説明

電子部品収容トレイ

【課題】構造が簡単でかつ作業性の良い係止機能、位置決め機能、チップ(電子部品)の回転防止及び上下動防止機能等の機能を備えた電子部品収容トレイを提供する。
【解決手段】多段に積み重ねて使用される電子部品収容トレイであって、電子部品を収容する複数の小区画を形成する縦桟と横桟とからなる基板と、前記基板の側面全周にわたり所定の間隔で、基板の上下に突き出るように設けられた縦枠と、前記縦枠の上部及び下部に前記基板の全周にわたり形成された上枠体及び下枠体とを備え、前記上枠体の外寸を前記下枠体の外寸よりやや大きくして、トレイの多段の積み重ねを可能にし、積み重ねられた上下のトレイを相互に着脱可能に係止する係止機構を備えたことを特徴とする電子部品収容トレイ。さらに、位置決め機構、チップの回転及び上下動防止機構を備えた上記の電子部品収容トレイ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス用の電子部品を多数収容して、その搬送や洗浄を行う際に用いるトレイに関し、とくに搬送・洗浄中の部品チップの上下動や横ずれ、あるいは回転、脱落などを防止することにより、電子部品の搬送・洗浄等のハンドリング(取り扱い)を容易にすることのできる電子部品収容トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおいては、大量の電子部品をまとめて搬送・洗浄するために、電子部品を収容するトレイが用いられている。トレイに収容する電子部品には各種のものがある。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、底板(主壁部)と低い側壁からなる矩形のトレイ本体を多段に積み重ねる構造の電子部品収納用トレイが開示されている。トレイの底板は格子状の区画に分割され、各区画に正方形の凹部が形成され、この凹部のそれぞれに電子部品が載置される。
【0004】
また、トレイに収容された電子部品を取出す場合、積み重ねられたトレイの上下を反転させる必要があり、積み重ねられたトレイの上下を反転させると、電子部品がトレイの中で上下動する。下記特許文献2には、その上下動を抑制するため、トレイの相互間に紙を挟む、あるいはトレイの上面にリブを設け、これと噛み合う下面リブを設ける技術が開示されている。
【0005】
このように、電子部品の収容トレイとしては、一辺が10cm程度の四角形で、高さが10〜15mm程度の平箱状のものが従来から多く用いられている。このようなトレイは、通常は側面4周及び底面がプラスチック製の枠体からなり、上面は開放されて、多数の同形のトレイを多段に積み重ねてハンドリングするようになっている。また、トレイの内部又は底部が縦横の桟で格子状の小区画に分割され、各小区画毎に1個の電子部品を収容するように構成されている。
【特許文献1】特開2004−359260号公報
【特許文献2】特開2007−109763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる電子部品の収容トレイに共通する課題とは、下記のような機能を必要とすることである。
(1)積み重ねたトレイがハンドリング中に分離しないように、上下のトレイを係合する機能を有し、かかる係合状態は、必要なときに簡便に解除できる必要がある。すなわち、係脱(着脱)可能な係止機能を備える必要がある。
(2)トレイを積み重ねた時に、収容した電子部品が、常に一定の方向を向くように、すなわち、作業者が間違いなくワンウェイに位置決めできる位置決め機能を備える必要がある。
(3)トレイに収容した部品チップ(電子部品)が水平面で回転したり、上下に動いて脱落したりすることのないようにするチップ(電子部品)の回転防止及び上下動防止機能を備える必要がある。
(4)洗浄が終了した後に、塵埃が付着しないよう複数段積み重ねたトレイを真空パックするが、その際に真空パック用袋を破損しないように真空パック可能な真空パック用袋破損防止機能を備える必要がある。
【0007】
電子部品の点数はきわめて多く、必要とされる収容トレイの種類もきわめて多い。従って、上記のような機能を充足するのに、複雑な構造にしたのではトレイの製造コストが高価になって好ましくない。また、トレイの積み重ねや取外し、トレイへのチップの収脱等の作業が簡便であることも重要である。
【0008】
そこで本発明は、簡単かつ作業性の良い、係止機能、位置決め機能、チップ(電子部品)の回転防止及び上下動防止機能等の機能を備えた電子部品収容トレイを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の電子部品収容トレイは、多段に積み重ねて使用される電子部品収容トレイであって、電子部品を収容する複数の小区画を形成する縦桟と横桟とからなる基板と、前記基板の側面全周にわたり所定の間隔で、かつ前記基板の上下に突き出るように設けられた縦枠と、前記縦枠の上部に前記基板の全周にわたり形成された上枠体と、前記縦枠の下部に前記基板の全周にわたり形成された下枠体とを備え、前記上枠体の外寸を前記下枠体の外寸よりやや大きくし、多段に積み重ねたときに、下枠体の下部が、他の電子部品収容トレイの上枠体の上部に所定の深さまで入り込むように形成され、上下に積み重ねられた前記トレイを相互に着脱可能に係止する係止機構を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
この電子部品収容トレイは、前記トレイを積み重ねた際に、所定方位の一隅が上下に積み重ねられた前記トレイ間で一致するようにするための位置決め機構を備えたものであることが好ましい。
【0011】
また、この電子部品収容トレイは、前記小区画に収容された前記電子部品の回転を防止する回転防止機構を備えたものであることが好ましい。
【0012】
さらに、この電子部品収容トレイは、前記小区画のそれぞれに収容された前記電子部品の上下動を防止する上下動防止機構を備えたものであることが好ましい。
【0013】
この電子部品収容トレイにおいては、前記係止機構が、前記上枠体の対向する2辺の中央付近から下方に延びる一対の薄板の係止部材からなり、前記係止部材の下部所定の位置で外側に突き出した外側係止爪と、その上部所定の位置で上方が内側に突き出した段差とが設けられ、積み重ねられた上側トレイの前記係止部材を、下側トレイの前記係止部材の内側に挿通した際に、上側トレイの前記外側係止爪が下側トレイの前記段差と係合し、積み重ねられた上下のトレイの離間を防止するように構成されていることが好ましい。
【0014】
また、この電子部品収容トレイにおいては、前記位置決め機構が、前記下側トレイの一隅において下方に突出する位置決めピンと、該位置決めピンに対応する位置において前記上側トレイの前記下枠に設けられた貫通孔とからなり、前記トレイを積み重ねる際に、前記位置決めピンを前記貫通孔に挿通することによって位置決めされるように構成されていることが好ましい。
【0015】
また、この電子部品収容トレイにおいては、前記回転防止機構が、前記縦桟の一辺と前記横桟の一辺との間に斜めに懸けわたされた斜桟上に垂直上方に突出する2本のロックピンと、前記小区画内に収容された前記電子部品の本体背面取付け部に、前記ロックピンに対応する位置に設けられた2個のロック孔とからなり、前記電子部品のそれぞれを前記小区画内に収容する際に、前記ロックピンを前記ロック孔に挿通することにより、前記電子部品の水平方向の回転を防止するように構成されていることが好ましい。
【0016】
また、この前記回転防止機構は、前記縦桟の一辺と前記横桟の一辺との間に斜めに懸けわたされた斜桟上に垂直上方に突出する1本のロックピン及び2本の位置決めピンと、前記電子部品の本体背面に水平に設けられ、その所定の位置に1個のロック孔を有する所定外形の取付け部とからなり、前記電子部品のそれぞれを前記小区画内に収容する際に、前記ロックピンを前記取付け部のロック孔に挿通し、2本の前記位置決めピンの外周に前記取付け部の外縁を当接させることにより、前記電子部品の水平方向の回転を防止するように構成されているものであってもよい。
【0017】
さらに、本発明の電子部品収容トレイにおいては、前記上下動防止機構が、前記斜桟の所定の位置でその上方に突出し上面が平らな所定高さの上向き押さえピンと、これに対応する位置で前記斜桟の下方に突出し下面が平らな所定高さの下向き押さえピンとからなり、前記トレイを上下に積み重ねる際に、下側トレイの前記上向き押さえピンと、上側トレイの前記下向き押さえピンとの間に、前記電子部品の水平面を挟んで固定することにより、前記電子部品の上下動を防止することを特徴とするものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、簡単かつ作業性の良い機構で、係止機能、位置決め機能、チップの回転防止及び上下動防止機能等の機能を備えた電子部品収容トレイを提供することが可能になった。これにより、上記の諸機能を備えたトレイを安価に製造することが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、実施例の図面に基づいて詳しく説明する。 図1は、本発明の一実施例である電子部品収容トレイ1の外観を示す図で、図1(a)は斜視図、図1(b)は平面図である。
【0020】
このトレイ1は、平たい箱状のプラスチック製の枠体からなるが、プラスチック製に限られるものではない。トレイ1は、上枠2、下枠3、縦枠4、及び底面に配設されている縦桟5及び横桟6等から構成されている。基板は、縦桟5と横桟6とからなる平板である。縦桟5及び横桟6は、底面近くの平面上に所定間隔で縦横に格子状に配置され、縦横の桟で囲まれた各格子のそれぞれが電子部品を収容する小区画を形成している。すなわち、1個の格子それぞれに1個の電子部品が収容される。
【0021】
本実施例では、トレイ1の大きさは90×100mm程度の長方形で、高さが15mm程度であるが、この例に限られるものではない。上枠2は、幅7mmで厚み0.5mm程度の帯板からなり、トレイ1の上部側面全周を囲むように配設されている。トレイの上面は開放されており、上部から同一形状の他のトレイを入れて、多段に積み重ねられるようになっている。
【0022】
下枠3は、断面が2×1mm程度の細い角棒からなり、底面の全周を囲むように配設されている。縦枠4は、下側にやや細くなった角棒状で、所定の間隔で上枠2と下枠3との間を垂直に結ぶように多数配設されている。
【0023】
本実施例では、縦枠4の間隔は小区画の分割線、すなわち縦桟5及び横桟6の位置に対応している。縦桟5及び横桟6は、所定の間隔でトレイ1の各辺と平行に配置されている。なお、本実施例では、トレイ1の長辺に平行な桟を縦桟という。
【0024】
縦桟5、横桟6ともに、縦枠4の下端付近(下枠3のやや上部)に取り付けられている。また、各小区画には、縦桟5の一辺と横桟6の一辺との間に斜めに懸けわたされた斜桟19と、その上方に突き出す複数のピンが設けられているが、その詳細は後述する。
【0025】
図2は、本実施例のトレイ1を積み重ねた状態を説明した図で、図2(a)は積み重ね前の状態、図2(b)は積み重ね後の状態を示した側面図である。図2(a)、(b)に見られるように、トレイ1は上枠2、下枠3、縦枠4と縦横の桟等からなる。この図はトレイ1の短辺側を側面から見たもので、一番手前側の横桟6の側面のみが表われている。また、上枠2の長手方向中央には、係止部材7(これについては、後に説明する)が下方に突出し、下枠3のこの部分が切り欠かれている。
【0026】
本実施例のトレイ1では、上枠2及び縦枠4が下方側ほどやや小さくなるように形成されている。すなわち、長辺、短辺側ともに下枠3の外寸Xが、上枠2の内寸Yよりもやや小さくなっており、図2(b)に示すように、上側のトレイ1aを、下側のトレイ1bの上から押し込んだ時に、トレイ1aの下側1/3程度がトレイ1bの上部に入り込んで積み重ねられるようになっている。
【0027】
本発明の電子部品収容トレイは、上記の構成に加えて、下記の係止機構、位置決め機構及びチップ(電子部品)の回転防止機構並びに上下動防止機構を備えていることが特徴である。
(1)係止機構:多段に積み重ねられた上下トレイ相互を固定して搬送・洗浄中の離脱を防止し、必要な時に簡便に外せるようにしたトレイの着脱可能な係止機構。
(2)位置決め機構:トレイを積み重ねる時に、その四隅の内の特定の一隅が上下トレイで一致するようにワンウェイに重ねるための位置決め機構。
(3)チップの回転防止機構:トレイの各小区画に収容されたチップが、搬送・洗浄中に水平面内で回転しないように固定する機構。
(4)チップの上下動防止機構:トレイの各小区画に収容されたチップが、搬送・洗浄中に上下に動いて脱落することのないように上下動を防止する機構。
(5)洗浄終了後の複数段積み重ねたトレイの真空パック時に真空パック用袋が破損しない真空パック用袋破損防止機構。
これらの各機構を簡単な構造で実現可能にしたことが本発明の特徴である。
【0028】
まず、係止機構について説明する。図3は、本実施例における係止機構の説明図である。この係止機構は、トレイ1の上枠の対向する2辺(本実施例では短片)のそれぞれ中央付近に設けられた一対の係止部材7によって構成されている。図3(a)はこの係止部材7の部分(図1(a)のA部)を外側から見た斜視図、図3(b)はこの係止部材7の部分を内側から見た斜視図、図3(c)は上下トレイの係止部材7が係合している状態を示す縦断面図である。
【0029】
図3(a)に見られるように、係止部材7は上枠2から下方に延びる帯板状の部材で、上枠と一体に形成されている。係止部材7の外側下端には、横方向全幅に広がる係止爪8が形成されている。係止爪8は上面がほぼ水平である。
【0030】
一方、図3(b)に見られるように、係止部材7の上端付近(上枠と接合している部分)の内側には、横方向全幅に広がる段差9が形成されている。段差9は、上方が内側に突き出た段差である。段差9は下面がほぼ水平である。また、係止部材7が上枠2と接合している部分の外側には、係止部材の嵌め込みを容易にするための浅い縦溝10が形成されている。
【0031】
上下のトレイを重ね合わせた時には、図3(c)に見られるように、上側トレイの係止部材7aの下部が弾性変形して、その下端の係止爪8aが下側トレイの係止部材7bの内側(図3(c)の矢印A側)に入り込み、係止爪8aの下端が下側トレイの段差9bに係合して、上下トレイ間の分離が防止される。
【0032】
上下のトレイを外す時は、人の指の力で係止部材7aを矢印A方向に押せば、この係止部材7aが容易に変形して、係止爪8aと段差9bの係合を外すことができる。このように、簡単な機構で上下トレイを着脱可能に係合できるようにしたことが、本発明の特徴の一つである。
【0033】
次に位置決め機構について説明する。まず、位置決めが必要な理由について述べる。同形の長方形トレイは、一方を180°回転した位置でも重なることから、2通りの重ね方がある。
この実施例のトレイでは、斜桟19が小区画の中心線から外れた位置にあるので、上下トレイ間で斜桟19の位置が同じになる重ね方(以下、同方向重ねという。)と、点対称の位置になる重ね方(以下、点対称重ねという。)がある。
【0034】
小区画に収容されたチップの向きは、斜桟19の位置に依存するので、点対称重ねではトレイ毎にチップの向きが変わることになる。チップの収容や取出しは、通常、自動組み立て装置で行われることが多いので、点対称重ねになることを避ける必要がある。すなわち、トレイの位置決めが必要な理由は、トレイの四隅の内の特定の一隅が上下トレイで常に一致するように積み重ねる必要があるためである。
【0035】
図4は、本実施例における位置決め機構の構成を説明するための図で、トレイ1の一隅(図1(a)のB部)を拡大して示す斜視図である。図4に見られるように、この一隅(コーナー)の上枠2の内側には、支持部材11を介して直立した位置決めピン12が取り付けられている。
【0036】
位置決めピン12は、ほぼ円筒状でその径は下方でやや大きくなっており、その長さはトレイ1の高さの2/3程度である。また、下枠3の一隅(コーナー部)にはやや面積が大きくなった張出し部13が設けられ、その中央付近に貫通孔14が設けられている。
【0037】
トレイ1の他の三隅では、位置決めピン12は設けられていない。下枠3の張出し部13はあるが、貫通孔14は設けられていない。従って、同方向重ねの場合は、下側トレイの位置決めピン12が上側トレイの貫通孔14に挿通するので、重ね合わせた時に上側トレイを下側トレイの内部まで押し込むことができる。
【0038】
しかし、点対称重ねでは、上側トレイに貫通孔14が設けられていないため、下側トレイの位置決めピン12の頭が上側トレイの張出し部13の下面に突き当たり、上側トレイを下側トレイの内部まで押し込むことができない。その場合は、作業者が、一方のトレイを180°回転させて積み重ねればよい。この位置決め機構も構造が簡単で安価に製作できる。
【0039】
次に電子部品の回転防止機構について説明する。図5は、本実施例における回転防止機構の説明図で、図5(a)は本実施例のトレイ1に収容される電子部品の形状の例を示す斜視図、図5(b)は本実施例のトレイ1の小区画を拡大して示す斜視図、図5(c)は電子部品を小区画に収容した状態を示す平面図である。
【0040】
図5(a)に示す電子部品は、ハードディスクに用いるもので、電子部品15は、本体部16とその背面の取付け部17とからなる。本体部16は、13×7mm程度の大きさの板状になっている。本体部16の背面は、その長手方向の中央ほぼ全長に背びれ状に直立した取付け部17が形成され、この取付け部17の端部付近にロック孔18が1個設けられている。
【0041】
図5(b)に示すように、トレイ1の各小区画は、縦桟5と横桟6により、長方形に区切られており、横桟6の中央付近から、縦桟5の端部付近に斜桟19が懸けわたされている。斜桟19の上には、3個の背の高いピンと、1個の低いピンが直立に立設されている。
【0042】
これらのピンのうち、両端の背の高いピンは位置決めピン20a,20bであり、内側の2本のピンのうち背の高いピンはロックピン21であり、内側の背の低いピンは、後述する上下動防止機構に用いる押さえピンである。ロックピン21の先端は、ロック孔18に挿通しやすいように先細りになっている。また、斜桟19の中央付近から反対側の縦桟5の中央付近に補強桟22が懸け渡されている。
【0043】
電子部品15をトレイ1の小区画に収容するには、電子部品15の本体部を直立に(取付け部を水平に)し、取付け部17のロック孔18にロックピン21を挿通する。その状態で、図5(c)に示すように、位置決めピン20aの外縁に本体部16の背面が当接し、位置決めピン20bの外縁に取付け部17の背が当接する。従って、電子部品15が矢印Bの方向に回転しようとすれば、位置決めピン20aに突き当たり、矢印Cの方向に回転しようとすれば、位置決めピン20bに突き当たるため、電子部品15の水平面内での回転を防止することができる。
【0044】
図6は、本発明の他の実施例における回転防止機構の説明図で、図6(a)はこの実施例における電子部品15の形状を示す斜視図、図6(b)はこの実施例のトレイ1の小区画を拡大して示す斜視図ある。図6(a)に示す電子部品15も、電子部品15が本体部16とその背面に設けられた背びれ状の取付け部17とからなることは、図5(a)に示す電子部品15と同様である。しかし、この電子部品15では、取付け部17に2個のロック孔18a,18bが設けられている点が、図5(a)の電子部品と相違する。
【0045】
また、この実施例におけるトレイ1の各小区画の、縦桟5、横桟6、斜桟19、補強桟22等の構成は図5(b)の場合と同様であるが、ピンの構成が図5(b)と相違する。すなわち、2個のロックピン21a,21bと背の低い押さえピンと立設され、位置決めピンは設けられていない。電子部品15をトレイ1の小区画に収容するには、電子部品15の取付け部17を水平にし、取付け部17のロック孔18a,18bに、それぞれロックピン21a,21bを挿通する。ロックピン21a,21bはロック孔18a,18bに緩みなく嵌合するので、2本のロックピンで固定することにより、電子部品15の水平面内での回転を防止することができる。
【0046】
図7は、本実施例における上下動防止機構の説明図で、図7(a)は本実施例のトレイ1の小区画を上側から見た斜視図、図7(b)はこの小区画を下側から見た斜視図、図7(c)は上下トレイにより電子部品15が固定された状態を示す側面図である。 図7(a)において、斜桟19上に2本の位置決めピン20a,20bとロックピン21とともに背の低い上向き押さえピン23が立設されている。一方、図7(b)に見られるように、斜桟19の下側には、上向き押さえピン23に対応する位置に背の低い下向き押さえピン24が設けられている。上下トレイを重ね合わせた時に、図7(b)に見られるように、電子部品15の取付け部17は、上側トレイの下向き押さえピン24と、下側トレイの上向き押さえピン23の間に隙間なく挟まれる。従って、電子部品本体部16の上下動を防止することができる。この上下動防止機構も構造が簡単で安価に製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施例である電子部品収容トレイの外観を示す図である。
【図2】本実施例のトレイを積み重ねた状態を説明する図である。
【図3】本実施例における係止機構の説明図である。
【図4】本実施例における位置決め機構の説明図である。
【図5】本実施例における回転防止機構の説明図である。
【図6】本発明の他の実施例における回転防止機構の説明図である。
【図7】本実施例における上下動防止機構の説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1 トレイ
2 上枠
3 下枠
4 縦枠
5 縦桟
6 横桟
7,7a,7b 係止部材
8,8a 係止爪
9,9b 段差
10 縦溝
11 支持部材
12 位置決めピン
13 張出し部
14 貫通孔
15 電子部品
16 本体部
17 取付け部
18,18a,18b ロック孔
19 斜桟
20a,20b 位置決めピン
21,21a,21b ロックピン
22 補強桟
23 上向き押さえピン
24 下向き押さえピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段に積み重ねて使用される電子部品収容トレイであって、
電子部品を収容する複数の小区画を形成する縦桟と横桟とからなる基板と、
前記基板の側面全周にわたり所定の間隔で、かつ前記基板の上下に突き出るように設けられた縦枠と、
前記縦枠の上部に前記基板の全周にわたり形成された上枠体と、
前記縦枠の下部に前記基板の全周にわたり形成された下枠体とを備え、
前記上枠体の外寸を前記下枠体の外寸よりやや大きくし、多段に積み重ねたときに、下枠体の下部が、他の電子部品収容トレイの上枠体の上部に所定の深さまで入り込むように形成され、
上下に積み重ねられた前記トレイを相互に着脱可能に係止する係止機構を備えたことを特徴とする電子部品収容トレイ。
【請求項2】
前記トレイを積み重ねた際に、所定方位の一隅が上下に積み重ねられた前記トレイ間で一致するようにするための位置決め機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子部品収容トレイ。
【請求項3】
前記小区画に収容された前記電子部品の回転を防止する回転防止機構を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品収容トレイ。
【請求項4】
前記小区画のそれぞれに収容された前記電子部品の上下動を防止する上下動防止機構を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子部品収容トレイ。
【請求項5】
前記係止機構が、前記上枠体の対向する2辺の中央付近から下方に延びる一対の薄板の係止部材からなり、
前記係止部材の下部所定の位置で外側に突き出した外側係止爪と、その上部所定の位置で上方が内側に突き出した段差とが設けられ、
積み重ねられた上側トレイの前記係止部材を、下側トレイの前記係止部材の内側に挿通した際に、上側トレイの前記外側係止爪が下側トレイの前記段差と係合し、積み重ねられた上下のトレイの離間を防止するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子部品収容トレイ。
【請求項6】
前記位置決め機構が、前記下側トレイの一隅において下方に突出する位置決めピンと、該位置決めピンに対応する位置において前記上側トレイの前記下枠に設けられた貫通孔とからなり、
前記トレイを積み重ねる際に、前記位置決めピンを前記貫通孔に挿通することによって位置決めされるように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電子部品収容トレイ。
【請求項7】
前記回転防止機構が、前記縦桟の一辺と前記横桟の一辺との間に斜めに懸けわたされた斜桟上に垂直上方に突出する2本のロックピンと、
前記小区画内に収容された前記電子部品の本体背面取付け部に、前記ロックピンに対応する位置に設けられた2個のロック孔とからなり、
前記電子部品のそれぞれを前記小区画内に収容する際に、前記ロックピンを前記ロック孔に挿通することにより、前記電子部品の水平方向の回転を防止することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電子部品収容トレイ。
【請求項8】
前記回転防止機構が、前記縦桟の一辺と前記横桟の一辺との間に斜めに懸けわたされた斜桟上に垂直上方に突出する1本のロックピン及び2本の位置決めピンと、
前記電子部品の本体背面に水平に設けられ、その所定の位置に1個のロック孔を有する所定外形の取付け部とからなり、
前記電子部品のそれぞれを前記小区画内に収容する際に、前記ロックピンを前記取付け部のロック孔に挿通し、2本の前記位置決めピンの外周に前記取付け部の外縁を当接させることにより、前記電子部品の水平方向の回転を防止することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の電子部品収容トレイ。
【請求項9】
前記上下動防止機構が、前記斜桟の所定の位置でその上方に突出し上面が平らな所定高さの上向き押さえピンと、これに対応する位置で前記斜桟の下方に突出し下面が平らな所定高さの下向き押さえピンとからなり、
前記トレイを上下に積み重ねる際に、下側トレイの前記上向き押さえピンと、上側トレイの前記下向き押さえピンとの間に、前記電子部品の水平面を挟んで固定することにより、前記電子部品の上下動を防止することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の電子部品収容トレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−161218(P2009−161218A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341565(P2007−341565)
【出願日】平成19年12月29日(2007.12.29)
【出願人】(508006090)株式会社セントラルコーポレーション (2)
【Fターム(参考)】