説明

電子部品収納用パッケージおよび電子装置

【課題】パッケージを外部回路基板にネジ止めした場合、基体に反りが生じることがあることから、同軸ケーブルを保持する保持部材に保持部材にクラックが生じる可能性があった。
【解決手段】本発明の一つの態様に基づく電子部品収納用パッケージ1においては、枠体7が、基板5の一対のネジ止め部5cを結ぶ直線上に、この直線と平行に位置する第1の側壁部9を有しており、第1の側壁部9には、内側面、外側面および上面に開口して、入出力部材13が取り付けられる切欠き部11が形成されている。そして、切欠き部11のうち入出力部材13の上の領域に、枠体7が有するヤング率よりも低いヤング率を有する接合部材15が配設されていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子のような電子部品が収納される電子部品収納用パッケージおよびこれを用いた電子装置に関する。このような電子装置は各種電子機器に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
電子部品を収納する電子部品収納用パッケージ(以下、単にパッケージともいう)としては、例えば、特許文献1に記載されたパッケージが知られている。特許文献1に記載のパッケージは、基体およびこの基体の上面の外周部に接合された枠体を備えている。枠体には内外を貫通する貫通孔が形成され、この貫通孔に保持部材が篏め込まれている。保持部材には枠体の外側から同軸コネクタが挿入されている。基体にはネジ止め孔が形成されている。このネジ止め孔において基体を外部回路基板に固定することによってパッケージが外部回路基板に実装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−7884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のパッケージを外部回路基板にネジ止めした場合、基体に反りが生じることがある。このとき、枠体が基体に固定されていることから、基体の変形に伴って枠体が変形する場合がある。基体および枠体が変形すると、枠体の内外を貫通する貫通孔もまた変形する。この貫通孔の変形に伴って、保持部材には枠体におけるこの貫通孔の上方に位置する部分から押圧力が加わり易い。そのため、パッケージを外部回路基板に強固に固定しようとした場合、保持部材にクラックが生じる、あるいは、保持部材と枠体との間に隙間が形成される可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、耐久性の良好な信頼性の高い電子部品収納用パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に基づく電子部品収納用パッケージは、電子部品が載置される載置領域を上面に有する平板部および該平板部から互いに反対側の側方に引き出された一対のネジ止め部を具備した基板と、内側面、外側面および上面に開口する切欠き部を有する第1の側壁部を含む複数の側壁部からなり、前記一対のネジ止め部を結ぶ直線上に該直線と平行に前記第1の側壁部が位置して、前記基板の上面に前記載置領域を囲むように設けられた枠体と、上面が前記枠体の上面よりも低く位置するように前記切欠き部に取り付けられた、前記電子部品に電気的に接続される入出力部材と、前記枠体が有するヤング率よりも低いヤング率を有し、前記切欠き部のうち前記入出力部材の上の領域に配設された接合部材とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
上記態様の電子部品収納用パッケージにおいては、基板をネジ止めした場合に大きな反りが生じ易い一対のネジ止め部の間に、枠体における内側面、外側面および上面に開口する切欠き部を有する第1の側壁部が位置している。この切欠き部に入出力部材が取り付けられている。切欠き部のうち入出力部材の上の領域に、枠体が有するヤング率よりも低い
ヤング率を有する接合部材が配設されている。
【0008】
このように、枠体よりも弾性変形し易い接合部材が上記の領域に充填されていることから、枠体の変形に伴って生じる応力を接合部材で緩和させることができる。そのため、基板に大きな反りが生じた場合であっても、入出力部材に大きな応力が加わる可能性を小さくできる。結果として、電子部品収納用パッケージを耐久性の良好な信頼性の高いものにできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態の電子部品収納用パッケージおよびこれを備えた電子装置を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す電子部品収納用パッケージの平面図である。
【図3】図2における領域Aであって、枠体および接合部材を含み、基板の上面に平行な断面を示す拡大断面図である。
【図4】図2に示す電子部品収納用パッケージのX−X断面における断面図である。
【図5】図1に示す電子部品収納用パッケージの第1の側壁部側の側面図である。
【図6】第2の実施形態の電子部品収納用パッケージを示す斜視図である。
【図7】図6に示す電子部品収納用パッケージの平面図である。
【図8】図7に示す電子部品収納用パッケージのY−Y断面における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各実施形態の電子部品収納用パッケージ(以下、単にパッケージともいう)およびにこれを備えた電子装置について、図面を用いて詳細に説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。したがって、本発明に係るパッケージおよび電子装置は、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0011】
図1〜5に示すように、第1の実施形態のパッケージ1は、電子部品3が載置される載置領域5aを上面に有する基板5と、載置領域5aを囲むように基板5の上面に設けられた枠体7とを備えている。基板5は、載置領域5aを上面に有する平板部5bおよび平板部5bから互いに反対側の側方に引き出された一対のネジ止め部5cを具備している。枠体7は、第1の側壁部9を含む複数の側壁部からなる。第1の側壁部9は、内側面、外側面および上面に開口する切欠き部11を有している。このような枠体7は、基板5の一対のネジ止め部5cを結ぶ直線上に、この直線と平行に第1の側壁部9が位置するとともに載置領域5aを囲むように基板5の上面に設けられている。
【0012】
また、本実施形態のパッケージ1は、切欠き部11に取り付けられた入出力部材13を備えている。このとき、入出力部材13は、その上面が枠体7の上面よりも低く位置するように取り付けられている。入出力部材13は、電子部品3に電気的に接続される。さらに、本実施形態のパッケージ1は、切欠き部11のうち入出力部材13の上の領域に配設された接合部材15を備えている。そして、接合部材15が、枠体7が有するヤング率よりも低いヤング率を有していることを特徴としている。
【0013】
このように、枠体7よりも弾性変形し易い接合部材15が、切欠き部11のうち入出力部材13の上の領域に充填されていることから、枠体7の変形に伴って生じる応力を接合部材15で緩和させることができる。そのため、基板5に大きな反りが生じた場合であっても、入出力部材13に大きな応力が加わる可能性を小さくできる。結果として、パッケージ1を耐久性の良好な信頼性の高いものにできる。
【0014】
本実施形態における基板5は、電子部品3が載置される載置領域5aを上面に有する平板部5bおよび平板部5bから互いに反対側の側方に引き出された一対のネジ止め部5cを具備している。平板部5bは、四角板形状であって、上面に電子部品3が載置される載置領域5aを有している。また、四角板形状の平板部5bの四隅からは、ネジ止め部5cがそれぞれ側方に引き出されている。すなわち、本実施形態のパッケージ1においては、基板5が互いに反対側の側方に引き出された一対のネジ止め部5cを2つ備えている。これらのネジ止め部5cに形成されたネジ止め孔によってパッケージ1を実装基板103にネジ止め固定することができる。平板部5bとネジ止め部5cとは別体形成した後に両者を接合してもよいが、基板5の強度を高めるためには、平板部5bおよびネジ止め部5cが一体形成されていることが好ましい。
【0015】
なお、本実施形態において載置領域5aとは、基板5を平面視した場合に電子部品3と重なり合う領域を意味している。平板部5bが四角板形状である場合、その大きさを、例えば一辺10mm以上100mm以下に設定することができる。また、基板5の厚みとしては、例えば、0.3mm以上3mm以下に設定することができる。
【0016】
本実施形態においては載置領域5aが基板5の平板部5bにおける上面の中央部に形成されているが、電子部品3が載置される領域を載置領域5aとしていることから、例えば、平板部5bの上面の端部に載置領域5aが形成されていても何ら問題ない。また、本実施形態の基板5は一つの載置領域5aを有しているが、基板5が複数の載置領域5aを有し、それぞれの載置領域5aに電子部品3が載置されていてもよい。
【0017】
基板5の上面における載置領域5aには電子部品3が配設される。電子部品3には、ボンディングワイヤ17が電気的に接続されている。電子部品3は、このボンディングワイヤ17、リード端子41などを介して外部の配線回路(不図示)との間で信号の入出力を行うことができる。このように、基板5の上面には電子部品3が配設される。そのため、基板5としては、少なくとも電子部品3が配設される部分には高い絶縁性を有していることが求められる。
【0018】
高い絶縁性を有する基板5は、複数の絶縁性部材を積層することによって作製できる。そして、この基板5の載置領域5aに電子部品3が載置される。絶縁性部材としては、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体および窒化珪素質焼結体のようなセラミック材料を用いることができる。また、これらのセラミック材料の代わりにガラスセラミック材料を用いてもよい。
【0019】
これらのガラス粉末およびセラミック粉末を含有する原料粉末、有機溶剤並びにバインダを混ぜることにより混合部材を作製する。この混合部材をシート状に成形することにより複数のセラミックグリーンシートを作製する。作製された複数のセラミックグリーンシートを積層することにより複数の積層体を作製する。複数の積層体をそれぞれ約1600度の温度で一体焼成することにより基板5が作製される。
【0020】
なお、基板5としては、複数の絶縁性部材が積層された構成に限られるものではない。一つの絶縁性部材により基板5が構成されていてもよい。また、基板5として、少なくとも電子部品3が配設される部分に高い絶縁性を有していることが求められることから、例えば、金属部材上に絶縁性部材を積層した構成としてもよい。特に、基板5に対して高い放熱性が求められる場合、基板5が上記の構成であることが好ましい。金属部材は高い放熱性を有しているからである。金属部材上に絶縁性部材を積層した構成とすることで、基板5の放熱性を高めることができる。
【0021】
具体的には、本実施形態における基板5のように、絶縁性の載置基板19を備えていてもよい。本実施形態におけるパッケージ1では、基板5が金属部材からなり、この基板5の載置領域5a上に載置基板19が配設されている。そして、この載置基板19上に電子部品3が載置されている。
【0022】
金属部材としては、具体的には、鉄、銅、ニッケル、クロム、コバルトおよびタングステンのような金属部材、あるいはこれらの金属からなる合金を用いることができる。このような金属部材のインゴットに圧延加工法、打ち抜き加工法のような金属加工法を施すことによって基板5を構成する金属部材を作製することができる。
【0023】
載置基板19としては、絶縁性部材と同様に絶縁性の良好な部材を用いることが好ましく、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体および窒化珪素質焼結体のようなセラミック材料、またはガラスセラミック材料を用いることができる。
【0024】
本実施形態のパッケージ1は、基板5の上面であって載置領域5aを囲むように配設された枠体7を備えている。枠体7は、第1の側壁部9を含む複数の側壁部からなる。具体的には、枠体7は、平面視した場合の内周面および外周面がそれぞれ略四角形の筒形状であり、4つの側壁部によって構成されている。第1の側壁部9は、これら4つの側壁部の一つである。
【0025】
第1の側壁部9は、内側面、外側面および上面に開口する切欠き部11を有している。このような枠体7は、基板5の一対のネジ止め部5cを結ぶ直線上に、この直線と平行に第1の側壁部9が位置するとともに載置領域5aを囲むように基板5の上面に接合材(不図示)を介して基板5に接合されている。接合材としては、例えば、金−錫ロウ、銀ロウが挙げられる。
【0026】
枠体7は、平面視した場合の外周を一辺10mm以上100mm以下に設定することができる。また、外周と内周との間の幅で示される枠体7の厚みは、例えば0.5mm以上2mm以下に設定することができる。また、枠体7の高さとしては、例えば3mm以上30mm以下に設定することができる。
【0027】
枠体7としては、例えば、基板5と同様に絶縁性の良好な部材を用いることができる。絶縁性の良好な部材としては、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体および窒化珪素質焼結体のようなセラミック材料を用いることができる。また、これらのセラミック材料の代わりにガラスセラミック材料を用いてもよい。
【0028】
また、枠体7としては上記の絶縁性の良好な部材の他にも、例えば、鉄、銅、ニッケル、クロム、コバルトおよびタングステンのような金属部材、あるいはこれらの金属からなる合金を用いることができる。このような金属部材のインゴットに圧延加工法、打ち抜き加工法のような金属加工法を施すことによって枠体7を構成する複数の板状部材を作製することができる。また、枠体7は、一つの部材からなっていてもよいが、複数の部材の積層構造であってもよい。
【0029】
本実施形態のパッケージ1における枠体7の第1の側壁部9は、内側面および外側面に開口する第1の貫通孔21を有している。具体的には、第1の貫通孔21は、第1の側壁部9における基板5と接合する下面側に形成され、第1の側壁部9の下面、内側面および外側面にそれぞれ開口する形状である。
【0030】
第1の貫通孔21には、入出力部材13(第1の入出力部材13)の一部が挿入固定されている。第1の入出力部材13は、第1の絶縁部材23、第2の絶縁部材25および配線導体27を有している。第1の入出力部材13は、配線導体27を介して電子部品3と外部配線とを電気的に接続する部材である。第1の絶縁部材23は、基板5の上面に配設されている。
【0031】
配線導体27は、第1の絶縁部材23の上面であって枠体7で囲まれた領域に位置する線路導体29と、線路導体29に電気的に接続され、枠体7の外側に引き出された配線ケーブル31とを具備している。第2の絶縁部材25は、配線導体27の一方の端部および他方の端部がそれぞれ露出するように、第1の絶縁部材23および配線導体27の上面に配設されている。このとき、配線導体27の一方の端部が枠体7で囲まれた領域内に位置して、他方の端部が凹部の内面に引き出されている。配線導体27の一方の端部は、電子部品3にボンディングワイヤ17を介して電気的に接続されている。配線ケーブル31における枠体7の外側に位置する部分は絶縁性の被覆部材33によって覆われていることが好ましい。
【0032】
本実施形態における第1の入出力部材13は、第1の絶縁部材23と第2の絶縁部材25との間に枠体7の内側および外側にそれぞれ開口する隙間が形成されている。言い換えれば、第1の絶縁部材23および第2の絶縁部材25によって構成される絶縁部材が、枠体7の内側と外側との間を貫通する貫通孔を有した構成となっている。
【0033】
さらに、この貫通孔の内周面に接地導体(不図示)が配設されるとともに配線ケーブル31が接地導体から離れて、接地導体との間に隙間を有した状態で貫通孔に挿入固定されている。すなわち、配線ケーブル31および接地導体によって同軸ケーブルが形成されている。配線ケーブル31と接地導体との間には絶縁体が配設されていてもよく、また、配線ケーブル31と接地導体との間が空隙となっていても良い。
【0034】
特に、配線ケーブル31と接地導体との間が空隙となっている場合、本実施形態のパッケージ1の特徴的構成が特に有効となる。従来のパッケージ1のように基板5の変形に伴って基板5および枠体7から第1の入出力部材13に大きな応力が加わった場合、配線ケーブル31と接地導体との間隔が変化するため、配線ケーブル31における信号の伝送特性が大きな影響を受ける可能性がある。しかしながら、本実施形態のパッケージ1では、第1の入出力部材13に加わる応力を接合部材15で緩和することができるので、配線ケーブル31と接地導体との間隔が変化することを抑制できる。
【0035】
本実施形態のパッケージ1においては、ボンディングワイヤ17を介して配線導体27と電子部品3とが電気的に接続されているが、これに限られるものではない。例えば、基板5の上面に、一方の端部が配線導体27と電気的に接続され、他方の端部が載置領域5aにまで引き回された接続用の導体を配設して、このような導体と電子部品3とを接続しても良い。
【0036】
また、本実施形態のパッケージ1においては、配線導体27が線路導体29および配線ケーブル31によって構成されているが、配線導体27はこのような構成に限定されるものではない。第1の絶縁部材23の上面であって、枠体7で囲まれた領域から枠体7の外側に引き出された線路導体29のみからなる構成であっても良い。なお、配線導体27がこのような構成である場合、配線導体27と外部の配線回路とはリード端子41などを用いて電気的に接続すればよい。
【0037】
第1の絶縁部材23の例示的な大きさとしては、平面視した場合における配線導体27の引き出し方向に平行な短手方向の幅が1〜20mm程度、平面視した場合における配線
導体27の引き出し方向に垂直な長手方向の幅が2〜20mm程度であって、厚みが0.5〜10mm程度である四角板形状の部材を用いることができる。第1の絶縁部材23としては、絶縁性部材と同様に絶縁性の良好な部材を用いればよい。
【0038】
配線導体27は、同軸コネクタやリード端子41などを介して外部の配線回路と電子部品3とを電気的に接続するための部材である。配線導体27としては、導電性の良好な部材を用いることが好ましい。具体的には、タングステン、モリブデン、ニッケル、銅、銀および金のような金属材料を配線導体27として用いることができる。上記の金属材料を単一で用いてもよく、また、合金として用いてもよい。
【0039】
本実施形態における第2の絶縁部材25は、四角板形状である。例示的な大きさとしては、平面視した場合における配線導体27の引き出し方向に平行な短手方向の幅が0.5〜19.5mm程度、平面視した場合における配線導体27の引き出し方向に垂直な長手方向の幅が2〜20mm程度であって、厚みが0.5〜10mm程度である四角板形状の部材を用いることができる。第2の絶縁部材25としては、第1の絶縁部材23と同様に絶縁性の良好な部材を用いればよい。
【0040】
また、第1の側壁部9は、第1の入出力部材13の上方であって、第1の貫通孔21とつながり、内側面、外側面および上面に開口する溝部35を有している。すなわち、第1の貫通孔21および溝部35によって切欠き部11が形成されている。また、このとき、溝部35が第1の入出力部材13の上方に位置していることから、言い換えれば、第1の入出力部材13の上面が枠体7の上面よりも低く位置するように切欠き部11に取り付けられている。
【0041】
このような溝部35を有していない場合、第1の入出力部材13が基板5と枠体7とに挟まれることになる。そのため、基板5に反りなどの変形が生じた場合に第1の貫通孔21が変形して、第1の入出力部材13に基板5および枠体7から大きな押圧力が加わる可能性がある。その結果、基板5、枠体7または第1の入出力部材13にクラックが生じる、あるいは、これらの部材の接合箇所に隙間が生じて、パッケージ1の気密性が低下する可能性が高まる。
【0042】
しかしながら、本実施形態のパッケージ1においては、第1の入出力部材13の上方であって、第1の貫通孔21とつながるように内側面、外側面および上面に開口する溝部35を第1の側壁部9が有している。そして、切欠き部11のうち第1の入出力部材13の上の領域である溝部35に、枠体7が有するヤング率よりも低いヤング率を有する接合部材15が配設されている。そのため、基板5のネジ止めに起因して、基板5に反りなどの変形が生じた場合であっても接合部材15が変形し易いので、基板5および枠体7から第1の入出力部材13に加わる押圧力を小さくできる。従って、パッケージ1の耐久性を高めて、気密性の良好なものにできる。
【0043】
本実施形態のパッケージ1における切欠き部11は、入出力部材13が取り付けられた第1の貫通孔21(第1の部分)と、第1の貫通孔21よりも上方に位置して第1の貫通孔21と連続する溝部35(第2の部分)とを有している。このとき、図5に示すように、第1の部分における基板5の上面および第1の側壁部9の内側面に平行な方向の幅W1よりも、第2の部分における基板5の上面および第1の側壁部9の内側面に平行な方向の幅W2が小さい。そのため、第1の入出力部材13の上面の少なくとも一部に対して第1の側壁部9が対向するように位置している。
【0044】
このように切欠き部11が形成されていることによって、第1の入出力部材13の高さ方向の位置決めを安定して図ることができる。第2の部分における上記の幅は、第1の部
分における上記の幅の5〜50%程度であればよく、10〜20%程度であることが好ましい。なお、第1の部分の幅および第2の部分の幅にそれぞればらつきがある場合、第1の部分の幅の平均値と第2の部分の幅の平均値とを比較すれば良い。
【0045】
配線ケーブル31と接地導体との間隔が変化することを抑制するため、あるいは、入出力部材13に大きな応力が加わることによって線路導体29が断線することを抑制するため、第2の部分が配線導体27の直上に位置していることが好ましい。第1の側壁部9は、第2の部分が形成された部分の近傍において、入出力部材13への応力緩和の効果が相対的に大きい。この応力緩和の効果が大きい部分が配線導体27の直上に位置していることによって、配線導体27の伝送特性が変化することを抑制できる。
【0046】
また、切欠き部11による枠体7から入出力部材13への応力緩和の効果を高めるため、切欠き部11は、第1の側壁部9の長手方向(図2,5における左右方向)の中央に形成されていることが好ましい。第1の側壁部9における、切欠き部11よりも一対のネジ止め部5cの一方側に位置する部分と、切欠き部11よりも一対のネジ止め部5cの他方側に位置する部分と、の間での応力緩和の偏りを小さくできるからである。すなわち、枠体7から入出力部材13に加わる応力の偏りを低減できるので、上記の応力が局所的に大きくなることを抑制できる。
【0047】
本実施形態のパッケージ1は、切欠き部11のうち入出力部材13の上の領域に配設された接合部材15を備えている。そして、接合部材15が、枠体7が有するヤング率よりも低いヤング率を有している。枠体7よりも弾性変形し易い接合部材15が、切欠き部11のうち入出力部材13の上の領域に充填されていることから、枠体7の変形に伴って生じる応力を接合部材15で緩和させることができる。
【0048】
接合部材15は、入出力部材13と枠体7とを接合する部材である。そのため、接合部材15は、切欠き部11のうち少なくとも入出力部材13の上の領域に配設されているが、この領域のみに配設されていることを意味するものではない。本実施形態のパッケージ1においては、入出力部材13を囲むように切欠き部11の表面全体に接合部材15が配設されている。これによって、入出力部材13と枠体7との接合性を良好なものにしている。
【0049】
また、接合部材15は切欠き部11からはみ出していても良い。例えば、本実施形態のパッケージ1においては、図2に示すように、枠体7の外側に接合部材15の一部がはみ出している。このとき、接合部材15が、基板5の上面に平行な断面において、切欠き部11からはみ出して露出する表面が曲面形状であることが好ましい。
【0050】
図2に示すように、切欠き部11の表面が凸曲面形状である場合、枠体7の変形に伴って接合部材15が変形する際に、接合部材15の特定の領域に内部応力が集中することを抑制できる。そのため、接合部材15にクラックが生じる、あるいは接合部材15が枠体7または入出力部材13から剥離する、という可能性を抑制できるからである。
【0051】
なお、本実施形態のパッケージ1においては、接合部材15が切欠き部11からはみ出し、この部分で露出する表面が凸曲面形状であるが、例えば、接合部材15全体が切欠き部11の内に位置して、切欠き部11から露出する表面が凹曲面形状であっても同様に接合部材15の特定の領域に内部応力が集中することを抑制できる。
【0052】
接合部材15としては、例えば、樹脂部材またはロウ材を用いることができる。樹脂部剤としては、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂が挙げられる。ロウ材としては、例えば、金−錫ロウおよび銀ロウが挙げられる。
【0053】
一例を挙げると、枠体7として140GPa程度のFe−Ni−Co、あるいは250−300GPa程度のCu−Wを用いるとともに、接合部材15として60GPa程度の金−錫ロウを用いた場合、接合部材15のヤング率が枠体7のヤング率よりも小さい。そのため、基板5および枠体7から入出力部材13に加わる応力を小さくできる。接合部材15のヤング率は、枠体7のヤング率の3/4以下、さらには1/2以下であることが好ましい。
【0054】
本実施形態における枠体7は、第1の側壁部9に形成された第1の貫通孔21だけでなく、第1の側壁部9とは別の側壁部に形成された第2の貫通孔を有している。第2の貫通孔は、第1の貫通孔21と同様に、枠体7の下面、内周面および外周面にそれぞれ開口する形状である。第2の貫通孔には、第2の入出力部材37の一部が挿入固定されている。第2の入出力部材37は、絶縁部材および配線導体を備えており、第1の入出力部材13と同様の構成となっている。
【0055】
第1の入出力部材13が挿入固定される第1の貫通孔21が、基板5の一対のネジ止め部5cを結ぶ直線上に位置する第1の側壁部9に形成されている一方で、第2の入出力部材37が挿入固定される第2の貫通孔は、基板5の一対のネジ止め部5cを結ぶ直線上には位置していない別の側壁部に形成されている。そのため、基板5をネジ止めした際に基板5に反りなどの変形が生じた場合であっても、第2の貫通孔の変形は相対的に小さい。従って、第2の貫通孔の上方に溝部が形成されていなくてもよい。
【0056】
本実施形態のパッケージ1においては、電子部品3として光半導体素子が用いられている。光半導体素子としては、例えば、LD素子に代表される、光ファイバに対して光を出射する発光素子、PD素子に代表される、光ファイバに対して光を受光する受光素子が挙げられる。このような光半導体素子を用いている場合、光半導体素子と光ファイバとの間で光学的な結合を行う必要がある。
【0057】
本実施形態における枠体7には、第1の貫通孔21および第2の貫通孔とは別に開口部が形成されており、この開口部に光半導体素子と光学的に結合される筒状の光ファイバ保持部材39が固定されている。光ファイバ保持部材39には光ファイバが保持される。そのため、光半導体素子と光ファイバとの間で光学的な結合を行うことができる。筒状の光ファイバ保持部材39は、光ファイバを固定して位置決めを図るための部材である。また、光ファイバ保持部材39が筒状であることによって、この筒形状の中空部分で光半導体素子と光ファイバとの間での光の伝達を行うことができる。
【0058】
光ファイバ保持部材39としては、少なくとも光ファイバを固定できる程度の強度を有していることが好ましい。具体的には、ステンレス、鉄、銅、ニッケル、クロム、コバルトおよびタングステンのような金属部材、あるいはこれらの金属からなる合金を用いることができる。このような金属部材のインゴットに圧延加工法、打ち抜き加工法のような金属加工法を施すことによって筒状の光ファイバ保持部材39を作製することができる。
【0059】
特に、枠体7と光ファイバ保持部材39とが、同じ金属部材を用いて形成されていることが好ましい。枠体7および光ファイバ保持部材39の熱膨張差を小さくすることができるので、枠体7と光ファイバ保持部材39との間に生じる応力を小さくすることができるからである。
【0060】
本実施形態の電子装置101の使用時においては、光ファイバ保持部材39の他方の端部にフェルールが固定される。フェルールは、光ファイバ保持部材39の筒の内部に対して一方の端部が開口する貫通孔を有している。そして、この貫通孔に光ファイバが挿入固
定される。このようにフェルールが光ファイバ保持部材39に挿入固定されていることによって、光ファイバと電子部品3との光学結合を行うことができる。
【0061】
フェルールとしては、例えば、ジルコニア、アルミナ等のセラミック材料をもちいることができる。また、光ファイバとしては、石英ガラスのような透光性の材料を用いることができる。なお、本実施形態におけるフェルールは筒状の光ファイバ保持部材39の内周面に固定されているが、これに限られるものではない。例えば、光ファイバ保持部材39の他方の端部の端面にフェルールを接合することによって固定してもよい。
【0062】
次に、第2の実施形態の電子部品収納用パッケージ1について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本実施形態にかかる各構成において、第1の実施形態と同様の機能を有する構成については、同じ参照符号を付記し、その詳細な説明を省略する。
【0063】
第2の実施形態のパッケージ1は、第1の実施形態のパッケージ1と比較して、切欠き部11の形状が相違している。具体的には、本実施形態のパッケージ1における切欠き部11は、図6〜8に示すように、第1の側壁部9の内側面および外側面に開口する第1の貫通孔21と、入出力部材13の上方であって第1の貫通孔21とつながり、第1の側壁部9の内側面および外側面のいずれか一方ならびに上面に開口する溝部35とを有している。
【0064】
すなわち、本実施形態における切欠き部11は、第1の実施形態における切欠き部11と同様に、第1の側壁部9の内側面および外側面に開口する第1の貫通孔21を有している。また、第1の実施形態における溝部35が、第1の側壁部9の内側面および外側面の両方に開口している一方で、本実施形態における溝部35は、第1の側壁部9の内側面および外側面のいずれか一方に開口している。
【0065】
本実施形態での第1の側壁部9における溝部35が形成された部分の厚みが、第1の側壁部9における他の部分の厚みよりも小さい。そのため、溝部35が形成された部分が変形し易くなっている。基板5の一対のネジ止め部5cを結ぶ直線上であって当該直線と平行に位置する側壁部である第1の側壁部9が基板5のネジ止めに起因して変形する場合に、上記の溝部35が形成された部分が変形する。このように相対的に変形し易い部分が、入出力部材13の上方に位置していることから、枠体7から入出力部材13に加わる応力を小さくすることができる。
【0066】
本実施形態のパッケージ1における枠体7から入出力部材13に加わる応力を抑制する効果は、第1の実施形態のパッケージ1と比較すると小さいが、一方で、本実施形態のパッケージ1における枠体7では、溝部35が形成された部分において、枠体7が一定の厚みを有していることから、第1の実施形態のパッケージ1と比較して、枠体7の形状を安定して保持することが可能となる。
【0067】
溝部35が形成された部分における第1の側壁部9の厚みは、第1の側壁部9における他の部分の厚みの5〜50%程度であればよい。なお、第1の側壁部9における溝部35が形成された部分の厚みおよび上記の他の部分の厚みにそれぞればらつきがある場合、それぞれの部分の厚みの平均値を比較すれば良い。
【0068】
次に、一実施形態の電子装置101について、図面を用いて詳細に説明する。本実施形態の電子装置101は、上記の実施形態に代表される電子部品収納用パッケージ1と、電子部品収納用パッケージ1の載置領域5a内に載置された電子部品3と、枠体7と接合された、電子部品3を封止する蓋体105とを備えている。なお、図1においては、第1の実施形態のパッケージ1を備えた電子装置101を例示している。
【0069】
本実施形態の電子装置101においては、基板5の載置領域5aに電子部品3が載置されている。電子部品3は、ボンディングワイヤ17を介して入出力部材13の配線導体27に電気的に接続されている。この電子部品3に配線導体27などを介して外部信号を入力することによって電子部品3から所望の出力を得ることができる。電子部品3としては、上述した光半導体素子の他にも、例えば、IC素子、コンデンサのような部品を用いることができる。
【0070】
蓋体105は、枠体7と接合され、電子部品3を封止するように設けられている。蓋体105は、枠体7の上面に接合されている。そして、基板5、枠体7および蓋体105で囲まれた空間において電子部品3を封止している。このように電子部品3を封止することによって、長期間のパッケージ1の使用による電子部品3の劣化を抑制することができる。
【0071】
蓋体105としては、例えば、鉄、銅、ニッケル、クロム、コバルトおよびタングステンのような金属部材、あるいはこれらの金属からなる合金を用いることができる。また、枠体7と蓋体105は、例えばシーム溶接法によって接合することができる。また、枠体7と蓋体105は、例えば、金−錫ロウを用いて接合してもよい。
【0072】
また、枠体7と蓋体105とは直接に接合されていても良いが、例えば、平面視した場合に枠体7と重なり合うようなリング形状である金属部材、いわゆるシールリングを間に挟んで接合されていても良い。
【0073】
以上、各実施形態の電子部品収納用パッケージおよびこれを備えた電子装置について説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更や実施形態の組み合わせを施すことは何等差し支えない。
【符号の説明】
【0074】
1・・・電子部品収納用パッケージ(パッケージ)
3・・・電子部品
5・・・基板
5a・・・載置領域
5b・・・平板部
5c・・・ネジ止め部
7・・・枠体
9・・・第1の側壁部
11・・・切欠き部
13・・・入出力部材(第1の入出力部材)
15・・・接合部材
17・・・ボンディングワイヤ
19・・・載置基板
21・・・第1の貫通孔
23・・・第1の絶縁部材
25・・・第2の絶縁部材
27・・・配線導体
29・・・線路導体
31・・・配線ケーブル
33・・・被覆部材
35・・・溝部
37・・・第2の入出力部材
39・・・光ファイバ保持部材
41・・・リード端子
101・・・電子装置
103・・・実装基板
105・・・蓋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が載置される載置領域を上面に有する平板部および該平板部から互いに反対側の側方に引き出された一対のネジ止め部を具備した基板と、
内側面、外側面および上面に開口する切欠き部を有する第1の側壁部を含む複数の側壁部からなり、前記一対のネジ止め部を結ぶ直線上に該直線と平行に前記第1の側壁部が位置して、前記基板の上面に前記載置領域を囲むように設けられた枠体と、
上面が前記枠体の上面よりも低く位置するように前記切欠き部に取り付けられた、前記電子部品に電気的に接続される入出力部材と、
前記枠体が有するヤング率よりも低いヤング率を有し、前記切欠き部のうち前記入出力部材の上の領域に配設された接合部材とを備えた電子部品収納用パッケージ。
【請求項2】
前記切欠き部が、前記入出力部材が取り付けられた第1の部分および該第1の部分よりも上方に位置する第2の部分を有し、前記第1の部分における幅よりも前記第2の部分における幅が小さいことを特徴とする請求項1に記載の電子部品収納用パッケージ。
【請求項3】
前記入出力部材が、絶縁部材および前記枠体の内側から外側に引き出された配線導体を有し、前記第2の部分が前記配線導体の直上に位置していることを特徴とする請求項2に記載の電子部品収納用パッケージ。
【請求項4】
前記絶縁部材が前記枠体の内側と外側との間を貫通する貫通孔を有し、
該貫通孔の内周面に接地導体が配設されるとともに前記配線導体が前記貫通孔に絶縁体を介して挿入固定されており、
前記配線導体および前記接地導体によって同軸ケーブルが形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電子部品収納用パッケージ。
【請求項5】
前記切欠き部は、前記第1の側壁部の長手方向の中央に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品収納用パッケージ。
【請求項6】
前記接合部材は、前記基板の上面に平行な断面において、前記切欠き部から露出する表面が曲面形状であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品収納用パッケージ。
【請求項7】
請求項1に記載の電子部品収納用パッケージと、
該電子部品収納用パッケージの前記載置領域に載置された電子部品と、
前記枠体の上面に接合された、前記電子部品を封止する蓋体とを備えた電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−93494(P2013−93494A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235744(P2011−235744)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)