声情報の接続が確立されかつ車両が走行中であるとき、前記通話機能を操作する画面情報の表示を制限する、請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記接続手段は、携帯型情報端末との間で音声情報の通信制御を行う、請求項5または6に記載の電子装置。
【請求項8】
請求項1、2または3に記載の電子装置と、当該電子装置に接続されかつ通話機能を有する携帯型情報端末とを有するメディアシステムであって、
携帯型情報端末は、前記動作モードを解除するための入力表記を含む画面情報を電子装置に送信する送信手段を含む、メディアシステム。
【請求項9】
携帯型情報端末は、着信があったとき、前記入力表記を含む画面情報を送信する、請求項8に記載のメディアシステム。
【請求項10】
請求項3または4に記載の電子装置と、当該電子装置に接続されかつ通話機能を有する携帯型情報端末とを有するメディアシステムであって、
携帯型情報端末は、着信があったことを識別する識別情報を含む画面情報を電子装置に送信する送信手段を有する、メディアシステム。
【請求項11】
請求項5ないし7いずれか1つに記載の電子装置と、当該電子装置に接続されかつ通話機能を有する携帯型情報端末とを有するメディアシステムであって、
携帯型情報端末は、前記通話機能を操作するための画面情報を送信する送信手段を有する、メディアシステム。
【請求項12】
携帯型情報端末から提供される画面情報を表示可能な電子装置が実行する通話プログラムであって、
通話機能を有する携帯型情報端末との間で接続を確立するステップと、
前記接続ステップにより携帯型情報端末との接続が確立されたとき、携帯型情報端末への直接的な入力操作が制限されかつ携帯型情報端末への遠隔操作が可能となる動作モードを制御するステップとを有し、
携帯型情報端末から提供された画面情報であって、前記動作モードの解除を可能にするための入力表記を含む画面情報を表示するステップと、
前記入力表記への入力があったとき、前記動作モードを解除するステップと、
を有する通話プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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