説明

電子装置

【課題】樹脂製の支持台を介して取り付けられる筐体に収容された電子部品を好適に冷却し得る電子装置を提供する。
【解決手段】電子装置10は、回路基板20などが収容される金属製の筐体30と樹脂製の支持台40とを備えている。発熱部品21を実装した回路基板20が収容される筐体30を車体Bに取り付ける支持台40の表面の一部には、カーボングラファイトシート50が配置されており、このカーボングラファイトシート50の一部が、筐体30の押圧部35により当該筐体30に押圧されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に収容された発熱する電子部品からの熱を放熱して冷却する電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体に収容された発熱する電子部品からの熱を放熱して冷却する電子装置に関連する技術として、例えば、下記特許文献1に開示される携帯型電子機器が知られている。この携帯型電子機器では、発熱部品を搭載する回路基板が収容される筐体の内壁面には、熱拡散シートが固着されている。そして、筐体の内壁面上に配置した押当部材により、熱拡散シートが発熱部品の表面に押し当てられる。これにより、発熱部品の表面と熱拡散シートとを好適に面接触させて、発熱部品から熱拡散シートへの熱移転を効率化させている。
【0003】
また、下記特許文献2に開示される面間伝熱プレートは、小面積の受熱面から入力される熱量を均一に拡散して大面積の放熱面に熱量を伝熱するものである。この面間伝熱プレートは、平面方向熱伝導率が極めて高く、面を貫く垂直方向の熱伝導率が極めて低い種類のグラファイト薄肉シート層を中心層とし、熱抵抗を無視し得る厚さの接着剤薄膜層であり中心層を挟持する第2層と、高熱伝導率の金属薄肉層であり中心層と第2層の全てを挟持する第3層とが所定の温度、高い加圧力にて相互に接着され積層化されて構成されている。このように構成される面間伝熱プレートの一方の面に発熱素子の放熱面を接触させ、他方の面に放熱手段の受熱面を接触させることで、発熱素子の放熱を促進させている。
【0004】
また、下記特許文献3に開示される回路基板では、実装される各電子部品に密着するように第1グラファイトシートが配置されるとともに、この第1グラファイトシートに対して複数の小形金属片が密着配置されている。さらに、小形金属片には、第2グラファイトシートが密着配置されており、小形金属片が第1、第2グラファイトシートの一部分と接触しつつ両者を接続するサンドイッチ構造を形成するとともに、第1、第2グラファイトシート間に所定の空間を形成している。そして、電子部品で生じた熱の大部分は、第1グラファイトシートおよび小形金属片を介して、面方向に順次拡散しながら第2グラファイトシートに伝達されるため、複数の放熱経路が形成されて空冷効果が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−229287号公報
【特許文献2】特開平10−247708号公報
【特許文献3】特開平10−256764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、軽量化の要求から発熱する電子部品が収容される筐体を車体などの被取付部材に取り付けるための支持台には、従来採用されていた金属材料よりも軽量である樹脂材料が採用されることが多くなっている。しかしながら、樹脂製の支持台では、金属製の支持台に対して軽量であるものの熱伝導率が低いために放熱性が悪くなる。このため、筐体に伝達した電子部品からの熱について支持台を介した放熱が困難になるので、当該電子部品の放熱性が悪化してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、樹脂製の支持台を介して取り付けられる筐体に収容された電子部品を好適に冷却し得る電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の電子装置では、発熱する電子部品が収容される筐体と、この筐体を被取付部材に取り付けるための樹脂製の支持台と、を備える電子装置であって、前記支持台の表面の一部には、カーボングラファイトシートが配置され、前記カーボングラファイトシートの一部が、前記筐体の押圧部により当該筐体に押圧されることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電子装置において、前記押圧部は、前記筐体の外面のうち前記支持台の一部に対向する対向部位であって、当該支持台の一部とにより前記カーボングラファイトシートの一部を挟み込むことで押圧することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1に記載の電子装置において、前記筐体は、複数のケースを組み付けて構成されており、前記押圧部は、前記各ケースのいずれか2つを組み付ける際の組み付け部位の一部であって、この組み付け部位に前記カーボングラファイトシートの一部を挟み込むことで押圧することを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子装置において、前記押圧部には、前記筐体を締結するための締結部材による締結力が、前記カーボングラファイトシートの一部を押圧する押圧力として作用することを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子装置において、前記カーボングラファイトシートに接触する前記押圧部の接触面は、その面粗度が前記筐体の他の面に対して小さくなるように形成されることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子装置において、前記カーボングラファイトシートの他の一部は、前記支持台と前記被取付部材とにより挟み込まれて押圧されることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子装置において、前記カーボングラファイトシートは、前記押圧部から離間する部位の表面積が当該押圧部に近接する部位の表面積に対して小さくなるように、前記支持台の表面の一部に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明では、発熱する電子部品が収容される筐体を被取付部材に取り付ける支持台の表面の一部には、カーボングラファイトシートが配置されており、このカーボングラファイトシートの一部が、筐体の押圧部により当該筐体に押圧される。
【0016】
電子部品からの熱は、筐体の押圧部を介してカーボングラファイトシートに伝熱されて放熱されるので、樹脂製の支持台を採用する場合でも筐体の放熱性を高めることができる。特に、カーボングラファイトシートの一部が、筐体の押圧部により当該筐体に押圧されるため、筐体とカーボングラファイトシートとの接触領域が確保されて、これら筐体およびカーボングラファイトシート間の伝熱を促進することができる。
したがって、樹脂製の支持台を介して取り付けられる筐体に収容された電子部品を好適に冷却することができる。
【0017】
請求項2の発明では、押圧部は、筐体の外面のうち支持台の一部に対向する対向部位であって、当該支持台の一部とによりカーボングラファイトシートの一部を挟み込むことで押圧するため、カーボングラファイトシートの一部を筐体に対して容易に押圧することができ、筐体およびカーボングラファイトシート間の伝熱を確実に促進することができる。
【0018】
請求項3の発明では、押圧部は、筐体の各ケースのいずれか2つを組み付ける際の組み付け部位の一部であって、この組み付け部位にカーボングラファイトシートの一部を挟み込むことで押圧するため、カーボングラファイトシートの一部を筐体に対して確実に押圧することができ、筐体およびカーボングラファイトシート間の伝熱を確実に促進することができる。
【0019】
請求項4の発明では、押圧部には、筐体を締結するための締結部材による締結力が、カーボングラファイトシートの一部を押圧する押圧力として作用するため、カーボングラファイトシートの一部を筐体に対して押圧する押圧力を容易に高めることができる。特に、上記押圧力をより高めるように締結部材による締結を実施することで、上記押圧部分における押圧方向への接触熱抵抗が低減されるので、筐体およびカーボングラファイトシート間の伝熱をより確実に促進することができる。
【0020】
請求項5の発明では、カーボングラファイトシートに接触する押圧部の接触面は、その面粗度が筐体の他の面に対して小さく(細かく)なるように形成される。これにより、カーボングラファイトシートと押圧部とが実際に接触する領域の接触面積が増加するので、筐体およびカーボングラファイトシート間の伝熱をさらに促進することができる。
【0021】
請求項6の発明では、カーボングラファイトシートの他の一部は、支持台と被取付部材とにより挟み込まれて押圧されるため、カーボングラファイトシートに伝熱された熱が上記他の一部を介して被取付部材に伝熱されるので、カーボングラファイトシートを介した放熱効果をさらに高めることができる。
【0022】
請求項7の発明では、カーボングラファイトシートは、押圧部から離間する部位の表面積が当該押圧部に近接する部位の表面積に対して小さくなるように、支持台の表面の一部に配置される。カーボングラファイトシートを介した放熱は、伝熱される部位、すなわち、押圧部から離間するほどその放熱効果が低減するので、放熱効果が低い押圧部から離間する部位の表面積を小さくすることで、必要な放熱性を確保しつつカーボングラファイトシートを採用することによる材料コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態に係る電子装置を示す斜視図である。
【図2】図1の電子装置の一部の断面図である。
【図3】図1の電子装置を側面から見た側面図である。
【図4】カーボングラファイトシートを貼り付けた支持台を示す上面図である。
【図5】カーボングラファイトシートの端部が筐体の押圧部により押圧された状態を拡大して示す断面図である。
【図6】カーボングラファイトシートによる放熱効果を説明するためのグラフである。
【図7】本実施形態の第1変形例に係る電子装置の要部を示す断面図である。
【図8】本実施形態の第3変形例に係る電子装置の要部を示す断面図である。
【図9】本実施形態の第4変形例に係る電子装置の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る電子装置の一実施形態について図を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る電子装置10を示す斜視図である。図2は、図1の電子装置10の一部の断面図である。図3は、図1の電子装置10を側面から見た側面図である。図4は、カーボングラファイトシート50を貼り付けた支持台40を示す上面図である。図5は、カーボングラファイトシート50の端部51が筐体30の押圧部35により押圧された状態を拡大して示す断面図である。なお、図2,図3および図5等において、便宜上、ボングラファイトシート50の厚さを誇張して図示している。
【0025】
図1〜図3に示す電子装置10は、自動車に搭載されて車載機器を制御するECU(Electronic Control Unit)であって、回路基板20と、この回路基板20や他の電子部品などが収容される金属製の筐体30と、この筐体30を車体Bに取り付けるための樹脂製の支持台40とを備えている。なお、車体Bは、特許請求の範囲に記載の「被取付部材」の一例に相当し得る。
【0026】
図2に示す回路基板20は、上記車載機器の制御を実現するための基板であって、この制御時に発熱を伴う発熱素子等の電子部品(以下、発熱部品21という)がその基板面上にそれぞれ実装されている。回路基板20の基板面には、発熱部品21等にて生じた熱を後述する台座33に伝熱するための伝熱経路(図示略)が形成されている。なお、発熱部品21および回路基板20は、特許請求の範囲に記載の「発熱する電子部品」の一例に相当し得る。
【0027】
図2に示すように、筐体30は、回路基板20が固定される下ケース31と、この下ケース31に組み付けられることで当該下ケース31とともに回路基板20等を収容する収容空間を形成する上ケース32と、を備えている。下ケース31には、当該筐体30を支持台40にねじ部材61により締結するための4つの貫通穴34が形成されている。下ケース31の下面のうち貫通穴34が開口する部位(以下、押圧部35という)には、ねじ部材61の締結による締結力が、対向する支持台40の一部との間に生じることとなる。なお、ねじ部材61は、特許請求の範囲に記載の「締結部材」の一例に相当し得る。
【0028】
また、下ケース31には、回路基板20の四隅等を下方から支持する複数の台座33が形成されており、回路基板20の四隅等が対応する台座33にねじ部材36などによりそれぞれ締結されることで、当該回路基板20が下ケース31に固定される。この固定により、上記伝熱経路が台座33の頂部等に接触し、回路基板20に実装された発熱部品21等にて生じた熱が当該伝熱経路を介して下ケース31に伝熱されることとなる。
【0029】
支持台40は、例えば、PA66(ナイロン66)またはPP(ポリプロピレン)等の比較的軽量の樹脂材料からなるブラケットであって、図4に示すように、下ケース31の下面よりも広くなるように略平板状に形成される平板部41と、この平板部41の四隅にそれぞれ連結する4つの脚部42とが一体となるように形成されている。平板部41の四隅には、筐体30を締結するための貫通穴41aが、下ケース31の貫通穴34に対応してそれぞれ形成されている。
【0030】
各脚部42は、平板部41に平行に連結する上端部42aとこの上端部42aに平行な下端部42bとを、連結部42cにより連結するように、それぞれ形成されている。各下端部42bには、当該支持台40をねじ部材62により車体Bに対して締結するための貫通穴42dがそれぞれ形成されている。
【0031】
このように構成される支持台40に対して、図4に示すように、平板部41の各貫通穴41a近傍とこれら各貫通穴41aにそれぞれ近接する脚部42との表面上には、シート状のカーボングラファイトシート50が、それぞれ貼り付けられて配置されている。このカーボングラファイトシート50は、支持台40として採用される樹脂材料に対して高い熱伝導率を有し、筐体30からの熱を放熱するシート状の放熱部材として機能するものである。
【0032】
このようにカーボングラファイトシート50が貼り付けられた支持台40に対して、回路基板20等が収容された筐体30を組み付ける場合には、平板部41の各貫通穴41aと対応する下ケース31の貫通穴34とをそれぞれ挿通するねじ部材61により、筐体30と支持台40とを締結する。
【0033】
このため、図5に示すように、カーボングラファイトシート50の端部51が筐体30の押圧部35と平板部41とにより挟み込まれて押圧される。なお、ねじ部材61の締め付けトルクは、端部51における接触熱抵抗を低減するために、例えば、4kN・mに設定されている。
【0034】
次に、カーボングラファイトシート50を、その端部51が押圧部35と平板部41とにより挟み込まれて押圧されるように、支持台40に配置したことによる放熱効果を、実験結果をまとめた図6を用いて説明する。図6は、カーボングラファイトシート50による放熱効果を説明するためのグラフである。なお、図6は、回路基板20の発熱部品21の温度を各条件について比較するグラフであり、符号T1は、カーボングラファイトシート50を採用しない場合の温度を示し、本実験による結果では、T1=100.9℃である。また、符号T2は、手締めされたねじ部材61によりカーボングラファイトシート50の端部51が押圧部35により押圧される場合の温度を示し、本実験による結果では、T2=97.9℃である。また、符号T3は、T2にて示す条件に対して、ねじ部材61の締め付けトルクを4kN・mに増加して締め付けた場合の温度を示し、本実験による結果では、T3=96.6℃である。
【0035】
図6の温度T1および温度T2の比較から、放熱部材としてカーボングラファイトシート50をその端部51が筐体30の押圧部35に押圧されるように支持台40に配置することで、筐体30内の発熱部品21の熱が3℃低くなっていることがわかる。これは、カーボングラファイトシート50の一部を筐体30の押圧部35に押圧することにより、発熱部品21の熱が上記放熱経路,台座33および押圧部35等を介してカーボングラファイトシート50に伝熱されて放熱されるためであり、筐体30に収容された発熱部品21等を好適に冷却できることがわかる。
【0036】
また、図6の温度T2および温度T3の比較から、ねじ部材61の締め付けトルクを増加させることで、筐体30内の発熱部品21の熱がさらに1.3℃低くなっていることがわかる。これは、端部51を筐体30の押圧部35に押圧する押圧力(締結力)が適度に増加することにより、端部51における押圧方向への接触熱抵抗が低減されるためであり、筐体30およびカーボングラファイトシート50間の伝熱がより促進されて、筐体30に収容された発熱部品21等をさらに冷却できることがわかる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る電子装置10では、発熱部品21を実装した回路基板20が収容される筐体30を車体Bに取り付ける支持台40の表面の一部には、カーボングラファイトシート50が配置されており、このカーボングラファイトシート50の一部が、筐体30の押圧部35により当該筐体30に押圧されている。
【0038】
これにより、発熱部品21等からの熱は、筐体30の押圧部35を介してカーボングラファイトシート50に伝熱されて放熱されるので、樹脂製の支持台40を採用する場合でも筐体30の放熱性を高めることができる。特に、カーボングラファイトシート50の端部1が、筐体30の押圧部35により当該筐体30に押圧されるため、筐体30とカーボングラファイトシート50との接触領域が確保されて、これら筐体30およびカーボングラファイトシート50間の伝熱を促進することができる。
したがって、樹脂製の支持台40を介して取り付けられる筐体30に収容された発熱部品21等の電子部品を好適に冷却することができる。
【0039】
また、押圧部35は、筐体30の外面のうち支持台40の平板部41に対向する対向部位であって、当該平板部41とによりカーボングラファイトシート50の端部51を挟み込むことで押圧するため、カーボングラファイトシート50の端部51を筐体30に対して容易に押圧することができ、筐体30およびカーボングラファイトシート50間の伝熱を確実に促進することができる。
【0040】
さらに、押圧部35には、筐体30を締結するためのねじ部材61による締結力が、カーボングラファイトシート50の端部51を押圧する押圧力として作用するため、この端部51を筐体30に対して押圧する押圧力を容易に高めることができる。特に、上記押圧力をより高めるようにねじ部材61による締結を実施することで、上記押圧部分における押圧方向への接触熱抵抗が低減されるので、筐体30およびカーボングラファイトシート50間の伝熱をより確実に促進することができる。
【0041】
図7は、本実施形態の第1変形例に係る電子装置10の要部を示す断面図である。
図7に示すように、本実施形態の第1変形例として、カーボングラファイトシート50は、その端部51が筐体30aの下ケース31と上ケース32とを組み付ける際の組み付け部位の一部にて挟み込むことで押圧されてもよい。この場合、下ケース31と上ケース32とを組み付ける際の組み付け部位が押圧部35aとして機能する。
【0042】
このようにしても、カーボングラファイトシート50の端部51を筐体30aに対して確実に押圧することができ、筐体30aおよびカーボングラファイトシート50間の伝熱を確実に促進することができる。なお、筐体が複数のケースを組み付けることで構成される場合であっても、各ケースのいずれか2つを組み付ける際の組み付け部位の一部を上述のように押圧部として機能させることで、上記作用効果を奏する。
【0043】
本実施形態の第2変形例として、カーボングラファイトシート50の端部51に接触する押圧部35の接触面は、その面粗度が筐体30の他の面に対して小さく(細かく)なるように形成されてもよい。これにより、カーボングラファイトシート50と押圧部35とが実際に接触する領域の接触面積が増加するので、筐体30およびカーボングラファイトシート50間の伝熱をさらに促進することができる。なお、この第2変形例の特徴的構成を他の変形例に適用してもよい。
【0044】
図8は、本実施形態の第3変形例に係る電子装置10の要部を示す断面図である。
図8に示すように、本実施形態の第3変形例として、カーボングラファイトシート50の他の一部(以下、他側端部52という)を、支持台40と車体Bとにより挟み込むように押圧してもよい。これにより、カーボングラファイトシート50に伝熱された熱が他側端部52を介して車体Bに伝熱されるので、カーボングラファイトシート50を介した放熱効果をさらに高めることができる。特に、ボルト62の締結力を適度に増加させることで、他側端部52を介した放熱効果をより高めることができる。なお、この第3変形例の特徴的構成を他の変形例に適用してもよい。
【0045】
図9は、本実施形態の第4変形例に係る電子装置10の要部を示す断面図である。
本実施形態の第4変形例として、カーボングラファイトシートは、押圧部35から離間する部位の表面積が当該押圧部35に近接する部位の表面積に対して小さくなるように形成されて、支持台40の表面の一部に配置されてもよい。具体的には、例えば、図9に例示するように、カーボングラファイトシート50aは、貫通穴41a近傍(押圧部35)から離間するほど幅(支持台40に沿う方向の長さ)が狭くなるようにテーパ状に形成することができる。
【0046】
カーボングラファイトシート50a(50)を介した放熱は、伝熱される部位、すなわち、押圧部35から離間するほどその放熱効果が低減するので、放熱効果が低い押圧部35から離間する部位の表面積を小さくすることで、必要な放熱性を確保しつつカーボングラファイトシート50aを採用することによる材料コストを低減することができる。なお、この第4変形例の特徴的構成を他の変形例に適用してもよい。
【0047】
なお、本発明は上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明に係る電子装置の構成は、車載機器を制御するECUとして構成されることに限らず、軽量化と放熱性との両立が求められる支持台を有する電子装置に適用されてもよい。
【0048】
(2)筐体30,30aは、下ケース31と上ケース32とを組み付けることで構成されることに限らず、箱状のケースにカバーを組み付けることで上記収容空間を形成するように構成されてもよいし、複数のケースを組み付けることで上記収容空間を形成するように構成されてもよい。
【0049】
(3)カーボングラファイトシート50,50aは、支持台40のに対して、4つの脚部42の全てに配置されることに限らず、例えば、各脚部42のうち高い放熱効果が得られる脚部42等の一部の脚部42に対してのみ配置されてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…電子装置
20…回路基板(発熱する電子部品)
21…発熱部品(発熱する電子部品)
30,30a…筐体
31…下ケース
32…上ケース
35,35a…押圧部
40…支持台
41…平板部
42…脚部
50,50a…カーボングラファイトシート
51…端部(カーボングラファイトシートの一部)
52…他側端部(カーボングラファイトシートの他の一部
61…ねじ部材(締結部材)
B…車体(被取付部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱する電子部品が収容される筐体と、この筐体を被取付部材に取り付けるための樹脂製の支持台と、を備える電子装置であって、
前記支持台の表面の一部には、カーボングラファイトシートが配置され、
前記カーボングラファイトシートの一部が、前記筐体の押圧部により当該筐体に押圧されることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記押圧部は、前記筐体の外面のうち前記支持台の一部に対向する対向部位であって、当該支持台の一部とにより前記カーボングラファイトシートの一部を挟み込むことで押圧することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記筐体は、複数のケースを組み付けて構成されており、
前記押圧部は、前記各ケースのいずれか2つを組み付ける際の組み付け部位の一部であって、この組み付け部位に前記カーボングラファイトシートの一部を挟み込むことで押圧することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記押圧部には、前記筐体を締結するための締結部材による締結力が、前記カーボングラファイトシートの一部を押圧する押圧力として作用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項5】
前記カーボングラファイトシートに接触する前記押圧部の接触面は、その面粗度が前記筐体の他の面に対して小さくなるように形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項6】
前記カーボングラファイトシートの他の一部は、前記支持台と前記被取付部材とにより挟み込まれて押圧されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項7】
前記カーボングラファイトシートは、前記押圧部から離間する部位の表面積が当該押圧部に近接する部位の表面積に対して小さくなるように、前記支持台の表面の一部に配置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−234859(P2012−234859A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100444(P2011−100444)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】