説明

電子部品製造用リードフレーム及び電子部品の製造方法

【課題】立体的に組み立てたリードフレームを巻き取る際に、リードフレームの立体構造を保護し、リードフレームの歪み等による不良の改善を行う。
【解決手段】電気素子を載置するリードフレームにおいて、該リードフレームはプロテクタを有し、鉛直方向における前記プロテクタの大きさは、前記リードフレームに載置された前記電気素子の鉛直方向における大きさより大きい。前記プロテクタは、前記リードフレームと一体物であり、前記プロテクタは、リードフレームの切断時に除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の端子として用いるリードフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気素子をリードフレーム上に載置して作製される電子機器として、例えば図1に示すような固体電解コンデンサがある。図1の固体電解コンデンサは、陽極引出部2及び陰極引出部3を有するコンデンサ素子1と、陽極リードフレーム41と陰極リードフレーム42を具えている。コンデンサ素子1は、外装樹脂5で被覆されている。
【0003】
ここで、陽極リードフレーム41及び陰極リードフレーム42は、帯状に延びたリードフレームに打ち抜き加工をすることにより得られる。
【0004】
図1の固体電解コンデンサは、リードフレーム4を図10に示すように打ち抜き加工し、陽極リードフレーム41に設けられた立ち上げ部412を立ち上げて図11のようなリードフレームを形成し、リードフレーム4の表面をメッキ処理した後、コンデンサ素子1の陽極引出部2と陽極リードフレーム41、陰極引出部3と陰極リードフレーム42が電気的に接続される。その後、陽極リードフレーム41及び陰極リードフレーム42の一部を露出させるようにコンデンサ素子1を外装樹脂で被覆させることにより、作製される。
【0005】
上記のようにして固体電解コンデンサを作製する際、リードフレーム4を図11のように立体的に曲げた状態でメッキ処理をしてリードフレームを巻き取っているが、この際、メッキ部分が擦れて損傷したり、リードフレームの立体構造が歪んでしまったりするという問題があった。このような問題を解決するため、特許文献1のように、各フレーム間に保護シートを挟むという方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−86567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記のような方法でも、リードフレームと保護シート間の摩擦の発生が避けられず、メッキ部分の損傷を防ぐことができなかった。さらには、保護シートは平面的であるため、リードフレームの立体構造の変形等を防ぐには適しておらず、リードフレームの変形等による不良の発生を防止することはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を鑑みて本発明は、所定の間隔を空けて平行に並んだ第1フレーム部および第2フレーム部と、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部とを複数箇所で連結する複数の連結部と、前記第1フレーム部から前記第2フレーム部側に伸びた第1リード部と、前記第2フレーム部から前記第1フレーム部側に伸びた第2リード部とが一体的に形成された帯状のリードフレームであって、前記第1リード部および前記第2リード部の表面には、メッキ層が形成され、前記第1フレーム部または前記第2フレーム部には、他方のフレーム部側に伸びた複数のプロテクタ部が一体的に形成され、前記プロテクタ部は、前記リードフレームの厚さ方向に折り曲げられたことを特徴とする。
【0009】
また、前記第1リード部または前記第2リード部は、その一部を折り曲げることにより形成された立体構造部を備え、前記リードフレームの厚み方向において、前記プロテクタ部の高さは、前記立体構造部の高さよりも高いことが好ましい。
【0010】
更に、前記リードフレームは、リールに巻き取られている事が好ましい。
【0011】
また、本発明の製造方法は、上記のリードフレームを用いて電子部品を製造する方法であって、前記プロテクタ部を、前記第1フレーム部または前記第2フレーム部から切り離す工程と、前記第1リード部および前記第2リード部に電気素子を載置する工程と、前記電気素子を外装樹脂で被覆する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記のような構成とすることで、リードフレームのメッキ部分は他のリードフレームと接触することがないので、メッキ部分の損傷を防ぐことができる。また、リードフレームの陽極リードフレーム及び陰極リードフレーム部分は他のリードフレームと直接接することがないので、他のリードフレームからかけられる押圧力がなく、このためリードフレームの立体構造を保護でき、リードフレームの変形等による不良品の発生を防ぐことができる。
【0013】
また、本発明の製造方法はリードフレームを利用して形成されるので、プロテクタを作製することによるコストの上昇を抑えることができる。
【符号の説明】
【0014】
1 コンデンサ素子
2 陽極引出部
3 陰極引出部
4 リードフレーム
41 陽極リードフレーム
42 陰極リードフレーム
5 外装樹脂
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図を用いて説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態のリードフレームを用いて作製される電子部品の一例である固体電解コンデンサである。図1の固体電解コンデンサは、電気素子である陽極引出部2と陰極引出部3を有するコンデンサ素子1と、陽極リードフレーム41と、陰極リードフレーム42を具えており、該コンデンサ素子1は外装樹脂5で被覆されている。陽極リードフレーム41には、立ち上がり部が形成されている。また、コンデンサ素子1の陽極引出部2は陽極リードフレーム41と、陰極引出部3は陰極リードフレーム42と、夫々電気的に接続されている。
【0016】
図3は、本発明のリードフレーム4の平面図である。リードフレーム4は、帯状の金属板を図2に示すように打ち抜き加工することによって得られる。打ち抜き加工によってリードフレーム4は、陽極リードフレーム41と陰極リードフレーム42、プロテクタ43を形成する。前記プロテクタ43は、リードフレーム4の枠から連なる第一曲げ部431と、第一曲げ部431から連なる第二曲げ部432を有している。また、陽極リードフレーム41は、立ち上がり部412と、外装樹脂5から露出する端子部411とを有しており、さらに陽極リードフレーム41及び陰極リードフレーム42の双方には、リードフレーム4の切断後にもメッキ層を外装樹脂5から露出させてフィレットを容易に形成するための孔41a、42aが形成されている。図4は、図3のリードフレーム4に折り曲げを行ったときの斜視図であり、図5はその側面断面図である。図4及び図5からもわかるように、プロテクタは第一曲げ部431で、斜め上方に曲げられ、さらに第二曲げ部432の先端が陽極及び陰極リードフレーム41、42を向くように曲げ加工される。プロテクタ43のリードフレーム4に対して垂直方向の大きさHは、陽極リードフレーム41の立ち上がり部412の陽極リードフレーム41に対して垂直方向の大きさhより大きくなっている。この大きさの差は特に限定されないが、立ち上がり部412の陽極リードフレーム41に対して垂直方向の大きさhに比べてプロテクタ43のリードフレームに対して垂直方向の大きさHが大きすぎるとリールに巻き取ったときの径が大きくなってしまうので好ましくない。前述の構成により、リードフレーム4をリールに巻き取る際のリードフレーム4と他のリードフレームとの接触を防ぐことができ、メッキの損傷や、リードフレームの立体構造の変形等の発生を防ぐことができる。
【0017】
次に本発明の電子部品の製造方法について説明する。
【0018】
まず、帯状の金属板を図2に示すような形状に打ち抜き加工し、その後図3に示すような打ち抜き加工を行う。尚、一度の打ち抜き加工で図3に示す構造を形成してもよい。次に曲げ加工をする。陽極リードフレーム41の点線部分を曲げて立ち上げ部412を形成してからプロテクタ43の点線部分を曲げて曲げ加工をしてもよいし、プロテクタ43の形成を先に行っても良い。また、プロテクタ43の形成と、陽極リードフレーム41の立ち上げ部412を同時に形成してもよい。
【0019】
上述のようにして図4及び図5に示すリードフレーム4を形成した後、リードフレーム4にメッキ処理を施す。帯状のリードフレーム4をメッキ層に浸漬した後、リードフレーム4をリールに巻き取る。この際、プロテクタ43が他のリードフレーム4との接触を防ぐので、リードフレーム4のメッキ部分の損傷や、陽極リードフレーム41の立体構造の変形を防ぐことができる。
【0020】
次に、巻き取ったリードフレーム4を順次引き出し、所定の長さ(例えば図3のX線)で切断を行う。このとき、プロテクタ43が切り落とされる。
【0021】
上述のようにして、所定の長さに切り落とされ、プロテクタ43が切り落とされたリードフレーム4の陽極リードフレーム41及び陰極リードフレーム42上に、コンデンサ素子1の陽極引出部2が陽極リードフレーム41上に、陰極引出部3が陰極リードフレーム42上にくるようにコンデンサ素子を載置し、電気的に接続する。その後所定の金型を用いて陽極リードフレーム41及び陰極リードフレーム42の一部を残すようにコンデンサ素子1を外装樹脂で被覆し、その後所定の箇所でリードフレーム4の枠より切り離すことにより、図1に示す電子部品(固体電解コンデンサ)が完成する。
(実施形態2)
図6は、本発明の別の実施形態のリードフレームを用いて作製された電子部品の側面断面図である。図6の電子部品(固体電解コンデンサ)に用いるリードフレーム4は、帯状の金属板を図7に示す形状に打ち抜き、これを図7の点線で曲げ加工を行い図8に示すような構造の立ち上がり部を有する陽極リードフレーム41及び段部を有する陰極リードフレーム42を作製したこと以外は実施の形態1と同様の方法で作製される。
【0022】
上記実施の形態は、本発明を説明するためのものに過ぎず、特許請求の範囲に記載の発明を限定する様に解すべきでない。本発明は、特許請求の範囲内及び均等の意味の範囲内で自由に変更することができる。例えば、リードフレームの形状は図3・図8等で示すものに限らず、図9のようなものでもよいし、図で示されていない形状であってもよい。また、本発明の実施例のリードフレームにはフィレットを形成するための孔が設けられているが、この孔は必ずしも必要ではなく、形状も限定されない。さらに本発明は、固体電解コンデンサの作製に用いるリードフレームに限るものではない。
また、本発明のプロテクタの数は特に限定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態の固体電解コンデンサの斜視図である。
【図2】本発明に用いるリードフレームの平面図である。
【図3】本発明の一実施形態のリードフレームの平面図である。
【図4】本発明の一実施形態のリードフレームを組み立てたときの斜視図である。
【図5】図4に示すリードフレームの側面図である。
【図6】本発明の別の実施形態の固体電解コンデンサの斜視図である。
【図7】本発明の別の実施形態のリードフレームの平面図である。
【図8】本発明の別の実施形態のリードフレームの斜視図である。
【図9】本発明の別に実施形態のリードフレームの斜視図である。
【図10】従来のリードフレームを所定の型に打ち抜いたときのリードフレームの平面図である。
【図11】従来のリードフレームを組み立てたときの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔を空けて平行に並んだ第1フレーム部および第2フレーム部と、
前記第1フレーム部と前記第2フレーム部とを複数箇所で連結する複数の連結部と、
前記第1フレーム部から前記第2フレーム部側に伸びた第1リード部と、
前記第2フレーム部から前記第1フレーム部側に伸びた第2リード部と
が一体的に形成された帯状のリードフレームであって、
前記第1リード部および前記第2リード部の表面には、メッキ層が形成され、
前記第1フレーム部または前記第2フレーム部には、他方のフレーム部側に伸びた複数のプロテクタ部が一体的に形成され、
前記プロテクタ部は、前記リードフレームの厚さ方向に折り曲げられた電子部品製造用リードフレーム。
【請求項2】
前記第1リード部または前記第2リード部は、その一部を折り曲げることにより形成された立体構造部を備え、
前記リードフレームの厚み方向において、前記プロテクタ部の高さは、前記立体構造部の高さよりも高い請求項1に記載の電子部品製造用リードフレーム。
【請求項3】
前記リードフレームは、リールに巻き取られている請求項1または2に記載の電子部品製造用リードフレーム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載されたリードフレームを用いて電子部品を製造する方法であって、
前記プロテクタ部を、前記第1フレーム部または前記第2フレーム部から切り離す工程と、
前記第1リード部および前記第2リード部に電気素子を載置する工程と、
前記電気素子を外装樹脂で被覆する工程と、
を備えた電子部品の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−44215(P2012−44215A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248562(P2011−248562)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【分割の表示】特願2007−324223(P2007−324223)の分割
【原出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)