説明

電文送信装置、要求選別装置、及び、通信システム

【課題】1種類の電文によって複数種類の要求を伝達することを可能とする。
【解決手段】1種類の電文を送信する送信手段14を有し、前記送信手段14が送信する1種類の電文を用いて複数種類の要求を相手側機器に送信する電文送信装置10であって、前記複数種類の要求の各々に対応した前記1種類の電文の送信パターンを示す送信パターン情報を記憶する送信パターン情報記憶手段12と、前記複数種類の要求の中から送信すべき要求を検出する要求検出手段11a1と、前記要求検出手段が検出した要求に対応する前記送信パターン情報が示す送信パターンで、前記1種類の電文を前記送信手段14に送信させる制御を行う送信制御手段11a2と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種類の電文を通信することにより複数種類の要求を伝達するための電文送信装置、要求選別装置、及び、通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6に示すように、ガス漏れの発生を警報するガス漏れ警報器110とガスメータ120を有する保安システム100が、一般住宅等に設置されていることが従来より知られている。そして、ガス漏れ警報器110には送信機111、ガスメータ120には受信機121がそれぞれ接続されており、ガス漏れ警報器110はガス漏れ発生の検出等に応じて予め定められた電文を送信機111を介してガスメータ120に送信し、ガスメータ120は受信機121による電文の受信に応じてガス流路の遮断を行う。このようなシステムにおいて、送信機111及び受信機121に無線通信装置を用いたものとしては、特許文献1等に記載されている。
【特許文献1】特開2002−171226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の安価な無線通信装置(モジュール)等には、1種類の電文しか通信に利用できないものがあり、機能拡張等によって複数の要求を送信するには、該要求に対応する新たな電文を作成しなければならす、例えば使用頻度の低い等の要求のために専用の電文を作成するのは困難であった。そして、専用の無線通信装置を作成すると、システム、機器等のコストアップに繋がってしまうため、新たな電文を追加することができなかった。なお、このような問題は、通信機能を用いる他の安価なシステム等にも同様に生じる問題である。
【0004】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、1種類の電文によって複数種類の要求を伝達することを可能とする電文送信装置、要求選別装置、及び、通信システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の電文送信装置は、図1の基本構成図に示すように、1種類の電文を送信する送信手段14を有し、前記送信手段14が送信する1種類の電文を用いて複数種類の要求を相手側機器に送信する電文送信装置10であって、前記複数種類の要求の各々に対応した前記1種類の電文の送信パターンを示す送信パターン情報を記憶する送信パターン情報記憶手段12と、前記複数種類の要求の中から送信すべき要求を検出する要求検出手段11a1と、前記要求検出手段が検出した要求に対応する前記送信パターン情報が示す送信パターンで、前記1種類の電文を前記送信手段14に送信させる制御を行う送信制御手段11a2と、を有することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1に記載の電文送信装置において、前記送信パターン情報が、前記複数種類の要求の中から優先度の高いものから低くなるに従って前記送信パターンの時間が長く設定されていることを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項3記載の要求選別装置は、図1の基本構成図に示すように、1種類の電文を受信する受信手段24を有し、該受信手段24が受信した前記1種類の電文に基づいて複数種類の要求を選別する要求選別装置20であって、前記複数種類の要求の各々に対応した前記1種類の電文の受信パターンを示す受信パターン情報を記憶する受信パターン情報記憶手段22と、前記受信手段24が前記1種類の電文を受信してから再び前記1種類の電文を受信するまでの間隔を検出する間隔検出手段21a1と、前記間隔検出手段21a1が検出した間隔に基づいて、前記1種類の電文の受信パターンを検出する受信パターン検出手段21a2と、前記受信パターン情報記憶手段22が記憶している受信パターン情報に基づいて、前記受信パターン検出手段21a2が検出した受信パターンに対応する要求を選別する要求選別手段21a3と、を有することを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項4記載の通信システムは、図1の基本構成図に示すように、送信側機器2と受信側機器3との間で1種類の電文を通信することにより複数種類の要求を伝達する通信システムであって、前記送信側機器2が請求項1又は2に記載の電文送信装置10を有し、前記受信側機器3が請求項3に記載の要求選別装置20を有し、前記要求選別装置20の受信手段24が、前記電文送信装置10の送信手段14が送信した前記1種類の電文を受信する手段であることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項4に記載の通信システムにおいて、前記電文送信装置10の送信制御手段11a2が、前記送信パターン情報による送信パターンとの識別が可能な予め定められた所定間隔で前記1種類の電文を定期的に前記送信手段14に送信させる手段であり、前記要求選別装置20が、前記所定間隔で前記1種類の電文を前記受信手段24によって受信できなかったときに通信異常を警報する通信異常警報手段21a4を有することを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項4又は5に記載の通信システムにおいて、前記送信側機器2が、異常事象の発生を警報する警報器であり、前記受信側機器3が、該警報器と連動するガスメータであり、前記ガスメータが、前記要求選別装置10が選別した要求に対応して動作を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように請求項1に記載した本発明の電文送信装置によれば、送信すべき要求を検出すると、該要求に対応した送信パターン情報が示す送信パターンで、1種類の電文を送信手段から送信するので、1種類の電文によって複数種類の要求を伝達することができる。従って、1種類の電文しか利用できなくても機能拡張等に容易に対応でき、且つ、専用の機器を作成する必要がなくなるため、製品の汎用性を向上させることができる。また、使用頻度の低い要求等のために専用の電文を用いる必要がなくなるため、共通の電文を有効利用することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、送信パターン情報によって複数種類の要求の中から優先度の高いものから低くなるに従って送信パターンの時間を長く設定するようにしたことから、1種類の要求で複数種類の要求を伝達する場合でも、優先度の高い要求を速やかに伝達することができる。
【0013】
以上説明したように請求項3に記載した本発明の要求選別装置によれば、1種類の電文の受信間隔に基づいてその受信パターンを検出し、受信パターン情報に基づいて該受信パターンに対応した要求を選別するようにしたことから、1種類の電文によって複数種類の要求を受けることができる。従って、1種類の電文しか利用できなくても機能拡張等に容易に対応でき、且つ、専用の機器を作成する必要がなくなるため、製品の汎用性を向上させることができる。また、使用頻度の低い要求等のために専用の電文を用いる必要がなくなるため、共通の電文を有効利用することができる。
【0014】
以上説明したように請求項4に記載した本発明の通信システムによれば、送信側機器の電文送信装置は1種類の電文を複数種類の要求の各々に対応した送信パターンで送信し、受信側機器の要求選別装置は1種類の電文の受信パターンに対応した要求を選別するようにしたことから、1種類の電文によって複数種類の要求を伝達することができる。従って、1種類の電文しか利用できなくても機能拡張等に容易に対応でき、且つ、専用の機器を作成する必要がなくなるため、製品の汎用性を向上させることができる。また、使用頻度の低い要求等のために専用の電文を用いる必要がなくなるため、共通の電文を有効利用することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果に加え、電文送信装置が送信パターンとの識別が可能な所定間隔で1種類の電文を定期的に送信し、要求選別装置がその所定間隔で1種類の電文を受信できなかったときに通信異常を警報するようにしたことから、送信側機器と受信側機器との間の通信区間の正常性を1種類の電文を用いて定期的にチェックすることができるため、通信の信頼性を向上させることができる。また、1種類の電文を定期的に送信するだけで手作業等による点検作業を行う必要がなくなるため、メンテナンス性を向上させることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、請求項4又は5に記載の発明の効果に加え、送信側機器を警報器、受信機側機器をその警報器に連動するガスメータとしたことから、警報器からガスメータへ1種類の電文によって複数種類の要求を伝達することができるため、警報器及びガスメータに用いる汎用の通信装置を用いることが可能となり、警報器とガスメータからなるガス保安システム等のコストダウンに貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る図1に示す電文送信装置、要求選別装置及び通信システムを、ガス保安システムに適用した場合の一例を、図2〜図5の図面を参照して以下に説明する。
【0018】
図2において、ガス保安システム1は、屋内等に設けられ且つ上記送信側機器2に相当するガス漏れ警報器(以下、警報器ともいう)2と、屋外等に設けらてガス供給ラインに組み込まれ且つ上記受信側機器3に相当するガスメータ3と、該警報器2に入出力可能に接続され且つ上記電文送信装置に相当する送信機10と、該ガスメータ3に入出力可能に接続され且つ上記要求選別装置に相当する受信機20と、を有して構成している。
【0019】
なお、本実施形態においては、送信機10と受信機20とが無線通信を行う場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、送信機10と受信機20とをケーブル等で接続して有線で通信を行う実施形態とすることもできる。
【0020】
また、送信機10及び受信機20をそれぞれ警報器2及びガスメータ3とは別体にした場合について説明するが、警報器2及びガスメータ3の通信モジュール等として組み込む実施形態とすることもできる。さらに、送信機10から受信機20への単方向の通信を前提に説明するが、当然のことながら、双方向通信とすることもできる。
【0021】
警報器2は、公知であるように、ガスセンサ等によって監視対象領域に発生したガスの濃度を検出し、その濃度が警報条件を満たしたときに、警報を行うものである。そして、警報器2は、後述する接続部13に対応した接続端子等の接続手段2aを有しており、異常事象の発生、操作部における所定の操作の発生等に応じて、所望の信号を送信機10に出力する。
【0022】
なお、本実施形態では、警報器2によってガス漏れを異常事象として検出する場合について説明するが、異常事象は任意に定めることが可能であり、例えば異常事象が火災発生の場合は火災警報器というように、異常事象に対応した機器が用いられ、その送信側機器が送信機10を有することになる。
【0023】
ガスメータ3は、公知であるように、内蔵する流路を流れるガス流量を流量センサによって計測する流量計測部と、その流路を遮断する遮断部、計測したガス流量を表示する表示部等を有している。そして、ガスメータ3は、後述する接続部23に対応した接続手段3aを有しており、受信機20で選別された要求に対応した情報等の各種情報が当該接続手段3aを介して入力され、その各種情報に対応した動作を行う。例えば、ガス漏れ発生の検出に応じた遮断要求が入力された場合、遮断部を制御して流路を遮断することで、警報器2とガスメータ3とは連動することになる。
【0024】
送信機10は、マイクロプロセンサユニット(MPU)11と、メモリ部12と、接続部13と、通信部14と、を有しており、メモリ部12、接続部13、通信部14の各々はMPU11に電気的に接続されている。
【0025】
MPU11は、周知のように、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置(CPU)11a、CPU11aのためのプログラム等を格納した読み出し専用のメモリであるROM11b、各種のデータを格納するとともにCPU11aの処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM11c等を有して構成している。
【0026】
ROM11bは、CPU11aを図1に示す請求項中の要求検出手段11a1及び送信制御手段11a2の各種手段として機能させるためのプログラムを記憶している。そして、CPU11aはそのプログラムを実行することで、要求検出手段11a1及び送信制御手段11a2として機能することになる。
【0027】
メモリ部12は、CPU11aの処理作業に必要な各種格納エリアを有する電気的消去/書き換え可能な読み出し専用のメモリ(EEPROM)等が用いられる。メモリ部12は、送信パターン情報D1、送信カウンタ等の各種情報を記憶している。なお、本実施形態では、送信パターン情報D1をメモリ部12に記憶する場合について説明するが、送信パターン情報D1をプログラムの一部としてROM11bに記憶するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0028】
接続部13は、上記警報器2との間で信号の入出力が可能なように接続する例えばコネクタ、端子台等の各種接続部材を用いることができる。なお、接続部13に換えて通信装置とすることもできる。そして、接続部13は、警報器2からの入力信号をMPU11に出力し、且つ、MPU11からの信号を警報器2に出力する。
【0029】
通信部14は、無線通信装置等が用いられ、MPU11によって制御される。通信部14は、受信機20の通信部24に無線通信可能に接続され、MPU11から入力される電文を示す信号を相手側の通信部24に送信する。
【0030】
なお、電文の一例としては、公知であるように、先頭にヘッダSTX、後尾にフッタETXがそれぞれ付加され、その間に要求、制御コード等のデータを設定するエリアを有するデータ構造となっている。そして、本実施形態では、「ガス漏れ警報」に対応した1種類の電文のみを用いて複数種類の要求を送信する場合について説明する。
【0031】
次に、受信機20は、上述した送信機10と同様に、マイクロプロセンサユニット(MPU)21と、メモリ部22と、接続部23と、通信部24と、を有しており、メモリ部22、接続部23、通信部24の各々はMPU21に電気的に接続されている。なお、受信機20と送信機10の基本構成は同一であるため、異なる部分のみを詳細に説明する。
【0032】
MPU21は、上述したMPU11と同様に、CPU21aとROM21bとRAM21cとを有して構成している。そして、ROM21bは、CPU21aを図1に示す請求項中の間隔検出手段21a1、受信パターン検出手段21a2、要求選別手段21a3、及び通信異常警報手段21a4の各種手段として機能させるためのプログラムを記憶している。そして、CPU21aはそのプログラムを実行することで、間隔検出手段21a1、受信パターン検出手段21a2、要求選別手段21a3、及び通信異常警報手段21a4として機能することになる。
【0033】
メモリ部22は、上記送信パターン情報D1に対応した受信パターン情報D2等の各種情報を記憶している。そして、接続部23は、上記ガスメータ3との間で信号の入出力が可能なように接続する例えばコネクタ、端子台等の各種接続部材を用いることができる。なお、接続部23に換えて通信装置とすることもできる。そして、接続部23は、ガスメータ3からの入力信号をMPU21に出力し、且つ、MPU21からの信号をガスメータ3に出力する。
【0034】
通信部24は、無線通信装置等が用いられ、MPU21によって制御される。通信部24は、送信機10の通信部14に無線通信可能に接続され、その相手側の通信部14から受信した電文をMPU21に出力する。
【0035】
次に、上述したメモリ部12の送信パターン情報D1とメモリ部22の受信パターン情報D2の一例を説明する。まず、送信パターン情報D1と受信パターン情報D2は、基本構成は同一であり、1種類の電文に対応して作成される。具体的には、その1種類の電文に対して、複数種類の要求が割り振られ、各要求に対して前記1種類の電文を送信/受信のパターンとが設定される。そして、受信パターン情報D2については、受信条件を設定することもできる。
【0036】
例えば、図3に示すように、「ガス漏れ警報」に対応した1種類の電文Mのみを用いて、点検と警報の各々に対応した要求の送受信パターンを示している。
【0037】
まず、点検を要求する場合、送信パターン情報D1は、点検を示すコードデータと、電文Mを送信する間隔T1を示すデータを有して構成され、受信パターン情報D2も、同一のデータ構造で構成される。そして、間隔T1としては、例えば50時間など任意に設定することができる。
【0038】
これに対し、警報を要求する場合、送信パターン情報D1は、警報を示すコードデータと、電文Mを送信する間隔T2と、電文Mの送信回数と、送信パターンの時間T3を有して構成される。受信パターン情報D2は、前記間隔T2及び時間T3と、最低受信回数(例えば4回送信された電文Mのうち最低2回受信など)等の受信条件とを有して構成される。そして、間隔T2は、上記間隔T1よりもはるかに小さい時間(例えば7.5秒など)が設定され、時間T3としては、間隔T2の送信回数分に対応した時間(ここでは間隔T2の4回分の時間:30秒)が設定される。
【0039】
このように優先度の高い要求の間隔T2を短く設定し、優先度の低い要求の間隔T1を長く設定している。さらに、優先度の高い要求については、無線通信では電文Mを受信できない場合があるため、電文Mを複数回送信することで、相手側で確実に電文Mを受信できるようにしている。
【0040】
なお、送信パターン情報D1と受信パターン情報D2は、システム構築時等に任意に設定されて記憶される。そして、複数種類の要求を増加/減少させる場合は、送信パターン情報D1と受信パターン情報D2の項目を追加/削除することで対応することができる。
【0041】
次に、送信機10のCPU11aが実行する本発明に係る電文送信制御処理の一例を、図4に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0042】
CPU11aによって電文制御処理が実行されると、図4に示すステップS11において、初期処理が実行され、送信カウンタ、作業エリア等がクリアされ、ステップS12において、第1タイマがスタートされることで、第1タイマによる時間の計測が開始され、その後ステップS13に進む。
【0043】
ステップS13において、第1タイマの計測時間とメモリ部12の予め定められた間隔T1とが等しいか否かが判定される。等しいと判定された場合(S13でY)、ステップS14において、予め定められた前記電文Mの送信が通信部14に要求されることで、通信部14によって前記電文Mが受信機20に送信され、ステップS15において、第1タイマがクリアされて停止され、その後ステップS12に戻り、一連の処理が繰り返される。
【0044】
また、ステップS13で第1タイマの計測時間と間隔T1が等しくないと判定された場合(S13でN)、ステップS16において、接続部13からの入力信号の有無等に基づいて、警報器2で異常事象の発生を検出したか否か判定される。異常事象が発生していないと判定された場合(S16でN)、ステップS13に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、異常事象が発生したと判定された場合(S16でY)、ステップS17に進む。
【0045】
このように本実施形態では、異常事態の発生を検出することで、警報要求が発生したと判定する場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、作業者等の入力に応じて要求を検出するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0046】
ステップS17において、第2タイマがスタートされることで、第2タイマによる時間の計測が開始され、ステップS18において、予め定められた前記電文Mの送信が通信部14に要求されることで、通信部14によって前記電文Mが受信機20に送信され、ステップS19において、メモリ部12の送信カウンタがインクリメント(+1)され、ステップS20に進む。
【0047】
ステップS20において、メモリ部12の送信カウンタと送信パターン情報D1の送信回数とが等しいか否かが判定される。等しくないと判定された場合(S20でN)、ステップS21において、第2タイマの計測時間と送信パターン情報D1の間隔T2が等しいか否かが判定される。間隔T2と等しくないと判定された場合(S21でN)、この判定処理を繰り返すことで、前記電文Mを送信してから間隔T2が経過するのを待つ。一方、間隔T2と等しいと判定された場合(S21でY)、ステップS22において、第2タイマがクリアされて停止され、その後ステップS17に戻り、一連の処理が繰り返されることで、次の前記電文Mが送信される。
【0048】
また、ステップS20で送信カウンタと送信回数が等しいと判定された場合(S20でY)、警報を要求する場合の送信パターン情報D1に対応した前記電文Mの送信が終了したと判定され、ステップS23において、第2タイマがクリアされて停止され、その後ステップS13に戻り、一連の処理が繰り返される。
【0049】
以上説明した図4に示す電文送信制御処理をCPU11aが実行することで、請求項中の要求検出手段及び送信制御手段としてCPU11aが機能することになる。そして、図4に示すフローチャート中のステップS16が要求検出手段、ステップS11〜23が送信制御手段に相当している。
【0050】
次に、受信機20のCPU21aが実行する本発明に係る処理概要の一例を、図5に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0051】
CPU21aによって要求選別処理が実行されると、図5に示すステップR11において、タイマがスタートされ、ステップR12において、通信部24で前記電文Mを受信したか否かが判定される。前記電文Mを受信していないと判定された場合(R12でN)、ステップR13において、タイマの計測時間がメモリ部22の受信パターン情報D2の間隔T1よりも大きいか否かが判定される。大きくないと判定された場合(R13でN)、ステップR12に戻り、次の前記電文Mの受信を待つ。一方、大きいと判定された場合(R13でY)、ステップR14において、通信異常の警報と前記遮断部による遮断の要求が接続部23を介してガスメータ3に出力され、その後処理を終了する。
【0052】
また、ステップR12で前記電文Mを受信したと判定された場合(R12でY)、ステップR15において、タイマがリスタートされることで、タイマにより前記電文Mを受信してからの時間の計測が開始され、その後ステップR16に進む。
【0053】
ステップR16において、通信部24で前記電文Mを連続して受信したか否かが判定される。連続受信していないと判定された場合(R16でN)、前記電文M又は受信日時等を示すデータがRAM21cに時系列的に記憶され、その後ステップR11に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、連続受信したと判定された場合(R16でY)、ステップR17に進む。
【0054】
ステップR17において、タイマの計測時間に基づいて、前記電文Mを前回受信してから今回受信するまでの間隔が検出されてRAM21cに時系列的に記憶され、ステップR18において、それらの間隔に基づいて受信パターンが検出され、ステップR19において、メモリ部22の受信パターン情報D2が示す受信パターンの中に、検出した受信パターンが存在するか否かが判定される。
【0055】
ステップR19で受信パターンが存在しないと判定された場合(R19でN)、ステップR19において、動作中のタイマがクリアされて停止され、その後ステップR11に戻り、一連の処理が繰り返されることで、前記電文Mの受信パターンの検出が継続される。
【0056】
また、ステップR19で受信パターンが存在すると判定された場合(R19でY)、ステップR21において、メモリ部22の受信パターン情報D2から検出した受信パターンに対応する要求が選別され、ステップR22において、その要求が接続部23を介してガスメータ3に出力され、RAM21cの前記電文M又は受信日時等を示すデータがクリアされ、その後ステップR11に戻り、一連の処理が繰り返される。
【0057】
以上説明した図5に示す要求選別処理をCPU21aが実行することで、請求項中の間隔検出手段、受信パターン検出手段、要求選別手段及び通信異常警報手段としてCPU21aが機能することになる。そして、図5に示すフローチャート中のステップR17が間隔検出手段、ステップ18が受信パターン検出手段、ステップR21が要求選別手段、ステップR14が通信異常警報手段にそれぞれ相当している。
【0058】
次に、上述したガス保安システム1における本発明に係る動作(作用)の一例を以下に説明する。
【0059】
送信機10は、起動されると、電文Mを間隔T1(例えば、50時間)毎に受信機20に送信する。そして、受信機20は、電文Mを受信した後、間隔T1が経過したときに再度電文Mを受信すると、メモリ部22の受信パターン情報D2から「点検」に対応した要求であると選別する。
【0060】
また、警報器2はガス漏れを検出すると、検知信号を送信機10に送信する。そして、送信機10は、検知信号の入力に応じて、異常事象の発生を検出し、該異常事象の発生に対した要求を特定し、該要求に対応した送信パターンがメモリ部12の送信パターン情報D1から特定する。そして、タイマを用いて前記電文Mを前記送信パターン(図3参照)となるように、間隔T2で通信部14から4回送信させる。
【0061】
受信機20は、前記電文Mを間隔T2で時間T3以内に所定回数(例えば2回)以上受信すると、「警報」に対応した要求であると選別し、遮断要求をガスメータ3に出力する。すると、ガスメータ3は、遮断要求の入力に応じて遮断部を駆動して流路を遮断することにより、ガス漏れ警報連動遮断を行う。
【0062】
以上説明したガス保安システム1によれば、警報器2の送信機(電文送信装置)10は1種類の電文Mを複数種類の要求の各々に対応した送信パターンで送信し、ガスメータ3の受信機(要求選別装置)20は1種類の電文の受信パターンに対応した要求を選別するようにしたことから、1種類の電文Mによって複数種類の要求を伝達することができる。従って、1種類の電文Mしか利用できなくても機能拡張等に容易に対応でき、且つ、専用の機器を作成する必要がなくなるため、製品の汎用性を向上させることができる。また、使用頻度の低い要求等のために専用の電文を用いる必要がなくなるため、共通の電文を有効利用することができる。
【0063】
また、図3に示すように、送信機(電文送信装置)10が送信パターンとの識別が可能な所定間隔T1で1種類の電文Mを定期的に送信し、受信機(要求選別装置)20がその所定間隔T1で1種類の電文M1を受信できなかったときに通信異常を警報するようにしたことから、警報器2とガスメータ3との間の通信区間の正常性を1種類の電文Mを用いて定期的にチェックすることができるため、通信の信頼性を向上させることができる。また、1種類の電文Mを定期的に送信するだけで手作業等による点検作業を行う必要がなくなるため、メンテナンス性を向上させることができる。
【0064】
さらに、警報器2からガスメータ3へ1種類の電文Mによって複数種類の要求を伝達することができるため、警報器2及びガスメータ3に用いる汎用の通信装置を用いることが可能となり、警報器2とガスメータ3からなるガス保安システム1のコストダウンに貢献することができる。
【0065】
なお、上述したガス保安システム1においては、1種類の電文Mを用いて複数の要求を伝達する場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、複数種類の電文の各々に複数の要求を割り振ることで、より一層システムの汎用性を向上することができる。
【0066】
このように上述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】電文送信装置、要求選別装置、及び通信システムの基本構成を示す構成図である。
【図2】本発明を適用したガス保安システムの構成の一例を示す構成図である。
【図3】1種類の電文の送受信パターンの一例を説明するための図である。
【図4】図2中の送信機のCPUが実行する電文送信制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】図2中の受信機のCPUが実行する要求選別処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】従来の保安システムの一例を示すシステム構成図である。
【符号の説明】
【0068】
1 ガス保安システム
2 送信側機器(警報器)
3 受信側機器(ガスメータ)
10 電文送信装置(送信機)
11a1 要求検出手段(送信機のCPU)
11a2 送信制御手段(送信機のCPU)
12 送信パターン情報記憶手段(送信機のメモリ部)
14 送信手段(送信機の通信部)
20 要求選別装置(受信機)
21a1 間隔検出手段(受信機のCPU)
21a2 受信パターン検出手段(受信機のCPU)
21a3 要求選別手段(受信機のCPU)
21a4 通信異常警報手段(受信機のCPU)
22 受信パターン情報記憶手段(受信機の記憶部)
24 受信手段(受信機の通信部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種類の電文を送信する送信手段を有し、前記送信手段が送信する1種類の電文を用いて複数種類の要求を相手側機器に送信する電文送信装置であって、
前記複数種類の要求の各々に対応した前記1種類の電文の送信パターンを示す送信パターン情報を記憶する送信パターン情報記憶手段と、
前記複数種類の要求の中から送信すべき要求を検出する要求検出手段と、
前記要求検出手段が検出した要求に対応する前記送信パターン情報が示す送信パターンで、前記1種類の電文を前記送信手段に送信させる制御を行う送信制御手段と、
を有することを特徴とする電文送信装置。
【請求項2】
前記送信パターン情報が、前記複数種類の要求の中から優先度の高いものから低くなるに従って前記送信パターンの時間が長く設定されていることを特徴とする請求項1に記載の電文送信装置。
【請求項3】
1種類の電文を受信する受信手段を有し、該受信手段が受信した前記1種類の電文に基づいて複数種類の要求を選別する要求選別装置であって、
前記複数種類の要求の各々に対応した前記1種類の電文の受信パターンを示す受信パターン情報を記憶する受信パターン情報記憶手段と、
前記受信手段が前記1種類の電文を受信してから再び前記1種類の電文を受信するまでの間隔を検出する間隔検出手段と、
前記間隔検出手段が検出した間隔に基づいて、前記1種類の電文の受信パターンを検出する受信パターン検出手段と、
前記受信パターン情報記憶手段が記憶している受信パターン情報に基づいて、前記受信パターン検出手段が検出した受信パターンに対応する要求を選別する要求選別手段と、
を有することを特徴とする要求選別装置。
【請求項4】
送信側機器と受信側機器との間で1種類の電文を通信することにより複数種類の要求を伝達する通信システムであって、
前記送信側機器が請求項1又は2に記載の電文送信装置を有し、
前記受信側機器が請求項3に記載の要求選別装置を有し、
前記要求選別装置の受信手段が、前記電文送信装置の送信手段が送信した前記1種類の電文を受信する手段であることを特徴とする通信システム。
【請求項5】
前記電文送信装置の送信制御手段が、前記送信パターン情報が示す送信パターンとの識別が可能な予め定められた所定間隔で前記1種類の電文を定期的に前記送信手段に送信させる手段であり、
前記要求選別装置が、前記所定間隔で前記1種類の電文を前記受信手段によって受信できなかったときに通信異常を警報する通信異常警報手段を有することを特徴とする請求項4記載の通信システム。
【請求項6】
前記送信側機器が、異常事象の発生を警報する警報器であり、
前記受信側機器が、該警報器と連動するガスメータであり、
前記ガスメータが、前記要求選別装置が選別した要求に対応して動作を行うことを特徴とする請求項4又は5に記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−147419(P2009−147419A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−319528(P2007−319528)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】