説明

電子部品整列装置及び該電子部品整列装置を用いた電子部品整列方法

【課題】大型の電子部品を、効率的に、電子部品を整列させて、スティックチューブ内に介装させることが出来る電子部品整列装置及び電子部品整列装置を用いた電子部品整列方法を提供する。
【解決手段】押さえ板10は、反転動作中は反転台6と共に回動して、ハーネスコネクタ4…を押さえ続ける。
反転ステージ1bに到達した反転動作終了時には、押さえ板10が、傾斜角度付与軸部9を回動中心として、滑走ステージ1cに設けられたスティックチューブ7…を下方から支持する上側支持斜面部11の上面部と、滑走面10bとが、面一となるように、前縁部10aを回動させる傾斜動作が行われた状態で、停止される。
このため、反転されたハーネスコネクタ4…が、スティックチューブ7…の長手方向に沿った傾斜角度を与えられて、ハーネスコネクタ4…の自重で、滑走面10b上を滑走して、スティックチューブ7…内に整列挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、電子機器に用いる電子部品の配列装置で、特に、自動組立機に適用させる為、方向を特定する必要があるハーネスコネクタ等の整列に用いて好適な電子部品整列装置及び該電子部品整列装置を用いた電子部品整列方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に振動パーツフィーダーと呼ばれる部品整列装置が、知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来の部品整列装置では、スパイラル状のトラックに沿って、駆動部を構成する振動アクチュエータの電磁コイルに交流通電を行うことにより、ボウル内に蓄積された略円柱形形状の部品に振動を与えて、一列に整列させながら、移送することが出来る。
【特許文献1】実開平5−65931号公報(第0008段落乃至第0034段落、図1,図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このように構成された従来の部品整列装置では、駆動部を構成する電磁コイルに交流通電を行い、振動を発生させて駆動する必要がある。
【0005】
このため、ハーネスコネクタのような比較的大型の電子部品にあっては、質量、形状共に大きく、振動によって整列させにくいといった問題があった。
【0006】
また、略円柱形形状の部品を、一列に整列させながら、移送させることは出来るが、ハーネスコネクタ等の端子嵌合方向が、決められて、整列が行われながら、移送することは困難であった。
【0007】
このため、自動組立機に用いられる中空棒状のスティックチューブ内に、電子部品の端子嵌合面等の方向を揃えて、整列挿入させることは出来ないといった問題があった。
【0008】
そこで、この発明は、大型の電子部品を、効率的に、電子部品を整列させて、スティックチューブ内に介装させることが出来る電子部品整列装置及び電子部品整列装置を用いた電子部品整列方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、複数列に電子部品を載置するトレーから、該電子部品を分列させて、中空状のスティックチューブ内に、該スティックチューブの開口から整列介装させる電子部品整列装置において、前記電子部品を上面側に保持した状態で、前記トレーを装着する反転台と、該反転台の上下方向を反転させる反転軸と、該反転された前記電子部品を、傾斜させて、前記スティックチューブの長手方向に沿った傾斜角度を、前記電子部品に与える傾斜角度付与手段とを有する電子部品整列装置を特徴としている。
【0010】
また、請求項2に記載されたものは、前記電子部品を前記トレーの上面側に載置した状態で、反転動作中は、前記反転台と共に回動して、前記電子部品を押さえる押さえ板を設け、前記傾斜角度付与手段の傾斜軸部によって、反転動作終了状態では、該押さえ板を傾斜可能とすると共に、該押さえ板には、反転動作終了状態で、分列された部品をスティックチューブ内にガイドするガイド壁部を、該傾斜状態で挿通して、該ガイド壁部との間の干渉を防止する干渉防止溝を形成した請求項1記載の電子部品整列装置を特徴としている。
【0011】
更に、請求項3に記載されたものは、前記電子部品を前記トレーの上面側に載置した状態で、反転動作中は、前記反転台と共に回動して、前記電子部品を押さえる押さえ板を設け、該押さえ板には、反転動作終了状態で、分列された部品をスティックチューブ中にガイドするガイド壁部を一体形成する請求項1記載の電子部品整列装置を特徴としている。
【0012】
また、請求項4に記載されたものは、前記反転台の反転動作中は、前記押さえ板を該反転台の前記保持凹部と対向させた状態で、磁着して、反転動作終了時には、磁着を解除する磁着保持機構を設けた請求項1乃至3のうち、何れか一項記載の電子部品整列装置を特徴としている。
【0013】
そして、請求項5に記載されたものは、前記傾斜角度付与手段による傾斜動作中は、前記押さえ板の滑走面から突出されて、前記電子部品の滑落をロックするロック部材を有すると共に、前記スティックチューブの一端に形成された開口に、前記押さえ板に保持された前記電子部品が対向する位置に到達すると、前記ロック部材を滑走面内に没入させるロック機構を有する請求項1乃至4のうち、何れか一項記載の電子部品整列装置を特徴としている。
【0014】
更に、請求項6に記載されたものは、前記傾斜角度付与手段による傾斜動作又は、傾斜復帰動作のうち、少なくとも何れか一方には、前記傾斜動作又は、傾斜復帰動作を緩慢にするダンパ装置が設けられている請求項1乃至5のうち、何れか一項記載の電子部品整列装置を特徴としている。
【0015】
そして、請求項7に記載されたものは、複数列に電子部品を載置するトレーから、該電子部品を分列させて、中空状のスティックチューブ内に整列介装させる電子部品整列装置を用いた電子部品整列方法において、前記電子部品を上面側に保持した状態で、前記トレーを反転台に装着して、該反転台の上下方向を、反転軸を回転中心として反転させると共に、該反転された反転台を、傾斜させて、前記スティックチューブの延設方向に沿った傾斜角度とすることにより、前記電子部品を、該スティックチューブの開口部から、内部へ向けて滑走させる請求項1乃至6のうち、何れか一項記載の電子部品整列装置を用いた電子部品整列方法を特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
このように構成された請求項1記載の発明は、前記電子部品を載置した前記トレーが、上面側に装着された状態で、反転台と共に前記反転軸を回転中心とする反転動作によって、上下方向が反転される。
【0017】
該トレー内の電子部品は、前記傾斜角度付与手段で、傾斜されて、前記スティックチューブの長手方向に沿った傾斜角度が、該電子部品に与えられる。
【0018】
このため、該各電子部品は、分列された状態で、傾斜に沿って、自重で滑走して、中空状のスティックチューブ内に、該スティックチューブの開口から整列介装される。
【0019】
そして、複数の分列された電子部品を、一度に、複数のスティックチューブ内に介装整列させることができる。従って、電力等の動力を必要とせず、効率的に、電子部品を整列させて、スティックチューブ内に介装させることが出来る。
【0020】
また、請求項2に記載されたものは、前記電子部品を押さえる押さえ板によって、該電子部品が前記トレーの上面側に載置された状態で、前記反転台のトレー載置面と、該押さえ板との間に保持される。
【0021】
このため、該トレーの上面側に、複数列で整列載置された電子部品は、整列配置が保持されたまま、反転動作中は、前記反転台と共に回動して、反転動作終了時に、前記押さえ板側に移動する。
【0022】
該押さえ板側に移動された前記電子部品は、該押さえ板に形成された干渉防止溝に挿通される前記ガイド壁部によって、分列される。
【0023】
そして、前記傾斜角度付与手段の傾斜軸部によって、傾斜角度が与えられることにより、該押さえ板上を滑走して、これらの分列された電子部品が、スティックチューブ内に整列されながら、介装される。
【0024】
更に、請求項3に記載されたものは、前記電子部品を押さえる押さえ板が、該電子部品を前記トレーの上面側に載置した状態で、反転動作中は、前記反転台と共に回動して、該電子部品を、前記反転台のトレー載置面と、該押さえ板との間に保持する。
【0025】
このため、トレーの上面側に、複数列で整列載置された電子部品は、整列配置が保持されたまま、反転動作時に、前記押さえ板側に移動する。
【0026】
該押さえ板側に移動された前記電子部品は、該押さえ板に形成された干渉防止溝に挿通される前記ガイド壁部によって、分列される。
【0027】
そして、前記傾斜角度付与手段の傾斜軸部によって、傾斜角度が与えられることにより、該押さえ板上を滑走して、これらの分列された部品が、スティックチューブ内に整列されながら、介装される。
【0028】
また、請求項4に記載されたものは、前記磁着保持機構によって、前記押さえ板が、該反転台の前記保持凹部と対向させた状態で、磁着されて、該反転台の反転動作中も、前記電子部品が保持される。
【0029】
そして、反転動作終了時には、該磁着保持機構による磁着を解除することにより、前記押さえ板を、傾斜させて、前記トレー内から、前記電子部品を離間させることができる。
【0030】
このため、前記電子部品が、スティックチューブ内に介装される際に前記トレーが、妨げとなることが無い。
【0031】
更に、請求項5に記載されたものは、ロック機構のロック部材が、前記傾斜角度付与手段による傾斜動作中は、前記押さえ板の滑走面から突出されて、前記電子部品の滑落がロックされて防止される。
【0032】
このため、前記スティックチューブの一端に形成された開口に、前記押さえ板に保持された前記電子部品が対向する位置に到達までは、電子部品が滑落することが無く、開口外に滑落する等の介装不良を発生させる虞が無い。
【0033】
また、前記押さえ板に保持された前記電子部品が、前記スティックチューブの一端に形成された開口に、対向する位置に到達すると、前記ロック部材が滑走面内に没入される。
【0034】
このため、該押さえ板の傾斜に沿って、電子部品は、自重で滑走して、前記スティックチューブの一端に形成された開口から、該スティックチューブ内に、向きを変えること無く、介装整列される。
【0035】
従って、従来のように振動アクチュエータ等の電力を使用する必要が、無いので製造コストを削減できる。
【0036】
更に、請求項6に記載されたものは、前記ダンパ装置が、前記傾斜角度付与手段による傾斜動作又は、傾斜復帰動作のうち、少なくとも何れか一方の動作を緩慢にする。
【0037】
このため、急激な反転動作及び傾斜動作に伴う停止時の衝撃等による電子部品の飛び出し等を防止できる。
【0038】
そして、請求項7に記載されたものは、前記電子部品が、複数列、上面側に保持された状態で、前記トレーが反転台に装着される。
【0039】
このため、電子部品の方向を該トレー上で容易に一致させることができ、作業効率が良好である。
【0040】
また、該反転台の上下方向を、反転軸を回転中心として反転させると共に、該反転された反転台を、傾斜させて、前記スティックチューブの延設方向に沿った傾斜角度とすることにより、前記電子部品を、該スティックチューブの開口部から、内部へ向けて滑走させる。
【0041】
この際、複数列に電子部品を載置するトレーから、該電子部品を分列させて、中空状のスティックチューブ内に整列介装させるため、一度に複数本のスティックチューブの介装作業が完了し、作業効率が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
次に、図面に基づいて、この発明を実施するための最良の実施の形態の電子部品整列装置について、説明する。
【0043】
図1乃至図14は、この発明の最良の実施の形態の電子部品整列装置を示すものである。
【0044】
まず、全体の構成について説明すると、この実施の形態の電子部品整列装置1では、金属製の複数の棒状体2a…が、連結具2b…等を用いて組み合わされて、フレーム枠体2が構成されている。
【0045】
このフレーム枠体2の上面側には、電子部品としてのハーネスコネクタ4…を複数列載置した樹脂材料で成型された皿状のトレー5を保持する保持凹部6aを凹設形成した厚板状の反転台6を有する電子部品配置ステージ1aが設けられている。
【0046】
電子部品配置ステージ1aには、この反転台6を回動自在に軸支して、表裏面を反転させることができる反転軸6bが設けられていて、この反転軸6bを挟んで、この電子部品配置ステージ1aの反対側には、反転ステージ1bが隣接配置されている。
【0047】
この反転ステージ1bでは、この反転ステージ1bで、前記反転台6と共に反転されたハーネスコネクタ4…を分列させると共に、分列された部品を中空状のスティックチューブ7の開口7aから、スティックチューブ7の内部へガイドするガイド壁部8…が、一定間隔を置いて複数枚平行に立設されている。
【0048】
更に、このフレーム枠体2には、前記反転ステージ1bに連設されて、前記各ガイド壁部8,8間から滑走するハーネスコネクタ4…を、内部に挿入するスティックチューブ7…が、着脱自在に並設される滑走ステージ1cが、設けられている。
【0049】
また、この実施の形態の電子部品整列装置1を構成するフレーム枠体2は、複数のキャスタ3…によって、移動可能に支持されている。
【0050】
更に、この反転台6の一側縁6cには、図5に示すように、押さえ板10を回動自在に軸支する傾斜角度付与手段としての傾斜角度付与軸部9が、設けられている。
【0051】
この押さえ板10は、前記ハーネスコネクタ4…を、図1に示すように、仕切り壁5a,5aで、4列に仕切られた前記トレー5内に載置して、前記反転台6の上面側に凹設形成された凹部6aに載置した状態で、このトレー5の上面側を、図2に示すように、前記傾斜角度付与軸部9を回動中心として、前縁部10aを反転台6前縁部に合わせて、閉塞することにより、前記ハーネスコネクタ4…が、飛び出さないように押さえることが出来る構成とされている。
【0052】
そして、この押さえ板10は、反転動作中は、前記反転台6と共に回動して、前記ハーネスコネクタ4…を押さえ続ける。
【0053】
更に、図3に示すように、前記反転ステージ1bに到達した反転動作終了時には、押さえ板10が、前記傾斜角度付与軸部9を回動中心として、前記滑走ステージ1cに設けられた前記スティックチューブ7…を下方から支持する上,下側支持斜面部11,12のうち、上側支持斜面部11の上面部と、この押さえ板10の滑走面10bとが、図5に示すように、連続して面一となるように、前記前縁部10aを回動させる傾斜状態となると、停止されるように構成されている。
【0054】
このため、前記反転された前記ハーネスコネクタ4…が、傾斜されて、前記スティックチューブ7…の長手方向に沿った傾斜角度が、これらのハーネスコネクタ4…に与えられ、ハーネスコネクタ4…の自重で、前記滑走面10b上を滑走可能となるように角度設定されている構成が採用されている。
【0055】
この押さえ板10には、前記各ガイド壁部8…を、この押さえ板10の傾斜状態で各々挿通して、これらのガイド壁部8…との間の干渉を防止する干渉防止溝10cが、この前縁部10a側から、前記傾斜角度付与軸部9方向に向けて切り込み形状を呈するように形成されている。
【0056】
このため、この押さえ板10は、複数の短冊状の滑走面10a…を一定間隔で、複数並設する略櫛歯状となるように構成されている。
【0057】
また、この実施の形態では、前記反転台6の反転動作中は、前記押さえ板10を、この反転台6の前記保持凹部6aと対向させた状態で、磁着して、反転動作終了時には、磁着を解除する磁着保持機構20が設けられている。
【0058】
この実施の形態の磁着保持機構20には、前記反転台6の前端縁6c近傍で、一側縁6dの反転軸6b近傍には、揺動軸21aを介して揺動自在に枢着される金属製の被磁着揺動片21が、設けられている。
【0059】
この被磁着揺動片21には、前記押さえ板10側の磁着部材22が磁着される。
【0060】
すなわち、この磁着部材22は、前記押さえ板10の前縁部10a近傍で、前記被磁着揺動片21に対向する位置に、平坦状の磁着面22bに埋設された一対のマグネット22a,22aを有して、固設されている。
【0061】
このマグネット22a,22aは、前記電子部品配置ステージ1aでは、図12に示すように、前記被磁着揺動片21の磁着部21bを、磁着面22bに磁着させて、前記押さえ板10が、前記反転台6から離間しないように一定の間隔を保持させるように構成されている。
【0062】
また、前記反転ステージ1cでは、図13に示すように、反転動作終了状態で、前記磁着面22bと前記揺動軸21aを挟んで反対側に位置する凸部21cを、この反転ステージ1bの前記フレーム枠体2の一部に固設された解除突起部材23の上面部23aに当接させて、図中反時計廻りに揺動させて、前記磁着部21bと、磁着面22bとの間の磁着を解除するように構成されている。
【0063】
更に、この実施の形態では、図9に示すように、前記押さえ板10の前縁部10a近傍には、各列の干渉防止溝10c,10c間に位置する各前記ハーネスコネクタ4…の滑落を防止するロック機構30のロック部材31…が、前記傾斜角度付与軸部9と平行に枢着される揺動軸32…によって、揺動可能に軸支されている。
【0064】
この実施の形態のロック部材31は、前記揺動軸32を前記傾斜角度付与軸部9側に近接させてオフセットさせることにより、重心位置を前記前縁部10a側にずらされている。 このため、外力が加わらない状態では、図13に示すように、反時計廻りに、前記前縁部10a側の端部31aを自重下方に向けて回動させて、前記傾斜角度付与軸部9側のロック端面31bを前記押さえ板10の滑走面10bから上方に向けて突出されて、前記ハーネスコネクタ4の端面に当接係止される。
【0065】
従って、前記傾斜角度付与軸部9による傾斜動作中は、これらのハーネスコネクタ4…の滑落が、ロックされて防止される。
【0066】
また、この実施の形態のロック機構30のロック部材31は、図11に示すように、前記スティックチューブ7の一端に形成された開口7aに、前記押さえ板10に保持された前記ハーネスコネクタ4が対向する位置に到達すると、前記前縁部10aと共に、前記上側支持斜面11に、前記端部31aを当接させる。
【0067】
そして、この当接により、このロック部材31が、前記揺動軸32を揺動中心として時計廻りに回動されることにより、前記ロック端面31bによる前記ハーネスコネクタ4の端面4aとの間の係止を解除して、このロック端面31aを図11中実線で示すように、滑走面10b内に没入させるように構成されている。
【0068】
更に、この実施の形態では、前記傾斜角度付与軸部9を回動中心とする傾斜動作又は、傾斜復帰動作で、これらの傾斜動作又は、傾斜復帰動作を緩慢にするダンパ装置40が設けられている。
【0069】
次に、この実施の形態の電子部品整列装置及び電子部品整列装置を用いた電子部品整列方法の作用効果について説明する。
【0070】
この実施の形態の電子部品整列装置では、図1に示すように、前記ハーネスコネクタ4…を、各隔壁5a…によって、4列に分けて載置した前記トレー5が、反転台6の上面側に凹設形成された保持凹部6a内に装着された状態で、前記ハーネスコネクタ4…を押さえる押さえ板10を、図2又は図5に示すように、傾斜角度付与軸9を回転中心として、前記前縁部10aが、反転台6の前縁部に合わせられるように、回動させて、トレー5の上面部を覆うように傾倒させて、図12に示すように、前記反転台6の載置面6eと、この押さえ板10の滑走面10bとの間に、前記ハーネスコネクタ4…を、トレー5と共に、介在させて保持させる。
【0071】
この際、前記磁着保持機構20の前記磁着部材22のマグネット22a,22aが、前記電子部品配置ステージ1aでは、図12に示すように、前記被磁着揺動片21の磁着部21bを、このマグネット22a,22aが埋設されている磁着面22bに磁着させて、前記押さえ板10が、前記反転台6から離間しないように一定の間隔に保持させる。
【0072】
次に、この押さえ板10によって、押さえられたトレー5内のハーネスコネクタ4…は、図3中矢印に示すように、前記反転台6と共に前記反転軸6bを回転中心とする反転動作によって、上下方向が反転されながら、反転ステージ1bに移行する。
【0073】
この反転動作の最中も、前記押さえ板10が、反転台6の前記保持凹部6aが凹設された載置面6eと対向された状態で、磁着され続け、この反転台6の反転動作中も、前記押さえ板10との間に、トレー5と共に、前記ハーネスコネクタ4…が保持される。
【0074】
このように、この実施の形態では、前記ハーネスコネクタ4…を押さえる押さえ板10が、これらのハーネスコネクタ4…が、前記トレー5の上面側に前記隔壁5aで、分列載置された状態のままの状態で、反転動作中は、前記反転台6と共に回動して、各列のハーネスコネクタ4…が、前記反転台6のトレーを載置した載置面6eと、この押さえ板10との間に各々保持されている。
【0075】
このため、図1に示すように、トレー5の上面側に、複数列で整列載置されたハーネスコネクタ4…は、整列配置が保持されたまま、反転動作終了時には、図11に示すように、前記トレー5から、分離されて、前記押さえ板10側の滑走面10b上に移動する。
【0076】
そして、反転動作終了時には、前記磁着保持機構20による磁着が解除される。
【0077】
すなわち、前記反転台6が、図13に示すように、反転ステージ1bに到達すると、反転動作終了状態となり、前記磁着面22bと前記揺動軸21aを挟んで反対側に位置する凸部21cが、この反転ステージ1bの前記フレーム枠体2の一部に固設された解除突起部材23の上面部23aに当接されて、図中反時計廻りに、この被磁着揺動片21が揺動される。
【0078】
このため、前記磁着面22cと、被磁着揺動片21の磁着部21bとの間に角度差が生じ、前記磁着部21bと、磁着面22bとの間の磁着が解除される。
【0079】
従って、図4に示されるように、前記押さえ板10が、前記傾斜角度付与軸部9を回動中心として、前縁部10aを下降させながら、傾斜される。
【0080】
この際、前記トレー5が、前記ガイド壁部8…の上縁部8a…によって、下方から支持されているので、前記押さえ板10とは、分離されて、略水平状態のまま、残留する。
【0081】
このため、トレー5内から、前記ハーネスコネクタ4…を離間させることが出来、前記ハーネスコネクタ4…が、スティックチューブ7…内に介装される際にトレー5が、妨げとなることが無い。
【0082】
このように、トレー5内のハーネスコネクタ4…は、前記傾斜角度付与軸部9を回転中心とする押さえ板10の回動で、傾斜されて、前記スティックチューブの長手方向に沿った傾斜角度が、ハーネスコネクタ4…に与えられる。
【0083】
そして、押さえ板10側に移動された前記ハーネスコネクタ4…は、この押さえ板10に形成された干渉防止溝10c…に各々挿通される前記ガイド壁部8…によって、分列された状態が維持されたまま、傾斜角度が与えられる。
【0084】
このため、この実施の形態では、ハーネスコネクタ4…は、4列に分列された状態で、押さえ板10の滑走面10bの傾斜に沿って、自重で滑走して、中空状の各スティックチューブ7…内に、これらのスティックチューブ7…の開口7a…から、各々整列介装される。
【0085】
また、複数の分列されたハーネスコネクタ4…を、一度に、4本の複数のスティックチューブ7…内に介装整列させることができる。従って、電力等の動力を必要とせず、効率的に、ハーネスコネクタ4…を整列させて、スティックチューブ7…内に介装させることが出来る。
【0086】
更に、この実施の形態では、図11に示すように、前記ロック機構30のロック部材21が、前記傾斜角度付与軸部9による傾斜動作中は、前記押さえ板10の滑走面10bから、前記ロック端面31aを突出させて、前記ハーネスコネクタ4…の滑落が、係止されてロックされることにより、防止される。
【0087】
このため、前記スティックチューブ7の一端に形成された開口7aに、前記押さえ板10に保持された前記ハーネスコネクタ4…が、対向する位置に到達するまでは、ハーネスコネクタ4…が滑落することが無く、開口7a外に滑落する等の介装不良を発生させる虞が無い。
【0088】
また、図11中下方に示すように、前記押さえ板10の前縁部10a下面側が、前記上側支持傾斜面部11に当接すると、前記押さえ板10に保持された前記ハーネスコネクタ4…が、前記スティックチューブ7…の各一端に形成された各開口7a…に、対向する位置に到達すると共に、前記ロック部材31が、前記上側支持傾斜面部11に押圧されて、前記揺動軸32を中心に、図中時計廻りに揺動し、前記ロック端面31aが、前記滑走面10b内に没入される。
【0089】
このため、押さえ板10の傾斜に沿って、各ハーネスコネクタ4…は、自重で、前記滑走面10b上を滑走して、前記各スティックチューブ7…の一端に形成された開口7a…から、スティックチューブ7…内に、向きを変えること無く、介装整列される。
【0090】
この際、各短冊状の各滑走面10bは、両側縁が前記ガイド壁部8,8によって、囲まれているので、前記ハーネスコネクタ4が、滑走中に回転等によって方向を変える虞がない。
【0091】
従って、従来のように、振動アクチュエータ等の電力を使用する必要が、無いので製造コストを削減できる。
【0092】
更に、前記ダンパ装置40が、前記傾斜角度付与軸部9による傾斜動作又は、傾斜復帰動作が行われる際、これらの動作を緩慢にする。
【0093】
このため、急激な反転動作及び傾斜動作に伴う停止時の衝撃等によるハーネスコネクタ4…の前記滑走面10b上からの飛び出し等を防止できる。
【0094】
そして、この実施の形態では、前記ハーネスコネクタ4…が、複数列、上面側に保持された状態で、前記トレー5が、反転台6に装着される。
【0095】
このため、ハーネスコネクタ4…の方向を、このトレー5上で容易に一致させて、前記隔壁に沿って、一列に整列させることができ、作業効率が良好である。
【0096】
また、前記反転台6の上下方向を、反転軸6bを回転中心として反転させると共に、この反転された反転台6の押さえ板10を、傾斜させて、前記スティックチューブ7の延設方向に沿った傾斜角度とすることにより、前記ハーネスコネクタ4…を、スティックチューブ7の開口部7aから、内部へ向けて滑走させる。
【0097】
この際、複数列にハーネスコネクタ4…を載置するトレー5から、ハーネスコネクタ4…を分列させた状態が、前記各ガイド壁部8,8間の短冊状の滑走面10b…上でも維持されて、中空状のスティックチューブ7内に整列介装させるため、一度に複数本のスティックチューブ7…の介装作業が完了し、作業効率が良好である。
【0098】
このように、この実施の形態の電子部品整列装置及び電子部品整列装置を用いた電子部品整列方法では、電力等の動力を必要とせず、効率的に、ハーネスコネクタ4…等の電子部品を整列させて、複数のスティックチューブ7…内に、同時に効率よく、介装させることが出来る。
【実施例1】
【0099】
図14は、この発明の実施の形態の実施例1の電子部品整列装置101及び電子部品整列装置101を用いた電子部品整列方法を示すものである。
【0100】
なお、前記実施の形態と、同一乃至均等な部分については、同一符号を付して、説明する。
【0101】
この実施例1の電子部品整列装置101では、前記ハーネスコネクタ4…を押さえる押さえ板110が、これらのハーネスコネクタ4…を前記トレー5の上面側に載置した状態で、反転動作中は、前記反転台6と共に回動して、これらのハーネスコネクタ4…を、前記反転台6のトレー5が載置される載置面6eの保持凹部6aと、この押さえ板110との間に保持する。
【0102】
このため、前記隔壁5a…が一体形成されたトレー5の上面側に、複数列で整列載置されたハーネスコネクタ4…は、整列配置が保持されたまま、反転動作時に、前記押さえ板110側に移動する。
【0103】
この押さえ板110側に移動された前記ハーネスコネクタ4…は、この押さえ板110に形成されて、保持状態で、両側縁部近傍に位置するガイド壁部110a,110a及び、前記隔壁5aの両側に位置するガイド壁部110b,110bによって、分列されるように構成されている。
【0104】
次に、この実施例1の電子部品整列装置101の作用効果について、前記実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0105】
この実施例1の電子部品整列装置101では、前記傾斜角度付与手段の傾斜軸部9によって、傾斜角度が与えられることにより、この押さえ板110上を、前記ハーネスコネクタ4…が滑走して、これらの分列されたハーネスコネクタ4…が、図示省略のスティックチューブ7…内に各々整列されながら、介装される。
【0106】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【0107】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0108】
即ち、前記実施の形態では、予め前記トレー5上で、前記隔壁5a…を用いて、ハーネスコネクタ4…を4列に分列載置しているが、特にこれに限らず、トレー5上では、前記ハーネスコネクタ4…等の電子部品が、複数列に載置されていれば、特に、前記トレー5に隔壁5a…を必要とせず、浅い溝のような保持部を凹設形成してもよい。
【0109】
また、前記実施の形態における反転ステージ1bにおけるハーネスコネクタ4…の分列も、縦並びに4列に分列させているが、特にこれに限らず、2列若しくは3列以上又は、異数列の混合等、複数列を纏めて分列する場合、配列の列数や、列内の個数が特に限定されるものではなく、また、電子部品の数量、形状、及び材質も、前記ハーネスコネクタ4に限定されるものではなく、整列を必要とされる電子部品であれば、どのようなものであってもよい。
【0110】
更に、この実施の形態では、前記傾斜角度付与軸部9を回動中心とする傾斜動作又は、傾斜復帰動作で、これらの傾斜動作又は、傾斜復帰動作を緩慢にするダンパ装置40が、設けられているが、特にこれに限らず、動作を緩慢にするものであれば、オイルダンパ装置や、図5に例示するようなダンパバランサ装置50等、どのようなダンパ(緩衝)装置を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】この発明の最良の実施の形態の電子部品整列装置で、トレーを反転台に載置する様子を、説明し、全体の構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】この発明の最良の実施の形態の電子部品整列装置で、押さえ板で、トレー正面側を覆う様子を示す模式的な斜視図である。
【図3】この発明の最良の実施の形態の電子部品整列装置で、反転台を反転軸を中心として反転させた様子を示す模式的な斜視図である。
【図4】この発明の最良の実施の形態の電子部品整列装置で、電子部品を滑走面に沿って、滑走させて、スティックチューブ内に整列挿入様子を示す模式的な斜視図である。
【図5】この発明の最良の実施の形態の電子部品整列装置で、全体の構成を説明する側面図である。
【図6】この発明の最良の実施の形態の電子部品整列装置で、全体の構成を説明する上面図である。
【図7】この発明の最良の実施の形態の電子部品整列装置で、全体の構成を説明する背面図である。
【図8】この発明の最良の実施の形態の電子部品整列装置で、反転ステージ及び滑走ステージの構成を説明する要部の側面図である。
【図9】この発明の最良の実施の形態の電子部品整列装置で、反転ステージの構成を説明する要部の上面図である。
【図10】この発明の最良の実施の形態の電子部品整列装置で、反転ステージ及び滑走ステージの構成を説明する要部の背面図である。
【図11】この発明の最良の実施の形態の電子部品整列装置で、反転ステージから、滑走ステージに移行する様子を説明する要部の側面図である。
【図12】この発明の最良の実施の形態の電子部品整列装置で、磁着保持機構の構成を説明する要部の拡大側面図である。
【図13】この発明の最良の実施の形態の電子部品整列装置で、磁着保持機構の磁着解除動作を説明する要部の拡大側面図である。
【図14】この発明の最良の実施の形態の実施例1の電子部品整列装置で、反転台とトレー及び押さえ板との構成を説明する図2中A−A線に対応する位置での要部の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0112】
1,101 電子部品整列装置
4 ハーネスコネクタ(電子部品)
5 トレー
6 反転台
6a 保持凹部
6b 反転軸
7 スティックチューブ
7a 開口
8 ガイド壁部
9 傾斜角度付与軸部(傾斜角度付与手段)
10,110 押さえ板
10a,110a ガイド壁部
10c… 干渉防止溝
20 磁着保持手段
30 ロック機構
40 ダンパ装置
50 ダンパバランサ装置(ダンパ装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数列に電子部品を載置するトレーから、該電子部品を分列させて、中空状のスティックチューブ内に、該スティックチューブの開口から整列介装させる電子部品整列装置において、
前記電子部品を上面側に保持した状態で、前記トレーを装着する反転台と、該反転台の上下方向を反転させる反転軸部と、該反転された前記電子部品を、傾斜させて、前記スティックチューブの長手方向に沿った傾斜角度を、前記電子部品に与える傾斜角度付与手段とを有することを特徴とする電子部品整列装置。
【請求項2】
前記電子部品を前記トレーの上面側に載置した状態で、反転動作中は、前記反転台と共に回動して、前記電子部品を押さえる押さえ板を設け、前記傾斜角度付与手段の傾斜軸部によって、反転動作終了状態では、該押さえ板を傾斜可能とすると共に、該押さえ板には、反転動作終了状態で、分列された部品をスティックチューブ内にガイドするガイド壁部を、該傾斜状態で挿通して、該ガイド壁部との間の干渉を防止する干渉防止溝を形成したことを特徴とする請求項1記載の電子部品整列装置。
【請求項3】
前記電子部品を前記トレーの上面側に載置した状態で、反転動作中は、前記反転台と共に回動して、前記電子部品を押さえる押さえ板を設け、該押さえ板には、反転動作終了状態で、分列された部品をスティックチューブ中にガイドするガイド壁部を一体形成することを特徴とする請求項1記載の電子部品整列装置。
【請求項4】
前記反転台の反転動作中は、前記押さえ板を該反転台の前記保持凹部と対向させた状態で、磁着して、反転動作終了時には、磁着を解除する磁着保持機構を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のうち、何れか一項記載の電子部品整列装置。
【請求項5】
前記傾斜角度付与手段による傾斜動作中は、前記押さえ板の滑走面から突出されて、前記電子部品の滑落をロックするロック部材を有すると共に、前記スティックチューブの一端に形成された開口に、前記押さえ板に保持された前記電子部品が対向する位置に到達すると、前記ロック部材を滑走面内に没入させるロック機構を有することを特徴とする請求項1乃至4のうち、何れか一項記載の電子部品整列装置。
【請求項6】
前記傾斜角度付与手段による傾斜動作又は、傾斜復帰動作のうち、少なくとも何れか一方には、前記傾斜動作又は、傾斜復帰動作を緩慢にするダンパ装置が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のうち、何れか一項記載の電子部品整列装置。
【請求項7】
複数列に電子部品を載置するトレーから、該電子部品を分列させて、中空状のスティックチューブ内に該スティックチューブの開口から整列介装させる電子部品整列装置を用いた電子部品整列方法において、
前記電子部品を上面側に保持した状態で、前記トレーを反転台に装着して、該反転台の上下方向を、反転軸を回転中心として反転させると共に、該反転された反転台を、傾斜させて、前記スティックチューブの延設方向に沿った傾斜角度とすることにより、前記電子部品を、該スティックチューブの開口から、内部へ向けて滑走させることを特徴とする請求項1乃至6のうち、何れか一項記載の電子部品整列装置を用いた電子部品整列方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−102141(P2009−102141A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276659(P2007−276659)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】