説明

電子鍵盤楽器のペダル装置

【課題】アコースティックピアノのダンパーペダルと同様の操作感覚を実現しつつも、小型化を図ることができる電子鍵盤楽器のペダル装置を提供すること。
【解決手段】ペダル装置1は、第1ばね50が、第3ペダル40のシャーシ10に支持される支持位置よりも演奏者によって踏み込み操作される操作位置側に配設され、支持位置よりも操作位置側において第1の反力が第3ペダル40に付与されると共に、第2反力付与機構42が、第1ばね50よりも第3ペダル40の操作位置側に配設され、第1ばね50の配設位置よりも操作位置側において第2の反力が第3ペダル40に付与されるので、その位置を第3ペダル40の支持位置から遠く且つ操作位置に近くして、第2反力付与機構42に必要な弾性力を小さくできる。これにより、第2反力付与機構42を小型化して、ペダル装置1の小型化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子鍵盤楽器のペダル装置に関し、特に、アコースティックピアノのダンパーペダルと同様の操作感覚を実現しつつも、小型化を図ることができる電子鍵盤楽器のペダル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、アコースティックピアノの音色、操作性および外観などを疑似的に再現した電子ピアノ等の電子鍵盤楽器が広く普及している。この種の電子鍵盤楽器に使用されるペダル装置として、特許文献1には、演奏者によって踏み込み操作される第1ペダルレバーと、その第1ペダルレバーが基準量よりも踏み込まれた場合に第1ペダルレバーに連動する第2ペダルレバーと、第1ペダルレバーの踏み込み操作に対抗する反力を第1ペダルレバー及び第2ペダルレバーの各々に付与する第1バネ及び第2バネとを備えたペダル装置が開示されている。このペダル装置によれば、第1ペダルレバーの操作荷重を第1バネ及び第2バネによって踏み込み量に応じて段階的に変化させることにより、アコースティックピアノのダンパーペダルと同様の操作感覚を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−334008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されるペダル装置では、アコースティックピアノのダンパーペダルと同様の操作感覚を実現できるものの、第1ペダルレバー及び第2ペダルレバーの2本のペダルレバーを備えているため、部品点数が多く構造も複雑となり、装置の大型化を招くという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、アコースティックピアノのダンパーペダルと同様の操作感覚を実現しつつも、小型化を図ることができる電子鍵盤楽器のペダル装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
請求項1記載の電子鍵盤楽器のペダル装置によれば、踏み込み操作に対抗する第1の反力をペダルに付与する第1反力付与手段と、ペダルの踏み込み量が規定量を超えた場合にペダルの踏み込み操作に伴って圧縮され、その踏み込み操作に対抗する第2の反力を弾性力によってペダルに付与する第2反力付与手段とを備えているので、ペダルの操作荷重を踏み込み量に応じて段階的に変化させることができる。よって、アコースティックピアノのダンパーペダルと同様の操作感覚を実現することができる。
【0007】
また、第1反力付与手段は、ペダルのシャーシに支持される支持位置よりも演奏者によって踏み込み操作される操作位置側に配設され、支持位置よりも操作位置側において第1の反力をペダルに付与すると共に、第2反力付与手段は、第1反力付与手段よりもペダルの操作位置側に配設され、第1反力付与手段の配設位置よりも操作位置側において第2の反力をペダルに付与するので、第2反力付与手段を小型化して、装置の小型化を図ることができるという効果がある。
【0008】
即ち、第2の反力をペダルに付与するために必要な第2反力付与手段の弾性力は、てこの原理に基づき、ペダルの支持位置から遠く操作位置に近いほど小さくなり、ペダルの操作位置から遠く支持位置に近いほど大きくなる。このため、第1反力付与手段の配設位置よりも支持位置側において第2の反力をペダルに付与する場合には、第2反力付与手段に大きな弾性力が必要となり、その結果、第2反力付与手段の大型化を招いてしまう。つまり、例えば、第2反力付与手段をコイルばねにより構成する場合には、線形が太くなったり外径が大きくなる。
【0009】
これに対し、第1反力付与手段の配設位置よりも操作位置側において第2の反力をペダルに付与することで、その位置をペダルの支持位置から遠く且つ操作位置に近くして、第2反力付与手段に必要な弾性力を小さくできる。これにより、第2反力付与手段を小型化して、装置の小型化を図ることができる。
【0010】
また、第1反力付与手段の配設位置よりも操作位置側において第2の反力をペダルに付与することで、ペダルの操作荷重精度を向上させることができるという効果がある。
【0011】
即ち、第1反力付与手段の配設位置よりも支持位置側において第2の反力をペダルに付与する場合には、第2反力付与手段の大型化を招く分、その弾性力の精度が低下する。つまり、例えば、第2反力付与手段をコイルばねにより構成する場合には、線形が太くなったり外径が大きくなると、その荷重精度も低下する。その結果、製造された個々の装置において、ペダルの操作荷重精度にばらつきが生じ易くなる。
【0012】
これに対し、第1反力付与手段の配設位置よりも操作位置側において第2の反力をペダルに付与することで、第2反力付与手段を小型化して、その弾性力の精度低下を抑制できる。これにより、製造された個々の装置に対して、ペダルの操作荷重精度を向上させることができる。
【0013】
請求項2記載の電子鍵盤楽器のペダル装置によれば、請求項1記載の電子鍵盤楽器のペダル装置の奏する効果に加え、第1反力付与手段よりもペダルの操作位置側に配設されると共に、ペダルの回動を規制してペダルの下限位置を規制する規制手段を備え、第2反力付与手段は、規制手段に対向して配設され、ペダルの踏み込み量が規定量を超えた場合に規制手段に当接することにより、ペダルの踏み込み操作に伴って圧縮されるので、第2の反力がペダルに付与されるまでのペダルの踏み込み量(規定量)を精度良く設定できるという効果がある。
【0014】
即ち、第2の反力がペダルに付与されるまでのペダルの踏み込み量(規定量)、いわゆる遊びは、演奏者がペダルに足を乗せたまま演奏を行ったりハーフペダルと呼ばれる踏み込み操作を行う上で、高い精度が望まれる。かかる遊びは、第1反力付与手段の配設位置よりも操作位置側に第2反力付与手段を配設する場合には、第2反力付与手段の寸法精度(ペダルが踏み込み操作される方向の寸法精度)による影響を受け難く、その精度が高くなり、第1反力付与手段の配設位置よりも支持位置側に第2反力付与手段を配設する場合には、第2反力付与手段の寸法精度による影響を受け易く、その精度が低下する。このため、第1反力付与手段の配設位置よりも支持位置側に第2反力付与手段を配設する場合には、製造された個々の装置において、遊びにばらつきが生じ易くなる。
【0015】
これに対し、第1反力付与手段の配設位置よりも操作位置側に第2反力付与手段を配設することで、第2反力付与手段の寸法精度による影響を受け難くして、遊びのばらつきを抑制できる。これにより、製造された個々の装置に対して、遊びを精度良く設定することができる。
【0016】
請求項3記載の電子鍵盤楽器のペダル装置によれば、請求項2記載の電子鍵盤楽器のペダル装置の奏する効果に加え、ペダルに着脱可能に取り付けられると共に、ペダルに取り付けられた状態で規制手段に対向して配設されるストッパー部を有するアクチュエータを備え、第2反力付与手段は、ストッパー部の内部に組み込まれているので、ストッパー部を第2反力付与手段の収容空間として利用することで、装置の小型化を図ることができるという効果がある。また、第2反力付与手段は、アクチュエータと一体にペダルに取り付けられているので、第2反力付与手段をアクチュエータごとペダルに取り付けることができる。よって、作業性の向上を図ることができるという効果がある。更に、第2反力付与手段を備えていないペダルであっても、アクチュエータを取り換えることにより、第2反力付与手段を備えることができ、アコースティックピアノのダンパーペダルと同様の操作感覚を実現することができるという効果がある。
【0017】
請求項4記載の電子鍵盤楽器のペダル装置によれば、請求項3記載の電子鍵盤楽器のペダル装置の奏する効果に加え、ペダルの回動量に基づいてペダルの踏み込み量を検出するセンサを備え、そのセンサの検出結果に応じて電子鍵盤楽器に電気信号を出力するように構成され、アクチュエータは、ペダルの回動量をセンサに伝達する伝達部を備えているので、伝達部の形状を適宜変更することにより、ペダルの踏み込み量と電子鍵盤楽器に出力する電気信号との関係を任意に設定することができる。よって、電子鍵盤楽器に出力する電気信号をペダルの操作荷重変化に合わせて容易に連動させることができるという効果がある。
【0018】
請求項5記載の電子鍵盤楽器のペダル装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の電子鍵盤楽器のペダル装置の奏する効果に加え、ペダルを複数備え、それら複数のペダルの内の少なくとも1のペダルに対応して第2反力付与手段を備えているので、操作荷重が踏み込み量に応じて段階的に変化するペダルと踏み込み量に関わらず一定のペダルとを共存させて、1の装置でペダルの操作感覚に違いを持たせることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態における電子鍵盤楽器のペダル装置の分解斜視図である。
【図2】図1のII−II線における電子鍵盤楽器のペダル装置の断面図である。
【図3】図1のIII−III線における電子鍵盤楽器のペダル装置の断面図である。
【図4】(a)は、第1ペダルの下面斜視図であり、(b)は、第3ペダルの下面斜視図である。
【図5】図1のII−II線における電子鍵盤楽器のペダル装置の断面図であり、(a)は、第1ペダルの初期状態を、(b)は、第1ペダルの踏み込み状態を、それぞれ図示している。
【図6】図1のIII−III線における電子鍵盤楽器のペダル装置の断面図であり、(a)は、第3ペダルの初期状態を、(b)は、第3ペダルの規定状態を、(c)は、第3ペダルの踏み込み状態を、それぞれ図示している。
【図7】第1ペダル、第2ペダル及び第3ペダルの踏み込み量と操作荷重および電子鍵盤楽器に出力される電圧値との関係を示したグラフである。
【図8】第2実施の形態における電子鍵盤楽器のペダル装置の断面図である。
【図9】第3実施の形態における電子鍵盤楽器のペダル装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態における電子鍵盤楽器のペダル装置1の分解斜視図である。なお、図1の矢印U−D,L−R,F−Bは、電子鍵盤楽器のペダル装置1の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。
【0021】
まず、図1を参照して、電子鍵盤楽器のペダル装置1(以下、単に「ペダル装置1」と称す)の概略構成について説明する。ペダル装置1は、電子ピアノ等の電子鍵盤楽器(図示せず)に使用され、電子鍵盤楽器で生成される楽音に各種の音響効果を与えるための装置であり、図1に示すように、本体を形成するシャーシ10と、そのシャーシ10の左右方向に並設される第1ペダル20、第2ペダル30及び第3ペダル40とを主に備えている。このペダル装置1は、各ペダル20,30,40が演奏者によって踏み込み操作されることにより、その踏み込み量に応じた電圧値を電子鍵盤楽器に出力して、アコースティックピアノのソフトペダル、ソステヌートペダル及びダンパーペダルと同様の音響効果を電子鍵盤楽器の楽音に与えるように構成されている。
【0022】
シャーシ10は、ABS樹脂などの樹脂材料から形成される上シャーシ10aと下シャーシ10bとにより構成され、それら上シャーシ10aと下シャーシ10bとが上下に重ね合わせて組み付けられることにより、第1ばね50、センサ60及び回路基板70を組み込むための内部空間Sを有する中空の箱状に形成されている。なお、回路基板70からは、ペダル装置1を電子鍵盤楽器に接続するための接続ケーブル71が延出されている。
【0023】
第1ペダル20、第2ペダル30及び第3ペダル40は、アコースティックピアノのソフトペダル、ソステヌートペダル及びダンパーペダルにそれぞれ相当するものであり、真鍮や鉄などの金属材料から長尺の板状に形成されている。また、各ペダル20,30,40は、後端部がシャーシ10に支持されると共に、前端部がシャーシ10の前方側に露出されている。これら各ペダル20,30,40は、前端部側が演奏者によって踏み込み操作されることにより、シャーシ10に支持された支持位置を支点として下方側へ回動する。
【0024】
第1ばね50は、踏み込み操作に対抗する反力を各ペダル20,30,40に付与するものであり、コイル状の圧縮ばねにより構成されている。また、第1ばね50は、各ペダル20,30,40毎に配設され、予圧縮されて(与圧されて)シャーシ10と各ペダル20,30,40との間で保持されている。この第1ばね50は、各ペダル20,30,40の踏み込み操作に伴って圧縮されることにより、その踏み込み操作に対抗する反力(以下「第1の反力」と称す)を弾性力によって各ペダル20,30,40に付与する。
【0025】
センサ60は、各ペダル20,30,40の踏み込み量を検出すると共に、その踏み込み量に応じた抵抗値を出力するものであり、各ペダル20,30,40の踏み込み操作に伴って回動するレバー部61と、そのレバー部61の回動量、即ち、各ペダル20,30,40の踏み込み量に応じた抵抗値を出力する可変抵抗器(図示せず)とを備えて構成されている。また、センサ60は、回路基板70に搭載され、各ペダル20,30,40の配置にそれぞれ対応する3か所の位置に配設されている。このセンサ60から各ペダル20,30,40の踏み込み量に応じた抵抗値が出力されることにより、その抵抗値に応じた電圧値が接続ケーブル71を介して電子鍵盤楽器に出力される。その結果、各ペダル20,30,40の踏み込み量に応じた音響効果が電子鍵盤楽器の楽音に与えられる。
【0026】
次に、図1から図4を参照して、ペダル装置1の各部の詳細構成について説明する。図2は、図1のII−II線におけるペダル装置1の断面図であり、図3は、図1のIII−III線におけるペダル装置1の断面図である。また、図4(a)は、第1ペダル20の下面斜視図であり、図4(b)は、第3ペダル40の下面斜視図である。なお、図2及び図3の矢印U−D,L−R,F−Bは、ペダル装置1の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。
【0027】
図1から図3に示すように、シャーシ10の内部空間Sの後方側には、第1ペダル20、第2ペダル30及び第3ペダル40の配置にそれぞれ対応する3か所の位置に支持部11が設けられている。支持部11は、各ペダル20,30,40を支持するための部位であり、上シャーシ10aに形成される凸状の上支部11aと、下シャーシ10bに形成される下支部11bとにより構成されている。各ペダル20,30,40は、これら上支部11aと下支部11bとの間で後端部が挟持されることにより、シャーシ10に片持ちの状態で回動可能に支持される。
【0028】
シャーシ10の前面には、第1ペダル20、第2ペダル30及び第3ペダル40の配置にそれぞれ対応する3か所の位置に開口部12が設けられている。開口部12は、各ペダル20,30,40の前端部をシャーシ10の前方側に露出させるための部位であり、上シャーシ10aに開口形成される正面視略矩形状の上口部12aと、下シャーシ10bに開口形成される正面視略矩形状の下口部12bとにより構成されている。また、開口部12の上面および下面には、クッション13,14が貼付されている。クッション13,14は、各ペダル20,30,40の回動を規制するものであり、フェルトや発泡ウレタン等の緩衝材から構成されている。各ペダル20,30,40は、このクッション13,14に当接することにより、それ以上の回動が規制され、その上限位置および下限位置が規制される。また、各ペダル20,30,40がクッション13,14に当接する際には、その衝撃がクッション13,14自体によって緩和される。これにより、衝撃音を抑制することができる。
【0029】
第1ペダル20、第2ペダル30及び第3ペダル40の後端部には、幅方向(矢印L−R方向)に沿って溝部20a,30a,40aが設けられている。溝部20a,30a,40aは、シャーシ10の支持部11に支持される部位であり、断面略U字状の窪みとして形成されている。各ペダル20,30,40は、この溝部20a,30a,40aを支点として回動する。また、各ペダル20,30,40の下面には、アクチュエータ21,31,41がねじ15によって着脱可能に取り付けられている。アクチュエータ21,31,41は、各ペダル20,30,40の踏み込み量をセンサ60に伝達すると共に、その踏み込み量を規制するためのものであり、POM樹脂などの樹脂材料から長尺の板状に形成されている。
【0030】
ここで、図2及び図4を参照して、アクチュエータ21,31,41の詳細構成について説明する。なお、アクチュエータ31は、アクチュエータ21と同一の構成であるので、アクチュエータ31の詳細構成については説明を省略する。
【0031】
図2及び図4(a)に示すように、アクチュエータ21の下面には、保持部21a、伝達部21b及びストッパー部21cが設けられている。保持部21aは、第1ばね50を保持するための部位であり、アクチュエータ21の略中央部に突設されている。第1ペダル20には、この保持部21aが配設されるアクチュエータ21の略中央部において、第1ばね50による第1の反力が付与される。
【0032】
伝達部21bは、第1ペダル20の踏み込み量をセンサ60に伝達するための部位であり、センサ60のレバー部61と対向する位置に突設されている。この伝達部21bは、第1ペダル20の踏み込み操作に伴ってセンサ60のレバー部61を押圧することにより、第1ペダル20の踏み込み量をセンサ60に伝達する。その結果、第1ペダル20の踏み込み量に応じた電圧値が電子鍵盤楽器に出力される。
【0033】
ストッパー部21cは、第1ペダル20の踏み込み量を規制するための部位であり、アクチュエータ21の前端部であってクッション14と対向する位置に突設されている。第1ペダル20は、このストッパー部21cがクッション14に当接することにより、下方側への回動が規制され、その下限位置が規制される。これにより、第1ペダル20の踏み込み量が規制される。
【0034】
図3及び図4(b)に示すように、アクチュエータ41の下面には、保持部41a、伝達部41b及びストッパー部41cが設けられている。保持部41aは、第1ばね50を保持するための部位であり、アクチュエータ41の略中央部に形成されている。第3ペダル40には、この保持部41aが配設されるアクチュエータ41の略中央部において、第1ばね50による第1の反力が付与される。なお、本実施の形態における保持部41aは、ねじ15を取り付けるための取付部としての役割を兼ねている。これにより、取付部を別途必要とせず、部品点数の低減を図ると共に、その分、製品コストの低減を図ることができる。
【0035】
伝達部41bは、第3ペダル40の踏み込み量をセンサ60に伝達するための部位であり、センサ60のレバー部61と対向する位置に突設されている。この伝達部41bは、第3ペダル40の踏み込み操作に伴ってセンサ60のレバー部61を押圧することにより、第3ペダル40の踏み込み量をセンサ60に伝達する。その結果、第3ペダル40の踏み込み量に応じた電圧値が電子鍵盤楽器に出力される。従って、第3ペダル40の踏み込み量と電子鍵盤楽器に出力される電圧値との関係は、この伝達部41bの形状によって決定される。よって、伝達部41bの形状を適宜変更することにより、第3ペダル40の踏み込み量と電子鍵盤楽器に出力される電圧値との関係を任意に設定することができる。これにより、電子鍵盤楽器に出力する電圧値を第3ペダル40の操作荷重変化に合わせて容易に連動させることができる。なお、本実施の形態における伝達部41bは、第3ペダル40の前端部側に下降傾斜する傾斜面として形成されている。これにより、伝達部41bの傾斜角度を変更するのみで、第3ペダル40の踏み込み量と電子鍵盤楽器に出力される電圧値との関係を容易に設定することができる。
【0036】
ストッパー部41cは、第3ペダル40の踏み込み量を規制するための部位であり、アクチュエータ41の前端部であってクッション14と対向する位置に突設されている。第3ペダル40は、このストッパー部41cがクッション14に当接することにより、下方側への回動が規制され、その下限位置が規定される。これにより、第3ペダル40の踏み込み量が規制される。
【0037】
また、ストッパー部41cは、第2反力付与機構42を組み込むための内部空間Pを有し、且つ、下面の中央部が開放した中空状に形成されている。第2反力付与機構42は、第3ペダル40の操作荷重を踏み込み途中で変化させるためのものであり、第2ばね43と可動ストッパー44とにより構成されている。この第2反力付与機構42は、ストッパー部41cの内部空間Pに組み込まれることにより、アクチュエータ41と一体に第3ペダル40に取り付けられている。
【0038】
第2ばね43は、踏み込み操作に対抗する反力を第3ペダル40に付与するものであり、コイル状の圧縮ばねにより構成され、予圧縮されて(与圧されて)第3ペダル40と可動ストッパー44との間で保持されている。この第2ばね43は、第3ペダル40が所定の踏み込み量(以下「規定量」と称す)を超えて踏み込み操作された場合に、第3ペダル40の踏み込み操作に伴って圧縮されることにより、その踏み込み操作に対抗する反力(以下「第2の反力」と称す)を弾性力によって第3ペダル40に付与する。第3ペダル40には、ストッパー部41cが配設されるアクチュエータ41の前端部において、第2ばね43による第2の反力が付与される。
【0039】
可動ストッパー44は、第2ばね43を保持するものであり、ABS樹脂などの樹脂材料から上面が開放した中空状に形成されている。この可動ストッパー44は、通常、第2ばね43によって付勢されることにより、ストッパー部41cの下面から突出されており、第3ペダル40の踏み込み量が規定量に達した場合に、クッション14に当接すると共に、第3ペダル40が規定量を超えて踏み込み操作された場合に、第2ばね43を圧縮しつつストッパー部41cの内部空間Pに進入する。また、第3ペダル40が規定量を超えて踏み込み操作された場合には、この可動ストッパー44の内部に第2ばね43が収容される。このように、可動ストッパー44を中空状とし、その内部を第2ばね43の収容空間として利用することで、第2反力付与機構42を小型化して、ペダル装置1の小型化を図ることができる。
【0040】
可動ストッパー44の上縁部には、鍔部44aが設けられている。鍔部44aは、可動ストッパー44の下限位置を規制するための部位であり、前後左右に張り出して形成されている。可動ストッパー44は、この鍔部44aがストッパー部41cの内側底面に当接することにより、下方側への移動が規制され、その下限位置が規制される。また、鍔部44aの下面には、フェルトや発泡ウレタン等の緩衝材から構成されるクッション45が貼付されている。可動ストッパー44は、このクッション45を介して鍔部44aがストッパー部41cの内側底面に当接することにより、その衝撃が緩和される。これにより、衝撃音を抑制することができる。
【0041】
ストッパー部41cの内部空間Pには、ガイド部41c1が設けられている。ガイド部41c1は、可動ストッパー44の進入を案内するための部位であり、その進入方向に延設されている。可動ストッパー44は、このガイド部41c1に沿ってストッパー部41cの内部空間Pに進入することにより、その進入が案内される。これにより、可動ストッパー44のがたつきを防止して、第2ばね43を精度良く圧縮することができる。
【0042】
また、ストッパー部41cの前端部には、カバー部41c2が設けられている。カバー部41c2は、可動ストッパー44の前方側を覆うための部位であり、下方側へ突設されている。このカバー部41c2によって可動ストッパー44を覆うことにより、外観上の見た目を向上させると共に、ほこりの侵入や指の挿入などの外的要因から可動ストッパー44を保護することができる。
【0043】
このように、第2反力付与機構42は、ストッパー部41cの内部に組み込まれ、アクチュエータ41と一体に第3ペダル40に取り付けられているので、第2反力付与機構42を効率的に配設して、ペダル装置1の小型化を図ることができる。また、第2反力付与機構42は、アクチュエータ41と一体に第3ペダル40に取り付けられているので、第2反力付与機構42をアクチュエータ41ごと第3ペダル40に取り付けることができ、その作業性を向上させることができる。更に、第2反力付与機構42を備えていないペダル(第1ペダル20や第2ペダル30)に対しても、アクチュエータ41を取り換えることにより、第2反力付与機構42を設けることができ、アコースティックピアノのダンパーペダルと同様の操作感覚を実現することができる。
【0044】
次に、図5及び図6を参照して、第1ペダル20,第2ペダル30及び第3ペダル40が踏み込み操作された場合の動作について説明する。図5は、図1のII−II線における電子鍵盤楽器のペダル装置の断面図であり、図5(a)は、第1ペダルの初期状態を、図5(b)は、第1ペダルの踏み込み状態を、それぞれ図示している。また、図6は、図1のIII−III線における電子鍵盤楽器のペダル装置の断面図であり、図6(a)は、第3ペダルの初期状態を、図6(b)は、第3ペダルの規定状態を、図6(c)は、第3ペダルの踏み込み状態を、それぞれ図示している。なお、図5及び図6では、各ペダル20,30,40が踏み込み操作された場合の動作を説明するために必要な構成についてのみ符号を付し、他の構成については符号を省略して図示している。
【0045】
まず、図5を参照して、第1ペダル20が踏み込み操作された場合の動作について説明する。なお、第2ペダル30が踏み込み操作された場合の動作は、第1ペダル20が踏み込み操作された場合の動作と同様であるので、第2ペダル30が踏み込み操作された場合の動作については説明を省略する。
【0046】
図5(a)に示す初期状態(第1ペダル20が上限位置にある状態)から、第1ペダル20が踏み込み操作されると、第1ペダル20は、シャーシ10の支持部11に支持された溝部20aを支点として下方側へ回動する。この場合、アクチュエータ21の伝達部21bによってセンサ60のレバー部61が押圧されることにより、第1ペダル20の踏み込み量がセンサ60によって検出される。その結果、第1ペダル20の踏み込み量に応じた電圧値が電子鍵盤楽器に出力され、電子鍵盤楽器の楽音にアコースティックピアノのソフトペダルと同様の音響効果が与えられる。また、この場合、第1ペダル20には、踏み込み操作に対抗する第1の反力が第1ばね50によって付与される。これにより、アコースティックピアノのソフトペダルと同様の操作感覚を演奏者に与えることができる。
【0047】
そして、図5(b)に示す踏み込み状態(第1ペダル20が下限位置にある状態)になると、アクチュエータ21のストッパー部21cがクッション14に当接することにより、第1ペダル20の下方側への回動が規制される。
【0048】
一方、図5(b)に示す踏み込み状態から、第1ペダル20の踏み込み操作が解除されると、第1ペダル20は、第1ばね50の付勢力によって溝部20aを支点として上方側へ回動する。そして、図5(a)に示す初期状態になると、クッション13に当接することにより、第1ペダル20の上方側への回動が規制される。
【0049】
次に、図6を参照して、第3ペダル40が踏み込み操作された場合の動作について説明する。図6(a)に示す初期状態(第3ペダル40が上限位置にある状態)から、第3ペダル40が踏み込み操作されると、第3ペダル40は、シャーシ10の支持部11に支持された溝部40aを支点として下方側へ回動する。この場合、アクチュエータ41の伝達部41bによってセンサ60のレバー部61が押圧されることにより、第3ペダル40の踏み込み量がセンサ60によって検出される。その結果、第3ペダル40の踏み込み量に応じた電圧値が電子鍵盤楽器に出力され、電子鍵盤楽器の楽音にアコースティックピアノのダンパーペダルと同様の音響効果が与えられる。また、この場合、第3ペダル40には、踏み込み操作に対抗する第1の反力が第1ばね50によって付与される。
【0050】
そして、図6(b)に示す規定状態(第3ペダル40の踏み込み量が規定量に達した状態)になると、第2反力付与機構42の可動ストッパー44がクッション14に当接する。また、図6(b)に示す規定状態から、第3ペダル40の踏み込み操作が続けられると、可動ストッパー44が第2ばね43を圧縮しつつアクチュエータ41のストッパー部41cに進入する。この場合、第3ペダル40には、第1ばね50による第1の反力に加え、踏み込み操作に対抗する第2の反力が第2ばね43によって付与されることにより、操作荷重が変化する。これにより、アコースティックピアノのダンパーペダルと同様の操作感覚を演奏者に与えることができる。
【0051】
そして、図6(c)に示す踏み込み状態(第3ペダル40が下限位置にある状態)になると、アクチュエータ41のストッパー部41cがクッション14に当接することにより、第3ペダル40の下方側への回動が規制される。
【0052】
一方、図6(c)に示す踏み込み状態から、第3ペダル40の踏み込み操作が解除されると、第3ペダル40は、第1ばね50及び第2ばね43の付勢力によって溝部40aを支点として上方側へ回動する。そして、図6(a)に示す初期状態になると、クッション13に当接することにより、第3ペダル40の上方側への回動が規制される。
【0053】
次に、図7を参照して、第1ペダル20、第2ペダル30及び第3ペダル40の踏み込み量と操作荷重および電子鍵盤楽器に出力される電圧値との関係について説明する。図7は、第1ペダル20、第2ペダル30及び第3ペダル40の踏み込み量と操作荷重および電子鍵盤楽器に出力される電圧値との関係を示したグラフである。なお、図7の実線F1,2は、第1ペダル20及び第2ペダル30の踏み込み量と操作荷重との関係を、F3は、第3ペダル40の踏み込み量と操作荷重との関係を、破線Vは、各ペダル20,30,40の踏み込み量と電子鍵盤楽器に出力される電圧値との関係を、それぞれ示している。
【0054】
まず、第1ペダル20、第2ペダル30及び第3ペダル40の踏み込み量と操作荷重との関係について説明する。第1ペダル20及び第2ペダル30には、初期状態から踏み込み状態に至るまでの間、第1ばね50による第1の反力のみが付与される。よって、各ペダル20,30の操作荷重は、実線F1,2で示すように、踏み込み量に伴って直線的に増加する。なお、第1ばね50は、予圧縮されている(与圧されている)ので、各ペダル20,30には、その圧縮量に応じた反力が踏み込み操作の開始時点から付与される。
【0055】
これに対し、第3ペダル40には、初期状態から規定状態に至るまでの間(区間Aで示す範囲)は、第1ばね50による第1の反力のみが付与され、規定状態から踏み込み状態に至るまでの間(区間Bで示す範囲)は、第1ばね50による第1の反力に加え、第2ばね43による第2の反力が付与される。よって、第3ペダル40の操作荷重は、実線F3で示すように、踏み込み途中で変化する。具体的には、初期状態から規定状態に至るまでの間(区間Aで示す範囲)は、第1ばね50による第1の反力のみが付与されるので、第3ペダル40の操作荷重は、踏み込み量に伴って直線的に増加する。なお、第1ばね50は、予圧縮されている(与圧されている)ので、第3ペダル40には、その圧縮量に応じた反力が踏み込み操作の開始時点から付与される。そして、規定状態になると、第1ばね50による第1の反力に加え、第2ばね43による第2の反力が付与されるので、第3ペダル40の操作荷重は、初期状態から規定状態に至るまでの間よりも大きな変化率で、踏み込み量に伴って直線的に増加する。この場合、第2ばね43は、予圧縮されている(与圧されている)ので、第3ペダル40には、その圧縮量に応じた反力が規定状態に達した時点から付与される。
【0056】
このように、ペダル装置1では、操作荷重が踏み込み量に応じて段階的に変化する第3ペダル40と、踏み込み量に関わらず一定の第1ペダル20及び第2ペダル30とを共存させて、ペダルの操作感覚に違いを持たせることができる。
【0057】
次に、第1ペダル20、第2ペダル30及び第3ペダル40の踏み込み量と電子鍵盤楽器に出力される電圧値との関係について説明する。電子鍵盤楽器に出力される電圧値は、破線Vで示すように、各ペダル20,30,40の踏み込み量が所定の踏み込み量を超えた場合に、踏み込み量に伴って直線的に増加する。
【0058】
以上説明したように、本実施の形態におけるペダル装置1によれば、踏み込み操作に対抗する第1の反力を第3ペダル40に付与する第1ばね50と、第3ペダル40の踏み込み量が規定量を超えた場合に、その踏み込み操作に対抗する第2の反力を第3ペダル40に付与する第2反力付与機構42とを備えているので、第3ペダル40の操作荷重を踏み込み量に応じて段階的に変化させることができる。よって、アコースティックピアノのダンパーペダルと同様の操作感覚を実現することができる。
【0059】
また、第1ばね50は、第3ペダル40のシャーシ10に支持される支持位置よりも演奏者によって踏み込み操作される操作位置側に配設され、支持位置よりも操作位置側において第1の反力を第3ペダル40に付与すると共に、第2反力付与機構42は、第1ばね50よりも第3ペダル40の操作位置側に配設され、第1ばね50の配設位置よりも操作位置側において第2の反力を第3ペダル40に付与するので、その位置を第3ペダル40の支持位置から遠く且つ操作位置に近くして、第2反力付与機構42に必要な弾性力を小さくできる。これにより、第2反力付与機構42を小型化して、ペダル装置1の小型化を図ることができる。
【0060】
また、第1ばね50の配設位置よりも操作位置側において第2の反力を第3ペダル40に付与することで、第2反力付与機構42を小型化して、その弾性力の精度低下を抑制できる。これにより、第3ペダル40の操作荷重精度を向上させることができる。
【0061】
更に、本実施の形態におけるペダル装置1によれば、第2反力付与機構42は、第1ばね50よりも第3ペダル40の操作位置側に配設されるクッション14に対向して配設され、第3ペダル40の踏み込み量が規定量を超えた場合にクッション14に当接することにより、第3ペダル40の踏み込み操作に伴って圧縮されるので、第2反力付与機構42の寸法精度(第3ペダル40が踏み込み操作される方向の寸法精度)による影響を受け難くして、第2の反力が第3ペダル40に付与されるまでのペダルの踏み込み量(規定量)、いわゆる遊びのばらつきを抑制できる。これにより、製造された個々のペダル装置1に対して、遊びを精度良く設定することができる。
【0062】
次に、図8を参照して、第2実施の形態における電子鍵盤楽器のペダル装置201について説明する。図8は、第2実施の形態における電子鍵盤楽器のペダル装置201の断面図である。なお、図8の矢印U−D,L−R,F−Bは、電子鍵盤楽器のペダル装置201の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。
【0063】
第1実施の形態における電子鍵盤楽器のペダル装置1では、第2反力付与機構42がアクチュエータ41のストッパ部41cに組み込まれていたが、第2実施の形態における電子鍵盤楽器のペダル装置201(以下、単に「ペダル装置201」と称す)では、第2反力付与機構242がシャーシ210に組み込まれている。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
図8に示すように、第2実施の形態におけるペダル装置201は、シャーシ210により本体が形成されている。シャーシ210の開口部12の下方には、組込部216が設けられている。組込部216は、第2反力付与機構242を組み込むための内部空間Rを有し、且つ、上面の中央部が開放した中空状に形成されている。第2反力付与機構242は、第3ペダル40の操作荷重を踏み込み途中で変化させるためのものであり、第2ばね43と可動ストッパー44とにより構成されている。この第2反力付与機構242は、組込部216の内部空間Rに組み込まれ、シャーシ210の下面に取り付けられたプレート217によって保持されている。
【0065】
第2ばね43は、予圧縮されて(与圧されて)プレート217と可動ストッパー44との間で保持されている。可動ストッパー44は、通常、第2ばね43によって付勢されることにより、組込部216の上面から突出されており、第3ペダル40が規定量を超えて踏み込み操作された場合に、第2ばね43を圧縮しつつ組込部216の内部空間Rに進入する。
【0066】
第3ペダル40の下面には、アクチュエータ241が取り付けられている。アクチュエータ241は、第1実施の形態におけるアクチュエータ41に対し、ストッパー部241cの形状が異なり、内部空間Pが省略されている。また、ストッパー部241cの下面には、クッション14が貼付されている。第3ペダル40は、このクッション14を介してシャーシ210の組込部216に当接することにより、下方側への回動が規制され、その下限位置が規制される。これにより、第3ペダル40の踏み込み量が規制される。
【0067】
次に、図9を参照して、第3実施の形態における電子鍵盤楽器のペダル装置301について説明する。図9は、第3実施の形態における電子鍵盤楽器のペダル装置301の断面図である。なお、図9の矢印U−D,L−R,F−Bは、電子鍵盤楽器のペダル装置301の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。
【0068】
第1実施の形態における電子鍵盤楽器のペダル装置1では、第2反力付与機構42が第2ばね43と可動ストッパー44とにより構成されていたが、第3実施の形態における電子鍵盤楽器のペダル装置301(以下、単に「ペダル装置301」と称す)では、第2反力付与機構342が第2ばね343により構成されている。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0069】
図9に示すように、第3実施の形態におけるペダル装置301では、第3ペダル40の下面に、アクチュエータ341が取り付けられている。アクチュエータ341は、第1実施の形態におけるアクチュエータ41に対し、ストッパー部341cの形状が異なる。具体的には、ストッパー部341cは、第2反力付与機構342を組み込むための内部空間Pを有し、且つ、前面および下面が開放した中空状に形成されている。第2反力付与機構342は、第3ペダル40の操作荷重を踏み込み途中で変化させるためのものであり、第2ばね343により構成されている。この第2反力付与機構342は、ストッパー部341cの内部空間Pに組み込まれることにより、アクチュエータ341と一体に第3ペダル40に取り付けられている。
【0070】
第2ばね343は、踏み込み操作に対抗する反力を第3ペダル40に付与するものであり、ステンレス鋼などの金属材料を折り曲げ加工した板ばねにより構成され、予圧縮されて(与圧されて)第3ペダル40とアクチュエータ341のストッパー部341cとの間で保持されている。この第2ばね343は、第3ペダル40が規定量を超えて踏み込み操作された場合に、第3ペダル40の踏み込み操作に伴って圧縮されることにより、その踏み込み操作に対抗する第2の反力を弾性力によって第3ペダル40に付与する。
【0071】
第2ばね343には、凸部343aが設けられている。凸部343aは、第3ペダル40が規定量を超えて踏み込み操作された場合に、クッション14に当接する部位であり、下方側へ凸状に形成されている。この凸部343aは、通常、ストッパー部341cの下面から突出されており、第3ペダル40の踏み込み量が規定量に達した場合に、クッション14に当接すると共に、第3ペダル40が規定量を超えて踏み込み操作された場合に、第2ばね343自体を圧縮しつつストッパー部341cの内部空間Pに進入する。
【0072】
また、第2ばね343には、第2ばね343の下限位置を規制するための規制部343bが設けられている。第2ばね343は、この規制部343bがストッパー部341cの内側底面に当接することにより、下方側への移動が規制され、その下限位置が規制される。この規制部343bの下面には、フェルトや発泡ウレタン等の緩衝材から構成されるクッション345が貼付されている。第2ばね343は、このクッション345を介して規制部343bがストッパー部341cの内側底面に当接することにより、その衝撃が緩和される。これにより、衝撃音を抑制することができる。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態におけるペダル装置301によれば、第2ばね343のみにより第2反力付与機構342が構成されているので、部品点数を低減して、ペダル装置301の小型化を図ることができる。
【0074】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0075】
上記実施の形態で挙げた材質および形状は一例であり、他の材質や形状を採用することは当然可能である。例えば、上記実施の形態では、第1ペダル20、第2ペダル30及び第3ペダル40が真鍮や鉄などの金属材料から長尺の板状に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、ステンレス鋼などの他の金属材料から長尺の板状に形成しても良いし、ABS樹脂やPOM樹脂などの樹脂材料から長尺の板状に形成しても良い。
【0076】
上記実施の形態では、ペダル装置1,201,301が第1ペダル20、第2ペダル30及び第3ペダル40の3本のペダルを備えて構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、第3ペダル40のみを備えて構成しても良く、第1ペダル20又は第2ペダル30と第3ペダル40との2本のペダルを備えて構成しても良い。或いは、第3ペダル40を含む4本以上のペダルを備えて構成しても良い。
【0077】
上記実施の形態では、第1ペダル20及び第2ペダル30がアコースティックピアノのソフトペダル及びソステヌートペダルにそれぞれ相当し、それらソフトペダル及びソステヌートペダルと同様の音響効果を電子鍵盤楽器の楽音に与えるように構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ソフトペダル及びソステヌートペダルに相当する以外の他の音響効果を電子鍵盤楽器の楽音に与えるように構成しても良い。
【0078】
上記実施の形態では、第2の反力を第3ペダル40に付与する第2ばね43がコイル状の圧縮ばねにより構成されると共に第2ばね343が板ばねにより構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、弾性力によって第2の反力を第3ペダル40に付与可能な他の弾性体により第2ばね43,343を構成することは当然可能である。他の弾性体としては、例えば、ゴム状弾性体や樹脂材料から構成される弾性体などが例示される。
【符号の説明】
【0079】
1 電子鍵盤楽器のペダル装置
10 シャーシ
10a 上シャーシ(シャーシの一部)
10b 下シャーシ(シャーシの一部)
14 クッション(規制手段)
20,30,40 ペダル
41 アクチュエータ
41b 伝達部
41c ストッパー部
42 第2反力付与機構(第2反力付与手段)
43 第2ばね(第2反力付与手段の一部)
44 可動ストッパー(第2反力付与手段の一部)
50 第1ばね(第1反力付与手段)
60 センサ
201 電子鍵盤楽器のペダル装置
210 シャーシ
242 第2反力付与機構(第2反力付与手段)
301 電子鍵盤楽器のペダル装置
342 第2反力付与機構(第2反力付与手段)
343 第2ばね(第2反力付与手段の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏者によって踏み込み操作されるペダルと、そのペダルを踏み込み操作に応じて回動可能に支持するシャーシと、前記ペダルの踏み込み操作に対抗する第1の反力を前記ペダルに付与する第1反力付与手段とを備えた電子鍵盤楽器のペダル装置において、
前記ペダルの踏み込み量が規定量に達していない状態で予圧縮されると共に、前記ペダルの踏み込み量が前記規定量を超えた場合に前記ペダルの踏み込み操作に伴って圧縮され、その踏み込み操作に対抗する第2の反力を弾性力によって前記ペダルに付与する第2反力付与手段を備え、
前記第1反力付与手段は、前記ペダルの前記シャーシに支持される支持位置よりも演奏者によって踏み込み操作される操作位置側に配設され、前記支持位置よりも前記操作位置側において前記第1の反力を前記ペダルに付与すると共に、
前記第2反力付与手段は、前記第1反力付与手段よりも前記ペダルの操作位置側に配設され、前記第1反力付与手段の配設位置よりも前記操作位置側において前記第2の反力を前記ペダルに付与することを特徴とする電子鍵盤楽器のペダル装置。
【請求項2】
前記第1反力付与手段よりも前記ペダルの操作位置側に配設されると共に、前記ペダルの回動を規制して前記ペダルの下限位置を規制する規制手段を備え、
前記第2反力付与手段は、前記規制手段に対向して配設され、前記ペダルの踏み込み量が前記規定量を超えた場合に前記規制手段に当接することにより、前記ペダルの踏み込み操作に伴って圧縮されることを特徴とする請求項1記載の電子鍵盤楽器のペダル装置。
【請求項3】
前記ペダルに着脱可能に取り付けられると共に、前記ペダルに取り付けられた状態で前記規制手段に対向して配設されるストッパー部を有するアクチュエータを備え、
前記第2反力付与手段は、前記ストッパー部の内部に組み込まれ、前記アクチュエータと一体に前記ペダルに取り付けられていることを特徴とする請求項2記載の電子鍵盤楽器のペダル装置。
【請求項4】
前記ペダルの回動量に基づいて前記ペダルの踏み込み量を検出するセンサを備え、
そのセンサの検出結果に応じて電子鍵盤楽器に電気信号を出力するように構成され、
前記アクチュエータは、前記ペダルの回動量を前記センサに伝達する伝達部を備えていることを特徴とする請求項3記載の電子鍵盤楽器のペダル装置。
【請求項5】
前記ペダルを複数備え、
それら複数のペダルの内の少なくとも1のペダルに対応して前記第2反力付与手段を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子鍵盤楽器のペダル装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−180511(P2011−180511A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46624(P2010−46624)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000116068)ローランド株式会社 (175)
【Fターム(参考)】