説明

電子部品計測装置

【課題】超小型の電子部品を簡単かつ高精度で測定できる電子部品計測装置を提供する。
【解決手段】パレット2の上部に載置されるコンタクトリテーナ15と、コンタクトリテーナの上部に載置される電極ブロック21と、を備え、コンタクトリテーナ15は、コンタクト孔16が形成されたリテーナプレート17の下面に可撓性膜18が取り付けられ、可撓性膜18上面に露出する接触座20から可撓性膜18下方に突出し、計測すべきワークWの電極の上部に配置されるコンタクトピン19を備えたものであり、電極ブロック21は、ブロック体に下方に突出する電極ピン22を取り付けたものであり、電極ピン22で接触座20を押圧してコンタクトピン19をワークWの電極パッド30に押し付けて、ワークの電気的特性を計測するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品計測装置に関し、特に水晶振動子などの超小型の電子部品の電気的特性を計測するための電子部品計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水晶振動子を周波数調整のためにイオンビームによりエッチングを行うためのエッチング装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このエッチング装置は、パレットマトリックス上に多数の水晶振動子のワークを搭載し、下方に設けられたイオンビーム発射装置から発射されたイオンビームをワークの底部に照射することによりエッチングを行い、周波数調整を行う。この際、各ワークの電極パッドに接続した周波数計測手段により各々のワークの周波数を計測し、周波数が適正値になるとイオンビームの入射口のシャッタを閉鎖することにより、イオンビームを遮断するようにしている。このような水晶振動子やLSIのような超小型電子部品の計測装置として、コンタクトピン(ポゴピン)をワークの電極に接触させることにより周波数特性などの電気的特性の計測を行う装置がある(特許文献2参照)。
【0003】
図8は、従来のコンタクトピンによる電子部品計測装置の一例を示している。同図に示すように、パレット40の搭載孔40aに収容されたワークWの電極パッド41にコンタクトピン(ポゴピン)42を接触させることにより計測を行うものである。ワークWのサイズは一定ではなく、搭載孔40aに対して小さすぎる場合は搭載孔40a内でがたつきを生じることがあり、その場合コンタクトピン42が電極パッド41に正確に当たらず、接触不良により正確な測定ができない。そこで、パレット40の上に鉄板などのプレート44を載せ、このプレート44の開口部にブリッジ状に設けられた押え片44aでワークWの上面を押さえるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US6273991号公報
【特許文献2】特開2010−281675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に示すような従来の電子部品計測装置では、計測時にコンタクトピンを下動させて電極パッドに接触させる必要がある。つまり、コンタクトピンは電極パッドに接触・離脱を繰り返すことになる。ワークWが水晶振動子のような超小型(例えば2.0×1.6ミリメータ以下、電極パッドは1ミリメータ以下)のワークWの場合、搭載孔内で極微小でもワークWの位置がずれると電極パッドに対して接触不良となり、測定が不正確もしくは不能になるという問題があった。
【0006】
ワークWのサイズは一定ではなく、仮にパレット40の搭載孔40aの寸法に対して僅かでも小さいと、ワークWが搭載孔内でがたつき、位置ずれを生じやすい。このようにワークWの位置ずれを生じると、コンタクトピン42が電極パッド41に正確に接触できないという現象が生じる。そこで、図8に示すように、プレート44を使用し、ワークWを動かないように抑えておく必要がある。このように、プレート44を使用する方法は作業が煩雑であるばかりでなく、ワークWの高さが小さい場合は押え片44aがワークWに接触しないことがあり、その場合はワークWを確実に固定することができず、測定が不正確もしくは不能になるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決したもので、超小型のワークを簡単かつ高精度で測定することができるきる電子部品計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1記載の電子部品計測装置は、 パレットに形成された搭載孔に搭載されたワークの電気的特性を計測する電子部品計測装置であって、前記パレットの上部に載置されるコンタクトリテーナと、前記コンタクトリテーナの上部に載置される電極ブロックと、を備え、前記コンタクトリテーナは、コンタクト孔が形成されたリテーナプレートの下面に可撓性膜が取り付けられ、該可撓性膜上面に露出する接触座から該可撓性膜下方に突出し、計測すべきワークの電極の上部に配置されるコンタクトピンを備えたものであり、電極ブロックは、ブロック体に下方に突出する電極ピンを取り付けたものであり、記電極ピンで前記接触座を押圧して前記コンタクトピンを前記ワークの電極パッドに押し付けて、ワークの電気的特性を計測するようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の電子部品計測装置は、前記パレットの上部にコンタクトリテーナを載置した状態で、前記コンタクトピンは前記接触座に接触状態にあることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の電子部品計測装置は、前記電極ピンは、外筒に摺動自在に挿入された接触ピンを備えたポゴ電極であることを特徴とする請求項1又は2記載電子部品計測装置。
【0011】
請求項4記載の電子部品計測装置は、前記ワークは、マトリクス状の搭載孔を有するパレットに搭載され、前記コンタクト孔は前記搭載孔に対応してマトリクス状に設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の電子部品計測装置は、前記コンタクトピンおよび接触座は、1個のワークに対して一対設けられ、各々の前記接触座は、長軸の方向が同一である楕円形であり、前記コンタクトピンは互いに近づく方向に偏芯して前記接触座に設けられ、前記電極ピンは前記コンタクトピンから外方に遠ざかる方向に偏芯した位置で前記接触座を押圧するようにしたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電子部品計測装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コンタクト膜にコンタクトピンを取り付けたコンタクトリテーナをワーク上に載せ、電極ブロックの電極ピンでコンタクトピンを操作するようにしたので、超小型の電子部品でも確実にワークのコンタクトピンを電極パッドに接触させることができ、簡単かつ高精度で小型のワークの電気的特性を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の電子部品計測装置の実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の電子部品計測装置の縦断側面図である。
【図3】本発明の電子部品計測装置の要部を示す縦断側面図である。
【図4】計測時の電子部品計測装置の要部を示す縦断側面図である。
【図5】コンタクト膜の平面図である。
【図6】計測用電極ブロックの平面図である。
【図7】計測時のコンタクト膜およびワーク部分の平面図である。
【図8】従来の電子部品計測装置であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の電子部品計測装置を備えたエッチッグ装置の搬送ボート部分の斜視図、図2は、本発明の電子部品計測装置の縦断側面図である。
【0016】
図1、図2において、搬送ボート1上にパレット2が取り付けられている。搬送ボート1は、多数の入射孔3が形成されたアパーチャ4と、このアパーチャ4の両側に形成された側板5とを備えている。アパーチャ4の4周には突縁6が形成され、突縁6の内側に凹部7が形成され、この凹部7に上記アパーチャ4が形成されている。突縁6上には複数の水平ガイドロール8が設けられ、側板5の両側には垂直ガイドロール10が設けられており、エッチング装置のガイドレール9に沿って搬送されようになっている。
【0017】
凹部7にパレット2が嵌め込まれている。パレット2には、水晶振動子などのワークWを搭載するための角型の搭載孔11がマトリックス状に多数形成されている。パレット1の搭載孔11にワークWを搭載し、搬送ボート1をエッチング装置(図示せず)に送り込み、プラズマイオンをシャッタ12で制御してエッチング加工を施すようになっている。パレット1上には、本発明の電子部品計測装置の一部をなすコンタクトリテーナ15が取り付けられている。
【0018】
図3、図4は、コンタクトリテーナ15の詳細を示す断面図、図5は、コンタクト膜の平面図である。コンタクトリテーナ15は、搭載孔11に対応したコンタクト孔16がマトリクス状に形成されたリテーナプレート17と、このトリテーナプレート17の下面に取り付けられたコンタクト膜18と、このコンタクト膜18に取り付けられたコンタクトピン19とにより構成されている。
【0019】
コンタクト膜18は、可撓性の合成樹脂フィルムからなり、リテーナプレート17の下面に貼りつけられている。コンタクトピン19は、可撓性膜18の上面に露出する接触座20の下面に一体に設けられており、全体が導電性金属で構成されている。図5に示すように、接触座20は楕円形をなし、コンタクトピン19は接触座20の内方(対向する接触座20に近づく方向)に偏芯して設けられている。接触座20およびコンタクトピン19は1つのコンタクト孔16に対して2個設けられている。図4に示すように、リテーナプレート17上には電極ブロック21がセットされる。
【0020】
図6は、電極ブロックの平面図である。図6において、電極ブロック21は、ブロック体26と、ブロック体26に取り付けられた電極ピン22とで構成されている(図1参照)。ブロック体26は長方体状のブロックであって、2×16個の電極ピン取付部24が形成され、1箇所の電極ピン取付部24には4個の差込孔25が形成されている。4個の差込孔25のうち、対角線上の2個の差込孔を選択し、これに電極ピン22を差し込んで固定する。
【0021】
図3に示すように、電極ピン22は、ブロック体26に取り付けられた外筒22aと、この外筒22aの下部に摺動自在に挿入された接触子22bとで構成され、接触子22bは外筒22aに収容されたばね23により支持されている。電極ピン22は、例えばポゴ電極が用いられる。
【0022】
次に、電子部品の計測操作を説明する。
搬送ボート1をエッチング装置の外方に引き出した状態で、パレット1の搭載孔11にエッチング加工する水晶振動子等のワークWをセットする(図3参照)。そして、コンタクトリテーナ15をパレット4の上面に載置する。これにより、可撓性膜18のコンタクトピン19の先端は、ワークWの対角線上の角部に設けられた電極パッド30に軽く接触する。
この状態で、図4に示すように電極ブロック21をコンタクトリテーナ15のリテーナプレート17上に載せ、電極ピン22でコンタクトピン19の接触座20を押圧する。これにより、電極可撓性膜18が下方に僅かに湾曲してコンタクトピン19がワークWの電極パッド30に強く接触し、確実な電気的導通がされる状態となる。この状態で、搬送ボート1をエッチング装置(図示せず)に送り込み、エッチング加工を施す。電極ピン22は導線を介して測定計器(図示せず)に接続されており、エッチング加工中に各ワークWの周波数特性その他の電気的特性を計測する。そして、シャッタ12の開閉操作により、最適の電気的特性を得られるまでエッチングを施す。
【0023】
上述のように、コンタクトリテーナ15に設けたコンタクト膜18に設けたコンタクトピン19をワークWの電極パッド30に接触させるようにしたことにより、コンタクト膜18の弾性力でコンタクトピン19をワークWに常時接触させ、ワークWを抑えた状態で計測することができ、従来のようにプレートでワークWを固定する必要がなくなる。
【0024】
図7に示すように、接触座20を偏芯した形状、すなわち、電極ピン22をコンタクトピン19より接触座20の外方(対向する接触座20から遠くなる方向)に偏芯した位置に設けることにより、どんなサイズのワーク(例えば、寸法が2.0×1.6ミリメータ以下の超小型ワーク)でも電極ピン22の位置および接触座20の位置およびサイズを変えることなく、共通してコンタクトリテーナ15を使用できる利点がある。また、ワークWの電極パッド30の位置やサイズによってコンタクトピン19の位置を変更するだけで、どんなワークにも対応ができる利点がある。但し、接触座20を円形とし、その中心にコンタクトピン19を設け、電極ピンはコンタクトピンの直上を押すように構成することも可能であり、接触座20を偏芯形状に限定するものではない。
【符号の説明】
【0025】
2 パレット
15 コンタクトリテーナ
16 コンタクト孔
17 リテーナプレート
18 コンタクト膜
19 コンタクトピン
20 接触座
21 電極ブロック
22 電極ピン
22a 外筒
22b 接触子
26 ブロック体
30 電極パッド
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットに形成された搭載孔に搭載されたワークの電気的特性を計測する電子部品計測装置であって、
前記パレットの上部に載置されるコンタクトリテーナと、
前記コンタクトリテーナの上部に載置される電極ブロックと、を備え、
前記コンタクトリテーナは、コンタクト孔が形成されたリテーナプレートの下面に可撓性膜が取り付けられ、該可撓性膜上面に露出する接触座から該可撓性膜下方に突出し、計測すべきワークの電極の上部に配置されるコンタクトピンを備えたものであり、
前記電極ブロックは、ブロック体に下方に突出する電極ピンを取り付けたものであり、
前記電極ピンで前記接触座を押圧して前記コンタクトピンを前記ワークの電極パッドに押し付けて、ワークの電気的特性を計測するようにしたことを特徴とする電子部品計測装置。
【請求項2】
前記パレットの上部に前記コンタクトリテーナを載置した状態で、前記コンタクトピンは前記接触座に接触することを特徴とする請求項1記載の電子部品計測装置。
【請求項3】
前記電極ピンは、外筒に摺動自在に挿入された接触ピンを備えたポゴ電極であることを特徴とする請求項1又は2記載電子部品計測装置。
【請求項4】
前記ワークは、マトリクス状の搭載孔を有するパレットに搭載され、前記コンタクトリテーナの前記コンタクト孔は前記搭載孔に対応してマトリクス状に設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電子部品計測装置。
【請求項5】
前記コンタクトピンおよび接触座は、1個のワークに対して一対設けられ、各々の前記接触座は、長軸の方向が同一である楕円形であり、前記コンタクトピンは互いに近づく方向に偏芯して前記接触座に設けられ、前記電極ピンは前記コンタクトピンから外方に遠ざかる方向に偏芯した位置で前記接触座を押圧するようにしたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電子部品計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−255700(P2012−255700A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128491(P2011−128491)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(510059996)サンダース アンド アソシエイツ エルエルシー (2)
【出願人】(510060006)
【出願人】(510060017)
【Fターム(参考)】