説明

電子重量計

【課題】簡単な構造で確実に収納性を向上させることができる衛生的な電子重量計を提供する。
【解決手段】第一天板110と第二天板120とを一枚板状の開放状態と下面同士で対向する閉止状態とに開閉することができる。ただし、第一天板110と第二天板120とを閉止するときにセル支持機構125〜128によりロードセルユニット141〜148を相互に干渉しない位置まで変位させることができる。このため、閉止状態の天板部材101の板厚方向の寸法を、開放状態の寸法に天板部材101の板厚を加算した程度とすることができる。従って、閉止状態では占有容積が大幅に削減されることになり、収納性を確実に向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計量物が上面に載置される天板部材の下面に複数のロードセルユニットが装着されている構造の電子重量計に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の電子重量計は、一般的に、ロードセルユニットで支持されている天板部材の上面に、被計量物が載置される。つまり、電子重量計の天板部材とは、ロードセルユニットで支持されており、被計量物が上面に載置される部材を意味している。
【0003】
ロードセルユニットは、いわゆる起歪体に受感部を形成した構造に形成されている。起歪体としては各種構造が公知であるが、例えば、平行な基部と端部とを平行な一対の梁部で連結し、基部と端部とが相対的な荷重により平行に変位する構造に形成されている。
【0004】
例えば、上述のような起歪体にストレインゲージが貼着されることにより、基部および端部と一対の梁部との4つの境界部のうち、荷重により伸びる1つの引張部と縮む1つの圧縮部とに、受感部が個々に形成されている。
【0005】
現在の電子重量計では、一般的に4個のロードセルユニットの受感部でホイートストンブリッジ回路が形成されている。その場合、第1,第2のロードセルユニットの引張側の受感部が直列に接続されてホイートストンブリッジ回路の第1辺が形成される。
【0006】
さらに、第2,第3のロードセルユニットの圧縮側の受感部が直列に接続されて、ホイートストンブリッジ回路の第1辺に連続する第2辺が形成される。
【0007】
第3,第4のロードセルユニットの引張側の受感部が直列に接続されて、ホイートストンブリッジ回路の第2辺に連続する第3辺が形成される。そして、第4,第1のロードセルユニットの圧縮側の受感部が直列に接続されて、ホイートストンブリッジ回路の第3辺と第1辺とを連結する第4辺が形成される。
【0008】
このようなホイートストンブリッジ回路を有する電子重量計は、被計量物の重量を電子的に測定することができる。なお、この被計量物とは、電子重量計で重量を測定できるものを意味しており、当然ながら人間でもよい。
【0009】
以上のように、従来の電子重量計では、天板部材を必要最小限の個数のロードセルユニットで安定に支持するためと、ホイートストンブリッジ回路を必要最小限の個数のロードセルユニットで形成するために、ロードセルユニットを4個とすることが技術常識となっている。
【0010】
しかし、従来の一般的な電子重量計は、天板部材が一枚板状に形成されている。このため、天板部材のサイズが占有面積となり、収納性が阻害されている。これを解決するため、天板部材を折り畳み構造とした電子重量計が提案されている。
【0011】
このような電子重量計では、第一天板と第二天板とで形成してヒンジ機構で連結している。従って、第一天板と第二天板とを一枚板状の開放状態と対向する閉止状態とに開閉することができる。
【0012】
このため、開放状態では従来の電子重量計と同様に利用することができ、閉止状態では占有面積を半減させることができる(例えば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開昭63−085410号公報
【特許文献2】米国特許公報第274991号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上述の特許文献1,2の電子重量計では、閉止状態のときに第一天板と第二天板との上面を対向させる構造となっている。このため、閉止状態では床面に接地するロードセルユニットが露出することになり、衛生的な観点から好ましくない。
【0014】
さらに、このように第一天板と第二天板との上面を対向させて閉止状態とすると、その板厚方向の寸法は開放状態の二倍となる。つまり、平面形状での占有面積は半減できても、電子重量計としての占有容積は減少してないことになる。
【0015】
このため、上述の特許文献1,2の電子重量計では、必ずしも収納性が向上することにならない。このことは、第一天板と第二天板との上面を対向させて閉止状態とする構造でも同一である。
【0016】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で確実に収納性を向上させることができる衛生的な電子重量計を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の電子重量計は、被計量物が上面に載置される天板部材の下面に複数のロードセルユニットが装着されている構造の電子重量計であって、天板部材の一部を形成する第一天板と、天板部材の一部を形成する第二天板と、第一天板と第二天板とを一枚板状の開放状態と下面同士で対向する閉止状態とに開閉自在に支持するヒンジ機構と、第一天板と第二天板との下面に配置されている複数のロードセルユニットと、複数のロードセルユニットの少なくとも一部を閉止状態で相互に干渉しない位置まで変位させるセル支持機構と、を有する。
【0018】
従って、本発明の電子重量計では、第一天板と第二天板とを一枚板状の開放状態と対向する閉止状態とに開閉することができる。このため、開放状態では従来の電子重量計と同様に利用することができ、閉止状態では占有面積を半減させることができる。しかも、閉止状態で対向する第一天板と第二天板との下面にはロードセルユニットが装着されているが、第一天板と第二天板とを閉止するときにセル支持機構によりロードセルユニットを相互に干渉しない位置まで変位させることができる。このため、閉止状態の天板部材の板厚方向の寸法を、開放状態の寸法に天板部材の板厚を加算した程度とすることができる。また、閉止状態では第一天板と第二天板とが下面同士で対向する。このため、床面に接地するロードセルユニットが閉止状態で外面に露出することがない。
【0019】
また、本発明の電子重量計において、セル支持機構は、天板部材の外縁に近接した外側位置と離間した内側位置とにロードセルユニットをスライド自在に支持していてもよい。
【0020】
また、本発明の電子重量計において、第一天板と第二天板とが対称な平面形状に形成されており、2N個のロードセルユニットが第一天板と第二天板との外縁近傍に配置されていてもよい。
【0021】
また、本発明の電子重量計において、ロードセルユニットの各々が受感部をM個ずつ有し、2NM個の受感部で1個のホイートストンブリッジ回路が形成されていてもよい。
【0022】
また、本発明の電子重量計において、ホイートストンブリッジ回路は、入力部と出力部とが並列に接続された第1のホイートストンブリッジ回路と第2のホイートストンブリッジ回路からなり、第1のホイートストンブリッジ回路は、4N個の一部の2N個のロードセルの2NM個の受感部で形成されており、第2のホイートストンブリッジ回路は、4N個の他部の2N個のロードセルの2NM個の受感部で形成されていてもよい。
【0023】
また、本発明の電子重量計において、4N個として8個のロードセルユニットを有し、ロードセルユニットの荷重により伸びる引張側と縮む圧縮側とに受感部が個々に形成されており、第1,第2のロードセルユニットの引張側の受感部が直列に接続されて第1のホイートストンブリッジ回路の第1辺が形成されており、第2,第3のロードセルユニットの圧縮側の受感部が直列に接続されて第1のホイートストンブリッジ回路の第1辺に連続する第2辺が形成されており、第3,第4のロードセルユニットの引張側の受感部が直列に接続されて第1のホイートストンブリッジ回路の第2辺に連続する第3辺が形成されており、第4,第1のロードセルユニットの圧縮側の受感部が直列に接続されて第1のホイートストンブリッジ回路の第3辺と第1辺とを連結する第4辺が形成されており、第5,第6のロードセルユニットの引張側の受感部が直列に接続されて第1のホイートストンブリッジ回路の第1辺と平行な第2のホイートストンブリッジ回路の第1辺が形成されており、第6,第7のロードセルユニットの圧縮側の受感部が直列に接続されて第2のホイートストンブリッジ回路の第1辺に連続する第2辺が形成されており、第7,第8のロードセルユニットの引張側の受感部が直列に接続されて第2のホイートストンブリッジ回路の第2辺に連続する第3辺が形成されており、第8,第5のロードセルユニットの圧縮側の受感部が直列に接続されて第2のホイートストンブリッジ回路の第3辺と第1辺とを連結する第4辺が形成されていてもよい。
【0024】
なお、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が1個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の電子重量計では、第一天板と第二天板とを一枚板状の開放状態と下面同士で対向する閉止状態とに開閉することができる。このため、開放状態では従来の電子重量計と同様に利用することができ、閉止状態では占有面積を半減させることができる。しかも、閉止状態で対向する第一天板と第二天板との下面にはロードセルユニットが装着されているが、第一天板と第二天板とを閉止するときにセル支持機構によりロードセルユニットを相互に干渉しない位置まで変位させることができる。このため、閉止状態の天板部材の板厚方向の寸法は、開放状態の寸法に天板部材の板厚を加算した程度とすることができる。従って、閉止状態では占有容積が大幅に削減されることになり、収納性を確実に向上させることができる。また、閉止状態では第一天板と第二天板とが下面同士で対向する。このため、床面に接地するロードセルユニットが閉止状態で外面に露出することがないので衛生的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の一形態を図1ないし図5を参照して以下に説明する。本実施の形態の電子重量計100は、被計量物(図示せず)が上面に載置される天板部材101の下面に複数のロードセルユニット141〜148が装着されている。
【0027】
本実施の形態の電子重量計100は、天板部材101の一部を形成する第一天板110と、天板部材101の一部を形成する第二天板120と、第一天板110と第二天板120とを一枚板状の開放状態と下面同士で対向する閉止状態とに開閉自在に支持するヒンジ機構130と、第一天板110と第二天板120との下面に配置されている複数のロードセルユニット141〜148と、複数のロードセルユニット141〜148の少なくとも一部を閉止状態のときに相互に干渉しない位置まで変位させるセル支持機構125〜128と、を有する。
【0028】
より具体的には、本実施の形態の電子重量計100では、4N個である8個のロードセルユニット141〜148が、第一天板110と第二天板120とに同数の2N個である4個ずつ装着されている。
【0029】
第一天板110と第二天板120とは、対称な矩形である横長の長方形の平面形状に形成されており、ヒンジ機構130により前後方向に連結されている。第一天板110では、4個のロードセルユニット141〜144が天板部材101の外縁に近接した四隅近傍に固定されている。
【0030】
しかし、第二天板120では、4個のロードセルユニット145〜148が、セル支持機構125〜128により、天板部材101の外縁に近接した四隅近傍の外側位置と、天板部材101の外縁から離間した内側位置と、に左右方向にスライド自在に個々に支持されている。
【0031】
なお、ヒンジ機構130も矩形である横長の長方形の平面形状に形成されており、天板部材101の一部を形成している。図3に示すように、このヒンジ機構130の前後長は、ロードセルユニット141〜148の上下長と同等である。
【0032】
本実施の形態の電子重量計100では、図1および図2に示すように、ロードセルユニット141〜148に干渉しない配置で、第一天板110の前端近傍にディスプレイユニット103が搭載されており、第二天板120の後端近傍に回路ボックス104が搭載されている。
【0033】
この第二天板120の回路ボックス104には、例えば、バッテリや電子回路などが収容されている(図示せず)。また、図1および図4に示すように、第一天板110のディスプレイユニット103には、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイデバイス105や操作スイッチ106などが搭載されている。
【0034】
図2および図3に示すように、例えば、ディスプレイユニット103と回路ボックス104とは、第一天板110および第二天板120の下面に突出している。しかし、その突出の高さはロードセルユニット141〜148の半分以下である。このため、図示するように、第一天板110および第二天板120を閉止しても、ディスプレイユニット103と回路ボックス104とが衝突することはない。
【0035】
図5に示すように、ロードセルユニット141〜148は各々が受感部141a,141b,142a,…,148a,148bをM個である2個ずつ有する。このため、16個の受感部141a,141b,…,148bで1個のホイートストンブリッジ回路150が形成されている。
【0036】
従来例で説明したように、ロードセルユニット141〜148の起歪体としては各種構造が公知であるが、例えば、平行な基部と端部とを平行な一対の梁部で連結し、基部と端部とが相対的な荷重により平行に変位する構造に形成されている(図示せず)。
【0037】
このような起歪体にストレインゲージ(図示せず)が貼着されることにより、荷重により伸びる1つの引張部と縮む1つの圧縮部とに、受感部141a,141b,…,148bが個々に形成されている。
【0038】
図5に示すように、ロードセルユニット141〜148は各々が受感部141a,141b,…,148bをM個である2個ずつ有する。このため、16個の受感部141a,141b,…,148bで1個のホイートストンブリッジ回路150が形成されている。
【0039】
このホイートストンブリッジ回路150では、第一天板110の4個のロードセルユニット141〜144で第一のホイートストンブリッジ回路151が形成されており、第二天板120の4個のロードセルユニット145〜148で第二のホイートストンブリッジ回路152が形成されている。
【0040】
そして、これら第一および第二のホイートストンブリッジ回路151,152が入力部と出力部とで並列に接続されている。つまり、第1,第2のロードセルユニット141,142の引張側の受感部141a,142aが直列に接続されて第1のホイートストンブリッジ回路151の第1辺が形成されている。
【0041】
さらに、第2,第3のロードセルユニット142,143の圧縮側の受感部142b,143bが直列に接続されて、第1のホイートストンブリッジ回路151の第1辺に連続する第2辺が形成されている。
【0042】
第3,第4のロードセルユニット143,144の引張側の受感部143a,144aが直列に接続されて、第1のホイートストンブリッジ回路151の第2辺に連続する第3辺が形成されている。
【0043】
そして、第4,第1のロードセルユニット144,141の圧縮側の受感部144b,141bが直列に接続されて、第1のホイートストンブリッジ回路151の第3辺と第1辺とを連結する第4辺が形成されている。
【0044】
同様に、第5,第6のロードセルユニット145,146の引張側の受感部145a,146aが直列に接続されて、第1のホイートストンブリッジ回路151の第1辺と平行な第2のホイートストンブリッジ回路152の第1辺が形成されている。
【0045】
さらに、第6,第7のロードセルユニット146,147の圧縮側の受感部146b,147bが直列に接続されて、第2のホイートストンブリッジ回路152の第1辺に連続する第2辺が形成されている。
【0046】
第7,第8のロードセルユニット147,148の引張側の受感部147a,148aが直列に接続されて、第2のホイートストンブリッジ回路152の第2辺に連続する第3辺が形成されている。
【0047】
そして、第8,第5のロードセルユニット148,145の圧縮側の受感部148b,145bが直列に接続されて、第2のホイートストンブリッジ回路152の第3辺と第1辺とを連結する第4辺が形成されている。
【0048】
上述のような構成において、本実施の形態の電子重量計100では、図1および図3に示すように、第一天板110と第二天板120とを一枚板状の開放状態と下面同士で対向する閉止状態とに開閉することができる。
【0049】
このため、開放状態では従来の電子重量計100と同様に利用することができ、閉止状態では占有面積を半減させることができる。しかも、閉止状態で対向する第一天板110と第二天板120との下面にはロードセルユニット141〜148が装着されている。
【0050】
しかし、図1(a)(b)に示すように、第一天板110と第二天板120とを閉止するときにセル支持機構125〜128によりロードセルユニット141〜148を相互に干渉しない位置まで変位させることができる。
【0051】
このため、閉止状態の天板部材101の板厚方向の寸法は、開放状態の寸法に天板部材101の板厚を加算したものとなる。従って、閉止状態では占有容積が大幅に削減されることになり、収納性を確実に向上させることができる。
【0052】
特に、第一天板110と第二天板120とが対称な平面形状に形成されている。このため、閉止状態では第一天板110と第二天板120との外形が一致することになり、その占有面積を確実に半減させることができる。
【0053】
しかも、閉止状態では第一天板110と第二天板120とが下面同士で対向する状態となる。このため、床面に接地するロードセルユニット141〜148が閉止状態で外面に露出することがなく衛生的である。
【0054】
さらに、第一天板110は矩形で四隅近傍にロードセルユニット141〜144が固定されており、第二天板120は矩形でセル支持機構125〜128によりロードセルユニット145〜148を四隅近傍に配置することができる。このため、開閉自在な第一天板110と第二天板120とに個々に荷重が作用しても各々が安定している。
【0055】
しかも、本実施の形態の電子重量計100では、ロードセルユニット141〜148の個数が8個なので、ロードセルユニット141〜148が有する受感部141a,141b,…,148bの個数に関係なくホイートストンブリッジ回路150を簡単に形成することができる。
【0056】
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態ではディスプレイユニット103や回路ボックス104が第一天板110や第二天板120の下面から突出していることを例示した。
【0057】
しかし、このようなディスプレイユニットや回路ボックスが第一天板や第二天板の下面から突出していなくともよい(図示せず)。このため、以下に例示する各種の変形例では、必要により第一天板や第二天板の下面から突出したディスプレイユニットや回路ボックスの図示を省略する。
【0058】
さらに、上記形態ではヒンジ機構130が天板部材101の一部を形成する長方形の平板状に形成されていることを例示した。しかし、図6に例示する電子重量計200のように、第一天板201の後端部分と第二天板202の前端部分とを下方に突出させた構造でヒンジ機構203が形成されていてもよい。
【0059】
この場合、天板部材204が第一天板201と第二天板202のみで形成される。このため、電子重量計200の部品数を削減して生産性を向上させることができ、開放状態での第一天板201と第二天板202との安定性も向上させることができる。
【0060】
また、上記形態では、第二天板120の4個のロードセルユニット145〜148が、4個のセル支持機構125〜128により個々にスライド自在に支持されていることを例示した。
【0061】
しかし、図7に例示する電子重量計210のように、第二天板212に2個のセル支持機構213,214が左右方向にスライド自在に形成されており、これら2個のセル支持機構213,214に4個のロードセルユニット145〜148が2個ずつ装着されていてもよい。この場合、手動操作するセル支持機構213,214が2個だけなので、その手動操作が簡単となる。
【0062】
なお、上述のような左右一対のセル支持機構213,214を、例えば、第二天板212に内蔵したパンタグラフ機構(図示せず)などで連結しておくこともできる。この場合、左右一対のセル支持機構213,214の一方を手動操作でスライド移動させると、他方も連動してスライド移動するので、さらに手動操作を簡単とすることができる。
【0063】
さらに、上記形態では第一天板110の前端近傍にディスプレイユニット103が搭載されているとともに、第二天板120の後端近傍に回路ボックス104が搭載されていることを例示した。
【0064】
しかし、図6および図7に例示する電子重量計200,210のように、第一天板201,110の前端近傍にディスプレイユニット103が搭載されているとともに、第二天板202,212の前端近傍に回路ボックス104が搭載されていてもよい。
【0065】
この場合、ディスプレイユニット103と回路ボックス104との天板部材204からの突出が、ロードセルユニット141〜148の1/2以上でも1/1以下ならば、閉止状態のときに衝突することを防止できる。
【0066】
また、上記形態では第一天板110に4個のロードセルユニット141〜144が固定されており、第二天板120の4個のロードセルユニット145〜148がセル支持機構125〜128でスライド自在に支持されていることを例示した。
【0067】
しかし、図8に例示する電子重量計220のように、第一天板221と第二天板222とにセル支持機構223,224が左右1個ずつ形成されていてもよい。この場合、第一天板221と第二天板222との各部のレイアウトが共通となるので、第一天板221と第二天板222との部品や金型などを共用して生産性を向上させるようなことができる。
【0068】
なお、図9に例示する電子重量計230のように、第一天板231にディスプレイユニット103と回路ボックス104とを搭載しておくこともできる。
【0069】
さらに、上記形態ではセル支持機構125〜128がロードセルユニット145〜148をスライド自在に支持していることを例示した。しかし、図9に例示する電子重量計230のように、第二天板232のセル支持機構233,234がロードセルユニット145〜148を公転自在に支持していてもよい。
【0070】
より詳細には、このセル支持機構233,234は、第二天板232の左右両側に水平方向に回転自在に軸支された円盤状に形成されている。この左右一対のセル支持機構233,234に4個のロードセルユニット145〜148が2個ずつ装着されている。
【0071】
そこで、セル支持機構233,234が回動することにより、第二天板232の4個のロードセルユニット145〜148は、図9(a)に示すように、第一天板231の4個のロードセルユニット141〜144と共通の矩形の位置と、図9(b)に示すように、第一天板231の4個のロードセルユニット141〜144と干渉しない直線状の位置と、に変位する。
【0072】
また、上記形態では第一天板110および第二天板120を利用者が開閉するとき、セル支持機構125〜128を手動操作することでロードセルユニット145〜148が変位することを例示した。
【0073】
しかし、図10および図11に例示する電子重量計240のように、第一天板221および第二天板222の開閉に連動して変位連動機構241,242がセル支持機構223,224をスライド移動させてもよい。
【0074】
より詳細には、変位連動機構241は、第一天板221のセル支持機構223と第二天板222とに張架されている柔軟なワイヤ部材243を有し、変位連動機構242は、第二天板222のセル支持機構224と第一天板221とに張架されている柔軟なワイヤ部材244を有する。
【0075】
上述のワイヤ部材243,244は、第一天板221とヒンジ機構130と第二天板222との上部の貫通孔に挿通されている。この挿通部分ではワイヤ部材243,244は前後方向に張架されているが、プーリ機構245,246を介してセル支持機構223,224に内側から連結されている。これらのセル支持機構223,224は、圧縮スプリング247,248により外側に押圧されている。
【0076】
このような電子重量計240では、図10(a)に示すように、第一天板221および第二天板222を開放すると、変位連動機構241,242の押圧スプリング247,248の圧力により、セル支持機構223,224が外側に配置される。
【0077】
しかし、図11に示すように、第一天板221および第二天板222が閉止されると、これに連動したワイヤ部材243,244の変位によりセル支持機構223,224が内側に移動される。
【0078】
このため、開放状態では第一天板221および第二天板222の四隅にロードセルユニット141〜148が自動的に配置され、閉止状態ではロードセルユニット141〜148が相互に干渉しない位置に自動的に配置される。
【0079】
また、上記形態では左右方向に細長い第一天板110と第二天板120とが前後方向に開閉自在に連結されていることを例示した。しかし、図12に例示する電子重量計250のように、前後方向に細長い第一天板251と第二天板252とがヒンジ機構253により左右方向に連結されていてもよい。
【0080】
さらに、上記形態では第一天板110に搭載されている1個のディスプレイユニット103にディスプレイデバイス105や操作スイッチ106などが集約されていることを例示した。
【0081】
しかし、図12に例示する電子重量計250のように、複数のディスプレイデバイス105や操作スイッチ106などが、第一天板251や第二天板252やヒンジ機構253に分散されていてもよい。
【0082】
さらに、上記形態では電子重量計100の第一天板110と第二天板120とヒンジ機構130からなる全体形状が矩形に形成されていることを例示した。しかし、図13に例示する電子重量計260のように、第一天板261と第二天板262とヒンジ機構263からなる全体形状が円形に形成されていてもよい。
【0083】
また、上記形態では第一天板110の4個のロードセルユニット141〜144で形成されている第一のホイートストンブリッジ回路151と、第二天板120の4個のロードセルユニット145〜148で形成されている第二のホイートストンブリッジ回路152とが、入力部と出力部とで並列に接続されて1個のホイートストンブリッジ回路150が形成されていることを例示した。
【0084】
しかし、図14に例示するホイートストンブリッジ回路160のように、第一のホイートストンブリッジ回路161と第二のホイートストンブリッジ回路162とが、入力部と出力部だけでなくロードセルユニット141〜148の中間でも並列に接続されていてもよい。
【0085】
このホイートストンブリッジ回路160でも、第1,第2のロードセルユニット141,142の引張側の受感部141a,142aが直列に接続されて第1のホイートストンブリッジ回路161の第1辺が形成されている。
【0086】
さらに、第2,第3のロードセルユニット142,143の圧縮側の受感部142b,143bが直列に接続されて、第1のホイートストンブリッジ回路161の第1辺に連続する第2辺が形成されている。
【0087】
第3,第4のロードセルユニット143,144の引張側の受感部143a,144aが直列に接続されて、第1のホイートストンブリッジ回路161の第2辺に連続する第3辺が形成されている。
【0088】
そして、第4,第1のロードセルユニット144,141の圧縮側の受感部144b,141bが直列に接続されて、第1のホイートストンブリッジ回路161の第3辺と第1辺とを連結する第4辺が形成されている。
【0089】
同様に、第5,第6のロードセルユニット145,146の引張側の受感部145a,146aが直列に接続されて、第1のホイートストンブリッジ回路161の第1辺と平行な第2のホイートストンブリッジ回路162の第1辺が形成されている。
【0090】
さらに、第6,第7のロードセルユニット146,147の圧縮側の受感部146b,147bが直列に接続されて、第2のホイートストンブリッジ回路162の第1辺に連続する第2辺が形成されている。
【0091】
第7,第8のロードセルユニット147,148の引張側の受感部147a,148aが直列に接続されて、第2のホイートストンブリッジ回路162の第2辺に連続する第3辺が形成されている。
【0092】
そして、第8,第5のロードセルユニット148,145の圧縮側の受感部148b,145bが直列に接続されて、第2のホイートストンブリッジ回路162の第3辺と第1辺とを連結する第4辺が形成されている。
【0093】
さらに、図15に例示するホイートストンブリッジ回路170のように、4個のホイートストンブリッジ回路171〜174が並列に接続されていてもよい。このホイートストンブリッジ回路170では、第1のロードセルユニット141の引張側の受感部141aで第1のホイートストンブリッジ回路171の第1辺が形成されている。
【0094】
そして、第8のロードセルユニットの圧縮側の受感部148bで第1のホイートストンブリッジ回路171の第1辺に連続する第2辺が形成されている。また、第8のロードセルユニットの引張側の受感部148aで第1のホイートストンブリッジ回路171の第3辺が形成されており、第1のロードセルユニット141の圧縮側の受感部141bで第1のホイートストンブリッジ回路171の第4辺が形成されている。
【0095】
同様に、第2,第7のロードセルユニット142,147で第2のホイートストンブリッジ回路172が形成されており、第3,第6のロードセルユニット143,146で第3のホイートストンブリッジ回路173が形成されており、第4,第5のロードセルユニット144,145で第4のホイートストンブリッジ回路174が形成されている。
【0096】
また、図16に例示するホイートストンブリッジ回路180のように、全部の受感部141a,141b,…,148bが直列に接続されていてもよい。このホイートストンブリッジ回路180では、第1,第2,第3,第4のロードセルユニット141,142,143,144の引張側の受感部141a,142a,143a,144aが直列に接続されてホイートストンブリッジ回路180の第1辺が形成されている。
【0097】
同様に、第5〜第8のロードセルユニット145〜148の圧縮側の受感部145b〜148bが直列に接続されて、ホイートストンブリッジ回路180の第1辺に連続する第2辺が形成されている。
【0098】
同様に、第8〜第5のロードセルユニット145〜148の引張側の受感部148a〜145aが直列に接続されて、ホイートストンブリッジ回路180の第2辺に連続する第3辺が形成されている。
【0099】
そして、第4〜第1のロードセルユニット144〜141の圧縮側の受感部144b〜141bが直列に接続されて、ホイートストンブリッジ回路180の第3辺と第1辺とを連結する第4辺が形成されている。
【0100】
また、上記形態では第一天板110の4個のロードセルユニット141〜144で形成されている第一のホイートストンブリッジ回路151と、第二天板120の4個のロードセルユニット145〜148で形成されている第二のホイートストンブリッジ回路152とが、入力部と出力部とで並列に接続されて1個のホイートストンブリッジ回路150が形成されていることを例示した。
【0101】
また、上記形態では電子重量計100が重量のみ計測することを想定した。しかし、このような電子重量計100に、さらに体脂肪率を計測する機能なども搭載されていてもよい(図示せず)。
【0102】
なお、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施の形態の電子重量計の開放状態と閉止状態との外観を示す底面図である。
【図2】電子重量計の開放状態と閉止状態との外観を示す正面図である。
【図3】電子重量計の開放状態と閉止状態との外観を示す側面図である。
【図4】電子重量計の開放状態の外観を示す平面図である。
【図5】ホイートストンブリッジ回路の構造を示す回路図である。
【図6】一の変形例の電子重量計の開放状態と閉止状態との外観を示す側面図である。
【図7】他の変形例の電子重量計の開放状態の外観を示す底面図である。
【図8】さらに他の変形例の電子重量計の開放状態の外観を示す底面図である。
【図9】さらに他の変形例の電子重量計の開放状態の外観を示す底面図である。
【図10】さらに他の変形例の電子重量計の開放状態の内部構造を示す断面図である。
【図11】閉止状態の内部構造を示す縦断側面図である。
【図12】さらに他の変形例の電子重量計の開放状態の外観を示す平面図である。
【図13】さらに他の変形例の電子重量計の開放状態の外観を示す底面図である。
【図14】さらに他の変形例のホイートストンブリッジ回路の構造を示す回路図である。
【図15】さらに他の変形例のホイートストンブリッジ回路の構造を示す回路図である。
【図16】さらに他の変形例のホイートストンブリッジ回路の構造を示す回路図である。
【符号の説明】
【0104】
100 電子重量計
101 天板部材
103 ディスプレイユニット
104 回路ボックス
105 ディスプレイデバイス
106 操作スイッチ
110 第一天板
120 第二天板
125-128 セル支持機構
130 ヒンジ機構
141-148 ロードセルユニット
141a,141b,142a,…,148a,148b 受感部
150 ホイートストンブリッジ回路
151 ホイートストンブリッジ回路
152 ホイートストンブリッジ回路
160 ホイートストンブリッジ回路
161 ホイートストンブリッジ回路
162 ホイートストンブリッジ回路
170 ホイートストンブリッジ回路
171-174 ホイートストンブリッジ回路
180 ホイートストンブリッジ回路
200 電子重量計
201 第一天板
202 第二天板
203 ヒンジ機構
204 天板部材
210 電子重量計
212 第二天板
213,214 セル支持機構
220 電子重量計
221 第一天板
222 第二天板
223 セル支持機構
224 第二天板
230 電子重量計
231 第一天板
232 第二天板
233,234 セル支持機構
240 電子重量計
241 変位連動機構
242 変位連動機構
243 ワイヤ部材
244 ワイヤ部材
245,246 プーリ機構
247,248 圧縮スプリング
247,248 押圧スプリング
250 電子重量計
251 第一天板
252 第二天板
253 ヒンジ機構
260 電子重量計
261 第一天板
262 第二天板
263 ヒンジ機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物が上面に載置される天板部材の下面に複数のロードセルユニットが装着されている構造の電子重量計であって、
前記天板部材の一部を形成する第一天板と、
前記天板部材の一部を形成する第二天板と、
前記第一天板と前記第二天板とを一枚板状の開放状態と下面同士で対向する閉止状態とに開閉自在に支持するヒンジ機構と、
前記第一天板と前記第二天板との下面に配置されている複数の前記ロードセルユニットと、
複数の前記ロードセルユニットの少なくとも一部を前記閉止状態で相互に干渉しない位置まで変位させるセル支持機構と、
を有する電子重量計。
【請求項2】
前記セル支持機構は、前記天板部材の外縁に近接した外側位置と離間した内側位置とに前記ロードセルユニットをスライド自在に支持している請求項1に記載の電子重量計。
【請求項3】
前記第一天板と前記第二天板とが対称な平面形状に形成されており、
2N(Nは2以上の整数)個の前記ロードセルユニットが前記第一天板と前記第二天板との外縁近傍に配置されている請求項2に記載の電子重量計。
【請求項4】
前記ロードセルユニットの各々が受感部をM(Mは自然数)個ずつ有し、
2NM個の前記受感部で1個のホイートストンブリッジ回路が形成されている請求項3に記載の電子重量計。
【請求項5】
前記ホイートストンブリッジ回路は、入力部と出力部とが並列に接続された第1のホイートストンブリッジ回路と第2のホイートストンブリッジ回路からなり、
前記第1のホイートストンブリッジ回路は、4N個の一部の2N個の前記ロードセルの2NM個の前記受感部で形成されており、
前記第2のホイートストンブリッジ回路は、4N個の他部の2N個の前記ロードセルの2NM個の前記受感部で形成されている請求項4に記載の電子重量計。
【請求項6】
4N個として8個の前記ロードセルユニットを有し、
前記ロードセルユニットの荷重により伸びる引張側と縮む圧縮側とに前記受感部が個々に形成されており、
第1,第2の前記ロードセルユニットの引張側の前記受感部が直列に接続されて前記第1のホイートストンブリッジ回路の第1辺が形成されており、
第2,第3の前記ロードセルユニットの圧縮側の前記受感部が直列に接続されて前記第1のホイートストンブリッジ回路の前記第1辺に連続する第2辺が形成されており、
第3,第4の前記ロードセルユニットの引張側の前記受感部が直列に接続されて前記第1のホイートストンブリッジ回路の前記第2辺に連続する第3辺が形成されており、
第4,第1の前記ロードセルユニットの圧縮側の前記受感部が直列に接続されて前記第1のホイートストンブリッジ回路の前記第3辺と前記第1辺とを連結する第4辺が形成されており、
第5,第6の前記ロードセルユニットの引張側の前記受感部が直列に接続されて前記第1のホイートストンブリッジ回路の前記第1辺と平行な前記第2のホイートストンブリッジ回路の第1辺が形成されており、
第6,第7の前記ロードセルユニットの圧縮側の前記受感部が直列に接続されて前記第2のホイートストンブリッジ回路の前記第1辺に連続する第2辺が形成されており、
第7,第8の前記ロードセルユニットの引張側の前記受感部が直列に接続されて前記第2のホイートストンブリッジ回路の前記第2辺に連続する第3辺が形成されており、
第8,第5の前記ロードセルユニットの圧縮側の前記受感部が直列に接続されて前記第2のホイートストンブリッジ回路の前記第3辺と前記第1辺とを連結する第4辺が形成されている請求項5に記載の電子重量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−150771(P2009−150771A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328909(P2007−328909)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)