説明

電子部品実装用基板

【課題】 撮像用開口部を有する回路基板に撮像素子を実装する際に生じ得る回路基板における該開口部周辺の基板変形を抑制、防止する。
【解決手段】 撮像素子用開口部が形成された収容凹部に対して電子部品が収容された状態で実装される回路基板において、開口部における収容凹部の側の開口において開口部の開口を広げるように内縁部を切欠く切欠部を配して、実装時における回路基板が変形した場合であっても該撮像素子と回路基板との接触を避けることを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所謂超音波振動を用いて電子部品、特に撮像素子等が実装される実装用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化、高機能化に伴い、該電子機器に用いられる回路基板についても小型化と高集積化が進められている。また、回路基板に実装される電子部品の中には、CMOSやCCDに代表される撮像素子も含まれている。これら撮像素子が実装される回路基板は、撮像素子の所謂受光部が該回路基板の裏面(非実装面)に向かった状態で該素子が受光可能となるように、受光部と対応する貫通穴を有している。即ち、特許文献1に例示されるように、基板に設けられた貫通穴である開口部に受光部が向かうように、撮像素子を回路基板に実装する形態が存在する。このような形態では、実装時において撮像素子をある程度収容可能となる凹部を該開口部と対応させる様式が多く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−299592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、前述した撮像素子が挿入、実装される凹部については、この部分の回路基板の厚さが凹部の形成のため薄くなっている。このため、実装時に撮像用の開口部に加わる荷重等の負荷により、該開口部の内縁部が撮像素子の側へ反ってしまうといった様式の変形が生じる。回路基板はセラミック等の材質からなる場合が多く、変形量が大きい場合には、変形した内縁部が撮像素子或いはその受光部と接触してしまい、電極同士の接合が不十分となる、或いは撮像素子に対してダメージを与えてしまうという可能性が生じてしまい、撮像素子の好適な実装ができなくなるという問題が存在していた。
【0005】
本発明は以上の状況に鑑みて為されたものであって、撮像素子を回路基板に実装するに際して、該回路基板に設けられた撮像用開口部周辺での変形を抑制、防止する、或いは変形が生じた場合であってもその影響を抑制することが可能な回路基板、即ち電子部品実装用基板の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る回路基板は、電子部品が実装される回路基板であって、一方の面に形成された凹部と、凹部に設けられて一方の面側から他方の面の側に貫通する開口部と、凹部に配置される端子電極と、を有し、凹部に少なくとも一部が収容可能であると共に、端子電極に接合されるバンプを有する電子部品が実装され、更に開口部における凹部の側の開口において開口部の開口を広げるように内縁部を切欠く切欠部を有することを特徴としている。
【0007】
なお、上述した回路基板において、切欠部は、端子電極が配置される凹部の庭園に平行な方向に沿って延在する切欠部の幅をWc、回路基盤の厚さ方向に沿った切欠部の深さをDc、実装後のバンプと端子電極との高さの合計をHとした場合、Wc>√2×H及びDc>√2×Hを満たして形成されることが好ましい。或いは、該切欠部は、回路基板及び電子部品の厚さ方向断面において、開口部の内面の一方の面の側への延長線と、凹部の底面の延長線と、の交点をOとし、交点Oと前記回路基板に実装される状態における、電子部品との距離をRとした場合に、切欠部は交点Oを中心として半径Rによって示される円形の領域を避けるように形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上述した撮影用開口部の内縁部に変形が生じた場合であってもその影響の発現を抑制し、該変形に影響されること無く回路基板に対する撮像素子の実装を行うことが可能となる。また、これにより、回路基板と撮像素子との接触に伴う撮像素子に与えられ得るダメージの回避と、実装歩留まりの向上といった効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る回路基板とこれに実装される撮像素子に関して、これらの厚さ方向の断面の状態を模式的に示す図である。
【図2】従来の回路基板に対して撮像素子を実装した場合ついて、図1と同様の様式でこれを示す模式図である。
【図3】本発明の更なる実施形態であって、回路基板及び撮像素子を図1と同様の様式にて示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る回路基板に対して撮像素子が実装された状態について、これらを厚さ方向に切断した場合の断面を模式的に示している。図2は従来の回路基板に対して撮像素子を実装した場合について、これを図1と同様の様式にて示している。また、図1においては、図2に示すように本発明において課題としている回路基板の内側に向かった反りが生じた場合の回路基板の変形を点線にて示している。
【0011】
これら図1及び図2は、上述したように回路基板1と撮像素子3とを示している。撮像素子3は平板状の素子であって、一面上に配置される受光部3a及び該受光部3aの周囲に配置される撮像素子側電極であるバンプ3bを有する。回路基板1も、平板形状をベースに加工が施されたものであり、撮像素子3が配置される側を下面1aとし、反対側の面を上面1bとする。一方の面たる下面1aには撮像素子3をある程度の範囲まで収容可能な凹部1cが形成されており、凹部1cの底面1d(回路基板の上下方向からすると天井面)には撮像素子3の受光部3aに対応して一方の面側となる該底面1dから他方の面たる上面1bに貫通する撮像用開口部1eが形成されている。凹部1cの底面1dにおける撮像用開口部1eの周囲には、撮像素子3のバンプ3bに対応するように端子電極1fが配置される。
【0012】
なお、本実施の形態では、受光部3aが撮像素子3の略中央部に配置されており、撮像用開口部3eも凹部1cの底面1dにおける略中央部に配置される場合を例示しているが、本発明はその他の態様の撮像素子及び回路基板に対しても適用可能である。また、撮像素子3が凹部1cに収容される深さ、或いは領域は特に限定されない。ここで、本発明の一実施形態に係る回路基板1は、更に、撮像用開口部1eにおける回路基板凹部底面1d側の開口部内縁部全周に亘って形成された切欠部1gを有する。
【0013】
なお、図中では課題となる事象を明確化するために反りを強調して示しているが、ここで述べる実施形態に係るアルミナ製の回路基板を用いた構成の場合、この反りが20μm以上となると、バンプ高さとの関係から実装の不備が生じる可能性が発生している。また、本発明で解決しようとする課題は、凹部1cの存在によって撮像用開口部1eの周辺での回路基板厚さが特に薄くなることに起因する面も大きく、当該形態の回路基板に対して特に有効である。しかし、このような凹部が存在しない場合であっても、撮像用開口部が形成されており且つその周辺の回路基板厚さが薄い場合には、本発明の適用が可能である。
【0014】
本発明では、この内縁部分に対して切欠部1gを設けることによって、バンプ或いは端子電極の厚さを変更することなく、内縁部分の反りの影響をなくすることを可能とする回路基板を提供することとしている。より具体的には、本発明では、後述する条件を満たす切欠部1gを形成することにより、撮像用開口部1eの内縁部分が反った場合であっても、その反りによって最も撮像素子に向かって突出する部分の存在をなくしている。従って、回路基板1の変形があったとしても、実際に撮像素子に対して回路基板1の変形は影響を及ぼすことが不可能となっている。なお、該切欠部1gについては、以下の条件を満たすように形成することによって、その効果をより好適に得る、或いは変形の影響をより確実になくすることが可能となる。具体的には、一実施形態として、一方の面たる回路基板1の下面1bと平行な底面を有するように内縁部を階段状に切欠いた場合であって、切欠部1gの幅をWc、切欠部1gの深さに相当する切欠部1gの底部(回路基板1の上下方向からすると天井面)と凹部1cの底面1dとの差をDc、実装後のバンプ3bと端子電極1fとの高さ(厚さ)の合計をHとした場合、Wc>√2×H及びDc>√2×Hを満たせば良い。
【0015】
これらWc、Dc、及びHが当該条件を各々満たすことによって、変形の影響が確実に抑制し、実装の歩留まりを向上することが可能となる。なお、ここで述べる切欠部1gの幅Wcとは、撮像用開口部1eの内周面の下面1a方向への延長線と、凹部1cの底面1dの撮像用開口部1e内への延長線との交点と、切欠かれた後の凹部1cの底面1dにおける内縁端との距離をいう。また、回路基板の構造上、切欠部1gの深さDcは凹部1cでの回路基板厚さDtより小さくなければならず、又切欠部1gの幅Wcは端子電極1fと撮像用開口部1eとの距離Whより小さくなければならない。
【0016】
切欠部1gが以上述べた条件を満たすように形成することにより、撮像用開口部1eの内縁部分が反ったとしても、内縁部端部が撮像素子3と接触することを防止することが可能となる。なお、ここで述べた実施形態では、切欠部1gの底面が回路基板1の凹部1cの底面1dと平行となる場合について述べている。しかし、本発明の実施形態の態様はこれに限定されない。例えば、切欠部深さDcは、撮像用開口部1eの内周面を該開口部1eの形成方向(軸線方向)に延長させた場合に得られる該延長線を含んだ面上についての深さであれば良い。この場合、切欠部1gの底面は凹部1cの底面1dと平行でなくとも良い。また、切欠部1gの形状が明確な段差を有さない場合については、幅Wcは前述した撮像用開口部1eの内周面の延長線と切欠部1gの端子電極1f側の形成端部までの距離を示すものであれば良い。また、上述した実施形態ではアルミナからなる回路基板を用いることとしているが、本発明は当該材料からなる回路基板に限定されず、所謂セラミックスによって構成される回路基板であれば適用可能である。
【0017】
また、本発明は、更なる実施形態として図3に示す態様によって定義することも可能である。なお、図3は、本実施形態における回路基板1及び撮像素子3を図1と同様の様式にて示すものであって、特に切欠部1gを拡大して示すものである。同図において、図示する断面において、撮像用開口部1eの内周面の下面1a方向への延長線と、凹部1cの底面1dを撮像用開口部1e内へ延長した延長線と、の交点をOとしている。本形態では、この交点Oと、撮像素子3或いは撮像素子3上に配置される受光素子3aの何れか近いほうとの距離をRとする。このとき、切欠部1gは、内縁部分がOを中心として半径Rによって示される円形の領域Pを避けるように形成される。
【0018】
なお、本形態では、切欠部1gが撮像用開口部1eの凹部底面1dに開口する開口端に近づくにつれて一義的に開口面積がおおきくなる所謂テーパ形状としている。しかし、本形態は当該様式に限定されず、上述した階段状の形状や、切欠部1gの断面が直線ではなく、曲線或いは複数の曲線及び直線から構成される形状としても良い。当該条件を満たす切欠部1gを形成することによっても、撮像用開口部1eの内縁部分が反ったとしても、内縁部端部が撮像素子3と接触することを防止することが可能となる。また、当該条件はバンプ3b及び端子電極1fの厚さについて考慮していない。従って、当該条件に上記Hを加味する条件を加えることによって、実装歩留まりをより向上することが可能となる。より詳細は、バンプ3b及び端子電極1f或いは関連する構成物が上述した円形の領域P内に進入する構成の場合、上述したHを用いた条件を組み合わせることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、撮像用開口部を有して撮像素子が実装される回路基板を対象とする。しかしながら、本発明の概念は当該態様のみならず、上面から下面に貫通する貫通孔或いは強度的にこれに相当する部分を有する回路基板であって、電極等を介して貫通孔の周辺に対して押圧力等の負荷が加えられる回路基板に適用可能である。従って、本発明において、撮像素子は電子部品として、又回路基板は基板として特定し、更に上位の概念として本発明を把握することが好ましい。
【符号の説明】
【0020】
1:回路基板、 1a:下面、 1b:上面、 1c:凹部、 1d:凹部底面(天井面)、 1e:撮像用開口部、 1f:端子電極、 1g:切欠部、 3:撮像素子、 3a:受光部、 3b:バンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装される回路基板であって、
一方の面に形成された凹部と、
前記凹部に設けられて前記一方の面側から他方の面の側に貫通する開口部と、
前記凹部に配置される端子電極と、を有し、
前記凹部に少なくとも一部が収容可能であると共に、前記端子電極に接合されるバンプを有する前記電子部品が実装され、
更に前記開口部における前記凹部の側の開口において前記開口部の開口を広げるように内縁部を切欠く切欠部を有することを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記切欠部は、前記端子電極が配置される前記凹部の底面に平行な方向に沿って延在する前記切欠部の幅をWc、前記回路基板の厚さ方向に沿う前記切欠部の深さをDc、実装後のバンプと端子電極との高さの合計をHとした場合、Wc>√2×H及びDc>√2×Hを満たして形成されることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記切欠部は、前記回路基板及び前記電子部品の厚さ方向断面において、前記開口部の内面の前記一方の面の側への延長線と、前記凹部の底面の延長線と、の交点をOとし、前記交点Oと前記回路基板に実装される状態において、前記電子部品との距離をRとした場合に、前記切欠部は前記交点Oを中心として半径Rによって示される円形の領域を避けるように形成されることを特徴とする請求項1又は2何れかに記載の回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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