説明

電子黒板システム及びプログラム

【課題】カメラや遮光板の取り付け位置の微調整作業を行わなくても、背景板の画像だけを常に取得可能とし、座標指示物の座標を正確に計算できる電子黒板システムを提供する。
【解決手段】表示面に対する座標指示物の接触位置又は表示面の手前側に設定された検出面に対する座標指示物の操作位置を、表示面上の2次元座標として検出できる電子黒板システムにおいて、遮光板を用いずに撮像された画像内から背景板の領域だけを自動的に識別し、識別された領域の画像だけを用いて座標指示物の座標を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示面に対する座標指示物の接触位置又は表示面の手前側に設定された検出面に対する座標指示物の操作位置を、表示面上の2次元座標として検出できる電子黒板システムと当該システムを構成するコンピュータ上で実行されるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子黒板システムは、表示装置又は投影装置と、それらの表示面に対する座標指示物の操作入力を検出する座標検出装置と、検出された操作入力に基づく描画処理やシステム全体の動作を制御するコンピュータとで構成されている。
【0003】
座標検出装置は、検出位置を表示画面上の2次元座標として出力する。コンピュータは、座標検出装置の2次元座標をコンピュータ操作画面上の2次元座標に変換し、予め指定された色と太さを有するオブジェクトとしてコンピュータ操作画面上に描画する。このコンピュータ操作画面が、表示装置又は投影装置の表示面として利用者に提供される。
【0004】
電子黒板システムは、この座標検出装置による座標の検出からコンピュータ操作画面上の描画までの処理を毎秒何十回も繰り返すことで、座標指示物の操作者がコンピュータ操作画面上に文字や図形をあたかも直接筆記したかのような体験を利用者に提供することができる。また、電子黒板システムが座標指示物による操作入力をコンピュータに接続したマウスの操作と同等に扱う機能に対応している場合には、表示面に対する座標指示物の操作入力を通じてコンピュータを操作することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−67183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電子黒板システムに使われる座標検出装置の座標検出方式には、所定の又は任意の座標指示物が表示面から数センチメートルの範囲に設定された仮想の検出面に侵入した位置(操作位置)を光学的に検出するものがある。
【0007】
例えば特許文献1には、表示面の上方両端にカラー2次元撮像素子と検出面全体を撮影可能な画角を有するレンズで構成されるカメラを備えた座標検出装置が開示されている。この座標検出装置は、(1)座標指示物が検出面にない時に予め左右2つのカメラで撮影した基準画像と、その後に両カメラで検出面を撮影した最新画像との差分を左右各画像について算出する処理と、(2)座標指示物が検出面にある場合には、差分画像に残るシルエットの位置から左右2つのカメラからの各方角を求めると共に、予め測定済みのカメラ間の距離を用いて三角測量の要領で表示面における座標指示物の座標を計算する処理を実行する。また、外乱光等によるノイズの発生を減少させるため、表示面の上部を除く周縁部には視野を狭くするための背景板が配置されること、撮影領域を検出面に限定するために縦長の切欠(スリット)を有する遮光板が左右2つのカメラの撮像面前方に取り付けられていることが開示されている。これら背景板と遮光板により、左右2つのカメラは、座標指示物がなければ背景板だけを撮影する。
【0008】
ところが、実用的な電子黒板のサイズになると(例えば表示面のアスペクト比が4:3や16:9であり、かつ、対角線長が数十インチ程度以上になると)、特許文献1の座標検出装置では、温度変化や経年変化に伴う筺体の歪み等の影響でカメラの撮影範囲を背景板だけに限定し続けることが難しくなる。具体的には、表示面や背景板の外側にある景色が撮像範囲に写り込むようになる。この不都合の修正には、ユーザやサポートスタッフによるカメラや遮光板の取り付け位置の微調整作業が必要となる。
【0009】
そこで、本発明は、カメラや遮光板の取り付け位置の微調整作業を行わなくても、背景板の画像だけを常に取得可能とし、座標指示物の座標を正確に計算できる電子黒板システム及び当該システムを実現するプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、遮光版を用いずに撮像された画像内から背景板の領域だけを自動的に識別し、識別された領域の画像だけを用いて座標指示物の座標を検出する仕組みを提案する。より具体的には、本発明者は、電子黒板システムとして、以下に示す手段を有するものを提案する。
(a) 所定の背景板を外周に有する表示面上に座標指示物の接触位置を指示する表示面指示標的を1つ以上含む表示面指定画面を表示する表示面指定画面表示制御手段
(b) 前記表示面の上空近傍の検出面に挿入された座標指示物を撮像する1つ以上の撮像手段
(c) 前記検出面に座標指示物が挿入されていない時に前記撮像手段で撮像された基準画像と、前記検出面に座標指示物が挿入されている時に前記撮像手段で撮像された標的画像とから、前記撮像手段の撮像画像内における前記表示面指示標的に対応する標的座標を検出する標的座標検出手段
(d) 前記基準画像のエッジを抽出した第1エッジ画像を生成する第1エッジ画像生成手段
(e) 前記第1エッジ画像内において、近接平行するエッジを合成してエッジ合成領域を生成すると共に、前記標的座標に対して第1の相対位置関係を満たさないエッジを除去してエッジ合成除去画像を生成するエッジ合成除去画像生成手段
(f) 前記エッジ合成除去画像のエッジを抽出した第2エッジ画像を生成する第2エッジ画像生成手段
(g) 前記第2エッジ画像内において、前記標的座標に対して第2の相対位置関係を満たすエッジを前記背景板の輪郭に相当する背景板領域として抽出する背景板領域抽出手段
【0011】
また、本発明者は、電子黒板システムを構成するコンピュータを、以下に示す手段として機能させるプログラムを提案する。
(a) 所定の背景板を外周に有する表示面上に、座標指示物の接触位置を指示する表示面指示標的を1つ以上含む表示面指定画面を表示する表示面指定画面表示制御手段
(b) 前記表示面の上空近傍の検出面に挿入された座標指示物を撮像する1つ以上の撮像手段を制御する制御手段
(c) 前記検出面に座標指示物が挿入されていない時に前記撮像手段で撮像された基準画像と、前記検出面に座標指示物が挿入されている時に前記撮像手段で撮像された標的画像とから、前記撮像手段の撮像画像内における前記表示面指示標的に対応する標的座標を検出する標的座標検出手段
(d) 前記基準画像のエッジを抽出した第1エッジ画像を生成する第1エッジ画像生成手段
(e) 前記第1エッジ画像内において、近接平行するエッジを合成してエッジ合成領域を生成すると共に、前記標的座標に対して第1の相対位置関係を満たさないエッジを除去してエッジ合成除去画像を生成するエッジ合成除去画像生成手段
(f) 前記エッジ合成除去画像のエッジを抽出した第2エッジ画像を生成する第2エッジ画像生成手段
(g) 前記第2エッジ画像内において、前記標的座標に対して第2の相対位置関係を満たすエッジを前記背景板の輪郭に相当する背景板領域として抽出する背景板領域抽出手段
【発明の効果】
【0012】
本発明の採用により、撮像範囲を制限する遮光板を不要にできるだけでなく、カメラの取り付け位置等の微調整作業を行わなくても、座標指示物の座標を正確に計算できる電子黒板システムを実現することができる。なお、上述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】電子黒板周辺の機器配置例を説明する図。
【図2】コンピュータと周辺機器との接続例を説明する図。
【図3】背景板領域抽出機能部の処理手順を示す図。
【図4】表示面指定画面の一例を示す図。
【図5】全体画像の一例を示す図。
【図6】第1エッジ画像の一例を示す図。
【図7】エッジ合成除去画像の一例を示す図。
【図8】第2エッジ画像で背景板領域の境界線を関数で近似する方法の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、発明の実施例を説明する。なお、後述する電子黒板システムはいずれも説明のための一例であり、発明の実施形態は、後述する実施例に限定されるものでない。また、本発明は、後述する電子黒板システムの全ての機能を組み合わせる場合だけでなく、一部の機能のみを搭載する場合、既知の技術を追加する場合、一部機能を既知の技術との置換する場合など、様々な実施形態を含み得る。また、以下の実施例では、各種の処理機能がコンピュータ上で実行されるプログラムとして提供されるものとして説明するが、当該処理機能の一部又は全部を、ハードウェアを通じて実現しても良い。
【0015】
(電子黒板の構成)
図1に、電子黒板100の実施例を示す。なお、図1に示す電子黒板100は、光学式の座標検出方式を採用する場合について表している。この例では、赤外光を使用する。また、図1に示す電子黒板100は、画像の表示にプロジェクタを使用している。すなわち、光学式の座標検出機能とプロジェクション方式の画像表示機能を組み合わせた電子黒板システムについて説明する。
【0016】
電子黒板100は、平板状の電子黒板筐体(ボード101)に、カメラA103、カメラB104、背景板105を取り付けた構成を有している。これらの付属物は、いずれもボード101の外周部分に配置される。なお、ボード101の中央部分は、プロジェクタ210(図2)からの投影光が投影される表示面102として用いられる。勿論、画像の表示にフラットパネルディスプレイを使用する場合には、表示面102はディスプレイの表示領域と一致する。
【0017】
カメラA103、カメラB104、背景板105は、座標検出装置のハードウェア部分を構成する。この実施例の場合、カメラA103はボード101の左上隅に配置し、カメラB104はボード101の右上隅に配置する。画角が約90°のカメラを使用するためである。従って、左上隅に配置されるカメラA103は、表示面102の下辺と右辺側に位置する背景板105を撮像し、右上隅に配置されるカメラB104は、表示面102の下辺と左辺側に位置する背景板105を撮像する。
【0018】
なお、画角が90°より大きい(例えば約180°)カメラを使用できる場合には、カメラA103及びカメラB104は、表示面102の左右両端よりも内側位置に(水平方向の辺長よりも短い間隔だけ離した位置に)配置することができる。
【0019】
背景板105は、矩形形状を有するボード101の左辺、右辺、下辺の3辺に沿うように、ボード101の表面に対して垂直に設置される。背景板105は、カメラA103及びカメラB104が座標指示物を撮像する際に座標指示物の背景として撮像されるだけの十分な幅を有する。なお、カメラA103及びカメラB104によって撮像される背景板105の表面は、無地の無彩色又は無彩色のみで構成される縞模様若しくは格子模様であることが好ましい。
【0020】
また、当該表面には、例えば再帰性の反射特性を有するテープ状の部材を配置する。再帰性の反射部材を背景板105の表面に沿って配置することにより、カメラ側から背景板105の表面に入射された光(例えば赤外光)は、その入射角の違いに関わらず、いずれも入射角と平行な方向に反射する。このため、背景板105の表面は明画像として撮像され、背景板105の表面を横切る座標指示物(人の指、手、ペン、スタイラス(指示棒)等)は影として撮像される。
【0021】
カメラA103及びカメラB104は、表示面102の上空近傍に接近又は表示面102に接触した座標指示物の検出と、検出された座標指示物の表示面上の位置を特定する2次元座標の検出に用いられる。カメラA103及びカメラB104は、PC200(図2)からの指示に基づいて背景板105を撮像する。この実施例に係るカメラA103及びカメラB104の特徴として、その撮像面の前方には撮像を妨げるスリットは配置されていない。このため、後述するように、カメラA103及びカメラB104の撮像画面には背景板105だけでなく、その周辺に位置する全ての物体が撮像される。
【0022】
なお、カメラA103及びカメラB104からPC200(図2)への撮像画像の出力はデジタル信号であることが望ましい。PC200(図2)の信号処理はデジタル信号について実行されるためである。もっとも、PC200(図2)の側でアナログ信号形式の画像信号をデジタル信号形式の画像信号に変換できる機能が搭載されている場合にはアナログ信号による出力でも問題はない。また、カメラの撮像素子は上記条件を満たす限りCMOSやCCD、あるいはその他の撮像素子であっても良い。さらに、カメラA103及びカメラB104は、表示面102を撮像可能な画角のレンズを有する。なお、カメラA103及びカメラB104は、単一のカメラに限らず、画角の小さいカメラの集合体でも良い。
【0023】
座標指示物の座標の検出は概ね次のように行われる。まず、カメラA103及びカメラB104は、PC200(図2)からの指示に基づき左基準画像、右基準画像をそれぞれ撮像する。なお、基準画像の取得時には、撮像領域内に座標指示物が存在しないことが必須である。撮像された基準画像は、新たな基準画像が撮像されるまでRAM203(図2)に一時保存される。
【0024】
続いて、カメラA103及びカメラB104は、PC200(図2)からの定期的な指示に基づいて左最新画像、右最新画像をそれぞれ撮像する。次にPC200(図2)は、左基準画像と左最新画像の各ピクセルの値の差分から左差分画像を生成する。同様に、PC200は、右基準画像と右最新画像の各ピクセルの差分から右差分画像を生成する。
【0025】
左右の最新画像を撮像する際、表示面102の上空近傍に座標指示物が存在すると、そのシルエットが左差分画像及び右差分画像に残る。PC200は、当該シルエットの位置を検出し、当該検出位置と各カメラの取り付け位置との角度情報を検出する。この後、PC200は、検出された角度情報とカメラ間の距離との関係に基づいて、表示面102上における座標指示物の座標を三角測量の原理に従って計算する。
【0026】
座標の計算に使用する差分画像には、光環境のわずかな揺らぎも影響しないことが座標値の安定性の観点からも誤検出を避ける上でも必要である。従って、差分画像には、基準画像と最新画像との単純な差分を用いるのでなく、一定値(閾値)以上の差分成分だけを差分画像として取り出すことが望ましい。
【0027】
また、左右の各基準画像は周囲の光環境の変化に適応するため、随時更新することが望ましい。例えば左右の各差分画像にシルエットが残っていない場合(PC200によってシルエットが残っていないとPC200によって検出された場合)には、左右の各最新画像を既存の基準画像と置き換えても良い。あるいは、左右の各差分画像にシルエットが残っていない場合(PC200によってシルエットが残っていないとPC200によって検出された場合)、直近の複数の最新画像について各ピクセルの平均値を算出し、当該平均値で構成される画像を基準画像として用いても良い。
【0028】
なお、本実施例の場合、前述した基準画像や最新画像等は、カメラA103及びカメラB104で撮像した画像全体の意味ではなく、後述する背景板領域抽出機能によって抽出される背景板領域(基準画像等から切り出された部分画像領域)に対応する部分画像の意味で使用する。
【0029】
(コンピュータの内部構成)
図2に、電子黒板100に接続するPC200の内部構成と周辺装置との接続を示す。PC200は、CPU201、ROM202、RAM203、HDD204、ビデオカード205、ディスプレイインターフェース(I/F)206、外部インターフェース(I/F)207、内部バス208で構成される。
【0030】
CPU201は、BIOSプログラム、OS、電子黒板プログラム(座標位置検出機能だけでなく、後述する背景板領域抽出機能も含む。)を実行する演算装置である。ROM202は、PC200の起動時の動作手順及びPC200の内部及び外部の各ハードウェアの基本的な制御手順であるBIOSプログラムを記録する領域である。RAM203は、BIOSプログラム、OS、電子黒板プログラム、その他のプログラム、カメラA103、カメラB104で撮像された画像、それらの処理結果等を一時的に記憶する領域である。HDD204は、OSや電子黒板プログラムを記録する領域である。ビデオカード205は、表示用データを演算して一時的に蓄積し、表示装置(図2においては、プロジェクタ210)に出力する装置である。ディスプレイI/F206は、ビデオカード205と表示装置を接続するインターフェースである。外部I/F207は、電子黒板100を構成する各種の装置とPC200を接続するインターフェースである。内部バス208は、201〜207間におけるデータのやり取りに使用される。
【0031】
PC200では、次のように動作が実行される。CPU201は、PC200の電源が投入されると、ROM202から読み込んだBIOSプログラムを読み込み実行する。続いて、CPU201は、HDD204からOSと電子黒板プログラムをRAM203にコピーし、順次実行する。CPU201は、BIOSプログラム、OS、電子黒板プログラムに含まれる表示装置への出力命令を実行すると、ビデオカード205に描画命令と描画データを送り込む。ビデオカード205は、描画命令に基づいて描画データを演算し、演算結果を表示用データとして一時的に蓄積した後、ディスプレイI/F206に接続された表示装置に表示用データとして送信し表示させる。CPU201は、BIOSプログラム、OS、電子黒板プログラムに含まれる電子黒板100の操作命令を実行すると、外部I/F207を介して所定の指示を電子黒板100へ送り、その指示の処理結果を受け取ってRAM203に一時的に記憶させる。
【0032】
表示装置としてのプロジェクタ210は、ディスプレイケーブル209を介してPC200に接続されており、当該ケーブルを通じてPC200から送られた表示用データを電子黒板100の表示面102に投影する。
【0033】
電子黒板100を構成するカメラA103、カメラB104は、接続ケーブル211を介してPC200に接続されており、当該ケーブルを通じてCPU201から送られた所定の指示に基づいて撮像等の処理を行い、その処理結果を送り返す。
【0034】
(プログラム)
BIOSプログラムには、PC200の起動時の動作手順、PC200の内部・外部の各ハードウェアの基本的な制御手順が記述されている。OSは、PC200のオペレーティングシステムであり、PC200の内部・外部の各ハードウェアを抽象化し、アプリケーションプログラムからの指示に基づいて各ハードウェアを操作する。例えばOSは、プロジェクタ210に表示用データを投影させたり、電子黒板100のカメラA103及びカメラB104に画像を撮像させたり、撮像された画像を受け取ったりする。
【0035】
電子黒板プログラムは、OS上で動作するアプリケーションプログラムであり、カメラA103及びカメラB104が撮像した画像から背景板105が写る部分領域を抽出する処理(背景板領域抽出機能)、左右一対のカメラにより撮像される基準画像と最新画像の各差分画像から座標指示物の指示座標を計算する処理(座標位置検出機能)等を実行する。
【0036】
(背景板領域抽出機能)
ここでは、電子黒板100を使用する前(座標指示物による操作入力を開始する前。すなわち、座標指示物の座標検出を開始する前)に実行して好適な背景板領域抽出機能について説明する。当該機能は、座標指示物の座標を正確に検出するためのキャリブレーションに対応する。なお、当該機能の実行は、電子黒板100の毎使用開始時(例えば電源投入時)が望ましいが、数回に1回の割合、1日の最初の使用前、数日に1回の割合、午前の最初の使用前と午後の最初の使用前等に実行しても良い。
【0037】
前述の通り、本実施例で使用するカメラA103及びカメラB104の場合、その撮像画像は、遮光板(スリット)等により撮像視野が制限されていない。このため、各撮像画面には、背景板105だけでなく、ボード101(表示面102を含む)や床も同じフレーム内に撮像される。そこで、背景板領域抽出機能を実行し、カメラA103及びカメラB104で撮像した画像から基本的に背景板105だけが写った領域部分を自動的に抽出可能とし、ユーザやサポートスタッフによるカメラや遮光板(スリット)の取り付け位置の微調整を不要にする。
【0038】
図3に、当該背景板領域抽出機能を実現するプログラムの処理手順の概要を示す。本プログラムは、電子黒板プログラムの起動時に自動的に、予め定めた条件を満たすタイミングで自動的に、又は電子黒板システムの使用者の要求により開始される。
【0039】
なお、以下の説明では、カメラA103の撮像画像(全体画像)に含まれる背景板領域(背景板105の画像領域)を抽出する場合について説明するが、カメラA104の撮影画像(全体画像)に含まれる背景板領域(背景板105の画像領域)を抽出する場合にも同じ処理手順を適用できる。
【0040】
ステップ301において、背景板領域抽出機能部(CPU201)は、プロジェクタ210に表示面指定画面を表示面102に表示させると共に、カメラA103に撮像指示を出し、その撮像画像を受け取る。このステップ301において、背景板領域抽出機能部(CPU201)は、表示面指定画面表示制御部及び表示面指示標的座標検出部として動作する。
【0041】
まず、表示面指定画面表示制御部としての機能を説明する。表示面指定画面は、背景板領域の特定を容易にするために用意された基本的に全面白色の画面である。もっとも、表示面102内には、ユーザ又はサポートスタッフに特定位置を座標指示物で指示させるための表示面指示標的が1つ以上配置されている。
【0042】
なお、全面白色の画面(画面全体が一定値以上の同一の光度又は照度を有する画面)を表示するのは、電子黒板100の使用環境によっては、表示面102の一部分に外光が映り込み、撮像画面に輝度ムラが発生する可能性があるためである。輝度ムラは、背景板105のエッジと誤検出されるおそれがある。従って、ここでの光度又は照度は、少なくとも任意の外光が存在しても写り込みによる擬似エッジを撮像画面内から消去可能な値に設定する。
【0043】
また、表示面指示標的は、画像処理において、撮像画面に含まれるエッジ情報のうち背景板105に対応するエッジとその他のエッジとの識別を容易にするために、すなわち表示面102と背景板105の境界の識別を容易にするために表示される。図4に、表示面指定画面の表示例を示す。図4に示す表示面指定画面の場合には、その四隅付近に各1つ(計4つ)の表示面指示標的を配置している。なお、表示面指示標的は、表示面指定画面上の任意の位置に1つだけ、2つだけ、3つだけ、5つ以上配置されても良い。好ましくは、背景板105が設置される各辺に付き1つの表示面指示標的を配置する。さらに好ましくは、背景板105が設置される各辺に付き2つの表示面指示標的を配置する。
【0044】
次に、表示面指示標的座標検出部としての機能を説明する。背景板領域抽出機能部(CPU201)は、表示面指定画面の表示直後に、カメラA103に対して撮像指示を出力する。その結果、背景板領域抽出機能部(CPU201)は、カメラA103から撮影画像(以下、「全体画像」という。)を取得する。
【0045】
同様に、背景板領域抽出機能部(CPU201)は、電子黒板100の操作者に対し、表示面指定画面に表示された表示面指示標的を座標指示物で指し示すように通知する。例えば表示面指定画面上に、これから画面表示される表示面指示標的を座標指示物で指し示すように指示文を表示する。なお、操作に慣れた上級者向け用として、当該指示文の表示を省略し、すぐさま表示面指示標的を表示する機能を用意しても良い。
【0046】
表示面指定画面が表示面102に表示されている間も、背景板領域抽出機能部(CPU201)は撮像指示を出力し、カメラA103から撮影画像(以下、「標的画像」という。)を取得する。
【0047】
なお、表示面指示標的を複数表示する場合、背景板領域抽出機能部(CPU201)は、表示面指示標的を1つずつ画面上に表示する。例えば図4の場合、背景板領域抽出機能部(CPU201)は、表示面指示標的1を表示し、次に、表示面指示標的2を表示し、次に、表示面指示標的3を表示し、次に、表示面指示標的4を表示する。また、背景板領域抽出機能部(CPU201)は、新たな表示面指示標的が画面上に表示されるたびに撮像指示を出力し、各表示面指示標的に対応する標的画像を順次取得する。
【0048】
この後、背景板領域抽出機能部(CPU201)は全体画像を基準画像とし、当該基準画像と各標的画像との差画像から全体画像上における表示面指示標的の座標位置を取得する。ここでの座標位置は、カメラA103により撮像される画像及びこれから生成される画像(全体画像、標的画像、差画像、第1エッジ画像、エッジ合成除去画像、第2エッジ画像)内における各表示面指示標的の座標位置として用いられる。勿論、カメラB104についても、同様に、全体画像上における表示面指示標的の座標位置が取得され、カメラB104によって撮像される画像及びこれから生成される画像内における各表示面指示標的の座標位置として用いられる。
【0049】
図5に、カメラA103によって撮像される全体画像の例を示す。図5の画像中央において縦方向に延伸する屈曲した細長い領域が、表示面102の右辺と下辺に位置する背景板105に対応する。領域が屈曲しているのは、2つの背景板105が形成する面からオフセットした位置から撮像しているためである。また、領域幅が太い部分はカメラA103に近い領域であることを意味し、領域幅が狭い部分はカメラA103から遠く離れた領域であることを意味する。すなわち、遠近効果の影響である。
【0050】
この他、図5に示す全体画像には、電子黒板筺体(ボード101)と表示面102が背景板105に対応する領域の左側に撮像され、床106が背景板105に対応する領域の右側に撮像される。
【0051】
背景板105に対応する領域のうち画像上方で若干細く縊れている部分は、電子黒板100の右下隅に対応するためである。電子黒板100の右下隅は、カメラA103から一番遠い場所に当たるためである。
【0052】
図5においては、説明を簡単にするため、背景板105に対応する領域の右側に床106だけが写っている例を表している。しかし、実際の撮像画面には、床106以外にも、人、物、壁、窓等が写り込むことがある。また、図5の例では、表示面102、背景板105、ボード101、床106の各境界が直線となるように描いているが、実際にはカメラA103に付属するレンズの歪み等の影響で若干弓なり(すなわち、弧線として)に撮像される。
【0053】
なお、以降の説明の便宜上、カメラA103で撮像する画像およびこれから生成される画像(全体画像、標的画像、差画像、第1エッジ画像、エッジ合成除去画像、第2エッジ画像)は、いずれも図中の左上隅を座標原点とし、右方向をx軸方向とし、下方向をy軸方向とする。
【0054】
続く、ステップ302において、背景板領域抽出機能部(CPU201)は、全体画像から第1エッジ画像を作成する。この機能を、本明細書では、第1エッジ画像生成部と呼ぶ。ここでの第1エッジ画像は、全体画像から変化量が大きい画像データだけを抽出した画像に当たる。すなわち、第1エッジ画像は、全体画像の各ピクセルについて、一定範囲の周囲に隣接するピクセルからの明度の変化量(一次微分値)をx軸方向またはy軸方向のいずれかに計算した値、あるいはそれらを合成した値が、所定の閾値以上であるピクセルの値を1、それ以外のピクセルの値を0とした二値画像に当たる。
【0055】
エッジの検出には、例えばCannyエッジ検出器やHough変換器等を使用する。もっとも、エッジの検出に用いる方法は任意であり、これらの検出器や変換器に限らない。図6に、第1エッジ画像の例を示す。図6の場合、画像中央には、縦方向に複数のエッジがほぼ平行に走っている。これらのエッジは、表示面102と背景板105との隙間や、背景板105とその構造を裏側から支える電子黒板筺体(ボード101)の境界、背景板105の表示面102への写り込み等で生じたものである。
【0056】
図6に示す第1エッジ画像のうち左半分の領域に斜めに延びる2本のエッジは、電子黒板筺体(ボード101)と表示面102の境界によって生じたものである。第1エッジ画像のうち中央部の矩形状領域は、白色光が投影された表示面102を撮像した領域なのでエッジは抽出されない。なお、画像右側に床以外のものが写り込んでいれば、この領域には様々なエッジが抽出される。
【0057】
ステップ303において、背景板領域抽出機能部(CPU201)は、画像処理により、第1エッジ画像に含まれる平行エッジを一つにまとめ、エッジ合成領域として取り扱い可能とする。すなわち、エッジの合成と除去を実行する。この際、背景板領域抽出機能部(CPU201)は、エッジ合成除去画像生成部として動作する。
【0058】
ここで、エッジの合成と除去には、エッジ同士の隙間を埋めるモルフォロジー変換処理(膨張処理、収縮処理又はそれらの組み合わせ処理等)やエッジで囲まれた領域を特定するフラッドフィル処理等を使用する。もっとも、これらは一例であり、他の任意の手法を用いることができる。
【0059】
また、背景板領域抽出機能部(CPU201)は、第1エッジ画像内の表示面指示標的の座標よりもx軸の負の方向に延びるエッジを除去する。これにより、電子黒板筺体(ボード101)と表示面102の境界部分に生じたエッジを取り除くことができる。図7に、エッジの合成処理と除去処理を実行した後の画像(エッジ合成除去画像)の一例を示す。図7のうち画面中央の灰色に着色した領域がエッジの合成処理で得られた領域である。図7の場合には、背景板105に対応する領域だけが残っている。ただし、全体画像中に床以外の物体、例えば人、物、壁、窓等が写り込んでいる場合、エッジ合成除去画像の右半分にはそれらから生じたエッジ合成領域がこの時点でも残っている。
【0060】
そこで、ステップ304において、背景板領域抽出機能部(CPU201)は、背景板領域に対応する境界線だけをエッジ合成除去画像から抽出する処理を実行する。ここで、背景板領域抽出機能部(CPU201)は、第2エッジ画像生成部及び背景板領域抽出部として動作する。
【0061】
まず、第2エッジ画像生成部としての機能を説明する。このとき、背景板領域抽出機能部(CPU201)は、ステップ302と同様のエッジ検出処理を適用し、エッジ合成領域に含まれるエッジ成分の画像(第2エッジ画像)を作成する。すなわち、エッジ合成除去画像から変化量が大きいエッジだけを抽出する。
【0062】
次に、背景板領域抽出部としての機能を説明する。このとき、背景板領域抽出機能部(CPU201)は、背景板105が表示面指示標的の座標よりも右側(x軸座標が大きい側)に存在することが自明であることを利用し、背景板105に対応するエッジだけを効率良く抽出する。すなわち、表示面指示標的の座標と背景板105に対応するエッジの相対的な位置関係に基づいて、背景板105に対応するエッジだけを抽出する。
【0063】
具体的には、第2エッジ画像における表示面指示標的の座標を起点としてx軸の正方向に進んだ際に1番目に出会うエッジと2番目に出会うエッジを、背景板105に対応する領域の左右の境界線とする。また、これら2つの境界線と第2エッジ画像の上下端で挟まれた領域を背景板領域とみなす。
【0064】
このエッジ選択方法の適用により、床106の撮像領域に人、物、壁、窓等が写り込み、エッジ合成除去画像の右側半分にそれらに対応するエッジ合成領域が残っている場合でも、背景板領域の境界線だけを確実に選択することができる。
【0065】
なお、実際のエッジ合成領域の境界線は、一般に複数のエッジの合成で形成されている。すなわち、境界線は、単純な直線になっていないことも多い。具体的には、境界線は、複数の線分の集まりとして構成される場合が多い。この場合、1つの表示面指示標的から放射状にx軸の正方向に進んだ際に1番目に出会うエッジと2番目に出会うエッジを抽出する方法、背景板105の各辺に平行になるように配置される2つの表示面指示標的を結ぶ仮想線を分割し、分割点からx軸の正方向に進んだ際に1番目に出会うエッジと2番目に出会うエッジを抽出する方法等の処理が必要となる。ただし、これらの方法は、エッジを構成する線分が多い場合、画像処理の演算量が多くなる。なお、レンズ歪みの影響等により、境界線を構成する線分は、一直線ではなく弓なりの弧線となる場合もある。
【0066】
そこで、本発明者は、背景板領域の境界線を与えるエッジを効率的に検出できる手法として、以下の処理内容を提案する。具体的には、多数の線分で構成されるエッジを関数に近似し、画像処理の効率化を実現する方法を提案する。ここでは、近似方法の一例として、境界線を直線に近似する場合について説明する。
【0067】
図8に、第2エッジ画像の例を示す。図8の場合、画像中央の縦線2本がエッジ合成領域を構成する境界線である。図8では、説明を簡単にするため、背景板105に対応する境界線のみを表しているが、床以外の物体の映り込みがある場合には第2エッジ画像の右半分側にその他の境界線も存在することは既に述べた通りである。
【0068】
直線近似法を適用する場合、背景板領域抽出機能部(CPU201)は、第2エッジ画像上で表示面指示標的2と表示面指示標的4の座標間を結ぶ線分を等分に分割する分割点の各座標を算出する。次に、背景板領域抽出機能部(CPU201)は、各分割点からx軸の正方向(図8の右方向)に進み、1番目に出会うエッジとの交点の座標と2番目に出会うエッジとの交点の座標を検出する。次に、背景板領域抽出機能部(CPU201)は、1番目に出会うエッジとの交点の座標だけを集め、それらの近傍を通る近似直線を最小二乗法により求める。例えば図8の左下側の背景板領域の境界線は、y=ax+bで与えられる一次式として求められる。同様に、2番目に出会うエッジとの交点の座標だけを集め、それらの近傍を通る近似直線を最小二乗法により求めると、同右下側の境界線を得ることができる。
【0069】
表示面指示標的3と表示面指示標的4についても同様の手順を実行すると、同左上側と右上側の境界線を得ることができる。なお、表示面指示標的を結ぶ線分の等分数は幾つでも良く、図8に例示したものに限らない。また、境界線の近似方法は、ここで挙げた最小二乗法以外の手法でも良く、一次式以外の関数に近似しても良い。
【0070】
なお、第2エッジ画像に含まれるエッジ合成領域の幅が途中で大きく変化したり、又はエッジ合成領域が分断されていたりすると、近似に用いる交点の座標が他の座標より大きくずれてしまう。この場合でも、境界線の近似後に各交点との差異を検証し、大きくずれている座標を除外したうえで境界線の再近似を行えば、本来の背景板105の輪郭に近い背景板領域の境界線を得ることができる。
【0071】
ところで、前述した方法で抽出した背景板領域は、背景板105の表示面102等への写り込み等により、本来の背景板領域より幅が広がっている可能性がある。そのような検出結果が想定される場合には、前述した方法で抽出された背景板領域の幅の数分の1を両側又は一方から削って最終的な背景板領域として扱っても良い。
【0072】
また、背景板領域の幅が一定のほうが画像処理の効率が良いので、表示面指示標的からx軸方向に進んで1番目に出会ったエッジのみを抽出し、当該エッジ又は更に近似した境界線からx軸の正方向に一定の幅を取った領域を背景板領域とみなしても良い。
【0073】
同様に、表示面指示標的からx軸の正方向に進んで2番目に出会ったエッジのみを抽出し、当該エッジ又は更に近似した境界線からx軸の負方向に一定の幅を取った領域を背景板領域とみなしても良い。
【0074】
(座標検出機能)
前述した背景板領域抽出機能の実行により、カメラA103及びカメラB104の撮像画面のうち背景板105に対応する領域(背景板領域)が抽出されると、座標指示物による指示された画面上の座標が三角測量の原理を用いて検出される。ここでは、本実施例における座標検出処理の概要を説明する。
【0075】
まず、CPU201は、検出面に座標指示物が存在しない状態で、カメラA103及びカメラB104で撮像された全体画像から前述した背景板領域抽出部によって確定された背景板領域の画像を基準画像として切り出す。このとき、CPU201は、基準画像記憶制御部として機能する。カメラA103に対応する基準画像は左基準画像として、カメラB104に対応する基準画像は右基準画像としてRAM203の基準画像記憶領域に保存される。なお、背景板領域を与える情報は、RAM203に格納されている。
【0076】
次に、CPU201は、検出面に座標指示物が挿入された状態で、カメラA103及びカメラB104で撮像された全体画像から前述した背景板領域抽出部によって確定された背景板領域の画像を最新画像として切り出す。このとき、CPU201は、座標指示物画像記憶として機能する。カメラA103に対応する最新画像は左座標指示物画像として、カメラB104に対応する最新画像は右座標指示物画像としてRAM203の座標指示物画像領域に保存される。
【0077】
次に、CPU201は、各座標指示物画像と対応する基準画像との差分画像から座標指示物だけを被写体として抽出する。すなわち、CPU201は、被写体抽出部として機能する。
【0078】
続いて、CPU201は、抽出された被写体の左右一対の座標指示物画像内における位置情報に基づいて座標指示物の表示面上における座標を検出(算出)する。すなわち、CPU201は、座標検出部として機能する。この際、左右一対の座標指示物画像には、被写体である座標指示物画像だけが含まれるため、常に正確な座標の検出(算出)が可能となる。
【0079】
(まとめ)
以上説明したように、実施例に係る電子黒板システムにおいては、背景板領域抽出処理を電子黒板100の使用前に実行する。これにより、カメラA103及びカメラB104で撮像された全体画像から背景板105に対応する背景板領域だけを自動的に抽出することができる。当該抽出された背景板領域又は更に画像処理して長方形に整形した背景板領域を用いれば、温度変化や経年変化等により電子黒板筺体(ボード101)が変形した場合やカメラの取り付け位置が多少ずれた場合にも、ユーザ等によるカメラ等の取り付けの微調整無しに、座標指示物の座標を正確に検出可能とする背景板領域の自動抽出を実現できる。
【0080】
また、当該背景板領域の自動抽出機能を搭載することにより、従来に比して少ない負担で、常に正確な座標検出を実現できる。
【符号の説明】
【0081】
100…電子黒板、101…ボード、102…表示面、103…カメラA、104…カメラB、105…背景板、106…床、200…PC、201…CPU、202…ROM、203…RAM、204…HDD、205…ビデオカード、206…ディスプレイI/F、207…外部I/F、208…内部バス、209…ディスプレイケーブル、210…プロジェクタ、211…接続ケーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の背景板を外周に有する表示面上に、座標指示物の接触位置を指示する表示面指示標的を1つ以上含む表示面指定画面を表示する表示面指定画面表示制御手段と、
前記表示面の上空近傍の検出面に挿入された座標指示物を撮像する1つ以上の撮像手段と、
前記検出面に座標指示物が挿入されていない時に前記撮像手段で撮像された基準画像と、前記検出面に座標指示物が挿入されている時に前記撮像手段で撮像された標的画像とから、前記撮像手段の撮像画像内における前記表示面指示標的に対応する標的座標を検出する標的座標検出手段と、
前記基準画像のエッジを抽出した第1エッジ画像を生成する第1エッジ画像生成手段と、
前記第1エッジ画像内において、近接平行するエッジを合成してエッジ合成領域を生成すると共に、前記標的座標に対して第1の相対位置関係を満たさないエッジを除去してエッジ合成除去画像を生成するエッジ合成除去画像生成手段と、
前記エッジ合成除去画像のエッジを抽出した第2エッジ画像を生成する第2エッジ画像生成手段と、
前記第2エッジ画像内において、少なくとも1つの前記表示面指示標的座標に対して第2の相対位置関係を満たすエッジを前記背景板の輪郭に相当する背景板領域として抽出する背景板領域抽出手段と、
を有することを特徴とする電子黒板システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電子黒板システムにおいて、
前記検出面に座標指示物が存在しない状態で複数の前記撮像手段によって撮像した画像から前記背景板領域抽出手段で抽出された領域を切り出した基準画像を保存する基準画像記憶制御手段と、
前記検出面に座標指示物が挿入された状態で複数の前記撮像手段によって撮像した画像から前記背景板領域抽出手段で抽出された領域を切り出した座標指示物の画像を保存する座標指示物画像記憶制御手段と、
基準画像に基づいて座標指示物画像から座標指示物に当たる被写体だけを抽出する被写体抽出手段と、
被写体抽出手段によって抽出された被写体の座標指示物画像内での位置から座標指示物の座標を検出する座標検出手段と、
を有することを特徴とする電子黒板システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電子黒板システムにおいて、
前記第2の相対位置関係を満たすエッジは、前記標的座標を起点として背景板が存在する方向に延びる仮想線が1番目に出会うエッジと2番目に出会うエッジである
ことを特徴とする電子黒板システム。
【請求項4】
請求項1に記載の電子黒板システムにおいて、
前記第2の相対位置関係を満たすエッジは、前記標的座標を起点として背景板が存在する方向に延びる仮想線が1番目に出会うエッジであり、
前記背景板領域は、前記1番目に出会うエッジから一定の幅だけ前記標的座標から離れる方向の範囲内にある領域である
ことを特徴とする電子黒板システム。
【請求項5】
請求項1に記載の電子黒板システムにおいて、
前記第2の相対位置関係を満たすエッジは、前記標的座標を起点として背景板が存在する方向に延びる仮想線が2番目に出会うエッジであり、
前記背景板領域は、前記2番目に出会うエッジから一定の幅だけ前記標的座標に近づく方向の範囲内にある領域である
ことを特徴とする電子黒板システム。
【請求項6】
請求項1に記載の電子黒板システムにおいて、
前記第2の相対位置関係を満たすエッジは、前記標的座標及び複数の標的座標間を結ぶ線分上の分割点を起点として背景板が存在する方向に延びる仮想線が1番目に出会うエッジとの交点の集合についての近似関数と、前記仮想線が2番目に出会うエッジとの交点の集合についての近似関数で与えられる
ことを特徴とする電子黒板システム。
【請求項7】
電子黒板システムを構成するコンピュータを、
所定の背景板を外周に有する表示面上に、座標指示物の接触位置を指示する表示面指示標的を1つ以上含む表示面指定画面を表示する表示面指定画面表示制御手段と、
前記表示面の上空近傍の検出面に挿入された座標指示物を撮像する1つ以上の撮像手段を制御する制御手段と、
前記検出面に座標指示物が挿入されていない時に前記撮像手段で撮像された基準画像と、前記検出面に座標指示物が挿入されている時に前記撮像手段で撮像された標的画像とから、前記撮像手段の撮像画像内における前記表示面指示標的に対応する標的座標を検出する標的座標検出手段と、
前記基準画像のエッジを抽出した第1エッジ画像を生成する第1エッジ画像生成手段と、
前記第1エッジ画像内において、近接平行するエッジを合成してエッジ合成領域を生成すると共に、前記標的座標に対して第1の相対位置関係を満たさないエッジを除去してエッジ合成除去画像を生成するエッジ合成除去画像生成手段と、
前記エッジ合成除去画像のエッジを抽出した第2エッジ画像を生成する第2エッジ画像生成手段と、
前記第2エッジ画像内において、前記標的座標に対して第2の相対位置関係を満たすエッジを前記背景板の輪郭に相当する背景板領域として抽出する背景板領域抽出手段と、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムは、コンピュータを、
前記検出面に座標指示物が存在しない状態で複数の前記撮像手段によって撮像した画像から前記背景板領域抽出手段で抽出された領域を切り出した基準画像を保存する基準画像記憶制御手段と、
前記検出面に座標指示物が挿入された状態で複数の前記撮像手段によって撮像した画像から前記背景板領域抽出手段で抽出された領域を切り出した座標指示物の画像を保存する座標指示物画像記憶制御手段と、
基準画像に基づいて座標指示物画像から座標指示物に当たる被写体だけを抽出する被写体抽出手段と、
被写体抽出手段によって抽出された被写体の座標指示物画像内での位置から座標指示物の座標を検出する座標検出手段と、
をして機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項7に記載のプログラムにおいて、
前記第2の相対位置関係を満たすエッジは、前記標的座標を起点として背景板が存在する方向に延びる仮想線が1番目に出会うエッジと2番目に出会うエッジである
ことを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項7に記載のプログラムにおいて、
前記第2の相対位置関係を満たすエッジは、前記標的座標を起点として背景板が存在する方向に延びる仮想線が1番目に出会うエッジであり、
前記背景板領域は、前記1番目に出会うエッジから一定の幅だけ前記標的座標から離れる方向の範囲内にある領域である
ことを特徴とするプログラム。
【請求項11】
請求項7に記載のプログラムにおいて、
前記第2の相対位置関係を満たすエッジは、前記標的座標を起点として背景板が存在する方向に延びる仮想線が2番目に出会うエッジであり、
前記背景板領域は、前記2番目に出会うエッジから一定の幅だけ前記標的座標に近づく方向の範囲内にある領域である
ことを特徴とするプログラム。
【請求項12】
請求項7に記載のプログラムにおいて、
前記第2の相対位置関係を満たすエッジは、前記標的座標及び複数の標的座標間を結ぶ線分上の分割点を起点として背景板が存在する方向に延びる仮想線が1番目に出会うエッジとの交点の集合についての近似関数と、前記仮想線が2番目に出会うエッジとの交点の集合についての近似関数で与えられる
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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