説明

電子財布装置、通信方法及びプログラム

【課題】非接触ICカードがアンチコリジョンに対応しているか否かに関わらず、同時に携帯される複数枚の非接触ICカードの中から所望のカードを的確に選択して外部装置と通信させること。
【解決手段】複数の非接触ICカード1を収納可能な収納部と、外部装置20と非接触通信を行うための外部通信用アンテナ107と、収納部に収納されたICカード1と非接触通信を行うためのカード通信用アンテナ109と、相異なる複数のカード選択基準に基づいて、複数のICカード1の中から、外部装置との通信に使用するICカード1の候補を絞り込み、少なくとも1つのICカード1を選択するカード選択部130と、選択されたICカードと外部装置20とをアンテナ107及び109を介して通信可能に接続する通信制御部140と、を備える電子財布装置10が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子財布装置、通信方法及びプログラムに関し、特に、収納された複数の非接触ICカードの中から外部装置との通信に使用するカードを好適に選択するための電子財布装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アンテナコイルとICチップとを内蔵した非接触ICカードを用いたサービスが、日常社会において急速に普及してきている。この非接触ICカードは、財布やICカードホルダー等に入れたままの状態であっても、ホスト装置のリーダライタにかざすだけで、データ通信可能であるので、利便性が高い。このため、かかる非接触ICカードは、例えば、電子マネーシステム、交通機関の改札システム、社員証等による入館・入室用システムなど、種々のサービスを提供するICカードシステムに応用されている。このような非接触ICカードの利用範囲の拡大に伴い、ユーザが同種又は異種のサービスに関する複数枚の非接触ICカードを携帯することは珍しいことではなくなってきている。
【0003】
かかるユーザは、一般的に、複数枚の非接触ICカードを財布やバック、ICカードホルダー等に入れて携帯する。このようにまとめて携帯された複数枚の非接触ICカードを同時にリーダライタにかざすと、複数枚の非接触ICカードがリーダライタの通信範囲内(リーダライタの発する電磁波の有効範囲内)に存在することとなる。この場合、複数枚の非接触ICカードのアンテナコイルが互いに磁気結合してしまい、本来の共振周波数から大幅にずれ、いずれの非接触ICカードも通信できなくなるという問題がある。
【0004】
かかる問題を解決する手法として、例えば特許文献1には、2枚の非接触ICカード間に干渉防止体を配置したICカードホルダーが提案されている。しかし、このICカードホルダーでは、使用時に所望の非接触ICカードが収納されている側の面をリーダライタにかざす必要があり、結局の所、使用するカードをユーザ自身が選択しなければならないという不便さがあった。
【0005】
また、複数の非接触ICカードを同時にリーダライタにかざす場合に対応するためには、ICカードシステムにデータの衝突に対する検出・回避方法(所謂「アンチコリジョン」)を実装する必要がある。このアンチコリジョンは、複数の非接触ICカードがリーダライタの通信範囲内に存在する場合に、それぞれのカードを個別に処理する方法のことであり、例えば、タイムスロット方式、スロットマーカー方式などがある。
【0006】
【特許文献1】特開2005−11044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、現状では、アンチコリジョンに対応したICカードシステムが存在する一方で、アンチコリジョン非対応のICカードシステムも存在する。後者のシステムでは、ホスト装置のリーダライタに対して複数枚の非接触ICカードをかざした場合、リーダライタは各カードを認識できない。このため、ユーザは、ICカードホルダーから所望の非接触ICカードを取り出して、リーダライタにかざすといった不自由を強いられる。
【0008】
また、近接型の非接触ICカードの通信方式は、国際規格であるISO/IEC 14443規格で標準化されているが、この規格では、複数枚の非接触ICカードがリーダライタの通信範囲内に存在する場合でも、いずれかのカードを優先的に選択する仕組みが提供されている。例えば、ISO/IEC 14443で規格化されたTypeB方式では、リーダライタが非接触ICカードを検出するために送信するリクエストコマンドである「REQBコマンド」で、選択したい非接触ICカードのアプリケーション(交通機関用途、電子マネー用途など)を識別する識別子を指定することができる。この場合、指定された識別子を有する非接触ICカードだけがリーダライタに応答を返すことで、目的の非接触ICカードを選択することができる。
【0009】
しかしながら、かかるカード選択手法であっても、同種のサービスに関する非接触ICカードを複数枚携帯したときには、ユーザ所望のカードを自動的に選択することはできない。実際のユースケースでは、ユーザは、各非接触ICカードがアンチコリジョンに対応しているか否かを意識して区別せず、また、同種又は異種のサービスに関する複数枚の非接触ICカードを渾然一体と携帯する場合が多いと考えられる。また、交通機関カードのように、非接触ICカードの種類によっては、ある特定の地域、システムでしか使用できないタイプも存在する。さらには、ユーザが、携帯している複数枚の同種のカードの中から、使用したいカード/使用したくないカードを選別したい場合もある。このようにユーザが多種多様なタイプの非接触ICカードを複数枚携帯するといった状況下では、これら複数枚の非接触ICカードの中から、リーダライタとの通信に使用するカードを的確に選択できるような仕組みが希求されていた。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、非接触ICカードがアンチコリジョンに対応しているか否かに関わらず、同時に携帯される複数枚の非接触ICカードの中から、所望のカードを的確に選択して、外部装置と通信させることが可能な、新規かつ改良された電子財布装置、通信方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、外部装置と非接触通信可能な複数の非接触ICカードを収納可能な収納部と;前記外部装置と非接触通信を行うための外部通信用アンテナと;前記収納部に収納された前記複数の非接触ICカードと非接触通信を行うためのカード通信用アンテナと;前記外部装置から前記外部通信用アンテナを介して所定のサービスに関連する通信要求を受信すると、相異なる複数のカード選択基準に基づいて、前記収納部に収納された前記複数の非接触ICカードの中から、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補を絞り込み、少なくとも1つの非接触ICカードを選択するカード選択部と;前記カード選択部により選択された前記非接触ICカードと前記外部装置とを、前記外部通信用アンテナ及び前記カード通信用アンテナを介して通信可能に接続する通信制御部と;を備えることを特徴とする、電子財布装置が提供される。
【0012】
かかる構成により、電子財布装置は、外部装置から外部通信用アンテナを介して所定のサービスに関連する通信要求を受信すると、カート選択部により、相異なる複数のカード選択基準に基づいて、収納部に収納された複数の非接触ICカードの中から、外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補が絞り込まれ、少なくとも1つの非接触ICカードが選択される。さらに、通信制御部により、カード選択部により選択された非接触ICカードと外部装置とが、外部通信用アンテナ及びカード通信用アンテナを介して通信可能に接続される。これにより、収納部に収納された複数の非接触ICカードの中から、複数のカード選択基準に基づいて、所定のサービスに関する外部装置との通信に適した非接触ICカードを自動的に選択して、当該選択された非接触ICカードと外部装置とが、所定のサービスに関してデータ通信できる。このため、電子財布装置に収納された複数の非接触ICカードがアンチコリジョン対応であるか否かに関わらず、所望の非接触ICカードを選択して好適に通信できる。
【0013】
また、前記カード選択部は、前記通信要求に含まれるコードに応じた優先順位に従って、前記複数のカード選択基準を順次適用して、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補を絞り込むようにしてもよい。外部装置からの通信要求に含まれるコードは、外部装置の提供するサービスに対応している。このため、通信相手先の外部装置のサービスに適した順序で、複数のカード選択基準を順次適用して、候補カードを絞り込むことができるので、カード選択処理を効率的に実行できる。
【0014】
また、前記カード選択部は、前記通信要求に含まれるコードに応じて、前記複数のカード選択基準のうち少なくとも一部を選択し、当該選択したカード選択基準を順次適用して、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補を絞り込むようにしてもよい。これにより、通信相手先の外部装置のサービスに適したカード選択基準を取捨選択して、適切なカード選択基準を適用して、候補カードを絞り込むことができるので、カード選択処理を効率的に実行できる。
【0015】
また、前記各非接触ICカードが対応可能なサービスエリアを表すサービスエリア情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記カード選択部は、前記電子財布装置の現在位置を検出する測位システムから、前記電子財布装置の現在位置情報を取得し、前記現在位置情報と、前記記憶部から読み出した前記サービスエリア情報とに基づいて、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補を絞り込むようにしてもよい。これにより、非接触ICカードの使用可能エリアにより、候補カードを絞り込むことができるので、電子財布装置の現在位置で使用可能な適切な非接触ICカードを選択できる
【0016】
また、前記収納部に収納された前記複数の非接触ICカードが対応するサービスに関連するコードを、記憶部に登録するカード内部情報登録部をさらに備え、前記カード選択部は、前記外部装置から受信した前記通信要求に含まれるコードと、前記記憶部から読み出したコードとに基づいて、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補を絞り込むようにしてもよい。これにより、電子財布装置が外部装置から受信したコードにより、候補カードを絞り込むことができるので、外部装置の提供するサービスに対応した適切な非接触ICカードを選択できる。
【0017】
また、前記カード選択部は、前記収納部に収納された前記複数の非接触ICカード内に記憶されているカード内部情報に基づいて、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補を絞り込むようにしてもよい。これにより、カード内部情報により、候補カードを絞り込むことができるので、同種のサービスに対応する複数の非接触ICカードの中から適切な非接触ICカードを選択できる。
【0018】
また、前記カード内部情報に基づいて、サービスごとに前記複数の非接触ICカードの優先順位を決定する優先順位決定部をさらに備え、前記カード選択部は、前記優先順位決定部により決定された優先順位に基づいて、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補を絞り込むようにしてもよい。これにより、カード内部情報に基づいて、カード選択時の優先順位をサービスごとに予め設定しておくことで、サービスに適した非接触ICカード1を選択できる。
【0019】
また、ユーザにより指定された非使用カードを表す非使用カード情報を記憶部に登録する非使用カード登録部をさらに備え、前記カード選択部は、前記記憶部から読み出した前記非使用カード情報に基づき、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補から、前記非使用カードを除外するようにしてもよい。これにより、ユーザが指定した非使用カードを候補カードから除外できるので、ユーザが使用を所望しないカードが自動的に選択されることを防止できる。
【0020】
また、ユーザにより指定された優先カードを表す優先カード情報を記憶部に登録する優先カード登録部をさらに備え、前記カード選択部は、前記記憶部から読み出した前記優先カード情報に基づき、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補として、前記優先カードを優先的に選択するようにしてもよい。これにより、ユーザが指定した優先カードを候補カードとして優先的に選択できる。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、外部装置と非接触通信可能な複数の非接触ICカードを収納可能な収納部と、前記外部装置と非接触通信を行うための外部通信用アンテナと、前記収納部に収納された前記複数の非接触ICカードと非接触通信を行うための複数のカード通信用アンテナとを備えた電子財布装置における通信方法であって:前記外部装置から前記外部通信用アンテナを介して所定のサービスに関連する通信要求を受信すると、相異なる複数のカード選択基準に基づいて、前記収納部に収納された前記複数の非接触ICカードの中から、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補を絞り込み、少なくとも1つの非接触ICカードを選択するカード選択ステップと;前記カード選択部により選択された前記非接触ICカードと前記外部装置とを、前記外部通信用アンテナ及び前記カード通信用アンテナを介して通信可能に接続する通信制御ステップと;を含むことを特徴とする、通信方法が提供される。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、外部装置と非接触通信可能な複数の非接触ICカードを収納可能な収納部と、前記外部装置と非接触通信を行うための外部通信用アンテナと、前記収納部に収納された前記複数の非接触ICカードと非接触通信を行うための複数のカード通信用アンテナとを備えた電子財布装置のコンピュータに:前記外部装置から前記外部通信用アンテナを介して所定のサービスに関連する通信要求を受信すると、相異なる複数のカード選択基準に基づいて、前記収納部に収納された前記複数の非接触ICカードの中から、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補を絞り込み、少なくとも1つの非接触ICカードを選択するカード選択ステップと;前記カード選択部により選択された前記非接触ICカードと前記外部装置とを、前記外部通信用アンテナ及び前記カード通信用アンテナを介して通信可能に接続する通信制御ステップと;を実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明によれば、非接触ICカードがアンチコリジョンに対応しているか否かに関わらず、同時に携帯される複数枚の非接触ICカードの中から、所望のカードを的確に選択して、外部装置と通信させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態にかかる電子財布装置の外観について説明する。図1は、本実施形態にかかる電子財布装置10の外観構成を示す斜視図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態にかかる電子財布装置10は、ユーザが衣服のポケット又はバッグ等に入れて携帯可能な大きさの電子機器である。この電子財布装置10は、複数の非接触ICカード1A、1B、1C(以下「非接触ICカード1」と総称する場合もある。)を収納可能な収納ケースとして機能する。ユーザは、かかる電子財布装置10に複数枚の非接触ICカード1を収納することで、当該複数枚の非接触ICカード1をまとめて携帯することができる。
【0027】
電子財布装置10は、例えば略直方体形状の筐体101と、複数の非接触ICカード1を収納可能な収納部102と、ユーザ入力インターフェースとしての操作部103と、非接触ICカード1を利用したサービスに関連する各種情報を表示する表示部104と、を備える。
【0028】
収納部102は、例えば、筐体101の一側面に、相互に平行に並設された複数のスロット102A、102B、102Cからなる。かかるスロット102A〜Cに対して非接触ICカード1A〜Cを挿抜することで、電子財布装置10内に非接触ICカード1を着脱自在に内蔵できる。
【0029】
なお、図1の例の電子財布装置10では、3枚の非接触ICカード1A〜Cを収納できるように3つのスロット102A〜Cを備えているが、かかる例に限定されない。例えば、電子財布装置10が収納可能な非接触ICカード1の枚数は、2枚又は4枚以上であってもよい。また、対象とする全ての非接触ICカード1が同一の形状を有する場合には、全てのスロット102A〜Cを同一形状とすることができる。しかし、多様な形状、大きさの非接触ICカード1に対応するために、相異なる形状のスロット102A〜Cを設けてもよい。
【0030】
ここで、本実施形態にかかる非接触ICカード1について詳細に説明する。非接触ICカード1は、薄型のカード外装内に、ホスト装置のリーダライタ(Reader Writer:データ読書装置)と非接触通信するためのアンテナと、所定の演算処理を実行可能なICが搭載されたICチップとを備えている(図3参照。)。これにより、非接触ICカード1は、ホスト装置のリーダライタと非接触方式で無線通信可能である。従って、非接触ICカード1を、リーダライタが発する電磁波の有効範囲内に位置づけるだけで(即ち、非接触ICカード1をリーダライタにかざすだけで)、非接触ICカード1内のデータを読み書きすることができる。よって、非接触ICカード1は、リーダライタに対して抜き差しする必要がないため使い易く、迅速にデータを送受信でき、改造・変造しにくいため安全性が高く、データを書き換えることでカード自体を何度も再利用可能であるといった利便性を有する。
【0031】
かかる利便性により、非接触ICカード1は、各種のサービスを提供するICカードシステムに適用されている。例えば、非接触ICカード1は、電子マネーシステム、交通機関の改札システム、高速道路の料金徴収システム、電子決済システム、建造物への入館・入室用やパーソナルコンピュータ(PC)のログイン用等のセキュリティシステムなどに適用される。このため、非接触ICカード1は、次の各種の用途(1)〜(6)に適用される。
【0032】
(1)電子マネー、ポイント、クーポン等の電子バリュー値(貨幣又は貨幣に準じた価値を有するデータ)を記憶した電子マネーカード
(2)電車、バス、高速道路等の交通機関の定期券又は指定券、プリペイド式の運賃のデータなどを記憶した交通機関カード
(3)身分確認や、出退勤の管理、建造物への入退出時の鍵として使用される社員証、学生証等の身分証として用いられる個人認証用カード
(4)各種の店舗や施設の会員証、ポイントカード、クーポンカード
(5)映画館、コンサート会場、スポーツ競技場、アミューズメント施設等の電子チケットデータを記憶した電子チケットカード、
(6)インターネット上でのショッピングや、動画・音楽コンテンツの配信、有価証券・預金等の金融商品の売買などといった電子商取引に用いる電子決済カード
【0033】
また、1枚の非接触ICカード1でこれら複数の機能を併せ持ったマルチアプリケーションタイプのカードも開発されており、非接触ICカード1の種類は益々多様化している。
【0034】
本実施形態にかかる電子財布装置10は、これら多種多様な非接触ICカード1を複数枚収納できる構造を有している。これにより、ユーザは、複数枚の非接触ICカード1を電子財布装置10に収納した状態でまとめて携帯できる。さらに、電子財布装置10は、ホスト装置のリーダライタとの通信時には、複数のカード選択基準を順次適用して、当該複数枚の非接触ICカード1の中から、リーダライタ21との通信に使用する適切なカードを、自動的に選択できる。このためカード使用時には、図2に示すように、ユーザは、複数枚の非接触ICカード1を収納した状態の電子財布装置10をそのまま、ホスト装置20のリーダライタ21にかざすだけで、電子財布装置10によって適切な非接触ICカード1を自動的に選択して、リーダライタ1と通信できる。このため、ユーザは、電子財布装置10から、必要な非接触ICカード1を取り出すことなく、非接触ICカード1を用いた所望のサービスを享受できる。
【0035】
例えば、図2(a)に示すように、交通機関の改札において、ユーザが、複数枚の非接触ICカード1を収納した電子財布装置10を、交通機関の自動改札機20Aのリーダライタ21Aにかざす。すると、当該電子財布装置10内の複数枚の非接触ICカード1の中から、適切な交通機関カードが選択され、当該選択された交通機関カードとリーダライタ21Aとの間で、交通機関の乗車運賃支払いに関する情報が送受信される。
【0036】
また、図2(b)に示すように、コンビニエンスストア、デパート等の店舗において、ユーザが電子財布装置10をレジスター装置20Bのリーダライタ21Bにかざす。すると、当該電子財布装置10内の複数枚の非接触ICカード1の中から、適切な電子マネーカードが選択され、当該選択された電子マネーカードとリーダライタ21Bとの間で、商品の代金支払いに関する情報が送受信される。
【0037】
また、図2(c)に示すように、インターネット等に接続されたユーザ端末20C(例えばパーソナルコンピュータ)を用いて電子商取引する際に、ユーザが、電子財布装置10を、ユーザ端末20Cのリーダライタ21Cにかざす。すると、当該電子財布装置10内の複数枚の非接触ICカード1の中から、適切な電子決済カードが選択され、当該選択された電子決済カードとリーダライタ21Cとの間で、電子商取引に関する情報が送受信される。
【0038】
以上のように、本実施形態にかかる電子財布装置10を、ホスト装置20のリーダライタ21の通信範囲内に位置づけることにより、ホスト装置20が提供するサービスに応じた非接触ICカード1が自動的に選択され、当該選択された非接触ICカード1とホスト装置10との間で所望のサービスに関する情報が送受信される。なお、上記図2では、電子財布装置10の通信対象である外部装置として、自動改札機20A、レジスター装置20B、ユーザ端末20Cなどのホスト装置を例示した。しかし、これら以外にも、各種の商品や乗車券等の自動販売機、POS(Point Of Sale)端末、キオスク端末、金融機関のATMなど、非接触ICカード1と非接触通信可能な任意のホスト装置を使用できる。
【0039】
以下に、上記のような電子財布装置10を利用したICカードシステムの構成について、より詳細に説明する。
【0040】
まず、図3を参照して、本実施形態にかかるICカードシステムの構成例について説明する。図3は、本実施形態にかかるICカードシステムにおけるホスト装置20と非接触ICカード1の構成例を示すブロック図である。
【0041】
図3に示すように、ICカードシステムでは、ホスト装置20のリーダライタ21が、RF(無線周波)動作磁界を発生することによって、非接触ICカード1へ電力を伝送し、このRF動作磁界をコマンドやデータなどで変調する。これにより、リーダライタ21と非接触ICカード1との間で非接触通信を行うことができる。この通信は、例えば、13.56MHzの周波数帯を利用し、212kbpsの通信速度で行われ、副搬送波を使用しない「対称通信」である。また、変調方式としてはASK(Amplitude Shift Keying)変調方式、符号化方式としてはマンチェスター符号化方式を使用できる。さらに、データ衝突に対する検出・回避(アンチコリジョン)方式としては、例えばタイムスロット方式を使用できるが、ICカードシステムは必ずしもアンチコリジョンに対応していなくてもよい。かかるICカードシステムでは、ホスト装置20のリーダライタ21が非接触ICカード1に対して各種のコマンドを発行し、非接触ICカード1がこのコマンドに対して応答する方式で、トランザクションを繰り替えし、所定のサービスに関する通信を行う。
【0042】
まず、ホスト装置20の構成について説明する。ホスト装置20は、制御部22と、通信部23と、アンテナ24と、記憶部25と、操作部26と、外部インターフェース27などを備える。このうち、制御部22、通信部23及びアンテナ24等が、リーダライタ21を構成する。
【0043】
制御部22は、マイクロプロセッサ等で構成され、ホスト装置20内の各部を制御するとともに、所定の演算処理を行う。かかる制御部22は、記憶部25に記憶されたプログラムに従って動作し、所定のサービスに関する演算処理や、コマンド生成、各種情報の送受信の制御などを実行する。これにより、リーダライタ21は、非接触ICカード1に対するカード検出(ポーリング)、相互認証、データの読み書きなどを実行できる。
【0044】
通信部23は、制御部22からの指示に基づき、アンテナ24を用いて非接触ICカード1との間で非接触通信を実行する。具体的には、通信部23は、アンテナ24を用いてRF動作磁界を発生し、このRF動作磁界によって非接触ICカード1に電力を伝送するとともに、当該RF動作磁界を、所定のサービスに関連するコマンドやデータに応じて変調して、当該コマンドやデータを非接触ICカード1に送信する。また、通信部23は、非接触ICカード1から受信したRF動作磁界を復調して、非接触ICカード1から送信されたコマンドやデータを取得し、制御部22に出力する。
【0045】
アンテナ24は、非接触ICカード1と通信するためのアンテナであり、例えばコイルアンテナで構成される。このアンテナ24は通信部23に接続されている。
【0046】
記憶部25は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等の記憶装置で構成され、各種の情報を永続的又は一時的に記憶する。例えば、記憶部25は、非接触通信により所定のサービスを提供するために制御部22を動作させるためのプログラム、リーダライタ21が対応するサービスを表すコード(サービスコード、システムコード等)、非接触ICカード1から取得したデータ、制御部22により演算されたデータ、又は、操作部26又は外部インターフェース27からの入力データなどといった各種データを記憶する。
【0047】
操作部26は、例えば、操作キー等の入力装置やディスプレイ等の表示装置などで構成され、この操作部26により、ユーザはホスト装置20を操作したり、表示された情報を確認したりできる。外部インターフェース27は、ホスト装置20に接続された外部機器(図示せず。)との間でネットワークを介して情報を送受信するためのデバイスである。
【0048】
次に、非接触ICカード1の構成について説明する。非接触ICカード1は、制御部12と、通信部13と、アンテナ14と、記憶部15などを備える。このうち、制御部12、通信部13及び記憶部15は、小型のICチップに搭載されている。アンテナ14は、非接触ICカード1の外縁に沿って配置されるコイルアンテナなどで構成され、通信部13に接続されている。
【0049】
制御部12は、マイクロプロセッサ等で構成され、非接触ICカード1内の各部を制御するとともに、所定の演算処理を行う。かかる制御部12は、記憶部15に記憶されたアプリケーションプログラム等のプログラムに従って動作し、所定の演算処理や、コマンド生成、各種情報の送受信の制御などを実行する。例えば、制御部12は、所定のサービスに関してリーダライタ21と通信するときに、当該サービスに関するデータ(サービスデータ)を、記憶部15に対して読み出し又は書き込むことができる。
【0050】
通信部13は、制御部12からの指示に基づき、アンテナ14を用いて、ホスト装置20のリーダライタ21との間で非接触通信を実行する。具体的には、通信部13は、例えば、図示しないフロントエンド回路及び電源再生回路等から構成されており、リーダライタ21から取得した電力とデータを制御部12に供給する。ここで、電源再生回路は、アンテナ14を用いて、リーダライタ21が発生した搬送波のRF動作磁界から、誘導起電力を発生させ、非接触ICカード1の電力として取り込む。この誘導起電力は、ICチップ110の各構成要素を駆動するための電力源として利用される。また、フロントエンド回路は、リーダライタ21が発信した搬送波を、アンテナ14を用いて受信し、当該搬送波を復調して、リーダライタ21からのコマンド又はデータを取得し、制御部12に供給する。また、通信部13は、当該搬送波を分周して非接触ICカード1を駆動させるためのクロックを再生する。さらに、通信部13は、制御部12により生成された所定のサービスに関連するコマンドやデータに応じて、上記搬送波を変調し、この変調した搬送波を、アンテナ14を用いてリーダライタ21に送信する。
【0051】
記憶部15は、ROM、RAM等のメモリで構成され、各種の情報を記憶する。例えば、記憶部15は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)、フラッシュメモリ、又はFeRAM(Ferroelectric RAM)等の半導体メモリで構成できる。この記憶部15は、例えば、非接触通信により所定のサービスを提供するために制御部12を動作させるためのアプリケーションプログラム、非接触ICカード1を一意に識別するためのカードID、非接触ICカード1が対応するサービスを表すサービスを表すコード(サービスコード、システムコード等)、リーダライタ21から取得したデータや、制御部12により演算されたデータ等からなるサービスデータなどの各種データを記憶する。
【0052】
なお、非接触ICカード1が複数のサービスに対応したマルチアプリケーションカードである場合、記憶部15には、当該各サービスに対応する複数種類のコード、アプリケーションプログラム及びサービスデータなどが格納される。
【0053】
以上のような構成により、ホスト装置20のリーダライタ21と非接触ICカード1との間で非接触通信を行うことで、非接触ICカード1を用いた各種のサービスをユーザに提供できる。図3に示したように、非接触ICカード1は、リーダライタ21と直接的に非接触通信できるものであるが、上記の電子財布装置10に収納された状態で、電子財布装置10を介して間接的にリーダライタ21と通信することもできる。つまり、電子財布装置10は、複数枚の非接触ICカード1とリーダライタ21との間の非接触通信を仲介する機能を有する。
【0054】
次に、図4を参照して、本実施形態にかかる電子財布装置10の構成について説明する。図4は、本実施形態にかかる電子財布装置10の概略的な構成を示すブロック図である。
【0055】
図4に示すように、電子財布装置10は、筐体101と、収納部102と、表示部103と、操作部104と、制御部105と、記憶部106と、外部通信用アンテナ107と、セレクタ108と、カード通信用アンテナ109A〜Cと、シールド110と、測位センサ111と、測位用アンテナ112と、を主に備える。
【0056】
電子財布装置10の筐体101内には、複数の非接触ICカード1を収納するための収納部102が設けられている。この収納部102は、例えば、上記の複数のスロット102A〜C(図1参照。)からなり、筐体101に形成されたカード挿入口から挿入された複数枚(図4では例えば3枚)の非接触ICカード1A〜Cを安定的に保持する。このように、収納部102は、各非接触ICカード1に対応する収納エリア(つまり、スロット102A〜C)に区分されており、各収納エリアには、カード通信用アンテナ109A〜C(以下「カード通信用アンテナ109」と総称する場合もある。)がそれぞれ配設されている。
【0057】
カード通信用アンテナ109は、収納部102に収納された各々の非接触ICカード1と非接触通信を行うためのアンテナである。カード通信用アンテナ109は、例えば、コイルアンテナなどで構成され、セレクタ108に接続される。このカード通信用アンテナ109は、収納部102に収納された各非接触ICカード1に1:1対応するように複数個が設けられ、各非接触ICカード1に対して対向配置されている。このため、各カード通信用アンテナ109は、収納部102内に収納された各非接触ICカード1と、個別に非接触通信することができる。さらに、かかるカード通信用アンテナ109は、セレクタ108を介して、外部通信用アンテナ107及び制御部105と接続されており、非接触ICカード1内の記憶部15に読み書きするデータを、リーダライタ21又は制御部105とやりとりすることができる。
【0058】
また、収納部102には、収納された複数の非接触ICカード1の間を分断するように、シールド110が設けられている。このシールド110は、電磁波を遮断する材質で形成されており、収容部102内に収納された各非接触ICカード1を、個別に取り囲むような形状となっている。かかるシールド110により、収納部102内に収納された複数枚の非接触ICカード1間を電磁的に隔離して、相互干渉しないようにできる。このため、隣接する複数枚の非接触ICカード1のアンテナコイルが互いに磁気結合することを防止でき、他の非接触ICカード1の電磁誘導等による影響を排除できる。よって、収納部102に収納された複数枚の非接触ICカード1の中から選択された1枚の非接触ICカード1が、他の非接触ICカード1により干渉されることなく、好適にリーダライタ21と通信することができる。
【0059】
以上のように、収納部102では、複数枚の非接触ICカード1にそれぞれ対応する複数のカード通信用アンテナ109が設置され、複数枚の非接触ICカード1を相互に電磁的に遮断するシールド110が設けられている。これにより、アンチコリジョン非対応の複数枚の非接触ICカード1が収納部102に収納される場合であっても、各非接触ICカード1が個別に通信可能となる。しかし、かかる例に限定されず、アンチコリジョン対応の非接触ICカード1のみを収納する場合には、全ての非接触ICカード1で共通のカード通信用アンテナ109を1つだけ設置し、シールド110を設けないようにすることもできる。
【0060】
操作部103は、例えば、ボタン、レバー、タッチパネル等の操作キーで構成される。ユーザは、この操作部103を操作して、電子財布装置10の動作内容を指示したり、データを入力したりできる。表示部104は、液晶表示装置などのディスプレイ装置で構成される。この表示部104は、非接触ICカード1を利用したサービスに関連する各種の情報を表示する。例えば、表示部104は、収納部102に収納された非接触ICカード1の種類や、当該カード1内に記憶されたサービスデータ(例えば電子バリューの残額)などのカード内部情報を表示することができる。
【0061】
制御部105は、ICチップに搭載されたマイクロプロセッサ等で構成され、電子財布装置10内の各部を制御するとともに、所定の演算処理を行う。この制御部105は、記憶部106に記憶されたプログラムに従って動作し、所定のサービスに関する演算処理や、コマンド生成、各種情報の送受信の制御などを実行する。これにより、電子財布装置10は、リーダライタ21との間で、非接触ICカード1のカード検出(ポーリング)、相互認証、データの読み書きなどを実行できる。さらに、制御部105は、複数種類のカード選択基準を順次適用して、収納部102に収納された複数枚の非接触ICカード1の中から、リーダライタ21との通信に使用するカードを選択するカード選択部として機能する。このカード選択機能を含め、制御部105の機能の詳細は後述する(図5参照。)。
【0062】
記憶部106は、ROM、RAM等のメモリで構成され、各種の情報を記憶する。例えば、記憶部106は、EEPROM、フラッシュメモリ、又はFeRAM等の半導体メモリで構成できる。この記憶部106は、例えば、制御部105を動作させるための各種のプログラム、リーダライタ21と非接触ICカード1との通信時にリーダライタ21から取得したデータや、制御部105により演算されたデータ等の各種データを記憶する。また、記憶部106は、制御部105による非接触ICカード1の選択時に使用される各種のデータを記憶するが、その詳細は後述する(図5参照。)。
【0063】
外部通信用アンテナ107は、電子財布装置10がホスト装置20のリーダライタ21等の外部装置と非接触通信を行うためのアンテナであり、例えば、コイルアンテナで構成される。この外部通信用アンテナ107は、セレクタ108を介して制御部105及び上記カード通信用アンテナ109と接続されている。かかる外部通信用アンテナ107は、リーダライタ21が発信した搬送波を受信し、この搬送波に対応する信号を、セレクタ108を介して制御部105に出力する、又は、セレクタ108及びカード通信用アンテナ109を介して非接触ICカード1に出力する。また、外部通信用アンテナ107は、制御部105又は非接触ICカード1から出力された信号に対応する搬送波を、リーダライタ21に送信する。
【0064】
セレクタ108は、切り替え回路であり、外部通信用アンテナ107と、制御部105と、カード通信用アンテナ109とに接続されている。このセレクタ108は、リーダライタ21との通信に使用する非接触ICカード1を選択的に切り替える機能を有する。詳細には、セレクタ108は、制御部105からの指示に基づき、上記収納部102に収納された複数枚の非接触ICカード1の中から選択された1枚の非接触ICカード1に対応するカード通信用アンテナ109を、外部通信用アンテナ107と通信可能に接続する。例えば、制御部105により非接触ICカード1Aが選択された場合、セレクタ108は、カード通信用アンテナ109Aを外部通信用アンテナ107に接続する。これにより、非接触ICカード1Aは、カード通信用アンテナ109A、セレクタ108及び外部通信用アンテナ107を介して、リーダライタ21と非接触通信可能となる。このように、電子財布装置10に収納された非接触ICカード1は、自身に対応するカード通信用アンテナ109と、全カードで共通の外部通信用アンテナ107とを介して、リーダライタ21と通信を行う。
【0065】
測位センサ111は、電子財布装置10の現在位置を検出する測位部として機能する。測位センサ111は、電子財布装置10に設けられた測位用アンテナ112と接続されている。測位センサ111は、発信源31から発信された電波を、測位用アンテナ112を介して受信することで、当該受信電波に基づいて所定の演算処理を行い、電子財布装置10の現在位置を検出する。これらの測位センサ111、測位用アンテナ112及び発信源31は、測位システム30を構成する。
【0066】
この測位システム30としては、例えば、発信源31である人工衛星からの電波を利用して測位を行うGPS(Global Positioning System)が代表的である。GPSを採用する場合、測位センサ111は、GPS受信機として機能し、複数のGPS衛星からの電波を測位用アンテナ112を用いて受信して、それぞれのGPS衛星との距離を算出することにより、電子財布装置10の現在位置を測定できる。しかし、測位システム30は、上記のGPSシステムの例に限定されず、例えば、(1)周囲のアクセスポイントの位置を検出して得られる無線LANの電波情報と、当該無線LANの電波情報と位置情報とを関連づけて蓄積したデータベースとを用いて、インターネット接続せずに現在位置情報を検索する測位システム(例えば「プレイスエンジン」)や、(2)携帯電話の基地局の位置に基づいて現在位置を測定する測位システム、(3)AM、FMラジオ等の受信電波の周波数などに基づいて現在位置を測定する測位システムなどを使用することもできる。
【0067】
測位センサ111は、上記のように測定した電子財布装置10の現在位置情報を、制御部105に提供する。これにより、制御部105は、測位センサ111から取得した現在位置情報に基づいて、複数枚の非接触ICカード1の中からサービスエリアに応じた適切な非接触ICカード1を選択できる。
【0068】
以上、図4を参照して本実施形態にかかる電子財布装置10の概略構成について説明した。本実施形態にかかる電子財布装置10では、複数のカード選択基準を組み合わせて適用して、上記収納された複数の非接触ICカード1の中から、リーダライタ21との通信に使用する適切なカードを選択することを特徴としている。以下に、このカード選択機能について詳述する。
【0069】
まず、図5を参照して、本実施形態にかかる電子財布装置10の機能構成について説明する。図5は、本実施形態にかかる電子財布装置10の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0070】
図5に示すように、電子財布装置10の上記制御部105は、カード認識部120、カード内部情報登録部122、優先順位決定部124、非使用カード登録部126、優先カード登録部128、カード選択部130、通信制御部132として機能する。また、上記記憶部106は、カード内部情報データベース140、優先順位データベース142、サービスエリアデータベース144、非使用カードデータベース146、優先カードデータベース148を記憶する。以下に、これら各部について詳述する。
【0071】
カード認識部120は、上記電子財布装置10の収納部102に収納された非接触ICカード1を認識する。詳細には、カード認識部120は、収納部102の各スロット102A〜Cに非接触ICカード1A〜Cが挿入されたこと、或いは、各スロット102A〜Cから非接触ICカード1A〜Cが抜かれたことを検知することで、各スロット102A〜Cに非接触ICカード1が収納されているか否かを認識する。さらに、カード認識部120は、スロット102A〜Cに収納されている非接触ICカード1から、コード(サービスコード、システムコード等)、カードID等の識別情報を読み出すことで、スロット102A〜Cに収納されている非接触ICカード1の種類を判別する。コードは、非接触ICカード1が対応するサービスの種類、即ち、非接触ICカード1の種類を表す情報である。カード認識部120は、各非接触ICカード1に記憶されたコードにより、複数枚の非接触ICカード1が同種のカードであるか異種のカードであるかを判別できる。このように、カード認識部120が収納部102内に収納されている接触ICカード1を予め認識しておくことで、以下のように、リーダライタ21との通信に使用する非接触ICカード1を選択可能となる。
【0072】
カード内部情報登録部122は、収納部102に収納されている非接触ICカード1に関する情報を、記憶部106のカード内部情報DB140に登録・更新する。カード内部情報登録部122は、この登録/更新動作を、収納部102に対する非接触ICカード1の挿抜をトリガとして実行してもよいし、収納後に定期的に実行してもよい。
【0073】
詳細には、例えば、非接触ICカード1が収納部102に挿入された時に、カード内部情報登録部122は、収納部102に収納された非接触ICカード1内に記憶されている情報(以下「カード内部情報」という。)を読み出して、記憶部106のカード内部情報DB140に登録する。このカード内部情報は、非接触ICカード1が対応するサービスに関連するコード(例えば、サービスコード、システムコード)、サービスデータなどである。サービスデータは、非接触ICカード1が保持するサービス内容を表す情報であり、例えば、(1)電子マネーカードが保持する電子バリュー値(例えば、カード内にチャージされた金額、ポイント数、クーポン内容)、(2)交通機関カードの定期券又は指定券のデータ、プリペイド式の運賃の残額、(3)身分証カードの個人認証用情報、(4)電子チケットカードのチケットデータなどである。
【0074】
また、例えば非接触ICカード1が収納部102から抜かれた時に、カード内部情報登録部122は、当該非接触ICカード1のカード内部情報を、カード内部情報DB140から削除する。また、非接触ICカード1が使用されてカード内のサービスデータが変更された時に、カード内部情報登録部122は、カード内部情報DB140内の当該非接触ICカード1のサービスデータを更新する。
【0075】
優先順位決定部124は、上記収納部102に収納された複数枚の非接触ICカード1のカード内部情報に基づいて、リーダライタ21との通信に使用する非接触ICカード1の優先順位をサービスごとに決定する。さらに、優先順位決定部124は、決定した優先順位をサービスごとに優先順位DB142に登録する。詳細には、優先順位決定部124は、上記カード内部情報DB140から各非接触ICカード1のカード内部情報を読み出し、このカード内部情報に含まれるサービスデータに対して、予め設定された所定の優先順位判定基準を適用して、サービスごとに非接触ICカード1の優先順位を決定する。例えば、電子マネーサービスの場合には、優先順位決定部124は、非接触ICカード1(電子マネーカード)の内にチャージされた電子バリュー値(残額)が多い/少ないカードほど、優先順位を高く設定して、優先順位DB142内の電子マネーサービス用の優先順位テーブルに登録する。また、交通機関用のサービスの場合には、複数の非接触ICカード1(交通機関カード)のうち、プリペイド式の運賃を記憶しているカードよりも、定期券を記憶しているカードの優先度が高くなるよう優先順位を設定し、優先順位DB142内の交通機関サービス用の優先順位テーブルに登録する。
【0076】
非使用カード登録部126は、電子財布装置10のユーザにより指定された非使用カードを表す非使用カード情報を記憶部106の非使用カードDB146に登録する。詳細には、電子財布装置10のユーザは、電子財布装置10の操作部103を操作することにより、電子財布装置10内に収納した複数枚の非接触ICカード1のうち、リーダライタ21との通信には使用しないカード(非使用カード)を指定することができる。非使用カード登録部126は、かかるユーザにより指定された非使用カードの識別情報(例えばカードID)を、当該カードから読み出して、非使用カードDB146に登録する。
【0077】
優先カード登録部128は、電子財布装置10のユーザにより指定された優先カードを表す優先カード情報を記憶部106の優先カードDB148に登録する。詳細には、電子財布装置10のユーザは、電子財布装置10の操作部103を操作することにより、電子財布装置10内に収納した複数枚の非接触ICカード1のうち、リーダライタ21との通信時に優先的に使用するカード(優先カード)を指定することができる。優先カード登録部128は、かかるユーザにより指定された優先カードの識別情報(例えばカードID)を、当該カードから読み出して、優先カードDB148に登録する。
【0078】
カード選択部130は、収納部102に収納された複数枚の非接触ICカード1の中から、リーダライタ21との通信に使用するカードを選択する。このカード選択処理は、例えば、ホスト装置20のリーダライタ21から外部通信用アンテナ107を介して所定のサービスに関連する通信要求を受信したときに(例えば、リーダライタ21と電子財布装置10のトランザクション開始時に)、或いは当該通信要求の受信前に予め実行される。かかるカード選択処理では、カード選択部130は、予め設定された相異なる複数のカード選択基準を順次適用して、複数枚の非接触ICカード1の中から、ホスト装置20のリーダライタ21との通信に使用する非接触ICカード1の候補(以下「候補カード」という。)を絞り込む。そして最終的には、カード選択部130は、リーダライタ21との通信に使用する1枚の非接触ICカード1を選択する。
【0079】
このように、カード選択部130は、複数のカード選択基準を組み合わせて、リーダライタ21との通信に使用するカードを自動的に選択することを特徴としている。このときのカード選択基準としては、例えば、(a)使用可能エリアによる選択基準、(b)リーダライタ21から受信したコードによる選択基準、(c)各非接触ICカード1内に記憶されているカード内部情報による選択基準、(d)ユーザ指定された非使用カードによる選択基準、(e)ユーザ指定された優先カードによる選択基準などがある。以下に、これらのカード選択基準について説明する。
【0080】
(a)使用可能エリアによるカード選択基準
カード選択部130は、測位システム30の測位センサ111から取得した現在位置情報と、記憶部106のサービスエリアDB144から読み出したサービスエリア情報とに基づいて、非接触ICカード1を選択する。電子財布装置10の記憶部106は、サービスごとに、そのサービスが提供されるサービスエリア情報を設定したサービスエリアDB144を予め記憶している。サービスエリア情報は、各非接触ICカードが対応可能な国内又は海外の地域(サービスエリア)を表す情報である。
【0081】
非接触ICカード1を用いて提供されるサービスには、そのサービスに対応する地域が制限される場合がある。例えば、交通機関カードの場合、東日本の交通機関で使用可能なカード(例えば、サービスエリアが関東地方である「Suica」)と、西日本の交通機関で使用可能なカード(例えば、サービスエリアが関西地方である「Icoka」)などが存在する。また、電子マネーカードの場合、国内(例えば日本)のみで使用可能であり海外で使用できないカードと、国内と海外の双方で使用可能なカードが存在する。このような地域的制限が付与された非接触ICカード1は、対応するサービスエリアにあるホスト装置20でしか使用できない。サービスエリア情報は、かかる非接触ICカード1の対応可能なサービスエリアを、非接触ICカード1の種類ごと(即ち、サービスごと)に設定した情報であり、電子財布装置10の記憶部106に予め記憶されている。
【0082】
一方、電子財布装置10は、上述したように測位システム30の測位センサ111から、電子財布装置10の現在位置情報を取得できる。そこで、カード選択部130は、取得した現在位置情報と、サービスエリアDB144から読み出したサービスエリア情報とを比較することで、電子財布装置10の現在位置が含まれるサービスエリアに対応した非接触ICカード1を特定できる。よって、カード選択部130は、収納部102に収納された複数枚の非接触ICカード1の中から、電子財布装置10の現在位置で使用可能な非接触ICカード1を、候補カードとして選択できる。
【0083】
(b)リーダライタ21から受信したコードによるカード選択基準
ICカードシステムにおいて、リーダライタ21と非接触ICカード1間の非接触通信により実現されるサービスは、ホスト装置20からの通信要求に含まれるコード(例えば、ホスト装置20が提供するサービスを表すシステムコード、サービスコード)で特定できる。非接触通信の初期段階では、リーダライタ21は当該コードを含む通信要求(リクエスト)を発信し、リーダライタ21の通信範囲内に、そのサービスに対応する非接触ICカード1が存在するか否かを探索(所謂ポーリング)する。カード選択部130は、このリーダライタ21からの通信要求に含まれるコードに適合する非接触ICカード1を選択する。
【0084】
詳細には、カード選択部130は、ホスト装置20から外部通信用アンテナ107を介して、所定のサービスに関連するコードを含む通信要求を受信すると、記憶部106のカード内部情報DB140から、収納部102に収納されている非接触ICカード1が対応するサービスのコードを読み出す。そして、カード選択部130は、上記受信したコードと、上記読み出したコードとを比較することで、リーダライタ21からの通信要求を受けたサービスに対応可能な非接触ICカード1を特定できる。これによって、カード選択部130は、収納部102に収納された複数枚の非接触ICカード1の中から、通信要求を受けたサービスに対応可能なカード1を、候補カードとして選択できる。
【0085】
(c)各非接触ICカード1内に記憶されたカード内部情報によるカード選択基準
例えば、電子財布装置10は、同種のサービスについて複数枚の非接触ICカード1が収納部102に収納された場合にも対応している。例えば、ユーザが、電子財布装置10に、複数枚の同種の交通機関カードや、複数枚の同種の電子マネーカードを収納する場合も想定される。このような、電子財布装置10に同種のカードが収納された場合であっても、カード選択部130は、収納部102に収納された各非接触ICカード1内に記憶されたカード内部情報に基づいて、候補カードを選択することができる。
【0086】
上記のように、予め優先順位決定部124により、各非接触ICカード1内に記憶されたカード内部情報に基づいて、カード選択時の優先順位が決定されて、優先順位DB142に記憶されている。カード選択部130は、優先順位決定部124により決定された優先順位を表す情報(以下「優先順位情報」)に基づいて、収納部102に収納された複数毎の非接触ICカード1の中から、リーダライタ21との通信に使用する非接触ICカード1を選択する。
【0087】
詳細には、カード選択部130は、この優先順位DB142から優先順位情報を読み出し、この優先順位情報が表す優先順位が高い非接触ICカード1を、候補カードとして選択する。例えば、複数枚の電子マネーカードの中から、リーダライタ21との通信に使用するカードを選択する場合、カード選択部130は、優先順位情報に従って、カード内に記憶された電子バリュー値が多い/少ない方の電子マネーカードから優先的に、候補カードとして選択する。また、選択対象が交通機関カードの場合、カード選択部130は、定期券データを保持した交通機関カードを優先的に選択する。
【0088】
(d)ユーザ指定された非使用カードによるカード選択基準
上記の非使用カードDB146には、ユーザにより指定された非使用カードの識別情報が登録されている。これにより、カード選択部130は、非使用カードDB146から非使用カードの識別情報を読み出すことで、ユーザにより指定された非使用カードを特定できる。そこで、カード選択時には、カード選択部130は、非使用カードDB146に登録された非使用カードを候補カードから除外して、リーダライタ21との通信に使用する非接触ICカード1を選択する。これにより、ユーザが使用したくない非接触ICカード1を電子財布装置10が自動的に選択して使用してしまうことを防止できる。
【0089】
(f)ユーザ指定された優先カードによるカード選択基準
上記の優先カードDB148には、ユーザにより指定された優先カードの識別情報や、これらの優先カードの優先順位情報が登録されている。これにより、カード選択部130は、優先カードDB148から優先カードの識別情報や優先順位情報を読み出すことで、ユーザにより指定された優先カードを特定し、その優先順位を把握できる。そこで、カード選択時には、カード選択部130は、優先カードDB148に登録された優先カードを候補カードとして優先的に選択する。これにより、ユーザが優先的に使用することを所望する非接触ICカード1を、優先的に選択して使用できる。
【0090】
以上、複数のカード選択基準(a)〜(f)の例について説明した。カード選択部130は、これら複数のカード選択基準(a)〜(f)を組み合わせて順次適用することで、リーダライタ21との通信に使用する候補カードを絞り込んで、自動的に適切な非接触ICカード1を選択できる。これにより、同種又は異種のサービスに関する複数枚の非接触ICカード1が電子財布装置10に収納されている場合であっても、リーダライタ21との通信に適した非接触ICカード1を選択できる。
【0091】
さらに、カード選択部130は、サービスの種類ごとに予め定められた所定の優先順位に応じた順序で、複数のカード選択基準(a)〜(f)を組み合わせて順次適用してもよい。例えば、交通機関用のサービスであれば、まず、コードによるカード選択基準(b)を適用し、次いで、使用可能エリアによるカード選択基準(a)を適用し、その後に、カード内部情報によるカード選択基準(c)を適用するようにしてもよい。データ処理効率上、適用すべきカード選択基準やその順序は、サービスの種類によって異なる。このため、適用するカード選択基準の優先順位をサービスごとに予め定めて、記憶部106に記憶しておくことで、カード選択部130は、サービスの種類に応じて効率的にカード選択処理を実行できる。
【0092】
さらに、カード選択部130は、ポーリング動作中のリーダライタ21から受信した通信要求(リクエストコマンド)に含まれるコード(ホスト装置20が提供するサービスを表すシステムコード、サービスコード)に応じて、複数のカード選択基準を取捨選択するようにしてもよい。これにより、上記(a)〜(f)のような複数のカード選択基準の中から、サービスに応じた適切なカード選択基準を選択的に採用して、カード選択処理を実行できる。例えば、地域的制限が設けられていない電子マネーサービスであれば、使用可能エリアによるカード選択基準(a)は不要であり、その他の選択基準(b)〜(f)などを必要に応じて適用してカード選択処理を実行すればよい。これにより、サービスの種類ごとに不要なカード選択基準を用いた処理を省略できるので、効率的かつ迅速にカード選択処理を実行できる。
【0093】
また、カード選択部130は、上記のような自動選択機能の他に、手動選択機能も有する。手動選択を行う場合、上記のような自動選択は行われず、カード選択部130は、ユーザが操作部103を用いて手動で選択した非接触ICカード1を、リーダライタ21との通信に使用する非接触ICカード1として選択する。電子財布装置10は、ユーザ入力に基づいて、電子財布装置10が自動的にカード選択する自動選択モード、又は、ユーザが手動でカード選択する手動選択モードのいずれかに設定可能である。
【0094】
通信制御部132は、セレクタ108を制御することで、上記カード選択部130により選択された非接触ICカード1と、ホスト装置20のリーダライタ21とを、外部通信用アンテナ107及びカード通信用アンテナ109を介して通信可能に接続する。例えば、カード選択部130により非接触ICカード1A〜CのうちカードAが選択された場合には、通信制御部132は、カード通信用アンテナ109Aと外部通信用アンテナ107とを接続するようにセレクタ108に指示する。これに応じて、セレクタ108は、非接触ICカード1Aを、カード通信用アンテナ109A及び外部通信用アンテナ107を介して、リーダライタ21と通信可能に接続する。この結果、非接触ICカード1Aと、リーダライタ21との間で、所定のサービスに関する各種のコマンド、データを送受信できるようになる。
【0095】
このように、通信制御部132は、収納部102に収納された複数枚の非接触ICカード1の中から、カード選択部130により選択された1枚の非接触ICカード1のみをリーダライタ21と通信可能に接続する。これにより、アンチコリジョン非対応の同種の非接触ICカード1が収納されている場合であっても、リーダライタ21からの通信要求に対して、複数枚の非接触ICカード1が同時に応答することで通信不能となってしまうことを防止できる。よって、電子財布装置10内の複数枚の非接触ICカード1がリーダライタ21の通信範囲内に同時に存在しても、適切な1枚の非接触ICカード1のみがリーダライタ21と通信して、ユーザ所望のサービスを実現できる。
【0096】
また、通信制御部132は、電子財布装置10自体とリーダライタ21と間の通信を制御する通信部としても機能する。これにより、電子財布装置10は、外部通信用アンテナ107を介して、リーダライタ21と通信して、各種のコマンド、データを送受信することができる。
【0097】
以上、本実施形態にかかる電子財布装置10の構成について説明した。なお、図5に示す制御部105の各機能部は、上記各機能を実行するためのプログラムを電子財布装置10にインストールすることで実現してもよいし、又は、専用のハードウェアを設置することで実現してもよい。
【0098】
次に、図6を参照して、上記の電子財布装置10を用いた通信方法について説明する。図6は、本実施形態にかかる電子財布装置10を用いた通信方法を示すフローチャートである。
【0099】
図6に示すように、まず、電子財布装置10の収納部102に非接触ICカード1が挿入されると、電子財布装置10の制御部105は、挿入された非接触ICカード1を認識する(ステップS10)。次いで、制御部105は、上記認識した非接触ICカード1内に記憶されているカード内部情報(例えば、カードID、サービスコード/システムコード、サービスデータ等)を、記憶部106のカード内部情報DB140に登録する(ステップS12)。
【0100】
なお、複数枚の非接触ICカード1が順次挿入された場合には、制御部105は、上記S10及びS12のカード認識処理及びカード内部情報登録処理を繰り返す。また、電子財布装置10の収納部102から非接触ICカード1が抜かれた場合には、制御部105は、当該カードのカード内部情報を記憶部106から削除して、登録抹消する。
【0101】
その後、ユーザが電子財布装置10をホスト装置20のリーダライタ21にかざして、リーダライタ21の通信範囲内に位置づけると、電子財布装置10は、ホスト装置20のリーダライタ21からの通信要求を受け付ける(ステップS14)。この通信要求は、リーダライタ21のポーリング動作により常時発信されるものであり、ホスト装置20が提供するサービスを表すコードを含む。
【0102】
次いで、電子財布装置10の制御部105は、上記通信要求の受付に応じて、複数のカード選択基準に基づいてカード選択処理を実行する(ステップS16)。制御部105は、上述した複数のカード選択基準を順次適用して、収納部102に収納された複数枚の非接触ICカード1の中から、通信要求元のリーダライタ21との通信に使用する候補カードを絞り込み、最終的に1枚の非接触ICカード1を選択する。このカード選択処理の詳細は後述する(図7〜図13参照。)。
【0103】
なお、かかるカード選択処理では、必ずしも、電子財布装置10が実行可能な全てのカード選択基準を、所定の順序で適用する必要はない。例えば、リーダライタ21からの通信要求に含まれるコード(即ち、リーダライタ21の提供するサービス)に応じて、必要な複数のカード選択基準を取捨選択し、この取捨選択したカード選択基準を、当該サービスに合った所定の優先順位で順次適用すればよい。また、一部のカード選択基準を用いたカード選択処理は、上記リーダライタ21からの通信要求の受信前に実行することもできる。
【0104】
さらに、電子財布装置10の制御部105は、セレクタ108を制御して、上記S16で選択された非接触ICカード1を、外部通信用アンテナ108及びカード通信用アンテナ109を介して、ホスト装置20のリーダライタ21に通信可能に接続する(ステップS18)。これにより、シールド110で囲まれた複数枚の非接触ICカード1のうち、上記選択された非接触ICカード1のみが、リーダライタ21と通信可能となる。
【0105】
その後、ホスト装置20のリーダライタ21と、上記選択された非接触ICカード1との間で、電子財布装置10の外部通信用アンテナ108及びカード通信用アンテナ109を介して、所定のサービスに関するコマンド、データ等を非接触通信する(ステップS20)。これにより、例えば、電子マネーを用いた商品の売買や、交通機関の改札、電子チケットの確認、電子決済などといったサービスが実現される。
【0106】
以上のような本実施形態にかかる通信方法では、アンチコリジョン非対応の複数枚の非接触ICカード1を電子財布装置10に収納している場合であっても、電子財布装置10が適切な非接触ICカード1を自動的に選択して、当該選択された非接触ICカード1のみがホスト装置20のリーダライタ21と通信できる。このため、電子財布装置10内の複数枚の非接触ICカード1が相互干渉することを防止できる。よって。ユーザは、電子財布装置10を用いて複数枚の非接触ICカード1をまとめて携帯しつつも、それら各非接触ICカード1を用いたサービスを迅速かつ容易に享受できる。
【0107】
次に、図7〜図11を参照して、上記各種のカード選択基準(a)〜(f)を用いたカード選択処理について詳細に説明する。
【0108】
図7は、本実施形態にかかる電子財布装置10における使用可能エリアによるカード選択処理(a)を示すシーケンス図である。
【0109】
図7に示すように、サービスAに対応したホスト装置20のリーダライタ21は、サービスAに対応する非接触ICカード1のポーリングを常時行っている(ステップS700)。つまり、リーダライタ21は、自身の通信範囲内にサービスAに対応する非接触ICカード1が存在するか否かを探索するために、非接触ICカード1に対して応答を求める通信要求(リクエストコマンド)を継続的に発信している。このリクエストコマンドは、例えば、JIS:X6319−4に示されている「REQCコマンド」などであり、この「REQCコマンド」は、リーダライタ21が対応するサービスを表すシステムコードを含んでいる。
【0110】
このポーリング中に、ユーザが電子財布装置10をリーダライタ21にかざすと、電子財布装置10は、リーダライタ21が発信した通信要求を受け付ける(ステップS702)。かかる通信要求の受け付けに応じて、電子財布装置10は、自身の収納部102に収納された複数枚の非接触ICカード1A〜Cの中から、リーダライタ21との通信に使用する非接触ICカード1を選択する処理(ステップS704〜S708)を実行する。
【0111】
まず、電子財布装置10の制御部105は、測位システム30の測位センサ111から、電子財布装置10の現在位置を表す現在位置情報を取得する(ステップS704)。さらに、制御部105は、記憶部106のサービスエリアDB144から、収納部102に収納されている複数枚の非接触ICカード1A〜Cに対応するサービスエリア情報を読み出す(ステップS706)。
【0112】
次いで、制御装置105は、カード選択処理を実行し、電子財布装置10の現在位置により候補カードを絞り込む(ステップS708)。詳細には、制御部105は、S704で取得した電子財布装置10の現在位置情報と、S706で読み出したサービスエリア情報とを比較して、各非接触ICカード1A〜Cがそれぞれサービスエリア内であるか否かを判断する。この結果、サービスエリア外である非接触ICカード1を、候補カードから除外し、サービスエリア内である非接触ICカード1を、リーダライタ21の通信に使用する候補カードとして選択する。
【0113】
例えば、現在位置情報が日本国外であった場合、日本国内でのみ提供されているサービスに対応する非接触ICカード1B、Cカードは、候補カードから除外され、日本国外でサービスが提供されている非接触ICカード1Aは、候補カードとして選択される。また、電子財布装置10の現在位置が関西地区である場合には、サービスエリアが関東地方のみである非接触ICカード1は、候補カードから除外される。
【0114】
このようにして、電子財布装置10は、自身の現在位置情報を取得して、複数枚の非接触ICカード1の中から、リーダライタ21との通信に使用する候補カードを、その現在位置に対応したカードに絞り込むことができる。
【0115】
次に、図8は、本実施形態にかかる電子財布装置10におけるリーダライタ21から受信したコードによるカード選択処理(b)を示すシーケンス図である。
【0116】
図8に示すように、まず、電子財布装置10の収納部102に非接触ICカード1A〜Cが挿入されると、電子財布装置10の制御部105は、当該非接触ICカード1A〜Cを認識し、当該非接触ICカード1A〜C内に記憶されているコード(システムコード、サービスコード等)を読み出して、記憶部106のカード内部情報DB140に登録する(ステップS800)。かかるコードの登録処理は、各非接触ICカード1A〜Cが挿入された時点で順次行われるので、以下のカード選択処理の実行前に予め、各カード1A〜Cが対応するサービスのコードを登録しておくことができる。
【0117】
一方、サービスAに対応したホスト装置20のリーダライタ21は、サービスAに対応する非接触ICカード1のポーリングを常時行っている(ステップS802)。このポーリング中に、ユーザが電子財布装置10をリーダライタ21にかざすと、電子財布装置10は、リーダライタ21が発信した通信要求(例えば、JIS:X6319−4に示されているREQCコマンド)を受け付ける(ステップS804)。かかる通信要求の受け付けに応じて、電子財布装置10の制御部105は、収納部102に収納された複数枚の非接触ICカード1A〜Cが、上記受信した通信要求に含まれるコードに対応しているか否かを判断し、対応している非接触ICカード1を選択する処理(ステップS806〜S808)を実行する。
【0118】
詳細には、まず、電子財布装置10の制御部105は、記憶部106のカード内部情報DB140から、収納部102に収納されている複数枚の非接触ICカード1A〜Cに対応するコードを読み出す(ステップS806)。
【0119】
次いで、制御装置105は、カード選択処理を実行し、上記リーダライタ21から受信したコードにより候補カードを絞り込む(ステップS808)。詳細には、制御部105は、S804でリーダライタ21から取得したリクエストコマンドに含まれるコードと、S808で読み出した非接触ICカード1A〜Cのコードとを照合して、各カード1A〜Cがリクエストコマンドに含まれるコードに対応しているか否かを判断する。この結果、当該コードに対応していない非接触ICカード1を、リーダライタ21との通信に使用する候補カードから除外し、当該コードに対応している非接触ICカード1を候補カードとして選択する。
【0120】
例えば、リーダライタ21から上記REQCコマンドを受信した場合において、当該REQCコマンドに含まれるシステムコードが「0x0003」であったときは、交通機関カードに対する通信要求を受信したことになる。そこで、電子財布装置10は、システムコード「0x0003」に対応する交通機関カード以外を、候補カードから除外する。
【0121】
このようにして、電子財布装置10は、リーダライタ21からの通信要求に含まれるコードにより、リーダライタ21との通信に使用する候補カードを、当該コードに対応するカードに絞り込むことができる。
【0122】
次に、図9は、本実施形態にかかる電子財布装置10におけるカード内部情報によるカード選択処理(c)を示すシーケンス図である。
【0123】
図9に示すように、まず、電子財布装置10の収納部102に非接触ICカード1A〜Cが挿入されると、電子財布装置10の制御部105は、当該非接触ICカード1A〜Cを認識し、当該非接触ICカード1A〜Cの内部に記憶されているカード内部情報(システムコード、サービスコード、サービスデータ等)を読み出して、記憶部106のカード内部情報DB140に登録する(ステップS900)。かかるコードの登録処理は、各非接触ICカード1A〜Cが挿入された時点で順次行われるので、以下のカード選択処理の実行前に予め、各カード1A〜Cのカード内部情報を登録しておくことができる。
【0124】
次いで、電子財布装置10の制御部105は、カード内部情報DB140に登録された非接触ICカード1A〜Cのカード内部情報を読み出し(ステップS901)、当該カード内部情報に基づいて、カード選択時における各非接触ICカード1A〜Cの優先順位を、サービスごとに決定して(ステップS902)、決定したサービスごとの各非接触ICカード1の優先順位を優先順位DB142に登録する(ステップS903)。この優先順位の決定手法としては、多様なケースが考えられる。例えば、交通機関カードについては、定期券データを保有するカードを最優先に設定することができ、また、電子マネーカードについては、カード内にチャージされた電子バリュー値が多いほど/少ないほど、優先順位を高く設定することができる。
【0125】
一方、サービスAに対応したホスト装置20のリーダライタ21は、サービスAに対応する非接触ICカード1のポーリングを常時行っている(ステップS904)。このポーリング中に、ユーザが電子財布装置10をリーダライタ21にかざすと、電子財布装置10は、リーダライタ21が発信した通信要求(リクエストコマンド)を受け付ける(ステップS905)。かかる通信要求の受け付けに応じて、電子財布装置10は、カード内部情報によるカード選択処理(ステップS906〜S907)を実行する。
【0126】
詳細には、まず、電子財布装置10の制御部105は、記憶部106の優先順位DB142から、上記リーダライタ21から受信したコードに対応するサービスについて、各非接触ICカード1A〜Cの優先順位を定めた優先順位テーブルを読み出す(ステップS906)。次いで、制御装置105は、上記S906で読み出した優先順位テーブルに基づいて、非接触ICカード1A〜Cの中から優先順位が高いものを、リーダライタ21の通信に使用する候補カードとして選択する(ステップS907)。
【0127】
例えば、リーダライタ21から受信したコードが、交通機関サービスを表すコード「0x0003」であった場合、制御部105は、優先順位DB142の交通機関サービスに関する優先順位テーブルに従い、非接触ICカード1A〜Cのうちから、優先順位の高い交通機関カード(例えば、定期券データを保持したカード)を選択する。
【0128】
このようにして、電子財布装置10は、各非接触ICカード1のカード内部情報(例えば、チャージ残額等のサービスデータの大小、サービスデータの種類など)に基づいて、リーダライタ21との通信に使用する候補カードを絞り込むことができる。
【0129】
次に、図10は、本実施形態にかかる電子財布装置10におけるユーザ指定された非使用カードによるカード選択処理(d)を示すシーケンス図である。
【0130】
図10に示すように、まず、ユーザが電子財布装置10の操作部103を操作して、収納部102に収納されている複数枚の非接触ICカード1の中から、非使用カード(ユーザが、電子財布装置10に収納するがリーダライタ21との通信には使用したくない非接触ICカード1)を選択する(ステップS1000)。すると、電子財布装置10の制御部105は、上記ユーザ選択された非接触ICカード1を非使用カードに設定し、当該非使用カードの識別情報(例えばカードID)を、記憶部106の非使用カードDB146に登録する(ステップS1002)。
【0131】
一方、サービスAに対応したホスト装置20のリーダライタ21は、サービスAに対応する非接触ICカード1のポーリングを常時行っている(ステップS1004)。このポーリング中に、ユーザが電子財布装置10をリーダライタ21にかざすと、電子財布装置10は、リーダライタ21が発信した通信要求(リクエストコマンド)を受け付ける(ステップS1006)。かかる通信要求の受け付けに応じて、電子財布装置10は、非使用カードによるカード選択処理(ステップS1008〜S1010)を実行する。
【0132】
詳細には、まず、電子財布装置10の制御部105は、記憶部106の非使用カードDB146から、非使用カードの識別情報を読み出す(ステップS1008)。次いで、制御装置105は、上記S1008で読み出した非使用カードを表す識別情報に基づいて、非使用カードを特定し、当該非使用カードを候補カードから除外して、その他の非接触ICカード1の中から、リーダライタ21との通信に使用するカードを選択する(ステップS1010)。
【0133】
このようにして、電子財布装置10は、ユーザ指定された非使用カードを予め登録しておき、カード選択時には、リーダライタ21との通信に使用する候補カードから非使用カードを除外して、候補カードを絞り込むことができる。これにより、ユーザが使用を所望しない非接触ICカード1が電子財布装置10により自動的に選択されて使用されることを防止できる。
【0134】
次に、図11は、本実施形態にかかる電子財布装置10におけるユーザ指定された優先カードによるカード選択処理(e)を示すシーケンス図である。
【0135】
図11に示すように、まず、ユーザが電子財布装置10の操作部103を操作して、収納部102に収納されている複数枚の非接触ICカード1の中から、優先カード(ユーザが、電子財布装置10に収納するがリーダライタ21との通信に優先的に使用したい非接触ICカード1)を選択する(ステップS1100)。すると、電子財布装置10の制御部105は、上記ユーザ選択された非接触ICカード1を優先カードに設定し、当該優先カードの識別情報(例えばカードID)を、記憶部106の優先カードDB148に登録する(ステップS1102)。
【0136】
一方、サービスAに対応したホスト装置20のリーダライタ21は、サービスAに対応する非接触ICカード1のポーリングを常時行っている(ステップS1104)。このポーリング中に、ユーザが電子財布装置10をリーダライタ21にかざすと、電子財布装置10は、リーダライタ21が発信した通信要求(リクエストコマンド)を受け付ける(ステップS1106)。かかる通信要求の受け付けに応じて、電子財布装置10は、優先カード登録によるカード選択処理(ステップS1108〜S1110)を実行する。
【0137】
詳細には、まず、電子財布装置10の制御部105は、記憶部106の優先カードDB148から、優先カードの識別情報を読み出す(ステップS1108)。次いで、制御装置105は、上記S1108で読み出した優先カードを表す識別情報に基づいて、優先カードを特定し、リーダライタ21との通信に使用する候補カードとして、当該優先カードを優先的に選択する(ステップS1110)。
【0138】
このようにして、電子財布装置10は、ユーザ指定された優先カードを予め登録しておき、カード選択時には、リーダライタ21との通信に使用する候補カードとして、優先カードを優先的に選択することができる。これにより、ユーザが使用を所望する非接触ICカード1を電子財布装置10により自動的に選択して使用することができる。
【0139】
以上、図7〜図11を参照して、各カード選択基準(a)〜(f)を用いたカード選択処理について説明した。本実施形態にかかる電子財布装置10は、上記複数のカード選択基準を組み合わせて順次適用することで、リーダライタ21との通信に使用する非接触ICカード1を選択する。以下に、図12、図13を参照して、複数のカード選択基準を組み合わせて適用するカード選択処理の例を説明する。
【0140】
図12は、本実施形態にかかる電子財布装置10における複数のカード選択基準を適用したカード選択処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下のフローでは、電子財布装置10の収納部102に複数枚の非接触ICカード1が挿入され、各非接触ICカード1のカード内部情報の登録、並びに、ユーザによる非使用カード又は優先カードの設定が予め完了されているものとする。
【0141】
図12に示すように、まず、電子財布装置10の制御部105は、ユーザにより指定された非使用カードによる候補カードの絞り込みを行う(ステップS1200)。詳細には、制御部105は、収納部102に収納された複数枚の非接触ICカード1を認識し、リーダライタ21との通信に使用する候補カードから、ユーザにより指定された非使用カードを除外する。以下では、リーダライタ21との通信に使用する候補カードの残り枚数を「N」として説明する。本ステップS1200では、「N=(収納部102に収納された非接触ICカード1の枚数(内蔵カード枚数))−(ユーザにより指定された非使用カードの枚数)」となる。
【0142】
次いで、制御部105は、上記ステップS1200にて絞り込まれた候補カードについて、使用可能エリアによる候補カードの絞り込みを行う(ステップS1200)。詳細には、制御部105は、上記の測位システム30から取得した電子財布装置10の現在位置情報と、サービスエリアDB144のサービスエリア情報を比較する。これにより、制御部105は、電子財布装置10の現在位置で使用不能なサービスに対応する非接触ICカード1を判別し、当該使用可能エリア外の非接触ICカード1を候補カードから除外する。
【0143】
さらに、制御部105は、電子財布装置10のカード選択モードが、自動選択モード又は手動選択モードのいずれに設定されているかを判別する(ステップS1204)。手動選択モードに設定されている場合には、リーダライタ21との通信時に随時、ユーザにより手動で非接触ICカード1を選択することになる。一方、自動選択モードに設定されている場合には、ステップS1206に進み、以下の自動選択機能を実行する。
【0144】
以上までのステップS1200〜S1204のカード絞り込み処理は、電子財布装置10とホスト装置20のリーダライタ21とが通信を開始する前に予め実行される。上記の非使用カードによるカード選択処理(S1200)や、使用可能エリアによるカード選択処理(S1202)などは、通信相手先のリーダライタ21の決定前に(即ち、電子財布装置10をリーダライタ21にかざす前に)、リーダライタ21が提供するサービスに依存することなく実行できるものである。そこで、電子財布装置10は、かかるカード選択処理(S1200、S1202)を、電子財布装置10とリーダライタ21との通信開始前に予め実行して、候補カードを絞り込んでおく。これにより、当該通信時における電子財布装置10のカード選択処理量を低減できるため、処理速度を向上でき、カード選択処理の効率化が図れる。
【0145】
その後、ユーザが電子財布装置10をホスト装置20のリーダライタ21にかざすと、電子財布装置10とリーダライタ21との通信が開始される(ステップS1206)。この通信開始に応じて、以下のような、リーダライタ21が提供するサービスに依存した複数のカード選択基準に基づくカード選択処理が実行される。
【0146】
まず、制御部105は、上記ステップS1202までで絞り込まれた候補カードについて、ホスト装置20のリーダライタ21から受信した通信要求に含まれるコードにより、候補カードを更に絞り込む(ステップS1208)。詳細には、リーダライタ21によるポーリング時に発信される通信要求(リクエストコマンド)には、当該リーダライタ21の提供するサービスを表すコード(システムコード、サービスコード等)が含まれている。このコードにより、リーダライタ21が提供するサービスを特定でき、リーダライタ21が通信要求する対象の非接触ICカード1を特定できる。電子財布装置10の制御部105は、リーダライタ21から当該通信要求を受信すると、この通信要求に含まれるコードと、収納部102に収納されている各非接触ICカード1が対応するコードと照合する。これにより、電子財布装置10内の非接触ICカード1のうち、リーダライタ21からの通信要求を受けたサービスに対応可能なカード1と、対応不能なカード1とを判別できる。このようにして、リーダライタ21から受信したコードにより、候補カードを絞り込むことができる。
【0147】
さらに、制御部105は、上記S1208でのコードによる絞り込みの結果、候補カードの残り枚数Nが1枚になったか否かを判定する(ステップS1210)。N=1となった場合には、当該1枚の候補カードを、リーダライタ21との通信に使用する非接触ICカード1として選択する。一方、残り枚数Nが2枚以上である場合には、ステップS1212に進む。
【0148】
次いで、制御部105は、電子財布装置10に、ユーザ指定の優先カードが設定されているか否か、及び、使用優先順位があるか否かを判別する(ステップS1212)。優先カードが設定されている場合、制御部105は、ユーザ指定された優先カードのうち優先順位が高いカードを、リーダライタ21との通信に使用する非接触ICカード1として選択する(ステップS1214)。
【0149】
一方、優先カードが設定されていない場合には、上記ステップS1212までで絞り込まれた候補カードについて、カード内部情報による候補カードの絞り込みを行う(ステップS1216)。詳細には、制御部105は、残っている候補カードのカード内部情報に基づいて、これら候補カードの優先順位を決定し、候補カードを更に絞り込む。このとき、制御部105は、優先順位DB142に予め記憶されている、カード内部情報に基づく優先順位情報を読み出し、この優先順位情報に基づいて、カード内部情報による絞り込みを行ってもよい。或いは、制御部105は、収納部102に収納されている各候補カードからカード内部情報を読み出し、それらのカード内部情報を比較することで、カード内部情報による絞り込みを行ってもよい。例えば、候補カードが電子マネーカードである場合には、カード内にチャージされた電子バリュー値が最も/多いカードが、選択される。また、候補カードが交通機関カードである場合には、定期券カードが優先的に選択される。
【0150】
さらに、制御部105は、上記S1216でのカード内部情報による絞り込みの結果、候補カードの残り枚数Nが1枚になったか否かを判定する(ステップS1218)。N=1となった場合には、当該1枚の候補カードを、リーダライタ21との通信に使用する非接触ICカード1として選択する。一方、残り枚数Nが2枚以上である場合には、ステップS1212に進み、例外処理を実行する。
【0151】
ステップS1212の例外処理は、上記S1200、S1202、S1208、S1212、S1216における全てのカード選択基準を適用しても、候補カードが1枚に絞り込めなかった場合に実行される。この例外処理では、例えば、電子財布装置10の制御部105は、ユーザに対して、リーダライタ21との通信に使用する非接触ICカード1の手動選択を促す通知を行い、ユーザにより手動で選択された非接触ICカード1を選択するようにしてもよい。或いは、電子財布装置10の制御部105は、収納部102においてスロット番号が若いスロットに挿入されている非接触ICカード1を自動的に選択するようにしてもよい。
【0152】
以上の処理フローによって、電子財布装置10は、複数のカード選択基準を順次適用して候補カードを絞り込む。これにより、リーダライタ21との通信に使用する適切な非接触ICカード1を選択できる。この際、電子財布装置10とホスト装置20との通信前に適用するカード選択基準(S1200、S1202)と、当該通信後に適用するカード選択基準(S1208、S1212、S1216、S1220)とを区分することで、複数のカード選択基準を順次適用するカード選択処理全体の処理効率を向上できる。
【0153】
次に、図13は、本実施形態にかかる電子財布装置10における複数のカード選択基準を適用したカード選択処理の別の例を示すフローチャートである。なお、以下のフローでも、電子財布装置10の収納部102に複数枚の非接触ICカード1が挿入され、各非接触ICカード1のカード内部情報の登録、並びに、ユーザによる非使用カード又は優先カードの設定が予め完了されているものとする。
【0154】
図13に示すように、まず、ユーザが電子財布装置10をホスト装置20のリーダライタ21にかざすと、電子財布装置10とリーダライタ21との通信が開始される(ステップS1300)。この通信開始に応じて、以下のような複数のカード選択基準に基づくカード選択処理が実行される。
【0155】
次いで、電子財布装置10がホスト装置20のリーダライタ21から通信要求を受信すると、制御部105は、ユーザにより指定された非使用カードによる候補カードの絞り込みを行う(ステップS1302)。本ステップS1302は、図12のステップS1200と略同一であるので、詳細説明は省略する。
【0156】
さらに、制御部105は、上記ステップS1302で絞り込まれた候補カードについて、リーダライタ21から受信した通信要求に含まれるコードにより、候補カードを更に絞り込む(ステップS1304)。本ステップS1304は、図12のステップS1208と略同一であるので、詳細説明は省略する。
【0157】
その後、制御部105は、上記S1304でのコードによる絞り込みの結果、候補カードの残り枚数Nが1枚になったか否かを判定する(ステップS1306)。N=1となった場合には、当該1枚の候補カードを、リーダライタ21との通信に使用する非接触ICカード1として選択する。一方、残り枚数Nが2枚以上である場合には、ステップS1308に進む。
【0158】
次いで、制御部105は、上記ステップS1304までで絞り込まれた候補カードについて、使用可能エリアによる候補カードの絞り込みを行う(ステップS1308)。本ステップS1308は、図12のステップS1202と略同一であるので、詳細説明は省略する。
【0159】
その後、制御部105は、上記S1308での使用エリアによる絞り込みの結果、候補カードの残り枚数Nが1枚になったか否かを判定する(ステップS1310)。N=1となった場合には、当該1枚の候補カードを、リーダライタ21との通信に使用する非接触ICカード1として選択する。一方、残り枚数Nが2枚以上である場合には、ステップS1312に進む。
【0160】
次いで、制御部105は、電子財布装置10に、ユーザ指定の優先カードが設定されているか否か、及び、使用優先順位があるか否かを判別する(ステップS1312)。優先カードが設定されている場合、制御部105は、ユーザ指定された優先カードのうち優先順位が高いカードを、リーダライタ21との通信に使用する非接触ICカード1として選択する(ステップS1314)。
【0161】
一方、優先カードが設定されていない場合には、上記ステップS1312までで絞り込まれた候補カードについて、カード内部情報による候補カードの絞り込みを行う(ステップS1316)。本ステップS1316は、図12のステップS1216と略同一であるので、詳細説明は省略する。
【0162】
さらに、制御部105は、かかるカード内部情報による絞り込みの結果、候補カードの残り枚数Nが1枚になったか否かを判定する(ステップS1318)。N=1となった場合には、当該1枚の候補カードを、リーダライタ21との通信に使用する非接触ICカード1として選択する。一方、残り枚数Nが2枚以上である場合には、ステップS1320に進み、手動選択が行われる。
【0163】
このステップS1320では、電子財布装置10は、ユーザに対して、リーダライタ21との通信に使用する非接触ICカード1の手動選択を促す通知を行い、ユーザにより手動で選択された非接触ICカード1を選択する。
【0164】
なお、このステップS1320の手動選択の代わりに、残っている複数枚の候補カードについて1枚ずつ、非接触ICカード1とリーダライタ21との間の通信処理を試行するようにしてもよい。この場合、ホスト装置20のリーダライタ21が、電子財布装置10に対し通信障害等のシステムエラー以外のエラーを返してきた場合、或いは、リーダライタ21からの応答がタイムアウトした場合には、電子財布装置10は、次の候補カードとリーダライタ21との通信処理を実行する。これにより、上記複数のカード選択基準を適用しても1枚のカードに絞り込めなかった場合に、ユーザによる手動選択に頼ることなく、電子財布装置10が自動選択できる。
【0165】
以上の処理フローによって、電子財布装置10は、リーダライタ21との通信開始後に、複数のカード選択基準を順次適用して候補カードを絞り込む。これにより、リーダライタ21との通信に使用する適切な非接触ICカード1を選択できる。この際、電子財布装置10は、ユーザ指定された非使用カードによるカード選択基準(S1302)→リーダライタ21から受信したコードによるカード選択基準(S1304)→使用可能エリアによるカード選択基準(S1308)→ユーザ指定された優先カードによるカード選択基準(S1312)→カード内部情報によるカード選択基準(S1316)→ユーザの手動選択によるカード選択基準(S1320)の順で、複数のカード選択基準を順次適用する。これにより、カード選択基準の適用回数を必要最小限に低減して、効率的にカードを選択することができる。
【0166】
以上、本実施形態にかかる電子財布装置10及びそれを用いたカード選択処理を含む通信方法について説明した。本実施形態によれば、ユーザは、電子財布装置10に複数枚の非接触ICカード1を収納して、まとめて携帯することができる。また、非接触ICカード1の使用時には、ユーザは、ホスト装置20のリーダライタ21に電子財布装置10をかざすだけよく、電子財布装置10は、リーダライタ21との通信に適した非接触ICカード1を自動的に選択して、当該非接触ICカード1とリーダライタ21とを通信させることができる。この際、上記選択された非接触ICカード1のみが、他の非接触ICカード1と相互干渉することなく、リーダライタ21と好適に通信できる。
【0167】
さらに、電子財布装置10が適切な非接触ICカード1を1枚だけ選択してリーダライタ21と通信させることで、各非接触ICカード1やリーダライタ21がアンチコリジョンに対応しているか否かに関わらず、両者間で適切に通信を実行できる。このため、アンチコリジョン非対応のカードであっても複数枚を同時に携帯して使用できる。
【0168】
さらに、従来では、アンチコリジョン対応の非接触ICカード1であっても、同種のサービスに関する複数枚のカード(例えば、同種の自動改札サービスに対応した2枚の交通機関カード)を同時にリーダライタ21にかざした場合には、システムがエラーと判断するように設計されている場合もあった。しかし、本実施形態にかかる電子財布装置10によれば、同種のサービスに関する複数枚の非接触ICカード1を同時にリーダライタ21にかざした場合であっても、カード内部情報による選択基準や、ユーザ指定による非使用カード、優先カードによる選択基準などを適用することで、いずれか1枚の非接触ICカード1を自動的に選択して、正常な通信を実行できる。
【0169】
また、カード選択時に適用する複数のカード選択基準としては、リーダライタ21から受信したコードに応じて適切なカード選択基準を取捨選択し、さらに、そのコードに応じた適切な優先順位で、上記選択されたカード選択基準を順次適用する。これにより、リーダライタ21の提供するサービスに応じた適切なカード選択基準を、適切な順序で適用して、候補カードを絞り込める。よって、電子財布装置10におけるカード選択処理を効率化できるので、少ないデータ処理量で迅速に実行できる。
【0170】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0171】
例えば、上記実施形態にかかる電子財布装置10は単体で構成されたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、電子財布装置は、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、電子手帳、携帯型映像/音声プレーヤなどの携帯端末と一体化されてもよい。
【0172】
また、上記実施形態にかかる電子財布装置10は、3枚の非接触ICカード1A〜Cを同一方向から平行に挿入する収納構造であった。しかし、電子財布装置が収納可能な非接触ICカードの枚数や、収納方向、収納されたカード配置などは、上記実施形態の例に限定されない。
【0173】
また、電子財布装置10が適用するカード選択基準は、上記実施形態のカード選択基準(a)〜(f)の例以外にも、例えば、現在時刻、非接触ICカード1の有効期間、非接触ICカード1の使用履歴、非接触ICカード1の取得時期、ユーザ情報などに基づく任意のカード選択基準を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる電子財布装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】同実施形態にかかる電子財布装置の使用状態を示す説明図である。
【図3】同実施形態にかかるICカードシステムにおけるホスト装置のリーダライタと非接触ICカードの構成例を示すブロック図である。
【図4】同実施形態にかかる電子財布装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図5】同実施形態にかかる電子財布装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図6】同実施形態にかかる電子財布装置を用いた通信方法を示すフローチャートである。
【図7】同実施形態にかかる電子財布装置における使用可能エリアによるカード選択処理を示すシーケンス図である。
【図8】同実施形態にかかる電子財布装置におけるリーダライタから受信したコードによるカード選択処理を示すシーケンス図である。
【図9】同実施形態にかかる電子財布装置におけるカード内部情報によるカード選択処理を示すシーケンス図である。
【図10】同実施形態にかかる電子財布装置におけるユーザ指定された非使用カードによるカード選択処理を示すシーケンス図である。
【図11】同実施形態にかかる電子財布装置におけるユーザ指定された優先カードによるカード選択処理を示すシーケンス図である。
【図12】同実施形態にかかる電子財布装置における複数のカード選択基準を適用したカード選択処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】同実施形態にかかる電子財布装置における複数のカード選択基準を適用したカード選択処理の別の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0175】
1 非接触ICカード
10 電子財布装置
20 ホスト装置
21 リーダライタ
30 測位システム
31 発信源
101 筐体
102 収納部
102A〜C スロット
103 表示部
104 操作部
105 制御部
106 記憶部
107 外部通信用アンテナ
108 セレクタ
109A〜C カード通信用アンテナ
110 シールド
111 測位センサ
112 測位用アンテナ、
120 カード認識部
122 カード内部情報登録部
124 優先順位決定部
126 非使用カード登録部
128 優先カード登録部
130 カード選択部
132 通信制御部
140 カード内部情報データベース
142 優先順位データベース
144 サービスエリアデータベース
146 非使用カードデータベース
148 優先カードデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置と非接触通信可能な複数の非接触ICカードを収納可能な収納部と;
前記外部装置と非接触通信を行うための外部通信用アンテナと;
前記収納部に収納された前記複数の非接触ICカードと非接触通信を行うためのカード通信用アンテナと;
前記外部装置から前記外部通信用アンテナを介して所定のサービスに関連する通信要求を受信すると、相異なる複数のカード選択基準に基づいて、前記収納部に収納された前記複数の非接触ICカードの中から、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補を絞り込み、少なくとも1つの非接触ICカードを選択するカード選択部と;
前記カード選択部により選択された前記非接触ICカードと前記外部装置とを、前記外部通信用アンテナ及び前記カード通信用アンテナを介して通信可能に接続する通信制御部と;
を備えることを特徴とする、電子財布装置。
【請求項2】
前記カード選択部は、前記通信要求に含まれるコードに応じた優先順位に従って、前記複数のカード選択基準を順次適用して、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補を絞り込むことを特徴とする、請求項1に記載の電子財布装置。
【請求項3】
前記カード選択部は、前記通信要求に含まれるコードに応じて、前記複数のカード選択基準のうち少なくとも一部を選択し、当該選択したカード選択基準を順次適用して、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補を絞り込むことを特徴とする、請求項1に記載の電子財布装置。
【請求項4】
前記各非接触ICカードが対応可能なサービスエリアを表すサービスエリア情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記カード選択部は、前記電子財布装置の現在位置を検出する測位システムから、前記電子財布装置の現在位置情報を取得し、前記現在位置情報と、前記記憶部から読み出した前記サービスエリア情報とに基づいて、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補を絞り込むことを特徴とする、請求項1に記載の電子財布装置。
【請求項5】
前記収納部に収納された前記複数の非接触ICカードが対応するサービスに関連するコードを、記憶部に登録するカード内部情報登録部をさらに備え、
前記カード選択部は、前記外部装置から受信した前記通信要求に含まれるコードと、前記記憶部から読み出したコードとに基づいて、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補を絞り込むことを特徴とする、請求項1に記載の電子財布装置。
【請求項6】
前記カード選択部は、前記収納部に収納された前記複数の非接触ICカード内に記憶されているカード内部情報に基づいて、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補を絞り込むことを特徴とする、請求項1に記載の電子財布装置。
【請求項7】
前記カード内部情報に基づいて、サービスごとに前記複数の非接触ICカードの優先順位を決定する優先順位決定部をさらに備え、
前記カード選択部は、前記優先順位決定部により決定された優先順位に基づいて、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補を絞り込むことを特徴とする、請求項6に記載の電子財布装置。
【請求項8】
ユーザにより指定された非使用カードを表す非使用カード情報を記憶部に登録する非使用カード登録部をさらに備え、
前記カード選択部は、前記記憶部から読み出した前記非使用カード情報に基づき、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補から、前記非使用カードを除外することを特徴とする、請求項1に記載の電子財布装置。
【請求項9】
ユーザにより指定された優先カードを表す優先カード情報を記憶部に登録する優先カード登録部をさらに備え、
前記カード選択部は、前記記憶部から読み出した前記優先カード情報に基づき、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補として、前記優先カードを優先的に選択することを特徴とする、請求項1に記載の電子財布装置。
【請求項10】
外部装置と非接触通信可能な複数の非接触ICカードを収納可能な収納部と、前記外部装置と非接触通信を行うための外部通信用アンテナと、前記収納部に収納された前記複数の非接触ICカードと非接触通信を行うための複数のカード通信用アンテナとを備えた電子財布装置における通信方法であって:
前記外部装置から前記外部通信用アンテナを介して所定のサービスに関連する通信要求を受信すると、相異なる複数のカード選択基準に基づいて、前記収納部に収納された前記複数の非接触ICカードの中から、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補を絞り込み、少なくとも1つの非接触ICカードを選択するカード選択ステップと;
前記カード選択部により選択された前記非接触ICカードと前記外部装置とを、前記外部通信用アンテナ及び前記カード通信用アンテナを介して通信可能に接続する通信制御ステップと;
を含むことを特徴とする、通信方法。
【請求項11】
外部装置と非接触通信可能な複数の非接触ICカードを収納可能な収納部と、前記外部装置と非接触通信を行うための外部通信用アンテナと、前記収納部に収納された前記複数の非接触ICカードと非接触通信を行うための複数のカード通信用アンテナとを備えた電子財布装置のコンピュータに:
前記外部装置から前記外部通信用アンテナを介して所定のサービスに関連する通信要求を受信すると、相異なる複数のカード選択基準に基づいて、前記収納部に収納された前記複数の非接触ICカードの中から、前記外部装置との通信に使用する非接触ICカードの候補を絞り込み、少なくとも1つの非接触ICカードを選択するカード選択ステップと;
前記カード選択部により選択された前記非接触ICカードと前記外部装置とを、前記外部通信用アンテナ及び前記カード通信用アンテナを介して通信可能に接続する通信制御ステップと;
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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