説明

電子装置

【課題】ノイズ除去用のコンデンサの組み付けが容易な構造を備えた電子装置を提供する。
【解決手段】電子装置は、導電性のケース10と、一面21に回路チップ30が搭載されると共に他面22がケース10の内部に固定された基板20と、一端41が回路チップ30に電気的に接続されると共に他端42が外部に電気的に接続されるターミナル40と、を備えて構成されている。また、ターミナル40は、一部の表面に積層された誘電体層44と、この誘電体層44の上に積層された電極層45と、を有している。そして、ターミナル40、誘電体層44、および電極層45によりノイズ除去用のコンデンサ部43が構成され、コンデンサ部43の電極層45がケース10に電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一部がコンデンサとして機能するターミナルを備えた電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電磁両立性の改善(EMC保護)のためのチップコンデンサを備えたセンサモジュールが、例えば特許文献1で提案されている。具体的に、センサモジュールは、ケーシング部分と、回路チップと、外部との電気的接続のためのターミナルと、を備えている。ケーシング部分の内室には配線パターンとしての導電体が設けられている。そして、チップコンデンサはこの導電体の一部に組み付けられ、ターミナルと回路チップとの間に接続されている。これにより、ターミナルを介してセンサモジュールに入ってくるノイズがチップコンデンサによって除去されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007−501937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、チップコンデンサは非常に小さい電子部品であるので、ケーシング部分に設けられた導電体への組み付けが非常に煩雑になるという問題がある。
【0005】
ここで、特開平10−332516号公報には、導電性の蓋部にこの蓋部を貫通する円筒状の貫通コンデンサが設けられた構成が提案されている。貫通コンデンサは円筒状の内側の電極と円筒状の外側の電極との間に誘電体が設けられて構成された環状のものであり、外側の電極が蓋部に固定されている。そして、内側の電極の中空部に外部接続用のピンが差し込まれ、ピンと内側の電極とが電気的に接続される構成になっている。しかし、貫通コンデンサを予め蓋部に設けておく必要があることや、ピンを内側の電極に差し込んで電気的接続を行う工程が必要であること等の組み付けの煩雑さは解消されていない。
【0006】
本発明は上記点に鑑み、ノイズ除去用のコンデンサの組み付けが容易な構造を備えた電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、中空状であると共に導電性のケース(10、81)を備えている。また、一面(21)およびこの一面(21)の反対側の他面(22)を有し、一面(21)に回路チップ(30)が搭載され、他面(22)がケース(10、81)の内部に固定された基板(20)を備えている。また、一端(41)および他端(42)を有し、一端(41)が回路チップ(30)に電気的に接続され、他端(42)が外部に電気的に接続されるターミナル(40)を備えている。
【0008】
さらに、ターミナル(40)は、一端(41)と他端(42)との間の一部の表面に積層された誘電体層(44)と、この誘電体層(44)の上に積層された電極層(45)と、を有している。
【0009】
そして、ターミナル(40)、誘電体層(44)、および電極層(45)によりノイズ除去用のコンデンサ部(43)が構成され、コンデンサ部(43)の電極層(45)がケース(10、81)に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0010】
これによると、ターミナル(40)の一部がノイズ除去用のコンデンサとして機能するので、基板(20)にノイズ除去用のチップコンデンサを実装する必要がない。したがって、ノイズ除去用のコンデンサの組み付けが容易な構造を備えた電子装置を提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、基板(20)は、一面(21)と他面(22)との間を貫通する貫通孔(23)と、この貫通孔(23)に埋め込まれると共にケース(10、81)に電気的に接続された配線部(24)と、を有している。そして、コンデンサ部(43)の電極層(45)は、配線部(24)に電気的に接続されると共に配線部(24)によってケース(10、81)に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0012】
これによると、基板(20)にチップコンデンサが実装されずに、配線部(24)のための貫通孔(23)が設けられるだけであるので、チップコンデンサが搭載される面積分だけ基板(20)を小型化することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、ケース(10、81)の内壁(13)に固定された導電体(50)を有している。そして、コンデンサ部(43)の電極層(45)は、導電体(50)に電気的に接続されると共に導電体(50)によってケース(10、81)に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0014】
これによると、基板(20)にはケース(10、81)と電気的に接続される配線部(24)が設けられていないので、基板(20)とケース(10、81)とを完全に絶縁することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、ケース(10、81)は、当該ケース(10、81)の内壁(13)の一部が突出した突起部(14)を有している。そして、コンデンサ部(43)の電極層(45)は、突起部(14)に電気的に接続されると共に突起部(14)によってケース(10、81)に電気的に接続されていることを特徴とする。これにより、電極層(45)とケース(10、81)とを接続するための部品を削減することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明では、ケース(10、81)の内壁(13)に固定された導電性の弾性体(70)を有している。そして、コンデンサ部(43)の電極層(45)は、弾性体(70)に電気的に接続されると共に弾性体(70)によってケース(10、81)に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0017】
これによると、弾性体(70)がケース(10、81)の振動を吸収するので、ケース(10、81)からターミナル(40)を介して回路チップ(30)に振動が伝達することを防止することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明では、ケース(10、81)は、当該ケース(10、81)の内部と外部とを繋ぐ取り出し口(11)を有している。また、ターミナル(40)は、電極層(45)が取り出し口(11)に位置するようにケース(10、81)の取り出し口(11)に挿入されている。そして、コンデンサ部(43)の電極層(45)は、導電性接着剤(60)によってケース(10、81)の取り出し口(11)に固定されると共に導電性接着剤(60)によってケース(10、81)に電気的に接続されていることを特徴とする。これにより、電極層(45)とケース(10、81)とを直接接続した構造を得ることができる。
【0019】
請求項7に記載の発明では、ターミナル(40)を複数備え、複数のターミナル(40)にそれぞれ設けられた電極層(45)がそれぞれ電気的に接続されている。そして、複数のターミナル(40)にそれぞれ設けられた電極層(45)のうちのいずれかがケース(10、81)に電気的に接続されていることを特徴とする。これによると、複数のターミナル(40)のどの経路からでもノイズをケース(10、81)に除去することができる。
【0020】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子装置の断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る電子装置の断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る電子装置の断面図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る電子装置の断面図である。
【図5】本発明の第5実施形態に係る電子装置の断面図である。
【図6】本発明の第6実施形態に係る電子装置の断面図である。
【図7】本発明の第7実施形態に係る電子装置の断面図である。
【図8】本発明の第8実施形態に係る電子装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0023】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る電子装置の断面図である。この図に示されるように、電子装置は、ケース10と、基板20と、回路チップ30と、ターミナル40と、を備えて構成されている。
【0024】
ケース10は、電子装置の外観をなすものであり、中空状の筐体である。ケース10は内部に基板20、回路チップ30、およびターミナル40の一部を収納している。また、ケース10は、内部と外部とを繋ぐ取り出し口11を有している。そして、ケース10は導電性の筐体であり、例えば金属材料で形成されている。このため、ケース10はGNDとされる。
【0025】
基板20は、一面21およびこの一面21の反対側の他面22を有する板状の配線基板である。基板20は例えばプリント基板として構成されている。基板20の一面21には図示しない配線パターンが形成され、この配線パターンに応じて図示しない電子部品が実装されている。基板20の他面22はケース10に固定される面である。すなわち、基板20はケース10の中空部に配置されている。基板20は接着剤、かしめ、ネジ止め等によりケース10の内部に固定されている。
【0026】
回路チップ30は、例えば加速度等の物理量を検出するように構成されたセンサチップである。この回路チップ30は基板20の一面21に搭載されている。なお、回路チップ30は、加速度センサとしてのセンサチップの他、圧力センサや光センサ等のセンサチップとして構成されたものでも良い。
【0027】
ターミナル40は、回路チップ30と外部とを電気的に接続するための外部接続端子であり、一端41および他端42を有している。また、ターミナル40は、黄銅等のターミナル素材がプレス加工やエッチング加工されることで形成されたものである。
【0028】
ターミナル40の一端41はケース10の内部に位置すると共に、ボンディングワイヤ31を介して回路チップ30の回路に電気的に接続されている。ターミナルの他端42側はケース10に設けられた取り出し口11に挿入され、ターミナル40の他端42がケース10の外部に位置している。このターミナル40の他端42は、図示しない外部コネクタ等に接続される。
【0029】
また、ターミナル40とケース10の取り出し口11との間には樹脂等の封止部材12が設けられている。これにより、ターミナル40とケース10との絶縁が図られている。
【0030】
上記のような電子装置の構成において、ターミナル40の一部がコンデンサとして機能するように、ターミナル40の一部にコンデンサ部43が設けられている。具体的に、ターミナル40の一端41と他端42との間の一部の表面に誘電体層44が積層され、この誘電体層44の上に電極層45が積層されている。これにより、ターミナル40、誘電体層44、および電極層45によるコンデンサ部43が構成されている。
【0031】
本実施形態では、ターミナル40はL字状に折り曲げられており、このL字部分を含むように誘電体層44および電極層45が形成されている。ターミナル40の一端41にボンディングワイヤ31を接続するため、ターミナル40の一端41が露出するように誘電体層44および電極層45の積層体が形成されている。
【0032】
誘電体層44は、例えばSrTiO(比誘電率:100〜200)や(Br,Sr)TiO(比誘電率:200〜500)等の高誘電材料で形成されている。また、電極層45はAu、Al、Ag、Cu等の金属材料で形成されている。これら誘電体層44および電極層45は、ターミナル40に蒸着やめっきの方法により形成される。これら誘電体層44および電極層45は、ターミナル40の長軸の軸回りに一周して形成されている。
【0033】
誘電体層44および電極層45は、以下のように形成することができる。一つの方法としては、ターミナル40の全体に誘電体層44および電極層45を順に形成した後に誘電体層44および電極層45の不要な部分を削ることによりターミナル40の一部に誘電体層44および電極層45を形成する方法である。また、別の方法として、ターミナル40のうちコンデンサ部43となる部分が露出するように予めターミナル40にマスキングを行い、ターミナル40のうちマスキングされていない部分に選択的に誘電体層44および電極層45の積層体を形成する方法でも良い。
【0034】
このような構成のコンデンサ部43は、ターミナル40を介して外部から電子装置に侵入するノイズを除去するためのノイズ除去用のコンデンサとして機能する。ここで、コンデンサ部43のコンデンサとしての性能は、誘電体層44の厚みや表面積の大きさによって決まる。したがって、除去したいノイズの種類に応じて誘電体層44の厚みやターミナル40に形成する表面積を調整することにより、様々な静電容量を確保できる。
【0035】
また、基板20は、一面21と他面22との間を貫通する貫通孔23を有し、この貫通孔23に埋め込まれた配線部24を有している。すなわち、配線部24は貫通電極である。貫通孔23はプリント基板20に予め設けられている。配線部24は、基板20の一面21に配線パターンを形成する際のめっき処理等で形成される。
【0036】
そして、基板20の他面22に露出する配線部24の一部は例えばAgペースト等の導電性接着剤によりケース10に電気的に接続されている。
【0037】
一方、ターミナル40の一端41側は、コンデンサ部43の部分が基板20に実装されている。ここで、コンデンサ部43を構成する電極層45が配線部24の上に位置すると共に、電極層45と配線部24とがAgペースト等で接着されている。これにより、コンデンサ部43の電極層45は、配線部24に電気的に接続されると共に配線部24によってケース10に電気的に接続される。
【0038】
上記のような電子装置の構成では、ターミナル40の一部がノイズ除去用のコンデンサ部43として構成されている。このため、外部からターミナル40にノイズが入力されたとしても、ノイズはコンデンサ部43の電極層45から配線部24を介してケース10に伝達される。したがって、電子装置の内部に入ってきたノイズをGNDであるケース10に逃がすことができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態では、ターミナル40の一部がコンデンサとして機能するコンデンサ部43として構成され、このコンデンサ部43の電極層45が配線部24を介してケース10に電気的に接続されていることが特徴となっている。このように、ターミナル40の一部がノイズ除去用のコンデンサとして機能するので、非常に小さいチップコンデンサを基板20に組み付ける必要がなく、容易な構造の電子装置を実現することができる。
【0040】
また、基板20にはチップコンデンサが実装されずに貫通孔23と配線部24とで構成された貫通電極が設けられるだけで良いので、チップコンデンサが搭載される面積分だけ基板20を小型化することができる。
【0041】
そして、本実施形態ではターミナル40としてL字状のものを用いているため、電子装置を立体的に構成することができる。
【0042】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。図2は、本実施形態に係る電子装置の断面図である。この図に示されるように、電子装置は導電体50を有している。導電体50は、ワイヤ等の配線である。
【0043】
そして、導電体50の一端側はAgペースト等の導電性接着剤60によりケース10の内壁13に接着固定されている。また、導電体50の他端側は導電性接着剤60によりコンデンサ部43の電極層45に接着固定されている。これにより、コンデンサ部43の電極層45は、導電体50によってケース10に電気的に接続されている。
【0044】
このように、導電体50によってケース10とコンデンサ部43の電極層45とを直接接続することができる。この構造では、基板20に貫通孔23と配線部24とを設ける必要がないという利点と、基板20とケース10とを完全に絶縁できるという利点がある。
【0045】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分について説明する。図3は、本実施形態に係る電子装置の断面図である。この図に示されるように、ケース10には当該ケース10の内壁13の一部が突出した突起部14が設けられている。そして、コンデンサ部43の電極層45はケース10の突起部14に導電性接着剤60を介して電気的に接続されている。このように、コンデンサ部43の電極層45は突起部14によってケース10に電気的に接続されている。
【0046】
上記の構成では、第2実施形態と同様に基板20に貫通孔23および配線部24を設ける必要がない。また、ケース10の一部が電気的接続部として機能するため、電極層45とケース10とを接続するための部品を削減することができる。
【0047】
(第4実施形態)
本実施形態では、第1〜第3実施形態と異なる部分について説明する。図4は、本実施形態に係る電子装置の断面図である。この図に示されるように、電子装置は弾性体70を有している。この弾性体70は、バネ部材や導電ゴム等の導電性の部品である。
【0048】
そして、弾性体70の一端側はAgペースト等によりケース10の内壁13に接着固定されている。また、導電体50の他端側はAgペースト等によりコンデンサ部43の電極層45に接着固定されている。これにより、コンデンサ部43の電極層45は、弾性体70によってケース10に電気的に接続されている。
【0049】
この構造では、弾性体70はフレキシブルに変形するため、弾性体70がケース10の振動を吸収する。このため、ケース10の振動がターミナル40に伝わりにくいという利点がある。回路チップ30が振動に対して敏感な信号(例えば加速度等)を取り扱うように構成されている場合、ケース10の振動が物理量の検出に影響を及ぼさないようにすることができる。
【0050】
(第5実施形態)
本実施形態では、第1〜第4実施形態と異なる部分について説明する。図5は、本実施形態に係る電子装置の断面図である。この図に示されるように、ターミナル40は、コンデンサ部43の電極層45が取り出し口11に位置するようにケース10の取り出し口11に挿入されている。また、電極層45は導電性接着剤60によってケース10の取り出し口11に固定されると共に導電性接着剤60によってケース10に電気的に接続されている。このように、ケース10と電極層45とを直接接続することもできる。
【0051】
(第6実施形態)
本実施形態では、第1〜第5実施形態と異なる部分について説明する。通常、電子装置はターミナル40を複数備えている。本実施形態では、各ターミナル40にノイズが入ってきても、ノイズをケース10に除去できるようにしたことが特徴となっている。
【0052】
図6は、本実施形態に係る電子装置の断面図である。この図に示されるように、コンデンサ部43が設けられた複数のターミナル40がそれぞれ基板20に実装されている。そして、各ターミナル40にそれぞれ設けられた電極層45が第2実施形態で示された導電体50を介してそれぞれ電気的に接続されている。
【0053】
また、基板20には第1実施形態と同様に貫通孔23と配線部24とが形成されている。そして、複数のターミナル40のうちの1つが配線部24の上に配置されている。このため、この電極層45が配線部24を介してケース10に電気的に接続されている。このように、各電極層45が電気的に接続されており、そのうちの少なくとも1つがケース10に電気的に接続されているので、どのターミナル40にノイズが入ってもケース10に除去することができる。
【0054】
なお、各電極層45を電気的に接続する手段は導電体50に限らず、第4実施形態で示された弾性体70を用いても良い。もちろん、他の部品を用いても良い。また、複数のターミナル40のうちの1つの電極層45とケース10とを電気的に接続する手段は配線部24に限らず、第2実施形態で示された導電体50でも良いし、第3実施形態で示された突起部14でも良いし、第4実施形態で示された弾性体70でも良い。また第5実施形態のように電極層45をケース10に直接接続しても良い。さらに、ケース10に接続する電極層45は1つに限らず、2つでも3つでも良い。
【0055】
(第7実施形態)
本実施形態では、第1〜第6実施形態と異なる部分について説明する。上記各実施形態では、L字状のターミナル40を用いていたが、図7に示されるようにターミナル40として直線状のものを用いても良い。
【0056】
なお、図7では電極層45とケース10との電気的接続手段として配線部24が示されているが、もちろん上述した他の手段を用いても良い。
【0057】
(第8実施形態)
本実施形態では、第1〜第7実施形態と異なる部分について説明する。図8は、本実施形態に係る電子装置の断面図である。この図に示されるように、本実施形態では電子装置を圧力センサとして構成している。このため、電子装置は圧力導入孔80を備えたハウジング81と、ターミナル82がインサート成型されたコネクタ83とを有している。回路チップ30は圧力を検出するように構成されており、ハウジング81に設けられたダイヤフラム84の上に配置されている。これにより、圧力導入孔80に導入された圧力媒体によるダイヤフラム84の変形が回路チップ30により検出される構成となっている。
【0058】
基板20はハウジング81に設けられ、配線部24がハウジング81と電気的に接続されている。また、ターミナル40は第1実施形態と同様に基板20に固定され、電極層45が配線部24と電気的に接続されている。
【0059】
そして、本実施形態では、ターミナル40の他端42は別のターミナル82に接続されている。すなわち、本実施形態に係るターミナル40は端子としてではなく、配線として機能している。このように、ターミナル40が配線として用いられていても、このターミナル40の一部をコンデンサ部43として構成することができ、ノイズ除去用として用いることができる。
【0060】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、ハウジング81が特許請求の範囲の「ケース」に対応する。
【0061】
もちろん、本実施形態においても、電極層45とケース10との電気的接続手段は配線部24に限らず上述した他の手段を用いても良い。
【0062】
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された電子装置の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明を実現できる他の構成とすることもできる。例えば、上記各実施形態ではコンデンサ部43を構成する誘電体層44および電極層45はターミナル40の長軸の軸回りに一周して形成されているが、一周ではなく誘電体層44および電極層45は部分的に設けられていても良い。除去したいノイズに応じて誘電体層44の厚みおよび表面積を調整すれば良い。
【0063】
また、上記各実施形態では、回路チップ30は物理量を検出するセンサチップとして構成されていたが、これは一例であり、回路チップ30が物理量を検出するように構成されていなくても良い。例えば、回路チップ30は信号処理回路が形成されたものでも良い。
【0064】
さらに、ケース10やハウジング81は中空状になっているが、この中空部分が必ずしも密閉されている必要はない。例えばケース10やハウジング81が有底筒状のものでも良い。
【符号の説明】
【0065】
10 ケース
11 取り出し口
13 ケースの内壁
14 突起部
20 基板
23 貫通孔
24 配線部
30 回路チップ
40 ターミナル
41 一端
42 他端
43 コンデンサ部
44 誘電体層
45 電極層
50 導電体
60 導電性接着剤
70 弾性体
81 ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状であると共に導電性のケース(10、81)と、
一面(21)およびこの一面(21)の反対側の他面(22)を有し、前記一面(21)に回路チップ(30)が搭載され、前記他面(22)が前記ケース(10、81)の内部に固定された基板(20)と、
一端(41)および他端(42)を有し、前記一端(41)が前記回路チップ(30)に電気的に接続され、前記他端(42)が外部に電気的に接続されるターミナル(40)と、を備え、
前記ターミナル(40)は、前記一端(41)と前記他端(42)との間の一部の表面に積層された誘電体層(44)と、この誘電体層(44)の上に積層された電極層(45)と、を有し、
前記ターミナル(40)、前記誘電体層(44)、および前記電極層(45)によりノイズ除去用のコンデンサ部(43)が構成され、前記コンデンサ部(43)の前記電極層(45)が前記ケース(10、81)に電気的に接続されていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記基板(20)は、前記一面(21)と前記他面(22)との間を貫通する貫通孔(23)と、この貫通孔(23)に埋め込まれると共に前記ケース(10、81)に電気的に接続された配線部(24)と、を有し、
前記コンデンサ部(43)の前記電極層(45)は、前記配線部(24)に電気的に接続されると共に前記配線部(24)によって前記ケース(10、81)に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記ケース(10、81)の内壁(13)に固定された導電体(50)を有し、
前記コンデンサ部(43)の前記電極層(45)は、前記導電体(50)に電気的に接続されると共に前記導電体(50)によって前記ケース(10、81)に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記ケース(10、81)は、当該ケース(10、81)の内壁(13)の一部が突出した突起部(14)を有し、
前記コンデンサ部(43)の前記電極層(45)は、前記突起部(14)に電気的に接続されると共に前記突起部(14)によって前記ケース(10、81)に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項5】
前記ケース(10、81)の内壁(13)に固定された導電性の弾性体(70)を有し、
前記コンデンサ部(43)の前記電極層(45)は、前記弾性体(70)に電気的に接続されると共に前記弾性体(70)によって前記ケース(10、81)に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
前記ケース(10、81)は、当該ケース(10、81)の内部と外部とを繋ぐ取り出し口(11)を有し、
前記ターミナル(40)は、前記電極層(45)が前記取り出し口(11)に位置するように前記ケース(10、81)の前記取り出し口(11)に挿入されており、
前記コンデンサ部(43)の前記電極層(45)は、導電性接着剤(60)によって前記ケース(10、81)の取り出し口(11)に固定されると共に前記導電性接着剤(60)によって前記ケース(10、81)に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項7】
前記ターミナル(40)を複数備え、前記複数のターミナル(40)にそれぞれ設けられた電極層(45)がそれぞれ電気的に接続されており、
前記複数のターミナル(40)にそれぞれ設けられた電極層(45)のうちのいずれかが前記ケース(10、81)に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の電子装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−8849(P2013−8849A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140707(P2011−140707)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)