説明

電子部品

【課題】本発明は、極性を視認できるコイル部品において、接合信頼性を向上させることを目的とする。
【解決手段】そして、この目的を達成するために本発明は、本体4と、この本体4の下方に設けた端子5と、本体4の下方に設けた端子6とを備え、端子5の表面積と端子6の表面積とが略等しく且つ端子5の形状と端子6の形状とが異なるコイル部品としたものである。このことにより、接合信頼性の低下を防ぐことができ、且つ極性を視認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等、各種電子機器に用いられる電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の電子機器は、下方から見た図4に示されるように、本体1の下面1Aに大きさの異なる大端子2と小端子3とを備えており、それぞれの端子の極性が視認できるようになっていた。
【0003】
例えば、電子部品の1つであるコイル部品において、隣り合う二つのコイル部品における端子の極性を逆に実装した場合、互いの磁束が打ち消しあい所望の特性を得ることができない場合がある。
【0004】
電子機器自体の小型化が進む中で本体1の小型化も進み、この本体1に極性を表示することは非常に困難となっており、端子の大きさで極性を判断できることはその点において有効であった。
【0005】
なお、この出願に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特許第3060971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の電子部品は実装する基板との接続信頼性の悪さが問題となっていた。
【0007】
すなわち、上記従来の構成においては、ただでさえ小さな電子部品において、極性の視認性を確保するために小端子3を大端子2よりもさらに小さくする必要があり、このような非常に小さな小端子3を基板等の電極(図示せず)に実装すると、その接合面積の小ささから接続信頼性が悪くなっていた。
【0008】
そこで本発明は、極性を視認できる電子部品において、接合信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、この目的を達成するために本発明は、本体と、この本体の下方に設けた第1の端子と、前記本体の下方に設けた第2の端子とを備え、前記第1の端子の表面積と前記第2の端子の表面積とが略等しく且つ前記第1の端子の形状と前記第2の端子の形状とが異なる電子部品としたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電子部品は、第1の端子と第2の端子の表面積を略等しくすると共に、その形状を異ならせたため、どちらか一方の表面積を小さくすることによる接合信頼性の低下を防ぐことができ、且つ形状を異ならせているため、極性を視認することができる。
【0011】
さらに、どちらか一方の端子の表面積を小さくしないため、基板と電子部品本体との間の導電性を、その一方に制限されることがないため高く保つことができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における電子部品について図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は本実施の形態において示す電子部品の下面図である。図1に示すごとく、本体4の下方には端子5と、端子6とを備え、端子5と端子6の表面積をほぼ等しくするとともに、端子5の形状は円柱状、端子6の形状は丸みを帯びた四角柱状と、その形状を異ならせている。
【0014】
このような構成により、端子5と端子6との極性を容易に認識することができ、かつ、片方の端子の表面積を極端に小さくすることがないため、接続信頼性の低下を防ぐことができると共に、導電性を高く保つことができる。
【0015】
なお、その他様々な多角形や楕円などの端子を用いてもかまわないが、楕円のように丸みを帯びている形状のものは、端が欠けたりする心配がなく望ましい。
【0016】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における電子部品について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図3は本実施の形態において示す電子部品の下方からの斜視図である。図3に示すごとく、本体4の下方には、端子9と、端子10とを備え、端子9および端子10はその下面に長手方向を有する凸部9A、10Aをそれぞれ有しており、この凸部9の長手方向をY方向、凸部10の長手方向をX方向とすることで、端子9と端子10との全体の形状を異ならせている。
【0018】
このような構成により、実施の形態1にも増して、端子極性の視認性を向上させている。即ち、数マイクロオーダーのような非常に小さい電子部品においては、その極性を認識するため斜め方向から光を照射し、それによりできた影を利用して画像認識を行うが、端子の極性を見分けるにはそれぞれの端子の輪郭形状のみの情報に頼るしかない。しかし、本実施形態のように凸部9Aと凸部10Aの長手方向の向きを変えた場合、端子9にできる影はY方向に伸びる複数の線分となり、端子10にできる影はX方向に伸びる複数の線分となるため、非常に認識しやすい構成となっている。このとき、凸部9Aの長手方向と凸部10Aの長手方向とは垂直でなくてもかまわないが、略垂直にすることにより、より端子極性の視認性を向上させることができる。さらに、全ての凸部9Aの長手方向を略同一にし、全ての凸部10Aの長手方向を略同一にすると、より端子極性の視認性を向上させている。
【0019】
さらに、凹凸を有する端子9と凹凸を有する端子10のどちらか一方の表面積を小さくする必要が無いため、図2に示す基板7の電極(図示せず)との接合信頼性を向上させることができると共に、導電性を高く保つことができる。
【0020】
さらに、凸部9A、10Aを設けることにより、基板7の電極(図示せず)との接合面積をより高めることができ、接合強度を確保することができる。
【0021】
さらに、半田8が未硬化な状態においても、電子部品がずれにくいという効果を有する。即ち、未硬化状態の半田8は表面張力を有するため、端子9に対しては図3に示すX方向に、端子10に対してはY方向にその力が加わる。そのため、電子部品全体において、四方から表面張力が加わり、半田8が未硬化な状態であっても電子部品が基板7からずれにくいという効果を有する。この効果は、凸部9Aの長手方向と凸部10Aの長手方向とが略直角であると、その効果を最大にすることができ望ましく、また、凸部9Aと凸部10Aの数と大きさを略同じにすることにより、四方からかかる力を均等にすることができ望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の電子部品は、接合信頼性の低下を防ぐことができ、且つ極性を視認することができるという効果を有し、携帯電話等、各種電子機器において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1におけるコイル部品の下面図
【図2】本発明の実施の形態1におけるコイル部品と基板の側面図
【図3】本発明の実施の形態2におけるコイル部品の斜視図
【図4】従来の電子部品の斜視図
【符号の説明】
【0024】
4 本体
5 端子
6 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、この本体の下方に設けた第1の端子と、前記本体の下方に設けた第2の端子とを備え、前記第1の端子の表面積と前記第2の端子の表面積とが略等しく、前記第1の端子の形状と前記第2の端子の形状とが異なる電子部品。
【請求項2】
第1の端子と第2の端子とが凹凸を有する請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
本体と、この本体の下方に設けた第1の端子と、前記本体の下方に設けた第2の端子とを備え、前記第1の端子はその下面に長手方向を有する第1の凸部を有し、前記第2の端子はその下面に長手方向を有する第2の凸部を有し、前記第1の凸部の長手方向と前記第2の凸部の長手方向とが異なる電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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